JP4492691B2 - 透明光学膜の成膜方法 - Google Patents

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Description

本発明は、低屈折率の透明光学膜及びその成膜方法に関するものである。
一般に、陰極線管(CRT)や液晶ディスプレイなどの表示装置では、画像が表示される面に反射防止膜が設けられている。この反射防止膜は、外光の写り込みを和らげて好ましい映像や文字情報を再現する目的で設けられたもので、屈折率の異なる薄膜材料が積層されて形成されたものである。
この反射防止膜としては、例えば有機材料からなる透明フィルム状の基体上に、酸化ケイ素や窒化ケイ素、フッ化マグネシウムなどの低屈折率材料からなる低屈折率の光学膜と、ITO(酸化スズ含有の酸化インジウム)や酸化チタン、酸化タンタル、酸化ジルコニウム等の高屈折率材料からなる高屈折率の光学膜とが積層されることによって構成されたものがある。
ここで、低屈折率の光学膜に関して、特許文献1では、Mgターゲットを用いたDCスパッタリングによるMgF2薄膜の作製方法が記載されている。そこでは、全圧を0.4Pa前後としたAr+CF4及びAr+CF4+O2などの雰囲気下で成膜を行っているが、消衰係数についての記述はなく、発明者らが同様の実験を試みたところ、吸収のないMgF2薄膜の作製は出来なかった。すなわち、低屈折率薄膜の作製は可能であったが、吸収膜となり、光学膜として要求される透過率は得られなかった。
また、特許文献2では、光吸収の少ない低屈折率薄膜の作製方法が記載されている。そこでは、MgFxOyターゲットを用いた光吸収の少ない薄膜の作製が提案されているが、ターゲットが絶縁物であるために、RF放電に限られること、及び成膜速度が不十分であることに問題点があった。
特開平7−166344号公報 特開平8−134637号公報
本発明は、以上の従来技術における問題に鑑みてなされたものであり、大きな成膜速度で透明で低屈折率の光学膜を成膜できる透明光学膜の成膜方法を提供し、また該透明光学膜の成膜方法により成膜されてなる透明光学膜を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために提供する本発明は、フッ素を含む化合物のガス(ガス7)を導入して全圧8Pa以上とした雰囲気下で、Mg−Siメタルターゲット(Mg−Siメタルターゲット4)を用いた反応性スパッタリング法により、基板(基板11)上に透明な光学膜を成膜することを特徴とする透明光学膜の成膜方法である(図1)。
ここで、前記Mg−SiメタルターゲットのSi含有率が50mol%以下であることが好ましい。
また、前記フッ素を含む化合物は、CFまたはCであるとよい。
さらに、前記反応性スパッタリング法は、前記基板とターゲットとの間に交流電圧または直流電圧を印加する方式によるものであることが好適である。
また前記課題を解決するために提供する本発明は、フッ素を含む化合物のガスを導入して全圧8Pa以上とした雰囲気下で、Mg−Siメタルターゲットを用いた反応性スパッタリング法により、基板上に成膜されてなることを特徴とする透明光学膜である。
本発明の透明光学膜の成膜方法によれば、可視光領域で光吸収のない低屈折率の光学膜を大きな成膜速度で成膜することができる。
また、本発明の透明光学膜によれば、反射防止膜などの光学薄膜として用いることができる。
以下に、本発明に係る透明光学膜の成膜方法の構成について説明する。なお、本発明を図面に示した実施形態をもって説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、実施の態様に応じて適宜変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
本発明に係る透明光学膜の成膜方法は、フッ素を含む化合物のガスを導入して全圧8Pa以上とした雰囲気下で、Mg−Siメタルターゲットを用いた反応性スパッタリング法により、基板上に透明な光学膜を成膜することを特徴とするものである。
ここで、図1に本発明の透明光学膜の成膜方法を適用する反応性スパッタリング装置の構成例を示す。
