JP4483437B2 - スプリングバック解析方法および解析装置 - Google Patents

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Description

本発明は、スプリングバック解析方法および解析装置に関するものである。
アウターパネルのフランジ部を、インナーパネルの縁部に面接触するまで、金型を用いて折り返すことによって、アウターパネルとインナーパネルとを接合させる工法をヘム加工と呼ぶ。このヘム加工は、例えば、ドア、フード、トランクリドなどの自動車部品の製造方法として用いられる(特許文献1)。
上記のアウターパネルおよびインナーパネルは、ヘム加工が完了して、金型による拘束を解除した後に、弾性回復であるスプリングバックによって変形し、製品の品質低下を生じ得ることが知られている。
このスプリングバックを、通常のFEM解析によって解析する場合、ヘム加工の完了時で金型による拘束を解除する以前の段階(以下、ヘム加工の完了時)におけるアウターパネルとインナーパネルとの面接触により生じる摩擦を、算出することが極めて困難である。このため、スプリングバックの解析が行われずに自動車部品の開発が進められていた。この結果、ヘム加工の条件(型構造、PAD位置やヘムフランジ長さやインナーパネルの見込み量等)は、試行錯誤的に設定され、ヘム加工を施した後の製品形状と設計形状との間で面差が大きく生じた場合には、金型の形状を修正する必要が生じるなど多くの時間を要するという問題があった。
特開昭62−146716号公報
本発明は、上記従来技術の有する問題点に鑑みなされたものであり、本発明の目的は、
本体部と該本体部の端部位置から延伸するフランジ部とを有するアウターパネルの前記フランジ部を、インナーパネルの縁部に面接触するまで、金型を用いてヘム加工により折り返すことによって、前記アウターパネルと前記インナーパネルとが接合されるヘミング構造に対し、前記金型による拘束が解除された後のスプリングバックを、容易に解析する方法および装置を提供することである。
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
(1)本体部と該本体部の端部位置から延伸するフランジ部とを有するアウターパネルの前記フランジ部を、インナーパネルの縁部に面接触するまで、金型を用いてヘム加工により折り返すことによって、前記アウターパネルと前記インナーパネルとが接合されるヘミング構造に対し、前記金型による拘束が解除された後のスプリングバックを解析するスプリングバック解析方法であって、前記ヘム加工の過程を、有限要素動的陽解法により解析する第1の解析ステップと、前記第1の解析ステップにおいて得られる前記ヘム加工の完了時における前記アウターパネルと前記インナーパネルとの形状データのうち、前記アウターパネルの所定の箇所と前記インナーパネルの所定の箇所とを接合する接合ステップと、前記接合ステップにおいて前記アウターパネルと前記インナーパネルとが接合された状態で、前記スプリングバックを有限要素静的陰解法により解析する第2の解析ステップとを有することを特徴とするスプリングバック解析方法。
(2)本体部と該本体部の端部位置から延伸するフランジ部とを有するアウターパネルの前記フランジ部を、インナーパネルの縁部に面接触するまで、金型を用いてヘム加工により折り返すことによって、前記アウターパネルと前記インナーパネルとが接合されるヘミング構造に対し、前記金型による拘束が解除された後のスプリングバックを解析するスプリングバック解析装置であって、前記ヘム加工の過程を、有限要素動的陽解法により解析する第1の解析手段と、前記第1の解析手段による解析によって得られる前記ヘム加工の完了時における前記アウターパネルと前記インナーパネルとの形状データのうち、前記アウターパネルの所定の箇所と前記インナーパネルの所定の箇所とを接合する接合手段と、前記接合手段により前記アウターパネルと前記インナーパネルとが接合された状態で、前記スプリングバックを有限要素静的陰解法により解析する第2の解析手段とを有することを特徴とするスプリングバック解析装置。
