JP2001152045A - 金メッキシリカ及びその製造方法 - Google Patents
金メッキシリカ及びその製造方法Info
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Abstract
層、ニッケル−リン合金層及び金層が順次形成されてな
り、上記ニッケル−リン合金層中のリン含有量が内部と
表層部とで異なることを特徴とする金メッキシリカ。 【効果】 本発明によれば、安価で簡便な工程により、
強固な密着性を有するニッケルメッキをもつシリカ−ケ
イ素系高分子化合物−ニッケル/リン合金−金という4
層構造をもつ金メッキシリカを得ることができる。この
金メッキシリカは、優れた導電性と高い導電安定性をも
ち、コネクター等の原料として広い応用をもっている。
Description
ゴム組成物などの各種導電性組成物における導電性フィ
ラー等として好適な金メッキシリカ及びその製造方法に
関する。
プラスチック製品を電子材料に応用する場合、しばしば
導電性が要求されるため、導電性の粉体を混合すること
は一般的に行われているが、必ずしも良好な結果が得ら
れていなかった。例えば、銅粉、ニッケル粉、銀粉のよ
うな金属粉を用いた場合、高価であり、8〜11という
高比重のため、低重量が望ましい電子材料の重量が上が
るという問題点があり、グラファイトやカーボンのよう
な炭素粉を用いた場合、炭素粉の抵抗率が高いため、m
Ω・cmレベルの抵抗率が得にくいという問題点があっ
た。
続的に銀被膜を形成することで、低価格、低比重であり
ながら、銀の電気特性をもつ導電性粉体が米国のポッタ
ーズ社で開発され、これが昭和53年より東芝バロティ
ーニ社から販売され、いろいろな用途に用いられている
ことはよく知られている。
れると、酸化や硫化により抵抗率が上がるという問題点
があり、低価格、低比重でありながら、金のように酸化
や硫化を受けない電気特性をもつ導電性粉体が望まれて
いた。また、東芝バロティーニ社のものは、微小のガラ
スビーズを芯材としているため、SiO2以外に10%
以上のNa,K,Ca,Mg,Feといったイオン性の
金属を含んでおり、高度な信頼性を要求される電子材料
には使用できず、かつまた、その加工性においても、樹
脂と混合する時に銀とガラスビーズの界面で剥離を起こ
しやすいため、火災の危険性のある溶剤類を多用した
り、金属製ではなくゴム製のロールを使用するなど、様
々な制約があった。
に比べてケイ素が金属性と電子非局在性をもつため、高
い耐熱性と柔軟性、良好な薄膜形成特性を示す非常に興
味深いポリマーである。中でもSi−Si結合あるいは
Si−H結合を有するケイ素系高分子化合物、特にポリ
シランあるいはSi原子に直接結合した水素原子(Si
H基)を有するポリシロキサンは、還元性をもつ高分子
として知られている。また、ある種のケイ素系高分子化
合物、例えばポリシランは炭化ケイ素セラミック材料の
前駆体として、ポリシロキサンは酸化ケイ素セラミック
材料の前駆体として、熱処理等により非常に耐熱性に優
れた材料になることもよく知られていた。
つケイ素系高分子化合物を用いて表面を処理した粉体
を、金属イオンを含む溶液に接触させると、粉体表面で
金属コロイドが生成・保持されることを見出し、これを
利用した密着性のよい金属被膜粉体製造方法として提案
している(特願平11−193354号)。これは、イ
オン性の金属を殆ど含まない球状シリカを還元性をもつ
ケイ素系高分子化合物で処理し、無電解ニッケルメッキ
によりニッケルで表面を覆ったシリカを作製し、このニ
ッケル表面を金で被覆することで、金とシリカ間の密着
性のよい金メッキシリカを得たものであるが、更にその
密着性を高めることが望まれている。
nerらにより1944年に次亜リン酸ナトリウム水溶
液中での電解メッキ反応中に偶然発見されたものである
が、1946年にBrennerらの特許としてプロセ
スが公表されている(A.Brenner;J.of
Research of N.B.S.,37,1(1
946),USP2,532,283(1950))。
陽極から金属の補給が行われる電解メッキと異なり、無
電解メッキは、金属の析出の進行と共に変動する金属塩
や還元剤を補充する必要があるため、その補充方法が
G.Gutzeitらにより改良され(G.Gutze
it;USP2,658,841(1953))、現在
では工業用メッキとして広く用いられている(W.H.
Safranek,The Properties o
f Electrodeposited Metals
and Alloys,2nd Ed.Americ
anElectroplaters and Surf
ace Finishers Soc.(198
6))。その後、メッキ面の改良のために様々なメッキ
条件の工夫が行われており、例えば、酸素濃度が2pp
m以下では金属の過剰な析出によるこぶ状物の生成があ
り、また酸素濃度が4ppm以上では孔(ボイド、ピッ
ト)と呼ばれる析出金属の不足による不連続部の生成が
あるため、雰囲気ガスの制御によりメッキ液中の酸素濃
度を2〜4ppmに制御することで、表面が平らで連続
したメッキ化ができることが報告されている(W.A.
