JP4490568B2 - 手摺用ブラケット - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は手摺用ブラケットに関し、特に、不使用時には手摺杆を所定の退避位置まで移動させることのできる手摺用ブラケットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
手摺杆を不使用時に壁面等の設置基部に接近する位置まで回転して退避させることのできる手摺用ブラケットとしては、従来、特開平7-11749号公報に記載されたものが知られている。この従来例において、手摺用ブラケットは壁面等に固定される固定ブラケットと、固定ブラケットに対して回動自在な可動ブラケットとを有する。可動ブラケットは手摺杆の固定部が壁面に接近する収納位置と、壁面から離間する使用位置との間で回動可能であり、可動ブラケットとともに移動可能なピンを両ストローク終端で固定ブラケットの位置決め部に落とし込ませて所定位置に停止させることができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この従来例において、可動ブラケットの姿勢を変更するには、ピンの移動操作を行う必要があるために、操作性が悪い。また、ピンの落し込みの不良により、手摺杆が急に動き出し使用者が負傷するなどの欠点がある。
【0004】
本発明は、以上の欠点を解消すべくなされたものであって、操作性の良好な手摺用ブラケットの提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
手摺杆3を支持する可動ブラケット6は、不使用時には手摺杆3を壁面等に接近する退避位置まで移動させることができ、退避位置、および通常の使用位置において係止突起5がストッパ7に係止されて当該位置に保持される。板バネ状に形成されるストッパ7は、それ自身の有する弾性により係止可能位置側に付勢され、その弾性に抗して係止解除位置に移動させることにより係止突起5との係止状態を解除できる。
【0006】
したがってこの発明において、単にストッパ7を変形させて係止突起5との係止を解除するだけで可動手摺を退避位置から使用位置、あるいは使用位置から退避位置に変更可能にすることができ、操作性が向上する。また、弾性を有して所定位置に保持されるストッパ7により可動ブラケット6の移動を規制するために、構造が簡単になる。
【0007】
さらに、上記可動ブラケットは、使用位置において固定ブラケットに形成されたストッパ面に当接して手摺支持部の固定基部との離間方向への移動が規制されるように構成することができる。
【0008】
このように、手摺杆3の状態、および該手摺杆3への負荷の方向により各位置での維持手段を変更することにより、耐荷重性能が高く、かつ、コンパクトな手摺用ブラケットを得ることができる。すなわち、通常、使用位置において歩行者等が手摺杆3に寄りかかる際には、可動ブラケット6には、手摺杆3が固定基部1よりさらに離間する方向、すなわち、退避位置と反対方向、例えば壁手摺においては下方の力が負荷されるが、如上のように構成した場合には、当該方向における負荷は固定ブラケット2において確実に力を受けることができる。一方、使用位置から退避位置側への回動力、あるいは退避位置への回動力は、通常の手摺の使用においては発生することがなく、発生しても小さな力にしかすぎないために、不用意に移動しない程度の力で当該位置に保持しておくだけで足りるために、ストッパ7として耐応力の大きなものを使用する必要がないために、全体として小型で意匠的にもすっきりとした手摺用ブラケットを得ることができ、退避位置へ移動させた状態で歩行空間を広く確保できる。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1ないし4に示すように、手摺用ブラケットは、固定ブラケット2と、固定ブラケット2に回転自在に枢支される可動ブラケット6とを有する。固定ブラケット2は固定部2aを備え、該固定部2aに設けられた取付孔2bに壁面(固定基部1)側のアンカーボルト1aを挿通させた後、ナット2cを締め付けて壁面1に固定される。また、固定ブラケット2の正面部には、可動ブラケット6が嵌合可能な幅寸法を有する幅狭部10aと、後述するヒンジピン11の長手寸法よりやや長い幅寸法を有する拡幅部10bとからなる収容凹部10が設けられる。
【0010】
