JPH09137738A - エンジンおよび自動変速機の制御装置 - Google Patents

エンジンおよび自動変速機の制御装置

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JPH09137738A
JPH09137738A JP7322290A JP32229095A JPH09137738A JP H09137738 A JPH09137738 A JP H09137738A JP 7322290 A JP7322290 A JP 7322290A JP 32229095 A JP32229095 A JP 32229095A JP H09137738 A JPH09137738 A JP H09137738A
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JP
Japan
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engine
air
fuel ratio
rich spike
nox
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Application number
JP7322290A
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English (en)
Inventor
Atsushi Tabata
淳 田端
Masato Kaikawa
正人 甲斐川
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Publication date
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  • Control Of Transmission Device (AREA)
  • Control Of Driving Devices And Active Controlling Of Vehicle (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 リッチスパイクを実行することによるトルク
変動に起因したトルクと摩擦係合装置の油圧との不適合
を防止する。 【解決手段】 空燃比を大きくしたリーンバーン運転中
の所定の時期に空燃比を一時的に減少させるリッチスパ
イクを実行して排気通路中のNOx 吸収剤からNOx を
放出させるエンジンに、変速時の摩擦係合装置の油圧
を、検出されたエンジントルクに基づいて設定する自動
変速機が連結されたエンジンおよび自動変速機の制御装
置において、前記エンジントルクを検出中に前記空燃比
を一時的に増大させるリッチスパイクを禁止する手段
(ステップ106)を備えている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、車両における自
動変速機およびこれを連結してあるエンジンを制御する
ための装置に関し、特に空燃比を大きくしたリーンバー
ン運転中に、NOx 吸収剤からNOx を放出させるため
に、一時的に空燃比を低下させるリッチスパイクを実行
するエンジンおよびこれに連結された自動変速機を制御
するための装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】最近では、車両の燃費を更に向上させる
ために、理論空燃比より大きい空燃比でエンジンを運転
するリーンバーン制御を実行する車両が開発され、実用
に供されるようになってきている。リーンバーン運転で
は、排気ガス中の未燃焼炭化水素(HC)や一酸化炭素
(CO)などの排出量が減少するが、排気ガス中に含ま
れる酸素濃度が高くなることに伴って、排気経路中に設
けてあるNOx 吸収剤によるNOx の吸収が促進され
る。このNOx 吸収剤は、硝酸の形でNOx を吸着する
ものであるが、その容量には限度があるから、リーンバ
ーン運転中に吸収したNOx を放出させている。
【0003】その一例が特開平6−108824号公報
に記載されており、この公報に記載された発明では、エ
ンジン回転数の累積値が所定の値に達した時点に、空燃
比を0.5秒程度の短時間の間、リッチ側に制御してい
る。いわゆるリッチスパイク制御であり、このような制
御を行うことにより、NOx 吸収剤に対する流入ガス中
の酸素濃度が下がるので、NOx 吸収剤からNOx が放
出され、再度、NOx吸収剤がNOx を吸収できる状態
になる。
【0004】上述した0.5秒程度の短時間であっても
空燃比をリッチ側に制御すれば、燃料供給量(燃料噴射
量)が増大するために、エンジン出力が一時的に増大す
る。エンジン出力の増大は、当然、駆動量の増大として
現れるので、ショックの原因となり、そこで上述した公
報に記載されている発明では、リッチスパイクと併せて
点火時期の遅角制御を行い、リッチスパイクによるエン
ジントルクの増大分を、点火時期の遅角制御によるエン
ジントルクの低下分で相殺して、駆動トルクの実質的な
変動を防止するようにしている。
【0005】エンジントルクの変動がそのまま出力トル
クとして現れた場合には、上述したようにショックの原
因となるが、エンジントルクの変動がそのまま現れなく
てもショックを生じさせることがある。すなわち、車両
においては、エンジンなどの駆動源に続けて変速装置を
配置してあり、変速装置での変速比の変更に伴ってトル
クが変動する。自動変速機での変速は、クラッチやブレ
ーキなどの摩擦係合装置の係合・解放状態の切り換えに
よって実行されるので、その摩擦係合装置の油圧が、摩
擦係合装置にかかるトルクに対して不適切であれば、変
速のタイミングにずれが生じ、結局、これがショックの
原因となる。そのため従来一般には、自動変速機の摩擦
係合装置の油圧を、エンジントルクに基づいて制御して
いる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前述した公報に記載さ
れている従来の装置では、エンジントルクの変動を抑制
するために、リーンバーン運転中のリッチスパイクと併
せて点火時期の遅角制御を実行している。しかしなが
ら、リッチスパイクによるエンジントルクの増大量と点
火時期の遅角制御によるエンジントルクの減少量とは、
エンジンの暖気状態やエンジンあるいは制御機器の個体
差などの要因によって必ずしも同一とはならない場合が
あり、そのような場合には、リッチスパイクによってエ
ンジントルクが変動する。このようなトルクの変動は、
適正な制御を行い得なかったことに起因して生じるの
で、そのトルク変動量を正確に知ることができない。
【0007】したがって上述したリッチスパイクに伴う
エンジントルクの変動と自動変速機での例えば変速とが
時間的に重なった場合には、エンジントルクを正確に知
ることができないために、変速に関与する摩擦係合装置
の油圧が、エンジントルク(より正確には、自動変速機
への入力トルク)に対して不適切な圧力になってしま
い、その結果、変速ショックが悪化したり、摩擦係合装
置の滑りによってその耐久性が低下したりする不都合が
あった。特に二つの摩擦係合装置を同時に切り換えて実
行するクラッチ・ツウ・クラッチ変速の場合には、少な
くとも一方の摩擦係合装置の油圧を入力トルクおよび変
速の情況に応じて制御する必要があるので、実際のエン
ジントルクもしくはそれに基づく入力トルクを正確に検
出できない場合には、変速ショックが大きくなる可能性
が多分にあった。
【0008】この発明は、上記の事情を背景としてなさ
れたものであり、リーンバーン運転中のリッチスパイク
制御に起因する変速ショックを防止することのできる制
御装置を提供することを目的とするものである。
【0009】そしてこの発明は、摩擦係合装置の油圧と
エンジントルクとの不適合の原因となるリッチスパイク
制御を、エンジントルクの検出中には実行しないことに
より、あるいはリッチスパイクによるトルク変動分を補
正することにより、上記の目的を達成するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段およびその作用】上記の目
的を達成するために、請求項1に記載した発明は、空燃
比を大きくしたリーンバーン運転中の所定の時期に空燃
比を一時的に減少させるリッチスパイクを実行して排気
通路中のNOx 吸収剤からNOx を放出させるエンジン
に、変速時の摩擦係合装置の油圧を、検出されたエンジ
ントルクに基づいて設定する自動変速機が連結されたエ
ンジンおよび自動変速機の制御装置において、前記エン
