JP3166595B2 - 自動変速機付内燃機関の制御装置 - Google Patents

自動変速機付内燃機関の制御装置

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JP3166595B2
JP3166595B2 JP35430795A JP35430795A JP3166595B2 JP 3166595 B2 JP3166595 B2 JP 3166595B2 JP 35430795 A JP35430795 A JP 35430795A JP 35430795 A JP35430795 A JP 35430795A JP 3166595 B2 JP3166595 B2 JP 3166595B2
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淳 田端
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、空燃比を大きく
したリーンバーン運転中に、空燃比を一時的にリッチ化
する制御を実行する内燃機関の制御装置に関し、特に走
行状態に基づいて変速が実行される自動変速機が連結さ
れた内燃機関の制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】省エネ化や環境保全のために内燃機関の
燃費を向上させることが強く望まれていることは周知の
とおりであり、そのために例えばガソリンエンジンで
は、空燃比を大きくしたリーンバーン運転の可能なエン
ジンが開発され、また実用化されている。このリーンバ
ーン運転は、理論空燃比より大きい空燃比の混合気をシ
リンダの内部に吸入して燃焼を生じさせる運転状態であ
り、シリンダから排出される排気中の空気濃度が高くな
ることにより排気ガス中のNOx の濃度が高くなる傾向
がある。そのため従来では、エキゾーストパイプなど排
気系統中にNOx 吸収剤を配置し、リーンバーン運転で
生じるNOx を吸収している。
【0003】しかしながら従来一般に使用されているN
Ox 吸収剤は、NOx を硝酸イオンの形で吸収するもの
であって、その量が増大するに伴って吸収能力が次第に
飽和する。一方、排気ガス中の酸素濃度が低くなると、
NOx 吸収剤から二酸化窒素が放出され、これが排気ガ
ス中の一酸化炭素や炭化水素と反応して還元される。す
なわちNOx 吸収剤は、排気ガス中の酸素濃度によって
NOx の吸収と放出とを行うので、例えば特開平6−1
08824号公報に記載された発明では、エンジンの累
積回転数やタイマなどに基づいてリーンバーン運転中の
一定期間ごとに空燃比をリッチ化してNOx 吸収剤から
NOx を放出させている。またその場合、空燃比のリッ
チ化に伴ってエンジン出力が増大するので、空燃比のリ
ッチ化と併せて点火時期の遅角制御を行い、駆動トルク
の一時的な増大を抑制してショックを解消することとし
ている。
【0004】一方、最近では、車両における変速機とし
て自動変速機が多用されていることは周知のとおりであ
り、この種の自動変速機では、スロットル開度などによ
って表されるエンジン負荷と車速などとの走行状態に基
づいて変速が判断され、実行される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前述したいわゆるリー
ンバーン運転の可能なエンジンに自動変速機を連結した
車両では、リーンバーン運転中の空燃比の一時的なリッ
チ化(リッチスパイクと称されている)によるトルク変
動や自動変速機での変速によるトルク変動などが生じる
ことになるので、これらが原因となってショックが生じ
る可能性があった。
【0006】すなわち自動変速機での変速は、クラッチ
やブレーキなどの摩擦係合装置の係合解放状態を切り換
えて変速を実行するが、その場合、エンジンを含む回転
要素の慣性力を摩擦係合装置の滑りによって吸収するこ
とにより変速に伴うトルクの変動を滑らかなものにして
いる。その制御は、具体的には、摩擦係合装置の油圧を
入力トルクや変速の進行状況に応じて変化させることに
より実行される。
【0007】一方、エンジンのリーンバーン運転中のリ
ッチスパイクは、NOx 吸収剤の飽和状態の解消のため
に実行され、これは具体的には、エンジン回転数の累積
値が予め定めた基準値に達することにより実行される。
すなわち駆動トルクの変動の要因となる自動変速機での
変速とエンジンでのリッチスパイクなどの空燃比の変更
とは、互いに独立して判断され、かつ実行されるから、
これらの自動変速機での変速とエンジンでの空燃比の変
更とが時間的に重なって実行されることがあり、このよ
うな場合には、自動変速機の出力トルクすなわち駆動ト
ルクの変動が複雑あるいは急激なものとなり、変速ショ
ックが悪化する場合がある。特に、変速に関与する摩擦
係合装置の油圧を入力トルクに基づいて制御している場
合には、エンジンでのリッチスパイクの実行によってエ
ンジントルクが変動すると、自動変速機への入力トルク
を正確に検出もしくは判断することができなくなり、結
局は、変速制御が所期どおりに行われずに、変速ショッ
クが悪化し、また摩擦係合装置の耐久性が低下するなど
の可能性があった。
【0008】この発明は、上記の事情を背景としてなさ
れたものであり、自動変速機が連結されたリーンバーン
運転の可能な内燃機関を、変速ショックを悪化させるこ
とのないように制御する制御装置を提供することを目的
とするものである。
【0009】そしてこの目的は、この発明によれば、リ
ーンバーン運転中のリッチスパイクを、予測された変速
あるいは変速判断に基づいて制御することにより達成さ
れる。
【0010】
【課題を解決するための手段およびその作用】上記の目
的を達成するために、請求項1に記載した発明は、空燃
比をリーンにしたリーンバーン運転中の所定期間ごとに
一時的に空燃比をリッチ化する内燃機関に、走行状態に
基づいて変速を実行する自動変速機が連結された車両に
おける自動変速機付内燃機関の制御装置において、前記
自動変速機での変速を予測する手段と、該手段による変
速の予測に基づきその予測された変速の以前に空燃比の
一時的なリッチ化を実行する手段とを備えていることを
特徴とするものである。
【0011】したがって請求項1の発明においては、変
速を予測する手段によって変速の判断もしくは実行の時
期が予め解るので、例えばNOx 吸収剤からNOx を放
出させるための空燃比の一時的なリッチ化が、その変速
に先行して実施される。そのため、変速を行う時点で
は、NOx 吸収剤のNOx 吸収能力に余裕があり、NO
x 吸収剤の飽和を間接的に判断して所定期間ごとに実行
される空燃比のリッチ化が、変速の際に実行されること
が回避される。すなわち自動変速機の変速と内燃機関で
の空燃比のリッチ化とが時間的に重なることがなく、そ
の結果、自動変速機の入力トルクが安定して変速ショッ
クが良好になる。なお、請求項1の発明では、請求項4
に記載されているように、車速やスロットル開度などの
走行状態を示すパラメータの変化量もしくは変化率に基
づいて変速を予測するように構成することができる。ま
た、請求項1の発明では、請求項5に記載されているよ
うに、変速の発生の予測された場合、それに先立つ所定
時間の間に空燃比のリッチ化が実行されていれば、空燃
比の一時的なリッチ化を実行しないように構成すること
ができる。さらに、請求項1の発明では、請求項6に記
載されているように、変速の発生が予測された場合、そ
の時点における内燃機関の累積回転数が予め定めた基準
値より小さい場合に、空燃比の一時的なリッチ化を実行
しないように構成することができる。そして、これらの
所定時間あるいは基準値は、請求項7もしくは8に記載
されているように、内燃機関の回転数もしくは吸気管負
圧もしくは吸入空気量に基づいて変更することができ
る。
【0012】また請求項2の発明は、上記の請求項1に
記載した発明の構成に加え、前記変速の予測に基づいて
実行される空燃比のリッチ化の処理時間が、前記変速の
予測に基づかない前記所定期間ごとの空燃比のリッチ化
の処理時間より短く設定されることを特徴とするもので
ある。
【0013】したがって請求項2の発明においては、走
行状態に変化によって自動変速機での変速が短時間の間
に繰り返し実行される場合であっても、空燃比のリッチ
化に要する時間が短時間であるために、予測された変速
に先行するいわゆるリッチスパイクを変速に重ならない
ように実行することができる。すなわち予測された変速
に先行させる空燃比のリッチ化の制御が容易になる。
お、請求項2の発明では、請求項11に記載されている
ように、空燃比のリッチ化の処理時間が短い場合には、
燃料の増量補正をおこなう手段を更に備えることができ
る。
【0014】さらに請求項3に記載した発明は、空燃比
をリーンにしたリーンバーン運転中の所定期間ごとに一
時的に空燃比をリッチ化する内燃機関に、走行状態に基
づいて変速を判断するとともにその変速の判断の成立か
ら所定の時間間隔をあけて変速を実行する自動変速機が
