JP4480893B2 - トランスフェクションした細胞中の組換えタンパク質発現増大のためのホットスポットを含む発現ベクター - Google Patents
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Description
(背景技術)
組換えタンパク質の製造のための発現系の開発は、研究または治療に使用するための所定のタンパク質の供給源を提供するうえで重要である。発現系は、大腸菌などの原核細胞、および酵母および哺乳動物細胞の両者を含む真核細胞の両者で開発されている。哺乳動物細胞、たとえばチャイニーズハムスター卵巣(または「CHO」)細胞での発現は、多くの場合、治療用タンパク質の製造にとって好ましい。なぜならそのような発現系での翻訳後修飾は、微生物(原核細胞)発現系で生じるタイプの翻訳後修飾に比べてヒト細胞のタンパク質発現において認められるものに類似していることが多いからである。
【0002】
真核遺伝子の転写は、種々のシスおよびトランス作動性の調節エレメントにより制御されている(Dillonら、(1993) Trends Genet. 9: 134)。最もよく特徴付けられているシスエレメントはプロモーターおよびエンハンサーである。プロモーターは遺伝子のコード配列の直ぐ5'側にあるDNA配列であり、トランス作動性の転写因子のためのマルチプル結合部位を包含し、基本的な転写装置を形成している。エンハンサーもまたトランス作動性の転写因子のためのマルチプル結合部位を構成するが、コード配列のはるか上流または下流さらにはイントロン内にさえも見出される。これらエレメントはまた方向に依存しない仕方で作動することができる。プロモーターおよびエンハンサーの活性は一過性の発現系で検出することができ、組織に特異的なまたは特異的でないエレメントを含む。
【0003】
他のカテゴリーのシス作動性調節エレメントはクロマチン構造を制御していると思われるものであり、遺伝子転座調節領域(「LCR」)(Grosveldら、(1987) Cell 51: 975)、マトリックス付着領域(「MAR」)(Phi-Vanら、(1990) Mol. Cell. Biol. 10: 2302)、スカフォールド付着領域(「SAR」)(Gasser & Laemmli (1987) Trends Genet. 3: 16)、インスレーターエレメント(insulator elements)(Kellum & Schedl (1991) Cell 64: 941)および核マトリックス結合DNA(Nuclear matrix-Associating DNAs)(Bode J.ら、(1992) Science 255: 195)を含む。MARおよびSARは長い距離にわたって作動しうるという点ではエンハンサーに似ているが、その作用が安定に形質転換された細胞株またはトランスジェニック動物でしか検出できない点で独特である。LCRもまた位置および方向に依存する点および組織に特異的な仕方で活性である点でエンハンサーとは異なる。
【0004】
所望のタンパク質の全体または一部をコードする目的遺伝子を含む組換え発現プラスミドは、所望の組換えタンパク質を発現する安定なCHO細胞またはトランスフェクトーマ(transfectomas)を生成するために常用される。これら組換えプラスミドは、組換えタンパク質を産生する宿主のゲノム中にランダムに組み込まれる。しかしながら、組換え遺伝子が安定に組み込まれ、所望の組換えタンパク質を高レベルで発現しうるトランスフェクトーマの頻度は極めて低い。通常、安定にトランスフェクションされた多数の哺乳動物トランスフェクトーマをスクリーニングして組換えタンパク質を高レベルで発現するクローンを同定しなければならない。このことは、とりわけ哺乳動物のゲノムのサイズが大きいことおよびゲノムDNAの0.1%しか転写に活性な配列を含まないという事実に照らして、ゲノムの環境(ホットスポット)およびプラスミドのコピー数によるものと広く信じられている(Little (1993) Nature 366: 204)。CHO細胞のゲノム中にプラスミドをランダムに組み込むという現在の技術が、遺伝子増幅の可能な転写ホットスポット中に組換え遺伝子が挿入され高レベルの遺伝子発現へと導く結果になるであろうことは極めてありそうにないことである。
【0005】
発現増強配列(expression augmenting sequences)が組換えタンパク質の発現を増加させることが開示されている(Morris, A.ら、真核発現系のための発現増強エレメント(EASE):WO97/25420)。高レベル組換え遺伝子発現細胞株の頻度の増大は、高タンパク質発現トランスフェクトーマの選択のための遥かに大きなプールを提供するであろう。このことは、転写ホットスポットをターゲティングした相同な(homologous)組換えプラスミドを生成し、そのようなトランスフェクトーマの選択のための手段を工夫することにより達成できる。
【0006】
(発明の要約)
哺乳動物宿主細胞での組換えタンパク質の増大した発現を容易にする新規な転写調節配列(本明細書では「HIRPE」(タンパク質発現増大のためのホットスポット)(Hot spot for Increased Recombinant Protein Expression)と称する)が開示される。本発明の好ましい態様は、CHO細胞のゲノムDNAから得たHIRPEである。
【0007】
本発明は、高い組換え遺伝子発現が可能なCHO細胞ゲノム中のゲノム遺伝子座からのHIRPEを開示する。これら遺伝子座は、哺乳動物ゲノム中の複製起点、遺伝子増幅、およびMARを規定する配列エレメントを含む。本発明の最も好ましい態様において、HIRPEは(a)配列番号1のヌクレオチド1〜5006を含むDNA;(b)HIRPE活性を有する配列番号1の断片;(c)(a)および/または(b)に相補的なヌクレオチド配列;(d)(a)、(b)および/または(c)の配列と少なくとも約80%、さらに好ましくは約90%、さらに好ましくは約95%同一であり、HIRPE活性を呈するヌクレオチド配列;および(e)上記核酸配列の組合せであってHIRPE活性を呈するものよりなる群から選ばれる。
【0008】
新規なHIRPEを含む発現ベクターは、CHO細胞を形質転換して組換えタンパク質の発現を増大させることができる。それゆえ、本発明の他の側面はHIRPEを含む発現ベクターである。好ましい態様において、該発現ベクターはさらに、目的タンパク質の全体または一部の発現を駆動する真核生物プロモーター/エンハンサーを含む。2またはそれ以上の発現ベクターを用いて細胞(たとえば、CHO細胞)をトランスフェクションすることができ、その際、各ベクターは(発現されたときに)組み立てられて所望のタンパク質を形成する異なるポリペプチドをコードする核酸配列を含んでいる。さらに好ましい態様において、発現ベクターは、第一のエクソンが目的遺伝子をコードしており、第二のエクソンが増幅可能なドミナント選択マーカーをコードしているようなプラスミドを含んでいる。好ましいマーカーはジヒドロ葉酸レダクターゼ(「DHFR」)である;他の増幅可能なマーカーもまた本発明の発現ベクターに使用するのに適している。
