JP2007002299A - 管状金属粉末とその製造方法、異方導電フィルム、導電ペーストならびに触媒 - Google Patents

管状金属粉末とその製造方法、異方導電フィルム、導電ペーストならびに触媒 Download PDF

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Abstract

【課題】 鎖状の金属粉末よりも樹脂等への分散性や触媒効率に優れた、新規な金属粉末と、その製造方法と、上記金属粉末を用いた異方導電フィルム、導電ペースト、および触媒を提供する。
【解決手段】 鎖状の芯材粉末の表面を、主材金属で被覆した後、芯材粉末を除去して管状に形成した管状金属粉末である。異方導電フィルムは、主材金属としてAuを用いて形成した、鎖の平均長さを、導電接続する電極間の距離未満に調整した管状金属粉末を、導電成分として含有させた。導電ペーストは、主材金属としてAgを用いて形成した、鎖の平均長さを1〜20μmに調整した管状金属粉末を、導電成分として含有させた。触媒は、主材金属としてPtを用いて形成した、鎖の平均長さLと、鎖の平均内径D1と平均外径D2との差D2−D1との比L/(D2−D1)を10〜1000に調整した管状金属粉末を用いた。
【選択図】 図3

Description

本発明は、新規な管状金属粉末と、その製造方法と、上記管状金属粉末を用いた異方導電フィルム、導電ペースト、および触媒に関するものである。
例えば、配線基板への素子の実装等を簡略化するために、異方導電フィルムが用いられる。異方導電フィルムは、一般に、粉末状の導電成分を、感熱接着性を有する樹脂からなるフィルム中に分散させた構造を有する。また、異方導電フィルムにおいては、フィルムの面方向の導電抵抗(「絶縁抵抗」という)が高くなるように、導電成分の充てん率が調整される。
そして、この異方導電フィルムを、それぞれ、複数の電極が所定のピッチで配列された、例えば、電子部品の接続部と、配線基板の接続部との間に挟んだ状態で、熱接着を行うと、その際の加熱、加圧によって異方導電フィルムが厚み方向に圧縮されることで、当該厚み方向の導電成分の充てん率が上昇し、導電成分同士が互いに近接もしくは接触して導電ネットワークを形成する結果、厚み方向の導電抵抗(「接続抵抗」という)が低くなる。しかし、この際、異方導電フィルムの面方向における導電成分の充てん率は増加しないため、面方向は、絶縁抵抗が高く導電率が低い初期の状態を維持する。
そのため異方導電フィルムは、厚み方向の接続抵抗が低く、かつ、面方向の絶縁抵抗が高い異方導電特性を有するものとなり、この異方導電特性に基づいて、
(A) それぞれの接続部内の、フィルムの面方向に隣り合う電極間での短絡が発生するのを防止して、それぞれ電気的に独立した状態を維持しながら、
(B) 両接続部の、互いに対向する電極間を良好に導電接続する、
ことが可能となる。また、それと共に、異方導電フィルムは、フィルム自体の持つ感熱接着性によって、電子部品を、配線基板上に、熱接着によって固定することができる。そのため、異方導電フィルムを用いれば、電子部品の実装の作業が容易になる。
また、配線基板の導体回路や、電気めっきする対象物の表面を導電化する導電化層等として用いられる導電膜の形成材料、あるいは、電子部品の導電接着(プリント配線板への電子部品の実装等)に用いられる導電接着剤等としては、粉末状の導電成分を、樹脂等のバインダ、および溶媒と共に所定の割合で配合して調製される導電ペーストが用いられる。また、例えば、液状硬化性樹脂等の液状のバインダを用いて、溶媒を省略した導電ペーストもある。
上記異方導電フィルムや導電ペーストに配合される粉末状の導電成分としては、例えば、その平均粒径が0.1〜100μm程度で、かつ、形状が粒状、薄片状(鱗辺状、フレーク状)等であるAu、Ag、Cu等の金属粉末が、一般的に用いられる。
また、金属粉末は、自動車の排ガスを処理したり、化学反応を促進したりする触媒としても、広く利用されている。触媒として使用される金属粉末としては、やはり、その形状が粒状、薄片状(鱗辺状、フレーク状)等であるPt、Pd、Ir、Au等の金属粉末が、一般的に用いられる。
異方導電フィルムの厚み方向の接続抵抗を小さくするためには、金属粉末の充てん率を増加させることが考えられる。しかし、従来の、粒状や薄片状の金属粉末を導電成分として用いて、その充てん率を高めた場合には、フィルムの幅方向の絶縁抵抗まで小さくなって、隣り合う電極間で短絡を生じやすくなるという問題がある。
また、異方導電フィルムにおける、金属粉末の充てん率を高めるためには、できるだけ、粒径の小さい金属粉末を使用しなければならないが、粒状や薄片状の金属粉末は、粒径が小さいほど、凝集しやすいため、フィルム中に均一に分散させるのが難しいという問題がある上、単純に、金属粉末の粒径を小さくして充てん率を高めるだけでは、導電性を高める効果に限界があることも明らかとなってきている。この原因は、金属粉末の粒径が小さくなるほど、異方導電フィルムの単位体積中に存在する金属粉末の数が多くなり、隣り合う粉末間の接触部分が増加する分、接続抵抗が増加するためであると考えられる。
また、導電ペーストを用いて形成される導電膜等の導電性を高めるためには、やはり、できるだけ粒径の小さい金属粉末を使用して、充てん率を増加させることが考えられる。しかし、粒状や薄片状の金属粉末は、先に説明したように、粒径が小さいほど、凝集しやすいため、導電ペースト中に均一に分散させるのが難しい上、隣り合う粉末間の接触部分が増加して、接続抵抗が増加する分、充てん率の増加に見合う導電性を向上する効果が得られないといった問題もある。
