JP4480868B2 - プリント基板における部品の配置の計算方法、その装置およびコンピュータ読み取り可能な記録媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリント基板における部品の配置の計算方法およびその装置に関し、さらに詳細には、プリント基板におけるEMC(electromagnetic compatibility:電磁的両立性)対策として用いて好適なプリント基板における部品の配置の計算方法およびその装置に関し、特に、プリント基板においてEMCを考慮した部品の配置を実現する際に用いて好適なプリント基板における部品の配置の計算方法およびその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、プリント基板の設計において、プリント基板における部品の配置を決定する場合には、配線効率や実装密度の観点のみから各部品の配置を決定することが多く、プリント基板における各部品の配置は電気的な影響をあまり考慮せずに決定されていた。
【0003】
このため、上記のようにして部品の配置を決定されたプリント基板においては、結果的にEMCの点で問題を生ずることが多かった。
【0004】
即ち、プリント基板の設計において、電気的な影響を考慮せずに各部品の配置を決定すると、プリント基板上に形成される配線構造によっては、意図しない不要な等価回路が基板の物理構造のためにできてしまうことがある。
【0005】
この意図しない不要な等価回路はEMCの点で不具合を大きくすることがあるため、プリント基板上に形成される配線はシンプルにする必要があり、そのためには部品の配置を的確に行う必要があった。
【0006】
さらに、電源/GND(ground:グランド)のパターンもまた、EMCの点で問題を起こすことが多かった。以下、この点について説明する。
【0007】
ここで、部品の信号伝達に伴う動作電流は、部品の信号端子が持つ電気特性たるスルーレートに依存する。この動作電流を高周波電流とすると、高周波電流は、部品の電源/GNDの端子から信号端子を経て配線に供給される。
【0008】
この電源/GNDの高周波電流が、プリント基板の電源/GNDのパターンに広がり、プリント基板全体についてEMCの点で問題を悪化させることとなっていた。
【0009】
ところで、上記したようなEMCに関する問題については、実際にプリント基板を作成してからでないと判らない点があった。
【0010】
従って、従来においては、プリント基板の作成後にEMCの点で問題が生じると、その問題が解決されるまで何度でも設計を繰り返し行う必要があり、開発費や製造費などのコストが増大する一方であるという問題点があった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記したような従来の技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、プリント基板の作成に伴う開発費や製造費などのコストの低減を図りながら、EMCに関する問題の発生を抑制することができるようにしたプリント基板における部品の配置の計算方法およびその装置を提供しようとするものである。
【0012】
また、本発明の目的とするところは、EMCの点で障害が起こらないようにする指標やガイダンスを表示することのできるようにしたプリント基板における部品の配置の計算方法およびその装置を提供しようとするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明によるプリント基板における部品の配置の計算方法およびその装置は、プリント基板の設計データのみを用いて計算処理を行うことでEMCに関する問題の発生を予測し、プリント基板の作成に伴う開発費や製造費などのコストの低減を図りながら、EMCに関する問題の発生を抑制することができるようにしたものである。
【0014】
こうした本発明によるプリント基板における部品の配置の計算方法およびその装置を用いることによって、プリント基板における部品の配置をシンプルにすることが可能となり、意図しない不要な等価回路がプリント基板上に形成されることが防止されて、EMCに関する問題の発生を抑止することができるようになる。
【0015】