ジントルクを検出中に前記空燃比を一時的に増大させる
リッチスパイクを禁止する手段を備えていることを特徴
とするものである。
【0011】したがってエンジン回転数や吸入空気量あ
るいは吸気管負圧などに基づいて検出されたエンジント
ルクを変動させる要因が皆無もしくは少なくなる。その
ためその検出されたエンジントルクに基づいて設定した
油圧、すなわち検出したエンジントルクから摩擦損失ト
ルクや補機の駆動のためのトルクなどを減じたトルクさ
らにはトルクコンバータの動作状態で補正したトルクな
どを考慮して決定された油圧は、実際のエンジントルク
に適合したものとなり、変速ショックや摩擦係合装置の
過剰な滑りなどが生じない。
【0012】また請求項2の発明では、前記リッチスパ
イクの禁止の有無に応じてリッチスパイクの制御量を変
更する手段を備えている。
【0013】したがってクッチスパイクが禁止されるこ
とによってNOx 吸収剤のNOx 吸収量が多くなってい
る場合には、リッチスパイクの時間や空燃比の低下量な
どの制御量が多くなり、NOx 放出量が増大される。そ
の結果、NOx 吸収剤の飽和度合いが減じられ、通常ど
おりのNOx の吸収除去を行うことができる。
【0014】さらに請求項3に記載した発明は、空燃比
を大きくしたリーンバーン運転中の所定の時期に空燃比
を一時的に減少させるリッチスパイクを実行して排気通
路中のNOx 吸収剤からNOx を放出させるエンジン
に、変速時の摩擦係合装置の油圧を、検出されたエンジ
ントルクに基づいて設定する自動変速機が連結されたエ
ンジンおよび自動変速機の制御装置において、前記油圧
を設定するべく検出された前記エンジントルクを、前記
リッチスパイクを実行することによるエンジントルクの
変動量に応じて補正する手段を備えていることを特徴と
するものである。
【0015】この請求項3の発明におけるリッチスパイ
クの実行によるエンジントルクの変動量は、リッチスパ
イクのみに起因するエンジントルクの変動量だけでな
く、リッチスパイクと点火時期の遅角制御などの他のエ
ンジントルク制御とによる総合的なエンジントルクの変
動量をも含んでおり、したがってこの発明においては、
スロットル開度や吸入空気量などから検出したエンジン
トルクを、これらのエンジントルク変動量によって補正
するので、得られたエンジントルク値と実際のエンジン
トルクとの乖離幅が小さくなる。そのためこのようにし
て得られたエンジントルクに基づいて設定された油圧
は、自動変速機に入力されるトルクに適合したものとな
り、変速ショックや摩擦係合装置の滑りなどによる耐久
性の低下が防止される。
【0016】
【発明の実施の形態】つぎにこの発明を図面に基づいて
より具体的に説明する。この発明で対象とする自動変速
機は、入力トルクに応じて摩擦係合装置の油圧(係合圧
や解放圧)を制御するように構成され、またその自動変
速機が連結されたエンジンは、空燃比を理論空燃比より
大きい値に設定するリーンバーン運転が行われ、かつそ
のリーンバーン運転中の所定時期に空燃比を一時的に増
大させるリッチスパイクが実行されるエンジンである。
そこで先ず、その自動変速機の一例について図1を参照
して説明する。
【0017】図1において、エンジン1にトルクコンバ
ータ2を介して自動変速機3が連結されている。このト
ルクコンバータ2は、エンジン1のクランク軸4に連結
されたポンプインペラ5と、自動変速機3の入力軸6に
連結されたタービンランナー7と、これらポンプインペ
ラ5およびタービンランナー7の間を直結するロックア
ップクラッチ8と、一方向クラッチ9によって一方向の
回転が阻止されているステータ10とを備えている。
【0018】上記自動変速機3は、ハイおよびローの2
段の切り換えを行う副変速部11と、後進ギヤ段および
前進4段の切り換えが可能な主変速部12とを備えてい
る。副変速部11は、サンギヤS0 、リングギヤR0 、
およびキャリヤK0 に回転可能に支持されてそれらサン
ギヤS0 およびリングギヤR0 に噛み合わされているピ
ニオンP0 から成るHL遊星歯車装置13と、サンギヤ
S0 とキャリヤK0 との間に設けられたクラッチC0 お
よび一方向クラッチF0 と、サンギヤS0 とハウジング
19との間に設けられたブレーキB0 とを備えている。
【0019】主変速部12は、サンギヤS1 、リングギ
ヤR1 、およびキャリヤK1 に回転可能に支持されてそ
れらサンギヤS1 およびリングギヤR1 に噛み合わされ
ているピニオンP1 から成る第1遊星歯車装置14と、
サンギヤS2 、リングギヤR2 、およびキャリヤK2 に
回転可能に支持されてそれらサンギヤS2 およびリング
ギヤR2 に噛み合わされているピニオンP2 から成る第
2遊星歯車装置15と、サンギヤS3 、リングギヤR3
、およびキャリヤK3 に回転可能に支持されてそれら
サンギヤS3 およびリングギヤR3 に噛み合わされてい
るピニオンP3 から成る第3遊星歯車装置16とを備え
ている。
【0020】上記サンギヤS1 とサンギヤS2 とは互い
に一体的に連結され、リングギヤR1 とキャリヤK2 と
キャリヤK3 とが一体的に連結され、そのキャリヤK3
は出力軸17に連結されている。また、リングギヤR2
がサンギヤS3 に一体的に連結されている。そして、リ
ングギヤR2 およびサンギヤS3 と中間軸18との間に
第1クラッチC1 が設けられ、サンギヤS1 およびサン
ギヤS2 と中間軸18との間に第2クラッチC2 が設け
られている。
【0021】またブレーキ手段として、サンギヤS1 お
よびサンギヤS2 の回転を止めるためのバンド形式の第
1ブレーキB1 がハウジング19に設けられている。ま
た、サンギヤS1 およびサンギヤS2 とハウジング19
との間には、第1一方向クラッチF1 およびブレーキB
2 が直列に設けられている。この第1一方向クラッチF
1 は、サンギヤS1 およびサンギヤS2 が入力軸6と反
対の方向へ逆回転しようとする際に係合させられるよう
に構成されている。
【0022】キャリヤK1 とハウジング19との間には
第3ブレーキB3 が設けられており、リングギヤR3 と
ハウジング19との間には、第4ブレーキB4 と第2一
方向クラッチF2 とが並列に設けられている。この第2
一方向クラッチF2 は、リングギヤR3 が逆回転しよう
とする際に係合させられるように構成されている。上記
クラッチC0 ,C1 ,C2 、ブレーキB0 ,B1 ,B2
,B3 ,B4 は、油圧が作用されることにより摩擦材
が係合させられる油圧式摩擦係合装置である。
【0023】上記の自動変速機では、前進5段と後進段
とを設定することができ、これらの変速段を設定するた
めの各摩擦係合装置の係合・解放の状態を図2の係合作
動表に示してある。なお、図2において○印は係合状
態、×印は解放状態をそれぞれ示す。
【0024】図3は、エンジン1および自動変速機3に
ついての制御系統図を示しており、アクセルペダル20
の踏み込み量に応じた信号がエンジン用電子制御装置2
1に入力されている。またエンジン1の吸気ダクトに
は、スロットルアクチュエータ22によって駆動される
電子スロットル弁23が設けられ、その上流側すなわち
吸入口側には吸入空気量を検出するためのエアフローメ
ータ24が配置されている。そしてこの電子スロットル
弁23は、アクセルペダル20の踏み込み量に応じて制
御装置21からスロットルアクチュエータ22に制御信
号が出力され、その制御量に応じて開度が制御されるよ
うになっている。またエアフローメータ24は、その検
出信号である吸入空気量Qを制御装置21に入力するよ
うになっている。
【0025】また、エンジン1の回転速度を検出するエ
ンジン回転速度センサ25、吸入空気の温度を検出する
吸入空気温度センサ26、上記電子スロットル弁23の
開度θを検出するスロットルセンサ27、出力軸17の
回転速度などから車速Vを検出する車速センサ28、エ
ンジン1の冷却水温度を検出する冷却水温センサ29、
ブレーキの作動を検出するブレーキスイッチ30、シフ
トレバー31の操作位置を検出する操作位置センサ32
などが設けられている。それらのセンサから、エンジン
回転速度N、吸入空気温度Tha 、電子スロットル弁2
3の開度θ、車速V、エンジン冷却水温THw 、ブレー
キの作動状態BK、シフトレバー31の操作位置Pshを
表す信号が、エンジン用電子制御装置21および変速用
電子制御装置33に供給されるようになっている。さら
に補機類、例えばエアコンディショニング装置(エアコ
ン)34の駆動・非駆動の信号がエンジン用電子制御装
置21に入力されている。
