JP4484622B2 - スエード調人工皮革 - Google Patents

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Description

本発明は、高耐久性で品位の改良されたスエード調人工皮革に関する。
ポリエステルの極細繊維から構成されるスエード調人工皮革は、優美な表面品位や軽量性、手入れの容易さから、椅子を中心とする家具やカーシート用途への市場展開が進んできている。しかし、最近、これら耐久性を要求される用途においては、その性能の向上がいっそう強く市場から要求されている。
スエード調人工皮革の耐磨耗性改良技術として、特許文献1には、表面の毛の脱落を抑制するため、絡合層の表面を被覆するストライプ状の編目様ループ状絡合いの形成を多くする技術が開示されている。これは、衣料用途の人工皮革に対する改良技術であって、人工皮革表面の極細繊維の絡み合いにより極細繊維の脱落を防止して耐磨耗性を改良しようとするものであり、極細繊維そのものの性能アップではないために、人工皮革性能の大幅な向上を図ることができない。
特許文献2は、表面の極細繊維であるポリエチレンテレフタレートの重合度を0.55dl/g以上とし、結晶配向度を80〜90%にすることにより耐磨耗性を向上させ、白化現象を解決しようとするものである。ここに開示されている技術は、糸の伸度が50〜70%で、紡糸速度領域が2000〜5000m/分というPOY(半未延伸糸)により得られた糸や、通常のUDY(未延伸糸)を延伸する際の延伸倍率を下げることにより得られた糸を用いるものである。しかし、これらの糸は、未延伸糸に近い力学的物性を有しており、後工程である染色等の熱のかかる工程で熱収縮が大きく、繊維軸方向の分子の配向が大きく緩和されるため、磨耗性能が低く、十分な耐磨耗性能を有する人工皮革が得られない。
従来のスエード調人工皮革は、家具やカーシートとして長期間使用すると、磨耗過程で極細繊維がフィブリル化して摩耗面の色相が白っぽく変化(以下「白化」という)し、使用前の色相と異なってしまうという問題、極細繊維が脱落していく磨耗の問題、磨耗過程で極細繊維同士が絡み合いピリングするという問題などがあった。したがって、これらの問題をバランス良く解決し、白化・磨耗・ピリング現象が改善された優れたスエード調人工皮革の出現が強く求められていた。
特開2000−303367号公報 特開2003−268680号公報
本発明の課題は、磨耗に対して高耐久性能が要求される家具、カーシート等の張り替えの効かないようなハードな用途分野に使用された場合でも、高い耐磨耗性能を有し、磨耗過程での白化・磨耗・ピリングの少ない高耐久性能を有するスエード調人工皮革を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために磨耗過程の糸の形態変化について鋭意研究を重ねた結果、磨耗過程における糸の断面方向への変形のし易さが白化現象に大きく影響すること、即ち、表面繊維層に用いる極細繊維の糸断面方向の圧縮特性や粘弾性特性が白化現象に大きく影響することを見出し、更に、磨耗現象の低減やピリング現象を解消するためには、表面繊維層に用いる極細繊維の極限粘度に最適領域があることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて完成に至ったものである。
即ち、本発明は下記の通りである。
1.表面繊維層がエチレンテレフタレートの繰り返し単位からなるポリエチレンテレフタレートの極細繊維で構成され、ポリウレタン樹脂が含浸されて染色されたスエード調人工皮革であって、下記の(1)〜()の条件を満足することを特徴とするスエード調人工皮革
(1)ポリエチレンテレフタレート極細繊維の極限粘度が0.57以上0.63以下である
(2)極細繊維の繊度が0.5dtex以下である
(3)極細繊維が、130℃の熱水中にて無緊張下で30分処理した後のtanδmax値が0.16以上0.22以下、Tmax値が125℃以上160℃以下である
(4)極細繊維が、広角X線解析による結晶完全性が23%以上である、及び
(5)表層繊維層と織物・編物であるスクリム層の少なくとも2層構造以上の多層構造である。
2.表面繊維層を構成する極細繊維が、エチレンテレフタレートの繰り返し単位が80%以上のポリエチレンテレフタレートからなることを特徴とする上記1記載のスエード調人工皮革。
3.表面繊維層を構成する極細繊維が、繊維軸方向への沸水収縮率が25%未満であることを特徴とする上記1又は2に記載のスエード調人工皮革。
4.ポリウレタン樹脂が水性ポリウレタンであり、人工皮革中におけるポリウレタン樹脂の含有率が5〜25wt%であることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載のスエード調人工皮革。
