本発明は、半導体レーザー光源から出射した波長λのレーザー光の発散光中に設置される波長板及びこの波長板を適用した光ピックアップ装置に関するものである。
一般的に、円盤状の光ディスクやカード状の光カードなどの光記録媒体は、映像情報とか音声情報やコンピュータデータなどの情報信号を透明基板上で螺旋状又は同心円状に形成したトラックに高密度に記録し、且つ、記録済みのトラックを再生する際に所望のトラックを高速にアクセスできることから多用されている。
この種の光記録媒体となる光ディスクとして例えばCD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)などは既に市販されているが、最近では光ディスクに対して、より一層高密度化を図るために、CD,DVDよりも情報信号を超高密度に記録又は再生できるBlu−ray Discの開発が盛んに行われている。
ここで、上記した光記録媒体に対して記録または再生する一般的な光ピックアップ装置について図17を用いて説明する。
図17は一般的な光ピックアップ装置の概略構成を示した構成図である。
図17に示した如く、一般的な光ピックアップ装置100Aでは、半導体レーザー光源101から直線偏光光のレーザー光Lが発散光Ldとして出射され、この発散光Ldがコリメータレンズ102で平行光Lpとなり偏光ビームスプリッタ103に入射される。
この際、偏光ビームスプリッタ103は、45°傾斜した貼り合せ面に誘電体膜からなる偏光分離面103aが形成されており、例えばp偏光光の平行光Lpが偏光分離面103aを透過した後に、1/4波長板104に入射されて、この1/4波長板104で円偏光光Lcに変換される。
この後、1/4波長板104を透過した円偏光光Lcは対物レンズ105に入射して、対物レンズ105でスポット状に絞られて、スポット光Lsが光記録媒体Dの信号面上に集光される。
更に、光記録媒体Dの信号面上でスポット光Lsが反射された反射光Lrは、対物レンズ105を透過し、1/4波長板104を透過する。この1/4波長板104で反射光Lrが往路に対して90°偏光方向を回転されてs偏光光に変換された後に、偏光ビームスプリッタ103に入射され、偏光ビームスプリッタ103の偏光分離面103aで反射される。この後、反射光Lrは検出レンズ106を透過して、光検出器107の受光面上に集光されて光電変換され、光記録媒体Dの信号面上に記録された情報信号を検出している。
ところで、上記した一般的な光ピックアップ装置100Aに対して光学系をコンパクトに小型化した光ピックアップ装置がある(例えば、特許文献1参照)。
特開平10−177737号公報
図18は従来の光ピックアップ装置の概略構成を示した構成図、
図19は従来の光ピックアップ装置において、半導体レーザー光源から出射したレーザー光の光量分布とリムインテンシティ(リム強度)とを説明するための図である。
図18に示した従来の光ピックアップ装置100Bは、上記した特許文献1(特開平10−177737号公報)に開示されているものであり、ここでは特許文献1を参照して簡略に説明する。
図18に示した如く、従来の光ピックアップ装置100Bは、上記した一般的な光ピックアップ装置100Aと同じ構成部材101〜107を備えているものの、光学系を小型化するため、上記の光路と異なって偏光ビームスプリッタ103と1/4波長板104とを半導体レーザー光源101とコリメータレンズ102との間、すなわち、半導体レーザー光源101から出射したレーザー光Lの発散光Ld中に設置されている。
これによって、光ピックアップ装置100B内の光路を有効に利用できるため、近年では半導体レーザー光源101から出射したレーザー光Lの発散光Ld中に1/4波長板104とか1/2波長板(図示せず)などの波長板を入れることが多い。
上記した1/4波長板104とか1/2波長板(図示せず)などの波長板は、単板シングルタイプ,単板マルチタイプ,貼り合せタイプなどの構造を採用したものが用いられている。
ここで、例えば、1/4波長板104を用いた場合を例にして説明すると、単板シングルタイプは偏光方向での位相差をλ/4として発生させ、単板マルチタイプは偏光方向での位相差を(λ/4)+nλ(n:自然数)として発生させ、貼り合せタイプは位相差φ1,φ2を有する2枚の位相差板によりφ1−φ2=λ/4とするものである。
この際、図17に示したように、1/4波長板104がコリメータレンズ102で平行光Lpになった後に設置されている場合には、単板タイプであっても、貼り合せタイプであっても入射角0°のレーザー光が入射するため、特性上の問題はほとんどない。
しかし、図18に示したように、1/4波長板104を半導体レーザー光源101から出射したレーザー光Lの発散光Ld中に設置した場合、1/4波長板104の構造によって入射角度依存性が異なる。その中でも、貼り合せタイプが最も入射角度依存性に優れているが、貼り合せタイプの波長板であっても、レーザー光Lの入射角度によりリタデーション(位相差)が異なる。
また、図19に示した如く、半導体レーザー光源101から出射したレーザー光Lは、周知のガウス分布により放射角の長い方向と短い方向があるために楕円状の光量分布となっており、例えば、放射角の長い方向をY軸方向に、且つ、放射角の短い方向をX軸方向に対応させるように半導体レーザー光源101が予め位置決めして設置されている。
この場合、対物レンズ105(図18)でスポット状に絞り込まれたスポット光Lsが光記録媒体Dのトラック上に楕円状に照射されると、楕円状のスポット光Lsの光量分布がトラックの接線方向(タンジェンシャル方向)と、この接線方向と直交する径方向(ラジアル方向)とで異なるためにリムインテンシティ(リム強度)が悪くなり、とくに、放射角の短い方向(X軸方向)と対応した径方向のリムインテンシティが低くなってしまう。