連結された車両における自動変速機付内燃機関の制御装
置において、前記自動変速機での変速を判断する手段
と、該手段による変速判断に基づきかつその変速判断の
成立から前記所定の時間間隔の間に空燃比の一時的なリ
ッチ化を実行する手段とを備えていることを特徴とする
ものである。
【0015】したがって請求項3に記載した発明では、
変速判断が成立した場合、その変速判断から変速が実行
されるまでの所定の時間間隔の間に空燃比が一時的にリ
ッチ化され、それに伴って例えばNOx 吸収剤のNOx
吸収能力が回復するから、変速判断に続く変速の実行中
に、NOx 吸収剤の飽和の間接的な検出もしくは判断に
基づく空燃比のリッチ化処理(リッチスパイク)が実行
されることがなくなる。そのため自動変速機の変速と内
燃機関での空燃比のリッチ化とが時間的に重なることが
なく、その結果、自動変速機の入力トルクが安定して変
速ショックが良好になる。なお、前記請求項1の発明あ
るいは請求項3の発明では、前記一時的な空燃比のリッ
チ化を実行する際に点火時期の遅角制御を実行しないよ
うに構成することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】つぎにこの発明を図面に基づいて
より具体的に説明する。先ず、この発明で対象とする自
動変速機の一例について図1を参照して説明する。図1
において、エンジン1にトルクコンバータ2を介して自
動変速機3が連結されている。このトルクコンバータ2
は、エンジン1のクランク軸4に連結されたポンプイン
ペラ5と、自動変速機3の入力軸6に連結されたタービ
ンランナー7と、これらポンプインペラ5およびタービ
ンランナー7の間を直結するロックアップクラッチ8
と、一方向クラッチ9によって一方向の回転が阻止され
ているステータ10とを備えている。
【0017】上記自動変速機3は、ハイおよびローの2
段の切り換えを行う副変速部11と、後進ギヤ段および
前進4段の切り換えが可能な主変速部12とを備えてい
る。副変速部11は、サンギヤS0 、リングギヤR0 、
およびキャリヤK0 に回転可能に支持されてそれらサン
ギヤS0 およびリングギヤR0 に噛み合わされているピ
ニオンP0 から成るHL遊星歯車装置13と、サンギヤ
S0 とキャリヤK0 との間に設けられたクラッチC0 お
よび一方向クラッチF0 と、サンギヤS0 とハウジング
19との間に設けられたブレーキB0 とを備えている。
【0018】主変速部12は、サンギヤS1 、リングギ
ヤR1 、およびキャリヤK1 に回転可能に支持されてそ
れらサンギヤS1 およびリングギヤR1 に噛み合わされ
ているピニオンP1 からなる第1遊星歯車装置14と、
サンギヤS2 、リングギヤR2 、およびキャリヤK2 に
回転可能に支持されてそれらサンギヤS2 およびリング
ギヤR2 に噛み合わされているピニオンP2 からなる第
2遊星歯車装置15と、サンギヤS3 、リングギヤR3
、およびキャリヤK3 に回転可能に支持されてそれら
サンギヤS3 およびリングギヤR3 に噛み合わされてい
るピニオンP3 からなる第3遊星歯車装置16とを備え
ている。
【0019】上記サンギヤS1 とサンギヤS2 とは互い
に一体的に連結され、リングギヤR1 とキャリヤK2 と
キャリヤK3 とが一体的に連結され、そのキャリヤK3
は出力軸17に連結されている。また、リングギヤR2
がサンギヤS3 に一体的に連結されている。そして、リ
ングギヤR2 およびサンギヤS3 と中間軸18との間に
第1クラッチC1 が設けられ、サンギヤS1 およびサン
ギヤS2 と中間軸18との間に第2クラッチC2 が設け
られている。
【0020】またブレーキ手段として、サンギヤS1 お
よびサンギヤS2 の回転を止めるためのバンド形式の第
1ブレーキB1 がハウジング19に設けられている。ま
た、サンギヤS1 およびサンギヤS2 とハウジング19
との間には、第1一方向クラッチF1 およびブレーキB
2 が直列に設けられている。この第1一方向クラッチF
1 は、サンギヤS1 およびサンギヤS2 が入力軸6と反
対の方向へ逆回転しようとする際に係合させられるよう
に構成されている。
【0021】キャリヤK1 とハウジング19との間には
第3ブレーキB3 が設けられており、リングギヤR3 と
ハウジング19との間には、第4ブレーキB4 と第2一
方向クラッチF2 とが並列に設けられている。この第2
一方向クラッチF2 は、リングギヤR3 が逆回転しよう
とする際に係合させられるように構成されている。上記
クラッチC0 ,C1 ,C2 、ブレーキB0 ,B1 ,B2
,B3 ,B4 は、油圧が作用することにより摩擦材が
係合させられる油圧式摩擦係合装置である。
【0022】上記の自動変速機では、前進5段と後進段
とを設定することができ、これらの変速段を設定するた
めの各摩擦係合装置の係合・解放の状態を図2の係合作
動表に示してある。なお、図2において○印は係合状
態、×印は解放状態をそれぞれ示す。
【0023】図3は、エンジン1および自動変速機3に
ついての制御系統図を示しており、アクセルペダル20
の踏み込み量に応じた信号がエンジン用電子制御装置2
1に入力されている。またエンジン1の吸気ダクトに
は、スロットルアクチュエータ22によって駆動される
電子スロットル弁23が設けられており、この電子スロ
ットル弁23は、アクセルペダル20の踏み込み量に応
じて制御装置21からスロットルアクチュエータ22に
制御信号が出力され、その制御量に応じて開度が制御さ
れるようになっている。
【0024】また、エンジン1の回転速度を検出するエ
ンジン回転速度センサ24、吸入空気量を検出するエア
フローメータ25、吸入空気の温度を検出する吸入空気
温度センサ26、上記電子スロットル弁23の開度θを
検出するスロットルセンサ27、出力軸17の回転速度
などから車速Vを検出する車速センサ28、エンジン1
の冷却水温度を検出する冷却水温センサ29、ブレーキ
の作動を検出するブレーキスイッチ30、シフトレバー
31の操作位置を検出する操作位置センサ32などが設
けられている。それらのセンサから、エンジン回転速度
N、吸入空気温度Tha 、電子スロットル弁23の開度
θ、車速V、エンジン冷却水温THw 、ブレーキの作動
状態BK、シフトレバー31の操作位置Pshを表す信号
が、エンジン用電子制御装置21および変速用電子制御
装置33に供給されるようになっている。なお、この変
速用電子制御装置33には、上記の電子スロットル弁2
3の開度θ、車速V、エンジン冷却水温THw 、ブレー
キの作動状態BKの信号が入力されている。
【0025】また、タービンランナー7の回転速度を検
出するタービン回転速度センサ34からタービン回転速
度NT を表す信号が変速用電子制御装置33に供給され
ている。さらに、アクセルペダル20が最大操作位置ま
で操作されたことを検出するキックダウンスイッチ35
からキックダウン操作を表す信号が変速用電子制御装置
33に入力されている。
【0026】エンジン用電子制御装置21は、中央演算
処理装置(CPU)、記憶装置(RAM,ROM)、入
出力インターフェースを備えたいわゆるマイクロコンピ
ュータであって、CPUはRAMの一時記憶機能を利用
しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って入力
信号を処理し、種々のエンジン制御を実行する。例え
ば、燃料噴射量制御のために燃料噴射弁37を制御し、
点火時期制御のためにイグナイタ38を制御し、アイド
ルスピード制御のために図示しないバイパス弁を制御
し、トラクション制御を含む全てのスロットル制御を、
スロットルアクチュエータ22により電子スロットル弁
23を制御して実行する。
【0027】変速用電子制御装置33も、上記のエンジ
ン用電子制御装置21と同様のマイクロコンピュータで
あって、CPUはRAMの一時記憶機能を利用し、予め
ROMに記憶されたプログラムに従って入力信号を処理
するとともに、油圧制御回路38の各ソレノイド弁ある
いはリニアソレノイド弁を駆動するようになっている。
例えば、変速用電子制御装置33は、スロットル弁23
の開度に対応した大きさの出力圧PSLT を発生させるた
めにリニアソレノイド弁SLT、およびアキュームレータ
背圧を制御するためにリニアソレノイド弁SLN、ならび
にロックアップクラッチ8のスリップ量を制御し、また
変速過渡時の所定のクラッチあるいはブレーキの係合圧
を変速の進行に従いかつ入力トルクに応じて制御するた
めにリニアソレノイド弁SLUをそれぞれ駆動する。
【0028】また、変速用電子制御装置33は、基本ス
ロットル弁開度θ(アクセルペダルの踏み込み量に対し
て所定の非線形特性で変換したスロットル開度)および
車速Vならびにこれらをパラメータとした変速線図に基
づいて自動変速機3の変速段やロックアップクラッチ8
の係合状態を決定し、この決定された変速段および係合
状態が得られるように油圧制御回路38におけるNo .
