JP3808801B2 - ワイヤーハーネス屈曲寿命予測方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、所望の適用対象に配策するためのワイヤーハーネスの屈曲寿命を予測するワイヤーハーネス屈曲寿命予測方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車の電気機器との接続に複数本の電線を結束してなるワイヤーハーネスにおいて、ドアやスライドシートなどワイヤーハーネス自体が屈曲する部位が存在する。このワイヤーハーネスにおいて屈曲によりワイヤーハーネスを構成する電線の寿命を推定する目的で、屈曲試験・屈曲解析が実施されている。
【0003】
従来、例えば自動車のワイヤーハーネスは、自動車の製造メーカー(以下「製造局」と称す)側で自動車の成立性等を考慮し、配策検討した上での試作品での性能評価を行い、製品化してきた。
【0004】
この場合、初期設計の段階から、ワイヤーハーネスの屈曲性能を完全に考慮することは困難である。したがって、従来では、初期設計を行った段階で、試作品を制作し、この試作品に対する評価試験で問題が発覚した時点で、設計変更を繰り返しながら作り込みを行っている。
【0005】
具体的に、図28は従来のワイヤーハーネスに関する設計手順を示している。
【0006】
まずステップT1において、車両ボディの全体的な設計構想を行う。
【0007】
次のステップT2において、車両ボディに適合するように、ワイヤーハーネス(図28では「W/H」と表記している)の設計構想を行う。
【0008】
そして、ステップT3において、ステップT2で構想されたワイヤーハーネスの設計に基づいて、ワイヤーハーネスを試作してみる。
【0009】
続いて、ステップT4で、試作されたワイヤーハーネスを実際に繰り返し屈曲させ、屈曲評価試験を実施する。そして、その屈曲評価試験結果を検討し(ステップT5)、要求される屈曲耐性が得られない場合には、ステップT3の試作を再度行い、屈曲評価試験(ステップT4)及びその結果検討(ステップT5)を、要求される屈曲耐性が得られるまで繰り返し行って、最終的に肯定的な検討結果が得られた段階で、量産を開始する(ステップT6)。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
近年、例えば自動車業界全体において、開発期間の短縮や、試作品制作を省略したいという要請があり、従来のような試作品の制作(ステップT3)及び屈曲評価試験(ステップT4,T5)を行う仕事の進め方を改善したいという要望がある。
【0011】
そこで、この発明の課題は、ワイヤーハーネスの設計に際して、試作品の制作及びその屈曲評価試験を行わずにワイヤーハーネスの屈曲寿命を効率的に予測することで、自動車の総合的な開発期間を短縮化し得るワイヤーハーネス屈曲寿命予測方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決すべく、請求項1に記載の発明は、導体線を絶縁層にて被覆してなる電線を単数または複数本束ねて、所望の適用対象に配策するワイヤーハーネスの屈曲寿命を予測するワイヤーハーネス屈曲寿命予測方法であって、前記ワイヤーハーネスの少なくとも形状についての情報について、汎用有限要素法解析プログラムのための会話型プリ/ポストプロセッサに対して対話形式で入力されるべきコマンドライン及び各種パラメータを入力順序に沿って記載したプロシージャを、前記コマンドライン及び前記パラメータの少なくとも一方について変化させながら複数作成するプロシージャ作成工程と、前記プロシージャを前記会話型プリ/ポストプロセッサに与え、当該プロシージャに記載されている順序に沿って前記汎用有限要素法解析プログラムが前記ワイヤーハーネスの三次元形状モデルを作成し、当該三次元形状モデルが屈曲変化する場合の曲率値を有限要素法により求める曲率値計算工程と、前記曲率値に基づいて前記ワイヤーハーネスの屈曲予想寿命を得る予想寿命出力工程とを備える。
【0013】
請求項2に記載の発明は、導体線を絶縁層にて被覆してなる電線を単数または複数本束ねて、所望の適用対象に配策するワイヤーハーネスの屈曲寿命を予測するワイヤーハーネス屈曲寿命予測方法であって、前記ワイヤーハーネスの三次元形状モデルの作成及び屈曲寿命予測に必要な各種パラメータのみを汎用の表作成ソフトウェアプログラムを用いて入力しファイル化するパラメータ入力工程と、前記表作成ソフトウェアプログラムでファイル化した前記各種パラメータを専用アプリケーションに入力し、前記専用アプリケーションで個々の前記各種パラメータに対応するコマンドラインを付加して計算用ファイルを作成し、当該計算用ファイルを所定の汎用有限要素法解析プログラムに入力する自動コマンドライン付加工程と、前記計算用ファイルに基づいて前記汎用有限要素法解析プログラムが前記ワイヤーハーネスの三次元形状モデルを作成し、当該三次元形状モデルの曲率値を有限要素法により求める曲率値計算工程と、前記曲率値に基づいて前記ワイヤーハーネスの屈曲予想寿命を得る予想寿命出力工程とを備える。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のワイヤーハーネス屈曲寿命予測方法であって、前記汎用有限要素法解析プログラムを用いた前記曲率値計算工程が、計算処理が所定の処理量を経過しているか否かを判断し、計算処理が所定の処理量を経過した場合に、計算のどの段階で発散したのかを自動的に検索する工程と、検索結果に基づいて前記計算用ファイルを自動修正する工程とを備える。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のワイヤーハーネス屈曲寿命予測方法であって、前記ワイヤーハーネスの曲率値計算工程において、ドアの開閉に伴うワイヤーハーネスの屈曲変化、または座席シート下またはエンジンルームに配索される場合に片側の固定点がスライド運動するのに伴ってなされるワイヤーハーネスの屈曲変化についての曲率値を求める。
【0016】
【発明の実施の形態】
{第1の実施の形態}
<原理>
図1は、この発明の第1の実施の形態に係る電線束(ワイヤーハーネス)の設計方法を示している。このワイヤーハーネス設計方法は、ワイヤーハーネスを配策適用する対象(適用対象)に配策するための電線束の開発設計の初期段階において、コンピュータに予め格納されたソフトウェアプログラムで定義された手順に従って、設計された電線束の屈曲寿命予測を素早く実行する。尚、以下の説明では、電線束の適用対象として車両ボディを例に挙げて説明する。
【0017】
まずステップU1において電線束の適用対象としての車両ボディの全体的な設計構想を行う(適用対象設計構想工程)。
【0018】
次のステップU2において、車両ボディ(適用対象)に適合するように、電線束(ワイヤーハーネス:図1では「W/H」と表記している)の設計構想を行う(ワイヤーハーネス設計構想工程)。
【0019】
そして、ステップU3において、ステップU2で構想された電線束の設計に基づいて、CAE(コンピュータ・エイディッド・エンジニアリング)の手法を用いて電線束の屈曲寿命予測をシミュレーションし、そのシミュレーション結果を即座にステップU1(車両ボディ設計構想)及びステップU2(電線束設計構想)にフィードバックする。
【0020】
かかるステップU1〜U3の工程を、要求される電線束の屈曲耐性が得られるまで繰り返し行って、最終的に肯定的な検討結果が得られた段階で、量産を開始する(ステップU4)。
【0021】
これにより、従来のように電線束(ワイヤーハーネス)についての試作品の制作(図28中のステップT3)及び屈曲評価試験(図28中のステップT4)といった多大な時間を要していた工程を省略することができる。また、コンピュータを用いて容易に屈曲寿命予測を行うことができるので、従来では、電線束の製造メーカー(電線製造局)のみが当該電線束のステップU3である屈曲寿命予測を行い得たのに対して、この実施例の場合だと、ステップU3について、その電線束を応用して使用する適用対象の設計製造メーカー(適用対象設計局)内だけでも、コンピュータを用いて容易に電線束の屈曲寿命予測を行うことができる。したがって、設計早期の段階で信頼性を十分に確保しながら開発期間の短縮を図ることが可能となる。
【0022】