上記したリムインテンシティ(リム強度)は、対物レンズ105(図18)の入射瞳中の最大強度に対する瞳端部における強度の比で示され、例えば、リムインテンシティ(リム強度)=50%の場合の取込光束は図19に示したようになる。
とくに、最近では高倍速化が進み、半導体レーザー光源101のパワーにも限界があるため、結合効率を高くして、記録または再生が可能な限界までリムインテンシティを低くする傾向にある。
ところで、図18に示した従来の光ピックアップ装置100Bのように、1/4波長板104を半導体レーザー光源101から出射したレーザー光Lの発散光Ld中に設置することで、光ピックアップ装置100B内の光路を有効に利用でき、小型化を図ることができるものの、光ピックアップ装置100Bの小型化を考えると、コリメータレンズ102の焦点距離は短い方が良い。
この際、焦点距離の短いコリメータレンズ102を使用して、半導体レーザー光源101から出射したレーザー光Lの発散光中に1/4波長板104とか1/2波長板(図示せず)などの波長板を入れると、波長板への入射角度がより大きくなり、入射角度によるリタデーションの違いもより大きくなる。そして、リタデーションの違いにより、偏光ビームスプリッタ103を透過した後の光量が、中心部と外周部とで異なってしまうという問題が発生する。
更に、半導体レーザー光源101から出射したレーザー光Lの光量分布はガウス分布により楕円状になっているため、波長板でのリタデーションの違いによる光量分布と重なると、光量分布の中心部と外周部で大きく光量が異なることが考えられる。このため、対物レンズ105上でのリムインテンシティが悪化し、良好な記録または再生が難しくなり、波長板の光量分布を適切にする必要がある。
そこで、光ピックアップ装置の小型化を図るために、半導体レーザー光源から出射した波長λのレーザー光の発散光中に波長板を設置させる際に、波長板のリタデーションを適切に設定して、光記録媒体を良好に記録または再生できる波長板及びこの波長板を適用した光ピックアップ装置が望まれている。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、請求項1記載の発明は、半導体レーザー光源から出射した波長λのレーザー光の発散光中に設置される波長板において、
第1の角度に設定された光学軸を有して、前記波長λのレーザー光が第2の角度で入射して透過するときにλ/2(180°)のリタデーションを与え、前記第2の角度とは異なる第3の角度で入射して透過するときにはλ/2(180°)以外のリタデーションを与えて入射角依存性を有する1/2波長板であり、この1/2波長板に入射する前記発散光の有効領域における最小入射角度をθ°min、前記発散光の有効領域における最大入射角度をθ°max、θ°aver=(θ°min+θ°max)/2、前記発散光の入射角度θ°averにおけるリタデーション値をa°、前記発散光の最小入射角度θ°min及び最大入射角度θ°maxにおける各リタデーション値のうちで両者の値が同じである場合にはいずれか一方の値を、また、両者の値が異なる場合には180°に対する差分値が大きい方の値をb°とした時に、
|a°−180°|≒|b°−180°|(ただし、a°=b°=180°を除く)
が成立することを特徴とする波長板である。
また、請求項2記載の発明は、半導体レーザー光源から出射した波長λのレーザー光を対物レンズを介して光記録媒体の信号面に集光させて、前記光記録媒体に対して情報信号を記録または再生する光ピックアップ装置において、
前記半導体レーザー光源から出射したレーザー光の発散光中に、第1の角度に設定された光学軸を有して、前記波長λのレーザー光が第2の角度で入射して透過するときにλ/2(180°)のリタデーションを与え、前記第2の角度とは異なる第3の角度で入射して透過するときにはλ/2(180°)以外のリタデーションを与えて入射角依存性を有する1/2波長板を設置してなり、
前記1/2波長板は、入射する前記発散光の有効領域における最小入射角度をθ°min、前記発散光の有効領域における最大入射角度をθ°max、θ°aver=(θ°min+θ°max)/2、前記発散光の入射角度θ°averにおけるリタデーション値をa°、前記発散光の最小入射角度θ°min及び最大入射角度θ°maxにおける各リタデーション値のうちで両者の値が同じである場合にはいずれか一方の値を、また、両者の値が異なる場合には180°に対する差分値が大きい方の値をb°とした時に、
|a°−180°|≒|b°−180°|(ただし、a°=b°=180°を除く)
が成立することを特徴とする光ピックアップ装置である。
請求項1記載の波長板によると、半導体レーザー光源から出射した波長λのレーザー光の発散光中に、第1の角度に設定された光学軸を有して、波長λのレーザー光Lが第2の角度で入射して透過するときにλ/2(180°)のリタデーションを与え、第2の角度とは異なる第3の角度で入射して透過するときにはλ/2(180°)以外のリタデーションを与えて入射角依存性を有する1/2波長板を設置する際に、1/2波長板のリタデーションを適切にすることにより、1/2波長板を透過した後のレーザー光の光量分布が良好に得られる。
