JP4492403B2 - 変速時空燃比制御装置 - Google Patents
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また、燃料噴射量に関しては通常制御同様に、吸入空気流量に応じて設定しているだけなので、減速時に燃料カットによって、排気浄化触媒に多量の酸素がストレージされた状態で、ダウンシフト操作により前記回転同期制御が行われると、燃料供給再開時の空燃比が過渡的に過剰にリーンとなって、NOx排出量がより増加してしまうという問題があった。
図1は本発明の一実施形態を示す車両の構成を示す概略図である。
車両には、エンジン(内燃機関)1と、このエンジン1にクラッチ2を介して接続される手動の変速機3とが搭載されている。
エンジン1の吸気通路11には、スロットルアクチュエータ12で駆動されるスロットル弁13が設けられ、気筒毎の吸気ポートには、燃料噴射弁14が設けられている。
エンジン1の排気通路17には、排気中汚染物質を酸化・還元して浄化する三元触媒等の排気浄化触媒18が装着され、該排気浄化触媒18の上流には、排気中酸素濃度等によって空燃比を検出する空燃比センサ19が設けられている。
さらに、アクセルペダルの踏み込み量(アクセル開度)APOを検出するアクセル開度センサ21、エンジン回転速度Neを検出する回転速度センサ22、変速機3のシフトレバー位置SPを検出するシフト位置センサ23、車両の速度VSPを検出する車速センサ24が設けられる。
エンジンコントロールユニット25は、変速時に、エンジン1の回転速度を、当該変速による変速後の変速機入力側回転速度に同期させる回転同期制御を実行する。特に、ダウンシフト時には、エンジン1の出力を増大させて上記回転同期制御を行うが、その際に、本発明に係る空燃比のリッチ制御を実行する。
(A)は、吸入空気流量制御部、(B)は燃料噴射量制御部を示す。
吸入空気流量制御部は、回転同期制御部分と、スロットル開度制限部分とを備える。
回転同期制御部分において、変速時制御判定部A1は、前記クラッチスイッチ16の信号に基づいて、変速時制御(回転同期制御)を行うか否かを判定する。
目標回転速度演算部A3は、前記車速センサ20によって検出された車速VSPと、前記目標ギア位置設定部A2で設定された目標ギア位置Gptとに基づいて、変速時の目標回転速度Netを演算する。具体的には、現状運転状態においてギア位置を目標ギア位置Gptとした場合の変速機入力側回転速度を、エンジン回転速度を同期させる目標回転速度Netとして算出する。
目標スロットル開度演算部A5は、前記変速時制御判定部A1からの判定結果に基づいて、非変速時は、前記アクセル開度センサ5によって検出されるアクセル開度APOに基づいて、目標トルクTetに対応した目標スロットル開度TVOtを演算し、変速時は、前記回転同期制御におけるフィードバック制御量に対応した目標スロットル開度TVOtを演算する。
具体的には、出力信号切換部A6は、非変速時には、前記アクセル開度APOに対応して演算された目標スロットル開度TVOtに応じたスロットル開度制御信号をそのまま出力する。
次に、燃料噴射量制御部について説明する。
OSC(酸素蓄積量)演算部B1は、前記エアフロメータ15で検出される吸入空気流量Qa等の検出信号に基づいて、前記排気浄化触媒18内の酸素ストレージ量(蓄積酸素量)OSCを推定する。
このほか、簡易的には、燃料カット期間中の平均的な吸入空気流量と燃料カット時間とに基づいて推定することもできる。
上記燃料増量マップは、所定の当量比となるように酸素ストレージ量OSCが大きくなるほど、燃料増量が大きい値となるように設定されている。なお、燃料増量を絶対量の代わりに通常運転(理論空燃比運転)で設定される基本燃料噴射量に乗じる増量係数で設定してもよい。
変速前の燃料カット中に、排気浄化触媒18内の酸素ストレージ量は飽和状態となっており、この状態でダウンシフト操作を行って回転同期制御が開始されると、目標回転速度と実回転速度との差に応じてスロットル開度を増大させて吸入空気流量を増大させるが、上限リミッタによってスロットル開度の増大が制限され、吸入空気流量の増大が制限される。
これにより、酸素ストレージ量OSCが大きいときほど空燃比が大きくリッチ化され、該リッチ化により、上記飽和状態にあった酸素ストレージ量OSCが略0状態となるまで減少する。
