JP4486264B2 - 導電性基材の製法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、導電性基材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、フィルム、成形板および粒子など形状をしたプラスチックや無機物からなる絶縁性基材の表面を金属化して導電性基材を得る方法が実用に供されている。例えば、1)液相中で金属化合物を還元処理して基材表面へ金属を析出させる方法、2)真空中で金属を蒸発させ基材表面へ金属を析出させる方法、および、3)真空中で金属化合物を蒸発させ基材表面へ金属化合物を析出させた後に分解還元処理するか、または、基材表面へ析出するまでに分解還元化して基材表面へ金属を析出させる方法などが知られている。
【0003】
しかしながら、上述したいずれの方法であっても、基材表面から金属が剥離して導電不良や導電性の不均一性などが見られるという問題が発生する。また、基材表面に金属が均一に析出しないという理由からも、同様の問題が発生する。
特に、前記基材の形状が粒子である場合は、他の形状と比べても、粒子表面全体が均一に金属化されにくく、粒子表面から金属が剥離しやすい等の問題を抱えており、現状のレベルではまだ十分ではない。このような問題を有する粒子が1個でも存在すると、導電性不良を容易に招き信頼性が大きく低下するため、さらなる向上が望まれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の解決しようとする課題は、基材表面が金属化された導電性基材の製造方法であって、基材表面と金属との密着性に優れ、かつ、基材表面が均一に金属化され得る、新規な導電性基材の製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するために、鋭意検討を行った。その結果、導電性基材の本体となる基材として表面に官能基を有するものを用いるとともに前記官能基と反応性を示す金属化合物を用いることに着目し、そして、前記金属化合物を蒸発させ、この蒸発させた前記金属化合物を化学反応によって前記基材の表面に結合させる工程を含むようにした新規な導電性基材の製造方法によれば、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明にかかる導電性基材の製造方法は、
還元雰囲気下において基材の表面を金属化し、前記基材の表面に導体層を形成する方法であって、前記基材として粒子であってその表面に水酸基、エポキシ基、アルコキシ基から選択される少なくとも1種からなる官能基を有するものを用いるとともに、金属のアルコキシ化合物もしくはβ−ジケトンキレート化合物からなり前記官能基に対する反応性を有する金属化合物を蒸発させ、蒸発した金属化合物を流量10〜200ml/minのキャリアガスを利用して基材に接触させ基材表面の官能基と金属化合物を50〜300℃の反応温度で0.1〜30時間反応させることにより前記基材表面と前記金属化合物とを化学的結合させる工程を含む、ことを特徴とする
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかる導電性基材の製造方法について具体的に説明する。
本発明にかかる導電性基材の製造方法は、
還元雰囲気下において基材の表面を金属化し、前記基材の表面に導体層を形成する方法であって、前記基材として粒子であってその表面に水酸基、エポキシ基、アルコキシ基から選択される少なくとも1種からなる官能基を有するものを用いるとともに、金属のアルコキシ化合物もしくはβ−ジケトンキレート化合物からなり前記官能基に対する反応性を有する金属化合物を蒸発させ、蒸発した金属化合物を流量10〜200ml/minのキャリアガスを利用して基材に接触させ基材表面の官能基と金属化合物を50〜300℃の反応温度で0.1〜30時間反応させることにより前記基材表面と前記金属化合物とを化学的結合させる工程を含む方法である。
【0007】
ここで「前記基材表面と前記金属化合物とを化学的結合させる」とは、「前記基材表面に前記金属化合物を析出および化学的結合させる」という趣旨を好ましく含んでいてもよい。以下、「化学的結合」を単に「結合」と言うことがある。
しかしながら、本発明の製造方法に含まれる工程としては、上記工程に限定されることは無く、適宜、他の何らかの工程を含んでいてもよいとし、前記他の何らかの工程としては、具体的には、例えば、
蒸発させた前記金属化合物をキャリアガスとともに前記基材と混合させる工程、