また、請求項2記載の光ピックアップ装置によると、半導体レーザー光源から出射した波長λのレーザー光の発散光中に、第1の角度に設定された光学軸を有して、波長λのレーザー光Lが第2の角度で入射して透過するときにλ/2(180°)のリタデーションを与え、第2の角度とは異なる第3の角度で入射して透過するときにはλ/2(180°)以外のリタデーションを与えて入射角依存性を有する1/2波長板を設置する際に、1/2波長板のリタデーションを適切にすることにより、対物レンズを介して光記録媒体上に集光させたスポット光の中心部に比べて外周部での光量を大きく低下させることなく、すなわち、リムインテンシティを適切にして、光記録媒体を良好に記録又は再生することができる。
以下に本発明に係る光ピックアップ装置の一実施例について図1〜図16を参照して、実施例1、実施例2の順に詳細に説明する。
図1は本発明の実施例1に係る波長板を適用した光ピックアップ装置の全体構成を示した図、
図2(a),(b)は青色半導体レーザーを設置する際に、実施例1に対する比較例の場合を説明するために模式的にそれぞれ示した図、
図3(a),(b)は青色半導体レーザーを設置する際に、実施例1の場合を説明するために模式的にそれぞれ示した図、
図4は本発明の実施例1に係る波長板として1/2波長板について説明するための図、
図5(a),(b)は青色半導体レーザーから出射したレーザー光が1/2波長板を透過する前と、1/2波長板を透過した後の各状態を示した図、
図6は本発明の実施例1に係る1/2波長板へのレーザー光の入射角の定義を示した図、
図7は実施例1において、1/2波長板の入射角0°におけるリタデーションを180°とした場合の光学軸とリタデーションとの関係を示した図、
図8は実施例1において、青色半導体レーザーから出射した直後におけるレーザー光のX軸方向の光量分布を示した図、
図9は実施例1において、青色半導体レーザーから出射したレーザー光が図7に示した各特性を有する各1/2波長板を透過した後の対物レンズ上での光量分布を示した図、
図10は実施例1において、光学軸が22.5°の1/2波長板の入射角0°におけるリタデーション値をそれぞれシフトさせた態様を示した図、
図11は実施例1において、光学軸が22.5°の1/2波長板の入射角0°におけるリタデーション値を180°から197°までシフトさせた時に、青色半導体レーザーからのレーザー光が1/2波長板を透過した後の最大入射角θ°max又は最小入射角θ°minにおけるリタデーション差を示した図、
図12は実施例1において、青色半導体レーザーからのレーザー光が、光学軸22.5°,入射角0°のリタデーション値を180°とした1/2波長板を透過した後、及び、光学軸22.5°,入射角0°のリタデーション値を188.5°とした1/2波長板を透過した後に、それぞれ対物レンズ上での光量分布を比較した図である。
図1に示した如く、本発明の実施例1に係る波長板を適用した光ピックアップ装置10では、光記録媒体Dとして超高密度に記録又は再生できるBlu−ray Discが適用可能に構成されており、これに伴って、半導体レーザー光源11として波長λが405nmのレーザー光Lを出射する青色半導体レーザー11Bが設けられており、この青色半導体レーザー11Bから出射した直線偏光光のレーザー光L中で往路用として例えばp偏光光を用いている。
上記した光ピックアップ装置10では、青色半導体レーザー11Bと、この青色半導体レーザー11Bから出射したレーザー光Lの発散光Ld中に順に設置された1/2波長板12及び偏光ビームスプリッタ13並びに1/4波長板14と、1/2波長板12及び偏光ビームスプリッタ13を透過した発散光Ldが1/4波長板14で円偏光光Lcに変換された後にこの円偏光光Lcを平行光Lpに変換するコリメータレンズ15と、このコリメータレンズ15を透過した平行光Lpをスポット状に絞り込んでスポット光Lsを記録媒体Dの信号面上に集光する対物レンズ16と、光記録媒体Dからの反射光Lrを検出するための検出レンズ17及び光検出器18とが図示の順で設置されている。
ここで、光ピックアップ装置10内の詳細な動作を説明する前に、主要な各種の光学部材について先に説明する。
上記した各種の光学部材のうちで、青色半導体レーザー11Bは、従来技術で述べたと同様に、ここから出射したレーザー光Lの光量分布がガウス分布により楕円状になっており、放射角の長い方向と短い方向とがある。
そこで、青色半導体レーザー11Bを設置する場合には、図2に示した実施例1に対する比較例の場合と、図3に示した実施例1の場合とがある。
まず、実施例1に対する比較例の場合では、図2(a)に示したように、青色半導体レーザー11B(11)から出射したレーザー光Lのうちで、放射角の長い方向をY軸方向に、且つ、放射角の短い方向をX軸方向に対応させるように青色半導体レーザー11Bが予め位置決めされているので、図2(b)に示したように、このレーザー光Lを対物レンズ16(図1)でスポット状に絞り込んだスポット光Lsを光記録媒体DのトラックT上に照射すると、スポット光LsがトラックTに沿って楕円状に得られる。この場合、従来技術で説明したと同様に、楕円状のスポット光Lsの光量分布がトラックTの接線方向(タンジェンシャル方向)と、この接線方向と直交する径方向(ラジアル方向)とで異なるためにリムインテンシティ(リム強度)が悪くなり、とくに、放射角の短い方向(X軸方向)と対応した径方向のリムインテンシティが低くなってしまう。
そこで、比較例におけるリムインテンシティ(リム強度)の問題を解決するために、この実施例1の場合では、図3(a)に示したように、青色半導体レーザー11B(11)から出射したレーザー光Lのうちで、放射角の長い方向をX軸とY軸との中間となる45°方向に対応させるように青色半導体レーザー11Bが予め位置決めされているので、図3(b)に示したように、このレーザー光Lを対物レンズ16(図1)でスポット状に絞り込んだスポット光Lsを光記録媒体DのトラックT上に照射すると、スポット光LsがトラックTの接線方向と、この接線方向と直交する径方向との中間方向に楕円状に得られる。この場合に、楕円状のスポット光Lsの光量分布がトラックTの接線方向と、この接線方向と直交する径方向とで見かけ上略同じになるためにリムインテンシティ(リム強度)が良好となる。