Alpaugh,C.Forks;USP4,152,
467(1979))。
の析出と同時にリンが析出し、このためニッケル被膜の
特性が大きく変わることはよく知られており、また、こ
れらニッケル被膜中のリン含有量の変化がメッキ浴のp
H変化や亜リン酸の含有量と深い関係をもち、メッキ浴
が低いpHでは含有量が多くなり、高いpHでは低くな
ることについての知見もある(槙書店 無電解メッキ
神戸徳蔵著,1984年初版)。リン含有量の高いニッ
ケルは、低応力、非磁性、高耐食性、低多孔性をもち、
リン含有量の低いニッケルは、高導電性、磁性をもつ。
そして、メッキ反応の進行と共に、pH、ニッケル塩濃
度、還元剤濃度が低下することでメッキ膜組成が変動す
るのを防ぐため、pH調整剤、ニッケル塩水溶液、還元
剤水溶液を後から滴下補充することは一般的に行われて
おり、最近では自動管理システムにより薬品を被メッキ
物の入った溶液中に連続的に制御された速度で滴下する
ことが工業的なプロセスとして行われている(金属表面
技術協会編:無電解めっき(1968年,朝倉書店),
無電解めっき技術研究会編集委員編:無電解めっき技術
研究会報告書(1986年))。特に、メッキ反応で消
費される還元剤をメッキ反応の途中で添加補充すること
で、ニッケル中のリンの含有量を変化させないようにす
ることはよく知られている(神戸徳蔵,無電解メッキp
32(1984年,槙書店))。これらのことは、ニッ
ケル被膜の膜組成を変化させまいとして従来から行われ
ていた技術である。
で、高い導電性と高い耐熱性を有し、かつ強固な密着性
を有する金メッキシリカ及びその製造方法を提供するこ
とを目的とする。
発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結
果、シリカ粉体を還元性を有するケイ素系高分子化合物
で処理し、次いでその表面を標準酸化還元電位0.54
V以上の金属の塩を含む溶液で処理して該金属のコロイ
ドを析出させた後、無電解ニッケルメッキ、次いで金メ
ッキを行うこと、この場合、無電解ニッケルメッキを、
リン系還元剤を含む第1の無電解ニッケルメッキ液を用
いて無電解ニッケルメッキを行い、次いでリン系還元剤
含有量が異なる第2の無電解ニッケルメッキ液を用いて
無電解ニッケルメッキを行って、内部と表層部とでリン
含有量が互いに異なるニッケル−リン合金層、特に表層
部のリン含有量が内部のリン含有量より少ないニッケル
−リン合金層を形成することにより、シリカ表面にケイ
素系高分子化合物層、内部と表層部とで異なるリン含有
量を有するニッケル−リン合金層、金層が順次積層形成
された金メッキシリカが得られ、この金メッキシリカ
は、強固な密着性を有し、また高い導電性と、200℃
以上で熱処理してもメッキ層が剥離し難い高い耐熱性を
有し、この導電性シリカをシリコーンゴム等に配合する
ことにより、例えば信頼性の高い導電性ゴム成形体を得
ることができることを知見した。
う導電性粉体の製造において、リン含有量の高いニッケ
ル−リン合金層はシリカとの密着性が上がり、リン含有
量の低いニッケル−リン合金層は金との置換メッキ性が
上がることを見出した。つまり、無電解ニッケルメッキ
においては、メッキ初期に低pH、ニッケル塩濃度に対
して還元剤過剰の条件で行うことで、ニッケル中のリン
含有量を高くし、シリカとの密着性を更に高める。その
後は、ニッケル塩、錯化剤、pH調整剤を含んでなる水
溶液を随時補充してメッキ浴のpHを高くするなどし
て、ニッケル塩濃度に対して還元剤が少なくなる条件に
してメッキを行う。このように、ニッケル中のリン含有
量を少なくして金メッキが行いやすくなることで、強固
な密着性を有するシリカ−ケイ素系高分子化合物−ニッ
ケル/リン合金−金という4層構造をもつ導電性シリカ
が製造できることを見出し、本発明を完成させた。
ケイ素系高分子化合物層、ニッケル−リン合金層及び金
層が順次形成されてなり、上記ニッケル−リン合金層中
のリン含有量が内部と表層部とで異なることを特徴とす
る金メッキシリカ、〔II〕シリカ表面上にケイ素系高
分子化合物が部分的又は全部がセラミック化した層、ニ
ッケル−リン合金層及び金層が順次形成されてなり、上
記ニッケル−リン合金層中のリン含有量が内部と表層部
とで異なることを特徴とする金メッキシリカ、〔II
I〕(1)還元性を有するケイ素系高分子化合物でシリ
カ粉体を処理し、シリカの表面に該ケイ素系高分子化合
物の層を形成する第1工程、(2)第1工程で得られた
粉体を標準酸化還元電位0.54V以上の金属からなる
金属塩を含む溶液で処理し、上記シリカ表面のケイ素系
高分子化合物層上に該金属コロイドを析出させる第2工
程、(3)上記金属コロイドを触媒としてリン系還元剤
を含む第1の無電解ニッケルメッキ液を用いて無電解ニ
ッケルメッキを行い、次いでリン系還元剤含有量が異な
る第2の無電解ニッケルメッキ液を用いて無電解ニッケ
ルメッキを行って、内部と表層部とでリン含有量が互い
に異なるニッケル−リン合金層を形成する第3工程、
(4)更に金メッキを行い、上記ニッケル−リン合金層
上に金層を形成する第4工程を含むことを特徴とする金
メッキシリカの製造方法、〔IV〕第2の無電解ニッケ
ルメッキ液が、第1の無電解ニッケルメッキ液に、ニッ
ケル塩、錯化剤、pH調整剤の1種又は2種以上を含
み、リン系還元剤を含まない水溶液を補充することによ
り得られたことを特徴とする上記製造方法、〔V〕第4
工程で得られた粉体を還元性気体雰囲気下に200℃以
上の温度で熱処理して、上記ケイ素系高分子化合物の一
部又は全部をセラミック化した上記製造方法を提供す
る。
本発明の金メッキシリカの製造方法において、原料シリ
カは、二酸化ケイ素で構成される粉体で、高い耐熱性を