5.ポリウレタン樹脂が有機溶剤系ポリウレタンであり、人工皮革中におけるポリウレタン樹脂の含有率が25〜50wt%であることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載のスエード調人工皮革。
6.表面繊維層を構成する極細繊維が、繊維断面方向への圧縮変形時の1次降伏応力が0.16mN/μm以下であることを特徴とする上記1〜5のいずれかに記載のスエード調人工皮革。
7.耐磨耗性能のエンドポイントが60000以上であり、且つ、抗ピリング性能が4級以上であることを特徴とする上記1〜6のいずれかに記載のスエード調人工皮革。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明において、表面繊維層を構成する極細繊維は、エチレンテレフタレートの繰り返し単位からなるポリエチレンテレフタレートであり、エチレンテレフタレートの繰り返し単位は、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、更に好ましくは95%である。上記のようなポリエチレンテレフタレートであると、人工皮革の耐白化性能・耐磨耗性能・抗ピリング性能を満足することができ、汎用性やリサイクル性の面からも好ましい。
本発明者らは、極細繊維の極限粘度が人工皮革の耐磨耗性能と抗ピリング性に大きく影響し、耐磨耗性能と抗ピリング性を両立させるためには、極限粘度が特定の範囲にあることが必要であることを見出した。図1に、極細繊維の極限粘度と耐磨耗性能および抗ピリング性の関係を示す。
本発明者らの知見によれば、耐磨耗性は、極限粘度の増大と共に性能が向上する。一方、抗ピリング性については、ある一定の極限粘度以上になると、磨耗による繊維脱落が発生し難くなり、人工皮革表面上に残りピリングとなってしまうのである。つまり、ある一定の極限粘度を超えると耐磨耗性と抗ピリング性能は相反する関係になるのである。
この理由は、明確ではないものの、ポリマーの極限粘度が増大するに伴い、ポリマーの分子末端現象に伴う構造上の欠陥が少なくなり、磨耗試験においても耐久性が向上するが、一方、一定以上の極限粘度を超えると、磨耗試験の過程でかかる力以上に繊維が強くなり、脱落せずピリングになるものと考えられる。
したがって、本発明においては、高い耐磨耗性能と抗ピリング性を両立させるため、表面繊維層を構成する極細繊維におけるポリエチレンテレフタレートの極限粘度は、0.57〜0.63である。
本発明の人工皮革はスエード調であり、表層繊維層を構成する極細繊維の繊度は、優美な表面性を創出するため、0.5dtex以下であることが必要であり、好ましくは0.35dtex以下である。更に、堅牢性、耐久性や高級感のある表面のソフトな感触などを総合的に考慮すると、0.04〜0.2dtexが最も好ましい範囲である。
繊度が0.04dtex未満で細すぎると、ブラックを代表とする濃染域に染色する場合、染色時の染料濃度が非常に高くなって、染色堅牢度が低下する傾向があり、また、糸が細くなり過ぎるため光が乱反射して濃色の色が十分に発現し難い場合がある。
本発明において、極細繊維は、染色工程を想定し、130℃の熱水中にて無緊張下で30分処理した後の粘弾性特性の内、図2に示すように、tanδmax値が0.16〜0.22、且つ、Tmax値が125〜160℃であり、好ましくは、tanδmax値が0.165〜0.20、且つ、Tmax値が130〜155℃、更に好ましくは、tanδmax値が0.170〜0.20、且つ、Tmax値が135〜155℃である。
tanδmax値が0.16〜0.22、且つ、Tmax値が125〜160℃であると、ポリエチレンテレフタレート繊維の微細構造において非晶量が多く、且つ、比較的緻密であるため、繊維の断面方向への圧縮変形時の一次降伏応力が0.16mN/μm以下になる。一方、tanδmax値が0.16未満の場合は、非晶量が少なく結晶領域が多いため、繊維の断面方向への圧縮変形時の一次降伏応力が0.16mN/μmを超え、磨耗評価等の耐久試験において、繊維構造がガラスのように一旦壊れると回復できないため、フィブリル化による光の乱反射増加や、繊維が完全に潰れて平面化し、鏡のような状態となり、テカリが発生し、いずれの場合も表面が白くなる現象である白化の程度が大きくなるものと考えられる。
また、tanδmax値が0.22を超えると、非晶質が多くなり過ぎるため、磨耗性能が低下し、Tmax値が160℃を超えると、tanδmax値が0.16未満となり、本発明の目的、効果を満足することができない。