1ないしNo .3のソレノイド弁SOL1 ,SOL2 ,SOL
3 を駆動し、エンジンブレーキを発生させる際には、N
o .4のソレノイド弁SOL4 を駆動するよう構成されて
いる。
【0029】他方、上記ロックアップクラッチ8は、自
動変速機3の第1速および第2速では解放されるが、第
3速および第4速では、基本スロットル弁開度θおよび
車速Vに基づいて解放、スリップ、係合のいずれかの領
域が判定され、スリップ領域であればロックアップクラ
ッチ8がスリップ制御され、係合領域であれば係合させ
られる。このスリップ制御は、エンジン1の回転変動を
吸収しつつトルクコンバータ2の回転損失を可及的に抑
制するためのものである。
【0030】図4は、シフトレバー31の操作位置を示
している。図において、車両の前後方向の6つの操作位
置と車両の左右方向の2つの操作位置との組み合せによ
り、シフトレバー31を8つの操作位置へ操作可能に支
持する図示しない支持装置によってシフトレバー31が
支持されている。そしてPはパーキングレンジ位置、R
はリバースレンジ位置、Nはニュートラルレンジ位置、
Dはドライブレンジ位置、“4”は第4速までの変速段
を設定する“4”レンジ位置、“3”は第3速までの変
速段を設定する“3”レンジ位置、“2”は第2速まで
の変速段を設定する“2”レンジ位置、Lは第1速以上
の変速段へのアップシフトを禁止するローレンジ位置を
それぞれ示す。
【0031】図2に示すように上記の自動変速機3は、
第2速と第3速との間の変速が、第3ブレーキB3 と第
2ブレーキB2 との係合状態を共に切り換えるクラッチ
・ツウ・クラッチ変速となる。その変速制御は、パワー
オン/オフの状態やシフトアップ/ダウンの状態に応じ
て、変速に関与する摩擦係合装置をアンダーラップもし
くはオーバーラップ状態に制御する必要があり、具体的
には、第2ブレーキB2 の油圧を入力トルクに応じて制
御し、また第3ブレーキB3 の油圧を変速の進行状況に
基づいて制御する必要がある。そこで上記の油圧制御回
路38には、この変速を円滑かつ迅速に実行するため
に、図5に示す回路が組み込まれており、以下、簡単に
その構成を説明する。
【0032】図5において符号70は 1-2シフトバルブ
を示し、また符号71は 2-3シフトバルブを示し、さら
に符号72は 3-4シフトバルブを示している。これらの
シフトバルブ70,71,72の各ポートの各変速段で
の連通状態は、それぞれのシフトバルブ70,71,7
2の下側に示しているとおりである。なお、その数字は
各変速段を示す。その 2-3シフトバルブ71のポートの
うち第1速および第2速で入力ポート73に連通するブ
レーキポート74に、第3ブレーキB3 が油路75を介
して接続されている。この油路にはオリフィス76が介
装されており、そのオリフィス76と第3ブレーキB3
との間にダンパーバルブ77が接続されている。このダ
ンパーバルブ77は、第3ブレーキB3 にライン圧が急
激に供給された場合に少量の油圧を吸入して緩衝作用を
行うものである。
【0033】また符号78は B-3コントロールバルブで
あって、第3ブレーキB3 の係合圧をこの B-3コントロ
ールバルブ78によって直接制御するようになってい
る。すなわちこの B-3コントロールバルブ78は、スプ
ール79とプランジャ80とこれらの間に介装したスプ
リング81とを備えており、スプール79によって開閉
される入力ポート82に油路75が接続され、またこの
入力ポート82に選択的に連通させられる出力ポート8
3が第3ブレーキB3 に接続されている。さらにこの出
力ポート83は、スプール79の先端側に形成したフィ
ードバックポート84に接続されている。一方、前記ス
プリング81を配置した箇所に開口するポート85に
は、 2-3シフトバルブ71のポートのうち第3速以上の
変速段でDレンジ圧を出力するポート86が油路87を
介して連通されている。またプランジャ80の端部側に
形成した制御ポート88には、ロックアップクラッチ用
リニアソレノイドバルブSLUが接続されている。
【0034】したがって B-3コントロールバルブ78
は、スプリング81の弾性力とポート85に供給される
油圧とによって調圧レベルが設定され、かつ制御ポート
88に供給される信号圧が高いほどスプリング81によ
る弾性力が大きくなるように構成されている。
【0035】さらに図5中、符号89は 2-3タイミング
バルブであって、この 2-3タイミングバルブ89は、小
径のランドと2つの大径のランドとを形成したスプール
90と第1のプランジャ91とこれらの間に配置したス
プリング92とスプール90を挟んで第1のプランジャ
91とは反対側に配置された第2のプランジャ93とを
有している。この 2-3タイミングバルブ89の中間部の
ポート94に油路95が接続され、またこの油路95
は、 2-3シフトバルブ71のポートのうち第3速以上の
変速段でブレーキポート74に連通させられるポート9
6に接続されている。
【0036】さらにこの油路95は途中で分岐して、前
記小径ランドと大径ランドとの間に開口するポート97
にオリフィスを介して接続されている。この中間部のポ
ート94に選択的に連通させられるポート98は油路9
9を介してソレノイドリレーバルブ100に接続されて
いる。そして第1のプランジャ91の端部に開口してい
るポートにロックアップクラッチ用リニアソレノイドバ
ルブSLUが接続され、また第2のプランジャ93の端部
に開口するポートに第2ブレーキB2 がオリフィスを介
して接続されている。
【0037】前記油路87は第2ブレーキB2 に対して
油圧を供給・排出するためのものであって、その途中に
は小径オリフィス101とチェックボール付きオリフィ
ス102とが介装されている。またこの油路87から分
岐した油路103には、第2ブレーキB2 から排圧する
場合に開くチェックボールを備えた大径オリフィス10
4が介装され、この油路103は以下に説明するオリフ
ィスコントロールバルブ105に接続されている。
【0038】オリフィスコントロールバルブ105は第
2ブレーキB2 からの排圧速度を制御するためのバルブ
であって、そのスプール106によって開閉されるよう
に中間部に形成したポート107には第2ブレーキB2
が接続されており、このポート107より図での下側に
形成したポート108に前記油路103が接続されてい
る。第2ブレーキB2 を接続してあるポート107より
図での上側に形成したポート109は、ドレインポート
に選択的に連通させられるポートであって、このポート
109には、油路110を介して前記 B-3コントロール
バルブ78のポート111が接続されている。なおこの
ポート111は、第3ブレーキB3 を接続してある出力
ポート83に選択的に連通させられるポートである。
【0039】オリフィスコントロールバルブ105のポ
ートのうちスプール106を押圧するスプリングとは反
対側の端部に形成した制御ポート112が油路113を
介して、 3-4シフトバルブ72のポート114に接続さ
れている。このポート114は、第3速以下の変速段で
第3ソレノイドバルブS3 の信号圧を出力し、また第4
速以上の変速段で第4ソレノイドバルブS4 の信号圧を
出力するポートである。さらにこのオリフィスコントロ
ールバルブ105には、前記油路95から分岐した油路
115が接続されており、この油路115を選択的にド
レインポートに連通させるようになっている。
【0040】なお、前記 2-3シフトバルブ71において
第2速以下の変速段でDレンジ圧を出力するポート11
6が、前記 2-3タイミングバルブ89のうちスプリング
92を配置した箇所に開口するポート117に油路11
8を介して接続されている。また 3-4シフトバルブ72
のうち第3速以下の変速段で前記油路87に連通させら
れるポート119が油路120を介してソレノイドリレ
ーバルブ100に接続されている。