前記基材表面に析出および結合させた金属化合物の上に、さらに、新たな金属化合物を析出および結合させる工程、
前記基材表面に結合した金属化合物を分解還元処理し前記基材表面に導体層を得る工程、
前記基材表面に析出および結合しなかった金属化合物を回収して、再度上記工程のいずれかに用いる工程、
などを好ましく挙げることができるが、特にこれらに限定されるわけではない。
【0008】
〔ALE(Atomic Layer Epitaxy)法〕
本発明にかかる導電性基材の製造方法は、上述したような工程を含む製造方法であるが、さらに、ALE(Atomic Layer Epitaxy)法を用いた製造方法とすることが好ましい。
ALE(Atomic Layer Epitaxy)法とは、いわゆるCVD法の1種であり、PVD(真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティングなど)法とは原理的に異なるものである。具体的には、まず、金属化合物を蒸発させ、この金属化合物の蒸気を窒素ガスなどのキャリアガスを利用して、目的の基材となるものの場所まで移動させ、前記金属化合物の蒸気を前記基材に接触させるわけであるが、ALE法では、この際、前記基材としてその表面に何らかの官能基を有するものを用い、金属化合物をこの官能基と反応させ結合させるという点で、通常のCVD法でいう化学的蒸着法とは異なる。よって、基材表面への物理的な沈積が起こらなくても(過剰な析出部分を発生させずに)基材表面に均一に析出させることができ、また、基材表面と導体層との化学的結合により、一度形成された導体層が剥離しないため、導通不良などの無い優れた導電性基材とすることができる。
【0009】
ALE法では、直接金属処理しても良いし、一旦、金属原料化合物で処理してその後分解して金属化させても良い。
前記金属化合物を蒸発させるための温度(原料温度)は、用いる金属化合物によって適宜最適な温度を選択すればよいが、通常、50〜500℃が好ましく、より好ましくは80〜400℃、さらにより好ましくは100〜300℃である。前記原料温度が、50℃未満の場合は、金属化合物の蒸発が不十分となるので好ましくなく、500℃を超える場合は、金属化合物が分解しやすくなるため好ましくない。
【0010】
また、前記金属化合物を蒸発させる際は、減圧することが好ましく、これについても用いる金属化合物によって適宜最適な圧力(減圧後の圧力)を選択すればよいのであるが、通常、0.1atm以下に減圧するのが好ましく、より好ましくは0.001〜0.05atmに、さらにより好ましくは0.002〜0.02atmに減圧することである。前記圧力(減圧後の圧力)が、0.1atmを超える場合は、金属化合物の蒸発が不十分となるので好ましくない。
また、前記キャリアガスとしては、還元性がある、もしくは、金属化合物と反応しない不活性な気体であれば、特に限定されるわけではないが、具体的には、窒素、ヘリウム、アルゴンなどのガスを好ましく挙げることができ、なかでも、窒素ガスがより好ましい。
【0011】
前記キャリアガスの流量は、10〜200ml/minが好ましく、より好ましくは20〜150ml/min、さらにより好ましくは30〜100ml/minである。前記キャリアガスの流量が、10ml/min未満の場合は、金属化合物の反応性や反応速度が低下するので好ましくなく、200ml/minを超える場合は、金属化合物を必要以上に多量に使用することとなるので好ましくない。
前記金属化合物(蒸発させたもの)を前記基材に接触させる際の反応温度および反応時間としては、これについても用いる金属化合物および基材によって適宜最適な値を選択すればよいのであるが、通常、反応温度は50〜300℃が好ましく、より好ましくは80〜250℃、さらにより好ましくは100〜200℃である。この反応温度が、50℃未満の場合は、金属化合物の反応性の低下や、基材表面に形成される導電層の均一性が低下するので好ましくなく、300℃を超える場合は、基材によっては分解されやすくなるので好ましくない。また、反応時間については、0.1〜30時間(h)が好ましく、より好ましくは1〜25時間(h)、さらにより好ましくは2〜20時間(h)である。この反応時間が、0.1時間(h)未満の場合は、金属化合物と基材表面との反応量が少なくなるので好ましくなく、30時間(h)を超える場合は、金属化合物を必要以上に多量に使用することとなるので好ましくない。
【0012】
〔基材〕
本発明にかかる導電性基材の製造方法に用いる基材について、以下に詳しく説明する。