そこで、近時、微細な金属粒が多数、鎖状に繋がった形状を有する金属粉末を、異方導電フィルムや導電ペーストの導電成分として使用することが提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。鎖状の金属粉末は、粒径の小さい粒状の金属粉末に相当する微細な金属粒が、多数、鎖状に繋がった形状を有するため、隣り合う粉末間の接触部分を減少させて、その接続抵抗を低減することができる。
そのため、異方導電フィルムにおいては、その鎖の平均長さを、導電接続する、フィルムの面方向に隣り合う電極間の距離未満として、隣り合う電極間の短絡を確実に防止しながら、金属粉末の充てん率を増加させることなしに、フィルムの厚み方向の接続抵抗を、これまでよりも小さくすることができる。また、導電ペーストにおいては、金属粉末の充てん率を増加させることなしに、これまでよりも、その導電性を向上させることができる。さらに、上記鎖状の金属粉末は、粒状や薄片状のものに比べて、比表面積が大きいため、当該鎖状の金属粉末を触媒として使用すれば、従来の、粒状や薄片状のものに比べて、触媒効率を向上することもできる。
特開2003−142109号公報(請求項1、第0005欄、第0011欄〜第0016欄) 特開2003−331951号公報(請求項1、第0018欄、第0020欄〜第0022欄)
近時、異方導電フィルムにおいては、面方向の絶縁抵抗を維持しつつ、厚み方向の接続抵抗を、接続時に、現状よりも、さらに小さくすることが求められつつある。また、導電ペーストにおいては、当該導電ペーストを用いて形成される導電膜等の導電性を、現状よりも、さらに向上することが求められる傾向にある。しかし、これらの要求を満足するためには、鎖状の金属粉末を用いても、未だ十分ではない。
すなわち、先に説明したように、鎖状の金属粉末は、粒状や薄片状のものに比べて比表面積が大きいため、異方導電フィルムや導電ペーストを形成する樹脂等に対する分散性が、これら粒状や薄片状のものに比べて良好である。しかし、異方導電フィルムの接続抵抗を、接続時に、現状よりも、さらに小さくしたり、導電ペーストを用いて形成される導電膜等に、現状よりも、さらに高い導電性を付与したりするためには、金属粉末の充てん率を高める必要があり、そのような高充てんの状態では、鎖状の金属粉末でも分散性が不足して、凝集したり、分布のムラを生じたりしやすい。
そして、これらの問題が生じると、異方導電フィルムの接続抵抗や導電ペーストの導電性が不均一になると共に、全体としてみたときに、却って接続抵抗が高くなったり、導電性が低下したりする場合がある。そのため、金属粉末には、現状よりも一層、樹脂等への分散性に優れることが求められる。また、触媒として用いる金属粉末においては、より一層、触媒効率を向上することが求められる。
本発明の目的は、鎖状の金属粉末よりも樹脂等への分散性や触媒効率に優れた、新規な金属粉末と、その製造方法と、上記金属粉末を用いた異方導電フィルム、導電ペースト、および触媒を提供することにある。
請求項1記載の発明は、鎖状の芯材粉末の表面が、主材金属で被覆されると共に、芯材粉末が除去されて管状に形成されたことを特徴とする管状金属粉末である。
請求項2記載の発明は、鎖状の芯材粉末を形成する工程と、形成した芯材粉末の表面を、主材金属で被覆する工程と、芯材粉末を選択的に除去して管状に形成する工程とを含むことを特徴とする管状金属粉末の製造方法である。
請求項3記載の発明は、芯材粉末を、主材金属より卑な芯材金属で形成し、当該芯材粉末の表面を、主材金属で置換めっきして被覆する請求項2記載の管状金属粉末の製造方法である。
請求項4記載の発明は、芯材粉末のもとになる芯材金属として、強磁性を有する金属を用い、この芯材金属のイオンを含む液相の反応系に、一定方向の磁場をかけながら、当該反応系中で、還元剤の作用によって、芯材金属のイオンを還元させて、微細な金属粒として析出させると共に、析出させた多数の金属粒を、自身の持つ磁性によって、印加した磁場の方向に配向させながら多数、鎖状に繋がらせて芯材粉末を形成する請求項2記載の管状金属粉末の製造方法である。
請求項5記載の発明は、主材金属がAuであると共に、その鎖の平均長さが、異方導電フィルムによって導電接続する、フィルムの面方向に隣り合う電極間の距離未満に調整された、請求項1記載の管状金属粉末を、導電成分として含有することを特徴とする異方導電フィルムである。
請求項6記載の発明は、主材金属がAgであると共に、その鎖の平均長さが1〜20μmに調整された、請求項1記載の管状金属粉末を、導電成分として含有することを特徴とする導電ペーストである。
請求項7記載の発明は、主材金属がPtであると共に、その鎖の平均長さLと、鎖の平均内径D1と平均外径D2との差D2−D1との比L/(D2−D1)が10〜1000である請求項1記載の管状金属粉末を含むことを特徴とする触媒である。
請求項1記載の発明の管状金属粉末は、鎖状の芯材粉末の表面が、主材金属で被覆されると共に、芯材粉末が除去されて管状に形成されており、従来の、鎖状の金属粉末よりも、さらに比表面積が大きいため、樹脂等への分散性に、より一層、優れている。そのため、例えば、導電ペーストの場合には、凝集等が生じるのを防止しながら、その充てん率を高めることにより、当該導電ペーストを用いて形成される導電膜等を、現状よりも、さらに高い導電性を有するものとすることができる。また、異方導電フィルムの場合には、厚み方向の接続抵抗を、接続時に、現状よりも、さらに小さくすることができる。さらに、触媒の場合には、触媒効率を、これまでよりも向上させることができる。