図1に示すように、反応性スパッタリング装置SEは、真空槽1内の上部に、薄膜が形成される基板11を保持する基板ホルダ5と、基板ホルダ5を回転駆動するための駆動手段6とを備えている。また、真空槽1は、該真空槽1内を排気するための真空ポンプ(図示せず)が接続されており、真空槽1内を任意の真空度に調整できるように構成されている。
真空槽1内の下部には、基板11に対向するようにスパッタ電源2に接続されたスパッタ電極(カソード)3及び該スパッタ電極3上に設置された平板形状のMg−Siメタルターゲット4が配置されている。ここで、ターゲット4は、MgとSiの焼結ターゲットであり、Si含有率は0mol%超、50mol%以下であることが好ましい。
またスパッタ電源2は、DC電源またはAC電源であり、ACスパッタ(周波数20〜90kHz)、DCスパッタ、DCパルススパッタが可能である。なお、本発明における反応性スパッタリング法としては、基板11とターゲット4との間に交流電圧または直流電圧を印加して、プラズマを発生させた状態で成膜する方式であればとくに限定されず、例えば、前記以外の方式ではRFスパッタでよい。またその際、マグネトロン方式によりプラズマを封じ込めるようにするとよい。
また、真空槽1には、槽内にガスを導入するための配管が接続されており、一方の配管では図示していないマスフローコントローラにより流量調整されたガス7が真空槽1内に導入されるようになっている。ここで、ガス7はフッ素を含む化合物のガスのみとするのが最もよいが、フッ素を含む化合物のガスに不活性ガスや酸素ガスを含ませてもよい。このとき、不活性ガスは流量比10%以下とし、酸素ガスは流量比5%以下とする。また、スパッタガスとしてのフッ素を含む化合物は、CF、C、CHFなどが挙げられるが、このうちCFまたはCがよく、さらにCFが最もよい。なお、不活性ガスは、例えばAr,Xe,Ne,Krから選ばれる1種類以上のガスである。
また、成膜時の全圧を8Pa以上、より好ましくは10Pa以上とすることで光学膜の光吸収をなくすことができ、14±2Paが最も好適である。なお全圧上限は30Pa以下とするとよい。
これにより、真空槽1では、フッ素を含む化合物のガスを導入して全圧8Pa以上とした雰囲気下でMg−Siメタルターゲット4がスパッタリングされることとなる。
ここで、本発明の透明光学膜は、反応性スパッタリング装置SEを用いてつぎの手順で成膜を行なうことにより得られる。
(S11)基板11を基板ホルダ5に保持させ、Mg−Siメタルターゲット4をスパッタ電極3の所定位置に配置する。
(S12)真空槽1内を真空排気し内部を所定圧力以下にするとともに、基板ホルダ5を回転させる。
(S13)ガス7を真空槽1内に導入する。このとき、ガス7のガス流量を調整しながら導入し、目標の全圧とする。
(S14)つぎに、スパッタ電極3に電力を投入する。これにより、Mg−Siメタルターゲット4上にはプラズマが発生し、該ターゲット4のスパッタが開始される。
(S15)スパッタリング状態が安定したら、基板ホルダ5上の基板11に成膜を開始し、所定膜厚の低屈折率の透明光学膜を得る。
これにより、可視光領域で光吸収のない、波長550nmにおける屈折率が1.4以下となる光学膜を大きな成膜速度で成膜することができる。これは、ターゲット材としてMg−Siメタルを用いてフッ素原子を含む化合物のガス雰囲気下でスパッタすることにより、ターゲット表面のSiがSiF4などの揮発性の高い物質として排気され、ターゲット表面がMgメタルターゲットを用いた場合と異なり、MgF2で覆われず新たな活性化されたターゲット表面が現れるために、Mgメタルターゲットを用いる場合よりも成膜速度が向上すると推測される。また、ターゲット中に含まれるSiはSiF4などの揮発性の高い物質として排気されるので、成膜される光学膜中には含まれない。
なお、基板11としては、表面が清浄な透明ガラス基板、あるいはポリエチレンテレフタレート(PET),ポリエチレンナフタレート(PEN),ポリカーボネート(PC),ポリエーテルスルフォン(PES),非晶性ポリオレフィンからなる高分子プラスチックフィルムなどからなる透明樹脂基板である。また、基板表面に予めAl薄膜を設けておくと、本発明による透明光学膜の密着性を確保でき好ましい。