ここで、上記のステップU3においては、電線束の取付位置やクランプ等の位置、ワイヤーハーネスの直径や長さ、電線束の端点の運動方向や運動量等の各種パラメータを端末コンピュータF0に入力し、図2に示した市販の汎用有限要素法解析プログラム(MARCプログラム)F1を用いてCAEにて電線束の屈曲寿命予測をシミュレーションする。この際、汎用有限要素法解析プログラムF1のインターフェースとして市販の会話型プリ/ポストプロセッサF2を使用し、特に、その会話型プリ/ポストプロセッサF2に取り付け位置・材料・形状等の各種のパラメータ等を入力する方法として、これらを会話型方式で入力するのではなく、予めプロシージャファイルF3(F3a,F3b,F3c,F3d,F3e,…)を端末コンピュータF0で作成してバッチ処理でメインコンピュータF4の会話型プリ/ポストプロセッサF2に与えるようにしている。
【0023】
一般に、汎用有限要素法解析プログラムF1は、電線束の屈曲解析以外の様々な解析(構造解析・熱解析など)でも使用でき、非常に汎用性に富む反面、必要な入力項目がどれなのか判断するのにある程度慣れが必要であり、メインコンピュータF4の会話型プリ/ポストプロセッサF2にキーボード等を用いて手入力で数値を入力する必要があるため、会話型プリ/ポストプロセッサF2から汎用有限要素法解析プログラムF1に計算用ファイルを出力するのに多大な時間と手間がかかるといった問題点がある。特に、各種パラメータを少しずつ変化させながら、数百パターン以上の極めて多数の設計案(モデル)を設計し、これらの設計案についてそれぞれ汎用有限要素法解析プログラムで屈曲寿命予測を行うような場合には、一部の寸法が異なるだけのモデルについて全てのパラメータを会話型プリ/ポストプロセッサF2に一々入力しながらモデル作成することになり、手間がかかり工数が多く、寸法間違いなどが発生しやすい。
【0024】
これに対して、この実施例では、端末コンピュータF0において予めプロシージャファイルF3を作成するようにしているので、プロシージャの記載内容を少しずつ変更して、それらを別々のファイル名のプロシージャファイルF3a,F3b,F3c,F3d,F3e,…として用意しておくだけで、多くの設計についてのプロシージャF3a,F3b,F3c,F3d,F3e,…を容易に作成でき、複数のプロシージャF3a,F3b,F3c,F3d,F3e,…を次々と変更して解析を行うことで、多くの設計に対する素早いトライアル解析を行って、その多くの解析結果を素早く比較判断できる。したがって、個々の設計について対話形式で会話型プリ/ポストプロセッサF2にパラメータ等を手入力する場合に比べて、極めて効率的に設計の評価を行うことができる。
【0025】
<一の実施例>
上述のステップU3のCAEでの電線束の屈曲寿命予測方法の実施例について詳述する。
【0026】
図3は、一例として、設計対象となる電線束(ワイヤーハーネス)1がグロメット(保護管)2内を貫通している状態を示す側面図である。そして、上記のステップU3の例として、自動車等のドア3(図3中の符号Aの領域)の所定位置(ドアパネル)4とボディ5(図3中の符号Cの領域)の所定位置(ボディパネル)6との間Bのヒンジ部付近に設置されるグロメット2内を電線束1が貫通する場合に、ドア3の開閉動作に伴って電線束1が伸屈変化する際の電線束1の屈曲寿命を予測する場合を説明する。尚、この明細書では、ドア3、ドアパネル4、ボディ5及びボディパネル6を外部構造体と総称する。
【0027】
本発明者等は、電線束1の屈曲寿命を支配する因子について鋭意検討を行った。その結果、特に低温下においては、各電線の絶縁層の疲労破壊によりクラックが生じると、そのクラックが生じた部分の導体部に局部的な応力がかかりやすくなることから、電線束1の各電線中の断線は導体部を被覆する絶縁層の疲労破壊に主として支配されるものであり、絶縁層の疲労破壊はその表面歪みの変化量と強い相関を有することを究明した。すなわち、電線束1の屈曲寿命と曲げ変化時の絶縁層表面の歪み変化量との間に強い相関関係が存在するという知見を得たのである。ただし、電線束1が実際に自動車のドア3等に設置される場合には、S字形やU字形等の様々な形状で設置される。そして、その形状によって、電線束1への応力のかかり方も変化する。しかしながら、電線束1が様々な形状で設置されるにも拘わらず、電線束1の屈曲寿命と歪み変化量との間の相関関係は電線束1の形状には依存せず、幅広い屈曲形状において一定であるとの知見も得た。
【0028】
したがって、電線束1の屈曲寿命と歪み変化量との間の相関関係を予め実験的に求めておけば、様々な製品条件下の電線束1についてその歪み変化量を解析するだけで電線束等の屈曲寿命を予測することができることとなる。
【0029】
そして、電線束1についてその歪み変化量を解析する場合に、メインコンピュータF4の汎用有限要素法解析プログラムF1を用いることが効率的であるが、電線束1が複数の電線を含んでおり、またグロメット2の形状が複雑であるため、これらの形状及び物性(曲げ剛性)を厳密にモデリングして有限要素法で解析を行うと、コンピュータの計算処理負荷が多大なものとなってしまう。そこで、この実施例では、各構造体の有限要素モデルを単純化してコンピュータの計算処理負荷を低減しながら、屈曲寿命予測を行う例について説明する。
【0030】
具体的に、この実施例では、複数のプロシージャF3(F3a〜F3e,…)を作成するプロシージャ作成工程と(図4中のステップS1)と、有限要素法を用いたCAE解析により電線束1の曲率値を求める曲率値計算工程(図6参照)と、得られた電線束1の曲率値に基づいて電線束1の屈曲予想寿命を得る予想寿命出力工程とを順次実行する。
【0031】
ここで、前提として、曲率値計算工程で実行されるCAE解析は、汎用有限要素法解析プログラムである汎用有限要素法解析プログラムF1が使用される。この汎用有限要素法解析プログラム(MARCプログラム)F1は、NASTRANプログラムやADINAプログラム等と同様に、構造解析をはじめとして、熱伝導解析、音響解析、静電場解析などの多数の機能のライブラリ群から必要なものを選択して自由度の高い解析処理を行なうことができ、特に非線形解析を精度良く行なうことができるものである。
【0032】
また、会話型プリ/ポストプロセッサF2は、例えば汎用有限要素法解析プログラムF1の対話型インターフェイスを実現するための汎用の「Mentat(登録商標)」等が使用される。これは、汎用有限要素法解析プログラムF1の前処理(対話的な入力データの作成)及び後処理(解析結果の表示等)をグラフィックス・ディスプレイ上で行うための汎用ソフトウェアプログラムであって、具体的に、キーボード等の文字・数字の入力装置を用いて、固有の文法に対応したコマンドライン及びパラメータを対話形式で入力しながら対象物の三次元形状を定義することが可能となっており、また、対話形式での入力順序に対応した順序でコマンドライン及びパラメータ(これらを「記述内容」と総称する)が記述されたプロシージャF3(F3a〜F3e,…)のファイル名等を入力して、当該記述内容に定義されたコマンドライン及びパラメータの手順通りに汎用有限要素法解析プログラムF1に入力するようになっている。
【0033】
以上の各種ソフトウェアプログラムを使用した場合の各工程の具体的方法について詳述する。
【0034】
<1.プロシージャ作成工程>
このプロシージャ作成工程(図4中のステップS1)では、メインコンピュータF4の会話型プリ/ポストプロセッサF2に入力すべき各種のパラメータ及びコマンドラインを含めたプロシージャF3(F3a〜F3e,…)の電子データファイルを端末コンピュータF0側の作表ソフトウェアプログラムで予め作成しておき、当該プロシージャF3(F3a〜F3e,…)をメインコンピュータF4に転送する。特に、複数(例えば数百以上)の設計に係る複数のプロシージャF3(F3a〜F3e,…)を予め作成しておいて、これらのプロシージャF3(F3a〜F3e,…)を変更しながら会話型プリ/ポストプロセッサF2に与えることで、容易に複数(数百以上)の設計に対するCAE解析を行うことができるようにする。
【0035】
プロシージャF3(F3a〜F3e,…)の記述内容に含まれるコマンドラインとしては、例えば、「system reset(初期化コマンド)」や「add point(三次元形状を特定するための頂点または中心点等の三次元座標を追加するコマンド)」等がある。
【0036】