【0009】
哺乳動物の宿主細胞を本発明の発現ベクターで形質転換して高レベルの組換えタンパク質を産生させることができる。従って、本発明の他の態様は本発明の発現ベクターで形質転換した哺乳動物宿主細胞を提供する。また、2つの発現ベクターで形質転換され、これら2つの各発現ベクターがポリペプチドサブユニットをコードしており、これらが同時に発現されたときに生物学的活性を有する所望のタンパク質に組み立てられるような哺乳動物宿主細胞もまた本発明の範囲に包含される。最も好ましい態様において、宿主細胞はCHO細胞である。
【0010】
本発明はまた、組換えタンパク質を得る方法であって、宿主細胞を本発明の発現ベクターで形質転換し、形質転換した宿主細胞を該タンパク質の発現を促進する条件下で培養し、ついで該タンパク質を回収することを含む方法をも提供する。本発明の好ましい適用において、形質転換した宿主細胞は2つの選択工程で選択される。第一の工程はドミナントな増幅マーカーを発現する細胞の選択であり、第二の工程はマーカー遺伝子並びに目的遺伝子の高い発現レベルおよび/または増幅の選択である。好ましい態様において、組換えタンパク質はCTLA4−Igまたは異なる形態のCTLA4−Ig分子を形成するその変異体、たとえばアミノ酸配列に対する置換、付加および欠失変異体を含む。CTLA4およびCTLA4融合タンパク質(たとえば、CTLA4−Ig)の詳細な説明についてはWO93/00431を参照のこと(その全体を参照のため本明細書中に引用する)。
【0011】
(発明を実施するための最良の形態)
本願出願人は、発現ベクター中に挿入したときにリポータータンパク質の発現を安定な細胞プールにて2〜10倍改善しうる新規な配列エレメントを単離および同定した。本願出願人は、これら新規な配列エレメントをHIRPE(タンパク質発現増大のためのホットスポット)と称する。
【0012】
本発明の核酸分子を含むDNAクローンは、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(「ATCC」)(バージニア20110−2209、マナサス、ユニバーシティー・ブールバール、10801)に1998年8月25日にATCC寄託/受託番号203153として寄託してある。本明細書に言及する寄託は、特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約の約定のもとに維持されるであろう。この寄託は当業者の便宜としてのみ提供されるものであって、35U.S.C.§112のもとに寄託が要求されることを承認するものではない。寄託した材料に含まれるポリヌクレオチドの配列は参照のため本明細書中に引用され、本明細書中の配列の記載と矛盾する場合には照合される。寄託した材料を製造し、使用し、または販売するにはライセンスが必要であり、そのようなライセンスはここでは許可されない。
【0013】
本発明は、CHO細胞宿主ゲノム中の組換えタンパク質の組み込み部位の同定、およびCHO細胞で組換え遺伝子の高発現を達成するための相同組換えベクターの構築に関する。さらに詳細には、本発明は、CHO DG44宿主ゲノム中のCTLA4−Ig組み込み部位の同定に関する。
【0014】
HIRPE活性は、目的タンパク質をコードする遺伝子の両末端のフランキング領域で同定された。以下に詳細に説明するように、これらフランキング領域を分離し、シークエンシングして本明細書に開示した新規なHIRPE配列を決定した。HIRPE配列を得るのに用いたDNAプライマーの詳細図を作成してある(図9)。本発明の新規なHIRPE配列は、下記核酸配列(配列番号1)を含む。
【0015】
【0016】
さらに、本発明は、HIRPE活性を呈する配列番号1の断片を包含する。本発明において有用な断片の好ましい例は、配列番号1のヌクレオチド3050〜4676を含む1.6kbの配列である(この好ましい断片は配列番号2に示してある)。
【0017】
単離した5.0kbの配列(配列番号1)およびより短いその断片を含む発現ベクターは、CHO細胞を形質転換して高レベルのタンパク質発現を導くことができる。本発明の新規なHIRPEは、それが連結しているプロモーター/エンハンサー領域によって駆動される組換えタンパク質の発現を改善するのに有用である。
【0018】
さらに、HIRPE活性を呈する配列番号1のさらなる断片、並びに他のタイプの細胞からのまたは形質転換細胞中の他の組み込み部位からの同様のHIRPEモチーフを同定することができる。さらに、制限酵素消化により調製したDNAの断片のその後のプロセシングが該断片の末端からのさらなるヌクレオチドの除去という結果となりうることが当該技術分野で知られている。
【0019】
配列番号1の断片の他の組合せ、たとえば配列番号1の全体または一部の複数のコピーを含む配列を開発することもできる。そのような組合せは、隣接して連結させるかまたは断片の最適のスペーシングを与えるように配置することができる。さらに、配列番号1の配列と、該配列内の挿入配列(たとえば、配列番号1内のある選択した部位での所望のタンパク質をコードする遺伝子の挿入)とを含む発現ベクターも本発明の範囲に包含される。
【0020】
本明細書に開示するHIRPEはCHO細胞から単離した。組換えタンパク質の発現を増大させる相同配列は、他の哺乳動物種からの細胞、並びに他の組織のタイプからの細胞株にも存在することが予想され、当該技術分野でよく知られた技術、たとえば交差種(cross-species)ハイブリダイゼーションやPCRベースの技術により単離することができる。さらに、配列番号1または配列番号2に示すヌクレオチド配列を、当該技術分野で知られた部位特異的突然変異誘発法またはランダム突然変異誘発法により変化させることができる。ついで、得られたHIRPE変異体を本明細書に記載するようにHIRPE活性について試験することができる。HIRPE活性を有する、配列番号1の配列と少なくとも約80%、さらに好ましくは約90%、およびさらに好ましくは約95%同一のDNAまたはその断片は、通常の実験により単離され、HIRPE活性を有することが予想される。配列番号1の断片については、同一性パーセントは該断片中に認められる参照天然配列の部分を指称している。従って、開示したHIRPE配列およびその変異体もまた本発明により包含される。
【0021】
組換え発現ベクターは、哺乳動物、ウイルスまたは昆虫遺伝子由来の適当な転写または翻訳調節エレメントに作動可能に連結した、タンパク質をコードする合成またはcDNA由来のDNA断片を含む。そのような調節エレメントとしては、転写プロモーター、適当なmRNAリボソーム結合部位をコードする配列、および転写および翻訳の停止を制御する配列が含まれる。哺乳動物発現ベクターはまた、非転写エレメント、たとえば、複製起点、発現すべき遺伝子に連結した適当なプロモーターおよびエンハンサー、他の5'または3'フランキング非転写配列、5'または3'非翻訳配列、たとえば必要なリボソーム結合部位、ポリアデニル化部位、スプライスドナーおよびアクセプター部位、および転写停止配列をも含む。宿主中での複製能を付与する複製起点、および形質転換体の認識を容易にする選択遺伝子も含まれていてよい。
