JP4483010B2 - 電力増幅器用保護回路 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般に、電力増幅器の保護回路に関し、特に、スピーカを駆動する相補型トランジスタを用いた電力増幅器の保護回路に関する。詳しくは、相補型トランジスタの間に接続された抵抗器に得られる両端電圧を検出して、負荷の異常状態を検出する構成とすることによって、異常状態の検出感度を高めると共に出力歪を改善したものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から種々の形式の電力増幅器が提案されており、その1つは、スピーカなどの負荷を駆動するために、相補型トランジスタを用いた電力増幅器である。図2を参照して、かかる電力増幅器の従来技術を説明する。差動オーディオ入力信号又はシングル・エンド・オーディオ入力信号が入力端子10及び12に供給される。なお、シングル・エンド信号の場合は、入力端子10及び12の一方が基準電圧源(例えば、接地)に結合される。これら入力端子10及び12は、エミッタが共通接続されたPNP型トランジスタ14及び16のベースに夫々結合される。これらトランジスタ14及び16のエミッタは、定電流源として作用する大抵抗の抵抗器18を介して、正電圧源+Bに結合される。また、トランジスタ14及び16のコレクタは、負荷として作用する電流ミラー回路20を介して負電圧−Bに結合される。
【0003】
電流ミラー回路20は、コレクタがトランジスタ14のコレクタに結合されたNPN型トランジスタ22と、コレクタがトランジスタ16のコレクタに結合され、ベースがトランジスタ22のベースに結合され、ダイオードとして機能するように接続されたNPN型トランジスタ24と、トランジスタ22及び24のエミッタ並びに負電圧源−Bの間に夫々結合された抵抗器26及び28を具えている。これらトランジスタ14及び16、抵抗器18及び電流ミラー回路20は、従来の差動増幅器29を構成する。
【0004】
トランジスタ14のコレクタは、エミッタ接地型NPN型トランジスタ30のベースに結合され、このトランジスタ30のエミッタは、抵抗器32を介して負電圧源−Bに結合される。トランジスタ30のコレクタは、抵抗器34及び36、ダイオード38、抵抗器40及び42の直列回路を介して正電圧源+Bに結合される。この直列回路は、トランジスタ30のエミッタ接地増幅器の負荷となる。よって、この直列回路の主要抵抗が抵抗器40及び42の場合、即ち、抵抗器40及び42の値が抵抗器34及び36よりも非常に大きい場合、抵抗器40及び抵抗器42の抵抗値の和をRLとし、抵抗器32の抵抗値をREとすると、トランジスタ30のエミッタ接地増幅器の増幅率は、約RL/REとなる。
【0005】
NPN型トランジスタ44のコレクタは、抵抗器36とダイオード38の共通接続点の上端に結合され、そのベースは、抵抗器34及び36の共通接続点に結合され、そのエミッタは、抵抗器34とトランジスタ30のコレクタとの共通接続点に結合される。通常動作時は、トランジスタ44が導通状態であり、そのエミッタ及びコレクタ間の飽和電圧が略一定である。よって、トランジスタ44のコレクタ及びエミッタには、増幅された入力信号であって、互いにオフセットされた信号が得られる。周波数特性改善用のコンデンサ46が、必要に応じて、トランジスタ30のコレクタ及びベース間に結合される。なお、トランジスタ48,54の前段、即ち、差動増幅器29、エミッタ接地トランジスタ30、トランジスタ44などが入力手段を構成する。
【0006】
トランジスタ44のコレクタは、NPN型トランジスタ48のベースに結合され、トランジスタ44のエミッタは、PNP型トランジスタ54のベースに結合される。これらトランジスタ48及び54は、電力増幅器の電力に応じて、必要ならば、ダーリントン接続のトランジスタでもよい。図示の場合、トランジスタ48は、トランジスタ50及び52のダーリントン接続で構成され、トランジスタ54は、トランジスタ56及び58のダーリントン接続で構成される。トランジスタ48のコレクタは、正電圧源+Bに結合され、トランジスタ54のコレクタは、負電圧源−Bに結合される。なお、トランジスタ54のコレクタ及び負電圧源−Bの間には、抵抗器60が接続されているが、この抵抗器の作用は、後述する。