本発明の透明光学膜の成膜方法について、実験を行なった結果を以下に示す。
(実験例1)
図1の反応性スパッタリング装置SEにおいて、ガラス基板(アメリカコーニング社製コーニング1737ガラス)を基板11として真空槽1にセットし、ターゲット4にはMgメタルターゲットを用いた。ついで、5×10-4Paまで排気した後、CF4、CHF3、C26それぞれを単独でガス7として真空槽1に導入し、成膜時の全圧を2.4Paとした雰囲気下で反応性RFスパッタリング法により3種類の成膜を行ないサンプルを得た。
図2に、サンプル及びガラス基板の透過率測定結果を示す。どのガスを用いても波長500nm以上ではガラス基板の透過率を超えており、ガラス基板よりも低屈折率な薄膜が形成されていた。
つぎに、3種類のサンプルの薄膜の密着力を評価した。ここでは、目視により基板上で連続した膜となっている場合を良好、連続した膜となっておらず剥離する場合を不良と判定した。その結果、ガス種がCF4、C26の場合のサンプルは良好であり、CHF3の場合のサンプルは不良であった。CHF3の場合、Hによるダングリングボンドの増加により膜の強度が弱く剥離を起こしたと考えられる。
ここで、図1の反応性スパッタリング装置SEにおいて、ガラス基板(アメリカコーニング社製コーニング1737ガラス)を基板11として真空槽1にセットし、ターゲット4にはMgメタルターゲットを用いた。ついで、5×10-4Paまで排気した後、CF4、C26それぞれを単独でガス7として真空槽1に導入し、成膜時の全圧を18Paまで変化させた雰囲気下で反応性RFスパッタリング法により成膜を行ない、その成膜速度を測定した。
図3にその結果を示す。ガス種としてCF4を用いたときのほうが成膜速度が大きいことが分かる。分光エリプソメータにより全圧14Paで作製した薄膜を測定したところ、CF4、C26のどちらを用いても波長550nmにおいて屈折率1.38、消衰係数0であり、光学定数に違いは見られなかった。したがって、光学的な膜質に違いはないが、成膜速度の大きいCF4のほうが有利である。
(実験例2)
図1の反応性スパッタリング装置SEにおいて、ガラス基板(アメリカコーニング社製コーニング1737ガラス)を基板11として真空槽1にセットし、ターゲット4にはMgメタルターゲットを用いた。ついで、5×10-4Paまで排気した後、CF4ガスとArガス(CF4:Ar流量比=100:0,80:20,50:50の3水準)をガス7として真空槽1に導入し、成膜時の全圧を14Paとした雰囲気下で投入電力1000Wの反応性ACスパッタリング法(周波数50kHz)により成膜を行ないサンプルを得た。
図4に、得られたサンプルの透過率測定結果を示す。Arガスの流量比が多くなるにつれて透過率が低下する傾向が認められた。
ここで、図4の透過率測定結果から、CF4:Ar流量比ごとのサンプルにおける波長500〜600nmにおける平均透過率を求めた結果を図5に示す。光学膜として許容される透過率が92%以上であることから、不活性ガスとしてのArガスは流量比10%まではガス7に入れることができる。
(実験例3)
図1の反応性スパッタリング装置SEにおいて、ガラス基板(アメリカコーニング社製コーニング1737ガラス)を基板11として真空槽1にセットし、ターゲット4にはMg-Si(Mg:Si組成比=9:1,7:3,5:5(at.%比)の3水準)のメタルターゲットを用いた。ついで、5×10-4Paまで排気した後、CF4ガスのみをガス7として真空槽1に導入し、ターゲット4のMg−Si組成比ごとに成膜時の全圧を0.3〜18Paの範囲で変化させ、基板加熱は行わず、投入電力1000Wの反応性ACスパッタリング法(周波数50kHz)により成膜を行った。また、比較として、ターゲット4をMgメタルターゲットとして他は同じ条件として成膜を行なった。
図6に、成膜時の全圧に対する成膜速度を示す。これより、どの圧力においても、Mg−Siメタルターゲットを用いた方が、Mgメタルターゲットを用いた場合より成膜速度が大きくなっていた。また、Mg:Si比としてSiが多いほうが成膜速度が大きかった。