【0022】
DNA領域は、それらが互いに機能的に連関しているときに作動可能に連結しているといわれる。たとえば、プロモーターは、それがコード配列の転写を制御しているならば該配列に作動可能に連結している;またはリボソーム結合部位は、それが翻訳を可能とする位置にあるならばコード配列に作動可能に連結している。細胞を形質転換するのに用いる発現ベクター中の転写および翻訳調節配列は当該技術分野で知られている。
【0023】
形質転換した細胞は、組換えDNA技術を用いて発現ベクターで形質転換またはトランスフェクションした細胞であり、組換えタンパク質の全体または一部をコードする配列を含む細胞である。発現タンパク質は、選択したDNAに応じて細胞培養の上澄み液に分泌させるのが好ましいであろうが、細胞膜中に沈積させてもよい。組換えタンパク質を発現させるのに種々の哺乳動物細胞培養系を用いることができ、これらはすべて当該技術分野でよく知られており、たとえばサル腎臓細胞のCOS細胞株、CHO細胞、HeLa細胞、およびBHK細胞株を用いることができる。
【0024】
一般的に用いられる細胞株はDHFR−CHO細胞株であり、これはグリシン、チミジンおよびヒポキサンチン栄養要求性であり、増幅可能なドミナントマーカーとしてDHFR cDNAを用いて形質転換してDHFR+表現型とすることができる。一つのそのような知られたDHFR−CHO細胞はDKXB11(Urlaubら、(1980) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77: 4216)である。特異的な選択または増幅スキームのために開発された他の細胞株もまた、本発明の新規なHIRPEに有用であろう。
【0025】
幾つかの形質転換プロトコールが当該技術分野で知られており、たとえばKaufmanら、(1988) Meth. Enzymology 185: 537に概説されている。選択する形質転換プロトコールは宿主細胞のタイプおよび目的遺伝子の性質に依存するであろうし、日常的な実験に基づいて選択することができる。そのようなプロトコールの基本的要件は、まず目的タンパク質をコードするDNAを適当な宿主細胞に導入し、ついで該DNAを安定な発現可能な仕方で導入した宿主細胞を同定および単離することである。目的タンパク質をコードするDNAを導入するのに有用な方法の例は、Wiglerら、(1980) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77: 3567;Schaffner (1980) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77: 2163;Potterら、(1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81: 7161;およびShigekawa (1988) BioTechniques 6: 742に記載されている。
【0026】
目的遺伝子を増幅する方法もまた組換えタンパク質を発現させるのに望ましく、典型的に選択マーカーの使用を含む。細胞毒性の薬剤に対する耐性は選択マーカーとして最も頻繁に用いられる特性であり、優性の形質(すなわち、宿主の細胞型とは独立に用いることができる)かまたは劣性の形質(すなわち、選択すべき何らかの活性に欠ける特定の細胞型で有用である)のいずれかの結果となりうる。幾つかの増幅可能なマーカーが本発明に用いるのに適している(たとえば、Maniatis, Molecular Biology: A Laboratory Manual、コールド・スプリングス・ハーバー・ラボラトリー、ニューヨーク(1989)に記載されている)。薬剤耐性の哺乳動物細胞での遺伝子増幅に有用な選択マーカーとしては、DHFR−MTX(メトトレキセート)耐性(Altら、(1978) J. Biol. Chem. 253: 1357; Wiglerら、(1980) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77: 3567)、および当該技術分野で知られた他のマーカー(たとえば、Kaufmanら、(1988) Meth. Enzymology 185: 537に概説されている)が挙げられる。
【0027】
以下の実施例は本発明の態様を説明するものであって、いかなる意味においても本発明の範囲を限定することを意図するものではない。上記あるいは下記で本明細書中に引用された文献はすべて、参照のため本明細書中に引用される。
【0028】
実施例1:本発明のHIRPEの同定
CHO細胞株Pは、CTLA4−Igタンパク質を高レベルで発現する細胞株である。この細胞株は、ランダム組み込みを含む哺乳動物細胞株を産生する最も好ましい方法を用いて選択した。細胞株Pを生成するのに用いた哺乳動物発現プラスミドは改変したpCDNA3プラスミド(Invitrogen, Inc.より入手可能)であった。このベクター中にDHFR遺伝子を組み込んでドミナントな選択マーカーとした。このプラスミド中の組換え遺伝子発現カセットは、CMVプロモーターおよびBGHポリアデニル化配列によって駆動される。細胞株PのゲノムDNA分析は、この細胞株にプラスミドDNAの複数のコピーが安定に組み込まれていることを示唆していた。このプラスミドDNAの増幅は、CTLA4−Ig遺伝子をコードするDNAの同時増幅という結果となり、CTLA4−Igの高発現細胞株へと導いた。
【0029】
ランダム組み込みを用いてCHOトランスフェクトーマを生成する技術分野の当業者は、高発現細胞株を生成するためには選択マーカーとしてDHFR遺伝子を含むベクターは転写ホットスポット中に組み込まれ、遺伝子コピー数が首尾よく増幅されなければならないことを認識している。トランスフェクションした細胞のうち遺伝子を充分に増幅するもののパーセントは、予想されるように低い、なぜなら文献は哺乳動物ゲノム中で遺伝子増幅が可能なゲノム遺伝子座は稀であることを示唆しているからである(Robbins (1981) Cell 23: 29; McArthur (1991) J. Biol. Chem. 266: 6000)。細胞株P中のCTLA4−Igプラスミド組み込み部位に隣接するゲノム遺伝子座は、遺伝子増幅および高転写活性に必要なエレメントを有する独特の遺伝子座の一つを表していた。
【0030】
CHO細胞中のCTLA4−Ig遺伝子に隣接するゲノム遺伝子座に組換え遺伝子を送達するための相同組換えベクターの構築には、当該技術分野で知られた方法を用い(たとえば、Yarnoldら、(1994) Cancer Research 54: 506; Adair (1989) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86: 4574; Smithら、(1989) J. Mol. Bio. 213: 415を参照)、細胞株PからのフランキングゲノムDNAをクローニングし、クローニングした断片を適当な真核発現ベクター中に挿入する必要があった。このことは、まず組み込み部位をフランキングしているEcoRI生成DNA断片のサイズをマッピングし、ついで大腸菌でCHOゲノムライブラリーを構築し、これらゲノム断片を含む個々のプラスミドDNAを単離することにより達成した。