もっている。形状は、粉末状、繊維状、フレーク状等、
特に制限されないが、メッキする金属(ニッケル、金)
の使用量を最少にし、シリコーンゴム等に高充填するた
めには、同一粒径では最も比表面積の低くなる球状が望
ましい。このようなシリカは、クロルシランを燃焼させ
たり、アルコキシシランを加水分解したり、ガス化した
金属ケイ素を酸化したり、石英粉末を溶融したりして容
易に得ることができる。比表面積を低くするためには、
内部に表面に繋がる空洞をもたないものが望ましく、溶
融石英が好適に用いられる。シリカ粉末の平均粒径は
0.01〜1000μm、より望ましくは0.1〜10
0μmである。0.01μmより小さいと、比表面積が
高くなるため、メッキ金属の量が多くなり、高価となっ
て経済的に望ましくない。また、1000μmより大き
いと、シリコーンゴム等に混合しにくくなる場合があ
る。
第1工程は、上記シリカ粉体を還元性を有するケイ素系
高分子化合物で処理し、シリカ表面に該ケイ素系高分子
化合物の層を形成する工程である。
合物としては、Si−Si結合あるいはSi−H結合を
有するポリシラン、ポリカルボシラン、ポリシロキサ
ン、ポリシラザンを使用することができ、中でもポリシ
ランあるいはケイ素原子に直接結合した水素原子を有す
るポリシロキサンが好適に用いられる。
i−Si結合をもつ下記一般式(1)で表される高分子
化合物が挙げられる。
しくは非置換の一価炭化水素基であり、R1とR2とは互
いに同一であっても異なっていてもよいが、上記一価炭
化水素基としては、脂肪族、脂環式又は芳香族一価炭化
水素基が用いられる。脂肪族又は脂環式一価炭化水素基
としては、炭素数1〜12、特に1〜6のものが好まし
く、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル
基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基、シクロペ
ンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基など
が挙げられる。また、芳香族一価炭化水素基としては、
炭素数6〜14、特に6〜10のものが好適であり、例
えばフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、
ベンジル基等が挙げられる。なお、置換一価炭化水素基
としては、上記に例示した非置換の一価炭化水素基の水
素原子の一部又は全部をハロゲン原子、アルコキシ基、
アミノ基、アミノアルキル基などで置換したもの、例え
ばモノフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、m−
ジメチルアミノフェニル基等が挙げられる。
ロゲン原子、酸素原子又は窒素原子であり、アルコキシ
基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、イソプロ
ポキシ基等の好ましくは炭素数1〜4のもの、ハロゲン
原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げ
られる。Xとしては、これらの中でも通常メトキシ基、
エトキシ基が好適に用いられる。
m≦1、nは0.1≦n≦1、好ましくは0.5≦n≦
1、pは0≦p≦0.5、好ましくは0≦p≦0.2で
あり、かつ1≦m+n+p≦2.5、好ましくは1.5
≦m+n+p≦2を満足する数であり、qは2≦q≦1
00,000、好ましくは10≦q≦10,000の範
囲の整数である。
(Si−H基)を有するケイ素系高分子化合物は、側鎖
にSi−H基、主鎖にSi−O−Si結合をもつ下記一
般式(2)で表されるポリシロキサンが好適に用いられ
る。
非置換の一価炭化水素基、アルコキシ基又はハロゲン原
子であり、R3とR4とは互いに同一であっても異なって
いてもよいが、上記一価炭化水素基としては、脂肪族、
脂環式又は芳香族一価炭化水素基が用いられる。脂肪族
又は脂環式一価炭化水素基としては、炭素数1〜12、
特に1〜6のものが好ましく、例えばメチル基、エチル
基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等
のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等
のシクロアルキル基等が挙げられる。芳香族一価炭化水
素基としては、炭素数6〜14、特に6〜10のものが
好適であり、例えばフェニル基、トリル基、キシリル
基、ナフチル基、ベンジル基等が挙げられる。なお、置
換の脂肪族、脂環式又は芳香族の一価炭化水素基として
は、上記に例示した非置換の一価炭化水素基の水素原子
の一部又は全部をハロゲン原子、アルコキシ基、アミノ
基、アミノアルキル基などで置換したもの、例えばモノ
フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、m−ジメチ
ルアミノフェニル基等が挙げられる。アルコキシ基とし
ては、例えばメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ
基等の炭素数1〜4のものが好適であり、ハロゲン原子
としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子等が
挙げられ、通常メトキシ基、エトキシ基が好適に用いら
れる。
a≦1、bは0.1≦b≦1、好ましくは0.5≦b≦
1、cは0.01≦c≦1、好ましくは0.1≦c≦1
であり、かつ1≦a+b+c≦2.5、好ましくは1≦
a+b+c≦2.2を満足する数である。dは1≦d≦
1.5である。eは2≦e≦100,000、好ましく
は10≦e≦10,000の範囲の整数である。