可動ブラケット6は一端に手摺杆3を固定するための手摺支持部4を、他端に回転基端部6aを備え、押出成形により製することができるように、全幅にわたって等断面形状で、かつ、正面視短冊形状に形成される。また、手摺支持部4と回転基端部6aとの間は図3に示すように、退避位置においてほぼ垂直となるように角度を付けて連続して歩行空間への突出量を少なくしている。この実施の形態において手摺杆3は、金属製芯材3aの外周に樹脂製被覆材3bを装着して形成され、手摺杆3に形成される嵌合溝3cに可動ブラケット6の手摺支持部4を挿入した後、ビス等の適宜手段で固定される。
【0011】
可動ブラケット6は収容凹部10の幅狭部10aに収容され、ヒンジピン11を介して固定ブラケット2に連結される。図4に示すように、ヒンジピン11が固定ブラケット2の外部に露出しないように、収容凹部10の拡幅部10b上部は側壁から内方に突出する庇片10cにより覆われて袋状に形成され、可動ブラケット6のピン挿通孔6bに挿通されたヒンジピン11は、庇片10c下端の開放部から袋部に挿入された後、後述する補助プレート12により固定される。
【0012】
ヒンジピン11により固定ブラケット2に連結された状態において、上記可動ブラケット6は図1に示す、手摺杆3が壁面1から離間する使用位置と、図3に示す、手摺杆3が壁面1に接近する退避位置との間で回動自在であり、使用位置側の回動ストローク終端は、可動ブラケット6の回転基端部6aに形成された使用位置側ストッパ面6cを固定ブラケット2に形成されたストッパブロック2dのストッパ面9に当接させることにより決定される。また、可動ブラケット6の退避位置側の回動ストローク終端は回転基端部6aの退避位置側ストッパ面6dを上記ストッパブロック2dに当接させて決定され、これらを可能にするために、可動ブラケット6の回動基端部には、可動ブラケット6の回動を許容するための回転中心を中心とする円弧面6eが形成され、使用位置側ストッパ面6c、および退避位置側ストッパ面6dは該円弧面から接線方向に延びる平面として与えられる。また、使用位置側ストッパ面6cは傾斜面とすることにより、支持面積を大きくすることができる。
【0013】
したがってこの実施の形態において、使用状態にある手摺杆3に寄りかかるなどして可動ブラケット6に大きな荷重が図1において矢印A方向に負荷されても、可動ブラケット6への回転荷重を固定ブラケット2が受けるために、容易に回転することがなく、安全性を低下させることがない。
【0014】
上記補助プレート12は、例えば鋼板を折り曲げて形成され、図2(b)に示すように、固定ブラケット2の側壁内壁に沿う一対の固定用翼片12aを備える。固定用翼片12aの上端には軸支持部12bが形成され、上述したヒンジピン11を横方向に配置した後、補助プレート12をねじにより固定ブラケット2の固定部2aに固定すると、図4(b)に示すように、ヒンジピン11は、固定ブラケット2の隅角部と、補助プレート12の軸支持部12bに挟まれた状態となって所定位置に固定される。
【0015】
さらに、手摺用ブラケットは可動ブラケット6が使用位置から退避位置、あるいは退避位置から使用位置への不用意な移動を防止するためのストッパ7を備える。ストッパ7は、ステンレス鋼板等、適宜のバネ性を有する板材を折り曲げて形成され、一端部に曲成される指掛け部7bを備える。また、ストッパ7は他端に固定ブラケット2への固定片7cを備え、固定片7cと指掛け部7bとの間に固定片7cに対してほぼ直角に折り曲げられる開口形成片7aが形成され、該開口形成片7aの中央部に矩形の係止開口8が開設される。
【0016】
一方、可動ブラケット6の回転基端部6aには使用位置保持用突起5Aと、退避位置保持用突起5Bとからなる一対の係止突起5が設けられる。各係止突起5は図5に示すように、可動ブラケット6が使用位置、あるいは退避位置にある際にストッパ7の係止開口8に嵌合する位置に設けられ、可動ブラケット6が使用位置にある際には、図5(a)に示すように、使用位置保持用突起5Aは係止開口8の前端縁に当接して退避位置側への回転が禁止される。また、可動ブラケット6が退避位置にある際には、図5(b)に示すように、退避位置保持用突起5Bが係止開口8の後端縁に当接し、可動ブラケット6の使用位置側への回転を禁止する。
【0017】
ストッパ7により可動ブラケット6の回転を規制している際のストッパ7の不用意な変形を防止するために、該ストッパ7は以下のように配置される。すなわち、可動ブラケット6は使用位置に保持されることが多いために、使用位置から退避位置側への回転操作力に対する抗力を大きくすることを条件とすると、まず、図5(a)に示すように、使用位置における係止突起5と係止開口8の前端縁との当接点13を求める。次に、該当接点13の回転軌跡14を求め、当接点13から回転軌跡14に対する接線15を求める。回転軌跡14は可動ブラケット6の回転中心を中心とする円弧として求められ、接線方向、あるいは接線15とのなす角度(θ)が可及的に小さくなる面を開口形成片7aの配置面として設定する。