ここで、上記したように、青色半導体レーザー11BをX軸とY軸との中間となる45°方向に回転させた時に、この青色半導体レーザー11Bからのレーザー光Lの偏光方向の回転を戻すため、この実施例1では、図1を用いて前述したように青色半導体レーザー11Bと偏光ビームスプリッタ13との間に1/2波長板12を設置しており、これを言い換えると、1/2波長板12は青色半導体レーザー11Bから出射したレーザー光Lの発散光Ld中に設置されている。
上記した1/2波長板12は、図4に示したように、光学軸がX軸方向に対して、所定の角度となる22.5°方向にあり、青色半導体レーザー11Bから出射した波長λのレーザー光Lが透過するときにλ/2(180°)のリタデーションを与えるものである。尚、上記した光学軸は、一般的に、複屈折媒体中で常光線と異常光線が同じ速度で伝播し、複屈折を示さない光軸である。
この際、青色半導体レーザー11BをX軸とY軸との中間となる45°方向に回転させており、且つ、青色半導体レーザー11Bから出射した波長λのレーザー光Lは例えばp偏光光を用いているので、図5(a)に示したように、1/2波長板12を透過する前は波長λのレーザー光Lの偏光方向がX軸方向に対して45°傾いている。
そして、図5(b)に示したように、青色半導体レーザー11Bから出射した波長λのレーザー光Lが1/2波長板12を透過した後に、波長λのレーザー光Lに対してλ/2のリタデーションが与えられ、また、1/2波長板12の光学軸が22.5°であるので、p偏光光のレーザー光LはX軸方向に対して0°の偏光方向となる。
また、図6に示した如く、本発明の実施例1に係る1/2波長板12は、青色半導体レーザー11Bから出射したレーザー光Lの発散光Ld中に設置されているために、1/2波長板12に入射する発散光Ldの入射角度が中心部と外周部とで異なっており、入射角が0°となるZ軸(光軸)を挟んで上下に最大入射角θ°maxと、最小入射角θ°minとが存在する。
ここでの最大入射角θ°max及び最小入射角θ°minは、後述する対物レンズ16の有効径3.6mmに対応させた外周部において、入射光線とZ軸(光軸)に対して平行な仮想線との間のなす角度であり、この実施例1では最大入射角θ°max=+6°、最小入射角θ°min=−6°である。この際、θ°aver=(θ°max+θ°min)/2とすると、図示からも明らかなようにθ°aver=0°となる。
尚、最大入射角θ°max以上または、最小入射角θ°min以下の範囲については集光に寄与しないレーザー光Lであるので、以下では集光に寄与しない領域を除いて説明する。
図1に戻り、偏光ビームスプリッタ13は、45°傾斜した貼り合せ面に膜付けした偏光選択性誘電体多層膜13aで1/2波長板12からの発散光Ldのp偏光光を透過させる一方、後述するように光記録媒体Dで反射された反射光Lrのうちで例えばs偏光光を反射させる機能を備えている。
また、1/4波長板14は、光学軸がX軸とY軸との中間となる45°方向に向いており、青色半導体レーザー11Bから出射した波長λの発散光Ldが透過するときにλ/4(90°)のリタデーションを与えるものである。
また、対物レンズ16は、開口数0.85、焦点距離2.118mm、有効径3.6mmである。
ここで、光ピックアップ装置10内の動作を説明すると、青色半導体レーザー11Bから出射した波長λが405nmのレーザー光Lは例えばp偏光光の発散光Ldであり、このp偏光光の発散光Ldは1/2波長板12でλ/2(180°)のリタデーションが与えられて偏光ビームスプリッタ13に入射する。この後、p偏光光の発散光Ldは偏光ビームスプリッタ13の偏光選択性誘電体多層膜13aを透過し、1/4波長板14を透過して、この1/4波長板14でλ/4(90°)のリタデーションを与えられて円偏光光Lcとなる。
また、1/4波長板14を透過した円偏光光Lcはコリメータレンズ15で平行光Lpとなり、この平行光Lpが対物レンズ16でスポット状に絞られて、スポット光Lsが光記録媒体Dの信号面上に集光される。そして、スポット光Lsによって光記録媒体Dの信号面への記録又は再生が行われる。
更に、光記録媒体Dの信号面で反射された反射光Lrは往路と反対回りの円偏光光となって対物レンズ16に再入射し、この対物レンズ16により平行光となり、コリメータレンズ15を透過して、反射光Lrは収束光となり、1/4波長板14でs偏光光になる。よって、s偏光光の反射光Lrは偏光ビームスプリッタ13の偏光選択性誘電体多層膜13aで反射され、検出レンズ17で絞られて、光検出器18に集光する。そして、光記録媒体Dの信号面からの情報信号によりトラッキングエラー信号,フォーカスエラー信号,メインデータ信号を検出している。
次に、図7は、実施例1において、1/2波長板の入射角0°におけるリタデーションを180°とした場合の光学軸とリタデーションの関係を示した図である。
この図7中において、◆は1/2波長板の光学軸が0°の場合を示し、■は1/2波長板の光学軸が22.5°の場合を示し、▲は1/2波長板の光学軸が45°の場合を示しており、光学軸が22.5°の1/2波長板が本発明の実施例1に係る波長板であり、一方、光学軸が0°及び光学軸が45°は比較例としてそれぞれ示した波長板である。