本発明によれば、アウターパネルおよびインナーパネルのヘム加工後における金型の拘束を解除した後に生じるスプリングバックを解析するにあたり、ヘム加工の完了時におけるアウターパネルとインナーパネルとの形状データのうち、アウターパネルの所定の箇所とインナーパネルの所定の箇所とを接合することによって、インナーパネルとアウターパネルとの面接触により生じる摩擦及び充填されたシール剤による接着を近似して、スプリングバックを解析する。これによって、スプリングバックの解析が容易となって、スプリングバックが生じた後のインナーパネルとアウターパネルとの形状を迅速に予測することが可能となり、ヘム加工後の製品形状と設計形状との間の面差が基準値以内になるようなヘム加工の条件を、事前検討することができる。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施形態におけるアウターパネル1およびインナーパネル2が、ヘム加工された後の形状を示す模式図である。アウターパネル1は、アウターパネル1の本体部100と、本体部100における端部位置100aから延伸されるフランジ部101とから構成される。
図に示す実線は、ヘム加工の完了時におけるアウターパネル1とインナーパネル2との形状を示している。本実施形態におけるヘム加工は、プレス面が湾曲形状を呈する図示しない金型を用いて、当該プレス面をフランジ部101に押し当ててプレスすることによってフランジ部101を折り曲げる。これによって、ヘム加工の完了時には、フランジ部101に、金型のプレス面に応じた形状を呈する湾曲部101aが形成される。
なお、図において、フランジ部101とインナーパネル2とは離隔して示しているが、実際には、フランジ部101はヘム加工された結果、インナーパネル2の縁部200に面接触している。この面接触に伴って生じる摩擦及びシール剤による接着が主な要因となって、インナーパネル2とアウターパネル1とは接合状態が維持される。
図に示す二点鎖線は、金型による拘束を解除した後に、インナーパネル2およびアウターパネル1へ、スプリングバックが生じた後の状態を示している。このスプリングバックは、インナーパネル2とアウターパネル1との干渉を介して生じるが、この現象通りに、スプリングバックの解析を行うためには、上記したインナーパネル2とアウターパネル1との接触面における摩擦と接着とを解析する必要がある。しかし、この現象を、後に述べるFEM静的陰解法で解析することは困難である。そこで、本実施形態において、インナーパネル2およびアウターパネル1の形状データのうち、インナーパネル2の所定の箇所とアウターパネル1の所定の箇所とを接合することによって、前記現象を近似して解析を行うこととした。
本発明の解析方法は、上述したアウターパネル1およびインナーパネル2のスプリングバックを、上述した有限要素法によるシミュレーションによりコンピュータ上で予測するものであるが、この有限要素法による解析は、市販の解析システムを使用することが可能である。
図2から図4は、本発明におけるスプリングバックの解析方法の一例を示すフロチャートである。この処理は、コンピュータのCPUが、ハードディスクなどの記憶装置に記憶されたプログラムを実行することによって実現される。
まず、上述したスプリングバックを解析するにあたって、本実施形態においてアウターパネル1およびインナーパネル2のメッシュデータを用いるが、通常、設計段階におけるアウターパネル1の本体部100は、複雑な3次元の曲面形状を呈する。このため、アウターパネル1の本体部100から、フランジ部101を延伸させるCAD操作が極めて時間を要し、ヘム加工の開始前におけるアウターパネル1のメッシュデータの作成を行うことが困難であった。このことも、これまでスプリングバックの解析が行われていなかったことの一因とされる。そこで、まず、図2に示すステップS100において、ヘム加工の開始前におけるアウターパネル1のメッシュデータを作成する処理として、アウターパネル1の本体部100の端部位置100aからフランジ部101のメッシュデータを延伸させる処理を行うこととした。この処理について図3、図5、および図6を用いて説明する。
まず、この処理を可能とする原理などについて、図5を用いて説明する。
図5は、本実施形態におけるメッシュデータの模式図である。
図に示す破線は、メッシュデータの輪郭を構成するエッジ部を示している。ここで、エッジ部に存在しない辺(辺d、辺e)は、隣接する2つのメッシュに共有される辺であり、一方、エッジ部に存在する辺(辺f)は、隣接する2つのメッシュに共有されていない辺である。この原理を利用することによって、エッジ部に存在する辺を検索して、当該辺上に存在するノードのデータを獲得することが出来る。
さらに、獲得されたデータに含まれるノードに対して、例えばエッジ部に存在する辺上に存在する1つのノードを始点(点g)として、図に示す矢印hに向かって並ぶ順に、並び番号を付与する。この処理によって、獲得された点データに含まれるノードの位置を、並び番号により認識することが可能となる。
