以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図2は、本発明の画像形成装置の概略構成を示す図である。
図2に示す画像形成装置1には、回転軸10aを中心に所定の周速で回転方向Aに回転する感光体10(本発明にいう像担持体の一例に相当)が備えられている。感光体10の周速とは、感光体10の表面の移動速度である(以下、同じ)。この感光体10の表面は、高圧電源12に接続された接触型の帯電器11により一様に帯電された後、画像入力器13により潜像が形成される。感光体10の表面に形成された潜像は、現像器14に内蔵されたトナーにより現像されてトナー像が形成される。感光体10の表面に形成されたトナー像は、その感光体10と、それに対向する位置に配備された転写ロール15との間に挿通された被転写体19の表面に転写され、さらに定着器18の熱および/又は圧力等により定着される。また、感光体10の、転写後の表面の残留トナーは、ブラシ部材21、グラウンドGNDに接地された回転軸21a、フリッキング部材22、固形潤滑剤23、クリーニングブレード24、およびオーガ25を備えたクリーニング装置20により除去される。さらに、次の画像形成サイクルに進む前に、感光体10の表面の残存電位が、除電器17により除去される。
ここで、ブラシ部材21は、後述するように転写後の表面の残留トナーを除去する役割を有する他に、クリーニングブレード24により掻き落とされた残留トナーを捕獲、運搬する役割も有する。ブラシ部材21を構成する毛部により捕獲された残留トナーは、フリッキング部材22により毛部から叩き落とされ、クリーニング装置20の底部に備えられたオーガ25により運搬されて、図示しない箱体内に収容される。
クリーニングブレード24および感光体10の塗膜の保護を目的として、固形潤滑剤23が設けられている。ブラシ部材21は、固形潤滑剤23の下端部に当接するようにして回転することにより、その固形潤滑剤23の下端部から潤滑剤を少しずつ掻きとって保持する。次いで、固形潤滑剤23を通過した後のブラシ部材21は、フリッキング部材22に当接することにより、固形潤滑剤23から掻き取られた潤滑剤のうち比較的大きい粒径の潤滑剤が叩き落とされる。固形潤滑剤23から掻き取られた比較的小さい粒径でかつ比較的微量な潤滑剤のみがブラシ部材21により感光体10の表面にまで運搬されて塗布される。
図3は、図2に示す画像形成装置の、クリーニング装置を構成するブラシ部材,フリッキング部材,固形潤滑剤、およびクリーニングブレードを含む部分の断面模式図である。
尚、図3に示すBFIは、ブラシ部材21とフリッキング部材22の重なり量(フリッキング部材22に対するブラシ部材21のくい込み量)を意味し、BPIは、ブラシ部材と感光体の重なり量(感光体10に対するブラシ部材21のくい込み量)を意味する。
図3には、図2に示すクリーニング装置20を構成するブラシ部材21が示されている。このブラシ部材21は、図2に示す回転軸10aに平行に設けられた第2回転軸21aを中心に感光体10の回転方向Aとは逆の回転方向Bに回転する。また、ブラシ部材21は、感光体10の、被転写体19の被転写面にトナー像が転写された後の表面に先端が接触する、多数本の導電性の毛21_1aからなる毛部21_1を有する。
さらに、毛部21_1は、トナーの帯電電位とは異なる電位が付与されたものであって、先端が第2回転軸21aの半径方向からブラシ部材21の回転方向Bの下流側に傾いたものであり、毛部21_1の先端は、初期状態からいわゆる逆毛状態にある。また、このブラシ部材21は、感光体10の周速よりも遅い周速で回転する。ブラシ部材21の周速とは、毛部21_1の先端の移動速度のことである(以下、同じ)。
一方、フリッキング部材22は、毛部21_1の先端に接し、毛部21_1に付着した付着物をブラシ部材21が回転することで叩き落す部材である。
また、ブラシ部材21の上部には、感光体10の表面に塗布される固形潤滑剤23が配備されている。ブラシ部材21は、毛部21_1の先端を固形潤滑剤23に接触させた状態で回転することで感光体10の表面に潤滑剤を塗布する。
本実施形態の画像形成装置1では、図3に示すように、ブラシ部材21を構成する毛部21_1の先端が、第2回転軸21aの半径方向からブラシ部材21の回転方向Bの下流側に傾いた、いわゆる逆毛状態にある。このように逆毛状態にある毛部21_1の先端が感光体10の表面に逆らうようにして接するため、毛部21_1の先端の、感光体10の表面への接触力が高まり、従って感光体10の表面に残留している未転写のトナーを含めた異物を十分に除去することができる。さらに、逆毛状態にある毛部21_1の先端は、フリッキング部材22に接するため、ブラシ部材21の毛部21_1で捕獲された異物を十分に叩き落とすことができる。ここで、毛部21_1の先端は、感光体10およびフリッキング部材23に接することにより逆毛状態から起き上がりさらには順毛状態になる傾向にあるものの、ブラシ部材21は感光体10の周速よりも遅い周速で回転するため、感光体10の表面は、毛部21_1の先端を逆毛の状態に戻すように作用する。従って、長期にわたり逆毛の状態が維持されて、感光体10の表面に残留している未転写のトナーを含めた異物を長期にわたり十分に除去することができる。
また、クリーニング装置20には、図1に示すように、感光体10の表面に残留する残留物をその表面に先端を圧接させて掻き取るクリーニングブレード24が、ブラシ部材21よりも、感光体10の回転方向Aの下流側であって、ブラシ部材21の上方に配備されている。このため、感光体10の表面に残留している未転写のトナーを含めた異物を、ブラシ部材21と相俟ってさらに十分に除去することができる。また、クリーニングブレード24は、上述したように、ブラシ部材21の上方に配備されているため、クリーニングブレード24で掻き取られた残留物は、ブラシ部材21に落下しブラシ部材21で効率よく捕獲される。
ここで、感光体10の表面には潤滑剤が塗布されているため、クリーニング部材24の先端の、摩擦抵抗による欠けを防止することができる。
固形潤滑剤23は、詳細には、ブラシ部材21の毛部21_1が感光体10の表面に接触する領域よりもそのブラシ部材21の回転方向下流側であって毛部21_1がフリッキング部材23に接触する領域よりもそのブラシ部材21の回転方向Bの上流側に配備されている。このため、感光体10に固形潤滑剤23を塗布する前に、フリッキング部材22により残留トナーを含む異物を叩き落とすことに加えて、潤滑剤も叩き落とすことができる。従って、感光体10の表面に塗布する潤滑剤の量を規制することができる。また、フリッキング動作によりブラシ部材21の毛部21_1に付着した固形潤滑剤23の軸方向への分布ばらつきを緩和することもできる。
このように、フリッキング部材22を固形潤滑剤23の後に配置すると、潤滑剤の、クリーニングブレード24で掻き取られブラシ部材21で捕獲されて運搬される量は、フリッキング効果により低減される。ここで、クリーニングブレード24を保護するためには、XPSなどの表面分析による推定では、数ナノメートルの極薄膜の潤滑剤で十分である。感光体10上の潤滑剤の薄膜は、クリーニングブレード24による掻き取りにより調整することができるが、供給が過剰であると数ナノメートルの薄さに制御できなくなり、クリーニングブレード24の先端が、感光体10の回転方向下流側に引きずり込まれ、クリーニングブレード24の先端にめくれが生じる。これは詳細は不明であるが、固形潤滑剤23による潤滑効果よりも強い作用効果を持つ、トナーやその外添剤がブレード下を通過することによる粒子潤滑効果が、厚膜の潤滑剤により粒子が過剰に除去されることによりなくなることによると考えている。従って、図3に示す構成にてフリッキング部材22により感光体10に適用される潤滑剤の量を調整することが肝要である。また、ブラシ部材21の毛倒れ方向が感光体10の動作方向に逆らうように接触し、その後矯正される動的な過程により、ブラシ毛部21−1に付着した固形部材が振り落とされることに加えて、毛部21_1が感光体10に対し倣う時間が短くなり、ここでも塗布量を制限することができる。