ケイ素系高分子化合物を有機溶剤に溶解させ、この中に
シリカ粉体を投入混合した後に有機溶剤を除くことで、
シリカの表面にケイ素系高分子化合物の層を形成するこ
とによって行うことができる。
を溶解させる有機溶剤としては、例えばベンゼン、トル
エン、キシレン等の芳香族系炭化水素溶剤、ヘキサン、
オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族系炭化水素溶剤、
テトラヒドロフラン、ジブチルエーテルなどのエーテル
系溶剤、酢酸エチル等のエステル類、ジメチルホルムア
ミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリッ
クトリアミド等の非プロトン性極性溶媒や、ニトロメタ
ン、アセトニトリル等が好適に用いられる。
0.01〜50%(質量%、以下同様)、好ましくは
0.01〜30%、より好ましくは1〜20%が好適で
あり、濃度が0.01%未満では大量の溶剤を使用する
ことになるのでコストが上昇し、50%を超えるような
濃度ではケイ素系高分子化合物を粉体表面全面に十分形
成できない場合が生じる。
化合物で処理する方法としては、ポリマーを溶剤に溶解
させて希釈した状態で粉体と混合し、このスラリーを容
器内で撹拌羽根を回転させ分散接触させる撹拌式、気流
中にこのスラリーを分散させ瞬時に乾燥させる噴霧式な
どが好適に採用できる。
することにより、有機溶媒を留去するが、通常は溶媒の
沸点以上の温度、具体的には1〜100mmHgという
減圧下で40〜200℃程度の温度で撹拌しながら乾燥
することが凝集防止の点で効果的である。
は減圧下で40〜200℃程度の温度で静置すること
で、溶剤が効果的に留去して処理粉体が乾燥し、ケイ素
系高分子化合物処理粉体を製造できる。
1〜1μm、望ましくは0.01〜0.1μmである。
0.001μmより薄いと、シリカを完全に覆うことが
できなくなるため、メッキが起こらない部分ができるお
それがある。また、厚すぎると、ケイ素系高分子化合物
の量が多くなって高価となる場合が生じる。
化合物処理により疎水性となる。このため、金属塩を溶
解させる溶媒との親和性が低下し、液中に分散しないた
め、金属塩還元反応の効率が低下することがある。この
ことによって起こる金属塩還元反応の効率の低下は、界
面活性剤を添加して向上させることができる。界面活性
剤としては、発泡を起こさず表面張力のみを下げるもの
が望ましく、サーフィノール104,420,504
(日信化学工業(株)製)等の非イオン界面活性剤を好
適に用いることができる。
たシリカ表面にケイ素系高分子化合物層が形成された粉
体を標準酸化還元電位0.54V以上の金属からなる金
属塩を含む溶液で処理し、ケイ素系高分子化合物層上に
該金属コロイドを析出させる工程である。これは、ケイ
素系高分子化合物処理粉体の表面を金属塩を含む溶液と
接触させるもので、この処理では、ケイ素系高分子化合
物の還元作用により、金属コロイドがケイ素系高分子化
合物の被膜表面に形成され、金属被膜が形成されるもの
である。
の金属の塩として、より具体的には、金(標準酸化還元
電位1.50V)、パラジウム(標準酸化還元電位0.
99V)、銀(標準酸化還元電位0.80V)等の塩が
好適に用いられる。なお、標準酸化還元電位が0.54
Vより低い銅(標準酸化還元電位0.34V)、ニッケ
ル(標準酸化還元電位−0.25V)等の塩では、ケイ
素系高分子化合物で還元し難い。但し、必要に応じて塩
化第1錫等の他の金属塩を併用してもよい。
なるもので、具体的には、NaAuCl4、NaAu
(CN)2、NaAu(CN)4等が例示される。パラジ
ウム塩としては、Pd2+を含んでなるもので、通常Pd
−Z2の形で表すことができる。Zは、Cl、Br、I
等のハロゲン、アセテート、トリフルオロアセテート、
アセチルアセトネート、カーボネート、パークロレー
ト、ナイトレート、スルフェート、オキサイド等の塩で
ある。具体的には、PdCl2、PdBr2、PdI 2、
Pd(OCOCH3)2、Pd(OCOCF3)2、PdS
O4、Pd(NO3)2、PdO等が例示される。銀塩と
しては、溶剤に溶解し、Ag+を生成させ得るもので、
通常Ag−Z(Zはパークロレート、ボレート、ホスフ
ェート、スルフォネート等の塩とすることができる)の
形で表すことができる。具体的には、AgBF4、Ag
ClO4、AgPF6、AgBPh4、Ag(CF3S
O3)、AgNO3等が例示される。
は、水や、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン
類、メタノール、エタノール等のアルコール類、ジメチ
ルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチル
ホスホリックトリアミド等の非プロトン性極性溶媒など
が挙げられ、中でも水が好適に用いられる。
って異なるが、0.01%〜塩の飽和溶液までが好まし
い。濃度が0.01%未満では、メッキ触媒の効果が十
分でない場合があり、飽和溶液を超えると、固体塩の析
出がある場合があり、好ましくない。なお、溶媒が水の
場合は、金属塩の濃度が0.01〜20%、特に0.1
〜5%の範囲であることが好ましい。上記ケイ素系高分
子化合物処理粉体を室温〜70℃の温度で0.1〜12
0分、より好ましくは1〜15分程度、金属塩溶液に浸
漬すればよい。これにより、金属コロイド処理粉体が製
造できる。
子化合物処理粉体を水で希釈した界面活性剤と接触さ
せ、次いで上記金属塩を含む溶液と接触させることが好
ましく、これによりシリカ表面が第1工程のケイ素系高
分子化合物処理により疎水性となることで、金属塩を溶
解させる溶媒との親和性が低下し、液中に分散し難くな