【0041】そして図5中、符号121は第2ブレーキ
B2 用のアキュームレータを示し、その背圧室には、リ
ニアソレノイドバルブSLNが出力する油圧に応じて調圧
されたアキュームレータコントロール圧が供給されてい
る。なおこのアキュームレータコントロール圧は、入力
トルクに応じて制御され、リニアソレノイドバルブSLN
の出力圧が低いほど高い圧力になるように構成されてい
る。したがって第2ブレーキB2 の係合・解放の過渡的
な油圧は、リニアソレノイドバルブSLNの信号圧が低い
ほど高い圧力で推移するようになっている。またそのリ
ニアソレノイドバルブSLUの信号圧を一時的に低くする
ことにより、第2ブレーキB2 の係合圧を一時的に高く
することができる。
【0042】また符号122は C-0エキゾーストバルブ
を示し、さらに符号123はクラッチC0 用のアキュー
ムレータを示している。なお C-0エキゾーストバルブ1
22は2速レンジでの第2速のみにおいてエンジンブレ
ーキを効かせるためにクラッチC0 を係合させるように
動作するものである。
【0043】したがって、上述した油圧回路によれば、
B-3コントロールバルブ78のポート111がドレイン
に連通していれば、第3ブレーキB3 の係合圧を B-3コ
ントロールバルブ78によって直接調圧することがで
き、またその調圧レベルをリニアソレノイドバルブSLU
によって変えることができる。またオリフィスコントロ
ールバルブ105のスプール106が、図の左半分に示
す位置にあれば、第2ブレーキB2 はこのオリフィスコ
ントロールバルブ105を介して油路103に連通させ
られるので、大径オリフィス104を介して排圧が可能
になり、したがって第2ブレーキB2 からのドレイン速
度を制御することができる。
【0044】上述した自動変速機3における各摩擦係合
装置の係合圧は、エンジン1でのスロットル開度θに応
じて制御されるライン圧によって決まる圧力になるが、
例えばクラッチ・ツウ・クラッチ変速である第2速と第
3速との間の変速の際の第3ブレーキB3 の係合圧PB3
は、変速の進行状況に基づいて制御される。例えば第2
速から第3速へのアップシフトの場合には、第2ブレー
キB2 と共に所定のトルク容量をもついわゆるオーバー
ラップ気味に制御されて入力回転数が第3速の同期回転
数に低下することを促進させる。また反対に第3速から
第2速へのダウンシフトの際には、第3ブレーキB3 の
係合圧を低い圧力に維持していわゆるアンダーラップ気
味に制御し、入力回転数が第2速の同期回転数に上昇す
ることを促進させる。また第2速へのダウンシフトの変
速終期には、最終的には解放される第2ブレーキB2 の
係合圧を一時的に高くしてトルクを低下させることによ
り、捩りトルクに起因するショックを防止する。
【0045】以上説明した自動変速機3が連結されてい
るエンジン1は、空燃比を理論空燃比より大きくしたリ
ーンバーン運転が可能であり、かつリーンバーン運転中
にNOx 吸収剤からNOx を放出させるために、空燃比
を一時的にリッチ側に設定するリッチスパイクを実行す
るよう構成されている。そこでこのエンジン1について
説明すると、図6は吸排気系統を模式的に示しており、
ピストン130の頂部側に形成された燃焼室131に
は、点火プラグ132が配置されている。またこの燃焼
室131には、吸気弁133を有する吸気ポート134
と、排気弁135を有する排気ポート136とが連通さ
れている。
【0046】その吸気ポート134は、対応するマニホ
ールド137を介してサージタンク138に連結され、
その各マニホールド137には、吸気ポート134内に
向けて燃料を噴射する燃料噴射弁139が取り付けられ
ている。またサージタンク138は、吸気ダクト140
およびエアフローメータ25を介してエアクリーナ14
1に連結され、吸気ダクト140内にスロットル弁23
が配置されている。
【0047】一方、排気ポート136は、排気マニホー
ルド142および排気管143を介してNOx 吸収剤1
44を内蔵したケーシング145に接続され、さらにそ
のケーシング145は排気管146を介して触媒コンバ
ータ147に連結されている。なお、この触媒コンバー
タ147は、三元触媒148を内蔵している。
【0048】このエンジン1を制御する電子制御装置2
1は、デジタルコンピュータからなり、双方向性バス1
49によって相互に接続されたROM(リードオンリー
メモリ)150、RAM(ランダムアクセスメモリ)1
51、CPU(マイクロプロセッサ)152、入力ポー
ト153および出力ポート154を備えている。エアフ
ローメータ25は吸入空気量に比例した出力電圧を発生
し、この出力電圧がAD変換器155を介して入力ポー
ト153に入力されるようになっている。また入力ポー
ト153にはエンジン回転数を表す出力パルスを発生す
る回転数センサ24が接続されている。一方、出力ポー
ト154は対応する駆動回路156,157を介してそ
れぞれ点火プラグ132および燃料噴射弁139に接続
されている。
【0049】上記のようにエンジン1は、燃料噴射弁1
39から燃料が供給されるよう構成されており、その燃
料噴射時間TAUは、 TAU=TP×Kt の式に基づいて算出される。ここでTPは基本燃料噴射
時間を表し、またKt は補正係数を表している。基本燃
料噴射時間TPはエンジン1のシリンダに供給される混
合気の空燃比を理論空燃比とするのに必要な燃料噴射時
間である。
【0050】この基本燃料噴射時間TPは予め実験によ
り求められ、1回転あたりの吸入空気量Q/N(Qは吸
入空気量、Nはエンジン回転数)で表されるエンジン負
荷およびエンジン回転数Nの関数として図7に示すよう
なマップの形で予めROM152内に記憶されている。
補正係数Kt はエンジン1内に供給される混合気の空燃
比を制御するための係数であって、Kt =1.0であれ
ば、シリンダ内に供給される混合気は理論空燃比とな
る。これに対してKt <1.0となれば、シリンダ内に
供給される混合気の空燃比は理論空燃比より大きくな
り、エンジン1はリーンバーン運転されることになる。
さらにKt >1.0になれば、シリンダ内に供給される
混合気の空燃比は理論空燃比よりも小さくなり、いわゆ
るリッチ状態となる。
【0051】図6に示すエンジンでは、通常、例えばK
t =0.7もしくは0.6程度に維持されており、した
がってリーンバーン運転が行われる。図8は、燃焼室1
31から排出される排気ガス中の代表的な成分の濃度を
概略的に示している。この図8から知られるように、燃
焼室131から排出される未燃焼のHC、COの濃度
は、燃焼室131に供給される混合気の空燃比がリッチ
になるほど増大し、燃焼室131から排出される排気ガ
ス中の酸素O2 の濃度は燃焼室131内に供給される混
合気の空燃比がリーンになるほど増大する。
【0052】ケーシング145内に収容されているNO
x 吸収剤144は、例えばアルミナを担体とし、この担
体上に例えばカリウムK、ナトリウムNa 、リチウムL
i 、セシウムCs のようなアルカリ金属、バリウムBa
、カルシウムCa のようなアルカリ土類、ランタンLa
、イットリウムYのような希土類から選ばれた少なく
とも一つと、白金Pt のような貴金属とが担持されてい
る。
【0053】吸気ダクトおよびNOx 吸収剤144の上
流の排気管路内に供給された空気と燃料との比を「NO
x 吸収剤144への流入排気ガスの空燃比」とすると、
このNOx 吸収剤144は、流入排気ガスの空燃比がリ
ーンのときにNOx 吸収し、流入排気ガス中の酸素濃度
が低下すると、吸収したNOx を放出するNOx の吸収
放出作用を行う。
【0054】なお、NOx 吸収剤144の上流の排気管
路内に燃料あるいは空気が供給されない場合には、流入
排気ガスの空燃比が燃焼室131内に供給される混合気
の空燃比に一致し、したがってこの場合には、NOx 吸