本発明において、極細繊維は、130℃の熱水中にて無緊張下で30分処理した後の広角X線解析による結晶完全性が23%以上であり、好ましくは25%以上である。結晶構造における結晶完全性は、繊維構造の状態を知る手法であり、結晶完全性が23%未満の場合、未延伸糸の繊維構造に近くなり、力学的な性能が低下する傾向があり、人工皮革の耐磨耗性が低下する傾向にある。
本発明において、極細繊維は、繊維軸方向の沸水収縮率が25%未満であることが好ましく、より好ましくは20%未満、更に好ましくは15%未満である。繊維軸方向の沸水収縮率が上記の範囲であると、染色工程等高温での熱処理工程において繊維の収縮が少なく、耐磨耗性能が良好で、柔軟な風合いの表面を有し、優れた品位の人工皮革が得られる。なお、沸水収縮率が25%を超えるような領域の半未延伸糸(POY)では、染色等の熱がかかる工程で繊維が収縮し、繊維軸方向の分子配向の低下と無秩序な結晶化のため、強度が低下し、耐磨耗性能が低下する傾向がある。
本発明において、極細繊維は、繊維の断面方向への圧縮変形時の一次降伏応力が0.16mN/μm以下であることが好ましい。これは、磨耗試験の際に表面繊維層の極細繊維を鋭意観察した結果、(イ)白化の進行に伴い、まず繊維の一部分が扁平に潰されるように変形し、(ロ)続いて、その扁平度合いと変形する繊維の数が増加し、扁平化した繊維がフィブリル化すると共に切断して脱落し、(ハ)多くの繊維が、フィブリル化やフィブリルも含め扁平化して平面的に固着するという過程を経ることが判った。
そして、繊維の特性を変えて、磨耗試験を繰り返した結果、繊維断面が変形し易いほど白化し易いという傾向があることが判った。そこで、単糸断面の変形のしやすさが繊維断面の力学特性に起因すると考えて、種々の条件で測定を試みた結果、繊維の断面方向への圧縮変形時の一次降伏応力が一定値以下であると、繊維の断面変形が抑制され、耐白化性能が一層向上するという知見を、本発明者らは得た。
上記の知見から、繊維の断面方向への圧縮変形時の一次降伏応力は、0.16mN/μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.05〜0.16mN/μm、更に好ましくは、0.07〜0.16mN/μmである。
この繊維の断面方向への圧縮変形特性については、図3の圧縮応力曲線で示される。この時の一次降伏応力は、図3の点線の矢印で示した数値である。本発明においてはこの数値が一定値以下であることが好ましく、これは即ち、繊維の断面方向の力に対して変形し易いことを意味し、前述の観察結果と相反するように考えられる。しかしながら、繊維の断面方向への圧縮変形時の一次降伏応力が一定値以下である繊維は、摩擦試験において、繊維断面を圧縮する方向に対する力に対し変形し易いが、構造破壊を伴うまでの耐久性が高く、力を緩めた時には変形が回復しやすいために、最終的には断面の変形が小さいと考えられるのである。
一方、繊維の断面方向への圧縮変形時の一次降伏応力が0.16mN/μmを超える場合は、繊維の断面方向の力に対して変形し難いことを意味する。しかし、長時間の磨耗テストにおいては、内部の微細構造が破壊され易いため力を緩めた時には変形が回復せず、最終的には断面の変形が大きくなるものと考えられるのである。
このように、一見すると、耐白化性能と相反する特性のようであるが、磨耗試験のような反復の圧縮による耐久性テストでは、繊維断面方向への圧縮に対する繊維微細構造破壊までの耐久性の向上が必要であり、繊維の断面方向への圧縮変形時の一次降伏応力が一定値以下であることが、耐白化性能の向上につながるものと考えられる。
繊維の断面方向への圧縮変形時の一次降伏応力の下限値は、完全な未延伸糸などの場合で繊維の殆どが非晶質である場合などであり、好ましくは0.05mN/μm以上、より好ましくは0.07mN/μm以上である。
本発明において、耐磨耗性能については、スエード調人工皮革において明度(L*)が30以下の領域においても、マーチンデール磨耗評価のエンドポイントが60000回以上であることが好ましく、抗ピリング性能については、マーチンデール磨耗評価30000回後の表面における毛玉の発生が1〜2個であることが好ましく、より好ましくは1個未満であり、抗ピリング性能が4級以上であることが好ましい。
本発明において、表面繊維層を構成する極細繊維は、直接紡糸方法や海島繊維を一旦紡糸した後、海成分を抽出する方法によって製造することが出来る。製造工程を簡素化し、環境負荷等を小さくするためには、直接紡糸方法が適当であり、また、極細繊維の製造が容易であるアルカリ易溶性ポリエステルやポリスチレン、お湯に溶けるポリビニールアルコールなどを用いた海島繊維や割繊繊維などから極細繊維を抽出して取り出ことによっても製造することが可能である。また、海島繊維や割繊繊維を極細繊維とせず、後工程で抽出して極細繊維を形成することもできる。