次に、上記に示した処理を利用して、図1に示すアウターパネル1の本体部100における端部位置100aから、フランジ部101を延伸させたメッシュデータを得る処理について、図3および図6を用いて説明する。
図6は、アウターパネル1の本体部100の端部位置100aの近傍におけるアウターパネル1およびフランジ部101の形状を示すメッシュデータの一部を示している。白抜きの丸で示すノードは、アウターパネル1の本体部100のノードであり、黒丸で示すノードは、フランジ部101のノードである。なお、メッシュデータ中の各ノードには、各々対応する座標が与えられている。また、図に示すNe1’〜Ne5’は、アウターパネル1の本体部100の端部位置100aにおける辺i上に存在するノードである。
まず、図5を用いて説明した処理と同様の処理を、アウターパネル1の本体部100のメッシュデータに施すことによって、アウターパネル1の本体部のエッジ部に存在する辺を検索し(S200)、当該辺上に存在するノードから構成されるノード群データを獲得する(S201)。なお、ステップS200において検索される辺には、図6に示す辺iだけでなく、他の辺も検索される可能性がある。以下にそのケースについて説明する。また、ステップS201において獲得されたノード群データにおけるノードには、上述したように、並び番号が付与される。
例えば、アウターパネル1の本体部100が図示しない中空部を有する場合、アウターパネル1の本体部100のメッシュデータに対して、ステップS200における処理を施した際には、中空部の内周端部位置に存在するノードも、エッジ部に存在するノードに該当するために、該ノードのデータも合わせて獲得されることとなる。しかし、本実施形態においては、辺i、すなわちアウターパネル1の本体部100の端部位置100aから、フランジ部101を延伸させたメッシュデータを得るために、辺i上に存在するノード(Ne1’からNe5’)と、それ以外のノードとを識別する必要がある。よって、この識別処理を、以下に述べるステップS202およびステップS203において行うこととした。
予め、辺i上に存在する1つ以上のノード(例えば、Ne1’)を、識別処理用のノードとして決定しておき、当該ノードから、アウターパネル1のステップS200において検索された辺i上に存在するノードを、隣接順に検索する(S202)。そして、検索されたノードと、ステップS201において検索されたノードのうち、座標が一致するノードを判定する(S203)。これによって、ステップS201において獲得されたノード群データに含まれるノードのうち、辺i上に存在するノード(Ne1’からNe5’)と、それ以外のノードとを識別することが可能となる。そして、この識別された辺iに存在するノード(Ne1’からNe5’)、すなわちアウターパネル1の本体部100の端部位置100aに存在するノードを、第1のノード群データとして獲得する(S204)。
なお、アウターパネル1の本体部100が中空部を有しないことが明らかな場合には、ステップS202およびステップS203の処理は不要とされ、ステップS201において獲得されるノード群データが、そのまま第1のノード群データとされる。
続いて、第1のノード群データに含まれるノード(Ne1’からNe5’)に対して内側に位置し、1つの辺(辺j)を介して隣接するノードを検索して、第2のノード群データ(Ni1からNi5)を獲得する(S205)。この第1のノード群データと第2のノード群データとの両者を獲得することによって、辺jの線形状を把握することが出来る。
この線形状が把握された辺jに基づき、辺iから、すなわちアウターパネル1の本体部100の端部位置100aから、辺jに対して所定の角度αで交差し、所定の長さおよび曲率を有するフランジ部101における辺k上に位置するノード(Ne5−1Ne5−2)を形成する(S206)。さらに、アウターパネル1との接合部における形状は、辺iと辺kとに接する円弧l形状を呈することとし、円弧l上にノード(Ne5−1/m、Ne5−2/m)を配置する(S207)。以上により、アウターパネル1の本体部100の端部位置100aから、フランジ部101を延伸させたヘム加工の開始前のアウターパネル1のメッシュデータが得られることとなる。
続いて、図2に戻り、ステップS101において、ヘム加工の過程についてシミュレーションを行う。これは、ヘム加工の過程で受けるアウターパネル1とインナーパネル2とが有する応力、歪分布、およびヘム加工の完了時におけるアウターパネル1とインナーパネル2との形状を表すメッシュデータを求めるものである。解析は、予め作成されたヘム加工の開始前のインナーパネル2のメッシュデータ、ステップS100において得られたヘム加工の開始前のアウターパネル1のメッシュデータ、金型の形状データ、および金型の進行方向データを解析条件として適用したFEM動的陽解法によって解析する。