って金属塩還元反応の効率が低下するのを防止すること
ができ、ケイ素系高分子化合物処理粉体を金属塩を含む
溶液に短時間で簡単に分散させることができる。
面活性剤、陽イオン界面活性剤、両イオン界面活性剤、
非イオン界面活性剤を用いることができる。
塩系、硫酸エステル塩系、カルボン酸塩系、リン酸エス
テル塩系を用いることができる。また、陽イオン界面活
性剤としては、アンモニウム塩系、アルキルアミン塩
系、ピリジニウム塩系を用いることができる。両イオン
界面活性剤としては、ベタイン系、アミノカルボン酸
系、アミンオキシド系、非イオン界面活性剤としては、
エーテル系、エステル系、シリコーン系を用いることが
できる。
は、アルキルベンゼンスルホン酸塩、スルフォコハク酸
エステル、ポリオキシエチレン硫酸アルキル塩、アルキ
ルリン酸エステル、長鎖脂肪酸セッケン等を用いること
ができる。また、陽イオン界面活性剤としては、塩化ア
ルキルトリメチルアンモニウム塩、塩化ジアルキルジメ
チルアンモニウム塩、塩化アルキルピリジニウム塩等を
用いることができる。両イオン界面活性剤としては、ベ
タイン系スルホン酸塩、ベタイン系アミノカルボン酸ア
ミン塩を用いることができる。非イオン界面活性剤とし
ては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキ
シエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン変性
ポリシロキサン等を用いることができる。また、市販さ
れているこのような界面活性剤を混合した水溶液、例え
ば商品名ママレモン(ライオン(株)製)などを利用す
ることもできる。
面活性剤を金属塩溶液100質量部に対して0.000
1〜10質量部、特に0.001〜1質量部、とりわけ
0.01〜0.5質量部の範囲で使用することができ
る。
ない上記と同様の溶剤で処理し、粉体に担持されなかっ
た不要な金属塩を除き、最後にこの粉体から不要な溶媒
を乾燥除去することができる。乾燥は、通常0〜150
℃で常圧又は減圧下で行うのが好ましい。
着された粉体に、この金属コロイドを触媒としてリン系
還元剤を含む無電解ニッケルメッキを行い、上記ケイ素
系高分子化合物層表面に好ましくはリン含有量が3〜1
5%のニッケル−リン合金層を形成する工程である。
酸ニッケル、塩化ニッケル、酢酸ニッケル等の水溶性ニ
ッケル塩、錯化剤、pH調整剤、リン系還元剤を含むも
のである。
られている公知の硫酸ニッケル、塩化ニッケル、酢酸ニ
ッケルなどを用いることができ、それらの塩濃度は、メ
ッキ浴全体で0.5〜0.01mol/l、好ましくは
メッキ浴全体で0.2〜0.05mol/lとすればよ
い。ニッケル塩濃度が高すぎると、わずかなpHの変
化、錯化剤の濃度変化で水酸化物の生成が生じて浴寿命
が短くなること、補充の際に局所的なニッケル塩濃度の
偏在を生じさせやすく、メッキ斑が生じやすくなるおそ
れがあり、ニッケル塩濃度が低すぎると、補充する液量
が多くなって、メッキ中の浴容量の変化が大きくなり、
実用的でなくなる場合が生じる。
メッキ液に用いられている公知の錯化剤を用いることが
でき、塩化アンモニウム等の無機酸のアンモニウム塩、
リン酸塩、酢酸ナトリウム等のカルボン酸及びその水溶
性塩、クエン酸アンモニウム、酒石酸ナトリウム等のヒ
ドロキシカルボン酸及びその水溶性塩、グリシン、ED
TA等のアミノ基とカルボキシル基を有するアミン及び
その水溶性塩などを挙げることができ、これらの1種を
単独で又は2種以上を併用して用いることができるが、
錯化剤はこれらのものに限定されない。これらの中で
は、メッキ浴のpHが変化しても水酸化ニッケルを生じ
させず、かつニッケルとの錯イオンが安定すぎてニッケ
ルを還元析出できなくならないようなクエン酸アンモニ
ウム、酒石酸ナトリウムなどのヒドロキシカルボン酸塩
や、酢酸ナトリウムなどのカルボン酸塩、グリシンなど
のアミノ基とカルボキシル基を有するアミン類などが好
適で、それらの濃度は、ニッケル塩及びpH調整剤濃度
と密接な関係があるが、メッキ浴全体で1.5〜0.0
3mol/lの範囲で用いることができ、メッキ浴全体
で0.2〜0.15mol/lとするのが好ましい。錯
化剤が多すぎると、ニッケル塩に対して大過剰となり無
駄であり、少なすぎると、pHの変化に対して不安定
で、ニッケル水酸化物生成の抑止効果が薄い場合が生じ
る。
公知のものを用いればよいが、pHの変化に対してリン
系還元剤によるニッケル錯イオンの還元性を大きく変え
ない水酸化アンモニウム(アンモニア水溶液)や水酸化
ナトリウム等の水酸化アルカリなどを好適に用いること
ができる。pH調整剤の濃度は、処理中のメッキ浴pH
の変化、処理時間、補充量から定めればよいが、メッキ
開始時にpH3〜4、メッキ終了時にpH8〜10とな
るように、好ましくはメッキ開始時にpH4〜5、メッ
キ終了時にpH6〜7となるように調整すればよい。p
Hが3より低いとメッキ反応が生じにくく、また、pH
が10を超えるとニッケル錯体が不安定となり、ニッケ
ル水酸化物の析出が起こりやすいことと、メッキ析出反
応が速すぎてニッケルの異常析出が生じ、浴分解してし
まうおそれが生じる。
のアルカリ金属もしくはアンモニウム塩が使用され、通
常は次亜リン酸ナトリウムが用いられる。その濃度は、
ニッケル塩に対して0.1〜5倍モル、より望ましくは
0.5〜3倍モルで、メッキ浴全体で2.5〜0.00
1mol/l、特に1.0〜0.1mol/lの範囲と
することが好ましい。
ケルメッキ液を用いて無電解ニッケルメッキを行い、引
き続いて第1の無電解ニッケルメッキ液とはリン系還元
剤含有量が異なる第2の無電解ニッケルメッキ液を用い
て無電解ニッケルメッキを行い、内部と表層部とでリン