【0031】
サザーンブロット分析はCHO細胞でのCTLA4−Ig組み込み部位のマッピングを容易にした(図7)。本発明者らは、CHO細胞株PでのCTLA4−Ig組み込み部位を分析するためにサザーンブロット分析を用いた「DNAウォーキング」と呼ばれる戦略を用いた。DNAウォーキング法では、既知のプラスミドDNA配列を用いて該プラスミド配列をフランキングしている未知のCHOゲノムDNAを特徴付けた。CTLA4−Ig組み込み部位を分析するため、約10μgのCHOゲノムDNAを100単位のEcoRI制限酵素(New England Biolabs)で消化した。制限消化したゲノムDNAを0.7%アガロースゲル上のアガロースゲル電気泳動に15ボルトで12時間供した。この方法によりDNAは分子サイズによって分離され、高分子量のDNAは上部にくる。
【0032】
アガロースゲル中に埋められたゲノムDNAを0.4M NaOHで約30分間変性させ、バキュームブロッター(vacum blotter)(Bio-Rad)を用いて0.45ミクロンニトロセルロースメンブレン(Boehringer and Mannheim)に90分間移した。ブロッティングしたフィルターを2×SSPE緩衝液で中和し、UV架橋装置(Stratagene;C3に20秒間セッティング)を用いてDNAをメンブレンに架橋した。サザーンブロットに用いた1.2kbのハイブリダイゼーションプローブは、Boehringer Mannheimの標識キットを用いてジゴキシゲニン標識したPCR断片であった。このPCR断片は細菌のベータ−ラクタマーゼ遺伝子に由来し、下記オリゴヌクレオチドプライマーを用いて調製した:フォアウォードプライマー:GGTCCTGCAACTTTATCCGCCTCC(配列番号14);リバースプライマー:CGGTCAGCCTTGCCTTGTTGTAG(配列番号3)。
【0033】
ジゴキシゲニン標識したDNAを化学ルミネセンス検出キット(Boehringer Mannheim)を用いて検出した。ゲノムDNAを含むニトロセルロースフィルターを5mlのEasyハイブリダイゼーション緩衝液(Boehringer Mannheim)中の5μlのハイブリダイゼーションプローブと68℃で16時間ハイブリダイズさせた。フィルターを2×SSCで65℃にて30分間、2回洗浄し、フィルターを化学ルミネセンスアッセイキット(Boehringer Mannheim)で5分間発色させた。このサザーンブロット分析により、ベータラクタマーゼプローブにハイブリダイズした7.5kbのCHOゲノム左フランキング領域(「LFR」)が明らかとなった。この7.5kb断片の制限マッピングにより、該断片がベータラクタマーゼ遺伝子を含む2.5kbのプラスミドDNAと5.0kbのCHOゲノムDNAとを含むことが明らかとなった。同様に、サザーンブロット中のEcoRI消化CHOゲノムDNAをハイブリダイゼーションプローブとして0.9kbのCTLA4−Ig遺伝子を含むプラスミドDNAでプローブし、PCR反応(PCRプライマー:フォアウォードプライマー:GCATCTCCAGGCAAAGCCACTGAGGTCCG(配列番号4);リバースプライマー:CACGGAGCATGAGAAGACGTTCCCCTGCTG(配列番号5))を用いて生成した。ジゴキシゲニン標識ハイブリダイゼーションプローブの調製およびハイブリダイゼーション条件は上記に記載した条件と全く同じであった。しかしながら、右のフランキング領域を調べるのに用いたハイブリダイゼーションプローブは(ベータ−ラクタマーゼ遺伝子の代わりに)CTLA4−Ig遺伝子に由来するものであったので、サザーンブロット分析は10.0kbの右フランキング領域(「RFR」)DNAバンドを明らかにした。このハイブリッドDNA断片は、5.0kbのプラスミドDNA(CTLA4−Igおよびdhfr遺伝子)および5.0kbのCHOゲノムDNAを含んでいる(図7)。
【0034】
サザーンブロット分析に基づき、CHO細胞株PからのゲノムDNAを用いて7.5kbおよび10.0kbのフランキングゲノム断片をクローニングした。CHOゲノムDNAを、200mlのPFCHO血清不含培地中で増殖させた1×108のCHO細胞から単離した。遠心分離後、細胞ペレットをDNA抽出キット(Stratagene Inc.)を用いてゲノムDNAを単離するために処理した。この操作により10mgの全ゲノムDNAが得られた。
【0035】
フランキングゲノム配列を含むEcoRI消化CHOゲノムDNAを富ませるため、1mgのゲノムDNAを1000単位のEcoRI酵素(New England Biolabs#101S--20単位/μl)で37℃にて6時間消化した。EcoRI消化をフェノール抽出およびエタノール沈殿により停止させた。エタノールペレットを200μlの水に再溶解し、Tris-酢酸緩衝液中、(50Vの)定常電圧でのアガロースベッド電気泳動(Life Technologies Model 250電気泳動ユニット)に供した。サイズ分離したゲノムDNAを6.0〜12.0kbの分子量範囲のDNAについて富ませ、QIAEXゲル抽出キット(Qiagen Inc#20021)を用いてゲルから抽出し戻した。この操作により、26μgのEcoRI消化したサイズに富んだCHO DNA断片が得られた。
【0036】
EcoRI末端を有する1μgのゲノムDNAを、同様に消化した抗生物質カナマイシンに対する耐性を付与するカナマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子を含む細菌プラスミド(pSTKN)中に挿入した。T4DNAリガーゼ(New England Biolabs)を用いてゲノムDNAとプラスミドDNAとをライゲートしてCHOゲノムライブラリーを生成した。ライゲートしたCHOゲノムDNAをエレクトロポレーション装置(Bio-Rad #)を用いて大腸菌(XL1 Blue MRF’Stratagene Inc., #200230)中に形質転換し、大腸菌でCHOゲノムライブラリーを得た。
【0037】
7.5kbの左フランキング領域をクローニングするため、本発明者らは抗生物質アンピシリンに対する耐性を付与するベータラクタマーゼ遺伝子の存在を利用した。ゲノムライブラリーを含む大腸菌菌体を2つの抗生物質に耐性なクローン(ampRおよびKnR)について直接スクリーニングした;ampRはLFR断片の寄与によるものであり、KnR遺伝子は細菌プラスミド(pSTKN)の寄与によるものであった。この手順により両抗生物質に耐性な8つの細菌クローンが得られた。これらクローンからのプラスミドDNAの速やかなDNA分析は、予想されたように7.5kbのEcoRI断片を有するプラスミドを与え、予想されたようにLFR断片の存在を示していた。
【0038】
10.0kbの右フランキング領域のクローニングには、ハイブリダイゼーションプローブとしてP32標識したCTLA4−Ig遺伝子(DNA)を用いたコロニーハイブリダイゼーションの通常の分子生物学的方法が含まれていた。コロニーハイブリダイゼーション法はMolecular Cloning laboratory Manual(コールド・スプリングス・ハーバー・ラボラトリー)に記載されている。放射性標識した