本発明のスエード調人工皮革は、不織布シート、織物、編物を起毛して製造される。
好ましい製造方法の例としては、環境負荷の低減と製造工程を簡素化するために、前述の直接紡糸法によって得られた極細繊維をカットして短繊維化し、これを水中において分散させた後、抄造法によって直接シート化し、このシートを水流交絡法によって三次元交絡させた交絡体を作る技術である。
さらに、抄造法以外に、直接紡糸によって得られた極細繊維だけでなく、海島繊維や割繊繊維から抽出した極細繊維をカットした後に抄造法によってシート化しても良く、海島繊維や割繊繊維をカットした後に抄造法によってシート化しても良いし、カットした糸をカレンダー加工しシート化してもよい。
さらに、シート化した後に、極細繊維や抽出する前の繊維を三次元交絡させるために、水流交絡法だけでなくニードルパンチ法を用いても良い。
つまり、前述のシート化する方法については、カレンダー加工法を用いても良く、抄造法に限定するものではない。更に、交絡方法については、ニードルパンチなどの交絡方法を用いても良く、本発明においては水流交絡方法に限定するものではない。
本発明において、抄造の際に織物・編物であるスクリムを使用する場合には、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ナイロン6、ナイロン66、ケブラー、炭素繊維等の織物が使用可能であり、特に限定されないが、最も好ましくは、一般的な汎用性から、エチレンテレフタレートの繰り返し単位が80%以上のポリエチレンテレフタレート繊維のスクリムである。
スクリムが織物の場合は、織物の特性上、高い寸法安定性と強度が実現しやすい。織物を構成する糸条は、加工糸で無撚又は有撚で400〜1200T/mのものが好適に用いられるが、無加工の織物などを用いても良く、特に限定されるものではない。また、織物では、緯糸や縦糸のどちらかに加工糸を用いてもよく、用途によって任意に組み合わせても良い。
スクリムに用いる糸条の繊度は、好ましくは30〜500dtex、より好ましくは55〜220dtexの範囲であり、必要な強度により選定すればよい。
また、スクリムが編物の場合、シングルニットで22〜28ゲージにて編み上げたものが好適である。
本発明においては、表面層の極細繊維層に特徴があるため、表面繊維層が前記の極細繊維で構成されていればよい。その他の層には、他の繊維や織物・編物等を用いることが可能で、多層構造を形成しても良いが、表面層、織・編物層、裏面層からなる三層構造が、人工皮革としての寸法安定性、強度等を得られやすく品位も良好であり好ましい。それ以上の多層構造では、製造工程が煩雑となるだけでなく、各層の厚さが薄くなり耐久性が低下したり、各層の繊維が相互に混ざり、品位が低下する等の問題が生じやすい。
本発明において、人工皮革の基布(以下、不織布という)は、繊維のバインドを高め、脱落を防止したり、人工皮革そのものの反発性を付与するために、ポリウレタン樹脂を含浸させる。
ポリウレタン樹脂が水性ポリウレタンの場合、人工皮革中における含有率は5〜25wt%が好ましく、スクリムを持つ場合には、好ましくは6〜20wt%、更に好ましくは7〜15wt%である。また、有機溶剤系ポリウレタンの場合には、人工皮革中における含有率は25〜50wt%が好ましい。ポリウレタン樹脂の含有率が上記の範囲であると、人工皮革の風合いが柔軟で、繊維同士のバインドが十分に高く、繊維の脱落がなく耐久性が良好である。
ポリウレタン樹脂の種類は、水性ポリウレタン樹脂や有機溶剤系ウレタン樹脂のどちらでも良いが、環境負荷や有機溶媒の回収などの面から水性ポリウレタン樹脂が好ましい。
水性ポリウレタン樹脂の成分としては、以下のものが例示される。
ポリオール成分としては、ポリエチレンアジペートグリコールなどのポリエステルジオール類、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリエーテルグリコール類、ポリカーボネートジオール類等が挙げられる。イソシアネート成分としては、ジフェニルメタン−4,4−ジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4−ジイソシアネート等の脂環族イソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート等が挙げられる。鎖伸長剤としては、エチレングリコール等のグリコール類、エチレンジアミン、4,4−ジアミノジフェニルメタン等のジアミン類などを挙げることができる。
上記、各種成分を適宣組み合わせて原料ポリウレタンとすることが出来る。特に、製品の品質安定性の点から、黄変しにくいポリカーボネートジオールからなる無黄変ポリウレタンが好ましい。