含有量が相違するニッケル−リン合金層を形成する。
剤含有量を多く、第2のメッキ浴のリン系還元剤の含有
量を少なくして、内部のリン含有量を多く、表層部のリ
ン含有量を少なくすることが好ましい。ここで、第1の
メッキ浴中のリン系還元剤量をメッキ浴全体で2.5〜
0.05mol/l、特に1.5〜0.1mol/lと
して、内部のリン含有量を5〜20%、特に8〜15%
とし、また第2のメッキ浴中のリン系還元剤量をメッキ
浴全体で1.0〜0mol/l、特に0.5〜0mol
/lとして、表層部のリン含有量を0.5〜8%、特に
1〜5%とすることが好ましい。
は、市販品を使用することができる。
を行う方法としては、互いにリン系還元剤量の異なる第
1及び第2のメッキ液を用意し、第1のメッキ液でメッ
キを行った後、第2のメッキ液でメッキを行う方法を採
用することができるが、第1のニッケルメッキ液でメッ
キを行った後、このメッキ液にニッケル塩、錯化剤、p
H調整剤の1種又は2種以上を含み、リン系還元剤を含
まない水溶液を補充して第2のメッキ液をその場で調製
し、第2のメッキを行う方法が好適である。なおこの場
合、この補充に用いるニッケル塩、錯化剤、pH調整剤
は、第1のメッキ液と同じものが好ましい。また、上記
補充は1度に限られず、2度、3度と行ってもよい。
ッケル塩濃度に対する還元剤濃度の割合、及びメッキ浴
のpHを順次変化させてニッケルメッキを行い、内部と
表層部でリン含有量の異なるニッケル層を粉体上に析出
させる。
用することができ、例えば上記第2工程の粉体をメッキ
液中に分散させる等の方法を採用することができる。あ
るいは、ニッケルメッキ液を還元剤、pH調整剤、錯化
剤などを含有した水溶液とニッケル塩水溶液に分離し、
シリカは、還元剤、pH調整剤、錯化剤などを含有した
水溶液に分散し、ニッケルメッキの最適な温度に保温し
ておく。これにニッケル塩水溶液を気体と同伴させて、
シリカの分散した還元剤含有水溶液に加えることが凝集
のないニッケル被覆シリカを得るために効果的である。
ニッケル塩水溶液は、気体により還元剤、pH調整剤、
錯化剤などを含有した水溶液中で速やかに均一に分散さ
れ、粉体表面はニッケルメッキ化される。なお、上記補
充もこの方法で行うことができる。
の効率の低下をもたらすが、発泡は、消泡性界面活性剤
を添加して防止することができる。界面活性剤として
は、消泡作用をもち、表面張力を下げるものが望まし
く、KS−538(信越化学工業(株)製)等のポリエ
ーテル変性シリコーン系界面活性剤を好適に用いること
ができる。
液中の酸素濃度がニッケルの析出に影響を及ぼす。溶存
酸素の量が多いと、メッキ触媒の核となるコロイド状パ
ラジウムがパラジウムカチオンに酸化され、液中に溶出
したり、一度析出したニッケル表面が酸化されたりし
て、ニッケルの析出が抑制される。逆に、溶存酸素の量
が少ないと、メッキ液の安定性が低下し、シリカ以外の
場所にもニッケルの析出が起こりやすくなり、微細なニ
ッケル粉の生成やこぶ状の析出物の生成が起こる。この
ため、メッキ液中の溶存酸素の量を1〜20ppmの間
に管理することが好ましい。20ppmを超えると、メ
ッキ速度の低下と未メッキ部の発生が認められるおそれ
があり、1ppmより少ないと、こぶ状析出物の発生が
認められる場合がある。
気体とアルゴンや窒素のような不活性気体を混合して用
いるのがよい。粉体のメッキにおいては、しばしばメッ
キの開始が遅いが、一度メッキが開始されれば反応が暴
走するという現象を起こすことがあるので、これを防止
するために、例えば窒素を最初に用い、ニッケルメッキ
反応が開始するのを確認後、空気に切り替えるというこ
とを行うことも効果的である。
速く、ニッケルのつきまわりがよく、かつ浴成分の揮発
による減少、溶媒の減少などが比較的少ない40〜95
℃、好ましくは65〜85℃で管理することがよい。4
0℃より低いと、メッキ反応の進行が非常に遅く、実用
的でなく、95℃を超えると、溶媒に水を用いているこ
とから溶媒の蒸発が激しく、浴管理が難しくなること、
メッキ反応の進行が早すぎて異常析出、浴分解が生じや
すくなる場合が生じる。また、メッキ液とシリカの接触
時間は1分〜16時間とすることができ、より望ましく
は60〜85℃,10〜60分処理される。ニッケル−
リン合金層の厚さは、特に制限されないが、0.01〜
10μm、特に0.05〜2μmとすることができ、こ
のうち表層部表面から0.5μmまで、特に0.1μm
までは上記第2のニッケル−リン合金層とすることが好
ましい。
後、金メッキを行って、上記ニッケル−リン合金層上に
金メッキ層を形成する工程である。
キ液でも無電解メッキ液でもよく、公知の組成のものあ
るいは市販品を用いることができるが、無電解金メッキ
液が好ましい。これは、ニッケル表面でのニッケルと金
のイオン化傾向の相違からくる置換反応を利用した置換
型メッキとすることもできる。この金メッキ工程は、金
で表面を覆うことで酸化や硫化を受け難くし、粉体とし
ての導電性を低下し難くするためである。
などを用いることができるが、主に経済的理由から市販
され入手しやすいシアン浴を用いるのが容易である。
って行うことができる。このとき、ニッケルの酸化され
て不動態化した表面を希酸で除き、金メッキを行うこと
は効果的である。メッキ温度、接触時間は、ニッケルメ
ッキの場合と同様でよいが、メッキ温度は10〜40℃
でも速やかに進行する。
を除くため、水洗を行うとよい。
素系高分子化合物−ニッケル/リン合金−金という4層
構造をもつ導電性シリカである。
ように、0.01〜10μm、望ましくは0.05〜2
μmである。0.01μmより薄いと、シリカを完全に
覆い、かつ十分な硬度や強度が得られにくくなる場合が
生じる。また10μmより厚いと、ニッケルの量が多く