上述した導電性の毛部21_1を有するブラシ部材21の材質は、ポリエステル、アクリル樹脂などが挙げられる。このブラシ部材21は、回転支持軸の周面にパイル織り生地をスパイラル状に巻いて形成されていて、回転支持軸と生地の基布部とは導電接着剤などを介して接着されている。基布部の外周は高抵抗のブラシ繊維が設けられており、繊維太さは3デニール〜17デニール、繊維の実長さから接着部分(0.5mm〜1.5mm程度)などを除いた自由長を1.5mm〜6mmの範囲とする。ここでいうデニールとは、繊維長さ9000mあたりの質量(グラム)で表されており、繊維太さを表す単位として用いている。基布部の外周には高抵抗のブラシ繊維が77〜233本/mm2の密度で構成されている。
このブラシ部材21において、構成上の限定で基布部分を除いたブラシ繊維の自由長を短くしたとき、高ブラシ繊維の太さおよび高繊維密度では上記先端力のバラツキは大きくなる。よって、自由長の短いブラシ部材21を使用した場合、ブラシ繊維太さおよび繊維密度は上記先端力バラツキが上記範囲内になるように適宜選択することができる。ここで、先端力とは、ブラシ部材21が回転しながら感光体10に接触したときにブラシ部材21から感光体10に与える力を意味する。
図4は、ブラシ部材の先端力を測定する先端力測定装置の側面図である。
この先端力測定装置30は、全長Lmmの測定板31と、その測定板31の中央に設置されたロードセル32と、測定支点33とを有する。ここで、ブラシ部材21の先端にかかる下向きの力である先端力Fbを求めるには、先ず、測定板31を所定の量x(くい込み量)だけブラシ部材21にくい込ませる。次いで、ブラシ部材21を矢印A方向に回転させる。このようにして、ブラシ部材21にくい込ませた測定板31の先端部にかかる下向きの力(Fb=先端力)を、測定板31の中央に設置したロードセル32にて値Fvとして検出し、不図示の測定器にて荷重値として出力して記録する。
実際の測定では、予め重さの分かっている錘を測定板31の中央部にのせ、そのときのロードセル32の出力電流値を基準として、実際にブラシ部材21で測定したときの電流値と比較することで、先端にかかる下向きの力(先端力)を求める。中央部に錘をのせた場合、先端力は錘の重さ÷2×電流値の比、という式から換算される。
ここで、ブラシ部材21の平均外径からブラシ部材21がフリッキング部材23および感光体10にくい込む最大深さ分だけブラシ部材21の回転中心方向に向かった位置でのブラシ部材21の使用前の先端力は、くい込み量が大きいほど大きくなる。フリッキング部材22に対するブラシ部材21のくい込み量が小さければ十分なフリッキング効果が得られず、逆に大きすぎるとブラシ部材21が早々とへたってしまい寿命が短くなる。同様に、感光体10へのくい込みによりブラシ部材21の毛倒れ方向が矯正されるが、くい込み量が大きすぎるとブラシ部材21の寿命が短くなる。前述のようなブラシ部材21の形状を選択し、そのブラシ部材21の先端力の平均値が4.9×10-3N/mm以内、かつ上記先端力のばらつきがブラシ部材21の軸方向で1.96×10-3N/mm以内になるように、フリッキング部材22および感光体10に対するブラシ部材21のくい込み量を0.5mm〜1.5mmの範囲に調整することによりブラシ部材21の延命を図ることができる。
図5は、ブラシ部材を製造する工程を示す図である。
ブラシ部材21を製造するに、先ず、生地製作工程41において、複数のフィラメントの集合体で製造されたフィラメント糸をパイルとする、一方向に毛が寝ているパイル織り生地を製作する。次に、巻付工程42において、シャフトに、パイル織生地をスパイラル状に巻き付ける。このとき、パイル織生地を逆毛方向に巻き付ける。
さらに、起毛工程43において、回転しているブラシに蒸気を当てることにより毛を所望の角度まで立たせる。次いで、シャーリング工程44において、起毛と外周を刈り揃える。このようにしてブラシ部材21を製造する。
また、本実施形態の画像形成装置に用いられるクリーニングブレードの材質としてはウレタンゴム、シリコンゴム、フッソゴム、クロロプレンゴム、ブタジエンゴム等を用いることができる。その中で耐摩耗性に優れていることからポリウレタン弾性体を用いる事が好ましい。ポリウレタン弾性体としては、一般にイソシアネートとポリオール及び各種水素含有化合物との付加反応を経て合成されるポリウレタンが用いられており、ポリオール成分として、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテル系ポリオールや、アジペート系ポリオール、ポリカプロラクタム系ポリオール、ポリカーボネート系ポリオール等のポリエステル系ポリオールを用い、ポリイソシアネート成分として、トリレンジイソシアネート、4,4′ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、トルイジンジイソシアネート、等の芳香族系ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂肪族系ポリイソシアネートを用いてウレタンプレポリマーを調製し、これに硬化剤を加えて、所定の型内に注入し、架橋硬化させた後、常温で熟成することによって製造されている。上記硬化剤としては、通常、1,4−ブタンジオール等の二価アルコールとトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の三価以上の多価アルコールとが併用される。クリーニングブレードの物性としては、例えば硬度(JISAスケール)50〜90,ヤング率(kg/cm2)40〜90,100%モジュラス(kg/cm2)20〜65,300%モジュラス(kg/cm2)70〜150,引っ張り強さ(kg/cm2)240〜500,伸(%)が290〜500,反発弾性(%)30〜70,引裂強さ(kg/cm2)25〜75,永久伸(%)が4.0以下の物が使用可能である。またブレードの圧接力は98〜588(×10-3N/cm)当接セット角度は17〜30(°)が好ましい。
固形潤滑剤としては、例えば乾燥した固体疎水性潤滑剤が用いられ、その代表例としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸鉄、ステアリン酸ニッケル、ステアリン酸コバルト、ステアリン酸銅、ステアリン酸ストロンチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸カドミウム、ステアリン酸マグネシウム、オレイン酸亜鉛、オレイン酸マンガン、オレイン酸鉄、オレイン酸コバルト,オレイン酸鉛、オレイン酸マグネシウム、オレイン酸銅、パルチミン酸、パルチミン酸コバルト、パルチミン酸銅、パルチミン酸マグネシウム、パルチミン酸アルミニウム、パルチミン酸カルシウム、カプリル酸鉛、カプロン酸鉛、リノレン酸亜鉛、リノレン酸コバルト、リノレン酸カルシウム、およびリコリノレン酸カドミウムのような脂肪酸を挙げることができる。また、カルバナウワックスのような天然ワックスをも用いることができる。これら潤滑剤を断面が矩形状の板状態に固めたものである。