続いて、ステップS101における解析によって得られたヘム加工の完了時におけるアウターパネル1のメッシュデータとインナーパネル2のメッシュデータとを接合する(S102)。この接合について、図4、図7、および図8を用いて説明する。
図7は、アウターパネル1とインナーパネル2とを解析上接合する箇所を示す模式図である。まず、接合する箇所は、図7における実線で示すnの位置、すなわち、アウターパネル1の本体部100と反対側に位置する湾曲部101aにおける端部位置101aa(以下、端部位置101aa)と、インナーパネル2の縁部200における先端位置200a(以下、先端位置200a)とした。なお、接合位置nを選定した過程については、下記の第1の実施例において後述する。
図8は、ステップS101における解析によって得られたヘム加工の完了時におけるインナーパネル2に接合要素qを形成したメッシュデータの一部を示す。アウターパネルと接合するための接合要素qが、先端位置200aから形成されている。この接合要素qの形成方法については後述する。
図9は、ステップS101における解析によって得られたヘム加工の完了時におけるアウターパネル1のメッシュデータの一部を示す。解析によって、ヘム加工の完了時においてフランジ部101が折り曲げられたアウターパネルのメッシュデータが作成されている。図に示すpのラインは、図8において示した接合要素qが接合される位置である端部位置101aaを示している。
図10は、接合要素Pのメッシュデータの一部を示す拡大図を示す。図に示す実線部は接合要素qのメッシュデータを、破線部はインナーパネル2のメッシュデータを示し、一点鎖線はアウターパネル1のメッシュデータを示している。図に示すノードr1〜3は、インナーパネル2の先端位置200aに位置するノードであり、ノードs1〜s4は、アウターパネル1のラインq、すなわち端部位置101aaに位置するノードである。各ノードには接合するペア(例えば、r1とs1)となるノードが割り当てられ、各ペアのノードが接合することによって、接合要素qが形成されている。
次に、上記の接合する方法について、図4を用いて以下に説明する。
まず、接合を行うにあたって、アウターパネル1とインナーパネル2との接合箇所の抽出を行うことが必要となる。
まず、図9に示すラインpに位置するノード、すなわちアウターパネル1の端部位置101aaに存在するノード(図8Cに示すs1からs4)の第3のノード群データを獲得する(S300)。以下に、この獲得方法について説明する。
上述したように、図1に示す湾曲部101aは、金型が押し当てられてプレスされることによって形成される。すなわち、ヘム加工の完了時における湾曲部101aの形状は、金型の内面の形状および金型のプレス進行方向に応じて一義的に定まるものである。よって、湾曲部101aにおける端部位置101aaを示す条件を、ステップS101において述べた金型の形状データおよび金型のプレス進行方向データに基づいて、予め定めておき、該条件に一致するノードを、ステップS101において得られたヘム加工の完了時におけるアウターパネル1のメッシュデータの中から抽出して、第3のノード群データを獲得する。この第3のノード群データに含まれるノードにも、所定のノードを始点にして、該ノードからの並び順に、並び番号(第1の並び番号)が付与される。
次に、図8に示すインナーパネル2の先端位置200aに存在するノード(図8Cに示すr1からr3)は、インナーパネル2のメッシュデータにおけるエッジ部に存在するノードである。よって、ステップS101における解析により得られたヘム加工の完了時におけるインナーパネル2のメッシュデータに対して、ステップS200およびステップS201における処理と同様の処理を施すことによって、先端位置200aに存在するノードの第4のノード群データを獲得する(S301)。なお、該ノードにも、上記と同様に並び番号(第2の並び番号)が付与される。
続いて、上記の接合要素qを形成するために、第4のノード群データに含まれるノードと第3のノード群データに含まれるノードとのうち、接合するペアを並び番号に基づいて決定し(S302)、決定されたペアのノードを接合していく(S303)。以上により、インナーパネル2とアウターパネル1とは、アウターパネル1の端部位置101aaと、インナーパネル2の先端位置200aとにおいて接合されることとなる。