なり、かつ比重が高くなるため、配合時に高価となる。
くは0.01〜0.1μmである。0.001μm未満
では、抵抗率が高くなるため、配合時に十分導電性が得
られにくくなるおそれがあり、また1μmを超えると、
金の量が多くなって高価となる。
在下に200℃以上の温度で熱処理することが望まし
い。処理条件は、通常200〜900℃、処理時間は1
分〜24時間が好適に用いられる。より望ましくは25
0〜500℃で処理時間は30分〜4時間行うのがよ
い。これにより、シリカと金属間にあるケイ素系高分子
化合物はセラミックに変化させられ、より高い耐熱性と
絶縁性と密着性をもつことになる。このときの雰囲気を
水素のような還元系で行うことにより、金属中の酸化物
を減少させ、ケイ素系高分子化合物を安定な構造に変え
ることで、シリカと金属が強固に結合し、高い導電性を
示す粉体を得ることができる。
理すると、ケイ素系高分子化合物は主として炭化ケイ素
のセラミックを得ることができる。
間にあるケイ素系高分子化合物が部分的又は全部がセラ
ミックに変化し、より高い耐熱性と絶縁性と密着性をも
つことになる。
ー等として好適に使用され、例えばシリコーンゴム組成
物などのゴム組成物や樹脂組成物に配合することによ
り、高い導電性を付与することができ、信頼性の高いコ
ネクター等の原料とすることができる。
り、強固な密着性を有するニッケルメッキをもつシリカ
−ケイ素系高分子化合物−ニッケル/リン合金−金とい
う4層構造をもつ金メッキシリカを得ることができる。
この金メッキシリカは、優れた導電性と高い導電安定性
をもち、コネクター等の原料として広い応用をもってい
る。
的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるも
のではない。
造 アルゴン置換したフラスコ内に、ビス(シクロペンタジ
エニル)ジクロロジルコニウムにメチルリチウムのジエ
チルエーテル溶液を添加することで、系内で触媒である
ビス(シクロペンタジエニル)ジメチルジルコニウムを
調製した。これにフェニルシランを触媒の50倍モル添
加し、150℃で24時間加熱撹拌を行った。この後、
モレキュラーシーブスを添加濾過することにより、触媒
を除去したところ、ほぼ定量的に重量平均分子量2,6
00のPPHSの固体を得た。
製;平均粒径10μm;比表面積0.4m2/g)を用
いた。PPHS1gをトルエン65gに溶解させ、この
溶液をUS−10 100gに加え、1時間撹拌してス
ラリーにした。濾過によりトルエンとシリカを分離した
後、より完全にトルエンを除くため、ロータリーエバポ
レーターにて回転させながら80℃の温度,45mmH
gの圧力で乾燥させた。このPPHS処理球状シリカ
は、ローラー、ジェットミル等により解砕された。
面に浮くようになる。界面活性剤としてサーフィノール
504(日信化学工業社製,界面活性剤)の0.5%水
溶液50gにこのPPHS処理球状シリカ100gを投
入し、撹拌して水中に分散させた。
150gに対し、1%PdCl2水溶液70g(塩化パ
ラジウムとして0.7g,パラジウムとして0.4g)
を添加して30分撹拌後、濾過し、水洗した。これらの
処理により、シリカ表面はパラジウムコロイドが付着し
た黒灰色に着色したシリカが得られた。このシリカは濾
過により単離し、水洗後、直ちにメッキ化を行った。
メッキ化 パラジウムコロイド析出シリカ10gをKS−538
(信越化学工業社製,消泡剤)0.5gと共に、硫酸ニ
ッケル0.3mol/l、クエン酸アンモニウム0.3
6mol/l、次亜リン酸アンモニウム0.36mol
/lになるようにイオン交換水で希釈した50℃のメッ
キ浴500mlに撹拌しながら分散させ、85℃のウォ
ーターバスに浸漬し、浴温を素早く85℃に上げた。し
ばらくして細かな発泡が始まり、浴が深緑色から暗緑色
へと変化し始め、浴pHも4から徐々に下がり始めたの
で、硫酸ニッケル0.3mol/lとクエン酸アンモニ
ウム0.72mol/lの混合溶液500ml及び約8
vol%アンモニア水溶液20mlを撹拌しているメッ
キ浴中へ緩やかに補充し、浴pHを6に上昇させた。こ
の間に要した時間は60分であった。メッキされたシリ
カを吸引濾過して分別した後、純水にて水洗、再度吸引
濾過して分別した後、シリカが乾かないように直ちに次
工程へ移った。
所製金メッキ液K−24N10gを用いた。全面に金属
ニッケルが析出したシリカをイオン交換水中に分散させ
た。激しく撹拌しながら金メッキ液を滴下し、液温を室
温から45℃に上げると、直ちにシリカが金色となり、
シリカ表面のニッケルが金に置換された。
洗、乾燥(50℃,30分)の後、水素で置換された電
気炉中で250℃で1時間焼成した。実体顕微鏡観察に
より、シリカ全表面が金により覆われたシリカが得られ
ていることがわかった。このシリカは、IPC分析によ
り、パラジウム、ニッケル、金が検出された。
/リン合金−金構造をもつ導電性シリカの同定 金メッキシリカをミクロトーム法により樹脂で固定し、
ダイヤモンドカッターを用いてスライスした後、透過型
電子顕微鏡(日立製作所製,H9000NAR)により
その断面を観察したところ、シリカ部と複相メッキ部の
2層構造が確認され、深さ方向に存在する構成元素を分
析したところ、深さ方向に金層、ニッケル−リン合金
層、ケイ素層の多層構造を形成しており、ニッケル−リ
ン合金層中のリン含有量は、シリカに近い部分は高リン
含有量で、金に近い部分は低リン含有量で、傾斜した組
成構造をしていることが明らかとなった。
に元素分析箇所を示し、表1に当該分析箇所におけるS
i,P,Ni,Au含有量(wt%)、表3に当該分析
箇所におけるP,Ni含有量(wt%)を示す。