固形潤滑剤の長さは、ブラシ部材および感光体の画像部よりやや長いものが用いられる。固形潤滑剤の重量は、ブラシ部材が固形潤滑剤を掻き取るのに必要な潤滑剤量により決められる。外部に荷重調整手段を設けても良く、図3に示したようにブラシ部材の直上に固形潤滑剤を配置できるような構成の場合、自重のみでも良い。後者の場合、長期間の掻き取りによりブラシ部材にかかる荷重が徐々に低下するという問題があるが、前述したように必要となる潤滑剤の量はわずかである。上記先端力の範囲のブラシ部材を用い、単位長さ当たりの荷重が0.98×10-3N/mm以下程度であれば掻き取られる固形潤滑剤の量はわずかであり荷重の経時変化は無視することができる。
固形潤滑剤を支持する潤滑剤支持部材は、固形潤滑材を支持し、ブラシ部材に平行な回動軸を介して回転自在に支持され、その回動軸の回りにモーメントを生じさせる支持部を有し、その支持部に支持された固形潤滑材を上記モーメントによりブラシ部材に接触させる構成でも良い。上記支持部材は、回動軸で周方向以外の動きが規制されているので、固形潤滑剤の、ブラシ部材に対するニップ量(くい込み量)は、ブラシ部材の軸方向で常に一定に保たれる。また、固形潤滑剤を支持する潤滑剤支持部材は、回動軸の回りにモーメントを生じさせるので、固形潤滑剤をモーメントにより回転ブラシを所定の接触圧で接触させることができると共に、ブラシ部材の回転で固形潤滑剤が跳ね上がる等のランダムな動きをすることがなくなり、所定の接触圧で長期にわたり安定した固形潤滑剤の供給を行なうことができる。
また、本発明では、接触帯電方式、非接触帯電方式の別は問わない。
その他、画像入力器(潜像形成手段)、現像器(現像手段)、転写ロール(転写手段)、除電器、定着器の構成は、本発明において特に制限されるものではなく、電子写真分野において従来公知のあらゆる構成をそのまま適用することができる。尚、本実施形態のように接触帯電方式の帯電器を用いる構成の場合、除電器は必ずしも設けられていなくてもよい。
(1)トナー
本実施形態の画像形成装置に好適に使用されるトナーについて、以下に説明する。
本実施形態の画像形成装置では、トナーとして、クリーニング性が問題となる球形トナーを用いた場合、有効である。特に下記式(1)で表される平均形状指数SFが100〜135である形状のトナー(外添剤を含む場合には、トナー粒子)は、クリーニングブレード先端の微小変形部での転がりが問題となりやすく、本実施形態の画像形成装置を用いれば、かかるトナーを用いた場合の残留トナーを極めて有効に除去することができる。
SF=100×πML2/4A ・・・式(1)
ML:トナー粒子の最大長
A:トナー粒子の投影面積
尚、上記平均形状指数SFとしては、100〜125のものを用いることにより、より一層高い現像性、転写性を確保することができると共に、高画質の画像を得ることができる。
本実施形態において使用されるトナーは、少なくとも結着樹脂および着色剤からなるトナー粒子と、外添剤とからなるものであることが好ましい。以下、本実施形態に好適に使用されるトナーについて、各構成要素に分けて詳細に説明する。
(トナー粒子)
トナー粒子は、少なくとも結着樹脂と着色剤とからなり、必要に応じて離型剤やその他の成分が含まれる。
トナー粒子の結着樹脂としては、スチレン、クロロスチレン等のスチレン類;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン等のモノオレフィン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα―メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類等の単独重合体および共重合体;を例示することができ、特に代表的な結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン等を挙げることができる。さらに、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジン、パラフィンワックス等を挙げることができる。
トナー粒子の着色剤としては、マグネタイト、フェライト等の磁性粉、カーボンブラック、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・イエロー74、C.I.ピグメント・イエロー180、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等を代表的なものとして例示することができる。
トナー粒子に含有させることができる離型剤としては、低分子ポリエチレン、低分子ポリプロピレン、フィッシャートロプシュワックス、モンタンワックス、カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等を代表的なものとして例示することができる。
また、トナー粒子には、必要に応じて帯電制御剤が添加されてもよい。帯電制御剤としては、公知のものを使用することができるが、アゾ系金属錯化合物、サリチル酸の金属錯化合物、極性基を含有するレジンタイプの帯電制御剤を用いることができる。湿式製法でトナー粒子を製造する場合、イオン強度の制御と廃水汚染の低減の点で、水に溶解しにくい素材を使用するのが好ましい。
本実施形態に使用できるトナー粒子は、磁性材料を内包する磁性トナーおよび磁性材料を含有しない非磁性トナーのいずれであってもよい。
本実施形態に使用できるトナー粒子の体積平均粒径としては、2〜9μmの範囲内のものが好ましく、3〜7μmの範囲内のものがより好ましい。
本実施形態に好ましく使用できるトナー粒子の製造方法としては、前記形状指数と粒径とを満足する範囲のものであれば、特に限定されるものではなく、公知の製造方法を適用することができる。トナー粒子の製造は、例えば、結着樹脂と着色剤、必要に応じて離型剤、帯電制御剤等を混練、粉砕、分級する混練粉砕法;混練粉砕法にて得られた粒子を機械的衝撃力または熱エネルギーにて形状を変化させる方法;結着樹脂の重合性単量体を乳化重合させ、形成された分散液と、着色剤、必要に応じて離型剤、帯電制御剤等の分散液とを混合し、凝集、加熱融着させ、トナー粒子を得る乳化重合凝集法;結着樹脂を得るための重合性単量体と着色剤、必要に応じて離型剤、帯電制御剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて重合する懸濁重合法;結着樹脂と着色剤、離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて造粒する溶解懸濁法;等を挙げることができる。また上記方法で得られたトナー粒子をコアにして、さらに凝集粒子を付着、加熱融合してコアシェル構造をもたせる製造方法を行ってもよい。
(外添剤)
本実施形態の画像形成装置においては、前記外添剤のうちの少なくとも1種として、50〜500nmの範囲である粒子をトナーに含むことが、クリーニング性のより一層の向上を図る観点から、望ましい。トナーに含まれる平均粒径50〜500nmの外添剤をクリーニングブレード先端部の微小変形部分に堆積させる事により、有効に球形トナーのクリーニングブレードのエッジ先端変形部への侵入を抑制し、球形トナーの転がりを抑制する事ができ(シール効果)、クリーニング性を向上させることができる。