続いて、図2に戻り、上記のように接合した状態で、FEM静的陰解法により、スプリングバックを解析する(S103)。解析においては、例えばインナーパネル2のメッシュデータにおける所定の位置を基準点として完全に拘束して、スプリングバックを計算する。
次に、本発明の実施例1として、ステップS102において述べたアウターパネル1とインナーパネル2とを接合する最適な箇所の選定を行うことを目的に試験を行った。
試験は、図7に示すように、接合する箇所の候補を、一点鎖線で示すm、上述した実線で示すn、および二点鎖線で示すoの3箇所を上げ、ステップS101におけるFEM動的陽解法により解析されたヘム加工の完了時におけるメッシュデータに対して、ステップS102において述べた処理と同様の処理を施すことによって、各候補箇所において接合したインナーパネル2およびアウターパネル1の3つのメッシュデータを作成した。そして、作成した各メッシュデータに対して、ステップS103におけるFEM静的陰解法を適用してスプリングバックを解析して、実際に生じたスプリングバックと、最も近似するケースの選定を行った。
スプリングバックの評価点は、アウターパネル1における湾曲部101の終端位置101aaから数mmほど、アウターパネル1の本体部100側に接近した位置における27ポイントとし、この評価点の近傍に位置するアウターパネル1のメッシュデータにおけるノードを、比較評価点として選定した。
そして、スプリングバック量として、各評価点の近傍における面は、ヘム加工の完了時点と、スプリングバックが生じた後の時点とにおいて平行であると仮定し、前記2つの時点における前記面の間の、各面に直交する距離(面差)を測定した。
解析上のスプリングバック量についても、前記2つの時点における比較評価点近傍の面について上記と同様に測定した。
接合要素qのヤング率は、20GPa、70GPa、または120GPaの3パターンとした。
図11に、ステップS103におけるFEM静的陰解法により解析されたスプリングバックと、実際に生じたスプリングバックとの相関係数を示す。図に示されるように、nの位置で接合して、接合要素qのヤング率を120GPaとして解析したケースにおける相関係数が、0.84と最も高かった。これにより、候補としてあげたm、n、およびoの3つの候補箇所のうち、nの位置、すなわち上述したアウターパネル1の端部位置101aaと、インナーパネル2の先端位置200aとにおいて接合して解析することが、実際に生じたスプリングバックに最も近似することが把握された。
また、接合要素qの剛性は、インナーパネル2と同じ材質で同じ板厚とし、ヤング率は同程度〜1.2倍程度として解析することが、実際に生じたスプリングバックに近似することが把握された。
次に、本発明の実施例2として、本発明における解析方法を用いて、アウターパネル1とインナーパネル2とにヘム加工を施すことによって形成される車のバックドアに生じるスプリングバックを解析して、金型のプレス進行方向の角度とスプリングバック量との関係を求めた。なお、スプリングバック量の測定方法については、実施例1に示す測定方法と同様にした。
図12は、金型の進行方向tとバックドア3の設置する向きとを示している。図中の矢印tは、金型のプレス進行方向を示し、角度θは、金型の進行方向に対して、バックドア3におけるヘム加工部300の長手方向uが傾斜する角度である。
図13は、金型の進行方向tに対してバックドアの長手方向uが傾斜する角度θと、スプリングバック量との関係を示す解析結果を示している。角度θを約118°とした際に、測定箇所におけるスプリングバック量の平均は、0.5mm程度で、最小となることが解析された。
図14は、金型の進行方向tに対してバックドア3におけるヘム加工部300の長手方向uが傾斜する角度θと、スプリングバッグが生じた後のバックドアの形状と設計上の形状との間の差異との関係を示している。図において、横軸に角度θを、縦軸にスプリングバックが生じた後の形状と設計上の形状との間の差異を示す指標であるSN比を示している。前記角度θを約118°とした際におけるSN比は9程度と高く、該角度において前記差異の小さい良好な製品が得られることが把握される。
次に、本発明における効果について述べる。