また、ポリウレタンエマルジョン中にあるいはポリマーチェーン内に、ヒンダードアミンやヒンダードフェノール等の耐熱酸化剤などの他成分が組み込まれたものも、ポリウレタン樹脂性能の低下や、染色中のポリウレタンの脱落に影響しない程度であれば問題なく、ポリウレタン樹脂として用いても良い。
本発明のスエード調人工皮革の原反は、液流染色機で染色、還元洗浄して製品化される。
液流染色機による染色は、ジェットノズルによる起毛の引き出し効果や生地柔布効果による商品力の向上、及び、生産性の観点から最も好ましい。
還元洗浄は、二酸化チオ尿素と水酸化ナトリウム、又は、ハイドロサルファイトナトリウムと炭酸ナトリウムのような一般的なアルカリ還元処方が適用できる。洗濯、ドライクリーニング、湿摩擦堅牢度などの各種堅牢度が低下しないように、適切な濃度設定で還元処理することが好ましい。一般的には、染料濃度に合わせて、二酸化チオ尿素と水酸化ナトリウムを、其々1〜8g/リットルの濃度で用いて還元洗浄される。
本発明のスエード調人工皮革は、過酷な使用環境下においても高度な耐久性と品位を維持することが可能であるため、摩擦に対して高耐久性能が要求される家具、カーシートのような用途分野においても、磨耗過程での白化・磨耗が少なく、且つピリングの発生も少ない高い耐磨耗性能を発揮することができる。
以下、実施例を挙げてさらに本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、測定法、評価法等は下記の通りである。
(1)繊維断面方向への圧縮変形時の一次降伏応力
島津製作所製の島津ダイナミック超微小硬度計DUH-W201Sを用い、測定する極細繊維糸条より単糸1本を取り出し、Siウエハー上に横に静置して、Siウエハーごと測定ステージにセットした後、直径20μmの平面圧子にて、負荷速度0.284mN/secにて極細繊維の断面方向への圧縮変形時の応力を測定した。
測定した結果、得られた図3に示すような圧縮応力−圧縮率チャートより、一次降伏応力を求めた。
(2)極限粘度
極限粘度(IV35℃)は、35℃においてオルトクロロフェノールに対し1g/dlの濃度になるよう試料を溶解し、ウベローデ型粘度計にて測定した還元粘度を、下記式により35℃における極限粘度に換算した値として定義する。
IV35℃=((1+ηsp/c)0.5−1)/0.5
(3)粘弾性特性(tanδmax及びTmax
130℃の熱水中にて無緊張下で30分処理した後の糸を、(株)オリエンテック製のMODEL DDV−01FPを用い、試料長2.00cm、測定周波数110Hz、昇温速度5℃/minの条件で、各温度における損失弾性率、貯蔵弾性率を求め、(損失弾性率/貯蔵弾性率)より動的弾性損失正接を算出し、その動的弾性損失正接温度曲線から、そのピークトップの動的弾性損失正接をtanδmaxとし、温度をTmaxとした。
(4)結晶完全性
130℃の熱水中にて無緊張下で30分処理した後の糸を、広角X線解析装置として(株)リガク社製のR−AXISIICを用い、試料を約6000dtex程度に束ねた後、透過法X線回折による測定方法で、CU管球にて管球電圧40kV、管球電流100mAをかけ、カメラ長98.2mmとし、検出器としてイメージングプレートIPを用い、回折角2θの測定範囲5〜45度における回折強度曲線を測定した。
次いで、図4に示すように、2θ=5度と38度の回折強度曲線からベースライン補正し、2θ=26度に描かれる回折ピーク(100)面の回折ピーク強度(A)を求め、次に、2θ=26度と22度の回折ピークの谷間となる位置の回折強度(B)を求め、下記式により結晶完全性を求めた。
結晶完全性(%)=〔1−(B/A)〕×100
(5)耐白化性能
耐白化性は、JIS−L−1096(E法:マーチンデール法)に準じた。この試験で、試験前明度と、押圧荷重12kPaとして、n=10で3000回磨耗後の明度(試験後明度)を、ミノルタCM3500Dを用いて、明度(L*)を測定し、摩耗前後の明度から、明度差を絶対値|△L|とし、耐白化性能として、下記の基準で評価した。
|△L|=|(試験前明度)−(試験後明度)|
○:|△L|<9
△:9≦|△L|≦10
×:10<|△L|
(6)耐磨耗性能
JIS−L−1096(E法:マーチンデール法)に準じた。この試験で、押圧荷重12kPaとしてn=10で磨耗試験後、直径2mm以上の面積で2箇所以上スクリム面の露出または穴が開いた回数をエンドポイントとし、下記の基準で評価した。
○:エンドポイントが60000以上
△:エンドポイントが55000以上
×:エンドポイントが55000未満
(7)ピリング性能