【0026】また、タービンランナー7の回転速度を検
出するタービン回転速度センサ35からタービン回転速
度NT を表す信号が変速用電子制御装置33に供給され
ている。さらに、アクセルペダル20が最大操作位置ま
で操作されたことを検出するキックダウンスイッチ36
からキックダウン操作を表す信号が変速用電子制御装置
33に供給されている。
【0027】エンジン用電子制御装置21は、中央演算
処理装置(CPU)、記憶装置(RAM,ROM)、入
出力インターフェースを備えたいわゆるマイクロコンピ
ュータであって、CPUはRAMの一時記憶機能を利用
しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って入力
信号を処理し、種々のエンジン制御を実行する。例え
ば、燃料噴射量制御のために燃料噴射弁37を制御し、
点火時期制御のためにイグナイタ38を制御し、アイド
ルスピード制御のために図示しないバイパス弁を制御
し、トラクション制御を含む全てのスロットル制御を、
スロットルアクチュエータ22により電子スロットル弁
23を制御して実行する。またエアフローメータ24や
吸入空気温度センサ26のフェイルあるいはこれらに関
連する回路のフェイルが生じた場合には、基本燃料噴射
時間や点火時期などのエンジン1の駆動状態を制御する
信号を予め設定した値に固定し、これによりエンジン1
を一定の駆動条件で駆動するようになっている。
【0028】変速用電子制御装置33も、上記のエンジ
ン用電子制御装置21と同様のマイクロコンピュータで
あって、CPUはRAMの一時記憶機能を利用し、予め
ROMに記憶されたプログラムに従って入力信号を処理
するとともに、油圧制御回路39の各ソレノイド弁ある
いはリニアソレノイド弁を駆動するようになっている。
例えば、変速用電子制御装置33は、スロットル弁23
の開度に対応した大きさの出力圧PSLT を発生させるた
めにリニアソレノイド弁SLTを、アキュームレータ背圧
を制御するためにリニアソレノイド弁SLNを、ロックア
ップクラッチ8のスリップ量を制御し、また変速過渡時
の所定のクラッチあるいはブレーキの係合圧を変速の進
行に従いかつ入力トルクに応じて制御するためにリニア
ソレノイド弁SLUをそれぞれ駆動する。また、変速用電
子制御装置33は、基本スロットル弁開度θ(アクセル
ペダルの踏み込み量に対して所定の非線形特性で変換し
たスロットル開度)および車速Vならびにこれらをパラ
メータとした変速線図に基づいて自動変速機3の変速段
やロックアップクラッチ8の係合状態を決定し、この決
定された変速段および係合状態が得られるようにソレノ
イド弁SOL1 ,SOL2 ,SOL3 を駆動し、エンジンブレ
ーキを発生させる際には、ソレノイド弁SOL4 を駆動す
るよう構成されている。
【0029】他方、上記ロックアップクラッチ8は、自
動変速機3の第1速および第2速では解放されるが、第
3速および第4速では、基本スロットル弁開度θおよび
車速Vに基づいて解放、スリップ、係合のいずれかの領
域が判定され、スリップ領域であればロックアップクラ
ッチ8がスリップ制御され、係合領域であれば係合させ
られる。このスリップ制御は、エンジン1の回転変動を
吸収しつつトルクコンバータ2の回転損失を可及的に抑
制するためのものである。
【0030】図4は、シフトレバー31の操作位置を示
している。図において、車両の前後方向の6つの操作位
置と車両の左右方向の2つの操作位置との組み合せによ
り、シフトレバー31を8つの操作位置へ操作可能に支
持する図示しない支持装置によってシフトレバー31が
支持されている。そしてPはパーキングレンジ位置、R
はリバースレンジ位置、Nはニュートラルレンジ位置、
Dはドライブレンジ位置、“4”は第4速までの変速段
を設定する“4”レンジ位置、“3”は第3速までの変
速段を設定する“3”レンジ位置、“2”は第2速まで
の変速段を設定する“2”レンジ位置、Lは第1速以上
の変速段へのアップシフトを禁止するローレンジ位置を
それぞれ示す。
【0031】図2に示すように上記の自動変速機3は、
第2速と第3速との間の変速が、第3ブレーキB3 と第
2ブレーキB2 との係合状態を共に切り換えるクラッチ
・ツウ・クラッチ変速となる。この変速を円滑かつ迅速
に実行するために、前記油圧制御回路38には、図5に
示す回路が組み込まれている。これは、第3ブレーキB
3 の係合圧PB3を、入力トルク および変速の進行状況
に基づいて電気的に直接制御するように構成したもので
あり、以下、簡単にその構成を説明する。
【0032】図5において符号70は 1-2シフトバルブ
を示し、また符号71は 2-3シフトバルブを示し、さら
に符号72は 3-4シフトバルブを示している。これらの
シフトバルブ70,71,72の各ポートの各変速段で
の連通状態は、それぞれのシフトバルブ70,71,7
2の下側に示しているとおりである。なお、その数字は
各変速段を示す。その 2-3シフトバルブ71のポートの
うち第1速および第2速で入力ポート73に連通するブ
レーキポート74に、第3ブレーキB3 が油路75を介
して接続されている。この油路にはオリフィス76が介
装されており、そのオリフィス76と第3ブレーキB3
との間にダンパーバルブ77が接続されている。このダ
ンパーバルブ77は、第3ブレーキB3 にライン圧が急
激に供給された場合に少量の油圧を吸入して緩衝作用を
行うものである。
【0033】また符号78は B-3コントロールバルブで
あって、第3ブレーキB3 の係合圧をこの B-3コントロ
ールバルブ78によって直接制御するようになってい
る。すなわちこの B-3コントロールバルブ78は、スプ
ール79とプランジャ80とこれらの間に介装したスプ
リング81とを備えており、スプール79によって開閉
される入力ポート82に油路75が接続され、またこの
入力ポート82に選択的に連通させられる出力ポート8
3が第3ブレーキB3 に接続されている。さらにこの出
力ポート83は、スプール79の先端側に形成したフィ
ードバックポート84に接続されている。一方、前記ス
プリング81を配置した箇所に開口するポート85に
は、 2-3シフトバルブ71のポートのうち第3速以上の
変速段でDレンジ圧を出力するポート86が油路87を
介して連通されている。またプランジャ80の端部側に
形成した制御ポート88には、ロックアップクラッチ用
リニアソレノイドバルブSLUが接続されている。
【0034】したがって B-3コントロールバルブ78
は、スプリング81の弾性力とポート85に供給される
油圧とによって調圧レベルが設定され、かつ制御ポート
88に供給される信号圧が高いほどスプリング81によ
る弾性力が大きくなるように構成されている。
【0035】さらに図5中、符号89は 2-3タイミング
バルブであって、この 2-3タイミングバルブ89は、小
径のランドと2つの大径のランドとを形成したスプール
90と第1のプランジャ91とこれらの間に配置したス
プリング92とスプール90を挟んで第1のプランジャ
91とは反対側に配置された第2のプランジャ93とを
有している。この 2-3タイミングバルブ89の中間部の
ポート94に油路95が接続され、またこの油路95
は、 2-3シフトバルブ71のポートのうち第3速以上の
変速段でブレーキポート74に連通させられるポート9
6に接続されている。
【0036】さらにこの油路95は途中で分岐して、前
記小径ランドと大径ランドとの間に開口するポート97
にオリフィスを介して接続されている。この中間部のポ
ート94に選択的に連通させられるポート98は油路9
9を介してソレノイドリレーバルブ100に接続されて
いる。そして第1のプランジャ91の端部に開口してい
るポートにロックアップクラッチ用リニアソレノイドバ
ルブSLUが接続され、また第2のプランジャ93の端部
に開口するポートに第2ブレーキB2 がオリフィスを介
して接続されている。
【0037】前記油路87は第2ブレーキB2 に対して
油圧を供給・排出するためのものであって、その途中に
は小径オリフィス101とチェックボール付きオリフィ
ス102とが介装されている。またこの油路87から分
岐した油路103には、第2ブレーキB2 から排圧する
場合に開くチェックボールを備えた大径オリフィス10
4が介装され、この油路103は以下に説明するオリフ
ィスコントロールバルブ105に接続されている。
【0038】オリフィスコントロールバルブ105は第
2ブレーキB2 からの排圧速度を制御するためのバルブ
であって、そのスプール106によって開閉されるよう