この際、光学軸が0°,22.5°,45°の各1/2波長板は、ここに入射するレーザー光Lの入射角0°の軸を中心にして各入射角に対する各リタデーションの値が左右対称になっている。
そして、各1/2波長板の光学軸が0°である場合には入射角によらず、リタデーション値は180°で一定なので問題がない。ところが、1/2波長板の光学軸が22.5°や45°といった場合には入射角の絶対値が大きくなるほどリタデーション値が180°から下方に向かって遠ざかっている。
この実施例1の場合に、1/2波長板12の光学軸は22.5°であるので、最大入射角θ°max=+6°及び最小入射角θ°min=−6°で共に163°のリタデーション値となる。そして、1/2波長板12の光学軸が22.5°の時に、入射角が0°の箇所はリタデーション値が180°であるので、1/2波長板12を透過した後のp偏光成分は100%であるが、最大入射角θ°max=+6°及び最小入射角θ°min=−6°の各箇所は163°であるので1/2波長板12を透過した後のp偏光成分は入射角が0°の箇所に対して約9%少なくなる。
従って、偏光ビームスプリッタ4を透過した後の光量は、22.5°の光学軸を有する1/2波長板12の入射角0°の箇所を透過したレーザー光Lに比べて最大入射角θ°max=+6°及び最小入射角θ°min=−6°の各箇所を透過したレーザー光Lの方が約9%少なくなる。
次に、図8は、青色半導体レーザー11Bを先に図2(a)で示した位置に仮に設置した時に、青色半導体レーザー11Bから出射した直後におけるレーザー光LのX軸方向の光量分布を示しており、この場合に対物レンズ16の中心部を通るレーザー光Lの光量を「1.0」として正規化したものである。この際、対物レンズ16の有効径(3.6mm)と対応する箇所のレーザー光Lの光量は0.4である。なお、この実施例1では青色半導体レーザー11Bを先に図3(a)で示したようにX軸とY軸との間の45°方向に放射角の長い方を向けているので、図3(a)中でX軸方向の光量分布とY軸方向の光量分布とが略同じになる。
次に、図9は、図8の光量分布を持つレーザー光Lが図7に示した各特性を有する各1/2波長板を透過した後の対物レンズ16上での光量分布を示している。
この図9から明らかなように、各1/2波長板は対物レンズ16の中心部から外周部に向かって光量減少が大きくなり、リムインテンシティはより小さくなり、記録または再生に支障をきたす可能性がある。
次に、図10は、光学軸が所定の角度となる22.5°の1/2波長板12の入射角0°におけるリタデーション値をそれぞれシフトさせた態様を示した図である。
この図10において、シフト0の曲線は、1/2波長板12の入射角0°におけるリタデーション値a°がa0°=180°であり、1/2波長板12の最大入射角θ°max=+6°及び最小入射角θ°min=−6°における各リタデーション値b°が共にb0°=163°であり、先に図7に示した光学軸が22.5°の曲線と同じ状態である。
一方、シフト1の曲線は、例えば、1/2波長板12の入射角0°におけるリタデーション値a°をa1°=188.5°までシフトさせた状態であり、これに伴って、最大入射角θ°max=+6°及び最小入射角θ°min=−6°における各リタデーション値b°は共にb1°=171.5°になり、即ち、|a1°−180°|=|b1°−180°|になった状態である。
更に、シフト2の曲線は、例えば、1/2波長板12の入射角0°におけるリタデーション値a°をa2°=197°までシフトさせた状態であり、これに伴って、最大入射角θ°max=+6°及び最小入射角θ°min=−6°における各リタデーション値b°は共にb2°=180°になった状態である。
ここで、上記のように、光学軸が22.5°の1/2波長板12の入射角0°におけるリタデーション値a°を180°から197°までの間で適宜シフトさせた時に図11に示した結果が得られた。
即ち、図11は、光学軸が22.5°の1/2波長板12の入射角0°におけるリタデーション値a°を180°から197°までシフトさせた時に、青色半導体レーザー11Bからのレーザー光Lが1/2波長板12を透過した後の最大入射角θ°max又は最小入射角θ°minにおけるリタデーション差を示した図であり、横軸に1/2波長板の入射角0°におけるリタデーション値a°を示し、縦軸に最大入射角θ°max又は最小入射角θ°minにおける|a°−180°|又は|b°−180°|のうち大きい方のリタデーション差を示している。
上記した図10と図11とを参照すると、図11から明らかなように、光学軸が22.5°の1/2波長板12の入射角0°におけるリタデーション値a°がa0°=180°である時には、最大入射角θ°max=+6°及び最小入射角θ°min=−6°における各リタデーション値b°はb0°=163°であるので、|a0°−180°|=0°で、且つ、|b0°−180°|=17°となるので、|b0°−180°|の方が大きい値となる。
一方、光学軸が22.5°の1/2波長板12の入射角0°におけるリタデーション値a°がa1°=188.5°である時には、最大入射角θ°max=+6°及び最小入射角θ°min=−6°における各リタデーション値b°はb1°=171.5°であるので、|a1°−180°|=8.5°で、且つ、|b1°−180°|=8.5°となるので、|a1°−180°|=|b1°−180°|となる。
更に、光学軸が22.5°の1/2波長板12の入射角0°におけるリタデーション値a°がa2°=197°である時には、最大入射角θ°max=+6°及び最小入射角θ°min=−6°における各リタデーション値b°はb2°=0°であるので、|a2°−180°|=17°で、且つ、|b2°−180°|=0°となるので、|a2°−180°|の方が大きい値となる。