また、本発明によるプリント基板における部品の配置の計算方法およびその装置を用いることによって、電源/GNDのパターンに広がる高周波電流が原因となるEMCに関する問題の発生を抑止することができるようになる。
【0016】
ここで、本発明のうち請求項1に記載の発明は、第1の計算手段と、第2の計算手段と、第3の計算手段とを有するプリント基板における部品の配置の計算装置により、プリント基板に配置されている複数の部品に対してEMCを考慮した配置がなされているか否かを計算するプリント基板における部品の配置の計算方法において、上記第1の計算手段が、プリント基板上に配置される複数の部品に対して、上記複数の部品の信号端子が持つ電気特性であるスルーレートの計算を行う第1の処理と、上記第2の計算手段が、上記第1の処理により計算されたスルーレートと、上記複数の部品の電源/GND端子と基準部品の端子との距離に基づいて、上記複数の部品のうちの所定の部品の電源/GNDパターンに応じた上記所定の部品と基準部品との配置距離たる推奨距離を計算する第2の処理と、上記第3の計算手段が、上記第2の処理により計算された推奨距離と、上記所定の部品の電源/GND端子と基準部品の端子との距離に基づいて、推奨距離と上記所定の部品が配置された距離との適合割合を計算する第3の処理とを有するようにものである。
【0017】
また、本発明のうち請求項2に記載の発明は、本発明のうち請求項1に記載の発明において、さらに、上記第3の処理の計算結果に応じたガイダンスを表示する第4の処理とを有するようにしたものである。
【0018】
また、本発明のうち請求項3に記載の発明は、プリント基板に配置されている複数の部品に対してEMCを考慮した配置がなされているか否かを計算するプリント基板における部品の配置の計算装置において、プリント基板上に配置される複数の部品に対して、上記複数の部品の信号端子が持つ電気特性であるスルーレートの計算を行う第1の計算手段と、上記第1の計算手段により計算されたスルーレートと、上記複数の部品の電源/GND端子と基準部品の端子との距離に基づいて、上記複数の部品のうちの所定の部品の電源/GNDパターンに応じた上記所定の部品と基準部品との配置距離たる推奨距離を計算する第2の計算手段と、上記第2の計算手段により計算された推奨距離と、上記所定の部品の電源/GND端子と基準部品の端子との距離に基づいて、推奨距離と上記所定の部品が配置された距離との適合割合を計算する第3の計算手段と有するようにしたものである。
【0019】
また、本発明のうち請求項4に記載の発明は、本発明のうち請求項3に記載の発明において、さらに、上記第3の計算手段による計算結果に応じたガイダンスを表示する表示手段と有するようにしたものである。
【0020】
また、本発明のうち請求項5に記載の発明は、プリント基板に配置されている複数の部品に対してEMCを考慮した配置がなされているか否かを計算する、プリント基板における部品の配置の計算を、コンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体において、プリント基板上に配置される複数の部品に対して、上記複数の部品の信号端子が持つ電気特性であるスルーレートの計算を行う第1の処理と、上記第1の処理により計算されたスルーレートと、上記複数の部品の電源/GND端子と基準部品の端子との距離に基づいて、上記複数の部品のうちの所定の部品の電源/GNDパターンに応じた上記所定の部品と基準部品との配置距離たる推奨距離を計算する第2の処理と、上記第2の処理により計算された推奨距離と、上記所定の部品の電源/GND端子と基準部品の端子との距離に基づいて、推奨距離と上記所定の部品が配置された距離との適合割合を計算する第3の処理とを、コンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体としたものである。
【0021】
また、本発明のうち請求項6に記載の発明は、本発明のうち請求項5に記載のコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体において、さらに、上記第3の処理の計算結果に応じたガイダンスを表示する第4の処理とを、コンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体としたものである。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明によるプリント基板における部品の配置の計算方法およびその装置の実施の形態の一例を詳細に説明する。