【0007】
トランジスタ48及び54のエミッタ間には、後述の理由で抵抗器62を挿入する。トランジスタ56のエミッタと、抵抗器40及び42の共通接続点との間に、ブートストラップ用のオフセット電圧源として作用するコンデンサ64を挿入する。負荷としてのスピーカ66は、トランジスタ54のエミッタと接地との間に挿入する。抵抗器60を除いた上述の構成が、出力段に相補型トランジスタ(NPN型及びPNP型トランジスタをプッシュプル接続した構成)を用いたブートストラップ型電力増幅器である。
【0008】
かかるブートストラップ型電力増幅器は、次のように動作する。入力端子10及び12の間に供給された入力信号は、差動増幅器29により増幅される。この差動増幅器29の出力信号は、エミッタ接地型トランジスタ30により更に増幅される。この際、ダイオード38はオンである。抵抗器34及び36並びにトランジスタ44から構成されたオフセット回路は、エミッタ接地型トランジスタ30の出力信号をオフセットした2つの出力信号として、夫々トランジスタ48及び54のベースに供給する。ここまでが、入力手段の動作である。これらトランジスタ48及び54は、相補型であるため、トランジスタ30の出力電圧が上昇すると、トランジスタ48のエミッタ電流が増加し、トランジスタ54の出力電流が減少する。よって、トランジスタ48のエミッタからスピーカ66に電流が流れ込む。また、トランジスタ30の出力電圧が下降すると、トランジスタ48のエミッタ電流が減少し、トランジスタ54の出力電流が増加する。よって、スピーカ66からトランジスタ54に電流が流れ込む。よって、スピーカ66に対する電力増幅を行う。
【0009】
また、オフセット電圧源として作用するコンデンサ64が設けられているため、抵抗器40及び42の共通接続点の電圧がトランジスタ54のエミッタ電圧に追従して、入力信号の振幅に関わらず、最適なバイアスがトランジスタ48及び54に供給されて、大振幅に対しても歪みの少ない広ダイナミック・レンジの電力増幅器として動作する。ところで、トランジスタ48及び54には、常に、縦電流(トランジスタ48のコレクタ・エミッタ間からトランジスタ54のエミッタ・コレクタ間に流れる電流)が流れているため、この縦電流が大きいと、トランジスタ48及び54に熱暴走が生じて、これらトランジスタを破壊する虞がある。この熱暴走を防止するために、トランジスタ48及び54のエミッタ間に、例えば、0.15オーム又は0.22オーム程度の抵抗器62を挿入する必要がある。
【0010】
負荷であるスピーカ66が短絡した場合、電力増幅器の最終段であるトランジスタ48及び54に過大電流が流れ、これらトランジスタを破壊する虞がある。そこで、トランジスタ54のコレクタ側に電流検出用抵抗器60を設ける。この抵抗器60の両端間の電圧が所定値に達したとき、トランジスタ54に過大電流が流れていることになる。この過大電流に達すると、保持回路68が、この状態を検出し、検出状態を保持して、過大電流検出信号(制御信号)を発生する。
【0011】
保持回路68は、抵抗器70を介してトランジスタ54のコレクタ電圧をベースに受けるNPN型トランジスタ72と、このトランジスタ72のコレクタ及び正電圧源+の間に挿入された抵抗器74及び76の直列回路と、エミッタが正電圧源+に結合され、ベースが抵抗器74及び76の共通接続点に結合されたPNP型トランジスタ78と、このトランジスタ78のコレクタ及びトランジスタ72のエミッタ間に結合された抵抗器80及び82の直列回路とから構成されている。トランジスタ72のベースは、抵抗器80及び82の共通接続点に結合されている。トランジスタ72のエミッタは、負電圧源−Bに結合される。
【0012】