請求項2記載の発明によれば、上記のように優れた特性を有する管状金属粉末を、そのもとになる芯材粉末を用意する工程から、主材金属による被覆工程、および芯材粉末の除去工程を経るだけで、効率的に、生産性よく製造することができる。
請求項3記載の発明によれば、主材金属より卑な芯材金属によって形成した芯材粉末の表面を、例えば、気相法等の他の方法に比べて簡便な置換めっきを行うことで、主材金属によって被覆しているため、管状金属粉末の生産性をさらに向上することができる。
請求項4記載の発明によれば、液相の反応系中に含有させた、例えば、Ni、Fe、Co等の強磁性を有する金属やその合金などのイオンを、還元剤の作用によって、反応系中に、微細な金属粒として析出させる、いわゆる液相還元法を行うだけで、析出した金属粒が、自身の持つ強磁性によって鎖状に繋がって芯材粉末が形成される。そのため、芯材粉末の生産効率を高めて、管状金属粉末の生産性をさらに向上することができる。
また、液相還元法では、金属粒の析出反応が、液相の反応系中で、ほぼ均等に進行すると共に、析出した金属粒同士の連結もほぼ均等に進行するため、形成される芯材粉末は、その鎖の平均長さや径がほぼ一定に揃っている。そのため、芯材金属を主材金属と置換させる置換めっきが、液相の反応系中に分散させた各々の芯材粉末においてほぼ均等に進行することと相まって、上記芯材粉末をもとにして形成される管状金属粉末の鎖の平均長さや径、芯材粉末を除去した跡である管内の空洞の内径等を、ほぼ一定に揃えることができる。
請求項5記載の発明の異方導電フィルムは、当該異方導電フィルムによって導電接続する電極(主として、その表面がAuによって形成される)との導電接続性に優れたAuからなり、その鎖の平均長さが、フィルムの面方向に隣り合う電極間の距離未満に調整された本発明の管状金属粉末を導電成分として含有しているため、当該電極間の短絡を確実に防止できる上、凝集等が生じるのを防止しながら、充てん率を高めて、厚み方向の接続抵抗を、接続時に、現状よりも、さらに小さくすることができる。
請求項6記載の発明の導電ペーストは、導電性に優れたAgからなり、その鎖の平均長さが1〜20μmに調整された本発明の管状金属粉末を導電成分として含有しているため、凝集等が生じるのを防止しながら、その充てん率を高めることにより、当該導電ペーストを用いて形成される導電膜等を、現状よりも、さらに高い導電性を有するものとすることができる。
請求項7記載の発明の触媒は、触媒作用に優れたPtからなり、その鎖の平均長さLと、鎖の平均内径D1と平均外径D2との差D2−D1との比L/(D2−D1)が10〜1000とされた本発明の管状金属粉末を含有しているため、比表面積が増加する分、触媒効率を向上させることができる。
本発明の管状金属粉末は、鎖状の芯材粉末の表面が、主材金属で被覆されると共に、芯材粉末が除去されて管状に形成されたことを特徴とするものである。本発明の管状金属粉末を形成する主材金属としては、当該管状金属粉末の用途等に合わせて、種々の金属の、1種または2種以上を用いることができる。例えば、管状金属粉末を、導電ペーストの導電成分として使用する場合は、主材金属として、Au、Ag、Cu等の1種または2種以上が挙げられ、特に、導電性に優れたAgが好ましい。
また、管状金属粉末を、異方導電フィルムの導電成分として使用する場合は、主材金属として、Au、Ag、Cu等の1種または2種以上が挙げられ、中でも、主としてその表面がAuによって形成される、導電接続する電極との導電接続性に優れたAuが好ましい。さらに、管状金属粉末を触媒として使用する場合は、主材金属として、Pt、Pd、Ir、Au等の1種または2種以上が挙げられ、特に、触媒作用に優れたPtが好ましい。
かかる主材金属からなる本発明の管状金属粉末は、鎖状の芯材粉末を形成する工程と、形成した芯材粉末の表面を、主材金属で被覆する工程と、芯材金属を選択的に溶解することで、芯材粉末を除去して管状に形成する工程とを含む、本発明の製造方法によって製造するのが好ましい。また、芯材粉末の表面を主材金属で被覆する方法としては、例えば、気相法(真空蒸着法等)、無電解めっき法、電解めっき法、液相還元法等を採用してもよいが、より簡便には、置換めっきを行うのが好ましい。
置換めっきによって、本発明の管状金属粉末を製造する際に用いる芯材粉末としては、管状金属粉末を形成する主材金属よりも卑で、主材金属によって置換めっきすることが可能な芯材金属からなり、針状、棒状等の直鎖状のものを含む鎖状に形成された、種々の金属粉末が挙げられる。中でも、芯材粉末のもとになる芯材金属として、主材金属よりも卑で、なおかつ、強磁性を有する金属を用い、この芯材金属のイオンを含む液相の反応系に、一定方向の磁場をかけながら、当該反応系中で、還元剤の作用によって、芯材金属のイオンを還元させて、微細な金属粒として析出させると共に、析出させた多数の金属粒を、自身の持つ磁性によって、印加した磁場の方向に配向させながら多数、鎖状に繋がらせて形成される鎖状の芯材粉末が、好適に使用される。
上記の、いわゆる液相還元法によって形成される鎖状の芯材粉末は、金属粒の析出反応が、液相の反応系中で、ほぼ均等に進行すると共に、析出した金属粒同士の連結もほぼ均等に進行するため、その鎖の平均長さや径がほぼ一定に揃っており、この芯材粉末をもとにして形成される本発明の管状金属粉末の鎖の平均長さや径、芯材粉末を除去した跡である管内の空洞の内径等を、ほぼ一定に揃えることができる。また、液相還元法では、反応条件や、反応に使用する各種成分の種類等を変更することで、芯材粉末の鎖の平均長さや径を調整できるため、この芯材粉末をもとにして形成される本発明の管状金属粉末の鎖の平均長さや径、管内の空洞の内径等を、管状金属粉末の用途に合わせて、任意に調整することもできる。