【0023】
図1には、本発明によるプリント基板における部品の配置の計算装置の実施の形態の一例のシステム構成を表すブロック構成図が示されている。
【0024】
即ち、この本発明によるプリント基板における部品の配置の計算装置(以下、単に「計算装置」と称する。)は、その全体の動作を中央処理装置(CPU)10を用いて制御するように構成されている。
【0025】
このCPU10には、バス12を介して、CPU10の制御のためのプログラムや後述する各種の情報などを記憶するリードオンリメモリ(ROM)やCPU10のワーキングエリアとして用いられる記憶領域などを備えたランダムアクセスメモリ(RAM)などから構成される内部記憶装置14と、CPU10の制御に基づいて各種の表示を行うCRTや液晶パネルなどの画面を備えた表示装置16と、表示装置16の画面上における任意の位置を指定するマウスなどのポインティングデバイス18と、任意の文字を入力するためのキーボードなどの文字入力デバイス20と、CPU10の制御により各種の情報を記憶させることができるとともに記憶した各種の情報を読み出して内部記憶装置14に転送可能とされたハードディスクなどの外部記憶装置22とが接続されている。
【0026】
なお、上記したように外部記憶装置22は各種の情報を記憶しているものであるが、本発明の実施に関連する情報としては、プリント基板の設計データたるレイアウト設計データが記憶されている。
【0027】
ここで、レイアウト設計データは、各種の部品に関する情報である部品情報と、各種の部品間の配線状態を示す配線情報と、後述する許容値ならびに後述する閾値の指定値などから構成されている。
【0028】
また、部品情報には、部品の配置位置を示す配置位置情報と、部品の端子に関する情報である端子情報とが含まれている。
【0029】
一方、配線情報には、信号の振幅に関する情報である信号振幅情報と、信号の立ち上がり時間に関する情報である立上り時間情報とが含まれている。なお、信号振幅情報と立上り時間情報との数値は、文字入力デバイス20などを用いてユーザーが任意に設定可能である。
【0030】
以上の構成において、図2に示すフローチャートならびに図3以下の各図を参照しながら、この計算装置によって実行される処理の内容について説明する。
【0031】
なお、この計算装置においては、ポインティングデバイス18や文字入力デバイス20をユーザーが操作することにより、所望の指示を入力することができるようになされている。
【0032】
そして、ユーザーがポインティングデバイス18や文字入力デバイス20を操作して、外部記憶装置22からレイアウト設計データの読み出しを指示すると、レイアウト設計データが外部記憶装置22から読み出されて内部記憶装置14へ転送される。
【0033】
そうすると、CPU10は、内部記憶装置14へ転送されて記憶されたレイアウト設計データから所定の情報を読み出して、以下に説明する処理をタイムシェアリングにより並列して同時に実行することになる。
【0034】
即ち、CPU10は、レイアウト設計データから部品情報を読み込み(ステップS202)、部品情報から配置位置情報を取得する(ステップS204)とともに、部品情報から端子情報(ステップS206)を取得する。
【0035】
その一方で、CPU10は、レイアウト設計データから配線情報を読み込み(ステップS208)、配線情報から信号振幅情報を取得する(ステップS210)とともに、配線情報から立上り時間情報を取得する(ステップS212)。
【0036】
それから、配置位置情報と端子情報とを部品へのスルーレートの割付処理(ステップS214)へ引き渡すとともに、信号振幅情報と立上り時間情報とを用いてスルーレート計算処理(ステップS216)を行った結果をスルーレートの割付処理(ステップS214)へ引き渡す。
【0037】
そして、このスルーレートの割付処理(ステップS214)の結果から、スルーレートを部品へ割り付けられるか否かを判断し(ステップS218)、スルーレートを部品へ割り付けられると判断した場合には当該部品を処理対象部品とし(ステップS220)、一方、スルーレートを部品へ割り付けられるとは判断されなかった場合には当該部品を処理対象外部品とする(ステップS222)。