スピーカ66の短絡により、抵抗器60に過大電流が流れると、トランジスタ72のベース電圧が上昇し、トランジスタ72がオフからオンに変化する。よって、トランジスタ72にコレクタ電流が流れるため、トランジスタ78のベース電圧が下降する。すると、トランジスタ78からオフからオンになり、そのコレクタ電流が抵抗器80及び82を介して流れる。したがって、1度、過大電流によりトランジスタ72のベース電圧が上昇すると、過大電流がなくなっても、トランジスタ72は、オンを維持する。すなわち、抵抗器60により過大電流を検出すると、トランジスタ72のコレクタ電圧、即ち、保護制御信号が高レベルから低レベルに変化する。
【0013】
抵抗器40及びダイオード38の共通接続点と、トランジスタ72のコレクタとの間には、ダイオード84が挿入されている。過大電流が検出されないときは、トランジスタ72のコレクタ電圧(制御信号)が高レベルであるため、ダイオード84がオフであり、増幅器の通常動作に影響しない。しかし、過大電流が検出されて、トランジスタ72のコレクタ電圧が低レベルになると、ダイオード84がオンになり、ダイオード38がオフになる。よって、トランジスタ30が出力信号を発生せず、トランジスタ48及び54が逆バイアスされるため、電力増幅器は、動作を停止する。したがって、過大電流を検出すると、この電力増幅器を保護できる。一方、トランジスタ72のコレクタ電圧の低レベルは、ダイオード86及び抵抗器88を介して、図示の電力増幅器を用いるシステム全体の制御手段(図示せず)であるマイコン(MCU)に過大電流の検出を知らせる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述の従来の電力増幅器用保護回路では、負側の電力トランジスタ54の方に過大電流検出抵抗器60を挿入したため、PNP型トランジスタ54のコレクタ・エミッタ間電圧VCEが低いときに、トランジスタ54のhfeの低下により、負側のVCEの飽和電圧が大きくなり、不利であった。よって、電流検出用抵抗器60を設けたため、スピーカ66対して最大振幅が制限された。すなわち、電力増幅器のダイナミック・レンジが低下し、大振幅の入力信号を増幅する際に、出力信号に歪みが生じた。
【0015】
また、電力増幅器の通常動作を確保するために、検出する過大電流は、最大信号振幅時におけるスピーカ66の短絡を想定して、過大電流検出のための値(例えば、抵抗器60の値)を設定していた。すなわち、小信号振幅時におけるスピーカ66の短絡を想定して、過大電流検出のための値を設定すると、正常動作でありながら通常の信号電流に対して大電流が流れた場合と、スピーカの短絡でありながらスピーカの短絡にしては小電流が流れた場合とを区別できなくなるためである。よって、従来の電力増幅器用保護回路では、小信号振幅出力時のスピーカの短絡を検出できなかった。これにより、抵抗器60の値を小さくすると、出力信号の歪みが低下するが、過大電流の検出感度が低下し、一方、抵抗器60の値を大きくすると、過大電流の検出感度が上がるが、出力信号の歪みが増えるという課題が生じた。さらに、保護回路がなければ不要である抵抗器60をトランジスタ54のコレクタ側に接続しているため、電力増幅器に対して余分な素子が必要となった。
【0016】
したがって、本発明の目的は、電力増幅器のダイナミック・レンジを犠牲にすることなく、大振幅の入力信号を増幅する際に出力信号に歪みを生じることがない電力増幅器用保護回路の提供にある。
本発明の他の目的は、過大電流検出感度の改善された電力増幅器用保護回路の提供にある。
本発明の更に他の目的は、電力増幅器自体に余分な素子を追加することなく電力増幅器の過大電流を検出して保護する電力増幅器用保護回路の提供にある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明の保護回路が保護する電力増幅器は、図1にその一実施の形態を示すように、コレクタが正電圧源+Bに結合されたNPN型の第1トランジスタ48と、このNPN型の第1トランジスタのエミッタに一端に結合された第1抵抗器62と、エミッタが第1抵抗器62の他端に結合され、コレクタが負電圧源−Bに結合されたPNP型の第2トランジスタ54と、第1及び第2トランジスタのベースの各々にオフセットされた入力信号を供給するミラー回路20を備えた入力手段29および他の入力手段30,44と、第2トランジスタ54のエミッタに結合された負荷66とを具えている。