主材金属より卑で、かつ、強磁性を有する芯材金属としては、例えば、主材金属が、先に説明した、Ag、Au、Pt、Pd、Ir、Cu等である場合、Ni、Fe、Co等が挙げられる。また、これら芯材金属のイオンのもとになる金属化合物としては、例えば、Niの場合は、塩化ニッケル(II)六水和物〔NiCl2・6H2O〕、硝酸ニッケル(II)六水和物〔Ni(NO3)2・6H2O〕、硫酸ニッケル(II)六水和物〔NiSO4・6H2O〕等が挙げられ、Feの場合は、硝酸鉄(III)六水和物、九水和物(Fe(NO33・6H2O、9H2O)、塩化鉄(II)四水和物(FeCl2・4H2O)、硫酸鉄(II)七水和物(FeSO4・7H2O)、アセチルアセトン鉄(III)(Fe〔CH(COCH323)等が挙げられ、Coの場合は、塩化コバルト(II)六水和物〔CoCl2・6H2O〕、硝酸コバルト(II)六水和物〔Co(NO32・6H2O〕等が挙げられる。
還元剤としては、液相の反応系中で、芯材金属のイオンを還元することで、金属粒として析出させることができる種々の還元剤が、いずれも使用可能である。かかる還元剤としては、例えば、水素化ホウ素ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム、ヒドラジン、遷移金属元素のイオン(三価のチタンイオン、二価のコバルトイオン等)を含む化合物が挙げられる。
液相還元法においては、まず、芯材金属のイオンのもとになる金属化合物と、例えば、クエン酸三ナトリウム等の錯化剤とを溶解させた溶液に、還元剤、例えば、三塩化チタン等の三価のチタン化合物の溶液を加えると共に、一定方向の磁場をかけた状態で、アンモニア水等を加えてpHを9〜10に調整する。そうすると、三価のチタンイオンがクエン酸と結合して配位化合物を形成して、Ti(III)からTi(IV)に酸化する際の活性化エネルギーが小さくなり、還元電位が高くなる。具体的には、Ti(III)とTi(IV)の電位差が1Vを超える。この値は、Ni(III)やNi(II)からNi(0)への還元電位や、Fe(III)やFe(II)からFe(0)への還元電位、Co(II)からCo(0)への還元電位等に比べて著しく高い値である。
そのため、Ti(III)がTi(IV)に酸化すると共に、その際に、還元剤として機能して、同じ系中に存在する芯材金属のイオンを還元して析出させる酸化還元反応が開始され、液相の反応系中に、1種または2種以上の芯材金属からなる微小な金属粒が析出する。それと共に、析出した金属粒が、反応系にかけた磁場の作用によって、磁場に対応する方向、具体的には、磁場の、磁束線に沿う方向に配列しながら鎖状に繋がって、鎖状の芯材粉末が形成される。また、このあと、さらに析出を続けると、芯材粉末の表面に、さらに金属層が析出して、金属粒同士が強固に結合される。
この際、反応系を実質的にかく拌せずに静置した状態とすると、鎖に枝分かれが発生するのを防止して、できるだけ直鎖状に近い芯材粉末を形成することができる。また、静置した反応系中に分散剤を含有させておくと、当該分散剤が、系中で、多数の金属粒が繋がって形成された芯材粉末の周囲を囲むように存在して、鎖に枝分かれが発生したり、多数の芯材粉末が凝集したりするのを防止する働きをする。分散剤としては、含硫黄系分散剤、アミン系分散剤、カルボン酸基を有する炭化水素系分散剤等の高分子系分散剤が好ましい。
芯材粉末を析出させた後の液は、電解再生を行うことで、還元剤溶液として、何度でも、繰り返し、液相還元法による芯材粉末の製造に使用することができる。すなわち、芯材粉末を析出させた後の液を、電解槽に入れる等して電圧を印加することで、Ti(IV)をTi(III)に還元してやれば、再び、還元剤溶液として使用することができる。これは、金属粒の析出時にTiイオンがほとんど消費されない、つまり、析出させる金属と共に析出されないためである。
形成した芯材粉末は、反応系から回収し、必要に応じて洗浄し、脱脂したのち、その表面を、先に説明したように、芯材金属よりも貴な主材金属で置換めっきする。具体的には、主材金属のイオンを含む置換めっき液中に、芯材粉末を分散させて、所定の温度で一定時間、反応させると、芯材粉末の表面の芯材金属と、置換めっき液中の主材金属のイオンとの間で、局部電池作用による置換反応が起こって、芯材金属が主材金属で置換されて、芯材粉末の表面が、主材金属で被覆される。
置換めっき液に配合される、主材金属のイオンのもとになる金属化合物としては、例えば、Auの場合はシアン化金(I)カリウム〔K[Au(CN)2]〕等が挙げられ、Agの場合は硝酸銀(I)〔AgNO3〕が挙げられる。Cuの場合はシアン化銅(I)カリウム〔K[Cu(CN)2]〕等が挙げられ、Ptの場合はジニトロジアンミン白金(II)〔Pt(NO2)2(NH3)2〕等が挙げられる。Pdの場合はジアミンパラジウム(I)塩化物〔[Pd(NH3)2]Cl2〕等が挙げられ、Irの場合はヘキサクロロイリジウム(III)酸六水和物〔2[IrCl6]・6H2O〕等が挙げられる。置換めっき液には、上記主材金属のもとになる金属化合物と共に、置換めっきの速度を制御するための緩衝剤、錯化剤等を含有させてもよい。
芯材粉末の表面を置換めっきして、主材金属で被覆した後、主材金属の被覆を残して、芯材粉末を選択的に除去すると、芯材粉末が除去された跡が管内の空洞とされた管状金属粉末が製造される。芯材粉末を除去するためには、例えば、主材金属をほとんど溶解せず、かつ、芯材金属を選択的に溶解することができる処理剤で処理すればよい。そのような処理剤としては、各種の酸、またはアルカリが使用可能である。