JIS−L−1096(E法:マーチンデール法)に準じ、押圧荷重12kPaにてn=10で30000回磨耗後、表面に発生した毛玉数の平均値を求め、下記の基準にてピリング性を評価した。
5級:毛玉数=0
4級:毛玉数=1〜2
3級:毛玉数=3〜10
2級:毛玉数=11〜20
1級:毛玉数>20
(8)風合い
人工皮革の表面品位を、目視及び触感の官能検査で、下記の基準によりを評価した。
○:風合いが良好
△:風合いが並み程度
×:風合いが悪い
(9)総合評価
総合評価は、耐白化性能、耐磨耗性能、ピリング性、風合いの結果を基に評価した。
○:全て○
△:1つ△
×:それ以外
[実施例1〜4、比較例1]
実施例1〜4では、紡糸する前のポリマーの極限粘度が0.63(実施例1、2、4)、0.68(実施例3)のポリエチレンテレフタレートを用い、直接紡糸法により紡糸速度700〜1000m/min、延伸倍率1.8〜2.0倍の条件にて、表1に示すポリエステル極細繊維を製造した。得られた繊維の単繊維繊度は0.15dtex、破断伸度は40〜55%であった。
比較例1では、紡糸する前のポリマーの極限粘度が0.69のポリエチレンテレフタレートを用い、直接紡糸法により紡糸速度700m/min、延伸倍率2.5倍の条件にて、表1に示すポリエステル極細繊維を製造した。得られた繊維の単繊維繊度は0.15dtex、破断伸度は25%であった。
上記で得たポリエステル極細繊維を長さ5mmに切断した後、水中に分散させて表層用と裏層用の抄造スラリーを作製した。得られたスラリーを用い、表層目付100g/m、裏層目付50g/mとし、その中間に167dtex/48fのポリエステル繊維加工糸で800T/mの有撚の糸を用い、経53本/2.54cm、緯62本/2.54cmのガーゼ状の織物をスクリムとして挿入し、三層積層構造の不織布シートを連続抄造で製造した。次いで、高速水流の噴射により三次元交絡不織布を得た。高速水流の噴射は、孔径0.1mmの直進流噴射ノズルを用いて表層から4.0MPa、裏層から3.0MPaの圧力で噴射した。次いで、ピンテンターで乾燥し、目付200g/mのシート状物を製造した。
このシート状物の表層を、#400のサンドペーパーでバフィングし、次いで、9wt%濃度のポリエーテル系の水系ポリウレタンに3wt%の芒硝を添加した液を、付着率12wt%となるように含浸させ、ピンテンター乾燥機で3分間加熱乾燥し、人工皮革原反を作製した。
得られた人工皮革原反を、130℃、30分間、液流染色機でブルーの分散染料(BlueFBL:住友化学製)で染色し、アルカリで還元洗浄を実施し、明度28のスエード調人工皮革製品を得た。
得られたスエード調人工皮革製品につき、マーチンデール磨耗により、30000回での耐白化性、耐摩耗性、抗ピリングを測定した。結果を表1に示す。表1から判るように、実施例1〜4は、耐白化、耐磨耗、抗ピリング性能が改善され、優れた耐久性を有すると共に人工皮革として良好な風合いを有していた。これに対し、比較例1は、tanδmaxの値が小さく、更に、繊維断面方向への圧縮変形時の一次降伏応力値が高く、耐白化性能が悪かった。
[比較例2]
紡糸して一旦巻き取った後、延伸工程での延伸倍率を2.7倍とし、180℃のヒートチューブ内にて緊張下で5分間熱セットしたこと以外は、実施例1と同様にしてポリエステル繊維を製造した。得られた繊維は、表1に示す通りであり、単繊維繊度0.15dtex、破断伸度15%であった。
得られた繊維を用い、実施例1と同様にして人工皮革原反を作製し、評価した。その結果を表1に示す。表1から判るように、tanδmaxの値が小さく、さらに、繊維断面方向への圧縮変形時の一次降伏応力値が高く、耐白化性能が悪い結果となり、本発明で目的とする人工皮革の耐久性能や品位には到達しなかった。
[比較例3]
紡糸する前のポリマー極限粘度が0.63のポリエチレンテレフタレートを用い、直接紡糸法により紡糸速度2000m/minにて、溶融ポリマーを比較的急速に冷却する条件で紡糸し、延伸倍率を1.25倍としてポリエステル繊維を製造した。得られた繊維は、表1に示す通りであり、単繊維繊度は0.15dtex、破断伸度は60%であった。
得られた繊維を用い、実施例1と同様の方法で人工皮革原反を作製し、評価した。その結果を表1に示す。表1から判るように、繊維断面方向への圧縮変形時の一次降伏応力値は低いものの、結晶完全性が21%と低く、繊維構造が未延伸糸に近いため耐磨耗性能が悪く、本発明で目的とする人工皮革の耐久性能が発現しなかった。
[比較例4、5]
紡糸する前のポリマー極限粘度が0.68のポリエチレンテレフタレートを用い、直接紡糸法により紡糸速度を2500m/分(比較例4)、1900m/分(比較例5)として紡糸し、延伸しない条件にてポリエステル繊維を製造した。得られた繊維は、表1に示す通りであり、単繊維繊度は0.15dtex、破断伸度は100%(比較例4)、140%(比較例5)であった。