【0018】
また、本発明の電力増幅器用保護回路は、第1抵抗器62の両端にエミッタ及びベースが夫々結合され、第1抵抗器を流れる電流が所定値以上になったときに出力状態を変化させる第3トランジスタ98と;この第3トランジスタの出力状態の変化を保持し、電力増幅器を保護する制御信号を発生する保持回路68とを具えている。
【0019】
また、本発明の保護回路が保護する電力増幅器は、第2トランジスタ54のエミッタ及び入力手段間に結合されたコンデンサ64を有するブートストラップ増幅器であり、第1及び第2トランジスタの各々は、ダーリントン接続されたトランジスタである。また、負荷は、スピーカ66である。さらに、本発明の保護回路は、第1抵抗器62の第1トランジスタ48側の端子及び第1抵抗器62の第2トランジスタ54側の端子の間に接続された第2及び第3抵抗器90,92の直列回路と、第1抵抗器62の第1トランジスタ48側の端子及び所定電圧源(接地)の間に接続された第4及び第5抵抗器94,104の直列回路とを更に具え、第3トランジスタ98のベースが第2及び第3抵抗器90,92の共通接続点に結合され、第3トランジスタ98のエミッタが第4及び第5抵抗器94,104の共通接続点に結合され、第3トランジスタ98のコレクタから制御信号を得ている。さらに、本発明では、保持回路68の出力信号を入力手段(30,44)に供給して、第1及び第2トランジスタ48,54を逆バイアスにする。
【0020】
本発明では、電力増幅器のNPN型の第1トランジスタ48のエミッタと、PNP型の第2トランジスタ54のエミッタとの間に挿入した熱暴走防止用抵抗器62を過大電流検出用抵抗器としても使用している。よって、第2トランジスタ54のコレクタ側に、特別に過大電流検出用抵抗器を設ける必要がない。したがって、電力増幅器のダイナミック・レンジを犠牲にすることなく、大振幅の入力信号を増幅する際に出力信号に歪みを生じることがない。また、電力増幅器自体に余分な素子を追加する必要がなくなる。さらに、抵抗器62の両端間の電圧が所定値(過大電流値に対応)になったことを検出するトランジスタ98には、バイアス用として抵抗器90,92,94,104が設けられている。これら抵抗器の値を適切に選択することにより、通常動作状態の時に、トランジスタ98に逆バイアスがかかり、大信号時でもトランジスタ98はオンしないが、スピーカ66が短絡した場合は、小信号時でもトランジスタ98がオンして、過大電流を検出できる。よって、過大電流検出感度を改善できる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図1を参照して、本発明の好適実施例を説明する。なお、図1及び図2において、同じ素子を同じ参照符号で示す。また、差動増幅器29と、エミッタ接地型トランジスタ30と、相補型トランジスタを用いた出力段と、保持回路68との構成は、図2の従来構成と略同じなので、これらの詳細説明は省略する。なお、出力段において、本発明は、図2の従来回路では必要であった電流検出用抵抗器60が必要なく、トランジスタ54のコレクタが負電圧源−Bに直接結合されている点に留意されたい。よって、電力増幅器のダイナミック・レンジを犠牲にすることなく、大振幅の入力信号を増幅する際に出力信号に歪みを生じることがない。
【0022】
熱暴走防止用抵抗器62は、2個の抵抗器62−1及び62−2を並列接続しているが、これは、図2に示すように1個の抵抗器でもよい。しかし、2個の抵抗器62−1及び62−2を並列接続することにより、安価な小電力用抵抗器を用いて大電力用抵抗器として作用させることが可能である。なお、本明細書では、これら2個の抵抗器62−1及び62−2の並列接続を、総称して抵抗器62と呼ぶ。本発明では、抵抗器62を、熱暴走防止用抵抗器と、電流検出用抵抗器の両方に兼用して、従来必要であった電流検出専用の抵抗器を省略した点に特徴がある。