前記基材については、その形状は、特に限定されるわけではないが、具体的には、粒子状、フィルム状、板状などを好ましく挙げることができる。なかでも、導電性基材としての利用面の豊富さの点で粒子状の形状が特に好ましい。
また、前記基材の組成については、プラスチック等の有機物、セラミックス等の無機物、および、有機質無機質複合体など、絶縁体となるものであればどのような組成のものでもよく、特に限定されるわけではないが、なかでも、有機質無機質複合体が好ましい。
【0013】
本発明においては、前記基材はその表面に官能基を有するが、この官能基としては、特に限定されるわけではなく、具体的には、水酸基、および、水酸基となり得る官能基(例えば、エポキシ基やアルコキシ基など)等を好ましく挙げることができる。
上述したように、本発明にかかる導電性基材の製造方法に用いる基材としては、形状が粒子状のものが特に好ましい。この粒子状の基材を、便宜上、以下においては、「粒子本体(原料粒子)」として説明する。
(粒子本体(原料粒子))
粒子本体の平均粒子径は、特に限定されるわけではないが、0.1μm以上であることが好ましく、より好ましくは0.2〜1000μm、さらにより好ましくは0.5〜500μmである。前記平均粒子径が0.1μm未満であると、取り扱いが困難となるので好ましくない。
【0014】
粒子本体の粒子径の変動係数(CV)は、特に限定されるわけではないが、実装や電極材料として用いる場合には、30%以下であることが好ましく、より好ましくは20%以下、さらに好ましくは10%以下である。
粒子本体の形状は、特に限定されるものではなく、具体的には、球状、針状、板状、鱗片状、破砕状、俵状、まゆ状、金平糖状等の任意の粒子形状を好ましく挙げることができるが、なかでも、実装や電極材料として用いる場合には球状が好ましい。
本発明にかかる導電性基材の製造方法に用いる粒子本体としては、特に限定されるわけではないが、例えば、有機質無機質複合体粒子、有機架橋重合体粒子および無機系粒子等を好ましく挙げることができる。なかでも、有機質無機質複合体粒子および有機架橋重合体粒子は、弾性を有しているので、各種実装用として用いる場合などでは好ましく、特に有機質無機質複合体粒子がより好ましい。
【0015】
前記有機質無機質複合体粒子とは、有機質部分と無機質部分とを含む複合粒子であることが好ましい。この有機質無機質複合体粒子において、前記無機質部分の割合は、特に限定されるわけではないが、例えば、前記有機質無機質複合体粒子の重量に対して、無機酸化物換算で、10〜90wt%の範囲であることが好ましく、より好ましくは25〜85wt%、さらに好ましくは30〜80wt%である。前記無機酸化物換算とは、好ましくは、有機質無機質複合体粒子を空気中などの酸化雰囲気中で高温(例えば1000℃)で焼成した前後の重量を測定することにより求めた重量百分率で示される。前記有機質無機質複合体粒子の前記無機質部分の割合が、無機酸化物換算で10wt%を下回る場合は、前記有機質無機質複合体粒子は軟らかくなり、電気的接続が不安定になるため好ましくなく、90wt%超える場合は、前記有機質無機質複合体粒子が硬くなりすぎて、他の配線部品の断線が生じやすくなるおそれがあるので好ましくない。
【0016】
有機質無機質複合体粒子は、特に限定されるわけではないが、具体的には、有機ポリマー骨格と、前記有機ポリマー骨格中の少なくとも1個の炭素原子にケイ素原子が直接化学結合した有機ケイ素を分子内に有するポリシロキサン骨格とを含み、前記ポリシロキサン骨格を構成するSiO2の量が10wt%以上である、有機質無機質複合体粒子A等を好ましく挙げることができる。ここで、有機質無機質複合体粒子Aは、G≧14・Y1.75(ここで、Gは破壊強度〔kg〕を示し;Yは粒子径〔mm〕を示す)を満足する破壊強度であると好ましく、10%圧縮弾性率が300〜2000kg/mm2、10%変形後の残留変位が0〜5%であるとさらに好ましい。
【0017】
本発明の導電性基材の製造方法に用いる粒子本体が、上述したような条件を満たす有機質無機質複合体粒子であれば、適度な機械的復元性、硬度および破壊強度を有することができ、さらには、すでに導体層が形成されているものについては、「加圧による導体層の剥がれ落ち」、「電気的に接続されるべきではない部分でのショートの発生」および「電気的に接続されるべき部分の接触不良」などが防止される。
有機質無機質複合体粒子Aの製造方法については、特に限定されるわけではないが、例えば、下記に示す縮合工程と重合工程と熱処理工程とを含む製造方法を好ましく挙げることができる。
【0018】