収剤144は燃焼室131内に供給される混合気の空燃
比がリーンの時にNOx を吸収し、燃焼室131内に供
給される混合気中の酸素濃度が低下すると、吸収したN
Ox を放出することになる。
【0055】前述したように図6に示すエンジンでは、
通常、シリンダ内に供給される混合気はリーン(例えば
Kt =0.7)に維持されており、このとき発生するN
Oxは、NOx 吸収剤144に吸収される。ところがリ
ーン混合気が燃焼されつづけると、NOx 吸収剤144
によるNOx 吸収能力が飽和してしまい、しばらくして
NOx 吸収剤144によりNOx を吸収できなくなって
しまう。そこでこの発明にかかる制御装置は、リーン混
合気が継続して燃焼されたときには図9に示すようにシ
リンダ内に供給される混合気を一時的にリッチ(Kt =
KK)に制御し、それによってNOx 吸収剤144に吸
収されたNOx をNOx 吸収剤144から放出させる。
すなわちリッチスパイクを実行する。
【0056】その場合、単にシリンダ内に供給される混
合気をリーン空燃比からリッチ空燃比に切り換えるとエ
ンジン出力トルクが変動するので、そのような事態が生
じないようにリーン空燃比とリッチ空燃比とが設定され
ている。すなわち図10に示すように、エンジン出力ト
ルクは出力空燃比(11.0〜12.0)を境として空
燃比がリーン側になるとエンジン出力トルクが低下し、
また空燃比がリッチ側になってもエンジン出力トルクは
低下する。
【0057】したがって図10に示すようにエンジン出
力トルクが等しくなるリーン空燃比(KL)とリッチ空
燃比(KK)とが存在することになる。そこで燃焼室1
31においてリーン混合気を燃焼すべきときには、その
ときの空燃比をリーン空燃比(KL)とし、燃焼室13
1内でリッチ混合気を燃焼すべきときにはその時の空燃
比をリッチ空燃比(KK)とするとともに点火時期をそ
れぞれの空燃比に対応した値に切り換えるようにしてい
る。このようにリーン空燃比およびリッチ空燃比を予め
定めると、リーン空燃比からリッチ空燃比に切り換えら
れたとき、およびリッチ空燃比からリーン空燃比に切り
換えられたときに、エンジン出力トルクの変動やショッ
クが抑制される。
【0058】なお、この実施例では、リーン空燃比(K
L)が予め例えばKt =0.7相当に設定されており、
したがってこのリーン空燃比を用いたときのエンジン出
力トルクと等しい出力トルクが得られるようにリッチ空
燃比(KK)が設定される。この場合、このリッチ空燃
比(KK)はエンジン負荷Q/Nとエンジン回転数Nと
の関数になり、このリッチ空燃比(KK)は図11に示
すようにエンジン負荷Q/Nおよびエンジン回転数Nの
関数の形で予めROM150に記憶されている。
【0059】なお、NOx 吸収剤144からのNOx の
放出作用は、一定量のNOx がNOx 吸収剤144に吸
収されたとき、例えばNOx 吸収剤144の吸収能力の
50%程度までNOx が吸収されたときに行われる。N
Ox 吸収剤144に吸収されるNOx の量はエンジンか
ら排出される排気ガスの量と排気ガス中のNOx 濃度に
比例し、この場合、排気ガス量は吸入空気量に比例し、
排気ガス中のNOx 濃度はエンジン負荷に比例するの
で、NOx 吸収剤144に吸収されるNOx 量は正確に
は吸入空気量とエンジン負荷との積の累積値から推定す
ることができるが、制御を単純にするためには、エンジ
ン回転数の累積値からNOx 吸収剤144に吸収されて
いるNOx 量を推定してもよい。
【0060】つぎに上記のエンジンにおけるリッチスパ
イクの制御について説明する。図12は、前記電子制御
装置21により一定時間毎に実行されるルーチンを示し
ている。先ず、ステップ1において基本燃料噴射時間T
Pに対する補正係数Kt が1.0よりも小さいか否か、
すなわちリーンバーン運転が行われているか否かが判別
される。Kt ≧1.0のとき、すなわちシリンダ内に供
給されている混合気が理論空燃比またはリッチ空燃比の
ときには特に制御を行うことなくこのルーチンから抜け
る。
【0061】これに対してKt <1.0のとき、すなわ
ちリーン混合気が燃焼されているときには、ステップ2
に進んで現在のエンジン回転数NEにΣNEを加算した
結果がΣNEとされる。したがってΣNEはエンジン回
転数NEの累積値を示している。ついでステップ3で
は、累積回転数ΣNEが一定値SNEよりも大きいか否
かが判別される。この一定値SNEはNOx 吸収剤14
4にそのNOx 吸収能力の例えば50%のNOx 量が吸
収されていると推定される累積回転数を示している。Σ
NE≦SNEのときにはリターンし、ΣNE>SNEの
とき、すなわちNOx 吸収剤144にそのNOx 吸収能
力の50%のNOx 量が吸収されていると推定されたと
きにはステップ4に進んでNOx 放出フラグがセットさ
れる。NOx 放出フラグがセットされると、後述するよ
うにシリンダ内に供給される混合気がリッチに切り換え
られるとともに、混合気の空燃比に応じて点火時期が遅
角される。
【0062】ついでステップ5では、カウント値Cが1
だけインクリメントされる。ついでステップ6ではカウ
ント値Cが一定値C0 よりも大きくなったか否か、すな
わち例えば0.5秒経過したか否かが判別される。C≦
C0 のときにはリターンし、C>C0 になると、ステッ
プ7に進んでNOx 放出フラグがリセットされる。NO
x 放出フラグがリセットされると、後述するようにシリ
ンダ内に供給される混合気がリッチからリーンに切り換
えられる。したがってシリンダ内に供給される混合気は
0.5秒の間、リッチに制御されることになる。ついで
ステップ8において累積回転数ΣNEおよびカウント値
Cがクリアされる。
【0063】図13は、燃料噴射時間TAUの算出ルー
チンを示しており、このルーチンはエンジン用電子制御
装置21により一定時間毎(またはクランク軸の一定回
転角度毎)に実行される。図13において、先ずステッ
プ10で図8に示すマップから基本燃料噴射時間TPが
算出される。ついでステップ11ではNOx 放出フラグ
がセットされているか否かが判別される。NOx 放出フ
ラグがセットされていないときにはステップ12,13
に進んで補正係数Kt が例えば0.7とされ、ついでス
テップ14に進む。ステップ14では燃料噴射時間TA
U(=TP×Kt )が算出される。このときにはシリン
ダ内に供給される混合気がリーンとされる。
【0064】一方、ステップ11においてNOx 放出フ
ラグがセットされたと判断されたときには、ステップ1
5に進んで図11に示す関係からKKが算出される。つ
いでステップ16では補正係数Kt の値がKKにされ、
ステップ14に進む。したがってこのときにはシリンダ
内に供給される混合気がリッチ空燃比とされる。
【0065】ところでエンジンなどの経年変化によって
実際の空燃比が制御した空燃比からずれることがある。
このような場合には、例えば空燃比センサ(図示せず)
を排気ポート136に設置し、検出された実際の空燃比
に基づいて制御値を補正することが好ましい。
【0066】さらに、リーン運転中に空燃比を一時的に
リッチ側に設定するリッチスパイクを行う場合、シリン
ダに供給される混合の空燃比を小さくしても燃焼室13
1内での混合気の空燃比が遅れて変化することがある。
これは、リーン運転中では吸気ポート134の壁面が乾
いた状態にあり、ここにリッチ空燃比の混合気を供給す
ると、混合気に含まれる燃料の一部が吸気ポートの壁面
に付着し、その分、シリンダ内での混合気中の燃料の量
が少なくなることに起因している。
【0067】したがってリッチスパイクの制御開始時点
に遅れて燃焼室131内の空燃比が小さくなる。そのた
めリッチスパイクの制御開始と同時に点火時期を変更す
ると、過渡的に空燃比と点火時期とが不適合状態とな
り、エンジン出力トルクの変動が大きくなることが考え
られる。このような事態を未然に回避するために、空燃