【0023】
本発明では、抵抗器62の両端間に抵抗器90及び92の直列回路を結合する。トランジスタ48のエミッタ及び接地(基準電位)間に、抵抗器94及び104の直列接続を挿入する。トランジスタ98のエミッタを抵抗器94及び104の共通接続点に結合し、そのベースを抵抗器90及び92の共通接続点に結合し、そのコレクタを抵抗器70を介して保持回路68のトランジスタ72のベースに結合する。トランジスタ98のベース及びエミッタ間に位相補償用コンデンサ96を結合する。抵抗器100及びダイオード102の直列回路を抵抗器104に並列に結合する。ダイオード102のため、トランジスタ98のエミッタ及び接地間の抵抗値は、接地方向への電流に対して小さくなる。
【0024】
好適実施例において、正電圧源+Bは、57ボルトであり、負電圧源−Bは、−57ボルトである。また、抵抗器62、即ち、抵抗器62−1及び62−2の並列回路の値は、0.22オームである。抵抗器90は1キロオームであり、抵抗器92は1.2キロオームであり、抵抗器94は100オームであり、抵抗器100及び104は15キロオームである。抵抗器90及び92の値が、抵抗器62の値よりも非常に大きい点に留意されたい。
【0025】
正常動作時に、スピーカ66に流れ込む電流は、トランジスタ48のエミッタから抵抗器62及びスピーカ66を介して接地に流れる。この際、わずかな電流がトランジスタ48のエミッタから、抵抗器90及び92を介して流れると共に、抵抗器94,100及び104を介して接地にも流れる。よって、抵抗器90のトランジスタ98のベース側の電圧に対してトランジスタ48のエミッタ側の電圧が高い。また抵抗器94のトランジスタ98のエミッタ側の電圧に対してトランジスタ48のエミッタ側の電圧が高い。よって、正常動作時に、抵抗器90の電圧降下と抵抗器94の電圧降下とが略等しくなるように各素子の値を設定すれば、信号電流が大きくても、トランジスタ98のベース・エミッタ間電圧が略ゼロになるため、トランジスタ98は、オフを維持する。これは、正常動作時において、大振幅信号の増幅によって、抵抗器62に流れる電流が大きくなっても、抵抗器94の電圧降下による逆バイアスのため、トランジスタ98がオンしにくいことを意味する。よって、正常動作時には、抵抗器62及びトランジスタ98による電圧検出感度が低いことになる。
【0026】
トランジスタ98がオフであると、保持回路68のトランジスタ72は、オフのため、トランジスタ72のコレクタ電圧(制御信号)が高レベルで、ダイオード84をオフに維持するので、電力増幅器は、その動作を影響されない。
【0027】
スピーカ66が短絡した場合、負荷の値がある有限の値からゼロになるため、トランジスタ48のエミッタから抵抗器94を介して接地に流れる電流よりも、トランジスタ48のエミッタから抵抗器90及び92に流れる電流の方が多くなる。よって、抵抗器90の電圧降下が抵抗器94の電圧降下よりも高くなり、トランジスタ98をより一層順バイアスし易くなる。これは、通常動作の場合よりも、スピーカ66が短絡した場合の方が、トランジスタ98がオンになり易いことを意味する。すなわち、スピーカ66が短絡した場合に、過大電流の検出感度が高くなったことになる。
【0028】
スピーカ66が短絡して、所定値以上の電流が流れると、好感度状態のトランジスタ98がオンして、トランジスタ72のベース電圧を上昇させる。よって、トランジスタ72がオンして、図2を参照して上述したように、低レベルの制御信号がダイオード84をオンさせ、電力増幅器の最終段のトランジスタ48及び54をオフにして、過大電流によるトランジスタの破損を防止する。また、低レベルの制御信号は、ダイオード86及び抵抗器88を介して、システム全体の制御手段であるマイコン(図示せず)にも供給される。
【0029】
