JP4489409B2 - Icカード用icモジュールの形成方法とicカード用icモジュール - Google Patents
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Description
しかし、ICカード化して使用する過程において、金めっき面に錆が生じることが認められている。これは、薄層の金めっき面に生じている微小なピンホールに人体から生じる汗や、高温、高湿度の環境により水分が浸透し、銅箔上のニッケルめっきが錆びることに起因している。
この錆は、外観を損ねるだけではなく、錆の進行により電気的接続不良を引き起こす原因ともなる。
この錆を防止する対策として、金めっき層を厚くしてピンホールを防ぐ方法があるが、コスト高になる問題がある。
図3は、上記従来のICモジュールを実装したICカードを示す平面図である。ICカード14は、ICカード用基体15に従来のICモジュール16の接続端子部11が表面に露出しており、該接続端子部11と外部接続装置であるICカードリーダーライターの接続ピンとが電気的に接続してデータ交信を行う。なお、接続端子部11は、JIS X 6303にて、各端子の機能が規格化されている。
なお、接着シート18の外形は、ザグリ凹部17よりのはみ出しを防止するため、従来のICモジュール16の外形より一回り小さな形状となっている。さらに、接着シート18には封止樹脂部19より一回り大きな穴を開けた形状となっている。
接着シート18に封止樹脂部19より一回り大きな穴を開けるのは、接着シート18を従来のICモジュール16の裏面に貼付するときの作業性を考慮したものである。
このため、ICモジュール16の回路面には、外形周縁近くと樹脂封止部19の近くに接着シート18で被覆されていない部分が存在する。
図5のように、接続端子基板20は、ガラスエポキシ材料等による絶縁基板材料10の両面に銅箔21を接着剤でラミネートした基板に通常フォトエッチング法により、接続端子部5が形成される接続端子金属面2とこの裏面にICチップを実装するための回路等の回路面22を形成するパターニングにより形成されている。さらに、接続端子金属面2とこの裏面の回路面22との貫通孔(穴)23にも、ニッケル下地めっき9が厚さ3μmほど施された後に金めっき8が厚さ0.1μmほど施された構成となっている。
なお、貫通孔(穴)23にもニッケル下地めっき9及び金めっき8が施されることにより、接続端子部5とこの裏面の回路面22とが導通され、特にこの貫通孔(穴)23のめっきをスルーホールめっき24と称している。
また、この金めっき8は、厚さ0.1μmであり、非常に薄いため、直径数Å程度のピンホール3が不回避的に生じている。本発明は、このような微小なピンホール3に起因する錆の発生を防止する技術に関する。
すなわち、特許文献1では、ICモジュールとカード基材の間に接着シート等の接着層が介在している裏面側のモジュール基材上に形成されている配線部の一部は上記の接着層で被覆されているものの、被覆されていない部分の配線部も存在しており、ICモジュールとカード基材の間の隙間に水分が侵入したり、水が溜まったりした場合に、配線部に短絡が発生したり、またICカードの曲げや捻じれなどの負荷によって配線部表面のめっきに微細な亀裂が発生した場合に、水分との接触によって亀裂部分から腐食が進行して導通不良を生じることがあるという不都合を指摘している。
そこで、本発明は、ICカードの接続端子金属面の腐蝕問題を解消するべく、接続端子金属面に封孔剤を塗布することで、金めっき面に生じているピンホールを封止できることに着目し、ICカードのICモジュール接続端子金属面の耐蝕性を向上させる技術を鋭意研究して本発明の完成に至ったものである
a.絶縁基材の両面に銅箔貼りしたプリント基板の銅箔をエッチングして、表面側に所定数の接続端子を各接続端子が露出した絶縁基材により区画されるように形成すると共に、プリント基板の裏面側に必要な回路を形成する工程、
b.表面側の接続端子と裏面側の回路の銅箔にニッケル下地めっきを施してから金めっきを施す工程、
c.少なくとも表面側接続端子の金めっき面を含む全面に、メルカプト化合物と界面活性剤を含む封孔剤を塗布して、メルカプト化合物の硫黄(S)原子が有する非共有電子対により、金めっき層に生じたピンホールを介して該メルカプト化合物を下地金属のニッケルに結合させて金めっき層のピンホールを封止する一方、前記露出した絶縁基材にはメルカプト化合物を付着させない工程、
封孔剤には、メルカプト化合物4を主成分とし、界面活性剤6を含む封孔剤が好ましく使用できる。その理由は、封孔剤に含有されるメルカプト化合物4の親水基(SH)5と界面活性剤6の親水基7が、金めっき8の金属イオン及びピンホール3により露出しているニッケル下地めっき9の金属イオンと強固に結合することによる。
なお、メルカプト化合物4の薄膜自体は導電性であって端子端子部5の導通を阻害することはない。
また、メルカプト化合物4の親水基(SH)5及び界面活性剤6の親水基7は、金属ではないガラスエポキシ材料等による絶縁基板材料10には自由電子がないため金属イオン結合できないため、ガラスエポキシ材料等による絶縁基板材料10にはメルカプト化合物4及び界面活性剤6が付着せず、接続端子金属面2の接続端子部11の間での短絡が生じることはない。