また、プロシージャF3(F3a〜F3e,…)の記述内容に含まれるパラメータとしては、例えば、グロメット2の三次元形状を特定するための各頂点の三次元座標、グロメット2や電線束1の中心点の三次元座標、電線束1の半径や長さ、及び各頂点同士が線で結ばれる関係を示すリンク情報等がある。これらの各パラメータは、例えば手書きで作成した設計図面(図示省略)を基本図面(テンプレート)とし、その基本図面における各頂点等の座標をプロシージャF3(F3a〜F3e,…)内のパラメータとしてそのまま採用したり、その基本図面の一部に変更(マイナーチェンジ)を加えてプロシージャF3(F3a〜F3e,…)内のパラメータとして入力したりする。あるいは、CADシステムで設計図面を設計した場合に、そのCADシステムで使用した各頂点の三次元座標等をそのまま電子データとして作表ソフトウェアプログラムに転送・複写し、当該電子データをテンプレートとしてプロシージャF3(F3a〜F3e,…)のパラメータとしてそのままあるいは変更(マイナーチェンジ)を加えて採用すればよい。
【0037】
そして、これらのコマンドライン及びパラメータが、対話形式で会話型プリ/ポストプロセッサF2に入力されるのと同じ順序で配列(入力トレース)されて個々の設計に対応する複数のプロシージャF3(F3a〜F3e,…)が作成される(図4中のステップS1)。
【0038】
図5は、ひとつのプロシージャF3(F3a〜F3e,…)の例を示す図である。図5中の各行において、「*」印が記述されていればその行がコマンドラインである旨を示している。1行目L1では保存及び転送する際のファイル名が定義され、2行目L2ではその確認のための「yes」を入力する旨を示している。3行目L3では新しい三次元形状モデルである旨を示す「new model」が入力され、4行目L4ではその確認のための「yes」を入力する旨を示している。5行目L5では会話型プリ/ポストプロセッサF2の三次元形状作成動作をリセットする旨、6行目L6では座標軸の移動状態をリセットする旨、7行目L7では点や線の複写状態をリセットする旨が入力される。そして、8行目L8で点をプロット(点追加)する旨の「add point」のコマンドが入力され、9行目L9以降に各点の三次元座標等の各種のパラメータが入力される。
【0039】
ここで、プロシージャF3の記載内容に含ませるパラメータの具体的な項目としては、電線束1を固定する固定点の取付座標と、電線束1の属性情報と、グロメット2の属性情報と、ドア3の開閉角度と、温度条件とがある。
【0040】
電線束1の固定点の取付座標としては、例えば図7または図8の如く、自動車のドア3のドアパネル4及びボディ5のボディパネル6の各座標位置を特定するとともに、このドア3及びボディ5のそれぞれにクランプT等により電線束1が固定される座標位置を特定してそれぞれ入力を行う。この場合の入力値としては、例えば図7のようにドア3の閉状態での取付座標を入力しておけば、図8に示したドア開状態での電線束1の形状は、ドア3の開状態への変化に伴って計算により求めることができるため、プロシージャF3の記載内容として予め入力しておく必要がない。
【0041】
パラメータとしてプロシージャF3内に含ませておくべき電線束1の属性情報としては、電線束1を構成する電線の種類(製品番号)、当該電線内の導体線の径、当該導体線の本数及び各導体線及び各絶縁層のそれぞれの曲げ剛性の値等を特定して入力を行う。
【0042】
また、グロメット2の属性情報としては、管状のグロメット2の貫通孔の内径及びグロメット2の長さ等を特定して入力を行う。ここで、グロメット2の剛性については入力の必要がない。この理由は次の通りである。
【0043】
この一例におけるCAEでの電線束1の屈曲寿命予測方法は、文字通りに当該電線束1の屈曲寿命を予測するだけでよいため、グロメット2の屈曲寿命は問題にする必要がない。また、この実施例では、自動車の低温下での使用における予測値を求めることが目的となっているが、常温や低温といった温度変化に伴うグロメット2の曲げ剛性の変化は、使用される材質の違いに起因して、電線束1の温度変化に伴う曲げ剛性の変化に比べると無視できることを実験により明らかにした。したがって、電線束1が低温下において硬化したときには、グロメット2の形状によって電線束1の形状が束縛されることはほとんどなく、むしろ電線束1の形状によってグロメット2の形状が束縛されることになる。このことから、グロメット2の形状を把握しさえすれば、グロメット2の温度変化に伴う曲げ剛性のパラメータは要求されず、故に、グロメット2の剛性を無視しても、電線束1の屈曲寿命を十分に予測することができることから、グロメット2の曲げ剛性等の物性パラメータの入力を省略しても、電線束1の屈曲寿命の予測値の精度が低下することはない。
【0044】
ドア3の開閉角度は、ドア3が閉状態のときの当該ドア3のボディ5に対する相対角度と、ドア3が開状態のときの当該ドア3のボディ5に対する相対角度とを特定して入力する。
【0045】
また、電線束1については、常温や低温(冬季での冷温に相当する温度を含む)等の温度の変化に応じて曲げ剛性の値が変化するため、温度のパラメータをも含まれる。
【0046】
かかるプロシージャF3(F3a〜F3e,…)が設計の変更毎に別々の複数(例えば数百以上)のファイルとして端末コンピュータF0内に保存され、またメインコンピュータF4の会話型プリ/ポストプロセッサF2にFTPなどで転送(図4中のステップS2)される。
【0047】
尚、プロシージャF3(F3a〜F3e,…)の作成に使用される作表ソフトウェアプログラムとしては、例えばExcel(商品名)等の市販のものが使用される。
【0048】
このように、プロシージャF3(F3a〜F3e,…)が作表ソフトウェアプログラムを用いて設定されるため、この作表ソフトウェアプログラムで作成された表内のデータの任意の一部を改変(マイナーチェンジ)しながら、それぞれ変更が加えられる毎に異なったファイル名で端末コンピュータF0のハードディスクドライブ等の記憶装置内に格納しておくことで、多数のプロシージャF3(F3a〜F3e,…)を容易に作成して保存することができる。
【0049】
<2.曲率値計算工程>
曲率値計算工程は、メインコンピュータF4の汎用有限要素法解析プログラムF1を用いて三次元形状モデルを作成し、この三次元形状モデルについての有限要素法の計算処理により、電線束1を模した仮想単線11(図9参照)のドア開状態とドア閉状態でのそれぞれの曲率半径Rを求める工程であり、図6の如く、メインコンピュータF4の会話型プリ/ポストプロセッサF2にパラメータ等をプロシージャF3のファイルとして入力するパラメータ入力工程(図6中のステップS01及び図4中のステップS3)と、汎用有限要素法解析プログラムF1にて各構造体の初期形状を決定する初期形状決定工程(図6中のステップS02,S04及び図4中のステップS4,S5)と、ドア3の開閉動作に伴ってグロメット2内の電線束1が伸屈変化する際の動作解析を行う伸屈動作解析工程(ステップS03,S05〜S08)とを備える。
【0050】
2−1 パラメータ入力工程
パラメータ入力工程では、まず図6中のステップS01(図4中のステップS3に相当)において、会話型プリ/ポストプロセッサF2でプロシージャF3を起動し、プロシージャF3内に記述されている上記の記載内容(コマンドライン及びパラメータ)を汎用有限要素法解析プログラムF1に入力する。
【0051】
かかるパラメータ入力工程の後の工程は、コンピュータのハードディスク内に予め格納されたソフトウェアプログラムに規律された手順で、CPUが動作することにより実行される。
【0052】
2−2 仮想単線径計算工程
この実施例では、後述のように、複数の電線から構成される電線束を1本の仮想単線11(図9)にモデリング化して屈曲寿命予測を行うことになる。そこで、ステップS01Aにおいて、そのモデリングすべき仮想単線11の径を、パラメータ入力工程(ステップS01)で入力された電線の種類(製品番号)、当該電線内の導体線の径及び当該電線の本数の情報に基づいて作表ソフトウェアプログラム内で後述の(1)式により決定する。
【0053】
具体的には、コンピュータのハードディスク内に、各電線の被覆部をも含めた外径(仕上げ外径)のリストが予め格納されており、パラメータ入力工程(ステップS01)で入力された電線の種類(製品番号)に応じて、それぞれの仕上げ外径を読み出す。ここで、個々電線の種類を変数v(=1〜m)で表すこととし、その種類vの電線の仕上げ外径をdvで表すこととする。また、パラメータ入力工程(ステップS01)で入力された各電線vの使用本数をNvとする。このとき、電線束を単純モデル化するための仮想単線の径Dxは、次の多次元近似式である(1)式により求める。
