JP2014059621A - 解析装置、及び、解析方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】形状と実験結果・形状物のCAE結果の因果関係を定量的に蓄積し、データベース化して所定の物理量を伴う形状を素早く精度良く効率的に求める。
【解決手段】予め物理量が求められた複数の比較データと、該複数の比較データのそれぞれについて予め設定したベースデータとのSOMによる比較結果を格納した比較形状データベース12と、これら比較結果をSOMにより各複数の比較データの位置データを求めた第1のSOMマップ13と、複数の比較データの第1のSOMマップ13上での位置データと、複数の比較データの予め求められていた物理量とを結合してSOMにより形成した第2のSOMマップ14とを備え、第2のSOMマップ14を参照し、入力された物理量に対応する第1のSOMマップ13上での位置データを抽出し、第1のSOMマップ13を参照して該比較データの比較結果を基に特定の比較データを求める。
【選択図】図2

Description

本発明は、自己組織化写像(Self-organizing maps (SOM))を用いて、特に、3次元形状を解析する解析装置、及び、解析方法に関する。
近年、コンピュータの処理の高度化に伴い、その高度な演算処理能力を利用した様々な技術が提案されている。教師無し学習により入力データ群をそのデータ間の関係を保ったまま、任意の次元の競合層へと写像する自己組織化写像(Self-organizing maps (SOM))もそのような技術の一つである。この自己組織化写像の技術を利用したものとして、例えば、特開2007−48151号公報(以下、特許文献1)では、競合学習に基づいて写像面である対象曲面へ3次元物体メッシュモデルを写像するための写像方法が開示されている。対象曲面は、任意の3次元曲面であり、複数の制御点から構成されている。3次元物体メッシュモデルは、形状変形可能な三角メッシュモデル(SDM)であり、競合学習の手法を取り入れて、対象曲面の制御点に基づいて、SDMの頂点を移動させることにより、SDMの形状を変形させ、対象曲面の形状復元を行う第1のステップを有する。さらに、対象曲面の形状復元を目的としたエネルギ関数を定義し、定義されたエネルギ関数を最小化することによって、SDMの形状を更に変形させ、対象曲面の形状復元を更に高精度に行う第2のステップを有する。
特開2007−48151号公報
ところで、特定の物理量を有する形状、例えば、所定の圧力損失を伴う形状の管路形状を求めるような場合、熟練者による経験的な知識がその開発に大きく寄与することが多い。このような熟練者による経験的な知識をデータベース化しておくことにより、所定の物理量を伴う形状を素早く精度良く効率的に求めることが可能となる。このようなデータベースとしては、各部の寸法をパラメータとするケースが一般的であるが、対象とする物体と比較する物体との形状が大きく異なる場合は、比較するための寸法抽出が難しい場合がある。また、対象とする物体の形状に対し、比較する物体の形状に新たな寸法が追加されている場合には、各部の計測をし直す必要が生じてしまう。そこで、対象とする物体と比較する物体とをコンピュータで3Dデータに処理し、実験データやCAE(Computer Aided Engineering)と関連付けて比較することが望まれる。しかしながら、このように3Dデータ同士で形状の比較を行う場合、一般に、3Dデータはメッシュによりモデリングされるが、対象とする物体と比較する物体のメッシュサイズ、数、位置等が異なる場合には、単純に比較できないという問題がある。また、3D形状の空間的な補間を行うと、形状の相似性が保てず、座標にのみ依存した形状比較しかできないという課題もあり、データベース化が容易にできないという問題があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、形状と実験結果・形状物のCAE結果の因果関係を定量的に蓄積し、データベース化して所定の物理量を伴う形状を素早く精度良く効率的に求めることができる解析装置、及び、解析方法を提供することを目的としている。