図2は、メルカプト化合物4が、親水基(SH)5と疎水基(R)12より形成され、界面活性剤6にも親水基7と疎水基13があること示す模式図である。
封孔剤に含有されるメルカプト化合物の下記化学式(1)として示す。なお、メルカプト化合物は、親水基(SH)と疎水基(R)部分からなり、親水基(SH)のSには一対の非共有電子対を有している。この非共有電子対が接続端子金属面2及びニッケル下地めっき9との結合に作用する。
│
S−H
・・
以下、本発明のICカード用ICモジュールの形成方法とICカード用ICモジュールの実施例を説明する。
<接続基板の製造工程>
両面銅箔貼りガラスエポキシ材料プリント基板(ガラエポエポキシ材料110μm、銅箔層各35μm厚)の表面側に、6端子からなる接続端子をフォトエッチング法で形成した。また、裏面側には回路面をフォトエッチング法により同時に形成した。その後、接続端子金属面とこの裏面の回路面との貫通孔(穴)を形成した後にニッケル下地めっきを厚さ3μm施してから、金めっきを厚さ0.1μm施した。
封孔処理は、メルカプト化合物である株式会社ジャパンエナジー製Colllintacs−W 25g/Lに界面活性剤 80g/Lを含有させたイオン交換水溶液である封孔剤を用いて、接続端子金属面8のみに乾燥後の厚みが3μm程度になるようにスプレーで塗布する。この後、常温にて1分間放置し、自然乾燥する。
<ICモジュール製造工程>
ICチップは、0.38mmになるまでバックラップし、ダイボンデングにより総厚0.19mmの接続端子基板に搭載する。その後、ワイヤボンデングにて、接続端子部につながる接続部とICチップの接続パットとは、金ワイヤーにより接続される。この後、樹脂封止は、ポッテング方式によりモールド樹脂を滴下後に硬化で樹脂封止部が得られる。なお、樹脂封止の硬化条件は、150℃、15分である。以上により、ICモジュール3の総厚は、0.6mm程度となる。
さらに、ICカード用カード基体との熱圧着用にICモジュールの回路面には、ポリエステル系接着シートを貼付する。
コアシートは、2層とし、それぞれの厚みが、0.36mmの白色硬質塩化ビニールシートを重ねたのちに、上下に0.05mmの透明塩化ビニールシートを重ねて、熱圧融着(150°C、20kgf/cm2、15分)後に個々のカード
サイズに打ち抜きを行い、ICカード用カード基体が得られる。
上記ICカード用カード基体2のザグリ凹部にポリエステル系接着シートが貼付されたICモジュールをはめ込み、ホットスタンパーなどにより熱圧着(170℃、15kgf/cm2、5秒)で固定することで、ICカードを完成した。
表1に示す試験条件による塩水噴霧試験後に、接続端子金属面4に生じた腐蝕箇所を倍率5倍の光学顕微鏡にて目視で計数した。
ICカードのICモジュールは、COB(Chip On Board)の形態で説明したが、リール形状のフレキシブル基板を用いたCOT(Chip On Tape)の形態でも良い。
2……接続端子金属面
3……ピンホール
4……メルカプト化合物
5……親水基(SH)
6……界面活性剤
7……界面活性剤の親水基
8……金めっき
9……ニッケル下地めっき
10…絶縁基板材料
11…接続端子部
12…疎水基(R)
13…界面活性剤の疎水基
14…ICカード
15…ICカード用基体
16…従来のICモジュール
17…ザグリ凹部
18…接着シート
19…樹脂封止部
20…接続端子基板
21…銅箔
22…回路面
23…貫通孔
24…スルーホールめっき
25…ICチップ
26…接続端子部につながる接続部
27…ICチップの接続パット
28…金ワイヤー
Claims (2)
- 以下のa.〜c.の工程を有することを特徴とするICカード用ICモジュールの形成方法、
a.絶縁基材の両面に銅箔貼りしたプリント基板の銅箔をエッチングして、表面側に所定数の接続端子を各接続端子が露出した絶縁基材により区画されるように形成すると共に、プリント基板の裏面側に必要な回路を形成する工程、
b.表面側の接続端子と裏面側の回路の銅箔にニッケル下地めっきを施してから金めっきを施す工程、
c.少なくとも表面側接続端子の金めっき面を含む全面に、メルカプト化合物と界面活性剤を含む封孔剤を塗布して、メルカプト化合物の硫黄(S)原子が有する非共有電子対により、金めっき層に生じたピンホールを介して該メルカプト化合物を下地金属のニッケルに結合させて金めっき層のピンホールを封止する一方、前記露出した絶縁基材にはメルカプト化合物を付着させない工程、 - ICモジュールの接続端子表面の金めっき面に、メルカプト化合物と界面活性剤を含む封孔剤が塗布され、メルカプト化合物の硫黄(S)原子が有する非共有電子対により、金めっき層に生じたピンホールを介して該メルカプト化合物が下地金属のニッケルに結合して、金めっき層に生じたピンホールを封止していることを特徴とするICカード用ICモジュール。
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