【0054】
【数1】
Figure 0003808801
【0055】
ここで、(1)式中のai(ただしi=0,1,2,…,n)は、経験則によって導き出される固有の係数であり、これらの計算方法は、例えばプロシージャF3のコマンドラインとして定義付けられる。
【0056】
このように、電線束をモデリング化する際、操作者は、プロシージャ作成(図4中のステップS1)において、電線の種類及び本数を入力するだけで、仮想単線11の径を端末コンピュータF0に自動的に計算させることができるため、ステップS01Aの処理が極めて容易になる。
【0057】
また、かかる仮想単線径計算工程と併せて、予めプロシージャF3内に記載された電線束1内の各構造体としての個々の電線v(導体線及び絶縁層)の曲げ剛性のパラメータを読み出しておく。この曲げ剛性のパラメータは、初期形状、ドア3の開状態及び閉状態のそれぞれにおいて、電線束1の形状を正確にモデリングするために使用するものである。尚、この実施例では、図9の如く、電線束1については単純な1本の仮想単線11を想定してその形状をモデリングし、そのモデリング形状に基づいて、各電線(被覆部となる絶縁層を含む)の表面の屈曲寿命を予測するようにする。
【0058】
2−3 初期形状決定工程
次段の初期形状決定工程では、メインコンピュータF4の汎用有限要素法解析プログラムF1にて、グロメット2を単純モデル化した仮想パイプ9(図11参照)と、電線束1を単純モデル化した仮想単線11(図9参照)との初期形状を決定して有限要素モデルを作成する。
【0059】
まずステップS02において、仮想パイプ9と仮想単線11とを仮想空間上で直線状に配置してこれらの有限要素モデル(三次元形状モデル)を作成する。
【0060】
この場合、まず図10に示したように、グロメット2の内径寸法D1の貫通孔7内に、外径D2の太さを有する電線束1が貫通している現実的なモデル(以下「現実モデル」と称す)を作成しておく。この場合、電線束1に対するグロメット2の余裕空間の余裕寸法は、グロメット2の内径寸法D1から電線束1の外径D2を減算した(D1−D2)となる。
【0061】
ここで、電線束1の初期形状を決定する段階では、その太さ(外径D2)を考慮すると形状決定の作業が複雑になるため、上記の現実モデル以外に、図11のように電線束1の中心軸としての太さを持たない中心線8のみを考慮した仮想モデルを決定しておく。
【0062】
この仮想モデルの場合、電線束1の外表面とグロメット2の内周面との離間距離は現実の寸法に近い寸法を適用することが望ましいことはいうまでもない。そこで、上述のステップS01Aで求めたDx((1)式参照)を近似的に電線束の径D2として採用し、図11のように、太さを持たない中心線8から現実の離間距離{(D1−D2)/2}と同じ寸法だけ離間した仮想パイプ9を想定しておく。仮想パイプ9の内径は(D1−D2)である。この値は、上記した余裕空間の余裕寸法に一致している。尚、このステップS02での現実モデル及び仮想モデルでは、電線束1の中心線8が仮想パイプ9の中心線と一致するように配置しておく。ここで決定された直線状の仮想パイプ9の形状を図12に示す。図12中の符号L1はこの屈曲寿命予測方法の解析計算処理において使用する電線束1(及びその中心線8)の長さ寸法を示しており、少なくともドアの開閉動作によって変形する可能性のある部分の長さ以上に設定される任意の値が適用される。また、符号L2は実際のグロメット2の長さ寸法であり、ここでは仮想パイプ9の長さ寸法として図示される。
【0063】
そして、現実モデル及び仮想モデルのそれぞれについて、所定の細かさの有限要素網目を設定して要素分割を行っておく。尚、仮想パイプ9の内部での電線束1の中心線8の形状は、電線束1の中心線8の屈曲寿命の予測を行う上で極めて重要である。このため、要素分割を行う際には、仮想パイプ9の外部で設定する電線束1の中心線8の有限要素網目よりも仮想パイプ9内部の電線束1の中心線8の有限要素網目を細かく設定しておく。
【0064】
尚、かかるステップS02での作業は、ステップS01で入力されたプロシージャF3のコマンドライン及びパラメータに基づいてメインコンピュータF4の汎用有限要素法解析プログラムF1によって計算処理される。
【0065】
次に、ステップS03において、図13に示したように、ドア3のドアパネル4及びボディ5のボディパネル6の実状に対応した座標位置から、これらの有限要素モデルを作成する。ここでは、ドアパネル4及びボディパネル6の初期形状として、例えばドア閉状態での形状を適用しておく。また、ドア3及びボディ5のそれぞれにおける電線束1のクランプTの位置を特定しておく。ここで決定したドアパネル4及びボディパネル6の座標位置は、グロメット2及び仮想パイプ9の取付位置(グロメット位置)を決定付けるものである。このステップS03での作業は、ステップS01で入力されたパラメータに基づいてコンピュータのCPUにおいて自動的に計算処理される。
【0066】
続くステップS04では、仮想パイプ9及び電線束1の中心線8のモデルでの初期形状を計算する。具体的には、上記ステップS02で作成した仮想パイプ9及び電線束1を、上記ステップS03で作成したドアパネル4及びボディパネル6の座標位置に対応するよう変形し、図14に示したように仮想パイプ9及び電線束1の中心線8の初期形状を決定する。
【0067】
ここで、電線束1の中心線8の初期形状の決定方法についてさらに詳しく説明する。
【0068】
例えば、図15及び図16のように、グロメット2の内周形状に対応する仮想パイプ9の内部を、電線束1の形状に対応するその中心線8が貫通する場合に、仮想パイプ9の両端部の中心点9a,9bを電線束1の中心線8が通過するようにして中心線8の形状を決定する方法も考えられる。しかしながら、仮想パイプ9の内部空間内で電線束1の中心線8が寸法的に余裕を持って配される(このことは、グロメット2の内部空間において電線束1が余裕をもって配置されることに対応している)ことから、電線束1の中心線8が仮想パイプ9の両端部の内周の中心点9a,9bを通過するとは限らない。むしろ、ドア3が開状態になることによって、仮想パイプ9及び電線束1の中心線8が図15のように湾曲すると、電線束1の中心線8がそのクランプTの位置に制約を受けることで仮想パイプ9の両端部の内周の中心点9a,9bからずれた状態になることがほとんどである。このように、電線束1の中心線8を現実のものと異なる形状でモデリングして屈曲寿命の予測を行うと、実際の電線束1の屈曲寿命とは大幅に異なった予測値が計算されることになってしまう。
【0069】
これらのことから、この実施例では、仮想パイプ9の存在をほとんど無視して電線束1の中心線8のモデリングを行う(以下「完全フリーモデル」と称する)。すなわち、電線束1の中心線8(電線束1の形状に対応)及び仮想パイプ9(グロメット2の形状)が一直線状に配置される場合は、図18のように、電線束1の中心線8が仮想パイプ9の両端部の中心点9a,9bを通過するように配置するものの、仮想パイプ9が湾曲した場合は、図16及び図17のように、その仮想パイプ9の両端部の中心点9a,9bの座標位置に拘泥せずに、電線束1を固定するドア3及びボディ5のクランプTの位置にのみ電線束1の中心線8が拘束されるように形状を決定する。
【0070】
ただし、上述のように、仮想パイプ9がドア3の開状態によって湾曲する場合に、これに対応する現実のグロメット2の内周部分の中間位置において電線束1の表面が当接して形状制約を受けることが予想され、この場合にのみ電線束1の形状がグロメット2の形状によって制約を受けることになる。このことを考慮し、この実施例では、後述するステップS06において現実モデルを使用し、仮想単線11(図9参照)とグロメット2について、ドア開閉を考慮した形状の規制を行うことになる。ただし、かかる補正は、後述するように、仮想パイプの径を、実際の電線束1の径とグロメット2の径との差分で作成することにより、グロメット2との接触を考慮しながら、後述のステップS06において実行される。
【0071】