上述のように、本発明では、正常動作時には、抵抗器94に発生する大きな逆バイアスのために、トランジスタ98がオンする感度が下がる。しかし、負荷であるスピーカ66が短絡したときには、抵抗器94に発生する逆バイアスが小さくなるために、トランジスタ98がオンする感度が上がる。よって、正常動作時には、大振幅の信号を誤って過大電流として検出することがなく、また、スピーカ66の短絡時は、電流検出感度が高くなる。なお、この感度の変化は、抵抗器90,92,94,100及び104の設定により調整でき、一例が上述の各値である。
【0030】
本発明の好適実施例について上述したが、本発明の要旨を逸脱することなく種々の変形変更が可能である。例えば、通常動作時と負荷短絡時とで電流検出感度を変える必要がない場合は、抵抗器62の電圧降下をトランジスタ98が直接検出してもよい。この場合でも、電力増幅器の出力信号の歪みを低減できる。トランジスタ98は、コレクタ及びベースの接続位置やバイアス電圧を考慮すれば、NPN型トランジスタでもよい。抵抗器100及びダイオード102は、必要に応じて省略してもよい。また、保持回路68に、集積回路で構成した市販のラッチ回路を使用してもよい。
【0031】
【発明の効果】
上述の如く、本発明によれば、電力増幅器のダイナミック・レンジを犠牲にすることなく、大振幅の入力信号を増幅する際に出力信号に歪みを生じることがない。また、負荷が短絡時の電流検出感度を通常動作時の電流検出感度よりも高くして、過大電流検出感度を改善できる。さらに、電力増幅器自体に、電流を検出するための余分な素子を追加する必要がない。
【図面の簡単な説明】
【図1】電力増幅器と、本発明の好適実施例による保護回路との組み合わせを示す回路図である。
【図2】電力増幅器と、従来の保護回路との組み合わせを示す回路図である。
【符号の説明】
20 電流ミラー
29 差動増幅器
30 エミッタ接地型トランジスタ
48 NPN型トランジスタ
54 PNP型トランジスタ
62 熱暴走防止及び電流検出用抵抗器
68 保持回路
98 過大電流検出用トランジスタ
Claims (5)
- コレクタが正電圧源に結合されたNPN型の第1トランジスタと、
該NPN型の第1トランジスタのエミッタに一端に結合された第1抵抗器と、
エミッタが上記第1抵抗器の他端に結合され、コレクタが負電圧源に結合されたPNP型の第2トランジスタと、
上記第1トランジスタ及び上記第2トランジスタのベースの各々にオフセットされた入力信号を供給する入力手段と、
上記第2トランジスタのエミッタに結合された負荷とを具えた電力増幅器と、
上記第1抵抗器の両端にエミッタ及びベースが夫々結合され、上記第1抵抗器を流れる電流が所定値以上になったときに出力状態を変化させる第3トランジスタと、
該第3トランジスタの上記出力状態の変化を保持し、上記電力増幅器を保護する制御信号を発生する保持回路と、
上記第1抵抗器の上記第1トランジスタ側端子及び上記第1抵抗器の上記第2トランジスタ側端子の間に接続された第2及び第3抵抗器の直列回路と、
上記第1抵抗器の上記第1トランジスタ側端子及び所定電圧源の間に接続された第4及び第5抵抗器の直列回路とを具え、
上記第3トランジスタのベースが上記第2及び第3抵抗器の共通接続点に結合され、上記第3トランジスタのエミッタが上記第4及び第5抵抗器の共通接続点に結合され、上記第3トランジスタのコレクタから出力信号を得る
電力増幅器用保護回路。 - 上記保持回路からの制御信号を上記入力手段に供給して、上記第1及び第2トランジスタを逆バイアスにする請求項1の電力増幅器用保護回路。
- 上記電力増幅器は、上記第2トランジスタのエミッタ及び上記入力手段間に結合されたコンデンサを有するブートストラップ増幅器である請求項1の電力増幅器用保護回路。
- 上記第1及び第2トランジスタの各々は、ダーリントン接続されたトランジスタである請求項3の電力増幅器用保護回路。
- 上記負荷は、スピーカである請求項4の電力増幅器用保護回路。
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