平均粒径50〜500nmの粒子を簡便にクリーニングブレード先端部へ供給する為には、外添剤としてトナーに添加・付着させておく事が最も有効であり、また安定してクリーニングブレードのエッジ先端部へ供給するにはトナー粒子の表面に保持された状態でクリーニングブレードのエッジに運ばれるのが有効である。トナー粒子の表面に保持された当該外添剤は、クリーニングブレードとの摺擦のストレスでトナー粒子表面から離脱し、クリーニングブレード先端変形部に有効に供給されることとなる。
クリーニング性向上のために含有される外添剤が50nmよりも小さいと、クリーニングブレード先端変形部に留まり難く有効なシール形成ができない。また500nmより大きいと、トナー粒子表面への付着がしがたく、現像器内での撹拌力によって容易にトナー粒子表面より離脱してしまい、有効にクリーニングブレードへの供給ができなくなり、長期にわたり安定してシール効果およびクリーニングブレード挙動安定効果を発揮することができない。クリーニング性向上のために含有される外添剤の平均粒径としては、80〜300nmの範囲内であることがより望ましい。
クリーニング性向上のために含有される外添剤の比重としては、1.3〜1.9の範囲内であることが好ましい。比重が1.9より大きくなると、現像機内でのストレスで該外添剤のトナー粒子からの剥がれが加速されやすく、有効にクリーニングブレードへの供給ができなくなる場合がある。一方、比重が1.3より小さくなると、該外添剤の凝集分散が起こりやすく、該外添剤の穂立ちが不均一になり、凸部分に選択的にストレスが加わることから、該外添剤のトナー粒子からの剥がれが加速され、やはり有効にクリーニングブレードへの供給ができなくなり、長期に渡り安定してシール効果を発揮させることができない場合がある。
クリーニング性向上のために含有される外添剤は、球形であることが望ましい。該外添剤が球形であることより、トナー粒子表面に均一分散が可能となり、該外添剤の剥がれを有効に抑制する事が可能である。球形の定義としてはWadellの真の球形化度で議論ができ、球形化度Ψが0.6以上であることが好ましく、0.8以上であることがより好ましい。
クリーニング性向上のために含有される外添剤の含有量としては、トナー粒子100重量部に対し0.5〜5重量部とすることが好ましく、1〜3重量部とすることがより好ましい。0.5重量部未満であると球形トナーのクリーニング性が低下しやすく、クリーニング不良が発生する場合があり、5重量部を超えると感光体上へのフィルミング/コメントの発生が起こりやすくなり、それぞれ好ましくない。
該外添剤が球形であることによる効果は、該外添剤がより単分散に近いほど高く発揮されると考えられる。ここで単分散の定義としては、凝集体を含め平均粒径に対する標準偏差で議論することができ、標準偏差としてD50×0.22以下であることが望ましい。
クリーニング性向上のために含有される外添剤の材料としては、上記形状のものであれば特に限定されないが、特にシリカが良いと考えられる。この理由としては、シリカは屈折率が1.5前後であり、粒径を大きくしても光散乱による透明度の低下、特にOHP上への画像作成時のPE値(光透過性の指標)等に影響を及ぼさないことが挙げられる。
一般的なフュームドシリカは、比重2.2であり、粒径的にも最大50nmが製造上から限界である。また凝集体として粒径を上げることは出来るが均一分散が困難であり、安定したシール効果を得ることができない。一方、他の代表的な無機微粒子としては、酸化チタン(比重4.2、屈折率2.6)、アルミナ(比重4.0、屈折率1.8)、酸化亜鉛(比重5.6、屈折率2.0)を挙げることができるが、いずれも比重が高く、クリーニングブレードのエッジ先端変形部におけるシール効果が有効に発現するように、粒径を50nmより大きくすると、トナー粒子からの剥がれが起こりやすくなる場合がある。またその屈折率も高いためカラー画像作成には不利である。
クリーニング性向上のために含有される外添剤の材料として好適なシリカ、特に比重1.3〜1.9で球形単分散のシリカは、湿式法であるゾルゲル法により得ることができる。当該方法によれば、湿式法で、且つ焼成することなしに製造する方法であるため、蒸気相酸化法等に比べ、その比重を低く制御することができる。また疎水化処理工程での疎水化処理剤種、あるいは処理量を制御することにより、更にその比重を調整することが可能である。シリカの粒径は、ゾルゲル法の加水分解、縮重合工程のアルコキシシラン、アンモニア、アルコール、水の重量比、反応温度、攪拌速度、供給速度により自由に制御できる。単分散で、球形形状のシリカとすることも、ゾルゲル法にて製造することにより、達成可能となる。
具体的なシリカの製造方法としては、以下の通りである。まず、テトラメトキシシラン等のシラン化合物を水、アルコールの存在下、アンモニア水を触媒として温度をかけながら滴下、攪拌を行う。次に、反応により生成されたシリカゾル懸濁液の遠心分離を行い、湿潤シリカゲルとアルコール、アンモニア水とに分離する。湿潤シリカゲルに溶剤を加え再度シリカゾルの状態にし、疎水化処理剤を加え、シリカ表面の疎水化を行う。疎水化処理剤としては、一般的なシラン化合物を用いることができる。次にこの疎水化処理シリカゾルから溶媒を除去、乾燥、シーブすることにより、狙いの単分散シリカを得ることができる。またこのように得られたシリカを再度上記の如くゾルゲル方による処理を行っても構わない。
上記シラン化合物は、水溶性であるものが使用できる。このようなシラン化合物としては、化学構造式RaSiX4-a(式中、aは0〜3の整数であり、Rは水素原子、アルキル基およびアルケニル基等の有機基を表し、Xは塩素原子、メトキシ基およびエトキシ基等の加水分解性基を表す。)で表される化合物を使用することができ、クロロシラン、アルコキシシラン、シラザン、特殊シリル化剤のいずれのタイプを使用することも可能である。具体的にはメチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、N,O―(ビストリメチルシリル)アセトアミド、N,N―ビス(トリメチルシリル)ウレア、tert―ブチルジメチルクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4―エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等を代表的なものとして例示することができる。
上記疎水化処理剤としては、特に好ましくは、ジメチルジメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、メチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン等が挙げられる。
クリーニング性向上のために含有される外添剤は、トナー粒子表面に保持された状態でクリーニングブレードに供給されるが、潜像担持体表面の画像パターンによっては、該外添剤の供給量が極端に少なくなる部分が生じる場合がある。これを防止するために、非画像形成サイクルで任意もしくは所定のタイミング(間隔)で、潜像担持体表面に、転写体へ転写されないトナー画像を作成することが望ましい。転写されないトナー画像を潜像担持体に作成することで、クリーニング性向上のために含有される外添剤がクリーニングブレードに供給され、クリーニングブレード先端の挙動を安定にさせ、画像パターンによらず安定してクリーニング性能を維持することができる。
尚、「非画像形成サイクル」とは、転写体が供給されない状態であって、潜像担持体表面に作成されたトナー画像が、そのままクリーニング手段(クリーニング工程)まで搬送され得るサイクルを言う。ここで形成されるトナー画像としては、クリーニングブレードの長手方向全体に前記外添剤が供給されるようなパターンであればよく、ベタ画像、ハーフトーン画像、ライン画像等いずれであっても構わない。転写されないトナー画像を作成するタイミングは、一定の枚数、サイクル、時間等毎であってもよいし、任意のタイミングであっても構わない。