このように、仮想パイプ9の内部に電線束1の中心線8を貫通させる場合に、仮想パイプ9の存在を無視して完全フリーモデル(すなわち、電線束1の中心線8の形状が仮想パイプ9によって影響を受けないモデル)としてメインコンピュータF4の汎用有限要素法解析プログラムF1により計算を行っているので、電線束1の中心線8としてワイヤーハーネスを適用した場合に、仮想パイプ9の端末中心に固定されていると仮定して計算をした場合に比べて、屈曲寿命の計算値(予測値)を現実の屈曲寿命の値に近似させることができる。
【0072】
しかも、このように処理することで、仮想パイプ9自体のメインコンピュータF4の汎用有限要素法解析プログラムF1によるコンピュータ解析処理を省略でき、コンピュータでの計算処理負荷を大幅に低減することができるとともに、仮想パイプ9を有限要素網目によって分割する工程が必要なくなるため、大幅に労力を低減できる。
【0073】
2−4 伸屈動作解析工程
ステップS05において、上記ステップS03で作成したドアパネル4及びボディパネル6の初期形状のモデルと、上記ステップS04で作成した仮想パイプ9及び電線束1の中心線8の初期形状のモデルとを図19のように合併して、ドア開閉計算の有限要素モデルを作成する。具体的には、ステップS01で入力した固定点の取付座標を、ステップS03で作成したドアパネル4及びボディパネル6にプロットし、この固定点の取付座標にステップS04で作成した電線束1の中心線8のモデルを重ね合わせる。
【0074】
次に、ステップS06において、ドア開閉モデルに接触要素を追加する。ここでは現実モデルを用いる。ただし、電線束1の複数の電線について全てをそれぞれの構造体とすると、後段の解析計算が煩雑となるため、電線束1の総合的な物性に基づいて想定された図9のような仮想単線(仮想的線部材)11を適用する。仮想単線11は、電線束1の複数の電線における導体部の金属材料の曲げ弾性係数と、被覆層の絶縁材料の曲げ弾性係数を、その断面積比率によって重み付け平均し、導体部の金属材料と被覆層の絶縁材料とを平均化した仮想的な材料を想定し、かかる仮想的な材料からなる1本の仮想単線11とする。そして、この仮想単線11がグロメット2により束縛された状態で接触することから、グロメット2内の仮想単線11の径Dx(ステップS01A参照)を考慮し、その空間占有率を考慮しながら、接触要素を定義して、仮想単線11の形状の作成補足を行う(図4中のステップS4)。尚、接触要素の具体的な定義方法については、一般的な有限要素モデルにおける接触要素の定義方法と変わりないため、説明の簡便のためここでは詳説しない。このようにして、三次元形状モデルの作成が完了する(図4中のステップS5)。
【0075】
続いて、ステップS07では、ステップS01で入力されたドア3の開閉角度に基づいて、仮想モデルにおける電線束1の中心線8を基準に、ドア3の開状態及び閉状態のそれぞれの場合についての電線束1の中心線8の曲率半径Rを計算する。
【0076】
そして、ステップS08において、電線束1の中心線8の長手方向において、最も伸長した場合と最も屈曲した状態での曲率変化量をステップS07で計算したそれぞれの曲率を基に計算する。この曲率変化量の計算結果は、曲率値ファイルと呼ばれるデータファイルのデータとしてハードディスクドライブ等の所定の記憶装置に記憶する。
【0077】
<3.予想寿命出力工程>
図20は、予想寿命出力工程の処理手順を示すフローチャートである。ただし、この図20に示した処理手順に先駆けた事前段階として、電線束1の屈曲寿命と歪み変化量との相関関係を示すマスターカーブ(寿命予測曲線)を予め取得する必要がある。
【0078】
3−1 マスターカーブ(寿命予測曲線)の取得工程(事前段階)
マスターカーブ(寿命予測曲線)の取得工程においては、単一の単線について、上記のメインコンピュータF4の汎用有限要素法解析プログラムF1による曲率値計算工程での曲率半径の値に基づいて、その単線の歪み変化量を求め、この歪み変化量の値と、実験の結果得られた当該単線の屈曲寿命とを、所定のグラフ座標上でプロットし、図21のような近似的に相関曲線を求め、これをマスターカーブ(寿命予測曲線)とする。同図の横軸は絶縁層表面の歪み変化量を示し、縦軸は屈曲寿命を示している。
【0079】
ここで、単線の歪み変化量について説明する。導体線を絶縁層にて被覆してなる単線の半径をr(図9参照)とする。単線は曲げ変形を受けており、その曲げ半径をRとすると、曲率KはK=1/Rで表される。このときに単線の絶縁層の表面に生じている歪みεは次の(2)式のように表される。
【0080】
【数2】
Figure 0003808801
【0081】
ここで、ドア3等の屈曲を受ける位置に配置される単線において、その屈曲を受ける位置で最も屈曲した状態の単線の曲げ半径をR1とし、最も伸長した状態の単線の曲げ半径をR2として、この最も屈曲した状態と最も伸長した状態との間で単線に繰り返し曲げを施したときの絶縁層表面の歪み変化量をΔεとすると、Δεは次の(3)式にて表される。
【0082】
【数3】
Figure 0003808801
【0083】
なお、(3)式においてΔKは単線に繰り返し曲げを施したときの曲率の変化量であり、上述したメインコンピュータF4の汎用有限要素法解析プログラムF1による曲率値計算工程によって算出することができる。その算出されたΔKを、単線の各部位についてリストアップし、最も値の大きいΔKを採用して、(3)式から絶縁層表面の歪み変化量Δεを求める。
【0084】
一方、屈曲寿命については、単線に繰り返し曲げを施して、断線に至るまでの屈曲回数を実際に測定することによって求める。上述の如く、低温下における電線束等の断線は導体部を被覆する絶縁層の疲労破壊に主として支配されているものであり、屈曲寿命には温度依存性がある。したがって、屈曲寿命の測定については図22のように必要な温度ごとに行っておく。同図の横軸は絶縁層表面の歪み変化量を示し、縦軸は屈曲寿命を示している。図22に示すように、温度が低下するほど屈曲性能が低下、すなわち同じ歪み変化量における屈曲寿命が短くなっている。
【0085】
3−2 電線を選択して歪み変化量を算出する工程
次に、予測対象となる電線束1内において、最も歪み変化量Δεが大きいと推測される単一の電線について、その歪み変化量Δεを算出する。
【0086】
ここでは、まず図20中のステップS11において、電線束1を単純モデル化した仮想単線11aとしてではなく、図24のように、その仮想単線11a内に実際に配置される各電線12についての形状を、上記した仮想単線11の形状に対応するように決定する。即ち、ステップS08によって出力された仮想単線11の最も屈曲した状態と最も伸長した状態の両方の形状に基づいて、仮想単線11の径Dx(ステップS01A参照)及び個々の電線12の径((1)式中のdv)の寸法をも考慮して、その内部で最も歪み変化量Δεの大きな電線12の最も屈曲した状態と最も伸長した状態の両方の形状を決定する。この場合、図24のように、仮想単線11の外周に接して電線12が配置されているものとし、そのなかで、最も歪み変化量Δεの大きな電線12が、電線束1の曲げ半径において最も内周側に位置する電線12として選ばれる。ただし、電線束1において複数の電線12同士がよじれて配置される場合があり、この場合は、どの電線12の歪み変化量Δεが最も大きくなるかを予測することが困難になる場合があるため、歪み変化量Δεが最も大きな電線12が複数ある場合には、そのいずれについても歪み変化量Δεを算出し、これに基づいて最大の歪み変化量Δεを示す電線12を比較し、事後的に選択すればよい。
【0087】
そして、ステップS11の後、最大の歪み変化量Δεを有すると推定される電線12において、最も伸長した状態での曲率半径RをR1とし、電線が最も屈曲した状態での曲率半径RをR2とし、電線12の上記のメインコンピュータF4の汎用有限要素法解析プログラムF1による曲率値計算工程に従って、曲率変化量ΔKを曲率値ファイルから読み込む。
【0088】
次に、ステップS12において、電線12の径をrとして、選択された電線12の曲率値(曲率半径の値)に基づいて、その歪み変化量Δεを上記した(3)式に従って計算する。
【0089】
続いて、ステップS13において、ステップS12で求めた歪み変化量Δεが最大となる選択された電線12の点を選ぶ。
【0090】
3−3 マスターカーブ(寿命予測曲線)への照合工程