に中間部に形成したポート107には第2ブレーキB2
が接続されており、このポート107より図での下側に
形成したポート108に前記油路103が接続されてい
る。第2ブレーキB2 を接続してあるポート107より
図での上側に形成したポート109は、ドレインポート
に選択的に連通させられるポートであって、このポート
109には、油路110を介して前記 B-3コントロール
バルブ78のポート111が接続されている。なおこの
ポート111は、第3ブレーキB3 を接続してある出力
ポート83に選択的に連通させられるポートである。
【0039】オリフィスコントロールバルブ105のポ
ートのうちスプール106を押圧するスプリングとは反
対側の端部に形成した制御ポート112が油路113を
介して、 3-4シフトバルブ72のポート114に接続さ
れている。このポート114は、第3速以下の変速段で
第3ソレノイドバルブS3 の信号圧を出力し、また第4
速以上の変速段で第4ソレノイドバルブS4 の信号圧を
出力するポートである。さらにこのオリフィスコントロ
ールバルブ105には、前記油路95から分岐した油路
115が接続されており、この油路115を選択的にド
レインポートに連通させるようになっている。
【0040】なお、前記 2-3シフトバルブ71において
第2速以下の変速段でDレンジ圧を出力するポート11
6が、前記 2-3タイミングバルブ89のうちスプリング
92を配置した箇所に開口するポート117に油路11
8を介して接続されている。また 3-4シフトバルブ72
のうち第3速以下の変速段で前記油路87に連通させら
れるポート119が油路120を介してソレノイドリレ
ーバルブ100に接続されている。
【0041】そして図5中、符号121は第2ブレーキ
B2 用のアキュームレータを示し、その背圧室には、リ
ニアソレノイドバルブSLNが出力する油圧に応じて調圧
されたアキュームレータコントロール圧が供給されてい
る。なおこのアキュームレータコントロール圧は、リニ
アソレノイドバルブSLNの出力圧が低いほど高い圧力に
なるように構成されている。したがって第2ブレーキB
2 の係合・解放の過渡的な油圧は、リニアソレノイドバ
ルブSLNの信号圧が低いほど高い圧力で推移するように
なっている。またそのリニアソレノイドバルブSLUの信
号圧を一時的に低くすることにより、第2ブレーキB2
の係合圧を一時的に高くすることができる。
【0042】また符号122は C-0エキゾーストバルブ
を示し、さらに符号123はクラッチC0 用のアキュー
ムレータを示している。なお C-0エキゾーストバルブ1
22は2速レンジでの第2速のみにおいてエンジンブレ
ーキを効かせるためにクラッチC0 を係合させるように
動作するものである。
【0043】したがって、上述した油圧回路によれば、
B-3コントロールバルブ78のポート111がドレイン
に連通していれば、第3ブレーキB3 の係合圧を B-3コ
ントロールバルブ78によって直接調圧することがで
き、またその調圧レベルをリニアソレノイドバルブSLU
によって変えることができる。またオリフィスコントロ
ールバルブ105のスプール106が、図の左半分に示
す位置にあれば、第2ブレーキB2 はこのオリフィスコ
ントロールバルブ105を介して油路103に連通させ
られるので、大径オリフィス104を介して排圧が可能
になり、したがって第2ブレーキB2 からのドレイン速
度を制御することができる。
【0044】上述した自動変速機3における各摩擦係合
装置の係合圧は、エンジン1でのスロットル開度θに応
じて制御されるライン圧によって決まる圧力になるが、
例えばクラッチ・ツウ・クラッチ変速である第2速と第
3速との間の変速の際の第3ブレーキB3 の係合圧PB3
は、変速の情況や入力トルクに基づいて制御される。例
えば第2速から第3速へのアップシフトの場合には、第
2ブレーキB2 と共に所定のトルク容量をもついわゆる
オーバーラップ気味に制御されて入力回転数が第3速の
同期回転数に低下することを促進させる。また反対に第
3速から第2速へのダウンシフトの際には、第3ブレー
キB3 の係合圧を低い圧力に維持していわゆるアンダー
ラップ気味に制御し、入力回転数が第2速の同期回転数
に上昇することを促進させる。また第2速へのダウンシ
フトの変速終期には、最終的には解放される第2ブレー
キB2 の係合圧を一時的に高くしてトルクを低下させる
ことにより、捩りトルクに起因するショックを防止す
る。
【0045】このように変速の情況に応じて係合圧を制
御することがあり、その場合の係合圧は、摩擦係合装置
の滑りなどによる耐久性の低下を防止するために、入力
トルクに応じた圧力に設定する必要がある。自動変速機
3に入力されるトルクは、エンジン1の出力トルクすな
わちエンジン1の駆動状態に最も大きい影響されるか
ら、エンジン1の駆動状態を検出し、あるいは制御する
必要がある。その制御例については後述する。
【0046】以上説明した自動変速機3が連結されてい
るエンジン1は、空燃比を理論空燃比より大きくしたリ
ーンバーン運転が可能であり、かつリーンバーン運転中
にNOx 吸収剤からNOx を放出させるために、空燃比
を一時的にリッチ側に設定するリッチスパイクを実行す
るよう構成されている。そこでこのエンジン1について
説明すると、図6は吸排気系統を模式的に示しており、
ピストン130の頂部側に形成された燃焼室131に
は、点火プラグ132が配置されている。またこの燃焼
室131には、吸気弁133を有する吸気ポート134
と、排気弁135を有する排気ポート136とが連通さ
れている。
【0047】その吸気ポート134は、対応するマニホ
ールド137を介してサージタンク138に連結され、
その各マニホールド137には、吸気ポート134内に
向けて燃料を噴射する燃料噴射弁139が取り付けられ
ている。またサージタンク138は、吸気ダクト140
およびエアフローメータ24を介してエアクリーナ14
1に連結され、吸気ダクト140内にスロットル弁23
が配置されている。
【0048】一方、排気ポート136は、排気マニホー
ルド142および排気管143を介してNOx 吸収剤1
44を内蔵したケーシング145に接続され、さらにそ
のケーシング145は排気管146を介して触媒コンバ
ータ147に連結されている。なお、この触媒コンバー
タ147は、三元触媒148を内蔵している。
【0049】このエンジン1を制御する電子制御装置2
1は、ディジタルコンピュータからなり、双方向性バス
149によって相互に接続されたROM(リードオンリ
ーメモリ)150、RAM(ランダムアクセスメモリ)
151、CPU(マイクロプロセッサ)152、入力ポ
ート153および出力ポート154を備えている。エア
フローメータ24は吸入空気量に比例した出力電圧を発
生し、この出力電圧がAD変換器155を介して入力ポ
ート153に入力されるようになっている。また入力ポ
ート153にはエンジン回転数を表す出力パルスを発生
する回転数センサ25が接続されている。一方、出力ポ
ート154は対応する駆動回路156,157を介して
それぞれ点火プラグ132および燃料噴射弁139に接
続されている。
【0050】上記のようにエンジン1は、燃料噴射弁1
39から燃料が供給されるよう構成されており、その燃
料噴射時間TAUは、 TAU=TP×Kt の式に基づいて算出される。ここでTPは基本燃料噴射
時間を表し、またKt は補正係数を表している。基本燃
料噴射時間TPはエンジン1のシリンダに供給される混
合気の空燃比を理論空燃比とするのに必要な燃料噴射時
間である。
【0051】この基本燃料噴射時間TPは予め実験によ
り求められ、1回転あたりの吸入空気量Q/N(Qは吸
入空気量、Nはエンジン回転数)で表されるエンジン負
荷およびエンジン回転数Nの関数として図7に示すよう
なマップの形で予めROM152内に記憶されている。
補正係数Kt はエンジン1内に供給される混合気の空燃
比を制御するための係数であって、Kt =1.0であれ
ば、シリンダ内に供給される混合気は理論空燃比とな
る。これに対してKt <1.0となれば、シリンダ内に
供給される混合気の空燃比は理論空燃比より大きくな
り、エンジン1はリーンバーン運転されることになる。
さらにKt >1.0になれば、シリンダ内に供給される
混合気の空燃比は理論空燃比よりも小さくなり、いわゆ
るリッチ状態となる。
【0052】図6に示すエンジンでは、通常、例えばK
t =0.7もしくは0.6程度に維持されており、した
がってリーンバーン運転が行われる。図8は、燃焼室1
31から排出される排気ガス中の代表的な成分の濃度を