CTLA4−Ig遺伝子特異的なハイブリダイゼーションプローブを、Amersham Life Sciencesから得たニックトランスレーションキット(#N5000)を用いて調製した。約100万の大腸菌クローンをスクリーニングして10.0kb断片を含む6つの推定クローンを単離した。これら推定クローンを2回目のコロニーハイブリダイゼーションで再スクリーニングしたところ陽性クローンが2つだけ得られた。2つの陽性クローンからプラスミドDNAをラピッドミニライセート(rapid minilysate)プラスミドDNA単離法(Maniatis, Molecular Biology: A Laboratory Manual、コールド・スプリングス・ハーバー・ラボラトリー、ニューヨーク(1989))を用いて単離した。両クローンともに予想された10.0kbのEcoRI断片を生成し、RFR断片が首尾よくクローニングされていることを示した。
【0039】
7.5kbと10.0kbのゲノムクローンの制限酵素消化パターンを比較したところ、プラスミドの組み込み部位でゲノムDNAの複製をたよる(invoking)共通サイズのDNAバンドが明らかとなった。このことは自動DNAシークエンサー(Applied Biosystems - PRISM310 Genetic Analyzer)を用いたDNA配列分析により確認された。これら2つの結果は、左および右のフランキング配列が同一であり、組み込み部位でのDNA複製により生じたものであることを示唆していた(図2)。これら配列を本明細書では以下、FGS(フランキングゲノム配列(Flanking Genomic Sequences))と称する。
【0040】
5.0kbのゲノムDNAのDNA配列分析は幾つかの独特の特徴を明らかにした。GCGウイスコンシンDNA配列データ分析ソフトウエアを用いたDNAホモロジーサーチは、この配列が転写ホットスポットを表していることを示唆していた。クローニングしたFGSは、酵母およびCHO細胞で認められるコンセンサス自律的複製配列(ARS)と類似のDNAモチーフを含んでいる(Sohnら、(1996) Journal of Bacteriology 78(15): 4420; Markら、(1990) J. Mol. Biol. 211: 19)。また、FGSは転写ホットスポットに共通に認められるMARと類似のモチーフを含んでいる(Harmuttら、(1995) Biochemistry 34: 4108)。クローニングしたDNAがCHO細胞からの転写ホットスポットであるとのこの情報をもとに、本発明者らは相同組換えベクターの構築を行った。
【0041】
哺乳動物ゲノム中への外来DNAの組み込みは、標的ゲノム中のランダムな部位でのDNA切断を伴うプロセスにより最も頻繁に起こると考えられる。最近、内生の遺伝子増幅並びに異種のトランスフェクションしたDNAの増幅のモデルが提唱された。これらモデルの一つの構成要素は、遺伝子増幅の第一の工程として組み込み部位でのラージ逆方向複製(large inverted duplication)の関与である(Heartlein M. W.ら、(1988) Nucleic Acid Research 17(4): 1697-1716; Passananti C.ら、(1987) EMBO J. 6: 1697-1703)。このモデルの必須の構成要素は、逆方向繰返しの生成およびその後の遺伝子増幅の前提条件としての宿主ゲノム中のA−Tリッチ繰返しエレメント中へのプラスミドDNAの組み込みである。
【0042】
細胞株P中のCTLA4−Ig組み込み部位での逆方向複製の存在、およびHIRPE中の3つの異なる繰返しエレメントの存在は、提唱されたモデルと一致している。相同挿入組換えベクター中のHIRPE中の繰返しエレメントの存在は、逆方向繰返しの生成および高発現に必要な遺伝子増幅を容易にするであろう。
【0043】
実施例2:組換えベクター
相同組換えは、正確な部位特異的な遺伝子の組み込みおよび目的遺伝子の発現を可能とする、酵母での遺伝子操作のための強力な手段であると考えられる(Orr-Weaver, T.L.ら、(1981) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 78(10): 6354-8)。しかしながら、哺乳動物培養細胞での相同組換え法の適用の可能性は、異常な(illegitimate)組換え事象および適当な選択法の欠如によって圧倒されている(overwhelmed)。ホットスポットへの組換え遺伝子の相同的挿入は、組換えタンパク質を高発現する細胞株の増大した頻度を研究することを可能にする。この概念は、相同組換え抗体発現系をマウス細胞に対していかにして作製するかの一つの例として以前の刊行物に記載されている(Gregoryら、WO95/17516)。
【0044】
にもかかわらず、本発明は、すべての組換え遺伝子に対してより広く適用できること、CHOゲノム遺伝子座の選択、クローニングした組換え遺伝子を一貫して増幅しうること、およびプラスミド組み込み部位でのゲノム複製の生成の点で当該技術分野で知られているものと異なる。
【0045】
上記のように相同組換えベクターは、遺伝子のタンパク質への転写および翻訳に必要なエレメントを含む真核発現ベクターである。本明細書に記載する相同組換えベクターは、ドミナント選択マーカーとしてDHFR遺伝子を含むベクターpcDNA3(Invitrogen Inc.)に由来する再度遺伝子操作したベクターである。この発現ベクターをジヒドロ葉酸レダクターゼ酵素を欠くCHO宿主細胞DG44およびDUKXB11細胞中に導入し、DHFR遺伝子機能を相補することによってトランスフェクトーマをバックグラウンドに対して選択する(ジヒドロ葉酸レダクターゼを欠く変異チャイニーズハムスター卵巣細胞でのメトトレキセート代謝(Joannon P.ら、(1987) Biochem-Pharmacol. 36(7): 1091; Urlaubら、(1980) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77: 4216))。
【0046】
相同挿入組換えベクター(pTV(I)として表す)は、全5.0kb HIRPE配列(配列番号1)をクローニングしたゲノムDNAを含んでいた(図3)。このゲノム断片を5'末端のNotI制限部位および同一平面の3'(平滑)末端で再構築し、前以て両立しうる(compatible)制限部位で消化しておいたpcDNA/DHFR/CTLA4−Ig発現ベクター中にクローニングした。得られた相同ベクターpTV(I)は、CTLA4−Ig組換え遺伝子の5'末端にCHOゲノムDNAを含んでいた(図3)。このプラスミドDNAをQUIAGEN Inc.より市販されているMidi−プラスミド単離キットを用いて精製した。pTV(I)プラスミドをEcoRI制限酵素で直線状にし、エレクトロポレーションによりCHO DG44細胞中に導入した。