そして、ステップS14において、ステップS13で選択した最大の歪み変化量Δεを、図22に示したマスターカーブ(寿命予測曲線)に当てはめ、そのときの縦軸の値を屈曲寿命の予測値として、続くステップS15において、予想寿命及び予想断線位置の表示を行う。
【0091】
ここで、選択された電線12の屈曲寿命と歪み変化量との間の相関関係自体は電線12の径に依存しない。したがって、選択された電線12の歪み変化量を、上述したメインコンピュータF4の汎用有限要素法解析プログラムF1による曲率値計算工程で算出することができれば、選択された電線12の製品条件によらず、その屈曲寿命を正確に予測することができる。なお、このことは本発明にかかる選択された電線12の屈曲寿命予測方法が選択された電線12の製品条件を全く考慮していないことを意味しているのではなく、予測対象としている選択された電線12の歪み変化量を(3)式に従って算出する段階において、その径rを考慮している。このようにすれば、選択された電線12の製品条件によらず、その屈曲寿命を正確に予測することができるため、ワイヤーハーネスの設計等にその予測結果を反映することによって事前に机上検討が可能となり、最適設計、開発期間の短縮を図ることができる。また、屈曲寿命測定のために実際に行う試験を削減することができる。
【0092】
具体的に、図23は所定の単線を用いてマスターカーブ(寿命予測曲線)MCを設定しておき、上記した屈曲寿命予測方法で電線束1の屈曲寿命予測を行った例である。
【0093】
完全フリーモデルを用いずに、仮想パイプ9の端末中心を電線束1の中心線8が固定的に通過すると仮定して歪み変化量Δεを計算をし、且つ実際の屈曲寿命実験を行って断線に至るまでの伸屈運動の回数をプロットした場合、点P1の結果を得た。しかしながら、この点P1は、マスターカーブMCから大きくずれた点にプロットされていることが解る。
【0094】
これに対して、上述のような完全フリーモデルを適用して歪み変化量Δεを計算をし、且つ実際の屈曲寿命実験を行って断線に至るまでの伸屈運動の回数をプロットした場合、点P2の結果を得た。この点P2は、マスターカーブMCに合致しており、この実施例の屈曲寿命予測方法の予測精度が極めて高いことを証明している。
【0095】
しかも、仮想パイプ9を用いることで、コンピュータ解析処理を簡略化できるため、コンピュータでの計算処理負荷を大幅に低減することができる。さらに仮想パイプ9を有限要素網目によって分割する工程が必要なくなるため、大幅に労力を低減できる。
【0096】
この場合、プロシージャF3として予め用意したものを会話型プリ/ポストプロセッサF2に与え、そのプロシージャF3の記載内容に基づいて汎用有限要素法解析プログラムF1が解析処理を行うので、複数(例えば数百以上)の設計毎にプロシージャF3a〜F3e…を予め作成しておき、これらのプロシージャF3a〜F3e…を次々と変更することで、多くの設計に対する素早いトライアル解析を行うことができ、その多くの解析結果を比較して、いずれの設計が最適であるかを容易に比較判断できるので、個々の設計について対話形式で会話型プリ/ポストプロセッサF2にパラメータ等を入力する場合に比べて、極めて効率的に設計の評価を行うことができる。
【0097】
しかも、各プロシージャF3a〜F3e…の記載内容の一部を少しずつ変更して、それらを別々のファイル名として保存して行くだけで、多くの設計についてのプロシージャF3a〜F3e…を容易に作成できるので、全てのプロシージャF3a〜F3e…を個別に始めから作成する必要がなく便利である。
【0098】
尚、上記実施例では、ステップS11〜S15において、電線束1(仮想単線11a)中で最も歪み変化量Δεの大きな単一の電線12について寿命予測を行っていたが、これに代えて、単純に仮想単線11(図9参照)の表面の屈曲寿命予測を行い、これを電線12の屈曲寿命予測としてもよい。この場合、(3)式中の径rは、仮想単線11の径Dx(即ち、電線束1の径:ステップS01A参照)を適用して計算すればよい。
【0099】
{他の実施例}
上記一の実施例では、低温下において、内部の導体部が破断するよりも先に、被覆部としての絶縁層にクラックが生じ、このクラックが原因となって応力が局部的にかかり、その結果内部の導体部が断線する場合の屈曲寿命予測方法について説明していた。
【0100】
しかしながら、常温である場合においては、被覆材となる絶縁層として温度依存性の少ないハロゲンフリーの樹脂材やPE等を使用する場合や、温度依存性のあるPVC等の絶縁層を有していても、これらの電線等を繰り返し屈曲していくと、絶縁層の疲労破壊によりクラックが生じる以前に、内部の芯線となる導体部が断線することがある。このことから、常温下においては、電線等の断線は必ずしも導体部を被覆する絶縁層の疲労破壊に起因する場合ばかりでなく、むしろ、電線等の屈曲寿命は、内部の各素線の屈曲寿命に等しいと考えることができる。
【0101】
この場合には、マスターカーブとして導体部(例えば銅)及び被覆材と同一材料の電線について予めマスターカーブを求めておき、電線束1のうちの最も歪み変化量Δεの大きな電線12中の導体部について、その歪み変化量ΔεをメインコンピュータF4の汎用有限要素法解析プログラムF1により求め、その結果をマスターカーブに照合して導体部の屈曲寿命予測を行えばよい。
【0102】
この場合においても、電線束1を単線モデル化した仮想単線11を想定し、上記の一の実施例のステップS01〜S08と同様にして仮想単線11の形状を決定した後、歪み変化量Δεが最大となるいずれかの電線12を選択し、その内部の導体部の形状を、仮想単線11の形状に応じて決定した後、当該導体部のみの屈曲寿命予測を行えばよい。この場合における(3)式中の径rは、導体部の径を適用する。
【0103】
このようにすれば、上記の一の実施例の低温環境下における電線束1の屈曲寿命だけでなく、常温環境下における電線束1の屈曲寿命をも容易に予測することができる。
【0104】
{さらに他の実施例}
上記一の実施例では、ヒンジ部付近に設置されるグロメット2内を電線束1が貫通する場合に、ドア3の開閉動作に伴って電線束1が伸屈変化する際の電線束1の屈曲寿命を予測する場合を説明したが、上記の基本的な手法は、グロメット等の外装品を考慮しない場合にも適用できる。
【0105】
この場合、図25のステップS21(図6中のステップS01に相当)のように、まずワイヤーハーネスの取り付け位置(クランプ位置)と、ワイヤーハーネスの寸法(電線束の直径及び長さ)と、電線束の端点の運動方向及び運動量といった各種パラメータを入力する。これらのパラメータを入力することで、解析モデルを作成するためのプロシージャファイルが作成される。このプロシージャファイルは、パラメータだけでなく、三次元形状を作成するためのプログラム上の各種コマンドラインが全て含められる。このプロシージャファイルに、ワイヤーハーネスの材料物性を含めておくことで、各パラメータの値がプロシージャファイルに全て含まれることになる。
【0106】
次に、ステップS22において、ステップS21で作成されたプロシージャファイルを実行させる。このように所定の三次元形状作成アプリケーションプログラムにおいてプロシージャファイルを実行することで、当該三次元形状作成アプリケーションプログラムにおいて電線束の初期形状モデル(三次元形状モデル)が自動的に作成される。しかる後、ステップS23において、電線束の初期形状について、取り付け位置及び取り付け形状を計算する。
【0107】
次のステップS24において、計算が正常に終了したか否かを判断する。正常終了しない場合は、正常終了しない原因を調べ、エディタや専用ソフトウェアプログラムとを用いて、計算すべきモデルのプロシージャファイル(パラメータやコマンドライン)の修正を行って、ステップS21〜ステップS24の作業を繰り返し実行する。
【0108】
しかる後、ステップS25に進み、初期形状の計算結果を読み込んで、曲率計算の計算用ファイルを作成する(ステップS26)。
【0109】
このステップS26で作成された計算用ファイル(接触定義)を用いて、ステップS27でドア開閉に伴う曲率計算を行う。このときに出力される数値としては、電線束の中央位置での曲率(具体的には、所定の間隔でメッシュを切った場合に設定される各節点の曲率)が採用される。かかる数値(曲率)を一旦ファイルに保存し、後処理で歪み変化量(前述参照)を計算する。ここで計算が正常終了しない場合は、計算の条件(例えばメッシュを切った場合の間隔ステップの数等)を変更して再計算を繰り返す(ステップS28)。