概略的に示している。この図8から知られるように、燃
焼室131から排出される未燃焼のHC、COの濃度
は、燃焼室131に供給される混合気の空燃比がリッチ
になるほど増大し、燃焼室131から排出される排気ガ
ス中の酸素O2 の濃度は燃焼室131内に供給される混
合気の空燃比がリーンになるほど増大する。
【0053】ケーシング145内に収容されているNO
x 吸収剤144は、例えばアルミナを担体とし、この担
体上に例えばカリウムK、ナトリウムNa 、リチウムL
i 、セシウムCs のようなアルカリ金属、バリウムBa
、カルシウムCa のようなアルカリ土類、ランタンLa
、イットリウムYのような希土類から選ばれた少なく
とも一つと、白金Pt のような貴金属とが担持されてい
る。
【0054】吸気ダクトおよびNOx 吸収剤144の上
流の排気管路内に供給された空気と燃料との比を「NO
x 吸収剤144への流入排気ガスの空燃比」とすると、
このNOx 吸収剤144は、流入排気ガスの空燃比がリ
ーンのときにNOx 吸収し、流入排気ガス中の酸素濃度
が以下すると、吸収したNOx を放出するNOx の吸収
放出作用を行う。
【0055】なお、NOx 吸収剤144の上流の排気管
路内に燃料あるいは空気が供給されない場合には、流入
排気ガスの空燃比が燃焼室131内に供給される混合気
の空燃比に一致し、したがってこの場合には、NOx 吸
収剤144は燃焼室131内に供給される混合気の空燃
比がリーンの時にNOx を吸収し、燃焼室131内に供
給される混合気中の酸素濃度が低下すると、吸収したN
Ox を放出することになる。
【0056】上記のNOx 吸収剤144を排気管路内に
配置すれば、このNOx 吸収剤144は実際にNOx の
吸収放出作用を行うが、この吸収放出作用の詳細なメカ
ニズムについては明らかでない部分もある。しかしなが
らこの吸収放出作用は図9に示すようにメカニズムで行
われているものと考えられている。なお、このメカニズ
ムについて、担体上に白金Pt およびバリウムBa を担
持させた場合を例に取って説明するが、他の貴金属、ア
ルカリ金属、アルカリ土類、希土類を用いても同様なメ
カニズムとなる。
【0057】すなわち流入排気ガスがかなりリーンにな
ると、流入排気ガス中の酸素濃度が大幅に増大し、図9
(A)に示すようにこれら酸素O2 がO2 またはO2-
の形で白金Pt の表面に付着する。一方、流入排気ガス
中のNOは、白金Pt の表面でO2 またはO2-と反応
し、NO2 となる(2NO+O2 →2NO2 )。
【0058】ついで生成された2NO2 の一部は白金P
t 上で酸化されつつ吸収剤144内に吸収されて酸化バ
リウムBaOと結合しながら、図9(A)に示すように
硝酸イオンNO3-の形で吸収剤144内に吸収される。
このようにしてNOx がNOx 吸収剤144内に吸収さ
れる。
【0059】流入排気ガス中の酸素濃度が高い限り白金
Pt の表面でNO2 が成形され、吸収剤のNOx 吸収能
力が飽和しない限りNO2 が吸収剤内に吸収されて硝酸
イオンNO3-が生成される。これに対して流入排気ガス
中の酸素濃度が低下してNO2 の生成量が低下すると、
反応が逆方向(NO3-→NO2 )に進み、その結果、吸
収剤内の硝酸イオンNO3-がNO2 の形で吸収剤から放
出される。すなわち流入排気ガス中の酸素濃度が低下す
ると、NOx 吸収剤144からNOx が放出されること
になる。図8に示すように流入排気ガス中の酸素濃度が
低下し、したがって流入排気ガスのリーンの度合を低く
すれば、流入排気ガスがリーンであっても、NOx 吸収
剤144からNOx が放出されることになる。
【0060】一方、このとき流入排気ガスの空燃比をリ
ッチにすると、図8に示すように、エンジン1から多量
の未燃焼HC、COが排出され、これらの未燃焼HC、
COは白金Pt 上の酸素O2 またはO2-と反応して酸
化する。また流入排気ガスの空燃比をリッチにすると、
流入排気ガス中の酸素濃度が極度に低下するために吸収
剤からNO2 が放出され、このNO2 は図9(B)に示
すように、未燃焼HC、COと反応して還元される。こ
のようにして白金Pt の表面上にNO2 が存在しなくな
ると、吸収剤から次から次へとNO2 が放出される。し
たがって流入排気ガスの空燃比をリッチにすると、短時
間のうちにNOx 吸収剤144からNOx が放出され
る。
【0061】すなわち流入排気ガスの空燃比をリッチに
すると、先ず初めに、未燃焼HC、COが白金Pt 上の
2 またはO2-とただちに反応して酸化され、ついで
白金Pt 上のO2 またはO2-が消費されてもまだ未燃
焼HC、COが残っていれば、この未燃焼HC、COに
よって吸収剤から放出されたNOx およびエンジンから
排出されたNOx が還元される。したがって流入排気ガ
スの空燃比をリッチにしたときに吸収剤から放出された
全NOx およびエンジンから排出された全NOx を還元
するには、少なくとも白金Pt 上のO2 またはO2-
消費するのに必要な量の未燃焼HC、COがNOx 吸収
剤144に流入するように流入ガスの空燃比のリッチの
度合を制御する必要がある。
【0062】前述したように図6に示すエンジンでは、
通常、シリンダ内に供給される混合気はリーン(例えば
Kt =0.7)に維持されており、このとき発生するN
Oxは、NOx 吸収剤144に吸収される。ところがリ
ーン混合気が燃焼されつづけると、NOx 吸収剤144
によるNOx 吸収能力が飽和してしまい、しばらくして
NOx 吸収剤144によりNOx を吸収できなくなって
しまう。そこでこの発明にかかる制御装置は、リーン混
合気が継続して燃焼されたときには図10に示すように
シリンダ内に供給される混合気を一時的にリッチ(Kt
=KK)に制御し、それによってNOx 吸収剤144に
吸収されたNOx をNOx 吸収剤144から放出させ
る。すなわちリッチスパイクを実行する。
【0063】その場合、単にシリンダ内に供給される混
合気をリーン空燃比からリッチ空燃比に切り換えるとエ
ンジン出力トルクが変動するので、そのような事態が生
じないようにリーン空燃比とリッチ空燃比とが設定され
ている。すなわち図11に示すように、エンジン出力ト
ルクは出力空燃比(11.0〜12.0)を境として空
燃比がリーン側になるとエンジン出力トルクが低下し、
また空燃比がリッチ側になってもエンジン出力トルクは
低下する。
【0064】したがって図11に示すようにエンジン出
力トルクが等しくなるリーン空燃比(KL)とリッチ空
燃比(KK)とが存在することになる。そこで燃焼室1
31においてリーン混合気を燃焼すべきときには、その
ときの空燃比をリーン空燃比(KL)とし、燃焼室13
1内でリッチ混合気を燃焼すべきときにはその時の空燃
比をリッチ空燃比(KK)とするとともに点火時期をそ
れぞれの空燃比に対応した値に切り換えるようにしてい
る。このようにリーン空燃比およびリッチ空燃比を予め
定めると、リーン空燃比からリッチ空燃比に切り換えら
れたとき、およびリッチ空燃比からリーン空燃比に切り
換えられたときに、エンジン出力トルクの変動やショッ
クが抑制される。
【0065】なお、この実施例では、リーン空燃比(K
L)が予め例えばKt =0.7相当に設定されており、
したがってこのリーン空燃比を用いたときのエンジン出
力トルクと等しい出力トルクが得られるようにリッチ空
燃比(KK)が設定される。この場合、このリッチ空燃
比(KK)はエンジン負荷Q/Nとエンジン回転数Nと
の関数になり、このリッチ空燃比(KK)は図12に示
すようにエンジン負荷Q/Nおよびエンジン回転数Nの
関数の形で予めROM150に記憶されている。
【0066】ところで図10のリッチ空燃比KK′はシ
リンダ内に供給される混合気の空燃比がリーン空燃比
(Kt =0.7)からリッチ空燃比(Kt =KK′)に切り
換えられたときに、白金Pt 上のO2 を消費しかつ全
NOx を還元するのに必要な未燃焼成分が発生する空燃
比を示している。上記のエンジンでは、リッチスパイク
時の前記リッチ空燃比(KK)が、このリッチ空燃比
(KK′)よりも更にリッチ側の空燃比に設定されるの
で、NOx 吸収剤144には白金Pt 上のO2 を消費
しかつ全NOx を還元するに必要な未燃焼成分が供給さ
れることになり、その結果、NOx が良好に還元される
ことになる。
【0067】しかしながらその場合、余剰の未燃焼成分
がNOx 吸収剤144から排出されることになり、した
がってこの余剰の未燃焼成分を酸化させる必要がある。
そのためNOx 吸収剤144の下流側の排気管路内にス