本発明によれば、ヘム加工の完了時におけるアウターパネル1とインナーパネル2との形状データのうち、アウターパネル1の所定の箇所とインナーパネル2の所定の箇所とを接合することによって、インナーパネル2とアウターパネル1との面接触により生じる摩擦及びシール剤による接着を近似して、スプリングバックを解析する。これによって、スプリングバックの解析が容易となって、スプリングバックが生じた後のインナーパネルとアウターパネルとの形状を予測することが可能となり、設計形状との差異が、基準値以内になるようなヘム加工条件を、事前検討することができる。
さらに、メッシュデータを用いて解析する場合には、アウターパネル1の本体部100における端部位置100aに存在する第1のノード群データおよびその内側に位置する第2のノード群データを抽出することによって、アウターパネル1の本体部100における端部位置100aから、フランジ部101を延伸させたヘム加工の開始前のアウターパネル1のメッシュデータを得ることが可能となる。これによって、アウターパネル1の本体部100が複雑な3次元曲面形状を呈する場合においても、端部位置100aからフランジ部101を延伸させたメッシュデータを得ることが可能となり、作業性が向上する。
さらに、ステップS201において検索されたノードのうち、ステップS202において検索されたノードと、座標が一致するノードをステップS203において判定することによって、第1のノード群データに含まれるノードのうち、アウターパネル1の本体部100における端部位置100aに存在するノードと、それ以外のノードとを識別することが可能となる。これによって、例えば、アウターパネル1の本体部100が中空部を有する場合においても、フランジ部101をアウターパネル1の端部位置100aから延伸させたメッシュデータを、確実に作成することが可能となる。
本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内において、種々改変することができる。
本実施形態におけるヘム加工によって、アウターパネルおよびインナーパネルが、ヘム加工された後の形状を示す模式図である。 本実施形態における解析の手順を示すフロチャートである。 ヘム加工開始前におけるメッシュデータ作成の手順を示すフロチャートである。 アウターパネルとインナーパネルとのメッシュデータを接合する手順を示すフロチャートである。 本実施形態におけるメッシュデータの模式図である。 アウターパネルの本体部における端部位置の近傍におけるアウターパネルおよびフランジ部の形状を示すメッシュデータの一部を示す図である。 アウターパネルとインナーパネルとを接合する箇所を示す模式図である。 ステップS101における解析によって得られたヘム加工の完了時におけるインナーパネルに接合要素を形成したメッシュデータの一部を示す図である。 ステップS101における解析によって得られたヘム加工の完了時におけるアウターパネルのメッシュデータの一部を示す図である。 接合要素のメッシュデータの一部を示す拡大図である。 ステップS103におけるFEM静的陰解法により解析されたスプリングバックと、実際のスプリングバックとの相関係数を示す図である(実施例1)。 金型の進行方向とバックドアの設置する向きを示す図である(実施例2)。 金型の進行方向に対してバックドアの長手方向が傾斜する角度と、スプリングバック量との関係を示す解析結果を示す図である(実施例2)。 実施例2における金型の進行方向に対してバックドアの長手方向が傾斜する角度θと、スプリングバッグが生じた後のバックドアの形状と設計上の形状との間の差異との関係を示す図である。
符号の説明
1 アウターパネル、
2 インナーパネル、
100 アウターパネルの本体部、
100a アウターパネルの本体部の端部位置、
101 フランジ部、
101a 湾曲部、
101aa 湾曲部の端部位置、
200 インナーパネルの縁部、
200a インナーパネルの縁部における先端位置。

Claims (7)

  1. 本体部と該本体部の端部位置から延伸するフランジ部とを有するアウターパネルの前記フランジ部を、インナーパネルの縁部に面接触するまで、金型を用いてヘム加工により折り返すことによって、前記アウターパネルと前記インナーパネルとが接合されるヘミング構造に対し、前記金型による拘束が解除された後のスプリングバックを解析するスプリングバック解析方法であって、
    前記ヘム加工の過程を、有限要素動的陽解法により解析する第1の解析ステップと、
    前記第1の解析ステップにおいて得られる前記ヘム加工の完了時における前記アウターパネルと前記インナーパネルとの形状データのうち、前記アウターパネルの所定の箇所と前記インナーパネルの所定の箇所とを接合する接合ステップと、