この際、|a°−180°|及び|b°−180°|のリタデーション差が共に少ないということは、1/2波長板12の透過場所よる光量差が少ないことを意味しており、従って、|a°−180°|=|b°−180°|の条件の時が最良となり、即ち、光学軸が22.5°の1/2波長板12の入射角0°におけるリタデーション値a°を188.5にシフトさせたシフト1の曲線を有する1/2波長板12を製作した時に、最良の光量分布が得られる位相特性となるが、1/2波長板12の製作時のバラツキを考慮して、1/2波長板12の入射角0°のリタデーション値を186°〜191°の範囲内に設定するのが好適である。
即ち、上記した技術的思想を一般化して説明すると、光学軸が22.5°の1/2波長板12を青色半導体レーザー11Bから出射したレーザー光Lの発散光Ld中に設置させた際に、1/2波長板12に入射する前記発散光Ldの有効領域における最小入射角度をθ°min、前記発散光Ldの有効領域における最大入射角度をθ°max、θ°aver=(θ°min+θ°max)/2、前記発散光Ldの入射角度θ°averにおけるリタデーション値をa°、前記発散光Ldの最小入射角度θ°min及び最大入射角度θ°maxにおける各リタデーション値のうちで両者の値が同じである場合にはいずれか一方の値を、また、両者の値が異なる場合には180°に対する差分値が大きい方の値をb°とした時に、下記の(式1)が成立するように、1/2波長板12を製作すれば良いものである。
[数1]
|a°−180°|≒|b°−180°| ………(式1)
そして、光学軸が22.5°の1/2波長板12を青色半導体レーザー11Bから出射したレーザー光Lの発散光Ld中に設置して、1/2波長板12に対するレーザー光Lの入射角が中心部と外周部とで異なっても、(式1)に基づいて製作した実施例1に係る1/2波長板12を透過した後のレーザー光の光量分布が良好に得られる。
なお、リタデーション値Rと180°−R°は等価であり、例えば、179°と181°や、175°と185°は等価である。
次に、図12は、光学軸が22.5°で先に図7及び図10中のシフト0に示した特性を有する1/2波長板12の入射角0°におけるリタデーション値を適宜シフトさせた時の例として、青色半導体レーザー11Bからのレーザー光Lが、光学軸22.5°,入射角0°のリタデーション値を180°とした1/2波長板12を透過した後、及び、光学軸22.5°,入射角0°のリタデーション値を188.5°とした1/2波長板12を透過した後に、それぞれ対物レンズ16上での光量分布を比較した図であり、且つ、対物レンズ16の中心部を通るレーザー光Lの光量を「1.0」として正規化したものである。
この図12から明らかなように、光学軸が22.5°の1/2波長板12を透過するレーザー光Lに対して入射角0°のリタデーション値を180°(λ/2)から188.5°とすることで、最大入射角θ°max=+6°及び最小入射角θ°min=−6°の各光量を36%から40%に向上させることができる。よって、対物レンズ16の中心部の光量を下げ、対物レンズ16の外周部の光量を相対的に上げることもできる。
従って、実施例1に係る1/2波長板12を適用した光ピックアップ装置10により、光記録媒体Dに対して情報信号を記録または再生する際に、対物レンズ16を介して光記録媒体D上に集光させたスポット光Lsの中心部に比べて外周部での光量を大きく低下させることなく、すなわち、リムインテンシティを適切にして、光記録媒体Dを良好に記録又は再生することができる。
図13は実施例2において、1/2波長板の入射角0°におけるリタデーションを180°とした場合の光学軸とリタデーションの関係を示した図、
図14は実施例2において、赤色半導体レーザーから出射した直後におけるレーザー光のX軸方向の光量分布を示した図、
図15は実施例2において、赤色半導体レーザーから出射したレーザー光が図13に示した各特性を有する各1/2波長板を透過した後の対物レンズ上での光量分布を示した図、
図16は実施例2において、赤色半導体レーザーからのレーザー光が、光学軸22.5°,入射角0°のリタデーション値を180°とした1/2波長板を透過した後、及び、光学軸22.5°,入射角0°のリタデーション値を185°とした1/2波長板を透過した後に、それぞれ対物レンズ上での光量分布を比較した図である。
本発明の実施例2に係る波長板を適用した光ピックアップ装置10は、先に説明した実施例1と一部を除いて同様の構成であるので、図1を用いて先に示した構成部材は必要に応じて適宜説明し、実施例1に対して異なる点についてのみ説明する。
この実施例2では、光記録媒体Dとして高密度に記録又は再生できるDVD(Digital Versatile Disc)が適用可能に構成されており、これに伴って、半導体レーザー光源11として波長λが660nmのレーザー光Lを出射する赤色半導体レーザー11Rが設けられており、この赤色半導体レーザー11Rから出射した直線偏光光のレーザー光L中で往路用として例えばp偏光光を用いている。
この際、赤色半導体レーザー11Rの設置方向は先に図3(a),(b)を用いて説明した実施例1と同様に、赤色半導体レーザー11R(11)から出射したレーザー光Lのうちで、放射角の長い方向をX軸とY軸との中間となる45°方向に対応させるように赤色半導体レーザー11Rが予め位置決めされている。
また、1/2波長板12は、先に図4を用いて説明した実施例1と同様に、光学軸が22.5°であり、赤色半導体レーザー11Rから出射したレーザー光Lの発散光Ld中に設置されているために、発散光Ldの入射角度が中心部と外周部とで異なっており、入射角が0°となるZ軸(光軸)を挟んで上下に最大入射角θ°maxと、最小入射角θ°minとが存在する。