本発明の一形態による解析装置は、教師無し学習により入力データ群をそのデータ間の関係を保ったまま、任意の次元の競合層へと写像する自己組織化写像を用いて解析を行う解析装置であって、予め所定の物理量が求められた複数の比較データと、該複数の比較データのそれぞれについて予め設定したベースデータと上記自己組織化写像により比較して求めた比較結果とを格納したデータベースと、上記複数の比較データの上記比較結果を上記自己組織化写像により予め設定した第1の一般グリッド上に投射して上記各複数の比較データの上記第1の一般グリッド上における位置データを求めた第1のマップと、上記複数の比較データの上記第1のマップ上での上記位置データと、上記複数の比較データの上記予め求められていた所定の物理量とを結合して入力データとして上記自己組織化写像により予め設定した第2の一般グリッド上に投射して形成した第2のマップと、上記データベースと上記第1のマップと上記第2のマップとに基づいて選択した物理量に対応する特定の比較データを求める演算手段とを備えている。
また、本発明の一形態による解析方法は、教師無し学習により入力データ群をそのデータ間の関係を保ったまま、任意の次元の競合層へと写像する自己組織化写像を用いて解析を行う解析方法であって、予め所定の物理量が求められた複数の比較データと、該複数の比較データのそれぞれについて予め設定したベースデータと上記自己組織化写像により比較して求めた比較結果とを格納したデータベースを作成する手順と、上記複数の比較データを上記自己組織化写像により予め設定した第1の一般グリッド上に投射して上記各複数の比較データの上記第1の一般グリッド上における位置データを求めた第1のマップを作成する手順と、上記複数の比較データの上記第1のマップ上での上記位置データと、上記複数の比較データの上記予め求められていた所定の物理量とを結合して入力データとして上記自己組織化写像により予め設定した第2の一般グリッド上に投射して形成した第2のマップを作成する手順と、上記データベースと上記第1のマップと上記第2のマップとに基づいて選択した物理量に対応する特定の比較データを求める手順とを備えている。
本発明による解析装置、及び、解析方法によれば、形状と実験結果・形状物のCAE結果の因果関係を定量的に蓄積し、データベース化して所定の物理量を伴う形状を素早く精度良く効率的に求めることが可能となる。
本発明の実施の一形態に係る、解析装置の概略構成図である。 本発明の実施の一形態に係る、解析装置の機能ブロックである。 本発明の実施の一形態に係る、形状比較解析プログラムのフローチャートである。 本発明の実施の一形態に係る、第1のSOMマップ設定プログラムのフローチャートである。 本発明の実施の一形態に係る、第2のSOMマップ設定プログラムのフローチャートである。 本発明の実施の一形態に係る、解析処理プログラムのフローチャートである。 本発明の実施の一形態に係る、自己組織化写像の原理の概略説明図である。 本発明の実施の一形態に係り、図8(a)はメッシュ化されたベース形状の側面図、図8(b)はメッシュ化された比較形状の側面図である。 本発明の実施の一形態に係り、図9(a)はメッシュ化されたベース形状の斜視図、図9(b)は図9(a)の9A部拡大図である。 本発明の実施の一形態に係り、図10(a)はメッシュ化された比較形状の斜視図、図10(b)は図10(a)の10A部拡大図である。 本発明の実施の一形態に係る、提示された一つの入力ベクトルに対する勝者ユニットの一例を示す説明図である。 本発明の実施の一形態に係る、提示された複数の入力ベクトルに対してそれぞれ勝者ユニットが決定した際の説明図である。 本発明の実施の一形態に係る、ベース形状に対して比較形状を自己組織化写像によってマッピングして形状差異を明らかにした結果の一例を示す説明図である。 本発明の実施の一形態に係る、比較形状が異なる場合の形状差異の結果を示し、図14(a)はRx=20mmのパイプの比較結果を示し、図14(b)はRx=30mmのパイプの比較結果を示し、図14(c)はRx=35mmのパイプの比較結果を示し、図14(d)はRx=40mmのパイプの比較結果を示す。 本発明の実施の一形態に係る、比較形状の入力ベクトル化処理の説明図である。 本発明の実施の一形態に係る、第1のSOM一般グリッドの一例を示す。 本発明の実施の一形態に係る、第1のSOMマップの説明図で、図17(a)は第1のSOMマップのX−Yの説明図を示し、図17(b)は第1のSOMマップに投影された所定の比較形状を第2のSOMマップを作成するために入力ベクトル化した説明図である。 本発明の実施の一形態に係る、第2のSOM一般グリッドの一例を示す。 本発明の実施の一形態に係る、圧力損失のコンターで示す第2のSOMマップの説明図である。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