クラッチペダルを離し変速を終了すると、回転同期制御が停止され、ドライバがアクセル操作(加速操作)を行うまでは、スロットル弁13が全閉に戻され、再度燃料カットが行われる。
このようにすれば、ダウンシフト時に回転同期制御のためエンジン出力を増大する際に、燃料カットによって排気浄化触媒18内の酸素ストレージ量OSCが大きくなっている場合でも、該酸素ストレージ量OSCが大きいときほど燃料噴射量の増量補正量を大きくするので、増量された燃料(HC)によってストレージされた酸素を速やかに還元処理して減少させることができるので、NOx排出量を効果的に低減することができる。
図4は、本実施形態による効果を示す。
図で、従来の回転同期制御のように、スロットル開度の増大を制限せず全開とし、燃料噴射量の増量も行わなかった場合に比較し、スロットル開度の増大を制限(全開の8/8から4/8開度に制限)しただけで、燃料噴射量の増量を行わない場合は、リーン度合いの減少によってNOx低減に多少の効果は得られるものの、スロットル全開で燃料噴射量の増量(リッチ化)を行った場合の方がNOx排出量を大きく低減できることが明らかである。
また、本実施形態のように、スロットル開度の増大を制限しつつ燃料噴射量の増量を行って当量比を高めた場合は、スロットル開度の増大を制限せずに当量比を高めた場合に比べて、その効果代が大きく、当量比を高めた場合におけるスロットル開度の制限は特に有効である。
これは、吸入空気流量が絞られすぎると回転同期制御時間が長引くためと考えられる。よって、実験等を行って、より効果的な制限量に設定するのが好ましい。
なお、本実施形態のようにスロットル開度によって吸入空気流量を制限した場合には、上記のような燃料増量領域に入る確率は低いが、入った場合には、必要以上のリッチ化を回避するため該燃料増量領域における燃料増量の設定はキャンセルし、本発明に係る酸素ストレージ量に応じた燃料増量設定のみを行うようにする。
最大限リッチ化を行うことができる。
一方、自動変速機に本発明にかかる回転同期制御を適用した場合は、エンジン駆動力の伝達が完全に切り離されるわけではないが、トルクコンバータによってある程度のトルク変動を吸収でき、特に吸入空気流量を制限することでトルクアップの急激な上昇を抑制しながらリッチ化を高めることができるので、乗員への運転性の影響を抑制しつつ本制御を実行することができる。
Claims (7)
- 燃料カットが行われる減速後のダウンシフト時に行うエンジン出力の増大制御時に、排気系に装着された排気浄化触媒の酸素ストレージ量に応じて、燃料供給量を増量して空燃比を理論空燃比よりリッチに制御することで、排気浄化触媒内の酸素ストレージ量を減少させることを特徴とするエンジンの変速時空燃比制御装置。
- 前記空燃比のリッチ制御時に、吸入空気流量を上限リミッタで制限することを特徴とする請求項1に記載のエンジンの変速時空燃比制御装置。
- 前記空燃比のリッチ制御時に、燃料噴射量を排気浄化触媒の酸素ストレージ量に応じて設定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のエンジンの変速時空燃比制御装置。
- 前記排気浄化触媒の酸素ストレージ量を、運転状態に基づいて推定することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載のエンジンの変速時空燃比制御装置。
- 前記排気浄化触媒の酸素ストレージ量を、変速操作前の燃料カット状態に基づいて推定することを特徴とする請求項4に記載のエンジンの変速時空燃比制御装置。
- 前記エンジン出力の増大制御は、エンジン回転速度をダウンシフト変速後の変速機入力側回転速度に同期させる制御であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1つに記載のエンジンの変速時空燃比制御装置。
- エンジンにクラッチを介して手動変速機が連結された車両において、前記ダウンシフトを検出して、エンジン出力を増大制御しているときに、上記空燃比のリッチ制御を行うことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1つに記載のエンジンの変速時空燃比制御装置。
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