前記縮合工程とは、ラジカル重合性基含有第1シリコン化合物を用いて加水分解・縮合する工程であることが好ましく、この縮合工程では、触媒としてアンモニア等の塩基性触媒を好ましく用いても良い。
ラジカル重合性基含有第1シリコン化合物は、次の一般式(1):
【0019】
【化1】
Figure 0004486264
【0020】
(ここで、Raは水素原子またはメチル基を示し;Rbは、置換基を有していても良い炭素数1〜20の2価の有機基を示し;Rcは、水素原子と、炭素数1〜5のアルキル基と、炭素数2〜5のアシル基とからなる群から選ばれる少なくとも1つの1価基を示す。R1は、炭素数1〜5のアルキル基とフェニル基とからなる群から選ばれた少なくとも1種の1価の基を示す。lは1または2であり、pは0または1である。)
と、次の一般式(2):
【0021】
【化2】
Figure 0004486264
【0022】
(ここで、Rdは水素原子またはメチル基を示し;Reは、水素原子と、炭素数1〜5のアルキル基と、炭素数2〜5のアシル基とからなる群から選ばれる少なくとも1つの1価基を示す。R2は、炭素数1〜5のアルキル基とフェニル基戸からなる群から選ばれた少なくとも1種の1価の基を示す。mは1または2であり、qは0または1である。)
と、次の一般式(3):
【0023】
【化3】
Figure 0004486264
【0024】
(ここで、Rfは水素原子またはメチル基を示し;Rgは、置換基を有していても良い炭素数1〜20の2価の有機基を示し;Rhは、水素原子と、炭素数1〜5のアルキル基と、炭素数2〜5のアシル基とからなる群から選ばれる少なくとも1つの1価基を示す。R3は、炭素数1〜5のアルキル基とフェニル基とからなる群から選ばれた少なくとも1種の1価の基を示す。nは1または2であり、rは0または1である。)
とからなる群から選ばれる少なくとも1つの一般式で表される化合物またはその誘導体であることが好ましい。
【0025】
前記重合工程は、前記縮合工程中および/または前記縮合工程後に、ラジカル重合性基をラジカル重合反応させて粒子を得る工程であることが好ましい。
前記熱処理工程は、前記重合工程で生成した重合体粒子を800℃以下、より好ましくは100〜600℃の温度で乾燥および焼成する工程であり、例えば、10容量%以下の酸素濃度を有する雰囲気中や減圧下で行われることが好ましい。
〔金属化合物〕
本発明にかかる導電性基材の製造方法に用いる金属化合物について、以下に詳しく説明する。
【0026】
前記金属化合物とは、具体的には、金属塩、金属錯体および有機金属化合物などの、一般的に挙げられる、分子中に何らかの金属(金属原子)を含む化合物であればよく、特に限定されるわけではないが、本発明においては、前述した基材表面の官能基と反応性および結合性を有するものであることが好ましい。
本発明の導電性基材の製造方法において、前記基材表面に導体層を形成し得るのに好ましい金属、すなわち、前記金属化合物に含まれる金属として好ましいものは、従来公知のものでよく、特に限定されるわけではないが、たとえば、ニッケル(Ni)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、インジウム(In)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、アルミニウム(Al)およびこれらの合金等を好ましく挙げることができる。なかでも、ニッケル(Ni)、金(Au)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、銅(Cu)およびインジウム(In)は導電性が高いのでより好ましく、特に、ニッケル(Ni)、金(Au)およびインジウム(In)が好ましく、金(Au)が最も好ましい。
【0027】
すなわち、本発明の導電性基材の製造方法においては、金属化合物として、上に列挙した、ニッケル(Ni)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、インジウム(In)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、アルミニウム(Al)およびこれらの合金等からなる群より選ばれる少なくとも1つを分子中に含む金属化合物を用いることが好ましく、なかでも、Ni、Au、Ag、Pd、CuおよびInからなる群より選ばれる少なくとも1つを含む金属化合物を用いることがより好ましく、Ni、InおよびAuからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素を含む金属化合物を用いることが特に好ましい。なお、上記金属化合物において分子中に含まれる金属の含有率は、特に制限されるわけではない。また、本発明の製造方法における金属化合物としては、上記金属化合物の中の1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0028】