また、図7に、図6における全圧14Paの点を抜き出したものを示す。Mg:Si=5:5の成膜速度がMgメタルよりも約2倍となる20nm*min−1となっていた。
図8に、本実験例サンプルの波長550nmにおける消衰係数を測定した結果を示す。Mg−Siメタルターゲットのサンプルについては全圧8Pa以上で消衰係数が0となっていた。また、図9に示すように、Mg−Siメタルターゲットのサンプルについては全圧8Pa以上で波長550nmにおける屈折率が1.38に収束する傾向が認められた。
すなわち、フッ素を含む化合物のガス(CF4ガス)を導入して全圧8Pa以上とした雰囲気下で、Mg−Siメタルターゲットを用いた反応性スパッタリング法により、可視光領域において吸収の少ない低屈折率の光学膜が高速に形成されていることがわかる。例えば、CF4ガスのみを導入して全圧14Paとした雰囲気下で、Mg−Siメタルターゲット(Mg:Si組成比=7:3)を用いた投入電力1000Wの反応性ACスパッタリング法(周波数50kHz)では、成膜速度15nm/minで成膜され、屈折率1.36、消衰係数0(波長550nm)の光学膜が得られた。
本実験例の全圧14Paのときのサンプルについて、形成された薄膜のXPS分析した結果を表1に示す。また、比較のために、Mg−Si組成比10:0,7:3のターゲットで全圧1PaのときのサンプルのXPS分析結果も合わせて示す。
全圧14Paで作製された吸収のない透明な薄膜は、どのターゲットを用いてもSiは膜中に存在していない。これは、Siは成膜雰囲気中のCF4により、SiF4などの揮発性物質となって排気され膜中には混入しないためである。
Figure 0004492691
ところで、石英やPETなどからなる基板上にフッ化マグネシウムや本発明の透明光学膜を成膜しても、基板と密着性がなく剥離を起こしてしまった。そこで、発明者らは密着性の改善について鋭意検討を行い、基板上にAlの薄膜を設けることによりフッ化マグネシウムや本発明の透明光学膜の密着性を確保できることを見出した。
詳しくは、
(1)反応性スパッタリング法により酸化物モードでAlを成膜すること、
(2)Al膜の膜厚は基板を完全に覆う膜厚にすることが望ましく、5nm以上がとくに好ましいこと、
(3)反応性DCマグネトロンスパッタリングでAlを成膜する場合には、酸素流量比を50%以下で成膜すること、である。
以下、密着性の改善に関する実験を行った結果を示す。
(実験例4)
Alのメタルターゲットを用いて、DCマグネトロンスパッタリングにより石英基板上に密着層を成膜した。
具体的には、まず石英基板を真空槽にセットし、5×10-4Paになるまで排気をし、プレスパッタを行なった後、全圧が0.6PaになるようにArとO2を導入してDCマグネトロンスパッタリング法によりAlからなる密着層を成膜した。この時、酸素流量比(O2/(O2+Ar))を20%とし、投入電力を300Wとして、Al薄膜の膜厚が0,3,5,10,85nmとなるように成膜した。
次に、MgF2薄膜の成膜を行なった。図1の反応性スパッタリング装置SEにおいて、上記密着層を成膜した基板を真空槽1にセットし、5×10-4Paまで排気した後、全圧が14PaになるようCF4ガスを真空槽1に導入した。ついで、基板加熱は行わず、ターゲット4にはMgメタルターゲットを用い、投入電力1000Wの反応性ACスパッタリング法(周波数50kHz)により膜厚90nmのMgF2薄膜の成膜を行った。なお、得られたMgF2薄膜は、屈折率1.38、消衰係数0(波長550nmのとき)を示した。また、比較として、密着層成膜時のAlターゲットに代えてNbメタルターゲットを用いて酸素流量比を10%、膜厚を5,10,20nmとしてNbを成膜し、それ以外は本実施例と同じ条件で成膜を行った。
ここで、作製したサンプルにおける薄膜の密着状態の評価を行った。評価は目視により行い、基板上に連続した膜として基板から浮くことなく貼りついている状態を剥離なし(記号○)とし、膜にクラックが入り基板から浮いている状態を剥離あり(記号×)とした。