比をリーンからリッチに変更し、あるいはリッチからリ
ーンに変更する場合に、点火時期を空燃比の変更に遅ら
せて変更し、あるいは点火時期を徐々に変更することが
好ましい。あるいは空燃比をリーンからリッチに変更す
る場合に、壁面への燃料の付着を補うように制御開始時
に燃料噴射量を増大させ、またリッチからリーンに変更
する場合、壁面からの燃料の離脱によるリッチ化を補う
ように制御開始時に燃料噴射量を減少させことが好まし
い。これらの空燃比を切り換える場合の過渡的な制御
は、特開平6−193487号公報に具体的に記載され
ている。
【0068】上記のようにNOx 吸収剤144からのN
Ox の放出のために空燃比をリッチ化するリッチスパイ
クを実行した場合、点火時期の遅角制御などによってエ
ンジントルクの変動を抑制するが、エンジントルクの変
動を完全になくすることは実際には困難である可能性が
ある。一方、前述した自動変速機3は、変速時の摩擦係
合装置の油圧を入力トルク基づいて制御しており、した
がってリッチスパイクに伴うエンジントルクの変動が自
動変速機3での変速制御に影響を及ぼす。そこでこの発
明の制御装置は、前述したエンジン回転数の累積値に基
づいたNOx 放出のためのリッチスパイクのタイミング
を、変速のタイミングに基づいて強制的に変更する。図
14は、その制御ルーチンの一例を示すフローチャート
であって、入力信号の処理(ステップ20)を行った後
に、リーンバーン状態か否かの判断を行う(ステップ2
1)。これは、前述した図12におけるステップ1と同
様な判断ステップであり、燃料噴射時間の補正係数Kt
が“1.0”より小さい値に設定されているか否かによ
って判断することができる。リーンバーン状態でなけれ
ば、特に制御を行うことなくこのルーチンから抜け、ま
たリーンバーン状態であれば変速の発生が予測されてい
るか否かを判断する(ステップ22)。なお、このステ
ップ22がこの発明における変速を予測する手段に相当
する。
【0069】上述した自動変速機3では、車速Vやスロ
ットル開度θなどによって定まる走行状態が、予め記憶
してある変速線図(変速マップ)における変速線を横切
るように変化することに基づいて変速が判断される。例
えば第2速から第3速へのアップシフトは、図15の
(A)に示すように、車速Vの増大に伴って走行状態が
アップシフト線を横切ってA点からB点に変化すること
によって生じる。また例えばアクセルペダル20を踏み
込むことによる第3速から第2速へのダウンシフトは、
図15の(B)に示すように、スロットル開度θの増大
に伴って走行状態がダウンシフト線を横切ってC点から
D点に変化することによって生じる。したがって変速の
予測は、これら車速Vやスロットル開度θなどの走行状
態を示すパラメータの変化量もしくは変化率に基づいて
行うことができる。
【0070】ステップ22で変速の発生が予測された場
合、その予測の前の所定時間TA の間に前述したリッチ
スパイクが既に実行されたか否かを判断する(ステップ
23)。これは、予測された変速中あるいはそれに続く
多重変速中にリッチスパイクが実行されるか否かを判断
するものである。すなわちリッチスパイクは、NOx吸
収剤からNOx を放出させて吸収能力を回復させるため
の空燃比のリッチ化であり、一旦実施した後は、NOx
吸収剤の吸収能力が所定の値に低下するまで実施する必
要はないから、TA 秒前にリッチスパイクが実施された
場合には、ある程度の時間は再度リッチスパイクが実施
されないことになる。したがって変速予測の前のTA 秒
の間にリッチスパイクが実施されていない場合、すなわ
ちステップ23で否定判断された場合には、予測された
変速中に、NOx 吸収剤の吸収能力の飽和(例えば50
%程度の飽和)に基づくリッチスパイクが実行される可
能性がある。そこでステップ23で否定判断された場合
には、NOx 放出フラグをセットする(ステップ2
4)。
【0071】なお、ステップ23は、実質上、通常時に
累積エンジン回転数などに基づいて所定期間ごとに実施
されているリッチスパイクが、予測された変速中に行わ
れる可能性を判断するステップであり、したがってその
判断の仕方は、上記のタイマTA によらずに、他の方法
であってもよい。例えば図14に併せて記載してあるよ
うに、エンジン回転数の累積値ΣNEが前記判断基準と
なる一定値SNEより小さい基準値A(=SNE−β、
βは一定値)を越えたか否かによって判断することもで
きる(ステップ23’)。また前記の判断基準となる時
間TA や判断基準となる回転数の累積値Aは、エンジン
回転数Nと吸気管負圧PMや吸入空気量GNとなどに基
づいて変えてもよい。
【0072】ステップ24におけるNOx 放出フラグの
セットは、図12に示すステップ4と同様の制御であ
り、これに基づいて図13に示す制御による空燃比のリ
ッチ化が行われる。その場合、先ず、ロックアップクラ
ッチ8のトルク容量の低下制御が実行される(ステップ
25)。具体的には、ロックアップクラッチ8を解放さ
せ、あるいはロックアップクラッチ8を係合させる油圧
を低下させていわゆるスリップ制御する。エンジントル
クの変動をトルクコンバータによって吸収させるためで
ある。ついでリッチスパイクの開始指令を出力する(ス
テップ26)。またタイマ(図示せず)をスタートさせ
る。なお、このステップ26がこの発明において変速予
測に基づく空燃比のリッチ化の手段に相当する。
【0073】このようにして実施される空燃比の一時的
なリッチ化は、変速中でのリッチスパイクを回避するた
めのものであるから、その実行継続時間(処理時間)T
R は、通常のリッチスパイクの時間TS より短くてもよ
く、むしろ短いことが好ましい。またその処理時間TR
は、車速Vやスロットル開度θあるいは変速のパターン
によって変えてもよく、その場合、図16に示すよう
に、予めマップ化して保持しておくことが好ましい。
【0074】さらに空燃比のリッチ化の処理時間を短く
した場合には、NOx 吸収剤144からのNOx の放
量を増大させるために、燃料噴射量を増量補正してもよ
い。そして通常のリッチスパイクに伴って実施する点火
時期の遅角制御は、上述した変速の予測に基づくリッチ
スパイクの際には実行しない。
【0075】リッチスパイクの開始を指令した後に変速
判断が発生したか否かを判断する(ステップ27)。こ
の判断は、図15に示すように走行状態が変化すること
に伴って変速用電子制御装置33によって判断される。
このステップ27で否定判断された場合には、リッチス
パイクの開始からの経過時間Tが、その実行継続時間T
R に達したか否かを判断する(ステップ28)。ステッ
プ28で否定判断された場合にはステップ27に戻り、
また肯定判断された場合には、処理時間の経過によって
リッチスパイクを終了する(ステップ29)。なお、リ
ッチスパイクの開始の後に変速判断が発生してステップ
27で肯定判断された場合には、直ちにステップ29に
進んでリッチスパイクの制御を終了させる。
【0076】このようにしてリッチスパイクを終了した
場合には、前述した図12に示す制御におけるステップ
7と同様に、NOx 放出フラグをリセットする。また累
積回転数ΣNEおよび前記カウント値Cを修正する(ス
テップ30)。すなわちステップ26で実行されるリッ
チスパイクはその処理時間が通常のリッチスパイクより
短く、また燃料噴射量が補正されるなど、通常のリッチ
スパイクとは異なっているので、累積回転数ΣNEを減
少補正(ΣNE−N1 )し、またカウント値Cを減少補
正(C−C1 )する。その場合、これらの補正値N1 ,
C1 はリッチスパイクの処理時間TR に応じて変更す
る。具体的には、処理時間TR が長いほど、大きい値に
する。
【0077】なお、変速の予測が成立しないためにステ
ップ22で否定判断された場合には、エンジン1の累積
回転数ΣNEなどに基づく通常のリッチスパイクの制御
を実行する(ステップ31)。また変速予測の成立した