本実施形態の画像形成装置においては、前記外添剤として、トナーの流動性、帯電性を制御するための無機化合物をトナーに含有させることができる。トナーの流動性、帯電性を制御するためには、トナー粒子の表面を外添剤で充分被覆する必要があるが、上記クリーニング性向上のために含有される球形単分散シリカ等の外添剤では充分な被覆を得ることができない。従って、上記クリーニング性向上のために含有される外添剤と共に、小径の無機化合物を併用することが望ましい。
トナーに含有させ得る小径の無機化合物としては、公知のものを用いることができ、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、塩化セリウム、ベンガラ、酸化クロム、酸化セリウム、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム等を挙げることができる。また目的に応じてこれら無機微粒子の表面には公知の表面処理を施してもよい。
トナーに含有させ得る以上のような小径の無機化合物の平均粒径としては、50nm未満とすることが好ましく、5〜30nmの範囲とすることがより好ましい。また、その添加量としては、トナー粒子100重量部に対して、0.3〜3.0重量部の範囲とすることが好ましい。
本実施形態におけるトナーは、前記トナー粒子及び上記外添剤をヘンシェルミキサー、あるいはVブレンダー等で混合することによって製造することができる。また、トナー粒子を湿式にて製造する場合は、湿式にて外添することも可能である。
(2)キャリア
上記トナーは、それ自体のみで現像剤を構成する一成分系現像剤として使用してもよいが、一般的には、キャリアと共に混合されて現像剤を構成する二成分系現像剤として使用される。
前記キャリアとしては、芯材として、鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属;フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物;ガラスビーズ;等が用いられるが、磁気ブラシ法を用い体積固有抵抗を調整するためには、磁性材料であることが好ましい。その芯材の平均粒子径は、通常10〜500μmの範囲であり、好ましくは30〜100μmである。
また、これらのキャリアは、帯電性を付与するために樹脂等で被覆された樹脂被覆層を有していることが好ましく、その樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、オルガノシロキサン結合からなるストレートシリコーン樹脂またはその変性品、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、フェノール樹脂、アミノ樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、アミド樹脂、エポキシ樹脂等が例示されるが、これらに限定されるものではない。
キャリアの芯材表面に樹脂被覆層を形成する方法としては、芯材を被覆層形成用溶液中に浸漬させる浸漬法、芯材表面に被覆層形成用溶液を噴霧するスプレー法、芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で被覆層形成用溶液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中で芯材と被覆層形成用溶液とを混合した後、溶剤を除去するニーダーコーター法等を適用することができる。
本実施形態において、前記トナーと上記キャリアとの混合比(重量比)としては、好ましくはトナー:キャリア=1:100〜30:100程度の範囲であり、より好ましくは3:100〜20:100程度の範囲である。
<帯電手段>
本実施形態の画像形成装置に用いられる帯電方式としては公知の帯電方式が適応可能で、例えばコロトロン帯電方式や接触帯電方式などが挙げられる。また接触帯電方式ではローラー状の帯電部材、ブレード状の帯電部材、ベルト状の帯電部材、ブラシ状の帯電部材、磁気ブラシ状の帯電部材などが適応可能である。特にローラー状の帯電部材、ブレード状の帯電部材については感光体に対し、接触状態またはある程度の空隙(100μm以下)を有した非接触状態として配置しても構わない。
ローラー状の帯電部材、ブレード状の帯電部材、ベルト状の帯電部材は帯電部材として有効な電気抵抗(103Ω〜108Ω)に調整された材料から構成される物であり、単層又は複数の層から構成されていても構わない。材質としてはウレタンゴム、シリコンゴム、フッソゴム、クロロプレンゴム、ブタジエンゴム、EPDM、エピクロルヒドリンゴム等の合成ゴムやポリオレフィン、ポリスチレン、塩化ビニル等からなるエラストマーを主材料とし、導電性カーボン、金属酸化物、イオン導電剤等の任意の導電性付与剤を適量配合し、帯電部材として有効な電気抵抗を発現させ用いることができる。さらにナイロン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリウレタン、シリコーン等の樹脂を塗料化し、そこに導電性カーボン、金属酸化物、イオン導電剤等の任意の導電性付与剤を適量配合し、得られた塗料をデイッピング、スプレー、ロールコート等の任意の手法により、積層して用いる事ができる。
<転写手段>
本実施形態の画像形成装置に用いられる転写手段としては公知の転写方式が適応可能であり、例えば転写コロトロンや転写ロール等を用いた直接転写方式、中間転写ベルトや中間転写ドラム等の中間転写体を用いた中間転写方式、記録材を静電的に吸着して搬送し像担持体上の画像を転写する転写ベルト方式などが挙げられる。
<感光体>
本実施形態の画像形成装置に用いられる像担持体としては単層構成、電荷発生層と電荷輸送層とからなる積層構成、更に、これらの上に表面保護層を設けた構成などいかなる構成でもよい。
導電性基体は、アルミニウムを円筒状(ドラム状)に成形したものである。尚、かかる基体としては、アルミニウムの他、ステンレス、ニッケルなどの金属材料;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ナイロン、ポリスチレン、フェノール樹脂などの高分子材料又は硬質紙などの絶縁材料に導電物質を分散させて導電処理したもの;上記の絶縁材料に金属泊を積層したもの;上記の絶縁材料に金属の蒸着膜を形成したもの、などを用いることができる。また、基体の形状は、シート状、プレート状等であってもよい。