【0047】
ヌクレオシド(ヒポキサンチン16μg/mlおよびチミジン0.2μg/ml)を含むPFCHO培地(JRH Biosciences,血清不含−タンパク質不含#14602−79P)での短い回収期間(72時間)の後、細胞を、ヌクレオシドを含まないPFCHO培地および20nMメトトレキセートとともに5%透析ウシ胎仔血清を含む培地中での選択に供した。これら細胞を10の96ウエルプレート(960ウエル)に分配した。3週間のインキュベーション期間の後、約120のトランスフェクトーマがELISAにおいてCTLA4−Ig発現について陽性であった。6つのクローン(5%)が5μg/mlを超える一次(primary)CTLA4−Igタンパク質力価を生成した(表1)。これら最良の6つのクローンをT−75組織培養フラスコ中に拡張し、Stratagene Inc.より市販されているゲノムDNA単離キットを用いてCHOゲノムDNAをサザーンブロット分析のために調製した。
【0048】
従来の発現ベクター(たとえば、pcDNA3/NeoRおよびpcDNA/dhfr)は、5μg/mlの最高のCTLA4−Igタンパク質力価を有するトランスフェクトーマを生成した。5μg/mlを超えて生成したトランスフェクトーマを、HIRPE配列が首尾よく組み込まれ増大した発現を示すものとして選択した。5μg/mlが従来の発現ベクターで得ることのできる最高のタンパク質力価であるため、所望のタンパク質、たとえばCTLA4−Igを一次力価において5μg/mlを超えて発現するトランスフェクトーマはすべて有意であり、発現が「増大」していると考えられる。
【0049】
表1
【表1】
【0050】
上記表I中の6つのクローンは、挿入ターゲティングベクターpTV(I)を用いて生成した最良のCTLA4−Ig産生トランスフェクトーマを表している。表I中のこれら6つのクローンはすべて5.0kbのゲノムDNAを含んでいる。太字で示した4つのクローンは、これらクローンからのゲノムDNAをサザーンブロットにより分析したことを示す。クローン2C5および2F2(太字でない)はサザーンブロットにより分析しなかった。NDは「決定せず(Not Determined)」を示し、サザーンブロットにより分析しなかったクローンを示すのに用いた。
【0051】
使用した本発明者らの対照トランスフェクトーマ(pcDNA/dhfr)において、本発明者らは5μg/mlまたはそれ以上のCTLA4−Ig力価を発現するトランスフェクトーマを見出さなかった。本発明者らの手元にある従来のランダム組み込みベクターは、所望のタンパク質、すなわちCTLA4−Igを5μg/mlの力価で発現する1/1000トランスフェクトーマを生成した;この数字に基づき、ランダム組み込みベクターを用いた高産生クローンの頻度を約1/1000(0.1%)と予測することができる。本明細書に示したデータは、本発明のHIRPEを含む相同組換えベクターが、従来の対照ベクターに比べて高組換えタンパク質力価を有するトランスフェクトーマを得る頻度を0.1%(対照)から5%に増大させることを示している。これは、ランダム組み込みベクターに比べて高産生クローンを得る頻度における50倍の増大を表している。
【0052】
サザーンブロット分析を用いて4つの独立のトランスフェクトーマでのpTV(I)プラスミド組み込み部位を調べた。これらトランスフェクトーマからのゲノムDNAを以下の点について分析した:(a)部位特異的なターゲティングを示唆するクローン間での類似のDNAバンドパターン;および(b)組み込み部位での逆方向繰返しの生成の証拠としての3つのバンドパターンの存在。Stratagene, Inc.からのゲノムDNA単離キットを用い、4つの異なるトランスフェクトーマからゲノムDNAを調製した。約10μgのCHOゲノムDNAをKpnI制限酵素で37℃にて12時間消化した。KpnI消化したゲノムDNAを15Vでの0.7%アガロースベッドゲル電気泳動により16時間分離した。ゲルに埋もれたゲノムDNAを0.4M NaOHで変性させ、Bio-Radバキュームブロッターを用いて0.45ミクロンのニトロセルロースフィルター上にブロッティングした。
【0053】
PCR増幅を用い、5.0kbのゲノムDNAの異なる領域からそれぞれ200bpおよび500bpの2つのハイブリダイゼーションプローブを生成した。200bpのハイブリダイゼーションプローブは、PCRプライマー
CTAGCCTGCCTCACAAGCTTG(配列番号6)および
GAGTCAGCCTGAGATACATAG(配列番号7)を用いて生成した。同様に、500bpのハイブリダイゼーションプローブは、PCRプライマー
GCATTTCAGCATGGTTGGCTAGC(配列番号8)および
GGACTTCATGTCTTCTCTCCTGC(配列番号9)を用いて生成した。
【0054】
上記実施例1に記載したように、ハイブリダイゼーションプローブはジゴキシゲニン標識UTP(Boehringer Mannheim)を含んでおり、これらは化学ルミネセンス検出キット(Boehringer Mannheim)により検出される。これら2つのハイブリダイゼーションプローブを等容量で混合し、上記(実施例1)と同様のハイブリダイゼーション条件を用いてニトロセルロースにハイブリダイズさせた。EcoRIで消化しこれら混合ハイブリダイゼーションプローブ(200bpおよび500bp)とハイブリダイズさせた親P細胞株のゲノムDNAのサザーンブロット分析は、3つのEcoRI DNAバンドを生成した。これら結果は、EcoRIバンドのうちの2つが組み込み部位での逆方向繰返しの生成の結果であり、第三のバンドが妨害されないゲノムホモログであることを示唆している。当業者であれば、この3DNAバンドパターンを参照マーカーとして用い、部位特異的な組み込みの証拠のために同じ発現ベクターを用いて生成した他のトランスフェクトーマを分析することができる。
【0055】
pTV(I)ベクターを含む上位4つの産生クローン(IAI、3C2、3C11および6B8)からのゲノムDNAをEcoRIで消化したもののサザーンブロット分析は、分析した4つのクローンの3つに共通する3バンドパターンを生成した。新たなトランスフェクトーマにおける3バンドパターンの存在は、プラスミド組み込み部位での逆方向繰返しの生成と一致している。第二に、これらトランスフェクトーマにおける同一のサイズの3バンドパターンの存在は、これら相同組換えベクターがCHOゲノム中の同一部位に独立にターゲティングし、高組換え遺伝子発現を生成したことを示唆している(図5)。サザーンブロット分析はさらに、5.0kbのHIRPEが逆方向繰返しの生成および遺伝子増幅を誘発して高発現へと導くモチーフを含むことを示唆している。
【0056】
ランダムなプラスミド組み込みは、CHO細胞での組み込みの好ましい様式である(>99%)。CHO細胞における相同組換え事象は0.1〜0.3%未満を占めるにすぎない(Thomasら、(1987) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 76: 615)。ランダムな組換え事象は一般に広範なDNAを必要とせず、基質として全プラスミドDNA(5.0kbのゲノムDNAを含む)を潜在的に使用しうる。もしもそのような事象が生じたら、発現ベクターpTV(I)は相同部位とは異なる部位で組み込まれる。本出願において、サザーンブロット分析は、本願出願人の新規なベクターが圧倒的な半端物(overwhelming odds)に対して主たる高産生クローンにおいてCHO細胞中の単一のゲノム遺伝子座に組み込まれることを示唆している。