時点より前のTA 秒間にリッチスパイクが実行されてい
てステップ23で肯定判断された場合には、変速中にリ
ッチスパイクが実行される可能性が低いので、ステップ
31に進んで通常のリッチスパイクの制御を実行する。
【0078】上述した変速の予測に基づくリッチスパイ
クを第2速から第3速へのアップシフトの際に実行した
例をタイムチャートで示すと、図17のとおりである。
第2速での走行中に車速が増大すると、その変化量や変
化率などに基づいて第3速へのアップシフトが予測され
る(t0 時点)。このt0 時点の前のTA 秒の間にリッ
チスパイクが実行されていない場合には、変速予測の成
立したt0 時点の後にリッチスパイクが開始される(t
1 時点)。これと同時もしくは直前にロックアップクラ
ッチ8の係合圧が低下させられてスリップ状態に設定さ
れ、あるいはスリップ状態となるまで係合圧が次第に低
下させられる(スイープ制御)。
【0079】予め設定した処理時間TR の間、リッチス
パイクが継続され、その終了とほぼ同時に第2速から第
3速へのアップシフトが判断される(t2 時点)。その
後の一定時間後(t3 時点)に変速出力が行われるとと
もに、ロックアップクラッチ8が解放させられ、同時に
第3ブレーキB3 の係合圧PB3が低下させられる。第3
ブレーキB3 がトルク容量を保持している状態で第2ブ
レーキB2 に油圧が供給されてその係合圧PB2が所定の
圧力に設定される。ついで第2ブレーキB2 の係合圧P
B2を増大させるとともに第3ブレーキB3 の係合圧PB3
を低下させ変速を進行させ、変速を終了する(t4 時
点)。その後にロックアップクラッチ8の係合圧を高く
してロックアップ・オン状態とする。
【0080】したがって上述した制御では、変速と通常
のリッチスパイクとが重なることが予想される場合に
は、変速の予測によってリッチスパイクを強制的に実行
するので、変速時にリッチスパイクが実行されることが
事前に回避される。そのため自動変速機3での変速が入
力トルク(エンジントルク)の安定した状態で実行さ
れ、その結果、変速に関与する摩擦係合装置の油圧を適
正に制御して変速ショックの悪化や摩擦係合装置の耐久
性の低下などを防止することができる。
【0081】上述した例は、変速を予測してその予測さ
れた変速と時間的に重ならないようにリッチスパイクの
タイミングをずらすものであるが、リッチスパイクのタ
イミングを変速に基づいて変更するにあたって変速を予
測しなくてもよい場合があり、その例を次に説明する。
図18はその制御ルーチンを示しており、入力信号の処
理(ステップ40)およびリーンバーン状態の有無の判
断(ステップ41)を、前述した図14に示す制御と同
様に行う。そしてリーンバーン状態であれば、変速判断
が成立したか否かを判断する(ステップ42)。この変
速判断は、車速Vやスロットル開度θなどの変化に起因
する変速線図に基づいた変速判断およびシフトレバー3
1をマニュアル操作することに伴う変速の判断を含む。
なお、このステップ42がこの発明で変速を判断する手
段に相当する。
【0082】変速判断があった場合には、その時点より
所定時間TA 秒前の間にリッチスパイクが実行されたか
否かを判断する(ステップ43)。これは、前述した図
14に示すステップ23の判断ステップと同様であっ
て、変速判断に基づく変速と所定期間のサイクルで繰り
返されるリッチスパイクとが重なるか否かの判断であ
り、したがって図14に示す制御と同様に、エンジン回
転数の累積値ΣNEが所定の基準値A(=SNE−β、
βは一定値)を越えたか否かの判断ステップ(ステップ
43’)に変更することもできる。
【0083】ステップ43で否定判断された場合には、
直前のリッチスパイクからある程度長い時間が経過して
いることになり、所定期間ごとのリッチスパイクが実行
される可能性が高いので、強制的にNOx 放出フラグを
セットする(ステップ44)。これは図14に示す制御
におけるステップ24と同様であり、これに基づいてリ
ッチスパイクを実行できる状態になる。また図14にお
けるステップ25と同様に、NOx 放出フラグをセット
した後に、ロックアップクラッチ8のスリップ制御もし
くはそのトルク容量のスイープダウンを実行する(ステ
ップ45)。
【0084】そして変速判断の成立と同時もしくはその
直後に、直ちにリッチスパイクを実行する(ステップ4
6)。なお、このステップ46がこの発明で変速判断に
基づく空燃比のリッチ化の手段に相当する。すなわち通
常の自動変速機では、変速判断が成立した場合、直ちに
変速を指令せずに、変速判断の確認や他の変速判断の成
立の有無の確認などのために所定時間のインターバルを
取っている。したがって変速の判断の後であっても強制
的なリッチスパイクを行うことができる。
【0085】そのためここで許容されるリッチスパイク
の実行継続時間(処理時間)TR は、その変速判断から
変速出力までのインターバルの間あるいは遅くとも判断
された変速のトルク相の開始までの間である。またその
処理時間TR は、前述した図14に示す制御の場合と同
様に、通常のリッチスパイクの時間TS より短くてもよ
く、むしろ短いことが好ましく、さらに車速Vやスロッ
トル開度θあるいは変速のパターンによって変えてもよ
い。そして通常のリッチスパイクの際に実施される点火
時期の遅角制御は、ステップ46での強制的なリッチス
パイクの際には実行しない。
【0086】このようにしてリッチスパイクを実行した
後にいわゆる終了処理としてNOx放出フラグのリセッ
ト、およびエンジン1の累積回転数ΣNEとカウント値
Cとの減算処理を行う(ステップ47)。これは、図1
4に示すステップ30と同様である。
【0087】さらに変速判断が成立していないことによ
りステップ42で否定判断された場合には、エンジン1
の累積回転数ΣNEなどに基づく通常のリッチスパイク
を実施する(ステップ48)。また変速判断の前の前記
判断基準の時間TA の間に通常のリッチスパイクが実行
されていたことによりステップ43で肯定判断された場
合には、変速中に通常のリッチスパイクが実施される可
能性が低いので、ステップ48に進んで通常のリッチス
パイクを実行する。
【0088】上述した変速の予測に基づくリッチスパイ
クを第2速から第3速へのアップシフトの際に実行した
例をタイムチャートで示すと、図19のとおりである。
第2速での走行中に車速が増大し、走行状態が第3速へ
のアップシフト線を横切って変化すると、第3速へのア
ップシフトが判断される(t10時点)。このt10時点の
前のTA 秒の間にリッチスパイクが実行されていない場
合には、直ちに強制的にリッチスパイクが実行され、ま
たロックアップクラッチ8のトルク容量を低下させる制
御が実行される。TR 秒後のt11時点にリッチスパイク
が終了し、その後のt12時点に第3速への変速出力が行
われる。それ以降の制御内容は、図17を参照して説明
した前述の制御例と同様である。
【0089】したがって上述した制御では、変速と通常
のリッチスパイクとが重なることが予想される場合に
は、変速の判断と変速出力との間で強制的にリッチスパ
イクを実行するので、変速時にリッチスパイクが実行さ
れることが事前に回避される。そのため自動変速機3で
の変速が入力トルク(エンジントルク)の安定した状態
で実行され、その結果、変速に関与する摩擦係合装置の
油圧を適正に制御して変速ショックの悪化や摩擦係合装
置の耐久性の低下などを防止することができる。
【0090】なお、この発明で対象とする自動変速機
は、図1に示すギヤトレイン以外のギヤトレインあるい
は図5に示す油圧回路以外の油圧回路を有するものであ
ってもよい。
【0091】
【発明の効果】以上説明したように請求項1もしくは4
ないし10に記載した発明では、自動変速機で変速が実
行されることが予測された場合に、空燃比を一時的にリ
ッチにする制御をその予測に基いて実行するので、エン