下引き層の材料としては、ジルコニウムキレート化合物、ジルコニウムアルコキシド化合物、ジルコニウムカップリング剤などの有機ジルコニウム化合物、チタンキレート化合物、チタンアルコキシド化合物、チタネートカップリング剤などの有機チタン化合物、アルミニウムキレート化合物、、アルミニウムカップリング剤などの有機アルミニウム化合物の他、アンチモンアルコキシド化合物、ゲルマニウムアルコキシド化合物、インジウムアルコキシド化合物、インジウムキレート化合物、マンガンアルコキシド化合物、マンガンキレート化合物、スズアルコキシド化合物、スズキレート化合物、アルミニウムシリコンアルコキシド化合物、アルミニウムチタンアルコキシド化合物、アルミニウムジルコニウムアルコキシド化合物等の有機金属化合物等が挙げられ、これらの中でも有機ジルコニウム化合物、有機チタニル化合物、有機アルミニウム化合物は残留電位が低く良好な電子写真特性を示すので好ましく使用される。また、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス2−メトキシエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−2−アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプロプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、β−3,4−エポキシシクロヘキシルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤を含有させて使用することができる。
さらに、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレノキシド、エチルセルロース、メチルセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、ポリアミド、ポリイミド、カゼイン、ゼラチン、ポリエチレン、ポリエステル、フェノール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エポキシ樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジン、ポリウレタン、ポリグルタミン酸、ポリアクリル酸等の結着樹脂を用いることもできる。これらの混合割合は、必要に応じて適宜設定することができる。
また、下引き層中には電子輸送性物質を混合、分散して使用することもできる。電子輸送性物質としては、特開昭47−30330号公報に記載のペリレン顔料、ビスベンズイミダゾールペリレン顔料、多環キノン顔料、インジゴ顔料、キナクリドン顔料等の有機顔料や、シアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、ハロゲン原子等の電子吸引性の置換基を有するビスアゾ顔料又はフタロシアニン顔料等の有機顔料、酸化亜鉛、酸化チタン等の無機顔料が挙げられる。これらの顔料の中ではペリレン顔料、ビスベンズイミダゾールペリレン顔料と多環キノン顔料が、電子移動性が高いので好ましく使用される。電子輸送性顔料は多すぎると下引き層の強度が低下し、塗膜欠陥を生じるため、その配合量は好ましくは95重量%以下、より好ましくは90重量%以下である。電荷輸送性物質の混合/分散方法は、ボールミル、ロールミル、サンドミル、アトライター、超音波等を用いる常法が適用される。混合/分散は有機溶剤中で行われるが、有機溶剤としては、有期金属化合物や樹脂を溶解し、また、電子輸送性顔料を混合/分散したときにゲル化や凝集を起こさないものであれば如何なるものでも使用できる。例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤を単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
電荷発生層は、電荷発生材料と結着樹脂とを含んで構成されるものである。かかる電荷発生材料としては、ビスアゾ、トリスアゾなどのアゾ顔料、ジブロモアントアントロンなどの縮環芳香族顔料、ペリレン顔料、ピロロピロール顔料、フラトシアニン顔料等の公知のもの全て使用することができるが、金属及び無金属フタロシアニン顔料が好ましく、中でも、特定の結晶を有するヒドロキシガリウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、ジクロロスズフタロシアニン、チタニルフタロシアニンが特に好ましい。本発明に用いるクロロガリウムフタロシアニンは、例えば特開平5−98181号公報に記載された方法で製造されるクロロガリウムフタロシアニン結晶を、自動乳鉢、遊星ミル、振動ミル、CFミル、ローラーミル、サンドミル、ニーダー等で機械的に乾式粉砕するか、乾式粉砕後溶剤と共にボールミル、乳鉢、サンドミル、ニーダー等を用いて湿式粉砕処理を行うことによって製造することができる。上記の処理において使用される溶剤は、芳香族類(トルエン、クロロベンゼン等)、アミド類(ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等)、脂肪族アルコール類(メタノール、エタノール、ブタノール等)、脂肪族多価アルコール類(エチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール等)、芳香族アルコール類(ベンジルアルコール、フェネチルアルコール等)、エステル類(酢酸エステル、酢酸ブチル等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)、ジメチルスルホキサイド、エーテル類(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等)又はこれらの2種以上の混合物、あるいは水とこれら有機溶剤の混合系などである。使用される溶剤は、クロロガリウムフタロシアニン1重量部に対して、好ましくは1〜200重量部、より好ましくは10〜100重量部の範囲で用いる。処理温度は、0℃〜溶剤の沸点、好ましくは10〜60℃の範囲が好ましい。また、粉砕の際に食塩、ぼう硝等の磨砕助剤を用いることもできる。磨砕助剤の使用量は、顔料に対して好ましくは0.5〜20倍、より好ましくは1〜10倍である。
ジクロロスズフタロシアニンは、特開平5−140472号公報、特開平5−140473号公報等に記載された方法で製造されるジクロロスズフタロシアニン結晶を、クロロガリウムフタロシアニンと同様に粉砕、溶剤処理することにより得ることができる。
ヒドロキシガリウムフタロシアニンは、特開平5−263007号公報、特開平5−279591号公報等に記載された方法で製造されるクロロガリウムフタロシアニン結晶を用い、酸もしくはアルカリ性溶液中での加水分解又はアシッドペースティングを行うことにより、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を合成し、直接溶剤処理を行うか、合成によって得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を溶剤と共にボールミル、乳鉢、サンドミル、ニーダー等を用いて湿式粉砕処理を行うか、あるいは溶剤を用いずに乾式粉砕処理を行った後に溶剤処理することによって製造することができる。上記の処理において使用される溶剤は、芳香族類(トルエン、クロロベンゼン等)、アミド類(ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等)、脂肪族アルコール類(メタノール、エタノール、ブタノール等)、脂肪族多価アルコール類(エチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール等)、芳香族アルコール類(ベンジルアルコール、フェネチルアルコール等)、エステル類(酢酸エステル、酢酸ブチル等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)、ジメチルスルホキサイド、エーテル類(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等)又はこれらの2種以上の混合物、水とこれら有機溶剤の混合系等が挙げられる。かかる溶剤の使用量は、ヒドロキシガリウムフタロシアニン1重量部に対して、好ましくは1〜200重量部、好ましくは10〜100重量部である。また、処理温度は、好ましくは0〜150℃、好ましくは室温〜100℃である。また、粉砕の際に食塩、ぼう硝等の磨砕助剤を用いることもできる。磨砕助剤の使用量は顔料に対して好ましくは0.5〜20倍、より好ましくは1〜10倍である。
