JP4482511B2 - アルミニウム基複合材の製造方法 - Google Patents
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図8(a),(b)は、従来の技術の基本構成を説明する図であり、従来のアルミニウム基複合材の製造方法を簡単に説明する。
ST01:多孔質成形体101、多孔性仕切り体102及びアルミニウム合金103を準備する。
ST02:坩堝104内に順に多孔質成形体101、多孔性仕切り体102及びアルミニウム合金103を載せ、坩堝104を炉105内に置く。
ST03:炉内を加熱しながら、窒化マグネシウム雰囲気下で多孔質成形体を還元し、その後、炉内を減圧する。
ST04:加熱、減圧状態でアルミニウム合金を溶かし、多孔性仕切り体102上に溜める(図8の状態)。
ST05:溶解アルミニウム合金106の上面を加圧し、多孔性仕切り体102を強制的に通過させて、多孔質成形体101に浸透させる。溶解アルミニウム合金106が凝固し、アルミニウム基複合材が完成する。
また、多孔質成形体101の大きさや多孔質成形体101の深層の温度等、複合的な要因で、空孔108の大きさが大きくなることもあり、空孔位置は高さが高くなることもあり、歩留りの向上を図り難かった。
請求項2に係る発明では、容器に順にセラミックス製の多孔質成形体、多孔性仕切り体及びアルミニウム合金を重ね容器を炉内に収めるとともに炉内の容器の隣にマグネシウムを入れた第2の容器を置く第1工程と、炉内を昇温して、窒素ガスを供給し窒素ガスの雰囲気下にして、窒化マグネシウムを生成し、窒化マグネシウムの作用で多孔質成形体を還元し、炉内を減圧する第2工程と、還元後、減圧状態でアルミニウム合金を溶かして多孔性仕切り体上に溜め、次に、炉内を加圧することで溶解アルミニウム合金の上面を加圧して多孔性仕切り体を強制的に通過させることで、容器と多孔性仕切り体の上面を封じる溶解アルミニウム合金により囲まれ炉内と連通していない減圧状態の多孔質成形体に浸透させる第3工程と、を備えたアルミニウム基複合材の製造方法において、第1工程では、多孔性仕切り体は、容器との隙間を、0を超え2mm未満に設定するとともに、中央に開口部を容器の断面積の3%〜20%の範囲となる面積で開けた円環多孔性仕切り体であり、第3工程では、円環多孔性仕切り体の多孔を通過させるとともに、開口部を通過させることを特徴とする。
隙間を0にすると、容器(坩堝)に円環多孔性仕切り体が干渉して入らない。
隙間が2mm以上では、多孔質成形体の深層部に浸透する速度に比べ、容器に沿うように多孔質成形体の表層部に浸透する速度は速くなり過ぎ、底の中央部の深層部に浸透不足や気体の残りが起きる。
このように、容器との隙間を、0を超え2mm未満に設定することで、容器に沿うように多孔質成形体の表層部に浸透する速度を抑え、表層部と深層部との間に生じる浸透の速度のばらつきを小さくすることができ、底の中央部の深層部に溶解アルミニウム合金を浸透させることができる。
20%を超えると、多孔質成形体の深層部に浸透する速度は速くなり過ぎ、浸透不足の多くは多孔質成形体の中央付近(底から約0.3×Lの位置)の表面に発生する。これは、開口部から底まで浸透した後、外方に分散し、さらに上昇したところ(底から約0.3×Lの位置)で合流するためと考えられる。
このように、中央に開口部を容器の断面積の3%〜20%の範囲となる面積で開けることで、容器に沿うように多孔質成形体の表層部に浸透する速度に比べ、多孔質成形体の深層部に浸透する速度を速くして、先行させて多孔質成形体の底の深層部に確実に浸透させることができ、底の深層部に空孔が発生しないという利点がある。
従って、浸透不足や気体の残りで生じる空孔の大きさを小さくし、空孔位置のばらつきを極めて小さくして歩留りの向上を図ることができるという利点がある。
請求項2に係る発明の第1工程では、多孔性仕切り体は、容器との隙間を、0を超え2mm未満に設定することで、底の中央部の深層部に溶解アルミニウム合金を浸透させることができる。