得られた繊維を用い、実施例1と同様の方法で人工皮革原反を作製し、評価した。その結果を表1に示す。表1から判るように、比較例4及び比較例5では、繊維断面方向への圧縮変形時の一次降伏応力値は低いものの、結晶完全性が低く、また、沸水収縮率が高く、耐磨耗性能が悪い上に、品位も悪く、本発明で目的とする人工皮革の耐久性能と品位に到達しなかった。
[実施例5及び6、比較例6〜9]
極限粘度0.52〜0.74のポリマーを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてポリエステル極細繊維を製造した。得られた極細繊維は、表2に示す通りであり、単繊維繊度は0.15dtexであった。
得られた極細繊維を用い、実施例1と同様の方法で人工皮革原反を作製し、染色した。得られた人工皮革原反を、マーチンデール磨耗により、30000回での耐白化性、耐摩耗性、抗ピリングを測定した。結果を表2に示す。表2から判るように、実施例5、6は、耐白化、耐磨耗、抗ピリング性能が改善され優れた耐久性を有すると共に、人工皮革として良好な風合いを有していた。
これに対し、比較例6及び比較例7は、極細繊維の極限粘度が低く、耐磨耗性が悪い結果となり、耐白化性能が低かった。比較例8及び比較例9は、極細繊維の極限粘度が大きいため、耐白化性能、耐磨耗性能は優れているものの、ピリングが発生し、抗ピリング性能の低下が大きく、本発明で目的とする人工皮革が得られなかった。
[実施例7、8]
海成分にはアルカリ減量しやすいポリエステル共重合ポリマーとして、分子量4000のポリエチレングリコールを10%共重合したポリエチレンテレフタレートを用い、一方、島成分には共重合していないレギュラータイプのポリエチレンテレフタレートを用いた。この2種のポリマーを、海成分35%、島成分65%にて紡糸後、熱延伸し、続いて、80℃の5wt%のNaOH水溶液で海成分を溶出し、極細繊維を得た。得られた極細繊維は、表3に示す通りであり、単繊維繊度0.10dtex(実施例7)、0.06dtex(実施例8)であった。
得られた極細繊維を用い、実施例1と同様の方法で人工皮革原反を作製し、染色した。得られた人工皮革原反を、マーチンデール磨耗により、30000回での耐白化性、耐摩耗性、抗ピリングを測定した。結果を表3に示す。表3から判るように、実施例7及び実施例8は、耐白化、耐磨耗、抗ピリング性能が改善され、優れた耐久性を有すると共に、人工皮革として良好な風合いを有していた。
[実施例9]
アルカリ減量しやすいポリエステル共重合ポリマーとして、分子量4000のポリエチレングリコールを10wt%共重合したポリエチレンテレフタレートを用い、一方、アルカリ減量し難いポリマーとして、共重合していないレギュラータイプのポリエチレンテレフタレートを用いた。この2種のポリマーを、6分割の割繊糸となるように、共重合ポリマー:レギュラータイプのポリマーの比率を20:80として紡糸、延伸し、続いて、80℃、5wt%のNaOH水溶液で共重合成分を溶出し、極細繊維を得た。得られた極細繊維は、表3に示す通りであり、単繊維繊度は0.13dtexであった。
得られた極細繊維を用い、実施例1と同様の方法で人工皮革原反を作製し、染色した。得られた人工皮革原反を、マーチンデール磨耗により、30000回での耐白化性、耐摩耗性、抗ピリングを測定した。結果を表3に示す。表3から判るように、耐白化、耐磨耗、抗ピリング性能が改善され、優れた耐久性を有すると共に、人工皮革として良好な風合いを有していた。
[実施例10、11]
実施例7及び実施例9と同様の製法で、紡糸後に熱延伸した糸を、アルカリ減量することなく、50mmにカットし、続いてカード・クロスラッパーに通し、目付け180g/mのシート状物を製造した。このシート状物をニードルパンチングして三次元交絡不織布を得た。
得られた三次元交絡不織布を、150℃の熱風中で処理し、更に85℃に加熱したロールでプレスして210g/mのシートとし、続いてポリビニールアルコール溶液に浸漬し、固形分が20wt%となるように調整した後に乾燥した。次いで、エステル・エーテル系ポリウレタン溶液を付着率30wt%となるように含浸し、湿式凝固させ、熱水中にて脱溶剤処理をして乾燥した。
次いで、このシートを、80℃、5wt%のNaOH水溶液中に浸漬して表面の糸の共重合成分を溶出し、水洗した後に乾燥させ、表面の平滑性を出すためスライスし、このシート状物の表層を#300のサンドペーパーでバフィングして人工皮革原反を得た。得られた人工皮革原反を、130℃、30分液流染色機でブルーの分散染料(BlueFBL住友化学製)で染色し、アルカリで還元洗浄を実施し、明度26のスエード調人工皮革製品を得た。