【0057】
pTV(I)プラスミドが一貫して高組換えタンパク質力価を有するCHOトランスフェクトーマを生成することを独立に確認するため、CHO DG44細胞株中へのpTV(I)プラスミドの第二のトランスフェクションを行った。第二のトランスフェクションの結果を下記表IIに示す。第二のトランスフェクションからの結果から、pTV(I)ベクターが好ましい遺伝子座での組み込みにより高組み込みタンパク質力価を有するトランスフェクトーマを一貫して生成することが確認された。表II中の太字のクローンは、部位特異的な組み込みを示すためにその後にサザーンブロットにより分析したことを示す。「ND」は試験しなかったことを示す。
【0058】
表 II
【表2】
【0059】
5.0kbのゲノムDNAをシークエンシングする際に、本発明者らは、おそらく立体障害のためにジゴキシゲニン標識dTTP(デオキシヌクレオシド三リン酸)を用いたPCR反応で増幅されなかった70%A−TリッチなA−Tリッチモチーフに出くわした。これと一致して、哺乳動物ゲノムで高度に発現される遺伝子は優勢にA−Tに富んだシス作動性のエレメントを含んでいる(Mehta (1996) J. Biol. Chem. 271(52): 33616)。このことは、下流の組換え遺伝子発現を増大させるシス作動性エレメントとしての5.0kb CHOゲノムDNA中のA−Tリッチモチーフの評価へと導く。本発明者らは、PCR増幅および被験遺伝子(所望のタンパク質)としてのCTLA4−Ig遺伝子および陽性の選択マーカーとしてのDHFR遺伝子を含むベクター中への所望の生成物のクローニングを用い、2つの同遺伝子型挿入ベクターpTV(I)/1.6(配列番号1のヌクレオチド3050〜4676を含む)およびpRV(I)/1.4(配列番号1のヌクレオチド3050〜4485を含む)を構築した。
【0060】
上記のように5.0kbゲノムDNAからの1435ヌクレオチドを含むpRV(I)/1.4ベクターは、PCRプライマー
AGCCTATCTCCATTCGTCA(配列番号10)および
CCGCCGAATTCATGTCTGTGTTCCTGTTAGTG(配列番号11)を用いて生成した。ベクターpTV(I)/1.6(5.0kbゲノムDNAからの1626ヌクレオチドを含む)は、PCRプライマー
AGCCTATCTCCATTCGTCA(配列番号12)および
CCGCCGAATTCAACCACATGGTGGCTCACAA(配列番号13)を用いて生成した。
【0061】
PCR由来断片を、CTLA4−Igリポーター遺伝子およびdhfr選択マーカーを含む上記同発現ベクター中にクローニングした。これら2つの新たなベクターは共通するフォアウォードプライマーにより生成される同じ5'末端を有しているが、1.4kbのHIRPEの3'末端は1.6kbのHIRPEに比べて約200bp短い。CHO DG44細胞中に形質転換すると、両ベクターともELISAにおいてCTLA4−Igタンパク質発現について陽性の約120のトランスフェクトーマを生成した(Symingtonら、(1993) J. Immunol. 150(4): 1286)。しかしながら、各クラスの上位4つの産生クローンからのCTLA4−Ig力価を比較したときに、pTV(I)/1.6ベクターを含むトランスフェクトーマは約4倍高いCTLA4−Igタンパク質力価を発現したが、pTV(I)/1.4を含むトランスフェクトーマはCTLA4−Igタンパク質発現を有意に改善しなかった(図8参照)。これら結果から、5.0kbゲノムDNA中の200bp A−TリッチモチーフはCHO細胞で組換え遺伝子発現を増大させるシス作動性のエレメントとして作用すると結論された。
【0062】
以下の記載は、相同置換ベクターの利点および5.0kbのゲノムDNAを含む置換ベクターpTV(R)の構築の詳細である。置換ベクターを用いた導入DNAと染色体DNAとの間での相同組換えは、外来DNAを哺乳動物細胞中に導入するために広く用いられている。CHO細胞での相同組換えに影響を及ぼす変数としては、これらに限られるものではないが、遺伝子座、相同配列の量、および陽性選択カセットを含む多くの変数がある。置換ベクターは相同組換えの頻度が5〜10倍低いが、外来プラスミド配列は組換え事象の間に切り出されながら挿入物(組換え遺伝子)が安定に組み込まれるという利点がある。このことは、プラスミド配列全体が挿入される挿入ベクター(pTV(I))とは対照的である。さらに、置換ベクターは、置換ベクターに適用可能な部位特異的な組み込みのための一般に受け入れられているエンリッチメント(enrichment)手順のために好ましい(Hastyら、(1991) Mol. Cell. Bio. 11: 4509)。最後に、HSV−tk遺伝子と組み合わせた置換ベクターは、相同組換えの結果得られるトランスフェクトーマを単離するのに用いる最も一般的なエンリッチメント手順を提供する(Zheingら、(1990) Nature 344: 170)。
【0063】
ヌクレオシドアナログであるアシクロビルは、HSV−チミジンキナーゼ(「HSV−tk」)遺伝子を発現する哺乳動物細胞を選択的に殺す。HSV−tkはアシクロビルをそのリン酸化形態に変換するが、これは細胞にとって毒性である。その結果、HSV−tkを発現する細胞のみが殺され、正常なCHO細胞は殺されない。HSV−tk遺伝子は、置換ベクター中で相同組換えの後に該HSV−tk遺伝子が欠失されるような領域に戦略的に配置され、一方、他のすべての組換え事象(ランダムな組み込み)は遺伝子をそのまま保持する。その結果、相同組換えの結果得られるトランスフェクトーマはアシクロビル選択を生き残るが他のクラスのトランスフェクトーマは殺される(Evrardら、(1996) Cell. Biol. Toxicol. 12(4-6): 345)。
【0064】
pTV(R)ベクターは、CTLA4−Ig発現カセットの5'末端にA−Tリッチ領域を含む1.6kbのゲノムDNAおよびDHFR選択マーカーの3'末端に2.2kbのフランキングゲノム断片を含む(図4)。ゲノムDNAの2つの部分へのクローニングはポリメラーゼ連鎖反応を用いて新たな制限部位を作製することにより行ったが、これは組換えDNA法の当業者には自明の方法である。置換ベクターは、相同組換えの結果得られるトランスフェクトーマではHSV−tk遺伝子が離脱されるが、異常な組換え体は活性なHSV−tk遺伝子を保持するようにデザインされている。その結果、活性なHSV−tk遺伝子を含む異常な組換え体はすべて阻害剤のアシクロビルにより殺され、部位特異的な組換えの結果得られるクローンのみを選択的に増殖させることができる(Pfizerら、(1987) Am. J. Cancer 40: 114; Davidsonら、(1981) Virology 113: 9)。