本実施の形態では、所定の物理量として、例えば、圧力損失、質量を有する所定の形状を有するパイプを解析によって求める場合を例に説明するものであり、パーソナルコンピュータ等のコンピュータシステムにおいて後述する解析処理プログラムが実行されることによって行われる。
図1に示すように、解析装置であるPC1は、中央処理装置(以下、CPUと略称)と各種データ及びプログラムを記憶する記憶装置とを備えたコンピュータ本体2と、このコンピュータ本体2に接続された、キー入力装置であるキーボード3と、ポインティングデバイスであるマウス4と、表示装置であるモニタ5とを有して主要に構成されている。
すなわち、解析装置PC1は、後述の図6に示す解析処理プログラムに従って、選択した物理量(本実施の形態では圧力損失、質量)に対応する特定の比較データ(比較形状)を求めるもので、図2に示すように、入力部11と、比較形状データベース12と、第1のSOMマップ13と、第2のSOMマップ14と、演算部15と、出力部16とから主要に構成されている。
入力部11は、上述のキーボード3、マウス4であり、この入力部11により必要な物理量等が選択されて演算部16に入力される。
比較形状データベース12は、複数のメッシュ化して形成された形状データ(比較データ)が格納されている。また、複数の比較データの、それぞれのデータ毎に、予め圧力損失、質量等の物理量が実験やCAE解析により求められて格納されている。更に、複数の形状データのそれぞれについて、予め設定したベース形状(ベースデータ)と、後述の図3に示す形状比較解析プログラムに従って、自己組織化写像により比較して求めた比較結果(形状差)が格納されている。
第1のSOMマップ13は、後述する図4に示す第1のSOMマップ設定プログラムに従って、比較形状データベース12の複数の比較データの比較結果を自己組織化写像により予め設定した第1の一般グリッドSOM1bg上に投射して各複数の比較データの第1の一般グリッドSOM1bg上における位置データを求めた第1のマップとして設けられ、演算部15と接続されている。
第2のSOMマップ14、後述する図5に示す第2のSOMマップ設定プログラムに従って、複数の比較データの第1のSOMマップ13での位置データと、複数の比較データの予め求められていた圧力損失、質量等の物理量とを組み合わせて入力データとして自己組織化写像により予め設定した第2の一般グリッドSOM2bg上に投射して形成した第2のマップとして設けられ、演算部15と接続されている。
演算部15は、演算手段として設けられており、後述の図6に示す解析処理プログラムに従って、第2のSOMマップ14を参照し、入力部11から入力された圧力損失、質量等の選択された物理量に対応する第1のSOMマップ13上での位置データを抽出し、第1のSOMマップ13を参照し、抽出した位置データに対応する比較データの比較結果を抽出して、該比較データの比較結果を基に特定の比較データを求め、出力部16であるモニタ5に表示させる。
次に、この解析装置PC1に採用されている自己組織化写像(Self-organizing maps (SOM))の原理について、簡単に説明する。自己組織化写像とは、教師無し学習により入力データ群をそのデータ間の関係を保ったまま、任意の次元の競合層へと写像する技術である。例えば、図7(a)に示すように、各エレメントのデータ(ここでは、ベクトル(位置、方向)で表現される各エレメントで構成されるグリッド)を初期化する。次に、図7(b)に示すような、入力ベクトル(位置、方向)が提示されると、図7(c)に示すように、初期化された各エレメントのデータから、入力ベクトルに最も近いデータが検索され、勝者ユニットとして設定される。そして、全ての入力ベクトルについての勝者ユニットを検索した後、これら勝者ユニットをマッピングする。この際、図7(d)に示すように、予め設定した領域(図7(d)の例では勝者ユニットを中心とする半径rの領域)を学習処理して領域内のエレメントを勝者ユニットの値に近づける。
尚、一つの入力ベクトルに対し、何度もマッピング・学習を繰り返し、マップが変わらなくなったら、この入力ベクトルに対する処理を終了し、次に、他の入力ベクトルに対し、同様の処理を繰り返す方法を採用してもよい。
次に、比較形状データベース12に格納される比較結果を求める具体的な形状比較の例を、図3の形状比較解析プログラムのフローチャートで説明する。