ただし、液中の主材金属が全て析出して、置換めっき反応が終了した後の置換めっき液中から、しばらくの間、芯材粉末を引き上げずに、芯材金属の溶解を継続させることで、芯材粉末を除去するのが、工程を簡略化する上で好ましい。
上記の工程を経て製造される本発明の管状金属粉末は、そのもとになる芯材粉末の、鎖の平均長さとほぼ近似した鎖の平均長さと、芯材粉末の鎖の径に、析出させた主材金属の被膜の厚みの2倍を加えた値とほぼ近似した鎖の径と、芯材粉末の鎖の径とほぼ近似した内径とを有する管状に形成される。
そのため、本発明の管状金属粉末は、管の外側と内側の両方の表面積を加算した表面積を有し、従来の、鎖状の金属粉末に比べて、比表面積がさらに大きいため、樹脂等に対する分散性が良好である。したがって、本発明の管状金属粉末は、例えば、導電ペーストや異方導電フィルムの導電成分として好適に使用することができる。また、本発明の管状金属粉末は、上記のように比表面積が大きいことから、触媒としても好適に使用することができる。
本発明の異方導電フィルムは、主材金属がAuであると共に、その鎖の平均長さが、異方導電フィルムによって導電接続する、フィルムの面方向に隣り合う電極間の距離未満に調整された、前記本発明の管状金属粉末を、導電成分として含有することを特徴としている。そのため、本発明の異方導電フィルムによれば、その面方向に隣り合う電極間の短絡を確実に防止できる上、凝集等が生じるのを防止しながら、充てん率を高めて、厚み方向の接続抵抗を、接続時に、現状よりも、さらに小さくすることができる。
なお、鎖の平均長さは、隣り合う電極間の短絡を、より一層、確実に防止することを考慮すると、隣り合う電極間の距離の0.9倍以下であるのが好ましい。ただし、鎖の平均長さが短すぎる場合には、隣り合う粉末間の接触部分が増加するため、接続抵抗が増加する分、充てん率の増加に見合う導電性を向上する効果が得られないおそれがある。そのため、鎖の平均長さは、3μm以上であるのが好ましい。
本発明の異方導電フィルムは、導電成分として、上記管状金属粉末を含むこと以外は、従来と同様に構成することができる。すなわち、本発明の異方導電フィルムは、管状金属粉末を、感熱接着性を有する樹脂のフィルム中に分散させることで形成される。感熱接着性を有する樹脂としては、異方導電フィルム用の樹脂として従来公知の、種々の化合物が、いずれも使用可能である。樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂、液状硬化性樹脂等が挙げられる。特に好ましくは、アクリル系樹脂、エポキシ樹脂、フッ素系樹脂、フェノール系樹脂等が挙げられる。
異方導電フィルムの総量に占める、管状金属粉末の割合で表される充てん率は、0.05〜20体積%であるのが好ましい。充てん率が0.05体積%未満では、異方導電フィルムに十分な異方導電性を付与できないおそれがある。また、充てん率が20体積%を超える場合には、相対的に、樹脂の割合が不足するため、異方導電フィルムの膜強度が不十分になるおそれがある。これに対し、充てん率が0.05〜20体積%であれば、異方導電フィルムの、面方向の絶縁抵抗を、1GΩ以上に維持しながら、厚み方向の接続抵抗を、接続時に、0.1Ω以下として、異方導電フィルムに十分な異方導電性を付与すると共に、異方導電フィルムに良好な膜強度を付与することができる。
なお、これらの効果を、より一層、向上させることを考慮すると、管状金属粉末の充てん率は、上記の範囲内でも、特に、0.05〜5体積%であるのが好ましい。本発明の異方導電フィルムには、管状金属粉末の分散を阻害しない範囲で、鎖状、粒状、薄片状等の、他の形状の金属粉末や、その他の導電成分を、少量、添加してもよい。
本発明の導電ペーストは、主材金属が、導電性に優れたAgであると共に、その鎖の平均長さが1〜20μmに調整された、上記本発明の管状金属粉末を、導電成分として含有することを特徴としている。そのため、本発明の導電ペーストによれば、管状金属粉末の凝集等が生じるのを防止しながら、その充てん率を高めることで、当該導電ペーストを用いて形成される導電膜や導電接着を、現状よりも、さらに高い導電性を有するものとすることができる。管状金属粉末の鎖の平均長さが1〜20μmに調整されるのは、以下の理由による。
すなわち、鎖の平均長さが1μm未満では、導電ペーストの単位体積中に存在する管状金属粉末の数が多くなり、隣り合う粉末間の接触部分が増加する分、接続抵抗が増加することから、充てん率を高めても、その増加に見合う分だけ導電性を向上させる効果が得られないためである。また、鎖の平均長さが20μmを超える場合には、特に、微細な導体回路を形成する際に、導体回路と比較して管状金属粉末が大きくなりすぎて、回路の形成精度が低下するためである。なお、鎖の平均長さのより好ましい範囲は、3〜10μmである。
本発明の導電ペーストは、導電成分として、上記管状金属粉末を含むこと以外は、従来と同様に構成することができる。すなわち、本発明の導電ペーストは、管状金属粉末を、樹脂等のバインダと共に適当な溶媒と配合して製造される。また、液状硬化性樹脂等の液状のバインダを使用して、溶媒を省略することもできる。バインダとしては、導電ペースト用のバインダとして従来公知の、種々の化合物が、いずれも使用可能である。バインダとしては、例えば、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂、液状硬化性樹脂等が挙げられる。特に好ましくは、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、フェノール系樹脂等が挙げられる。