【0110】
そして、ステップS29において、ステップS27で計算された各節点の曲率及び各間隔ステップ毎の曲率の値を曲率ファイルとして保存する。これらの曲率の値は、電線束の中央位置での値が採用される。この曲率ファイルに基づいて、上記の実施例と同様にして電線束の寿命を予測するための歪み変化量を計算する。
【0111】
曲率の値に基づいて寿命を予測する方法としては、図20で説明した手順と同手順で行えばよい。こで得られた寿命の値のうち、最も寿命が短い値を検索すれば、その値がワイヤーハーネスの予想屈曲寿命となる。
【0112】
このように、外装品を考慮しない場合であっても、ワイヤーハーネス(電線束)を屈曲したときの形状をCAEで計算し、得られた電線束の歪み値に基づいて歪み変化量を計算し、これに基づいてワイヤーハーネスの屈曲寿命を容易に計算できる。したがって、ワイヤーハーネスが断線に至るまでの屈曲回数をCAEで計算することができ、机上でワイヤーハーネスの寿命を容易に予測できる。したがって、評価試験の削減を期待できる。
【0113】
また、この実施例のように、プロシージャファイルを用いて各種パラメータとコマンドラインを予め様々なモデルについて定義しておけば、その途中でのパラメータの修正が容易である。さらに予め多くのプロシージャファイルを作成し、これに基づいて寿命予測を行うことで、多くの寿命予測を行う際に便利である。
【0114】
{第2の実施の形態}
第1の実施の形態では、汎用有限要素法解析プログラム(汎用有限要素法解析プログラム)F1に各種のパラメータ等の計算用ファイルを入力する会話型プリ/ポストプロセッサとして、市販の「Mentat(登録商標)」F2を使用することとし、この市販の会話型プリ/ポストプロセッサF2に対して入力を行う際に予め複数のプロシージャF3を作成するようにしていたが、第2の実施の形態ではこれに代えて、電線束1または電線の屈曲寿命予測を行うための汎用有限要素法解析プログラムF1に対する計算用ファイルを入力するアプリケーションとして、この第2の実施の形態に対して図26に示すように専用に開発された専用アプリケーションF6(例えば端末コンピュータF0であってもよいし、あるいはメインコンピュータF4にあってもよい)を使用する。
【0115】
第1の実施の形態のように、会話型プリ/ポストプロセッサF2の入力手順に沿ってコマンドライン及びパラメータを記述してプロシージャF3を作成する場合、会話型プリ/ポストプロセッサF2の入力手順を完全に理解して作成する必要があるため、プロシージャF3を作成する際には、いずれか1つのコマンドラインの順序を間違えるだけで汎用有限要素法解析プログラムF1が動作しないなど、プロシージャF3の記載内容の順序は厳密性が要求される。このことから、作成者は会話型プリ/ポストプロセッサF2の使用について相応の経験が必要となる。また、必要に応じて、実際に会話型プリ/ポストプロセッサF2を起動して動作させながらプロシージャF3を作成する必要がある。
【0116】
このことに鑑み、この実施の形態では、第1の実施の形態で説明したようなプロシージャを作成するのではなく、電線束1や電線の屈曲寿命予測を行うのに必要な入力項目を厳選し、この厳選された入力項目のみを入力するためのファイルを所定の表作成ソフトウェアプログラムで作成して、このファイルを専用アプリケーションF6に入力するとともに、専用アプリケーションF6でコマンドラインを付加し、このコマンドラインとパラメータとを含んだ状態の計算用ファイルに変換して汎用有限要素法解析プログラムF1に出力する。
【0117】
即ち、この専用アプリケーションF6は、電線束1または電線の屈曲寿命予測のための有限要素モデル(三次元形状モデル)を汎用有限要素法解析プログラムF1で作成する場合に、この汎用有限要素法解析プログラムF1にバッチ処理として入力すべき計算用ファイルを容易に作成するための入力インターフェースプログラムであって、Excel(商品名)等の表作成ソフトウェアプログラムにおいて罫線等で入力項目を限定したテンプレートファイルに各種のパラメータを入力してファイルを作成(パラメータ入力工程)し、そのファイルを専用アプリケーションF6に与えることで、汎用有限要素法解析プログラムF1に適した計算用ファイルを自動的に作成するものである。
【0118】
尚、この実施の形態では、汎用有限要素法解析プログラムF1での有限要素法を用いた曲率値計算工程及び予想寿命出力工程については第1の実施の形態と同様である。
【0119】
ここで、専用アプリケーションF6に入力すべき項目は、電線束1または電線の有限要素モデルを汎用有限要素法解析プログラムF1で作成するために必要なパラメータに限られ、第1の実施の形態で説明したプロシージャF3の記載内容から各種のコマンドラインを全て省略した内容で、表形式のファイルとして保存及び転送することが可能となっている。このように、入力するファイルを表形式で保存及び転送することが可能であるため、第1の実施の形態と同様に、各種パラメータを予め様々な設計案(有限要素モデル)について定義しておけば、その途中でのパラメータの修正が容易であり、このように一部のパラメータを少しずつ変更した多数のファイルを保存し、これに基づいて寿命予測を行うことで、多くの寿命予測を効率よく行うことができる。しかも、第1の実施の形態のように会話型プリ/ポストプロセッサF2の各種のコマンドラインや入力手順を理解していなくても、専用アプリケーションF6が各種のコマンドラインを補足(自動コマンドライン付加工程)してくれることで、容易に計算用ファイルを作成することができる。
【0120】
また、テンプレートファイルを呼び出すことのできる表作成ソフトウェアプログラムを保有する端末コンピュータF0であれば、どのような端末コンピュータF0を使用しても差し支えないので、LANで接続されている任意の端末コンピュータF0で計算用ファイルを容易に作成することができる。
【0121】
尚、電線束1または電線の屈曲寿命予測としては、ドアワイヤーハーネスについてドアの開閉動作に伴うワイヤーハーネスの屈曲変化に関して屈曲寿命予測を行ったり、あるいは、座席シート下やエンジンルーム(アースまたはスターター等)に配索されるワイヤーハーネスについて、片側の固定点がスライド運動するのに伴って屈曲変化する場合のワイヤーハーネスの屈曲寿命予測等、どのような用途に適用しても差し支えない。
【0122】
{第3の実施の形態}
この発明の第3の実施の形態は、汎用有限要素法解析プログラムF1での計算が途中で発散し、所定の処理量までに電線束1または電線の曲げ形状が正しく求められなかった場合に、計算のどの段階で発散したのかを自動的に検索して、その検索結果に基づいて計算用ファイルを自動修正することで電線束モデル(有限要素モデル)の初期形状を自動的に修正するようになっている。
【0123】
有限要素モデルの作成時に、そのモデル計算が発散(非収束)して処理が所定の処理量までに完了しない場合、メインコンピュータF4の処理を目視しながら探す必要があり、発散するコマンドラインを検索して修正するために、表作成ソフトウェアプログラムでパラメータを修正することとすると、非常に手間がかかる。そこで、例えばポリゴン形状のメッシュの細かさや計算の刻みの細かさ等を自動的に緩和する。かかる緩和処理は、メインコンピュータF4内において汎用有限要素法解析プログラムF1に付加された専用の修正アプリケーション(図示省略)で行う。
【0124】
図27は第3の実施の形態の処理手順を示すフローチャートである。図25に比べて、ステップS24で正常終了しない場合の処理(ステップS24a,S24b)が付加されている。即ち、第1の実施の形態の「さらに他の実施例」で説明したステップS24において、計算処理が所定の処理量を経過しているか否かを判断し、計算処理が所定の処理量を経過した場合に、計算が発散して終了しない状態であるものとみなし、ステップS24aに移行して、専用の修正アプリケーションで計算のどの段階で発散したのか(エラー箇所)を自動的に検索する。そして、この検索されたエラー箇所に対して、ステップS24bで計算用ファイルを自動修正する。
【0125】
このようにすることにより、有限要素モデルの計算途中で発散してしまい、電線束1等の曲げ形状が正しく求められなかった場合でも、自動的に計算用ファイルを修正し、再度有限要素法解析(CAE)で容易に計算できる。