オキシチタニルフタロシアニンは、特開平4−189873号公報、特開平5−43813号公報等に記載された方法で製造されるオキシチタニルフタロシアニン結晶を、アシッドペースティングするか、ボールミル、乳鉢、サンドミル、ニーダー等を用いて無機塩とともにソルトミリングを行って、X線回折スペクトルにおいて27.2°にピークを有する比較的結晶性の低いオキシチタニルフタロシアニン結晶としたのち、直接溶剤処理を行うか、或るいは、溶剤と共にボールミル、乳鉢、サンドミル、ニーダー等を用いて湿式粉砕処理を行うことによって製造することができる。アシッドペースティングに用いる酸としては硫酸(濃度が好ましくは70〜100%、より好ましくは95〜100%のもの)が好ましく使用され、かかる硫酸への溶解は、好ましくは−20〜100℃、より好ましくは0〜60℃の範囲で行われる。硫酸の量は、オキシチタニルフタロシアニン結晶の重量に対して好ましくは1〜100倍、より好ましくは3〜50倍の範囲に設定される。かかる溶解の後、オキシチタニルフタロシアニン結晶を析出させる溶剤としては、水、あるいは水と有機溶剤の混合溶剤が任意の量で用いられるが、水とメタノール、エタノール等のアルコール系溶剤、あるいは水とベンゼン、トルエン等の芳香族系溶剤との混合溶剤が特に好ましい。オキシチタニルフタロシアニン結晶を析出させるときの温度は特に制限されないが、発熱を防ぐために氷等で冷却することが好ましい。また、オキシチタニルフタロシアニン結晶と無機塩との比率は、重量比で1/0.1〜1/20が好ましく、1/0.5〜1/5がより好ましい。また、上記の溶剤処理において使用される溶剤は、芳香族類(トルエン、クロロベンゼン等)、脂肪族アルコール類(メタノール、エタノール、ブタノール等)、ハロゲン系炭化水素類(ジクロロメタン、クロロホルム、トリクロロエタン等)又はこれらの2種以上の混合物、あるいは水とこれら有機溶剤の混合系等が挙げられる。溶剤の使用量は、オキシチタニルフタロシアニン1重量部に対して好ましくは1〜100重量部、より好ましくは5〜50重量部である。溶剤処理温度は、好ましくは室温〜100℃、より好ましくは50〜100℃である。磨砕助剤の使用量は顔料に対して好ましくは、より好ましくは1〜10倍である。
また、電荷発生層に用いられる結着樹脂は、広範な絶縁性樹脂から選択することができ、また、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン、ポリシラン等の有機光導電性ポリマーから選択することもできる。好ましい結着樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂(ビスフェノールAとフタル酸の重縮合体等)、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等の絶縁性樹脂を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。これらの結着樹脂は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
電荷発生材料と結着樹脂の配合比は、重量比で10/1〜1/10の範囲内であることが好ましい。また、これらを分散させる方法としてはボールミル分散法、アトライター分散法、サンドミル分散法等の通常の方法を用いることができるが、この際、分散によって該の結晶型が変化しない条件が必要とされる。さらに、かかる分散の際、平均粒径が0.5μm以下、より好ましくは0.3μm以下、さらに好ましくは0.15μm以下の粒子を用いることが有効である。またこれらの分散に用いる溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤を単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
電荷発生層の厚みは、好ましくは0.1〜5μm、より好ましくは0.2〜2.0μmが適当である。また、電荷発生層13を設ける際の塗布方法としては、ブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーテング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等が挙げられる。さらに、顔料の分散安定性や光感度を増す目的、あるいは、電気特性を安定化させる目的で後述する式(1)で表される化合物を用いて電荷発生材料を処理したものを用いてもよく、かかる化合物を電荷発生材料の分散溶液に加えてもよい。
電荷輸送層は、電荷輸送材料及び結着樹脂を含んで構成されるものである。かかる電荷輸送材料としては、具体的には、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール誘導体、1,3,5−トリフェニル−ピラゾリン、1−[ピリジル−(2)−]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノスチリル)ピラゾリン等のピラゾリン誘導体、トリフェニルアミン、トリ(p−メチル)フェニルアミン、N,N’−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン、ジベンジルアニリン、9,9−ジメチル−N,N’−ジ(p−トリル)フルオレノン−2−アミン等の芳香族第3級アミノ化合物、N,N‘−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1−ビフェニル]−4,4‘−ジアミン等の芳香族第3級ジアミノ化合物、3−(4’ジメチルアミノフェニル)−5,6−ジ−(4’ −メトキシフェニル)−1,2,4−トリアジン等の1,2,4−トリアジン誘導体、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン、4−ジフェニルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン、[p−(ジエチルアミノ)フェニル](1−ナフチル)フェニルヒドラゾン等のヒドラゾン誘導体、2−フェニル−4−スチリル−キナゾリン等のキナゾリン誘導体、6−ヒドロキシ−2,3−ジ(p−メトキシフェニル)−ベンゾフラン等のベンゾフラン誘導体、p−(2,2−ジフェニルビニル)−N,N’−ジフェニルアニリン等のα−スチルベン誘導体、エナミン誘導体、N−エチルカルバゾール等のカルバゾール誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体等の正孔輸送物質;クロラニルキノン、ブロモアニルキノン、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物、3,3’,5,5’−テトラ −t−ブチルジフェノキノン等のジフェノキノン化合物等の電子輸送物質;あるいは上記した化合物から水素原子等を除いた残基を主鎖又は側鎖に有する重合体等が挙げられる。これらの電荷輸送材料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合せて用いてもよい。