管状金属粉末とバインダとの総量に占める、管状金属粉末の割合で表される充てん率は、70〜95重量%であるのが好ましい。充てん率が70重量%未満では、導電ペーストに十分な導電性を付与できないおそれがある。また、充てん率が95重量%を超える場合には、相対的にバインダの割合が不足するため、導電膜の膜強度が不十分になったり、導電接着の強度が低下したりするおそれがある。
なお、導電ペーストを用いて形成される導電膜等に、より高い導電性を付与することを考慮すると、管状金属粉末の充てん率は、上記の範囲内でも、特に、75重量%以上であるのが好ましい。管状金属粉末の充てん率がこの範囲内であれば、導電ペーストを用いて形成される導電膜等の体積固有抵抗を、25μΩ・cm以下とすることができる。また、導電膜の膜強度や導電接着の強度をさらに高めることを考慮すると、管状金属粉末の充てん率は、上記の範囲内でも、特に、93重量%以下であるのが好ましい。本発明の導電ペーストには、管状金属粉末の分散を阻害しない範囲で、鎖状、粒状、薄片状等の、他の形状の金属粉末や、その他の導電成分を、少量、添加してもよい。
本発明の触媒は、主材金属が触媒作用に優れたPtであると共に、その鎖の平均長さLと、鎖の平均内径D1と平均外径D2との差D2−D1との比L/(D2−D1)が10〜1000である本発明の管状金属粉末を含むことを特徴としている。比L/(D2−D1)が上記の範囲に限定されるのは、10未満では、管状金属粉末の内側の表面積が著しく小さくなって、例えば、粒子径が管状金属粉末の鎖の長さと同じである球状粒子等と比べて、比表面積を増大させるという、管状であることの特有の効果が得られないためである。
また、比L/(D2−D1)が1000を超える場合には、管状金属粉末の肉厚が著しく小さくなって、外力によって変形しやすくなり、取り扱いにくくなるためである。なお、金属粉末を管状とすることによって、その表面積を増大させる効果をさらに向上させると共に、管状金属粉末を、外力によって、より変形しにくくすることを考慮すると、比L/(D2−D1)は、上記の範囲内でも、特に、100〜800であるのが好ましい。
本発明の触媒は、上記の管状金属粉末単体で形成されてもよいし、管状金属粉末を、任意の担体に担持させた複合構造を有していてもよい。担体としては、例えば、各種カーボンブラック等のカーボン粒子や、金属酸化物(アルミナ、酸化チタン、シリカ、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化鉄、これらの複合酸化物等)、金属窒化物(窒化チタン、窒化鉄、窒化ケイ素等)、硫化銀等の無機化合物粒子が挙げられる。
なお、管状金属粉末の鎖の平均長さ、平均内径、および平均外径(平均径)は、製造した管状金属粉末の走査型電子顕微鏡写真を撮影し、この走査型電子顕微鏡写真に写された全ての管状金属粉末について、画像解析する等して測定した、鎖の長さ、内径、および外径の平均値でもって表すこととする。
《異方導電フィルム》
〈実施例1〉
(芯材粒子の作製)
硫酸ニッケル(II)六水和物11.0gと、クエン酸三ナトリウム・二水和物91.5gとを、純水715.0ミリリットルに溶解させた後、20重量%の三塩化チタン水溶液80.0gを加えて室温で20分間、かく拌して第1液とした。また、25重量%のアンモニア水60.0ミリリットルと、分散剤〔中京油脂(株)製の商品名セルナD−735〕1.0gとを、純水140.0ミリリットルに溶解させて第2液とした。
上記第1液と第2液とを、それぞれ別個に、35℃に保持した温浴槽内で20分間、静置した後、第1液を、円筒状の電磁石コイル内に配置した恒温槽中に移し、強度100mTの磁場をかけながら、第2液を一気に添加しながら、かく拌棒を用いて4〜5回かく拌し、添加終了時に1〜2回、かく拌棒を逆回転させて液の回転を停止して、還元析出反応を開始させた。液温は35℃、pHは10であった。
反応開始から10分が経過した時点で、液面上に発生した泡の層を採集して反応を終了させ、ろ紙上で水洗して泡を除去して、泡中に含まれていた粉末を回収した。そして、回収した粉末を、純水に加えて20分間、かく拌して洗浄し、5Cろ紙でろ別し、次いで、エタノールに加えて30分間、かく拌して洗浄し、5Cろ紙でろ別した後、室温で真空乾燥させて、鎖状の芯材粉末を得た。
芯材粉末の形状を、走査型電子顕微鏡写真を用いて観察したところ、図1に示すように、微細な金属粒が鎖状に繋がれた形状を有しているのが確認された。また、上記走査型電子顕微鏡写真に写された全ての芯材粉末の、鎖の長さと径とを測定したところ、鎖の平均長さLは3μm、最大値Lmaxは10μm、平均径Dは200nm、最大値Dmaxは250nmであった。
(脱脂処理)
脱脂処理剤〔上村工業(株)製のACL−009〕を、純水に加えて室温で10分間、かく拌して脱脂処理液を調製し、次いで、この脱脂処理液を55℃に保持した温浴槽内で20分間、かく拌した後、55℃を維持しながら、上記で作製した芯材金属を加え、かく拌して脱脂処理した。芯材金属1.0gあたりの脱脂処理液の量は1リットル、脱脂処理液1リットルあたりの、脱脂処理剤の量は50.0ミリリットルとした。そして、5分が経過した時点で、芯材粉末をろ別し、ろ紙上で水洗した後、室温で真空乾燥させた。
(管状金粉末の製造)
緩衝・錯化剤〔上村工業(株)製の登録商標オーリカルTKK−51 M20〕を、純水に加えて室温で10分間、かく拌し、次いで、シアン化金(I)カリウムを加えて室温でさらに10分間、かく拌して置換めっき液を調製し、次いで、この置換めっき液を85℃に保持した温浴槽内で20分間、かく拌した後、85℃を維持しながら、上記で作製した芯材金属を加え、かく拌して置換めっき処理した。芯材金属1.0gあたりの置換めっき液の量は1リットル、置換めっき液1リットルあたりの、緩衝・錯化剤の量は、50.0ミリリットル、シアン化金(I)カリウムの量は1.5gとした。