ここでの最大入射角θ°max及び最小入射角θ°minは、後述する対物レンズ16の有効径4.0mmに対応させた外周部において、入射光線とZ軸(光軸)に対して平行な仮想線との間のなす角度であり、この実施例2では最大入射角θ°max=+5°、最小入射角θ°min=−5°である。この際、θ°aver=(θ°max+θ°min)/2とすると、θ°aver=0°となる。
また、対物レンズ16は、開口数0.65、焦点距離3.08mm、有効径4.0mmである。
まず、図13は、実施例2において、1/2波長板の入射角0°におけるリタデーションを180°とした場合の光学軸とリタデーションの関係を示した図である。
この図13中において、◆は1/2波長板の光学軸が0°の場合を示し、■は1/2波長板の光学軸が22.5°の場合を示し、▲は1/2波長板の光学軸が45°の場合を示しており、光学軸が22.5°の1/2波長板が本発明の実施例2に係る波長板であり、一方、光学軸が0°及び光学軸が45°は比較例としてそれぞれ示した波長板である。
この際、光学軸が0°,22.5°,45°の各1/2波長板は、先に図7を用いて説明した実施例1とは異なって、ここに入射するレーザー光Lの入射角0°の軸を中心にして各入射角に対する各リタデーションの値が左右非対称になっており、即ち、最小入射角θ°min=−5°におけるリタデーション値は180°よりも下方の値であり、最大入射角θ°max=+5°におけるリタデーション値は180°近傍の値であり、言い換えると、180°に対する最小入射角θ°min=−5°におけるリタデーション値の差分値が、180°に対する最大入射角θ°max=+5°におけるリタデーション値の差分値よりも大きな値となっているので、最小入射角θ°min=−5°におけるリタデーション値だけを考慮すれば良いものである。
尚、図13に示した各特性値とは異なって、入射角0°の軸に対して左右を反転させた各特性値を持つ各1/2波長板もある。
そして、1/2波長板の光学軸の角度によって多少のリタデーションの違いがあるものの、1/2波長板の光学軸よりはむしろ入射角によるリタデーションの違いの方が大きい。
また、光学軸が22.5°の1/2波長板12の場合は、最小入射角θ°min=−5°で172.5°のリタデーション値となる。
この際、リタデーション値180°の入射角0°のレーザー光の中心の箇所は1/2波長板12を透過した後のp偏光成分が100%であるが、リタデーション値172.5°の最小入射角θ°min=−5°の箇所は1/2波長板12を透過した後のp偏光成分が約4%少なくなる。
従って、偏光ビームスプリッタ4を透過した後の光量は、22.5°の光学軸を有する1/2波長板12の入射角0°の箇所を透過したレーザー光Lに比べて最小入射角θ°min=−5°の箇所を透過したレーザー光Lの方が約4%少なくなる。
次に、図14は、赤色半導体レーザー11Rを先に図2(a)で示した位置に仮に設置した時に、赤色半導体レーザー11Rから出射した直後におけるレーザー光LのX軸方向の光量分布を示しており、この場合に対物レンズ16の中心部を通るレーザー光Lの光量を「1.0」として正規化したものである。この際、対物レンズ16の有効径(4.0mm)と対応する箇所のレーザー光Lの光量は0.43である。なお、この実施例2では赤色半導体レーザー11Rを先に図3(a)で示したようにX軸とY軸との間の45°方向に放射角の長い方を向けているので、図3(a)中でX軸方向の光量分布とY軸方向の光量分布とが略同じになる。
次に、図15は、図14の光量分布を持つレーザー光Lが図13に示した各特性を有する各1/2波長板を透過した後の対物レンズ16上での光量分布を示している。
この図15から明らかなように、各1/2波長板を透過した後の光量は対物レンズ16の中心部から外周部に向かって減少が大きくなり、リムインテンシティはより小さくなり、記録または再生に支障をきたす可能性がある。
よって、光学軸が0°,22.5°,45°の各1/2波長板のいずれも、最小入射角θ°min=−5°の光量が少なく、43.1%である。記録または、再生を良好に行うためには、リムインテンシティをあげることが望まれる。
次に、図16は、実施例1と同じ技術的思想を用いて、光学軸が22.5°で先に図13に示した特性を有する1/2波長板12の入射角0°におけるリタデーション値を適宜シフトさせた時の例として、赤色半導体レーザー11Rからのレーザー光Lが、光学軸22.5°,入射角0°のリタデーション値を180°とした1/2波長板12を透過した後、及び、光学軸22.5°,入射角0°のリタデーション値を185°とした1/2波長板12を透過した後に、それぞれ対物レンズ16上での光量分布を比較した図であり、且つ、対物レンズ16の中心部を通るレーザー光Lの光量を「1.0」として正規化したものである。
この図16から明らかなように、光学軸が22.5°の1/2波長板12を透過するレーザー光Lに対して入射角0°のリタデーション値を180°(λ/2)から185°と僅かにずらすことで、最小入射角θ°min=−5°の光量が約43%から約46%に向上する。このため、リムインテンシティがあがるのと同時に、最大入射角θ°max=+5°の光量は45%となるため、ほぼ対称な光量分布とすることができる。