多孔性仕切り体は、中央に開口部を容器の断面積の3%〜20%の範囲となる面積で開けることで、底の深層部に空孔が発生しないという利点がある。
従って、浸透不足や気体の残りで生じる空孔の大きさを小さくし、空孔位置のばらつきを極めて小さくして歩留りの向上を図ることができるという利点がある。
図1は、本発明のアルミニウム基複合材の製造方法のフローチャートであり、ST××はステップ番号を示す。
第1工程では、ST01,ST02を実施する。
第2工程では、ST03,ST04を実施する。
第3工程では、ST05を実施する。
ST02:容器であるところの坩堝14内に順に多孔質成形体11、円環多孔性仕切り体12及びアルミニウム合金13を載せ、坩堝14を炉31内に置く。
ST03:炉31内を加熱しながら、窒化マグネシウム41雰囲気下で多孔質成形体11を還元し、その後、炉31内を減圧する。
ST04:加熱、減圧状態でアルミニウム合金13を溶かし、円環多孔性仕切り体12上に溜める。
ST05:溶解アルミニウム合金17の上面を加圧し、円環多孔性仕切り体12を強制的に通過させて、多孔質成形体11に浸透させる。溶解アルミニウム合金17が凝固し、アルミニウム基複合材18(図7(b)参照)が完成する。
次に、ST01〜ST05を具体的に説明する。
まず、素材である多孔質成形体11、円環多孔性仕切り体12及びアルミニウム合金13を準備する。
坩堝14は、内径をdpに設定し、内径dpの面積をApとする。
「容器の断面積」とは、内径dpの面積Apである。
さらに、粉末は、アルミナ(Al2O3)のみでもよい。アルミナ(Al2O3)のみを坩堝14に内に充填した場合には、マグネシウム(Mg)を入れた容器を炉内の坩堝14の隣に置く。
開口部22は、円環多孔性仕切り体12と同心で、溶解アルミニウム合金17を直接通す。
開口部22の面積Ahは、既に述べたように、Ah=0.03〜0.2×Apである。
円環多孔性仕切り体12の材質は、多孔質成形体11とほぼ同等である。
(a):引き続き、坩堝14に多孔質成形体11を入れ、この多孔質成形体11の上に円環多孔性仕切り体12を載せ、この円環多孔性仕切り体12の中央にアルミニウム合金13を載せる。
なお、隙間S(0を超え2mm未満)は、坩堝14の温度が常温で、円環多孔性仕切り体12の温度が常温のときである。
(a):雰囲気炉31内を昇温し、多孔質成形体11に含有したマグネシウム38を矢印a3の如く蒸発させる。そして、真空ポンプ34でアルゴンガス36を抜きながら窒素ガス(N2)39を窒素ガス供給手段33で流し込み、雰囲気炉31に窒素ガス39を矢印a4の如く供給しつつ、大気圧以上に加圧し、窒素ガス39に置換する。
(a):所定の真空度に達した後、アルミニウム合金13の温度は溶解が始まる温度に至り、溶解アルミニウム合金17が円環多孔性仕切り体12の上面及び開口部22内に溜まり始め、溶解アルミニウム合金17は上面を封じる。
この場合、円環多孔性仕切り体12は多孔質なので、重力作用では溶解アルミニウム合金17をほとんど通さない。中央の開口部22からわずかに多孔質成形体11に浸透が始まる。
(a):温度を保持しつつ、雰囲気炉31にアルゴンガス36をアルゴンガス供給手段32で矢印a6の如く供給する。そして、雰囲気炉31内の圧力を所望の圧力まで上げ、保持する。図面では、雰囲気炉31内の白抜き矢印のみが図面下方に向いて大気圧より高いことを示し、一方、多孔質成形体11内の白抜き矢印が図面上方に向いて大気圧より低いことを示す。
一方、円環多孔性仕切り体12の外周部23(図3(b)参照)と坩堝14との隙間S(図3(b)参照)に溶解アルミニウム合金17はほとんど流入しない。
その結果、底44の中央部45の深層部21に溶解アルミニウム合金17を確実に浸透させることができ、底44の中央部45の深層部21に、浸透不足や気体の残りで生じる空孔47(図7参照)が発生しない。