表2に成膜条件及び成膜後の膜の密着状態を示す。その結果、Alを密着層とした場合には薄膜は剥離しなかった。また、条件4−5(膜厚85nmのAl薄膜)のサンプルの薄膜の透過率を測定したところ、石英基板の透過率よりも可視光波長領域で透過率が向上していた(図10)。また、その反射率を測定したところ、石英基板の反射率よりも全波長領域(波長380〜780nm)で反射率が減少していた(図11)。これらの結果より、良好な反射防止膜が作製されていることがわかった。
なお、本実験例における前記MgF2薄膜に代えてMg−Siメタルターゲットを用いて、Al薄膜上に本発明の透明光学膜を形成したが、本実験例と同様に良好な密着状態を示した。
Figure 0004492691
(実験例5)
Alのメタルターゲットを用いて、DCマグネトロンスパッタリングによりPETフィルム上に密着層を成膜した。
具体的には、まずPETフィルムを基板として真空槽にセットし、5×10-4Paになるまで排気をし、プレスパッタを行なった後、全圧が0.6PaになるようにArとO2を導入してAlからなる密着層を成膜した。この時、酸素流量比(O2/(O2+Ar))を20%とし、投入電力を500Wとして、Al薄膜の膜厚が0,3,5,10,100nmとなるように成膜した。
次に、MgF2薄膜の成膜を行なった。図1の反応性スパッタリング装置SEにおいて、上記密着層を成膜した基板を真空槽1にセットし、5×10-4Paまで排気した後、全圧が14PaになるようCF4ガスを真空槽1に導入した。ついで、基板加熱は行わず、ターゲット4にはMgメタルターゲットを用い、投入電力1000Wの反応性ACスパッタリング法(周波数50kHz)により膜厚80nmのMgF2薄膜の成膜を行った。
得られたサンプルについて、実験例4と同様の薄膜の密着状態の評価を行った。その結果を表3に示す。その結果、PETフィルム上にはAl薄膜の膜厚が5nm以上必要なことがわかった。
なお、密着状態の評価が良好であった膜厚5,10,10nmのサンプル(条件5−3〜5−5)については、密着試験として当該薄膜について荷重をかけながらダイヤモンド圧子を押し込んで薄膜の密着性を評価する方法(薄膜密着性評価方法)を行ったが、従来公知プロセスによる光学薄膜(Nb/SiOx/PETフィルム)とほぼ同じ密着力を有していることが確認された。
ここで、薄膜密着性評価方法とはつぎのようなものである。すなわち、基板11上に成膜された薄膜に垂直方向からダイヤモンド圧子を最大荷重をかけながら押し込むと、ある荷重点にて薄膜が割れ剥離する現象が起こる。そこで、前記ダイヤモンド圧子を最大荷重をかけながら押し込み、押し込み深さ−荷重曲線特性を測定し、得られた押し込み深さ−荷重曲線特性における薄膜が弾性変形から塑性変形に変わる変位点を剥離点とすることによって、基板に対する薄膜の密着力を定量的に評価する方法である。
また、膜厚5,10,100nmのサンプル(条件5−3〜5−5)について、環境測定として90℃の恒温槽に100h連続して暴露する試験と95℃のお湯に5分間入れる煮沸試験とを行ったが、いずれの試験においても試験前後において光学定数の変化はほとんどなかった。
なお、本実験例における前記MgF2薄膜に代えてMg−Siメタルターゲットを用いて、Al薄膜(膜厚5nm以上)上に本発明の透明光学膜を形成したが、本実験例と同様に良好な密着状態を示した。
Figure 0004492691
(実験例6)
Alのメタルターゲットを用いて、DCマグネトロンスパッタリングによりアクリル系のハードコート付PETフィルム上に密着層を成膜した。
具体的には、まずPETフィルムを基板として真空槽にセットし、5×10-4Paになるまで排気をし、プレスパッタを行なった後、全圧が0.6PaになるようにArとO2を導入してDCマグネトロンスパッタリング法によりAlからなる密着層を成膜した。この時、酸素流量比(O2/(O2+Ar))を20%とし、投入電力を700Wとして、Al薄膜の膜厚が0,3,5,10,100nmとなるように成膜した。また、酸素流量比(O2/(O2+Ar))を10,50,100%とし、投入電力を700Wとして、Al薄膜の膜厚が100nmとなるように成膜した。