この製品を、マーチンデール磨耗により、30000回での耐白化性、耐摩耗性、抗ピリングを測定した。結果を表3に示す。表3から判るように、実施例10及び実施例11は、耐白化、耐磨耗、抗ピリング性能が改善され、優れた耐久性を有すると共に、人工皮革として良好な風合いを有していた。
[実施例12〜15]
実施例1と同様にバフ工程まで完了したシートを用い、ポリエーテル系の水系ポリウレタンを人工皮革に対して付着率5〜25wt%となるように含浸し、ピンテンター乾燥機で3分間加熱乾燥して人工皮革原反を作製した。得られた人工皮革原反を、実施例1と同様に染色し、明度29のスエード調人工皮革製品を得た。
得られた人工皮革製品を、マーチンデール磨耗により、30000回での耐白化性、耐摩耗性、抗ピリングを測定した。結果を表4に示す。表4から判るように、実施例12〜15は、耐白化、耐磨耗、抗ピリング性能が改善され、優れた耐久性を有すると共に、人工皮革として良好な風合いを有していた。
[実施例16〜18]
実施例7と同様の極細繊維を用い、実施例1と同様にバフ工程まで完了したシートを用い、エステル・エーテル系ポリウレタン溶液を人工皮革に対して付着率25〜45wt%となるように含浸した後、湿式凝固させ、熱水中にて脱溶剤処理をして乾燥して人工皮革原反を作製した。得られた原反を実施例1と同様にして染色し、明度28のスエード調人工皮革製品を得た。
得られた人工皮革製品を、マーチンデール磨耗により、30000回での耐白化性、耐摩耗性、抗ピリングを測定した。結果を表4に示す。表4から判るように、実施例16〜18は、耐白化、耐磨耗、抗ピリング性能が改善され、優れた耐久性を有すると共に、人工皮革として良好な風合いを有していた。
Figure 0004484622
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本発明のスエード調人工皮革は、高度な耐久性を有し、カーシートや家具用として好適である。
極細繊維の極限粘度と、耐磨耗性能及び抗ピリング性の関係を示し、本発明における範囲を示す図である。 本発明における粘弾性特性範囲を示す図である。 繊維断面方向の圧縮時の圧縮率と、圧縮時の一次降伏応力の関係の一例を示す図である。 X線回折チャートの一例を示す図である。

Claims (7)

  1. 表面繊維層がエチレンテレフタレートの繰り返し単位からなるポリエチレンテレフタレートの極細繊維で構成され、ポリウレタン樹脂が含浸されて染色されたスエード調人工皮革であって、下記の(1)〜()の条件を満足することを特徴とするスエード調人工皮革
    (1)ポリエチレンテレフタレート極細繊維の極限粘度が0.57以上0.63以下である
    (2)極細繊維の繊度が0.5dtex以下である
    (3)極細繊維が、130℃の熱水中にて無緊張下で30分処理した後のtanδmax値が0.16以上0.22以下、Tmax値が125℃以上160℃以下である
    (4)極細繊維が、広角X線解析による結晶完全性が23%以上である、及び
    (5)表層繊維層と織物・編物であるスクリム層の少なくとも2層構造以上の多層構造である。
  2. 表面繊維層を構成する極細繊維が、エチレンテレフタレートの繰り返し単位が80%以上のポリエチレンテレフタレートからなることを特徴とする請求項1記載のスエード調人工皮革。
  3. 表面繊維層を構成する極細繊維が、繊維軸方向への沸水収縮率が25%未満であることを特徴とする請求項1又は2に記載のスエード調人工皮革。
  4. ポリウレタン樹脂が水性ポリウレタンであり、人工皮革中におけるポリウレタン樹脂の含有率が5〜25wt%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のスエード調人工皮革。
  5. ポリウレタン樹脂が有機溶剤系ポリウレタンであり、人工皮革中におけるポリウレタン樹脂の含有率が25〜50wt%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のスエード調人工皮革。
  6. 表面繊維層を構成する極細繊維が、繊維断面方向への圧縮変形時の1次降伏応力が0.16mN/μm以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のスエード調人工皮革。
  7. 耐磨耗性能のエンドポイントが60000以上であり、且つ、抗ピリング性能が4級以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のスエード調人工皮革。
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