【0065】
部位特異的な組換え体を選択的に富ませる戦略は予想された結果をもたらし、置換ベクターを用いて生成したトランスフェクトーマの10%がこの選択を生き残った。エレクトロポレーションによりpTV(R)をCHO細胞株DG44中に導入すると、第1回目の20nMメトトレキセート選択を生き残った860のトランスフェクトーマが得られた。しかしながら、第2回目の1.0mMアシクロビルによる選択では94のトランスフェクトーマ(10%)のみが生き残った。これら二重の選択を生き残ったトランスフェクトーマは、部位特異的な組換え事象によるものである。これら94のトランスフェクトーマすべてをCTLA4−Igタンパク質力価についてスクリーニングした。最高のCTLA4−Igタンパク質力価を有する上位6つのトランスフェクトーマを下記表IIIに示す。
【0066】
表 III
【表3】
【0067】
これら6つのトランスフェクトーマ(すなわち、1C9、2B11、3D5、4F4、5C4および6F1)からのゲノムDNAを上記手順を用いて調製した。ゲノムDNAをBsp1201制限酵素で消化し、上記セクションで記載したのと同様にPCRにより生成した200bpおよび500bpのハイブリダイゼーションプローブを用いたサザーンブロット分析に供した。アガロースゲルベッド電気泳動および洗浄条件を含むハイブリダイゼーション条件は、上記に記載した条件と同じであった。分析した6つのすべてのクローンからのDNAバンドパターンは、それぞれ3.5kbおよび2.7kbのバンドを有する2バンドパターンを明らかにした(図6)。これらの結果から、2.7kb DNAのバンドが妨害されないゲノムホモログを表し、3.5kb DNAはプラスミドとCHO細胞での組み込み部位を説明するゲノムDNAとを含むハイブリッドバンドであることが推論された。分析した6つのすべてのトランスフェクトーマからの共通する3.5kbのハイブリッド断片の存在は、相同置換ベクターがCHO細胞中の特定の部位に選択的に組み込まれたことを示している。さらに、本発明のHIRPE遺伝子(配列番号1)またはその断片(配列番号2)を含む置換ベクター中にHSV−tk遺伝子を用いて生成したトランスフェクトーマの数を減らした後でもタンパク質産生は高いままであった。
【0068】
上記の開示は、本発明が組換えタンパク質の発現を増大させるための独特で信頼性のある方法を提供することを示している。本発明者らによって教示されたHIRPE配列(配列番号1)またはHIRPE活性を示す配列番号1の断片(好ましくは配列番号2に示す断片)を用いることにより、当業者は首尾よくトランスフェクションした細胞のパーセントを増大させることができるのみならず、それらトランスフェクションした細胞での発現をも増大させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 親のCTLA4−Ig発現細胞株(本明細書で細胞株「P」と称する)でのCTLA4−Ig組み込み部位のクローニングを示す。図1Aはサザーンブロットを示しており、5.5kbのEcoRI断片はDG44宿主およびP CHO細胞株の両者中の天然染色体を表す。レーン2の8.0kbおよび10.0kbのバンドは、それぞれ再配置した左および右のフランキング領域を表す。図1Bは、細胞株P組み込み部位の左フランキング領域(レーン1)および右フランキング領域(レーン2)を含むクローニングEcoRI断片が細胞株PからのEcoRI消化ゲノムDNAと一緒に移動することを示している。
【図2】 細胞株P中のCTLA4−Ig組み込み部位の分子構成を表している。CTLA4−Ig遺伝子の両末端にフランキングする同一の5.0kbゲノム配列;A−Tリッチモチーフ;MAR様配列(マトリックス結合領域);およびAlu様配列を示す。
【図3】 相同挿入組換えベクター、pTV(I)の模式図を示す。
【図4】 相同置換組換えベクター、pTV(R)の模式図を示す。
【図5】 サザーンブロット分析を示しており、挿入組換えベクター、pTV(I)を含むトランスフェクトーマでの部位特異的な組み込みが確認される。
【図6】 サザーンブロット分析を示しており、置換組換えベクター、pTV(R)を含むトランスフェクトーマでの部位特異的な組み込みが確認される。ブロットは5つのすべてのクローンで3.5kbのバンドを明らかにしており、置換ベクターが同様のゲノム遺伝子座をターゲティングすることを示唆している。
【図7】 サザーンブロット分析および制限酵素マッピングにより分析したLFR断片およびRFR断片の模式図を示す。
【図8】 組換え遺伝子発現に及ぼすA−Tリッチモチーフ領域の効果を示す。完全長の5.0kb核酸配列;1.6kbの核酸配列(A−Tリッチモチーフを含む);またはA−Tリッチモチーフを含まない1.4kb領域のいずれかを含む上位4つのトランスフェクトーマからのCTLA4−Ig発現をμg/mlで示す。
【図9】 本発明のHIRPEを得るのに用いたオリゴヌクレオチドを示す。
【図10】 本発明のHIRPEがCTLA4−Igの発現を促進することを示す。
【図11】 挿入ベクターおよび置換ベクターが同様の結果を与えることを示す。
Claims (16)
- (a)配列番号1に示す配列;
(b)(a)の相補体;または
(c)配列番号1の断片 であって、配列番号1のヌクレオチド3050〜4676を含み、該核酸断片を発現ベクター中に導入したときに目的組換えタンパク質の発現を増大させることができることを特徴とする断片
のいずれかを含む単離核酸。 - 請求項1に記載の核酸 を含む発現ベクター。
- 配列番号1のヌクレオチド3050〜4676を含む、請求項2に記載の発現ベクター。
- さらに選択マーカーを含む、請求項2に記載の発現ベクター。
- さらに選択マーカーを含む、請求項3に記載の発現ベクター。
- 目的タンパク質の全体または一部をコードする核酸 をさらに含む、請求項2に記載の発現ベクター。
- 該目的タンパク質がCTLA4−Igまたはその変異体である、請求項6に記載の発現ベクター。
- 目的タンパク質の全体または一部をコードする核酸を さらに含む、請求項3に記載の発現ベクター。
- 該目的タンパク質がCTLA4−Igまたはその変異体である、請求項8に記載の発現ベクター。
- 請求項2に記載の発現ベクターで形質転換した宿主細胞。
- 請求項3に記載の発現ベクターで形質転換した宿主細胞。
- 請求項6または7に記載の発現ベクターで形質転換したCHO細胞。
- 請求項8または9に記載の発現ベクターで形質転換したCHO細胞。
- 組換えタンパク質を得る方法であって、請求項12に記載の形質転換したCHO細胞を 培養し、ついで該タンパク質を回収することを含む方法。
- 組換えタンパク質を得る方法であって、請求項13に記載の形質転換したCHO細胞を 培養し、ついで該タンパク質を回収することを含む方法。
- 組換えCTLA4−Ig分子を得る方法であって、請求項7に記載の発現ベクターで形質転換した宿主細胞を 培養し、ついで該CTLA4−Igを回収することを含む方法。
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