【0038】
ここで、上記した部品へのスルーレートの割付処理(ステップS214)について、図3を参照しながら詳細に説明する。
【0039】
まず、スルーレートは、「スルーレート=信号振幅/立上り時間」によって定義されるものとする。
【0040】
こうしたスルーレートを割り付ける対象となる部品としては、
(1)部品内に「電源/GNDに接続された端子」が存在すること
(2)部品内に「立上がり時間」と「信号振幅」の設定されている信号配線に接続されている端子が存在すること
という条件を備えている部品を、スルーレートを割り付ける対象となる部品、即ち、処理対象部品として選択して、 スルーレートの割付処理を行う。
【0041】
なお、同一部品の複数端子に「立上がり時間」と「信号振幅」が設定された場合は、その部品でのスルーレートの最大値を適用する。
【0042】
一方、スルーレート計算処理(ステップS216)の計算結果は、スルーレートの論理和処理(ステップS224)へ送られて、スルーレートの論理和が得られる。
【0043】
そして、スルーレートの論理和処理(ステップS224)より得られたスルーレートの論理和は、部品の配置距離計算処理(ステップS226)へ送られる。
また、この部品の配置距離計算処理(ステップS226)には、処理対象部品(ステップS220)から処理対象部品が送られる。
【0044】
なお、処理対象部品(ステップS220)からは、処理対象部品の位置情報の論理和処理(ステップS228)へも処理対象部品が送られており、この処理対象部品の位置情報の論理和処理(ステップS228)より得られた処理対象部品の論理和が、部品の配置距離計算処理(ステップS226)へ送られる。
【0045】
一方、ポインティングデバイス18の操作などにより基準となる部品たる基準部品として任意に指定された部品が読み込まれ(ステップS230)、この基準部品は部品の配置距離計算処理(ステップS226)へ送られる。
【0046】
ここで、上記した部品の配置距離計算処理(ステップS226)について、図4を参照しながら詳細に説明する。
【0047】
まず、部品の配置距離計算処理(ステップS226)において使用する計算式は、「部品評価値=推奨距離/距離」によって定義されるものとする。
【0048】
ここで、部品評価値とは、実際の部品が配置された距離と当該部品を配置する際の推奨距離との適合割合を表すものであり、最大値を「1」とする。
【0049】
従って、「部品評価値=1」のときに、実際の部品が配置された距離は当該部品を配置する際の推奨距離に最も適合しているものであり、部品評価値が「1」より小さくなればなるほどその適合の度合いは低くなる。
【0050】
また、「部品評価値×100[%]」を準拠度(「準拠度」とは、推奨距離に対する配置位置適合率を意味する。)として定義するものであり、図4には上記した計算結果の一例が示されている。
【0051】
ここで、推奨距離とは、「スルーレート=ネットの『信号振幅/立上がり時間』のMAX(最大)値」とし、「SSUM=対象部品の『1/スルーレート』の総和」とし、「DSUM=対象部品の『基準部品までの距離』の総和」とすると、「推奨距離=(1/対象部品のスルーレート)×(DSUM/SSUM)」により定義されるものであり、部品の電源/GNDパターンに応じた当該部品と基準部品との配置距離を示すものである。
【0052】
なお、「DSUM=対象部品の『基準部品までの距離』の総和」における「距離」としては、例えば図4に示すように、最短距離やマンハッタン長などを適宜に決定して用いるようにすればよい。
【0053】
また、図4には、上記した演算式を用いた計算結果の一例として、準拠度と配線状態との関係が示されている。
【0054】
また、準拠度が許容値内であるか否かを判定する許容値の計算処理(ステップS234)において用いる閾値の読み込みを行い(ステップS232)、読み込んだ閾値を許容値の計算処理(ステップS234)へ送る。
【0055】
ここで、閾値としては、閾値1たる警告設定値(%)と閾値2たる注意設定値(%)との2種類が設定されており、これら2種類の閾値を読み込むものである。
【0056】
なお、警告設定値(%)と注意設定値(%)との2種類の閾値はそれぞれ、ユーザーが文字入力デバイス20などを用いて任意の値に設定することができるものである。
【0057】