まず、ステップ(以下、「S」と略称)101で、比較する基となるベース形状を読み込む。このベース形状は、コンピュータの記憶装置や、記憶メディアや、図示しない有線、無線で他の記憶装置等から読み込むもので、本実施の形態では、例えば、図8(a)、図9(a)に示すように、両端に相対する方向の半径40mmの曲げ部を有するパイプの3次元CAD(Computer-Aided Design)データを三角メッシュにより予めモデリングしたものである。
次に、S102に進み、上述のベース形状に対して比較する入力形状としての比較形状を読み込む。この比較形状もベース形状と同様、コンピュータの記憶装置や、記憶メディアや、図示しない有線、無線で他の記憶装置等から読み込むもので、本実施の形態では、例えば、図8(b)、図10(a)に示すように、両端に相対する方向の半径x(本実施の形態では、x=20mm、30mm、35mm、40mm)の曲げ部を有するパイプの3次元CADデータを三角メッシュにより予めモデリングしたものである。
次いで、S103に進み、ベース形状のメッシュでマップを初期化して、各エレメントに法線ベクトル(図9(b)参照)を設定する。
次に、S104に進み、比較形状のメッシュの各エレメントの形状パラメータ(図10(b)参照)を入力ベクトル(例:位置、法線ベクトル)として提示する。
次いで、S105に進み、図11に示すように、提示された比較形状の入力ベクトルに一番近いベース形状のメッシュ(ベースメッシュ)のベクトルのエレメントを勝者ユニットとして検索する。
そして、S106に進んで、図12に示すように、比較形状のメッシュの全エレメントについての勝者ユニットの検索が終了したら、S107に進んで、各勝者ユニットをマッピング処理してプログラムを抜ける。また、全エレメントについての勝者ユニットの検索が終了していないのであれば、S104からの処理を繰り返す。
ここで、マッピング処理とは、具体的には、図7(d)に示すように、勝者ユニットを中心とする半径rがベース形状のメッシュサイズ以内の領域の各ユニットに対して学習処理(勝者ユニットに近づける処理)して、比較形状による入力ベクトルとベース形状の勝者ユニットのベクトルとの位置の差を、周知のグラフィックソフトを用いて、モニタ5上に表示するものであり、例えば、色や等高線により差(距離の差)の大きさを表現する処理を行う。
上述の形状比較解析プログラムによる比較結果の一例を図14、図15に示す。
図14は、両端に相対する方向の半径40mmの曲げ部を有するパイプをベース形状として、両端に相対する方向の半径20mm(図14(a))、半径30mm(図14(b))、半径35mm(図14(c))、半径40mm(図14(d))の曲げ部を有するパイプを比較形状として比較した結果を示すものである。
比較形状のパイプの曲げ半径が20mm→30mm→35mm→40mmとなるに従って、パイプの全体形状は、ベース形状に一致していく。図14では、ベース形状と比較形状との寸法の差が等高線として明確に表現され、図14(a)では、等高線が曲げ部から広い範囲に亘って多く表現されて寸法差が大きいことが良く解る。そして、図14(b)、図14(c)となるに従って、等高線が存在する領域も狭くなり、等高線の数も少なくなり、寸法差が小さくなってることが良く解る。図14(d)では、等高線がなくなり、ベース形状と比較形状とが一致していることが明確に表現されている。
このように本発明の実施の形態によれば、 競合層として予めメッシュ化して設定した3次元のベース形状に対し、入力データ群として予めメッシュ化して設定した3次元の入力形状を自己組織化写像により投射して、該投射された入力形状によりベース形状と入力形状との形状差を認識する。このため、ベース形状と比較形状の寸法の抽出の様々な作業を行うことなく、3Dデータで、例え、互いのメッシュサイズ、数、位置等が異なる場合であっても、容易に精度良く認識することが可能となる。
尚、本実施の形状比較解析プログラムは、原理が解り易いように、両端に相対する方向の半径x(本実施の形態では、x=20mm、30mm、35mm、40mm)の曲げ部を有するパイプの3次元CADデータの比較結果を求める場合を例に説明しているが、他の半径xのパイプ、他の形状を有するパイプであっても同様にベースデータとの比較結果が求められる。
そして、複数の比較データについて、これら全ての比較データのベース形状との比較結果が、各比較データの形状と、それぞれの比較データについて予め実験、CAE解析により求められた圧力損失、質量等の物理量と共に、比較形状データベース12に格納されている。