トレージ機能を有する触媒148を内蔵した触媒コンバ
ータ147が配置され、この触媒によって未燃焼成分を
酸化させるようになっている。
【0068】すなわちこの触媒148は、例えばアルミ
ナを担体としてこの担体上に貴金属と、カルシウムCa
のようなアルカリ土類と、セシウムCeとが担持されて
いる。このように担体上にセシウムCeを担持させる
と、触媒148は、触媒148への流入排気ガスの空燃
比がリーンのときには、排気ガスに含まれる酸素を吸着
保持し、触媒148への流入排気ガスの空燃比がリッチ
になると、吸着保持していた酸素を未燃焼HC、COが
奪うというO2 ストレージ機能を備えるようになる。し
たがってこのようなO2 ストレージ機能を有する触媒1
48をNOx 吸収剤144の下流の排気管路内に配置し
ておくと、リーン混合気が燃焼されている間に多量の酸
素が触媒148に吸着保持されるので、NOx 吸収剤1
44からNOx を放出するべく燃焼室131内に供給さ
れる混合気がリッチにされてNOx吸収剤144から未
燃焼HC、COが排出されても、これらの未燃焼HC、
COは触媒148に吸着保持されている酸素を奪って酸
化され、その結果、未燃焼HC、COが大気中に放出さ
れることが防止される。
【0069】なお、NOx 吸収剤144からのNOx の
放出作用は、一定量のNOx がNOx 吸収剤144に吸
収されたとき、例えばNOx 吸収剤144の吸収能力の
50%程度までNOx が吸収されたときに行われる。N
Ox 吸収剤144に吸収されるNOx の量はエンジンか
ら排出される排気ガスの量と排気ガス中のNOx 濃度に
比例し、この場合、排気ガス量は吸入空気量に比例し、
排気ガス中のNOx 濃度はエンジン負荷に比例するの
で、NOx 吸収剤144に吸収されるNOx 量は正確に
は吸入空気量とエンジン負荷との積の累積値から推定す
ることができるが、制御を単純にするためには、エンジ
ン回転数の累積値からNOx 吸収剤144に吸収されて
いるNOx 量を推定してもよい。
【0070】つぎに上記のエンジンにおけるリッチスパ
イクの制御について説明する。図13は、前記電子制御
装置21により一定時間毎に実行されるルーチンを示し
ている。先ず、ステップ1において基本燃料噴射時間T
Pに対する補正係数Kt が1.0よりも小さいか否か、
すなわちリーンバーン運転が行われているか否かが判別
される。Kt ≧1.0のとき、すなわちシリンダ内に供
給されている混合気が理論空燃比またはリッチ空燃比の
ときには特に制御を行うことなくこのルーチンから抜け
る。
【0071】これに対してKt <1.0のとき、すなわ
ちリーン混合気が燃焼されているときには、ステップ2
に進んで現在のエンジン回転数NEにΣNEを加算した
結果がΣNEとされる。したがってΣNEはエンジン回
転数NEの累積値を示している。ついでステップ3で
は、累積回転数ΣNEが一定値SNEよりも大きいか否
かが判別される。この一定値SNEはNOx 吸収剤14
4にそのNOx 吸収能力の例えば50%のNOx 量が吸
収されていると推定される累積回転数を示している。Σ
NE≦SNEのときにはリターンし、ΣNE>SNEの
とき、すなわちNOx 吸収剤144にそのNOx 吸収能
力の50%のNOx 量が吸収されていると推定されたと
きにはステップ4に進んでNOx 放出フラグがセットさ
れる。NOx 放出フラグがセットされると、後述するよ
うにシリンダ内に供給される混合気がリッチに切り換え
られるとともに、混合気の空燃比に応じて点火時期が遅
角される。
【0072】ついでステップ5では、カウント値Cが1
だけインクリメントされる。ついでステップ6ではカウ
ント値Cが一定値C0 よりも大きくなったか否か、すな
わち例えば0.5秒経過したか否かが判別される。C≦
C0 のときにはリターンし、C>C0 になると、ステッ
プ7に進んでNOx 放出フラグがリセットされる。NO
x 放出フラグがリセットされると、後述するようにシリ
ンダ内に供給される混合気がリッチからリーンに切り換
えられる。したがってシリンダ内に供給される混合気は
0.5秒の間、リッチに制御されることになる。ついで
ステップ8において累積回転数ΣNEおよびカウント値
Cがクリアされる。
【0073】図14は、燃料噴射時間TAUの算出ルー
チンを示しており、このルーチンはエンジン用電子制御
装置21により一定時間毎(またはクランク軸の一定回
転角度毎)に実行される。図14において、先ずステッ
プ10で図7に示すマップから基本燃料噴射時間TPが
算出される。ついでステップ11ではNOx 放出フラグ
がセットされているか否かが判別される。NOx 放出フ
ラグがセットされていないときにはステップ12,13
に進んで補正係数Kt が例えば0.7とされ、ついでス
テップ14に進む。ステップ14では燃料噴射時間TA
U(=TP×Kt )が算出される。このときにはシリン
ダ内に供給される混合気がリーンとされる。
【0074】一方、ステップ11においてNOx 放出フ
ラグがセットされたと判断されたときには、ステップ1
5に進んで図12に示す関係からKKが算出される。つ
いでステップ16では補正係数Kt の値がKKにされ、
ステップ14に進む。したがってこのときにはシリンダ
内に供給される混合気がリッチ空燃比とされる。
【0075】ところでエンジンなどの経年変化によって
実際の空燃比が制御した空燃比からずれることがある。
このような場合には、例えば空燃比センサを排気ポート
136に設置し、検出された実際の空燃比に基づいて制
御値を補正することが好ましい。
【0076】さらに、リーン運転中に空燃比を一時的に
リッチ側に設定するリッチスパイクを行う場合、シリン
ダに供給される混合の空燃比を小さくしても燃焼室13
1内での混合気の空燃比が遅れて変化することがある。
これは、リーン運転中では吸気ポート134の壁面が乾
いた状態にあり、ここにリッチ空燃比の混合気を供給す
ると、混合気に含まれる燃料の一部が吸気ポートの壁面
に付着し、その分、シリンダ内での混合気中の燃料の量
が少なくなることに起因している。
【0077】したがってリッチスパイクの制御開始時点
に遅れて燃焼室131内の空燃比が小さくなる。そのた
めリッチスパイクの制御開始と同時に点火時期を変更す
ると、過渡的に空燃比と点火時期とが不適合状態とな
り、エンジン出力トルクの変動が大きくなることが考え
られる。このような事態を未然に回避するために、空燃
比をリーンからリッチに変更し、あるいはリッチからリ
ーンに変更する場合に、点火時期を空燃比の変更に遅ら
せて変更し、あるいは点火時期を徐々に変更することが
好ましい。あるいは空燃比をリーンからリッチに変更す
る場合に、壁面への燃料の付着を補うように制御開始時
に燃料噴射量を増大させ、またリッチからリーンに変更
する場合、壁面からの燃料の離脱によるリッチ化を補う
ように制御開始時に燃料噴射量を減少させことが好まし
い。これらの空燃比を切り換える場合の過渡的な制御
は、特開平6−193487号公報に具体的に記載され
ている。
【0078】上述したように上記のエンジン1における
空燃比を大きくしたリーンバーン運転中のNOx 放出の
ための空燃比の一時的な増大すなわちリッチスパイク
は、エンジン回転数の累積値などのエンジンの運転状態
に基づいて実施される。これに対して自動変速機3での
変速は、車速やスロットル開度などの車両の走行状態に
基づいて実施される。そのため、エンジン1でのリッチ
スパイクと自動変速機3での変速とが同時に判断される
ことがあるが、リッチスパイク時に同時に点火時期を制
御するとしても、空燃比の変更に起因するエンジン出力
トルクの変動を皆無にすることは困難であり、また自動
変速機3での変速の際の摩擦係合装置の係合圧をエンジ
ン出力トルクあるいはそれに基づく入力トルクに応じて
設定する必要がある。
【0079】そこでこの発明にかかる制御装置では、リ
ッチスパイクに起因するエンジン出力トルクと摩擦係合
装置の係合圧とが不適合状態になることを防止するため
に、以下に述べるように制御する。図15はその制御ル
ーチンの一例を示しており、入力信号の処理(ステップ
100)を行った後に、前述したシフトレバー31によ
って選択されているレンジがドライブレンジ(Dレン
ジ)か否かが判断される(ステップ101)。Dレンジ
が選択されていない場合には、特に制御を行うことなく
このルーチンを抜け、Dレンジが選択されている場合に
は、リーンバーン制御中(リーンバーン運転中)か否か
が判断される(ステップ102)。
【0080】このリーンバーン制御は、前述したエンジ
ン1での基本燃料噴射時間TPの補正係数Kt を“1.