そして、許容値の計算処理(ステップS234)においては、準拠度が「警告」に該当するか、「注意」に該当するか、あるいは「合格」に該当するか判定するために、準拠度と閾値との比較処理を行う。
【0058】
ここで、「準拠度(%)<警告設定値(%)」の場合には「警告範囲」に該当し、「警告設定値(%)≦準拠度(%)<注意設定値(%)」の場合には「注意範囲」に該当し、「注意設定値(%)≦準拠度(%)」の場合には「許容値内」に該当するものとする。
【0059】
次に、上記した比較処理の結果が警告範囲であるか否かを判断し(ステップS236)、上記した比較処理の結果が警告範囲であると判断された場合には、表示装置16の画面に表示する際に強調表示させる強調表示処理(ステップS242)を行い、上記した比較処理の結果が警告範囲ではないと判断された場合には、上記した比較処理の結果が注意範囲であるか否かを判断する(ステップS238)。
【0060】
さらに、上記した比較処理の結果が注意範囲であると判断された場合には、表示装置16の画面に表示する際に強調表示させる強調表示処理(ステップS242)を行い、上記した比較処理の結果が注意範囲ではないと判断された場合には、上記した比較処理の結果は許容値内にあり合格とする(ステップS240)。
【0061】
そして、強調表示処理(ステップS242)の処理結果に基づいて、表示装置16における画面が画面表示される(ステップS248)。
【0062】
ここで、警告設定値ならびに注意設定値の設定と連動して、「警告」、「注意」ならびに「合格」の場合に表示装置16の画面に表示する際の表示色を任意設定することが可能である。
【0063】
例えば、警告設定値を70%とするとともに警告の表示色を赤色とし、注意設定値を80%とするとともに警告の表示色を黄色とし、合格の表示色を緑色とした場合には、図5に示すように、準拠度が50%の場合には警告が赤色表示され、準拠度が75%の場合には注意が黄色表示され、準拠度が85%の場合には注意が緑色表示される。
【0064】
さらに、改善手法のガイダンスが読み込まれて(ステップS244)、部品位置の改善手法のガイダンスの処理(ステップS246)に送られる。
【0065】
また、部品位置の改善手法のガイダンスの処理(ステップS246)には、処理対象部品220における処理対象部品と部品の配置距離計算処理(ステップS226)の処理結果とが送られる。
【0066】
そして、部品位置の改善手法のガイダンスの処理(ステップS246)の結果として、表示装置16にガイダンスの画面表示が行われる。
【0067】
これにより、設計者に設計の変更を促すことができるものであり、設計者はこガイダンスの表示を確認することにより、容易に設計の変更を行うことができる。
【0068】
図6には、部品位置の改善手法のガイダンスの処理による画面表示の一例が示されている。この図6に示す例においては、部品の配置のルールとしては、立上り時間が速く、信号振幅の大きい部品ほどコネクタ側に配置されているか否かをチェックしている。
【0069】
そして、推奨距離の短い部品がコネクタ近傍に配置されていないため、表示装置16の画面にはガイダンスの表示として、「対策」について「『推奨距離』の短い部品をコネクタ近傍に配置して下さい」とのテキスト表示がなされるとともに、推奨距離の短い部品をコネクタ近傍に配置することを指示する図形表示がなされる。
【0070】
また、表示装置16の画面には、「ルール内容」ならびに「SI&EMCの問題点」も合わせてテキスト表示される。
【0071】
ここで、図7には、部品位置の改善手法のガイダンスの処理による画面表示の他の例が示されている。この図7に示す例においても、部品の配置のルールとしては、立上り時間が速く、信号振幅の大きい部品ほどコネクタ側に配置されているか否かをチェックしている。
【0072】
そして、推奨距離の短い部品がコネクタ近傍に配置されていないため、表示装置16の画面にはガイダンスの表示として、「対策」について「警告または注意の表示された部品を基準部品IC001近傍に配置して下さい。例えば、警告とされたIC002は現状距離200mmに配置されているのに対して、推奨距離が150mmとなっています、部品位置を推奨距離以内に配置する事をお勧めします。」とのテキスト表示がなされるとともに、推奨距離の短い部品をコネクタ近傍に配置することを指示する図形表示がなされる。