【0018】
この結果、使用状態において、可動ブラケット6に誤って使用位置から退避位置に回転する力が負荷されても、ストッパ7の開口形成片7aへの曲げ方向の力がゼロ、あるいは可及的に小さくなって引張り荷重のみが負荷されることとなる。このため、ストッパ7が板状に形成されていても、ストッパ7は容易に変形することなく、大きな保持力を発揮することができる。
【0019】
なお、図5においては、使用位置においてストッパ7への荷重が引張り荷重のみになるように設定され、退避位置においては、図5(b)に示すように、接線15’と保持面との角度θ’が大きくなって曲げ方向の分力がやや大きくなる場合を示したが、これと逆の関係にすることもできる。また、使用位置と退避位置においてほぼ等しい曲げ方向分力が発生するように設定することも可能である。
【0020】
さらに、この実施の形態において、手摺用ブラケット装置はカバー部材16を備える。カバー部材16は例えば板金を折り曲げ形成され、正面カバー部16aと、正面カバー部16aの両端から折り曲げられる固定翼片16bとを有し、固定翼片16bを収容凹部10の側壁内壁面に圧接させることにより装着される。また、カバー部材16は正面カバー部16aの上端から後方に折り曲げられる上部カバー部16cを備え、固定ブラケット2への取り付け状態において、ストッパ7の指掛け部7bを露出させて収容凹部10のほぼ全面を覆い隠す。この状態でストッパ7の指掛け部7bは該ストッパ7を弾性変形させることにより下方に移動可能であり、上記上部カバー部16cが下方への移動ストローク終端を規制する。
【0021】
したがってこの実施の形態において、使用位置、あるいは退避位置から反対位置に回転させるには、ストッパ7の指掛け部7bを一旦下方に押し下げることにより行われる。指掛け部7bの押し下げ操作によりストッパ7は弾性変形し、係止開口8が係止突起5の回転軌跡外に退避し、可動ブラケット6を反対位置に回転させることができる。この後、指掛け部7bから指を離すと、ストッパ7は弾性により原位置に復帰して係止開口8が係止突起5を包囲して反対位置への回転を禁止する。
【0022】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、手摺杆を簡単な操作で退避位置と使用位置との間で移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を示す断面図である。
【図2】本発明を示す図で、(a)は全体斜視図、(b)は分解斜視図である。
【図3】退避位置にあるときの図1に対応する断面図である。
【図4】本発明の要部を示す図で、(a)は正面図、(b)は(a)の4B-4B線断面図である。
【図5】ストッパの動作を示す説明図で、(a)は使用位置にある場合、(b)は退避位置にある場合を示す。
【符号の説明】
1 固定基部
2 固定ブラケット
3 手摺杆
4 手摺支持部
5 係止突起
6 可動ブラケット
7 ストッパ
7a 開口形成片
8 係止開口
9 ストッパ面

Claims (3)

  1. 壁面等の固定基部に固定される固定ブラケットと、
    手摺杆を支持する手摺支持部と係止突起とを備え、該手摺支持部が固定基部に接近する退避位置と、固定基部から離間する使用位置との間で固定ブラケットに回動可能に枢支される可動ブラケットと、
    固定ブラケットに固定され、バネ性を有する板材を折り曲げて形成されて係止可能位置側に付勢されるストッパとを有し、
    前記可動ブラケットは係止突起をストッパに係止して反対位置への回動が規制され、ストッパを弾性に抗して係止可能位置から係止解除位置に移行させた際に反対位置への移行が許可され
    かつ、前記ストッパには矩形の係止開口が形成されるとともに、可動ブラケットには係止開口の周縁のうち対向する一対の縁のいずれか一方に選択的に係止する一対の係止突起が設けられる手摺用ブラケット。
  2. 前記ストッパは一端に指掛け部を、他端に固定ブラケットへの固定片を備え、前記固定片と前記指掛け部との間に前記固定片に対してほぼ直角に折り曲げられる開口形成片が形成され、
    前記係止開口は開口形成片の中央部に開設され、
    かつ、前記開口形成片は係止突起の係止開口周縁への当接状態において、当接点を通った係止突起の回転軌跡の接線方向近傍に延設される請求項1記載の手摺用ブラケット。
  3. 前記可動ブラケットは、使用位置において固定ブラケットに形成されたストッパ面に当接して手摺支持部の固定基部との離間方向への移動が規制される請求項1記載の手摺用ブラケット。
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