次に、MgF2薄膜の成膜を行なった。図1の反応性スパッタリング装置SEにおいて、上記密着層を成膜した基板を真空槽1にセットし、5×10-4Paまで排気した後、全圧が17PaになるようCF4ガスを真空槽1に導入した。ついで、基板加熱は行わず、ターゲット4にはMgメタルターゲットを用い、投入電力1000Wの反応性ACスパッタリング法(周波数50kHz)により膜厚100nmのMgF2薄膜の成膜を行った。
得られたサンプルについて、実験例4と同様の薄膜の密着状態の評価を行った。その結果を表4に示す。その結果、ハードコート付きPETフィルム上にはAl薄膜の膜厚が5nm以上必要なことがわかった(条件6−1〜6−5)。また、条件6−8(酸素流量比100%)のサンプルでは剥離ありであったが、密着層に応力がかかりすぎてクラックが生じて剥離したものと考えられる。このことから、酸素流量比50%以下が好ましい。
Figure 0004492691
なお、密着状態の評価が良好であった条件6−3〜6−7のサンプルについては、密着試験として薄膜密着性評価方法による測定を行ったが、従来公知プロセスによる反射防止膜(Nb/SiOx/PETフィルム)とほぼ同じ密着力を有していることが確認された。また、環境測定として90℃の恒温槽に100h連続して暴露する試験と95℃のお湯に5分間入れる煮沸試験とを行ったが、いずれの試験においても試験前後において光学定数の変化はほとんどなかった。
また、条件6−3(膜厚5nmのAl薄膜)のサンプルの薄膜の透過率を測定したところ、ハードコート付きPETフィルムの透過率よりも波長480nm以上の可視光波長領域で透過率が向上していた(図12)。また、その反射率を測定したところ、ハードコート付きPETフィルムの反射率よりも全波長領域(波長380〜780nm)で反射率が減少していた(図13)。これらの結果より、良好な反射防止膜が作製されていることがわかった。
なお、本実験例における前記MgF2薄膜に代えてMg−Siメタルターゲットを用いて、Al薄膜(膜厚5nm以上)上に本発明の透明光学膜を形成したが、本実験例と同様に良好な密着状態を示した。
本発明で使用する反応性スパッタリング装置の構成を示す概略図である。 実験例1のサンプル及びガラス基板の透過率測定結果を示す図である。 反応性スパッタリングにおけるガス種の成膜速度への影響を示す図である。 実験例2のサンプルの透過率測定結果を示す図である。 実験例2におけるCF:Ar流量比と平均透過率との関係を示す図である。 実験例3における成膜時全圧と成膜速度との関係を示す図である。 実験例3におけるターゲット組成と成膜時全圧14Pa時の成膜速度との関係を示す図である。 実験例3のサンプルの消衰係数を示す図である。 実験例3のサンプルの屈折率を示す図である。 実験例4の条件4−5のサンプルの透過特性を示す図である。 実験例4の条件4−5のサンプルの反射特性を示す図である。 実験例6の条件6−3のサンプルの透過特性を示す図である。 実験例6の条件6−3のサンプルの反射特性を示す図である。
符号の説明
1…真空槽、2…スパッタ電源、3…スパッタ電極、4…Mg−Siメタルターゲット、5…基板ホルダ、6…駆動手段、7…ガス、11…基板、SE…反応性スパッタリング装置

Claims (4)

  1. フッ素を含む化合物のガスを導入して全圧8Pa以上とした雰囲気下で、Mg−Siメタルターゲットを用いた反応性スパッタリング法により、基板上に透明な光学膜を成膜することを特徴とする透明光学膜の成膜方法。
  2. 前記Mg−SiメタルターゲットのSi含有率が50mol%以下であることを特徴とする請求項1に記載の透明光学膜の成膜方法。
  3. 前記フッ素を含む化合物は、CF4またはC26であることを特徴とする請求項1に記載の透明光学膜の成膜方法。
  4. 前記反応性スパッタリング法は、前記基板とターゲットとの間に交流電圧または直流電圧を印加する方式によるものであることを特徴とする請求項1に記載の透明光学膜の成膜方法。
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