そして、置換めっき反応中の置換めっき液を、繰り返しサンプリングして、液中のAuイオンの濃度変化をトレースしたところ、反応開始から10分が経過した時点で、液中のAuイオンが全て析出して、置換めっき反応が終了したが、さらにかく拌を続けて、芯材粉末を溶出させて除去する操作を行い、反応開始から20分が経過した時点で、粉末をろ別し、ろ紙上で水洗した後、室温で真空乾燥させて管状金粉末を製造した。
置換めっき反応が終了した時点での粉末を、めっき液中からサンプリングして、その形状を、走査型電子顕微鏡写真を用いて観察したところ、図2に示すように、もとの芯材粉末の表面が、Auで被覆されているのが確認された。また、上記走査型電子顕微鏡写真に写された全ての粉末の鎖の長さと径とを測定したところ、鎖の平均長さLは3μm、最大値Lmaxは10μm、平均径Dは220nm、最大値Dmaxは300nmであった。
また、芯材粉末を除去した後の金粉末の形状を、走査型電子顕微鏡写真を用いて観察したところ、図3に示すように、芯材粉末が除去された跡が空洞になった、管状に形成されているのが確認された。また、上記走査型電子顕微鏡写真に写された全ての粉末の鎖の長さと内径、外径とを測定したところ、鎖の平均長さLは3μm、最大値Lmaxは10μm、平均内径D1は200nm、平均外径D2は220nmであった。
(異方導電フィルムの製造)
2種の固形エポキシ樹脂〔旭化成(株)製の品番6099(「エポキシA」とする)、6144(「エポキシB」とする)〕と、マイクロカプセル型潜在性硬化剤〔旭化成(株)製の品番HX3721(「硬化剤」とする)〕とを、酢酸ブチルとメチルイソブチルケトンとの混合溶媒に溶解して、樹脂分、すなわち、エポキシA、エポキシB、および硬化剤の3成分の合計の濃度が40重量%である樹脂溶液を調製した。
次に、この樹脂溶液に、導電成分として、前記管状金粉末を加えて混合し、次いで、遠心かく拌ミキサーを用いてかく拌して、管状金粉末を均一に分散させて、異方導電フィルムのもとになる、液状の複合材料を調製した。各成分の、最終の配合割合は、下記のとおりである。
(成 分) (重量部)
管状金粉末 7.5
エポキシA 46.0
エポキシB 20.0
硬化剤 26.5
酢酸ブチル 104.0
メチルイソブチルケトン 35.0
上記複合材料を、ポリエステルフィルム上に、ドクターナイフを用いて塗布した後、80℃で10分間、加熱して溶媒を除去して、厚み40μmの異方導電フィルムを製造した。管状金粉末の充てん率は、0.5体積%であった。
〈比較例1〉
管状金粉末に代えて、平均粒径が3μmの、球状ニッケル粉末を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、液状の複合材料を調製した。各成分の、最終の配合割合は、下記のとおりである。
(成 分) (重量部)
球状ニッケル粉末 3.5
エポキシA 48.0
エポキシB 21.0
硬化剤 27.5
酢酸ブチル 109.0
メチルイソブチルケトン 36.0
そして、上記の複合材料を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、厚み40μmの異方導電フィルムを製造した。異方導電フィルムにおける、球状ニッケル粉末の充てん率は、0.5体積%であった。
〈実装試験〉
幅15μm、長さ50μm、厚み2μmのAu電極が、15μm間隔で配列された電極パターンを有するフレキシブルプリント配線板の、上記電極パターン上に、実施例1、比較例1で製造した異方導電フィルムを重ねて、80℃に加熱しながら、0.1N/mm2の圧力で、10秒間、加圧して仮接着させた。
次に、この異方導電フィルム上に、片面にAl層を蒸着したガラス基板を、Al層が異方導電フィルムと接するように重ねた状態で、200℃に加熱しながら、3N/mm2の圧力で加圧して本接着させた後、異方導電フィルムとAl膜とを介して導電接続された隣り合う2つのAu電極間の抵抗値を測定し、その測定値を1/2にして、異方導電フィルムの厚み方向の接続抵抗とした。
また、電極パターン上に仮接着させた異方導電フィルム上に、片面にAl層を蒸着していないガラス基板を、同条件で本接着させた後、隣り合う2つのAu電極間の抵抗値を測定して、異方導電フィルムの面方向の絶縁抵抗とした。結果を、表1に示す。
表より、導電成分として管状金粉末を使用することで、異方導電フィルムに、これまでよりも良好な異方導電性を付与できることが確認された。
《導電ペースト》
〈実施例2〉
(管状銀粉末の製造)
シアン化金(I)カリウムに代えて、硝酸銀(I)を含む置換めっき液を用いたこと以外は、製造例1と同様にして、管状金属粉末を製造した。置換めっき液1リットルあたりの、硝酸銀(I)の量は2.0gとした。
製造した管状金属粉末を、誘導結合プラズマ発光分析装置を用いて分析したところ、銀粉末であることが確認された。また、この管状銀粉末の、鎖の長さと内径、外径とを、製造例1と同様にして測定したところ、鎖の平均長さLは3μm、最大値Lmaxは10μm、平均内径D1は200nm、平均外径D2は220nmであった。
(導電ペーストの製造)
分子量30000のポリエステル樹脂を、ブチルカルビトールアセテートに溶解して、樹脂分濃度30重量%の溶液を調製した。次いで、この溶液に、導電成分としての、前記管状銀粉末と、硬化剤としてのブロックイソシアネート(ヘキサメチレンジイソシアネート)とを加えて、管状銀粉末がほぼ均一に分散されるまで混合した後、三本ロールを通して導電ペーストを製造した。各成分の、最終の配合割合は、下記のとおりである。