    前記接合ステップにおいて前記アウターパネルと前記インナーパネルとが接合された状態で、前記スプリングバックを有限要素静的陰解法により解析する第2の解析ステップと、
    を有することを特徴とするスプリングバック解析方法。
  2. 前記ヘム加工は、前記ヘム加工の完了時において、前記フランジ部に、前記金型のプレス面に応じた湾曲部が形成される成形であり、
    前記アウターパネルの所定の箇所は、前記アウターパネルの本体部と反対側に位置する前記湾曲部における端部位置であり、
    前記インナーパネルの所定の箇所は、前記インナーパネルの縁部における先端位置であることを特徴とする請求項1に記載のスプリングバック解析方法。
  3. 前記第1の解析ステップにおいて、予め作成されたヘム加工の開始前の前記アウターパネルの本体部の形状を表すメッシュデータのうち、隣接しあう2つのメッシュに共有されない辺を抽出することによって、前記アウターパネルの本体部における端部位置に存する第1のノード群データを獲得し、
    さらに、獲得された前記第1のノード群データに対して内側に位置し、前記第1のノード群データとメッシュの1つの辺を介して隣接する第2のノード群データを獲得し、
    さらに、獲得された前記第1のノード群データおよび前記第2のノード群データと、予め作成された前記フランジ部の形状を表すメッシュデータとに基づいて、前記アウターパネルの本体部における端部位置から前記フランジ部が延伸された前記ヘム加工の開始前のアウターパネルの形状を表すメッシュデータを得ることを特徴とする請求項2に記載のスプリングバック解析方法。
  4. 前記第1のノード群データは、予め決定された前記アウターパネルの本体部の端部位置に存する点と、当該点を起点として順次隣接する複数の点とから構成されることを特徴とする請求項3に記載のスプリングバック解析方法。
  5. 前記第1の解析ステップにおいて、得られた前記ヘム加工の開始前のアウターパネルの形状を表すメッシュデータ、予め作成された前記ヘム加工の開始前のインナーパネルの形状を表すメッシュデータ、前記金型の形状データ、および前記金型の進行方法データを解析条件として適用した前記有限要素動的陽解法により解析することによって、ヘム加工の完了時のアウターパネルおよびインナーパネルの形状を表すメッシュデータを得て、
    前記接合ステップにおいて、前記金型の形状データおよび前記金型の進行方法データに基づいて、得られた前記ヘム加工の完了時のアウターパネルの形状を表すメッシュデータのうち、前記アウターパネルの本体部と反対側に位置する前記湾曲部における端部位置に存する第3のノード群データを獲得し、
    さらに、得られた前記ヘム加工の完了時のインナーパネルの形状を表すメッシュデータのうち、2つのメッシュを構成する辺として重複していない辺を抽出することによって、前記インナーパネルの縁部における先端位置に存する第4のノード群データを獲得することを特徴とする請求項3又は4に記載のスプリングバック解析方法。
  6. 前記接合ステップにおいて、前記第3のノード群データに含まれる点データに、並び順に従って第1の並び番号を付与し、
    前記第4のノード群データに含まれる点データに、並び順に従って第2の並び番号を付与し、
    前記第1の並び番号と前記第2並び番号とに従って、前記第1のノード群データに含まれる点データと前記第2のノード群データに含まれる点データとのうち、接合するペアを決定することを特徴とする請求項5に記載のスプリングバック解析方法。
  7. 本体部と該本体部の端部位置から延伸するフランジ部とを有するアウターパネルの前記フランジ部を、インナーパネルの縁部に面接触するまで、金型を用いてヘム加工により折り返すことによって、前記アウターパネルと前記インナーパネルとが接合されるヘミング構造に対し、前記金型による拘束が解除された後のスプリングバックを解析するスプリングバック解析装置であって、
    前記ヘム加工の過程を、有限要素動的陽解法により解析する第1の解析手段と、
    前記第1の解析手段による解析によって得られる前記ヘム加工の完了時における前記アウターパネルと前記インナーパネルとの形状データのうち、前記アウターパネルの所定の箇所と前記インナーパネルの所定の箇所とを接合する接合手段と、
    前記接合手段により前記アウターパネルと前記インナーパネルとが接合された状態で、前記スプリングバックを有限要素静的陰解法により解析する第2の解析手段とを有することを特徴とするスプリングバック解析装置。
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