0”より小さい値(一例として0.7程度)に設定して
空燃比を理論空燃比より大きい値にした運転状態であ
り、通常の運転状態では、例えばエンジン回転数の累積
値が所定の値に達することにより、空燃比を一時的に下
げる前述したリッチスパイクが実行される。ステップ1
02で否定判断された場合には、特に制御を行うことな
くこのルーチンを抜け、これに対して肯定判断された場
合には、ステップ103に進んで変速が判断される。
【0081】その変速の判断は、一例として第2速から
第3速へのアップシフトの判断であり、前述したこの発
明で対象とする自動変速機3では第3ブレーキB3 を解
放し、かつ第2ブレーキB2 を係合させるいわゆるクラ
ッチ・ツウ・クラッチ変速である。このクラッチ・ツウ
・クラッチ変速では、第3ブレーキB3 の油圧PB3をエ
ンジントルク(自動変速機3に対する入力トルク)およ
び第2ブレーキB2 の係合圧に応じて、リニアソレノイ
ドバルブSLUによって直接制御するので、リッチスパイ
クによるエンジントルクの変動による変速ショックに対
する影響が大きくなる。
【0082】したがってステップ103で否定判断され
た場合には、特に制御を行うことなくこのルーチンを抜
け、また反対に肯定判断された場合には、第2速から第
3速へのアップシフトが判断された時点からの経過時間
すなわちタイマTREが所定の値TA に達したか否かが判
断される(ステップ104)。この時間TA は、第3ブ
レーキB3 の調圧を開始する時点を規定する時間であ
り、したがってステップ104で肯定判断された場合に
は、第3ブレーキB3 の調圧を開始する(ステップ10
5)。
【0083】この時点での第3ブレーキB3 の調圧は、
自動変速機3に対する入力トルクに応じた油圧に徐々に
低下させた後に、その入力トルクに応じた油圧に維持す
る制御である。したがってこの調圧制御の前提として入
力トルクの検出が行われ、これは、従来知られている手
段によって実行される。その一例として特開平5−77
660号公報に記載されている制御を採用することがで
きる。具体的には、エンジン1の1回転あたりの吸入空
気量すなわちエンジン負荷Q/Nからエンジン出力を推
定し、その推定値からオイルの撹拌などによる損失と補
機類を駆動するために消費されたトルクとを減算したト
ルクが入力トルクされる。このようにして得られた入力
トルクに応じて第3ブレーキB3 の油圧PB3が決定さ
れ、その圧力なるようにリニアソレノイドバルブSLUの
デューティ比が制御される。
【0084】上記のように第3ブレーキB3 の係合圧P
B3の制御が開始されると、エンジン1でのリッチスパイ
クが禁止される(ステップ106)。このステップ10
6がこの発明におけるリッチスパイク禁止手段に相当す
る。
【0085】上述したエンジン1では、リーンバーン運
転中のエンジン回転数の累積値ΣNEが前述した基準値
SNE以上になった時点でNOx 放出フラグがセットさ
れ、混合気を0.5秒程度の間、リッチ空燃比KKに設
定し、また併せて点火時期の遅角制御が実行されるが、
上述のように第3ブレーキB3 の調圧が開始された後に
、エンジン回転数の累積値ΣNEが基準値SNE以上
になっても、あるいはそれに伴ってNOx 放出フラグが
セットされても、リッチスパイクやそれに伴う点火時期
の変更制御が実行されない。したがって第3ブレーキB
3 の係合圧PB3の調圧制御の基礎となるエンジントルク
の変動が生じないので、第3ブレーキB3 の油圧PB3と
入力トルクとが不適合状態になることが防止され、また
それに伴って変速ショックが防止される。
【0086】第2ブレーキB2 の係合圧PB2の上昇に伴
って第3ブレーキB3 の油圧PB3を次第に低下させ、最
終的には第3ブレーキB3 を解放させ、その調圧が終了
する。ステップ107では、タイマ制御などによってそ
の調圧の終了を判断し、第3ブレーキB3 の調圧が終了
するまでリッチスパイクの禁止を継続する。そして第3
ブレーキB3 の調圧が終了してステップ107で肯定判
断された場合には、リッチスパイクの禁止制御を終了
し、リッチスパイクの要求が有ったか否かが判断される
(ステップ108)。
【0087】このステップ108の制御は、第3ブレー
キB3 の油圧PB3の調圧を行っていることに伴ってリッ
チスパイクが禁止されている間にリッチスパイクの要求
が有り、これが禁止されて実質的に保留状態になってい
るか否かの判断である。したがってこのステップ108
で否定判断された場合にはリターンし、また肯定判断さ
れた場合には、リッチスパイクを実行する(ステップ1
09)。
【0088】リッチスパイクは、NOx 吸収剤144に
対する流入排気ガス中の酸素濃度を下げてNOx 吸収剤
144からNOx を放出させる制御であり、そのNOx
放出量は、流入排気ガス中の酸素濃度やリッチスパイク
の継続時間などによって変動する。またNOx 吸収剤1
44におけるNOx 吸収能力の飽和の程度は、リッチス
パイクが実行されない時間が長くなるほど高くなる。そ
こで、リッチスパイクの禁止中にリッチスパイクの要求
があってステップ108で肯定判断され、それに伴って
ステップ109でリッチスパイクを実行する場合には、
その制御量を通常の場合すなわちリッチスパイクが禁止
されなかった場合より増大させる。具体的には、通常の
リッチスパイクの実行時間(例えば0.5秒)を長くす
る。あるいは燃料噴射時間の補正係数Kt を大きい値に
設定する。
【0089】このように制御することにより、リッチス
パイクの禁止により通常より多く吸収されていたNOx
が必要十分にNOx 吸収剤144から放出され、NOx
吸収剤144のNOx 吸収能力が元の状態に回復され
る。したがってこのステップ109がこの発明における
リッチスパイクの制御量の変更手段を含むことになる。
【0090】なお、ステップ104で否定判断された場
合、すなわち第2速から第3速へのアップシフトが判断
された時点からの経過時間TREが所定の基準時間TA に
至っていない場合には、リッチスパイクの許可の制御を
実行する(ステップ110)。すなわちエンジン回転数
の累積値が所定の基準値に達してNOx 放出フラグがセ
ットされることによって、リッチスパイクを実行する状
態(通常状態)とする。
【0091】ところで上述した図15に示す例は、クラ
ッチ・ツウ・クラッチ変速における一方の摩擦係合装置
である第3ブレーキB3 の油圧PB3のみを入力トルクに
基づいて制御するよう構成した例であり、そのため第3
ブレーキB3 の油圧PB3の調圧の終了によってリッチス
パイクの禁止を解除することとした。しかしながらクラ
ッチ・ツウ・クラッチ変速の場合に、変速に関与する両
方の摩擦係合装置(上記の例では、第2ブレーキB2 と
第3ブレーキB3 )の油圧を入力トルクに基づいて制御
することがあり、そのような場合には、上記のステップ
107では、第3ブレーキB3 の油圧PB3の終了の判断
に替えて変速の終了の判断を行うことになり、したがっ
てリッチスパイクの禁止は変速の終了まで延期されるこ
とになる。またその場合、禁止制御の実行に伴って保留
されたリッチスパイクを実行する際の制御量は、上記の
例よりも更に大きくすることが好ましい。
【0092】上述した例は、変速を実行するにあたって
エンジントルクあるいは自動変速機3の入力トルクを検
出する際に、リッチスパイクを禁止することにより、変
速に伴う油圧とエンジントルクもしくは入力トルクとの
不適合を防止するように構成したものであるが、変速時
の摩擦係合装置の油圧とエンジントルクもしくは自動変
速機の入力トルクとの不適合の是正は、上記の例とは異
なり、以下のようにして行ってもよい。
【0093】図16に示す制御ルーチンは、エンジント
ルクもしくは自動変速機の入力トルクの検出あるいは推
定に、リッチスパイクによる変動分を補正項として加え
ることにより、変速に関与する摩擦係合装置の油圧とエ
ンジントルクあるいは入力トルクとの不適合を是正する
ように構成したものであり、この図16において、ステ
ップ100からステップ104までは、上述した図15
に示す制御と同様に制御する。そして第2速から第3速
へのアップシフトの判断からの経過時間TREが所定の基
準時間TA になってから第3ブレーキB3 の油圧PB3の
調圧を開始する(ステップ105)。ついでリッチスパ
イクの要求の有無を判断する(ステップ111)。具体
的には、前述したNOx 放出フラグがセットされている
か否かを判断する。
【0094】リッチスパイクの要求があってステップ1
11で肯定判断された場合には、たとえ第3ブレーキB
3 の油圧PB3の調圧中であってもリッチスパイクを実行
する(ステップ112)。すなわち一時的に空燃比を理
論空燃比より小さい値に設定する。
【0095】これと同時にエンジントルクあるいは入力
トルクの検出にあたりリッチスパイクの実行による補正
を行う(ステップ113)。このステップ113がこの
発明におけるエンジン出力の補正手段に相当する。具体
的には、エンジントルクは、特開平5−77660号公
報に記載されているように、1回転あたりの吸入空気量
すなわちエンジン負荷Q/Nや吸気管負圧PMあるいは
吸入空気量GNと、エンジン回転数NEとに基づいて実
験的に求められ、そのマップ値を電子制御装置21に記