ジンの累積回転数などに基づいて所定期間ごとに実施さ
れる空燃比のリッチ化が、変速中に生じることが回避さ
れ、したがって自動変速機での変速を入力トルクが安定
している状態で実行できるので、変速ショックの悪化や
摩擦係合装置の耐久性の低下などを未然に防止すること
ができる。
【0092】また請求項2もしくは11の発明によれ
ば、自動変速機の変速の予測に基づいた強制的な空燃比
のリッチ化が、短時間の間に実行されかつ終了するの
で、変速の実行に近い時点で空燃比のリッチ化を行うこ
とが可能になり、所定期間ごとに実行される通常のリッ
チ化と変速との時間的な重なりを、より確実に防止で
き、また強制的なリッチ化の制御が容易になる。
【0093】さらに請求項3もしくは9あるいは10に
記載した発明によれば、変速判断以降で変速開始前に強
制的に空燃比のリッチ化を行うので、判断された変速の
時点で空燃比のリッチ化が生じることがなく、したがっ
て自動変速機での変速を入力トルクが安定している状態
で実行できるので、変速ショックの悪化や摩擦係合装置
の耐久性の低下などを未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明で対象とする自動変速機のギヤトレイ
ンの一例を示すスケルトン図である。
【図2】その自動変速機で各変速段を設定するための摩
擦係合装置の係合作動表を示す図である。
【図3】そのエンジンおよび自動変速機についての制御
系統図である。
【図4】シフト装置における各レンジ位置の配列を示す
図である。
【図5】クラッチ・ツウ・クラッチ変速である第2速と
第3速との間の変速を実行する第2および第3のブレー
キの油圧を制御するための油圧回路の一部を示す図であ
る。
【図6】この発明で対象とするエンジンの吸排気系統お
よび空燃比の制御系統を模式的に示す図である。
【図7】基本燃料噴射時間のマップを示す図である。
【図8】エンジンから排出される排気ガス中の未燃焼H
C、COおよび酸素の濃度を概略的に示す線図である。
【図9】リッチスパイク時の空燃比を説明するための図
である。
【図10】エンジントルクと空燃比との関係を説明する
ための図である。
【図11】補正係数KKのマップを示す図である。
【図12】NOx 吸収剤からのNOx の放出制御の一例
を示すフローチャートである。
【図13】燃料噴射量制御の一例を示すフローチャート
である。
【図14】変速の予測に基づいて強制的にリッチスパイ
クを行う制御ルーチンの一例を示すフローチャートであ
る。
【図15】アップシフトおよびダウンシフトを説明する
ための変速線図である。
【図16】リッチスパイクの実行継続時間のマップの一
例を示す図である。
【図17】図14に示す制御を行った場合のエンジン回
転数、空燃比、出力トルク、ロックアップクラッチなら
びに二つのブレーキの係合圧の変化を示すタイムチャー
トである。
【図18】変速判断に基づいて強制的にリッチスパイク
を行う制御ルーチンの一例を示すフローチャートであ
る。
【図19】図18に示す制御を行った場合のエンジン回
転数、空燃比、出力トルク、ロックアップクラッチなら
びに二つのブレーキの係合圧の変化を示すタイムチャー
トである。
【符号の説明】
1 エンジン 3 自動変速機 21 エンジン用電子制御装置 33 変速用電子制御装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−166901(JP,A) 特開 昭63−176635(JP,A) 特開 昭62−253930(JP,A) 特開 平9−166212(JP,A) 特開 平8−296472(JP,A) 特開 平9−137738(JP,A) 特開 平9−144580(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F02D 41/04 305 F02D 29/00

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 空燃比をリーンにしたリーンバーン運転
    中の所定期間ごとに一時的に空燃比をリッチ化する内燃
    機関に、走行状態に基づいて変速を実行する自動変速機
    が連結された車両における自動変速機付内燃機関の制御
    装置において、前記自動変速機での変速を予測する手段
    と、該手段による変速の予測に基づきその予測された変
    速の以前に空燃比の一時的なリッチ化を実行する手段と
    を備えていることを特徴とする自動変速機付内燃機関の
    制御装置。
  2. 【請求項2】 前記変速の予測に基づいて実行される空
    燃比のリッチ化の処理時間が、前記変速の予測に基づか
    ない前記所定期間ごとの空燃比のリッチ化の処理時間よ
    り短く設定されることを特徴とする請求項1に記載の自
    動変速機付内燃機関の制御装置。
  3. 【請求項3】 空燃比をリーンにしたリーンバーン運転
    中の所定期間ごとに一時的に空燃比をリッチ化する内燃
    機関に、走行状態に基づいて変速を判断するとともにそ
    の変速の判断の成立から所定の時間間隔をあけて変速を
    実行する自動変速機が連結された車両における自動変速
    機付内燃機関の制御装置において、前記自動変速機での
    変速を判断する手段と、該手段による変速判断に基づき
    かつその変速判断の成立から前記所定の時間間隔の間に
    空燃比の一時的なリッチ化を実行する手段とを備えてい
    ることを特徴とする自動変速機付内燃機関の制御装置。
  4. 【請求項4】 前記変速を予測する手段が、車速やスロ
    ットル開度などの走行状態を示すパラメータの変化量も
    しくは変化率に基づいて変速を予測するように構成され
    ていることを特徴とする請求項1に記載の自動変速機付
    内燃機関の制御装置。
  5. 【請求項5】 前記変速の発生の予測の前の所定時間の
    間に空燃比がリッチ化された場合に、前記空燃比の一時
    的なリッチ化が実行されないように構成されていること
    を特徴とする請求項1に記載の自動変速機付内燃機関の
    制御装置。
  6. 【請求項6】 前記変速の発生の予測の前における前記
    内燃機関の累積回転数が予め定めた基準値より小さい場
    合に、前記空燃比の一時的なリッチ化が実行されないよ
    うに構成されていることを特徴とする請求項1に記載の
    自動変速機付内燃機関の制御装置。
  7. 【請求項7】 前記所定時間が、内燃機関の回転数もし
    くは吸気管負圧あるいは吸入空気量に基づいて変更され
    るように構成されていることを特徴とする請求項5に記
    載の自動変速機付内燃機関の制御装置。
  8. 【請求項8】 前記基準値が、内燃機関の回転数もしく
    は吸気管負圧あるいは吸入空気量に基づいて変更される
    ように構成されていることを特徴とする請求項6に記載
    の自動変速機付内燃機関の制御装置。
  9. 【請求項9】 前記空燃比の一時的なリッチ化を実行す
    る前にロックアップクラッチのトルク容量を低下させる
    手段を更に備えていることを特徴とする請求項1もしく
    は3に記載の自動変速機付内燃機関の制御装置。
  10. 【請求項10】 前記空燃比の一時的なリッチ化を実行
    するときは点火時期の遅角制御を実行させない手段を更
    に備えていることを特徴とする請求項1もしくは3に記
    載の自動変速機付内燃機関の制御装置。
  11. 【請求項11】 空燃比のリッチ化の処理時間が短くさ
    れた場合に燃料の増量補正をおこなう手段を更に備えて
    いることを特徴とする請求項2に記載の自動変速機付内
    燃機関の制御装置。
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