次に、上述の第1のSOMマップ13の設定を、図4のフローチャートで説明する。
まず、S201では、比較形状データベース12に格納されている、それぞれの比較データの比較結果を入力ベクトルに処理する。具体的には、図15に示すように、比較データを構成するメッシュの各エレメントのベース形状との比較結果(本実施の形態では、位置、方向等の差異)を所定に格納し、一つの形状について一つの入力ベクトルを作成し、これを全ての形状について行う。例えば、比較形状のメッシュが10000個のエレメントから構成されているのであれば、これに対応した個数の次元の入力ベクトルが、比較形状データベース12に格納されている比較形状の個数分作成されることになる。
次いで、S202に進み、特定の比較形状の入力ベクトルを第1の一般グリッドSOM1bgに提示する。この第1の一般グリッドSOM1bgは、予め設定しておいた自己組織化写像における一般的なグリッドであり、例えば、図16に示すように、X軸−Y軸−Z軸の三次元座標で表現されるで示されるグリッドである。この第1の一般グリッドSOM1bgは、図7の自己組織化写像の説明では図7(a)に相当し、S202では、この第1の一般グリッドSOM1bgに、図7(b)に示すように、特定の比較形状の入力ベクトルを提示する処理となっている。
次に、S203に進み、図7(c)で説明したように、第1の一般グリッドSOM1bgから、S202で提示された入力ベクトルに最も近いデータが勝者ユニットして検索される。
次いで、S204に進んで、図7(d)で説明したように、勝者ユニットをマッピングし、学習処理してS205へと進む。
そして、S205に進むと、比較形状データベース12に格納されている全ての比較形状について、自己組織化写像による処理が終了したか判定され、終了していないのであれば、他の比較形状についてS202からの自己組織化写像による処理が実行される。こうして、全ての比較形状について、自己組織化写像による処理が終了したらS206に進み、全ての比較形状を投影したデータを第1のSOMマップ13として設定する。
この第1のSOMマップ13は、例えば、図17(a)に示すように、比較形状データベース12に格納されている全ての比較形状のデータを、X−Y平面(X−Y座標)上に表現するマップとなっている。これにより各形状が座標(X,Y)の2パラメータで表現できる。
次に、上述の第2のSOMマップ14の設定を、図5のフローチャートで説明する。
まず、S301で、第1のSOMマップ13で表現された各比較形状に物理量を関連付けて入力ベクトル化処理する。具体的には、図17(b)に示すように、各比較形状に与えられた第1のSOMマップ13上における位置情報(本実施の形態では、(X−Y座標))に、予め実験やCAE解析により求められ、格納されている圧力損失P、質量G等の物理量を結合させて入力ベクトルとする。図17(b)の入力ベクトルの例では、上から順に、X座標、Y座標の位置情報と、圧力損失P、質量Gの物理量が結合されて4次元の入力ベクトルが形成されている。
次いで、S302に進むと、S301で形成した特定の比較形状の入力ベクトルを第2の一般グリッドSOM2bgに提示する。この第2の一般グリッドSOM2bgは、予め設定しておいた自己組織化写像における一般的なグリッドであり、例えば、図18に示すように、L軸−M軸−N軸の三次元座標で表現されるで示されるグリッドである。ここで、第2の一般グリッドSOM2bgのN軸方向の要素は、S302で作成される入力ベクトルが4次元(X座標、Y座標の位置情報と、圧力損失P、質量G)であるため、これに対応して4つの要素で構成される。この第2の一般グリッドSOM2bgは、図7の自己組織化写像の説明では図7(a)に相当し、S302では、この第2の一般グリッドSOM2bgに、図7(b)に示すように、特定の比較形状の入力ベクトルを提示する処理となっている。
次に、S303に進み、図7(c)で説明したように、第2の一般グリッドSOM2bgから、S302で提示された入力ベクトルに最も近いデータが勝者ユニットして検索される。
次いで、S304に進んで、図7(d)で説明したように、勝者ユニットをマッピングし、学習処理してS305へと進む。
そして、S305に進むと、比較形状データベース12に格納されている全ての比較形状について、自己組織化写像による処理が終了したか判定され、終了していないのであれば、他の比較形状についてS302からの自己組織化写像による処理が実行される。こうして、全ての比較形状について、自己組織化写像による処理が終了したらS306に進み、全ての比較形状を投影したデータを第2のSOMマップ14として設定する。