前記導体層については、前記基材表面に形成される前記導体層の厚みは、結果的に十分な導通や伝導性があれば特に限定されるわけではないが、0.01〜1μmとなっていることが好ましく、より好ましくは0.02〜0.5μmである。導体層の厚みが0.01μm未満の場合は、導電性が不十分となるおそれがあるので好ましくなく、1μmを超える場合は、基材(例えば、粒子本体など)と導体層との熱膨張率の差により、導体層が基材表面から剥がれ落ちやすくなるおそれがあるので好ましくない。
前記金属化合物のなかでも、前記有機金属化合物としては、特に限定されるわけではないが、例えば、上記金属のアルコキシ化合物、アセチルアセトネート化合物などのβ−ジケトン等の配位した化合物(β−ジケトンキレート化合物)を好ましく挙げることができる。
【0029】
【実施例】
以下に、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。なお、以下では、便宜上、「重量部」を単に「部」と記すことがある。
まず、以下の記載中に示す、各種粒子の平均粒子径(および粒子径の標準偏差、粒子径の変動係数)は下記の方法により測定した。
〔平均粒子径と粒子径の変動係数〕
試料を電子顕微鏡により観察して、その撮影像の任意の試料200個の粒子径を実測し、次式に従って、平均粒子径、粒子径の標準偏差および粒子径の変動係数を求めた。
【0030】
【数1】
Figure 0004486264
【0031】
【数2】
Figure 0004486264
【0032】
【数3】
Figure 0004486264
【0033】
(有機質無機質複合体粒子)
−製造例1−
冷却管、温度計、滴下口のついた4つ口フラスコ中に25%アンモニア水溶液10g、水650gを混合した溶液(A液)を入れ、25±2℃に保持し、攪拌しながらこの溶液中に、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン100g、メタノール200g、テトラエトキシシランの2〜5量体(多摩化学株式会社製、シリケート40)20g、ラジカル重合開始剤としての2、2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業社製、V−75)0.53gを混合した溶液(B液)を滴下口から添加して、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシランの加水分解、縮合を行った。攪拌を継続しながら1時間後に、界面活性剤としてのポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルサルフェートアンモニウム(第一工業製薬製、ハイテノールN−08)の10%水溶液65gを前記滴下口より添加し、その1時間後、窒素雰囲気下で70±5℃に加熱し、ラジカル重合を行った。
【0034】
加熱を2時間続けた後、室温まで冷却し、重合体粒子の懸濁体を得た。得られた懸濁体を光学顕微鏡で観察したところ粒子間の凝集は認められなかった。
次に、この懸濁体を濾過により固液分離し、得られたケーキをメタノールによる洗浄を3回繰り返して行い、得られた重合体粒子を窒素雰囲気下280℃で2時間加熱して、製造例1の有機質無機質複合体粒子(以下、有機質無機質複合体粒子(A)と称す)を得た。有機質無機質複合体粒子(A)は平均粒子径5.31μm、変動係数5.0%であった。
−製造例2−
冷却管、温度計、滴下口のついた四つ口フラスコ中に25%アンモニア水溶液2.9g、メタノール10.1g、水141.1gを混合した溶液(A液)を入れ、25±2℃に保持し、攪拌しながら該溶液中に、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン27g、メタノール54g、ラジカル重合開始剤として2,2′−アゾビス−(2.4−ジメチルバレロニトリル)0.14gを混合した溶液(B液)を滴下口から添加して、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランの加水分解、縮合を行った。攪拌を継続しながら20分後、窒素雰囲気中で70±5℃に加熱し、ラジカル重合を行った。
【0035】