(成 分) (重量部)
管状銀粉末 90
ポリエステル 9
硬化剤 1
ブチルカルビトールアセテート 21
〈比較例2〉
管状銀粉末に代えて、最大径が3μmの、鱗辺状銀粉末90重量部を用いたこと以外は、実施例2と同様にして、導電ペーストを製造した。
〈体積固有抵抗の測定〉
実施例2、比較例2で製造した導電ペーストを、ポリエステルフィルム上に塗布し、硬化させてサンプルを作製し、体積固有抵抗を測定した。結果を表2に示す。
表より、導電成分として管状銀粉末を用いることで、導電ペーストの体積固有抵抗を小さくできることが確認された。
《触媒》
〈実施例3〉
シアン化金(I)カリウムに代えて、ジニトロジアンミン白金(II)の硝酸溶液(白金濃度50g/リットル)を含む置換めっき液を用いたこと以外は、製造例1と同様にして、管状金属粉末を製造した。置換めっき液1リットルあたりの、ジニトロジアンミン白金(II)の硝酸溶液の量は80ミリリットルとした。
製造した管状金属粉末を、誘導結合プラズマ発光分析装置を用いて分析したところ、白金粉末であることが確認された。また、この管状白金粉末の、鎖の長さと内径、外径とを、製造例1と同様にして測定したところ、鎖の平均長さLは3μm、平均内径D1は200nm、平均外径D2は220nm、比L/(D2−D1)は150であった。
〈比較例3〉
担体粒子としてのカーボンブラック〔比表面積:800m2/g、表面のpH:9.2〕2gを、300ミリリットルの純水に分散後、ジニトロジアンミン白金(II)の硝酸溶液(白金濃度50g/リットル)と、還元剤としての水素化ホウ素ナトリウム〔NaBH4〕とを、この順に添加し、さらに、必要に応じて硝酸またはアンモニア水を添加してpHを1.5に調整して、液相還元法による触媒作製のための反応液を調製した。反応液における、白金の濃度は0.02モル/リットル、水素化ホウ素ナトリウムの濃度は0.20モル/リットルとした。
次いで、この反応液を、マグネチックスターラを用いて、400rpmでかく拌しながら、20℃に維持しつつ、240時間、反応させて、カーボンブラックの表面に、液相還元法によって白金微粒子を析出させると共に、担持させて、白金触媒を製造した。製造した白金触媒は、純水で洗浄後、50℃で8時間、乾燥した。
製造した白金触媒を、120℃で熱処理した後、50℃でCOを吸着させて、その吸着量から、白金微粒子の表面積を求めた。また、誘導結合プラズマ発光分析装置を用いて、白金触媒における、白金微粒子の担持量を測定した。そして、この担持量と、先の表面積とから、白金微粒子の粒径を求めたところ、2.5μmであった。
〈比表面積の比較〉
実施例3で製造した管状白金粉末、および比較例3で製造した白金触媒を、それぞれ所定量ずつ秤量し、120℃で熱処理した後、50℃でCOを吸着させて、その吸着量から、表面積を求めた。そして、実施例3の管状白金粉末は、表面積と重量とから、その比表面積を求めた。また、比較例3の白金触媒は、表面積と、先に測定した担持量とから、その比表面積を求めた。結果を、表3に示す。
表より、実施例3の管状白金粉末は、従来の担持型の白金触媒よりも、比表面積が著しく大きいことから、触媒として、有効に使用できることが確認された。
本発明の、実施例1において、管状金微粒子の製造のためにあらかじめ作製した鎖状の芯材粉末の外観を示す走査型電子顕微鏡写真である。 実施例1において、上記芯材粉末の表面を、主材金属で被覆した状態を示す走査型電子顕微鏡写真である。 実施例1において、芯材粉末を除去して製造した管状金粉末の外観を示す走査型電子顕微鏡写真である。

Claims (7)

  1. 鎖状の芯材粉末の表面が、主材金属で被覆されると共に、芯材粉末が除去されて管状に形成されたことを特徴とする管状金属粉末。
  2. 鎖状の芯材粉末を形成する工程と、形成した芯材粉末の表面を、主材金属で被覆する工程と、芯材粉末を選択的に除去して管状に形成する工程とを含むことを特徴とする管状金属粉末の製造方法。
  3. 芯材粉末を、主材金属より卑な芯材金属で形成し、当該芯材粉末の表面を、主材金属で置換めっきして被覆する請求項2記載の管状金属粉末の製造方法。
  4. 芯材粉末のもとになる芯材金属として、強磁性を有する金属を用い、この芯材金属のイオンを含む液相の反応系に、一定方向の磁場をかけながら、当該反応系中で、還元剤の作用によって、芯材金属のイオンを還元させて、微細な金属粒として析出させると共に、析出させた多数の金属粒を、自身の持つ磁性によって、印加した磁場の方向に配向させながら多数、鎖状に繋がらせて芯材粉末を形成する請求項2記載の管状金属粉末の製造方法。
  5. 主材金属がAuであると共に、その鎖の平均長さが、異方導電フィルムによって導電接続する、フィルムの面方向に隣り合う電極間の距離未満に調整された、請求項1記載の管状金属粉末を、導電成分として含有することを特徴とする異方導電フィルム。
  6. 主材金属がAgであると共に、その鎖の平均長さが1〜20μmに調整された、請求項1記載の管状金属粉末を、導電成分として含有することを特徴とする導電ペースト。
  7. 主材金属がPtであると共に、その鎖の平均長さLと、鎖の平均内径D1と平均外径D2との差D2−D1との比L/(D2−D1)が10〜1000である請求項1記載の管状金属粉末を含むことを特徴とする触媒。

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