この第2のSOMマップ14は、例えば、図19に示すように、比較形状データベース12に格納されている全ての比較形状のデータを、その物理量(本実施の形態では圧力損失P、質量G)を関連付けてマップ化した図となっている。尚、図19では、第2のSOMマップ14のL−M平面上に圧力損失Pのコンターを表示したものである。
次に、演算部15で実行される解析処理の一例を、図6のフローチャートで説明する。 まず、S401では、必要な物理量を選択する。本実施の形態では、例えば、圧力損失P=700Pa、質量G=600gを選択し、以降これらの条件を満たす形状を求めるとする。
次いで、S402に進み、例えば図19に示す、第2のSOMマップ14のL−M平面上の圧力損失の状態を参照し、選定した物理量(本発明の実施の形態では圧力損失P=700Pa、質量G=600g)に該当する点Pcを抽出する。そして、この点Pcに格納されているX座標、Y座標の位置パラメータを抽出する。
次に、S403に進んで、例えば図17(a)に示す、第1のSOMマップ13を参照し、S402で抽出した位置パラメータを参照して、この位置パラメータに格納されている対応する形状(例えば図15に示すような、ベース形状との比較結果(本実施の形態では、位置、方向等の差異)を所定に格納した情報を抽出する。
そして、S404に進み、抽出した形状を逆変換し、表示・処理してプログラムを終える。
この演算部15で実行される解析処理からも明らかなように、本願を用いることにより、以下のような解析を行うことも可能となる。
例えば、図19に示す、第2のSOMマップ14のL−M平面上の圧力損失の状態で、PLの部分が圧力損失Pの低い形状の集合している部分であるとする。これら圧力損失Pの低い形状の集合している部分の位置パラメータを抽出し、図17(a)に示す、第1のSOMマップ13のどの部分に位置するかその傾向を抽出する。そして、これら部位に存在する比較データの形状を抽出することにより、どのような比較データの形状とすれば、圧力損失Pの低い形状とすることができるか予測解析できる。
このように本発明の実施の形態によれば、予め所定の物理量が求められた複数の比較データと、該複数の比較データのそれぞれについて予め設定したベースデータと自己組織化写像により比較して求めた比較結果とを格納した比較形状データベース12と、複数の比較データの比較結果を自己組織化写像により予め設定した第1の一般グリッドSOM1bg上に投射して各複数の比較データの第1の一般グリッドSOM1bg上における位置データを求めた第1のSOMマップ13と、複数の比較データの第1のSOMマップ13上での位置データと、複数の比較データの予め求められていた所定の物理量とを結合して入力データとして自己組織化写像により予め設定した第2の一般グリッドSOM2bg上に投射して形成した第2のSOMマップ14とを備え、第2のSOMマップ14を参照し、入力部11から入力された圧力損失、質量等の選択された物理量に対応する第1のSOMマップ13上での位置データを抽出し、第1のSOMマップ13を参照し、抽出した位置データに対応する比較データの比較結果を抽出して、該比較データの比較結果を基に特定の比較データを求め出力する。このため、形状と実験結果・形状物のCAE結果の因果関係を定量的に蓄積し、データベース化して所定の物理量を伴う形状を素早く精度良く効率的に求めることが可能となる。
また、
尚、本発明の実施の形態では、形状差を認識する例としてパイプの形状差を認識する場合を例に説明したが、パイプの形状差に限ることなく、他の、例えば、板金部品等の形状差や、車両全体の形状差等の、より複雑な形状の形状差等を認識する場合においても本発明が適用できることは云うまでもない。そして、ベース形状に比較形状との差をマッピングする工程(図3のS107)において、形状差ではなく比較形状の入力ベクトル(例:位置、法線ベクトル)をマッピングして利用することも当然可能である。これは、マッピングされている入力ベクトルが異なるだけで、SOMのグリッドとなるベース形状との形状差を利用していることに他ならない。また、形状差を一般グリッドに投影する工程において、投影先は、一般2次元グリッドである必要はなく、3次元以上の多次元グリッドでも可能である。
また、本発明の実施の形態では、ベースデータに対する比較データの形状差を比較結果として例示したが、形状差に限定すること無く、例えば、他の温度差、圧力差等であっても本願が適用できることは云うまでもない。