【0126】
以上この発明の各実施例について説明したが、この発明の範囲は上記実施例に限られるものではなく、添付された請求の範囲によって規定される。
【0127】
特に、汎用有限要素法解析プログラムF1としてはMARCプログラム以外のプログラムを適用してもよく、また会話型プリ/ポストプロセッサF2としてもMentat(登録商標)以外のものを使用してもよい。
【0128】
【発明の効果】
請求項1または請求項2に記載の発明によれば、例えば請求項4のようにドアの開閉や座席シート下またはエンジンルームでの固定点のスライド運動に伴ってワイヤーハーネス(電線束)を屈曲したときの形状をCAEで計算し、これに基づいて得られた曲率値に基づいてワイヤーハーネスの屈曲寿命を容易に計算できる。したがって、ワイヤーハーネスが断線に至るまでの屈曲回数をCAEで計算することができ、机上でワイヤーハーネスの寿命を容易に予測できる。
【0129】
そして、プロシージャファイルまたは計算用ファイルにおいて各種パラメータを予め様々な設計案について定義しておけば、その途中でのパラメータの修正が容易である。さらに予め多くのプロシージャファイルまたは計算用ファイルを作成し、これに基づいて寿命予測を行うことで、多くの寿命予測を行う際に便利である。
【0130】
また、請求項2に記載の発明によれば、会話型プリ/ポストプロセッサの使用について経験がなくても、容易に計算用ファイルを作成できる利点がある。
【0131】
請求項3に記載の発明によれば、曲率値計算工程において、計算処理が所定の処理量を経過しているか否かを判断し、計算処理が所定の処理量を経過した場合に、計算のどの段階で発散したのかを自動的に検索して、この検索結果に基づいて計算用ファイルを自動修正するので、有限要素モデルの計算途中で発散してしまい、ワイヤーハーネスの曲げ形状が正しく求められなかった場合でも、自動的に計算用ファイルを修正して、再度有限要素法解析により容易に計算できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】自動車の設計手順の全体的な概要を示すフローチャートである。
【図2】第1の実施の形態に係るワイヤーハーネス屈曲寿命予測方法の処理手順を示すブロック図である。
【図3】自動車のドア部分に使用されているワイヤーハーネスを示す側面図である。
【図4】屈曲寿命予測方法の一部を示すフローチャートである。
【図5】プロシージャの記載内容の例を示す図である。
【図6】屈曲寿命予測工程における曲率値計算工程を示すフローチャートである。
【図7】ドア閉状態である自動車のドアパネル及びボディパネルと電線束の中心線の各座標位置を特定した状態を示す図である。
【図8】ドア開状態である自動車のドアパネル及びボディパネルと電線束の中心線の各座標位置を特定した状態を示す図である。
【図9】電線の歪み変化量について説明するための図である。
【図10】電線束及びグロメットを示す断面図である。
【図11】電線束の中心線及び仮想パイプを示す断面図である。
【図12】電線束の中心線及び仮想パイプを仮想空間上に表示した様子を示す図である。
【図13】ドア及びボディを仮想空間上に表示した様子を示す図である。
【図14】電線束の中心線及び仮想パイプの形状をドア及びボディに適合させた状態を示す図である。
【図15】仮想パイプと電線束の中心線との位置関係を示す図である。
【図16】仮想パイプと電線束の中心線との位置関係を示す図である。
【図17】仮想パイプと電線束の中心線との位置関係を示す図である。
【図18】仮想パイプと電線束の中心線との位置関係を示す図である。
【図19】電線束の中心線及び仮想パイプをドア及びボディに併合した状態を示す図である。
【図20】電線束の屈曲寿命予測方法における予想寿命出力工程を示すフローチャートである。
【図21】マスターカーブを示す図である。
【図22】マスターカーブを温度毎に取得した状態を示す図である。
【図23】曲率値計算工程で算出した曲率半径に基づき導かれた歪み変化量を、予想寿命出力工程においてマスターカーブに当てはめた様子を示す図である。
【図24】電線束を分割して歪み変化量を解析する様子を示す図である。
【図25】屈曲寿命予測工程における曲率値計算工程を示すフローチャートである。
【図26】第2の実施の形態に係るワイヤーハーネス屈曲寿命予測方法の処理手順を示すブロック図である。
【図27】屈曲寿命予測工程における曲率値計算工程を示すフローチャートである。
【図28】従来のワイヤーハーネス屈曲寿命予測方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
F0 端末コンピュータ
F1 汎用有限要素法解析プログラム
F1 汎用有限要素法解析プログラム
F2 会話型プリ/ポストプロセッサ
F3(F3a〜F3e,…) プロシージャ
F4 メインコンピュータ
F6 専用アプリケーション
11,11a 仮想単線
2 グロメット
3 ドア
4 ドアパネル
5 ボディ
6 ボディパネル
8 中心線
9 仮想パイプ

Claims (4)

  1. 導体線を絶縁層にて被覆してなる電線を単数または複数本束ねて、所望の適用対象に配策するワイヤーハーネスの屈曲寿命を予測するワイヤーハーネス屈曲寿命予測方法であって、
    前記ワイヤーハーネスの少なくとも形状についての情報について、汎用有限要素法解析プログラムのための会話型プリ/ポストプロセッサに対して対話形式で入力されるべきコマンドライン及び各種パラメータを入力順序に沿って記載したプロシージャを、前記コマンドライン及び前記パラメータの少なくとも一方について変化させながら複数作成するプロシージャ作成工程と、
    前記プロシージャを前記会話型プリ/ポストプロセッサに与え、当該プロシージャに記載されている順序に沿って前記汎用有限要素法解析プログラムが前記ワイヤーハーネスの三次元形状モデルを作成し、当該三次元形状モデルが屈曲変化する場合の曲率値を有限要素法により求める曲率値計算工程と、
    前記曲率値に基づいて前記ワイヤーハーネスの屈曲予想寿命を得る予想寿命出力工程と
    を備えるワイヤーハーネス屈曲寿命予測方法。
  2. 導体線を絶縁層にて被覆してなる電線を単数または複数本束ねて、所望の適用対象に配策するワイヤーハーネスの屈曲寿命を予測するワイヤーハーネス屈曲寿命予測方法であって、
    前記ワイヤーハーネスの三次元形状モデルの作成及び屈曲寿命予測に必要な各種パラメータのみを汎用の表作成ソフトウェアプログラムを用いて入力しファイル化するパラメータ入力工程と、
    前記表作成ソフトウェアプログラムでファイル化した前記各種パラメータを専用アプリケーションに入力し、前記専用アプリケーションで個々の前記各種パラメータに対応するコマンドラインを付加して計算用ファイルを作成し、当該計算用ファイルを所定の汎用有限要素法解析プログラムに入力する自動コマンドライン付加工程と、
    前記計算用ファイルに基づいて前記汎用有限要素法解析プログラムが前記ワイヤーハーネスの三次元形状モデルを作成し、当該三次元形状モデルの曲率値を有限要素法により求める曲率値計算工程と、
    前記曲率値に基づいて前記ワイヤーハーネスの屈曲予想寿命を得る予想寿命出力工程と
    を備えるワイヤーハーネス屈曲寿命予測方法。
  3. 請求項2に記載のワイヤーハーネス屈曲寿命予測方法であって、
    前記汎用有限要素法解析プログラムを用いた前記曲率値計算工程が、
    計算処理が所定の処理量を経過しているか否かを判断し、計算処理が所定の処理量を経過した場合に、計算のどの段階で発散したのかを自動的に検索する工程と、
    検索結果に基づいて前記計算用ファイルを自動修正する工程と
    を備えるワイヤーハーネス屈曲寿命予測方法。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のワイヤーハーネス屈曲寿命予測方法であって、
    前記ワイヤーハーネスの曲率値計算工程において、ドアの開閉に伴うワイヤーハーネスの屈曲変化、または座席シート下またはエンジンルームに配索される場合に片側の固定点がスライド運動するのに伴ってなされるワイヤーハーネスの屈曲変化についての曲率値を求めることを特徴とするワイヤーハーネス屈曲寿命予測方法。
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