加熱を2時間続けた後、室温まで冷却し、重合体粒子の懸濁体を得た。得られた懸濁体を光学顕微鏡で観察したところ粒子間の凝集は認められなかった。
次に、この懸濁体を濾過により固液分離し、得られたケーキをメタノールによる洗浄を3回繰り返して行い、得られた重合体粒子を真空乾燥機中で200℃で2時間真空乾燥して、製造例2の有機質無機質複合体粒子(以下、有機質無機質複合体粒子(B)と称す)を得た。有機質無機質複合体粒子(B)は、平均粒子径4.24μm、変動係数3.8%であった。
−実施例1−
基材として有機質無機質複合体粒子(A)を2.0g、金属化合物としてAu化合物であるジメチルアセチルアセトナート金を0.30g用いて、ALE(Atomic Layer Epitaxy)法により、原料温度35℃、減圧度0.5atm、反応温度70℃、反応時間4時間という条件で、窒素(N2)ガス(流量50ml/min)をキャリアガスとし、粒子状の導電性基材を得た。さらに、得られた導電性基材を130℃、15時間熱処理し、実施例1の粒子状導電性基材(以下、導電性粒子(1)と称す)を得た。
【0036】
この導電性粒子(1)のAu担持量を、EDX分析により測定したところ、11%であった。
また、この導電性粒子(1)について、上記実施例1のALE法の条件による処理と、その後の130℃、15時間熱処理との組み合わせの処理を2回追加して行い、さらにその後に150℃、15時間の熱処理を行って、新たな実施例1の粒子状導電性基材(以下、導電性粒子(11)と称す)を得た。
この導電性粒子(11)のAu担持量を、EDX分析により測定したところ、26%であった。また、得られた導電性粒子(1)および導電性粒子(11)を各々そのままSEM(走査型電子顕微鏡)により観察したところ、粒子がチャージアップしなかったことにより、導電性粒子表面にはAuにより均一に被覆されていることが分かった。
【0037】
次に、得られた導電性粒子(1)および導電性粒子(11)を各々円盤状に加圧成形して、厚み方向の導電性を測定したところ良好な導電性を示した。また、加圧形成した導電性粒子をメノウ乳鉢中で解砕して、導電性基材粒子表面のAuの密着性を評価したが、解砕後の導電性粒子(1)および導電性粒子(11)の導電性に変化は無く、良好な密着性を有していた。
−実施例2−
実施例1において、有機質無機質複合体粒子(A)を有機質無機質複合体粒子(B)に変更して使用量を1.0gとし、Au化合物であるジメチルアセチルアセトナート金を0.12gの使用量とし、また、原料温度は室温から55℃まで徐々に上昇させることとし、反応温度は90℃とし、ALE法による処理後の熱処理はしなかった、ということ以外は同様にして、実施例2の粒子状導電性基材(以下、導電性粒子(2)と称す)を得た。
【0038】
また、この導電性粒子(2)をそのままSEM(走査型電子顕微鏡)により観察したところ、粒子がチャージアップしなかったことにより、導電性粒子表面にはAuにより均一に被覆されていることが分かった。
次に、得られた導電性粒子(2)を円盤状に加圧成形して、厚み方向の導電性を測定したところ良好な導電性を示した。また、加圧成形した導電性粒子をメノウ乳鉢中で解砕して、導電性基材粒子表面のAuの密着性を評価したが、解砕後の導電性粒子(2)の導電性に変化は無く、良好な密着性を有していた。
【0039】
【発明の効果】
本発明によれば、基材表面が金属化された導電性基材の製造方法であって、基材表面と金属との密着性に優れ、かつ、基材表面が均一に金属化され得る、新規な導電性基材の製造方法を提供することができる。

Claims (2)

  1. 還元雰囲気下において基材の表面を金属化し、前記基材の表面に導体層を形成する方法であって、
    前記基材として粒子であってその表面に水酸基、エポキシ基、アルコキシ基から選択される少なくとも1種からなる官能基を有するものを用いるとともに、
    金属のアルコキシ化合物もしくはβ−ジケトンキレート化合物からなり前記官能基に対する反応性を有する金属化合物を蒸発させ、
    蒸発した金属化合物を流量10〜200ml/minのキャリアガスを利用して基材に接触させ基材表面の官能基と金属化合物を50〜300℃の反応温度で0.1〜30時間反応させることにより前記基材表面と前記金属化合物とを化学的結合させる工程を含む、
    ことを特徴とする、導電性基材の製造方法。
  2. 前記金属化合物として、Ni、Au、Ag、Pd、CuおよびInからなる群より選ばれる少なくとも1つを含む化合物を用いる、請求項1に記載の導電性基材の製造方法。
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