そして、この実施例2でも実施例1の技術的思想を適用可能であるので、光学軸が22.5°の1/2波長板12を赤色半導体レーザー11Rから出射したレーザー光Lの発散光Ld中に設置させた際に、1/2波長板12に入射する前記発散光Ldの有効領域における最小入射角度をθ°min、前記発散光Ldの有効領域における最大入射角度をθ°max、θ°aver=(θ°min+θ°max)/2、前記発散光の入射角度θ°averにおけるリタデーション値をa°、前記発散光Ldの最小入射角度θ°min及び最大入射角度θ°maxにおける各リタデーション値のうちで両者の値が同じである場合にはいずれか一方の値を、また、両者の値が異なる場合には180°に対する差分値が大きい方の値をb°とした時に、先に示した(式1)が成立するように、1/2波長板12を製作すれば良いものである。
そして、光学軸が22.5°の1/2波長板12を赤色半導体レーザー11Rから出射したレーザー光Lの発散光Ld中に設置して、1/2波長板12に対するレーザー光Lの入射角が中心部と外周部とで異なっても、(式1)に基づいて製作した実施例2に係る1/2波長板12を透過した後のレーザー光の光量分布が良好に得られる。
従って、実施例2に係る1/2波長板12を適用した光ピックアップ装置10により、光記録媒体Dに対して情報信号を記録または再生する際に、対物レンズ16を介して光記録媒体D上に集光させたスポット光Lsの中心部に比べて外周部での光量を大きく低下させることなく、すなわち、リムインテンシティを適切にして、光記録媒体Dを良好に記録又は再生することができる。
なお、上述した実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の一例を示すものであり、本発明はそれに限定されることなく、半導体レーザー光源の設置する角度、波長板の位相、及び波長板の光学軸、光学構成などは、その要旨を逸脱しない範囲内において、種々変形実施が可能である。
本発明の実施例1に係る波長板を適用した光ピックアップ装置の全体構成を示した図である。
(a),(b)は青色半導体レーザーを設置する際に、実施例1に対する比較例の場合を説明するために模式的にそれぞれ示した図である。
(a),(b)は青色半導体レーザーを設置する際に、実施例1の場合を説明するために模式的にそれぞれ示した図である。
本発明の実施例1に係る波長板として1/2波長板について説明するための図である。
(a),(b)は青色半導体レーザーから出射したレーザー光が1/2波長板を透過する前と、1/2波長板を透過した後の各状態を示した図である。
本発明の実施例1に係る1/2波長板へのレーザー光の入射角の定義を示した図である。
実施例1において、1/2波長板の入射角0°におけるリタデーションを180°とした場合の光学軸とリタデーションとの関係を示した図である。
実施例1において、青色半導体レーザーから出射した直後におけるレーザー光のX軸方向の光量分布を示した図である。
実施例1において、青色半導体レーザーから出射したレーザー光が図7に示した各特性を有する各1/2波長板を透過した後の対物レンズ上での光量分布を示した図である。
実施例1において、光学軸が22.5°の1/2波長板の入射角0°におけるリタデーション値をそれぞれシフトさせた態様を示した図である。
実施例1において、光学軸が22.5°の1/2波長板の入射角0°におけるリタデーション値を180°から197°までシフトさせた時に、青色半導体レーザーからのレーザー光が1/2波長板を透過した後の最大入射角θ°max又は最小入射角θ°minにおけるリタデーション差を示した図である。
実施例1において、青色半導体レーザーからのレーザー光が、光学軸22.5°,入射角0°のリタデーション値を180°とした1/2波長板を透過した後、及び、光学軸22.5°,入射角0°のリタデーション値を188.5°とした1/2波長板を透過した後に、それぞれ対物レンズ上での光量分布を比較した図である。
実施例2において、1/2波長板の入射角0°におけるリタデーションを180°とした場合の光学軸とリタデーションの関係を示した図である。
実施例2において、赤色半導体レーザーから出射した直後におけるレーザー光のX軸方向の光量分布を示した図である。
実施例2において、赤色半導体レーザーから出射したレーザー光が図13に示した各特性を有する各1/2波長板を透過した後の対物レンズ上での光量分布を示した図である。
実施例2において、赤色半導体レーザーからのレーザー光が、光学軸22.5°,入射角0°のリタデーション値を180°とした1/2波長板を透過した後、及び、光学軸22.5°,入射角0°のリタデーション値を185°とした1/2波長板を透過した後に、それぞれ対物レンズ上での光量分布を比較した図である。
一般的な光ピックアップ装置の概略構成を示した構成図である。
従来の光ピックアップ装置の概略構成を示した構成図である。
従来の光ピックアップ装置において、半導体レーザー光源から出射したレーザー光の光量分布とリムインテンシティ(リム強度)とを説明するための図である。
符号の説明
10…光ピックアップ装置、
11…半導体レーザー光源、
11B…青色半導体レーザー、11R…赤色半導体レーザー、
12…1/2波長板、
13…偏光ビームスプリッタ、13a…偏光選択性誘電体多層膜、
14…1/4波長板、15…コリメータレンズ、16…対物レンズ、
17…検出レンズ、18…光検出器、
D…光記録媒体、
L…レーザー光、Ld…発散光、Lc…円偏光光、Lp…平行光、Ls…スポット光、
Lr…反射光、
θ°max…最大入射角、θ°min…最小入射角、
θ°aver…(θ°max+θ°min)/2、
a…1/2波長板12に入射するレーザー光Lの入射角度θ°におけるリタデーション値、
b…1/2波長板12に入射するレーザー光Lの最大入射角度θ°maxまたは最小入射角度θ°minにおけるリタデーション値。