更に、本発明の実施の形態では、物理量として圧力損失と質量を例示したが、どちらか一つ、或いは、他の物理量(例えば、応力、耐久力等)の一つ、或いは、これら物理量の複数個の組み合わせであっても本願は適用できる。
11 入力部
12 比較形状データベース
13 第1のSOMマップ(第1のマップ)
14 第2のSOMマップ(第2のマップ)
15 演算部(演算手段)
16 出力部
PC1 解析装置

Claims (6)

  1. 教師無し学習により入力データ群をそのデータ間の関係を保ったまま、任意の次元の競合層へと写像する自己組織化写像を用いて解析を行う解析装置であって、
    予め所定の物理量が求められた複数の比較データと、該複数の比較データのそれぞれについて予め設定したベースデータと上記自己組織化写像により比較して求めた比較結果とを格納したデータベースと、
    上記複数の比較データの上記比較結果を上記自己組織化写像により予め設定した第1の一般グリッド上に投射して上記各複数の比較データの上記第1の一般グリッド上における位置データを求めた第1のマップと、
    上記複数の比較データの上記第1のマップ上での上記位置データと、上記複数の比較データの上記予め求められていた所定の物理量とを結合して入力データとして上記自己組織化写像により予め設定した第2の一般グリッド上に投射して形成した第2のマップと、
    上記データベースと上記第1のマップと上記第2のマップとに基づいて選択した物理量に対応する特定の比較データを求める演算手段とを備えたことを特徴とする解析装置
  2. 上記演算手段は、上記第2のマップを参照し、上記選択した物理量に対応する上記第1のマップ上での位置データを抽出し、上記第1のマップを参照し、上記抽出した位置データに対応する比較データの比較結果を抽出して、該比較データの比較結果を基に上記特定の比較データを求めることを特徴とする請求項1記載の解析装置。
  3. 上記データベースにおける上記比較データは、予めメッシュ化して設定した形状データであり、上記ベースデータは、予めメッシュ化して設定した形状データであり、上記比較結果は、上記比較データと上記ベースデータとの形状差であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の解析装置。
  4. 教師無し学習により入力データ群をそのデータ間の関係を保ったまま、任意の次元の競合層へと写像する自己組織化写像を用いて解析を行う解析方法であって、
    予め所定の物理量が求められた複数の比較データと、該複数の比較データのそれぞれについて予め設定したベースデータと上記自己組織化写像により比較して求めた比較結果とを格納したデータベースを作成する手順と、
    上記複数の比較データを上記自己組織化写像により予め設定した第1の一般グリッド上に投射して上記各複数の比較データの上記第1の一般グリッド上における位置データを求めた第1のマップを作成する手順と、
    上記複数の比較データの上記第1のマップ上での上記位置データと、上記複数の比較データの上記予め求められていた所定の物理量とを結合して入力データとして上記自己組織化写像により予め設定した第2の一般グリッド上に投射して形成した第2のマップを作成する手順と、
    上記データベースと上記第1のマップと上記第2のマップとに基づいて選択した物理量に対応する特定の比較データを求める手順とを備えたことを特徴とする解析方法。
  5. 上記選択した物理量に対応する特定の比較データを求める手順は、上記第2のマップを参照し、上記選択した物理量に対応する上記第1のマップ上での位置データを抽出し、上記第1のマップを参照し、上記抽出した位置データに対応する比較データの比較結果を抽出して、該比較データの比較結果を基に上記特定の比較データを求めることを特徴とする請求項4記載の解析方法。
  6. 上記データベースにおける上記比較データは、予めメッシュ化して設定した形状データであり、上記ベースデータは、予めメッシュ化して設定した形状データであり、上記比較結果は、上記比較データと上記ベースデータとの形状差であることを特徴とする請求項4又は請求項5記載の解析方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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