【0073】
また、表示装置16の画面には、「ルール内容」ならびに「SI&EMCの問題点」も合わせてテキスト表示される。
【0074】
なお、図7の「対策」においてテキスト表示された内容のなかで下線を付された「IC001」、「IC002」、「200mm」ならびに「150mm」は、他のテキスト表示とは異なる色(例えば、赤色)で表示されており、その表示内容は、レイアウト設計データに基づく図2に示す処理における計算結果に応じて自動的に変更される。
【0075】
なお、図8乃至図12には、表示装置16の画面に実際の表示される表示例が示されている。
【0076】
図8は、各ルールの設定を行う画面表示の表示例であり、「部品の配置」は「A−10」の項において指定することができる。
【0077】
また、「表示色」の項において「警告」、「注意」および「合格」に関する表示色を指定することができ、例えば、「警告」として「赤色」を指定し、「注意」として「黄色」を指定し、「合格」として「緑色」を指定することができる。
【0078】
図9は、各ルール毎に出力された計算結果を示す画面表示の表示例であり、「A−10」の項の「部品の配置」に関しては、「警告」が「20」となり、「注意」が「7」となり、「合格」が「11」となっている。
【0079】
図10は、部品の配置の計算結果を示す画面表示の表示例であり、各部品毎に推奨距離、距離(基準部品から当該部品までの距離)、準拠度(配置位置適合率)および評価(準拠度の判定結果を「警告」、「注意」あるいは「合格」で表す。)が表示される。
【0080】
図11は、図8において設定されたルールをCADデータ上で表示した状態を示す画面表示の表示例である。
【0081】
図12は、図11に示す部品の位置を修正するのに必要なガイダンスの画面表示の表示例であり、設計者に設計の変更を促すことができる。
【0082】
なお、上記した実施の形態は、以下に示す(1)〜(3)のように変形してもよい。
【0083】
(1)上記した実施の形態においては、改善手法のガイダンスの処理(ステップS246)において、テキスト表示と図形表示との双方を行うようにしたが、これに限られることなしに、テキスト表示と図形表示とのいずれか一方のみを行うようにしてもよい。
【0084】
(2)上記した実施の形態においては、改善手法のガイダンスの処理(ステップS246)において、改善手法のガイダンスを表示することにより、設計者に設計の変更を促すようにしたが、これに限られることなしに、自動的に設計変更を行うようにして、その変更内容を表示するようにしてもよい。
【0085】
(3)上記した実施の形態ならびに上記した(1)〜(2)に示す変形例は、適宜に組み合わせるようにしてもよい。
【0086】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したように構成されているので、プリント基板の作成に伴う開発費や製造費などのコストの低減を図りながら、EMCに関する問題の発生を抑制することができるようになるという優れた効果を奏する。
【0087】
また、本発明は、以上説明したように構成されているので、EMCの点で障害が起こらないようにする指標やガイダンスを表示することのできるようになるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるプリント基板における部品の配置の計算装置の実施の形態の一例のシステム構成を表すブロック構成図である。
【図2】本発明によるプリント基板における部品の配置の計算装置によって実行される処理の内容を示すフローチャートである。
【図3】部品へのスルーレートの割付処理の詳細を示す説明図である。
【図4】部品の配置距離計算処理の詳細を示す説明図である。
【図5】閾値ならびに許容値に関する説明図である。
【図6】部品位置の改善手法のガイダンスの処理による画面表示の一例を示す説明図である。
【図7】部品位置の改善手法のガイダンスの処理による画面表示の他の例を示す説明図である。
【図8】各ルールの設定を行う画面表示の表示例である。
【図9】部品の配置の計算結果を示す画面表示の表示例である。
【図10】部品の配置の計算結果を示す画面表示の表示例である。
【図11】図8において設定されたルールをCADデータ上で表示した状態を示す画面表示の表示例である。