憶させてあり、リッチスパイクを実行する場合には、そ
れに応じた補正項を加える。その補正項の値は、予め実
験的に求めてマップ値の形で電子制御装置21に記憶さ
せておき、リッチスパイクおよび変速の実行時点の車両
の走行状態に応じてマップ値を読み出して使用する。当
然、その場合、マップ値には、リッチスパイクに伴う点
火時期の変更によるトルク補正を行った場合の値や燃料
噴射量の過渡的な変更によるトルク補正を行った場合の
値が考慮されており、したがってマップ値としてはこれ
らのトルク補正を行った場合に適合させるように少なく
とも二種類のマップ値が用意されている。
【0096】ついでエンジントルクあるいは自動変速機
への入力トルクを演算し(ステップ114)、その演算
値に基づいて第3ブレーキB3 の油圧PB3を決定する
(ステップ115)。なお、そのようにして決定された
値となるようにリニアソレノイドバルブSLUを制御する
ことはもちろんである。
【0097】したがって図16に示す制御を行えば、変
速時におけるエンジントルクあるいは自動変速機への入
力トルクの検出にあたり、リッチスパイクが同時に実行
されるような場合には、リッチスパイクに基づくトルク
の補正を行うから、摩擦係合装置の油圧を決定する根拠
となるエンジントルクあるいは入力トルクの実際のトル
クとの乖離が殆どなくなり、したがって摩擦係合装置の
油圧とトルクとの不適合が防止され、その結果、変速シ
ョックが良好になる。
【0098】なお、図16に示す制御においても、クラ
ッチ・ツウ・クラッチ変速の際に変速に関与する両方の
摩擦係合装置の油圧を同時に制御する場合には、上述の
ようにして決定されたエンジントルクもしくは入力トル
クに基づいてそれら両方の摩擦係合装置の油圧が決定さ
れる。
【0099】またここで図15に示す制御あるいは図1
6に示す制御を行った場合のタイムチャートを示せば、
図17のとおりである。図15に示す制御を行った場合
には、第3ブレーキB3 の油圧PB3の調圧中(すなわち
トルクの検出中)でのリッチスパイクが禁止され、これ
に替えて調圧終了後にリッチスパイクが実行されるの
で、空燃比A/Fは、図17に実線で示すように変化す
る。これに対して図16に示す制御を行った場合には、
第3ブレーキB3 の油圧PB3の調圧中であってもリッチ
スパイクを行うから、空燃比A/Fは、図17に破線で
示すように変化する。これらのリッチスパイクのうち、
図15に示すリッチスパイクでは、その実行が保留され
た分だけリッチスパイクの時間Ts1が、通常の場合、例
えば図16に示す制御の場合の時間Ts2より長く設定さ
れる。
【0100】以上、この発明を具体例をもって説明した
が、この発明は上記の各例に限定されないのであり、こ
の発明で対象とする自動変速機は、図1に示すギヤトレ
インや図5に示す油圧回路以外のギヤトレインあるいは
油圧回路を有するものであってもよい。またリッチスパ
イクと時間的に重なる変速は、第3速と第2速との間の
クラッチ・ツウ・クラッチ変速に限定されないのであ
り、他の一般の変速の際にリッチスパイクが重なるとき
に上述した各例と同様に制御してもよい。さらにエンジ
ントルクや自動変速機の入力トルクの検出(推定)の手
段は、上記の実施例で示したものに限定されず、必要に
応じて適宜の手段を採用でき、リッチスパイクに伴うト
ルク変動を補正値として加減算するようにすればよい。
【0101】
【発明の効果】以上説明したように請求項1の発明で
は、変速に関与する摩擦係合装置の油圧をエンジントル
クに基づいて制御するにあたり、そのエンジントルクを
検出もしくは推定している場合に、空燃比を一時的に増
大させるリッチスパイクを実行しないので、エンジント
ルクの検出値が正確なものとなり、したがって摩擦係合
装置の油圧とエンジントルクもしくは自動変速機への入
力トルクとの不適合が防止され、その結果、変速ショッ
クが良好になり、あるいはまた摩擦係合装置の滑りなど
に起因する耐久性の低下が防止される。
【0102】また請求項2の発明では、リッチスパイク
の実行が保留されてNOx の吸収継続時間が長くなるよ
うな場合には、それに応じて次のリッチスパイクの制御
量を変更するので、NOx 吸収剤のNOx 吸収能力を通
常のリッチスパイクを実行した場合と同様に充分に回復
することができる。
【0103】さらに請求項3の発明では、摩擦係合装置
の油圧を決定するためのエンジントルクの検出時にリッ
チスパイクを実行する場合に、そのリッチスパイクに起
因するトルクの変動分を補正量としてエンジントルクの
検出に取り込むので、得られる値が実際のトルク値に等
しいものとなり、その結果、摩擦係合装置の油圧とその
決定根拠となるエンジントルクとの不適合が是正され、
したがってこの発明においても上記請求項1の発明と同
様に変速ショックを改善し、また摩擦係合装置の耐久性
の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明で対象とする自動変速機のギヤトレイ
ンの一例を示すスケルトン図である。
【図2】その自動変速機で各変速段を設定するための摩
擦係合装置の係合作動表を示す図である。
【図3】そのエンジンおよび自動変速機についての制御
系統図である。
【図4】シフト装置における各レンジ位置の配列を示す
図である。
【図5】油圧回路のうち第2ブレーキと第3ブレーキと
を主として制御するための部分を示す油圧回路図であ
る。
【図6】この発明で対象とするエンジンの吸排気系統お
よび空燃比の制御系統を模式的に示す図である。
【図7】基本燃料噴射時間のマップを示す図である。
【図8】エンジンから排出される排気ガス中の未燃焼H
C、COおよび酸素の濃度を概略的に示す線図である。
【図9】NOx の放出作用を説明するための図である。
【図10】NOx の放出制御を説明するための図であ
る。
【図11】エンジントルクと空燃比との関係を説明する
ための図である。
【図12】補正係数KKのマップを示す図である。
【図13】NOx 吸収剤からのNOx の放出制御の一例
を示すフローチャートである。
【図14】燃料噴射量制御の一例を示すフローチャート
である。
【図15】摩擦係合装置の油圧調圧中でのリッチスパイ
クの禁止制御の一例を示すフローチャートである。
【図16】リッチスパイクによるトルク変動分を補正す
る制御例を説明する他のフローチャートである。
【図17】摩擦係合装置の油圧の調圧後にリッチスパイ
クを行った場合および調圧中にリッチスパイクを行った
場合のタイムチャートである。
【符号の説明】
1 エンジン 3 自動変速機 21 エンジン用電子制御装置 33 変速用電子制御装置
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // F16H 61/04 F16H 61/04 F16H 59:74

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 空燃比を大きくしたリーンバーン運転中
    の所定の時期に空燃比を一時的に減少させるリッチスパ
    イクを実行して排気通路中のNOx 吸収剤からNOx を
    放出させるエンジンに、変速時の摩擦係合装置の油圧
    を、検出されたエンジントルクに基づいて設定する自動
    変速機が連結されたエンジンおよび自動変速機の制御装
    置において、 前記エンジントルクを検出中に前記空燃比を一時的に増
    大させるリッチスパイクを禁止する手段を備えているこ
    とを特徴とするエンジンおよび自動変速機の制御装置。
  2. 【請求項2】 前記リッチスパイクの禁止の有無に応じ
    てリッチスパイクの制御量を変更する手段を備えている
    ことを特徴とする請求項1に記載のエンジンおよび自動
    変速機の制御装置。
  3. 【請求項3】 空燃比を大きくしたリーンバーン運転中
    の所定の時期に空燃比を一時的に減少させるリッチスパ
    イクを実行して排気通路中のNOx 吸収剤からNOx を
    放出させるエンジンに、変速時の摩擦係合装置の油圧
    を、検出されたエンジントルクに基づいて設定する自動
    変速機が連結されたエンジンおよび自動変速機の制御装
    置において、 前記油圧を設定するべく検出された前記エンジントルク
    値を、前記リッチスパイクを実行することによるエンジ
    ントルクの変動量に応じて補正する手段を備えているこ
    とを特徴とするエンジンおよび自動変速機の制御装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0992669A3 (en) * 1998-10-02 2001-09-19 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Internal combustion engine
DE10064665A1 (de) * 2000-12-22 2002-08-01 Siemens Ag Verfahren zum Steuern einer Brennkraftmaschine

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