/リン合金−金構造をもつ導電性シリカの特性 金メッキシリカの抵抗率は、4端子をもつ円筒状のセル
に金メッキシリカを充填し、両末端の面積0.2cm2
の端子からSMU−257(ケースレ社製,電流源)よ
り1〜10mAの電流を流し、円筒の中央部に0.2c
m離して設置した端子から2000型ケースレ社製ナノ
ボルトメーターで電圧降下を測定することで求めた。抵
抗率は2.2mΩ・cmであった。このシリカを乳鉢に
入れ、1分間すり潰し、熱処理(200℃,4時間)後
の変化を調べたところ、外観、抵抗率の変化はなかっ
た。
工程において、ニッケルメッキ用還元液とニッケル金属
塩液を混合したものにパラジウムコロイド析出シリカを
分散させてメッキ反応を行った。この金メッキシリカを
同様な方法でその断面を観察したところ、金層、ニッケ
ル−リン合金層、ケイ素層の多層構造が確認され、深さ
方向に存在する構成元素を分析したところ、深さ方向に
ニッケル−リン合金層のリン含有量はほぼ12〜16質
量%で、傾斜構造を形成していなかった。
に元素分析箇所を示し、表2に当該分析箇所におけるS
i,P,Ni,Au含有量(wt%)、表3に当該分析
箇所におけるP,Ni含有量(wt%)を示す。
であった。このシリカを乳鉢に入れ、1分間すり潰し、
熱処理(200℃,4時間)後の変化を調べたところ、
金属の剥離が起こり、外観は褐色になり、抵抗率も75
mΩ・cmへと上昇した。
面顕微鏡写真である。
面顕微鏡写真である。
Claims (14)
- 【請求項1】 シリカ表面上にケイ素系高分子化合物
層、ニッケル−リン合金層及び金層が順次形成されてな
り、上記ニッケル−リン合金層中のリン含有量が内部と
表層部とで異なることを特徴とする金メッキシリカ。 - 【請求項2】 シリカ表面上にケイ素系高分子化合物が
部分的又は全部がセラミック化した層、ニッケル−リン
合金層及び金層が順次形成されてなり、上記ニッケル−
リン合金層中のリン含有量が内部と表層部とで異なるこ
とを特徴とする金メッキシリカ。 - 【請求項3】 (1)還元性を有するケイ素系高分子化
合物でシリカ粉体を処理し、シリカの表面に該ケイ素系
高分子化合物の層を形成する第1工程、(2)第1工程
で得られた粉体を標準酸化還元電位0.54V以上の金
属からなる金属塩を含む溶液で処理し、上記シリカ表面
のケイ素系高分子化合物層上に該金属コロイドを析出さ
せる第2工程、(3)上記金属コロイドを触媒としてリ
ン系還元剤を含む第1の無電解ニッケルメッキ液を用い
て無電解ニッケルメッキを行い、次いでリン系還元剤含
有量が異なる第2の無電解ニッケルメッキ液を用いて無
電解ニッケルメッキを行って、内部と表層部とでリン含
有量が互いに異なるニッケル−リン合金層を形成する第
3工程、(4)更に金メッキを行い、上記ニッケル−リ
ン合金層上に金層を形成する第4工程を含むことを特徴
とする金メッキシリカの製造方法。 - 【請求項4】 第2の無電解ニッケルメッキ液が、第1
の無電解ニッケルメッキ液に、ニッケル塩、錯化剤、p
H調整剤の1種又は2種以上を含み、リン系還元剤を含
まない水溶液を補充することにより得られたものである
請求項3記載の製造方法。 - 【請求項5】 錯化剤が無機酸のアンモニウム塩、カル
ボン酸及びその水溶性塩、ヒドロキシカルボン酸及びそ
の水溶性塩、並びにアミノ基とカルボキシル基を有する
アミン類及びその水溶性塩から選ばれるものである請求
項4記載の製造方法。 - 【請求項6】 pH調整剤が水酸化アンモニウム又は水
酸化アルカリである請求項4又は5記載の製造方法。 - 【請求項7】 リン系還元剤が次亜リン酸又はそのアル
カリ金属もしくはアンモニウム塩である請求項3乃至6
のいずれか1項記載の製造方法。 - 【請求項8】 第3工程の無電解ニッケルメッキのメッ
キ温度が40〜95℃である請求項3乃至7のいずれか
1項記載の製造方法。 - 【請求項9】 第3工程で得られるニッケル−リン合金
層中のリン含有量が3〜15質量%の範囲にある請求項
3乃至8のいずれか1項記載の製造方法。 - 【請求項10】 還元性を有するケイ素系高分子化合物
が、Si−Si結合及び/又はSi−H結合を有するポ
リシラン、ポリカルボシラン、ポリシロキサン又はポリ
シラザンである請求項3乃至9のいずれか1項記載の製
造方法。 - 【請求項11】 ポリシランが下記一般式(1)で表さ
れるものである請求項10記載の製造方法。 (R1 mR2 nXpSi)q (1) (式中、R1,R2はそれぞれ水素原子、置換もしくは非
置換の一価炭化水素基、XはR1と同様の基、アルコキ
シ基、ハロゲン原子、酸素原子又は窒素原子である。m
は0.1≦m≦1、nは0.1≦n≦1、pは0≦p≦
0.5であり、かつ1≦m+n+p≦2.5を満足する
数、qは2≦q≦100,000の整数である。) - 【請求項12】 ポリシロキサンが下記一般式(2)で
表されるものである請求項10記載の製造方法。 (R3 aR4 bHcSiOd)e (2) (式中、R3,R4はそれぞれ水素原子、置換もしくは非
置換の一価炭化水素基、アルコキシ基又はハロゲン原子
である。aは0.1≦a≦1、bは0.1≦b≦1、c
は0.01≦c≦1であり、かつ1≦a+b+c≦2.
5、dは1≦d≦1.5を満足する数である。eは2≦
e≦100,000の整数である。) - 【請求項13】 標準酸化還元電位0.54V以上の金
属がパラジウム、銀又は金である請求項3乃至12のい
ずれか1項記載の製造方法。 - 【請求項14】 第4工程で得られた粉体を還元性気体
雰囲気下に200℃以上の温度で熱処理して、上記ケイ
素系高分子化合物の一部又は全部をセラミック化した請
求項3乃至13のいずれか1項記載の製造方法。
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