【図12】 図11に示す部品の位置を修正するのに必要なガイダンスの画面表示の表示例である。
【符号の説明】
10 中央処理装置(CPU)
12 バス
14 内部記憶装置
16 表示装置
18 ポインティングデバイス
20 文字入力デバイス
22 外部記憶装置
Claims (6)
- 第1の計算手段と、
第2の計算手段と、
第3の計算手段と
を有するプリント基板における部品の配置の計算装置により、プリント基板に配置されている複数の部品に対してEMCを考慮した配置がなされているか否かを計算するプリント基板における部品の配置の計算方法において、
前記第1の計算手段が、プリント基板上に配置される複数の部品に対して、前記複数の部品の信号端子が持つ電気特性であるスルーレートの計算を行う第1の処理と、
前記第2の計算手段が、前記第1の処理により計算されたスルーレートと、前記複数の部品の電源/GND端子と基準部品の端子との距離に基づいて、前記複数の部品のうちの所定の部品の電源/GNDパターンに応じた前記所定の部品と基準部品との配置距離たる推奨距離を計算する第2の処理と、
前記第3の計算手段が、前記第2の処理により計算された推奨距離と、前記所定の部品の電源/GND端子と基準部品の端子との距離に基づいて、推奨距離と前記所定の部品が配置された距離との適合割合を計算する第3の処理と
を有することを特徴とするプリント基板における部品の配置の計算方法。 - 請求項1に記載のプリント基板における部品の配置の計算方法において、さらに、
前記第3の処理の計算結果に応じたガイダンスを表示する第4の処理と
を有することを特徴とするプリント基板における部品の配置の計算方法。 - プリント基板に配置されている複数の部品に対してEMCを考慮した配置がなされているか否かを計算するプリント基板における部品の配置の計算装置において、
プリント基板上に配置される複数の部品に対して、前記複数の部品の信号端子が持つ電気特性であるスルーレートの計算を行う第1の計算手段と、
前記第1の計算手段により計算されたスルーレートと、前記複数の部品の電源/GND端子と基準部品の端子との距離に基づいて、前記複数の部品のうちの所定の部品の電源/GNDパターンに応じた前記所定の部品と基準部品との配置距離たる推奨距離を計算する第2の計算手段と、
前記第2の計算手段により計算された推奨距離と、前記所定の部品の電源/GND端子と基準部品の端子との距離に基づいて、推奨距離と前記所定の部品が配置された距離との適合割合を計算する第3の計算手段と
を有することを特徴とするプリント基板における部品の配置の計算装置。 - 請求項3に記載のプリント基板における部品の配置の計算装置において、さらに、
前記第3の計算手段による計算結果に応じたガイダンスを表示する表示手段と
を有することを特徴とするプリント基板における部品の配置の計算装置。 - プリント基板に配置されている複数の部品に対してEMCを考慮した配置がなされているか否かを計算する、プリント基板における部品の配置の計算を、コンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体において、
プリント基板上に配置される複数の部品に対して、前記複数の部品の信号端子が持つ電気特性であるスルーレートの計算を行う第1の処理と、前記第1の処理により計算されたスルーレートと、前記複数の部品の電源/GND端子と基準部品の端子との距離に基づいて、前記複数の部品のうちの所定の部品の電源/GNDパターンに応じた前記所定の部品と基準部品との配置距離たる推奨距離を計算する第2の処理と、前記第2の処理により計算された推奨距離と、前記所定の部品の電源/GND端子と基準部品の端子との距離に基づいて、推奨距離と前記所定の部品が配置された距離との適合割合を計算する第3の処理とを、コンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。 - 請求項5に記載のコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体において、さらに、
前記第3の処理の計算結果に応じたガイダンスを表示する第4の処理とを、コンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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