隙間Sが2mm以上では、隙間Sに溶解アルミニウム合金17が流入し、多孔質成形体11の周の表層部19に浸透する速度は速くなる。逆に、深層部21への浸透が遅れる状態となり、底44の中央部45の深層部21に浸透不足や気体の残りが起きる。
3%未満では、開口部22を開けないものと比べ、浸透の状態に顕著な差はない。また、浸透させる時間が長くなり、生産効率が低下する。
20%を超えると、多孔質成形体11の深層部21に浸透する速度は速くなり過ぎ、浸透不足の多くは多孔質成形体11の長手方向の中央付近(底44から約0.3×Lの位置)の表面に発生する。これは、開口部22から底44まで浸透した後、外方に分散し、さらに上昇したところ(底44から約0.3×Lの位置)で合流するためと考えられる。
(a):溶解アルミニウム合金17が多孔質成形体11の全体に浸透する。
前述したように、深層部21に浸透する溶解アルミニウム合金17の先端部43(図6(b)参照)が印a7のように先行して底44の中央部45に到達した直後に、円環多孔性仕切り体12の多孔を通過した溶解アルミニウム合金17が多孔質成形体11の周の表層部19を矢印a8,a8のように浸透した溶解アルミニウム合金17が底44に達する。その結果、最後に浸透が終わる部位は底44の表面となり、浸透不足や気体の残りが生じるときは、底44の表面に空孔47・・・となって生じる。
なお、第3工程より下流の工程で、底44の表面に生じた空孔47・・・を取り除くように切断する。つまり、切断する長さを、常に短くすることができ、歩留りは向上する。
Claims (2)
- 容器に順に、マグネシウムを含有したセラミックス製の多孔質成形体、多孔性仕切り体及びアルミニウム合金を重ね容器を炉内に収める第1工程と、
炉内を昇温して、窒素ガスを供給し窒素ガスの雰囲気下にして、窒化マグネシウムを生成し、該窒化マグネシウムの作用で前記多孔質成形体を還元し、前記炉内を減圧する第2工程と、
還元後、減圧状態で前記アルミニウム合金を溶かして前記多孔性仕切り体上に溜め、次に、炉内を加圧することで溶解アルミニウム合金の上面を加圧して前記多孔性仕切り体を強制的に通過させることで、前記容器と多孔性仕切り体の上面を封じる前記溶解アルミニウム合金により囲まれ炉内と連通していない減圧状態の前記多孔質成形体に浸透させる第3工程と、を備えたアルミニウム基複合材の製造方法において、
前記第1工程では、多孔性仕切り体は、容器との隙間を、0を超え2mm未満に設定するとともに、中央に開口部を容器の断面積の3%〜20%の範囲となる面積で開けた円環多孔性仕切り体であり、
前記第3工程では、前記円環多孔性仕切り体の多孔を通過させるとともに、開口部を通過させることを特徴とするアルミニウム基複合材の製造方法。 - 容器に順にセラミックス製の多孔質成形体、多孔性仕切り体及びアルミニウム合金を重ね容器を炉内に収めるとともに前記炉内の前記容器の隣にマグネシウムを入れた第2の容器を置く第1工程と、
炉内を昇温して、窒素ガスを供給し窒素ガスの雰囲気下にして、窒化マグネシウムを生成し、該窒化マグネシウムの作用で前記多孔質成形体を還元し、前記炉内を減圧する第2工程と、
還元後、減圧状態で前記アルミニウム合金を溶かして前記多孔性仕切り体上に溜め、次に、炉内を加圧することで溶解アルミニウム合金の上面を加圧して前記多孔性仕切り体を強制的に通過させることで、前記容器と多孔性仕切り体の上面を封じる前記溶解アルミニウム合金により囲まれ炉内と連通していない減圧状態の前記多孔質成形体に浸透させる第3工程と、を備えたアルミニウム基複合材の製造方法において、
前記第1工程では、多孔性仕切り体は、容器との隙間を、0を超え2mm未満に設定するとともに、中央に開口部を容器の断面積の3%〜20%の範囲となる面積で開けた円環多孔性仕切り体であり、
前記第3工程では、前記円環多孔性仕切り体の多孔を通過させるとともに、開口部を通過させることを特徴とするアルミニウム基複合材の製造方法。
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