電荷輸送層の結着樹脂は特に制限されないが、フィルム形成可能な電気絶縁性の樹脂が好ましい。このような結着樹脂としては、具体的には、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコン樹脂、シリコン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−カルバゾール、ポリビニルブチラール、ポリビニルフォルマール、ポリスルホン、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、エチルセルロース、フェノール樹脂、ポリアミド、カルボキシ−メチルセルロース、塩化ビニリデン系ポリマーワックス、ポリウレタン等が挙げられるが、中でもポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂は電荷輸送材料との相溶性、溶剤への溶解性、強度の点で優れており好ましく用いられる。これらの結着樹脂は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
電荷輸送層は、上記の電荷輸送材料及び結着樹脂を所定の溶媒に混合/分散した塗布液を用いて形成することができる。塗布液に用いる溶媒としては電荷発生層用塗布液の説明において例示された溶媒が使用できるが、電荷発生層の結着樹脂に対する溶解性が低いものを選定することが好ましい。また、電荷輸送材料と結着樹脂との配合比(重量比)は、好ましくは3:7〜6:4である。当該配合比が前記の範囲外の場合には、電気特性又は膜強度の少なくとも一方が低下する傾向にある。また、塗布液には塗膜の平滑性向上のためのレベリング剤としてシリコーンオイルを微量添加することもできる。塗布液を調製する際の分散方法及び塗布液の塗布方法としては、電荷発生層の場合と同様の方法が適用可能であり、得られる電荷輸送層13の膜厚は5〜50μm、好ましくは10〜35μmが適当である。
<その他>
本発明をカラー画像形成装置に適用する場合は、像担持体の廻りに複数の現像器を配置したシングル方式、複数の像担持体と現像器を並べたタンデム方式いずれに於いても使用可能である。
(実施例)
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
FUJI XEROX製DocuCenter Color 500機を用い、フルカラーにて高温高湿(28℃、80%RH)及び低温低湿(10℃、20%RH)で各20万枚、計40万枚の走行試験を行い、感光体磨耗、感光体表面粗さ、ブレードめくれ、画質評価を行った。
実施例および比較例の構成を表1に示す。表1中の周速比とは、感光体表面の移動速度を1とした場合の、ブラシ部材先端の移動速度の比である。また、その結果を表2に示す。尚、以下のブラシ部材は外径19mmの導電性ブラシ繊維(カネボウ合繊製:ベルトロン)を用いた。
<感光体磨耗>
感光体の磨耗に関しては走行試験前と試験後の感光体の膜厚を渦電流式の膜厚計(株式会社 フィッシャー・インストルメンツ製フィッシャースコープ MMS)で計測しその差分にて判断した。偏磨耗の判断基準は以下の通りである。
○:4μm以下
×:>4μm(ハーフトーン画像の濃度ムラ)
<感光体傷>
感光体傷は、表面粗さ計(東京精密(株)製Surfcom1400A )での10点平均粗さ(Rz)を測定を行い評価した。判断基準は以下の通りである。
○:Rz 3.0μm以下
△:3.0 < Rz < 3.5μm
×:Rz 3.5μm以上(画質上白筋)
<ブレードめくれ>
ブレードめくれは、レーザー顕微鏡により(キーエンス(株)製)エッジ先端部の磨耗量の測定を行うとともに、ブレードのクリーニング性能をストレス条件化で評価を行った。判断基準は以下の通りである。
○:クリーニング性能問題なし
△:トナーはクリーニングできるが、放電生成物残留による高温高湿下での白抜けが発生する。
×:クリーニング不良が発生する。
<画質評価>
画質評価は、プリントの目視観察による官能評価にて判断した。判断基準は以下の通りである。
○:問題なし
△:僅かにトナーの飛び散りが発生しているが実用上問題のないレベル。
×:トナーの飛び散りが多く発生しており悪いレベル。
××:トナーの飛び散りが非常に多く発生しており極めて悪いレベル。
<総合評価>
◎:極めて良好
○:良好
×:悪い
××:極めて悪い
実施例1〜7では、図3に示す繊維倒れ方向のブラシ部材を採用した。
実施例1では、ブレードが備えられていないため、形成画像の画質は若干劣るものの総合的には良い結果が得られた。
実施例2では、ブレードが備えられているものの潤滑剤が付与されていないため、感光体の磨耗量は大きいものの、残留トナーは十分に除去されており、良好な結果が得られた。
実施例3では、ブレードが備えられており且つ潤滑剤も付与されているが、フリッキング部材が潤滑剤の手前(上流側)に配置されているため、感光体の表面に塗布する潤滑剤の量を十分に規制することはできずブレードめくれが発生しているものの、総合的には良い結果が得られた。
実施例4では、ブレードが備えられており且つ潤滑剤も付与されており、またフリッキング部材が潤滑剤の後(下流側)に配置されているため、感光体の表面に塗布する潤滑剤の量も規制することができ、ブレードめくれもなく極めて良好な結果が得られた。
また、実施例5から実施例7までにおいても、極めて良好な結果が得られた。
実施例6は、実施例5と比較し、ブラシ単繊維太さ,先端力平均値,先端力ばらつき最大値は小さいものの、やはり極めて良好な結果が得られた。
実施例7は、実施例6と比較し、ブラシ単繊維太さ,先端力平均値,先端力ばらつき最大値は小さいものの、やはり極めて良好な結果が得られた。
比較例1〜3では、図1に示す繊維倒れ方向のブラシ部材を採用した。
比較例1では、図1に示す繊維倒れ方向のブラシ部材が採用されているため、感光体の表面への接触力は弱く、フリッキング効果も弱い。従って、未転写のトナーを含めた異物のクリーニング効果が低く、またブレードも備えられていないことから、総合的に極めて悪いレベルであった。
比較例2は、比較例1と比較し、ブレードおよび潤滑剤が備えられているものの、図1に示す繊維倒れ方向のブラシ部材が採用されているため、フリッキング効果が低く、潤滑剤の供給が過剰になって、ブレードにめくれが生じた。また、ブレードによって残留トナーを除去した分、比較例1に比べて画質は向上してはいるものの、やはりフリッキング効果が低いため、ブラシ部材によるトナーのこすりつけによって各実施例に比べ画質が劣り、総合的にも悪いレベルであった。
比較例3では、図1に示す繊維倒れ方向のブラシ部材を採用したものの、ブラシ部材の周速を感光体の周速に比べて遅くすることで、ブラシ部材の繊維倒れ方向が逆毛方向になりやすくはなっているものの、完全には逆毛方向になっておらず、フリッキング効果が不充分であった。また、ブラシ部材の先端力が高すぎたため、感光体に傷が生じ、先端力ばらつき最大値も高いことから感光体の軸方向の偏摩耗量が大きくなっている。これらのことから比較例3でも総合的に悪いレベルであった。
1…画像形成装置、10…感光体、10a,21a…回転軸、11…帯電器、12…高圧電源、13…画像入力器、14…現像器、15…転写ロール、17…除電器、18…定着器、19…被転写体、20…クリーニング装置、21…ブラシ部材、21_1…毛部、21_1a…導電性の毛、22…フリッキング部材、23…固形潤滑剤、24…クリーニングブレード、25…オーガ、30…先端力測定装置、31…測定板、32…ロードセル、33…測定支点、41…生地製作工程、42…巻付工程、43…起毛工程、44…シャーリング工程