JP4478972B2 - ノック式筆記具及びノック式筆記具の出没機構 - Google Patents
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Description
また、回転子をノック部材側に付勢するために縮装されたリターンスプリングを備えているが、そのリターンスプリングの装着位置を筆記先端側とする必要がない。そのため、筆記先端側の設計自由度が広がるといった利点もある。
リターンスプリングの端部処理の精度を高めると、コスト高になる。また、異物の侵入を防ぐことに関しては製造時のみならず使用時にまで及ぶため、完全を期しがたい。
ここで、請求項1から請求項3に記載の発明の目的は、回転子とリターンスプリングとの関係で筆記先端の出没が円滑に行われなくなる確率を現在よりも格段に低めることができるノック式筆記具を提供することにある。
請求項1記載の発明は、先端に筆記先端(21)を収納可能な先端孔を備える前軸筒(11)と、後端に内壁にカム面(16)を形成した後軸筒(15)とを備え、前記後軸筒の内壁にそのカム面と係脱するとともに後軸筒の軸方向に進退可能な回転子(60)と、前記回転子に当接し、軸方向の押圧力を与えるためのノック部材(30)の進退に合わせて進退するスプリング受け部材(40)を内装し、一端は前記回転子と前記スプリング受け部材を前記ノック部材側に付勢するために前記スプリング受け部材の外径をやや小さく形成された段差部分であるスプリング当接部(42)に当接し、他端は後軸筒に固定されたスプリング固定部材(51)に付勢することにより縮装させたリターンスプリング(50)を備え、ノック部材に与えられた力により回転子が軸方向に移動し、軸筒の先端孔から筆記先端を出没可能なノック式筆記具において、筆記先端に対してインクを供給するためのインク収納管の外周と前記スプリング受け部材の内壁とを係合させ、
前記スプリング受け部材の内壁には、インク収納管(20)の外周に当接することによってインク収納管と係合するための複数組の突条(43a,43b,43c)を備え、
その突条における少なくとも一組(43a)は、内壁からの高さを他の突条とは異ならせたことを特徴とするノック式筆記具に係る。
すなわち、軸筒(10)内には、前記回転子(60)をノック部材(30)側に付勢するために縮装させたリターンスプリング(50)と、 そのリターンスプリング(50)および前記回転子(60)の間に位置させたスプリング受け部材(40)とを備えたことを特徴とする。
「筆記具」としては、代表的にはボールペンであるが、フェルトペン、万年筆、ニードルペンなどであってもよい。
したがって、「筆記先端」とは、筆記具が万年筆である場合には、ペン先をいい、また、筆記具がボールペンである場合には、ボールペンチップをいい、また、筆記具がフェルトペンである場合には、フェルトからなる筆記用尖端をいい、また、筆記具がサインペン(マーカーペン)である場合には、繊維束体からなる筆記用尖端をいい、また、筆記具がニードルペンである場合には、細い管状の筆記用尖端をいう。
リターンスプリング(50)および前記回転子(30)の間にはスプリング受け部材(40)が存在するので、スプリング受け部材(40)がリターンスプリング(50)と回転子(60)とが直接接触しない。このため、リターンスプリング(50)の端部処理が正確に行われていない場合に生じる引っ掛かりや、異物の存在などによって回転子の回転が阻害されるような事態が生じる確率が極めて低くなる。そのため、リターンスプリング(50)の端部処理を正確に行うための精度向上およびそれに伴う製造コストの増加を必要としない。
また、インク収納管(20)と前記スプリング受け部材(40)と係合しており、インク収納管(20)と回転子(60)とは直接、係合しない。したがって、インク収納管(20)に連続している筆記先端(21)が、回転子(60)の回転に伴って回転することはない。このため、例えば、筆記先端(21)がフェルトペンであるような場合には、筆記者は筆記先端(21)の進退動作のたびに握り変える必要がない。
例えば、一組の突条(43a)の距離は、細長い円柱状のインク収納管(20)の外径よりも僅かに小さく形成し、他の組の突条43b,43c)はインク収納管(20)外径よりも僅かに大きく形成している。インク収納管(20)とスプリング受け部材(40)とを係合させる際には、突条(43a)が存在するので変形に対する抗力よりも強く押し込む必要がある。その結果、その突条(43a)に当接したインク収納管(20)の部位は外径方向を縮められるように変形する。その変形によって他の部位の外径はやや拡がり、他の突条(43b,43c)に対してもインク収納管(20)の部位が当接することになる。この結果、インク収納管(20)は、スプリング受け部材(40)に対して安定的に固定されることとなる。
請求項2記載の発明は、請求項1に記載のノック式筆記具を限定したものであり、
前記スプリング受け部材(40)と回転子(60)とが当接する場合における回転子(60)との当接部分には、両部材(40および/または60)の動摩擦を低めるための突部(41)を形成したことを特徴とするノック式筆記具に係る。
「両部材の動摩擦を低めるための突部」とは、例えば、形状として半球状を採択したり、潤滑性に優れた材質を採用したりすることによって提供される。突部は、スプリング受け部材側に形成するのが一般的であるが、それに限られない。例えば、回転子側に突部を形成してもよい。
突部(41)の存在により、スプリング受け部材(40)と回転子(60)との動摩擦が低められ、回転子(60)の回転が円滑になる。
図1に示すように、本発明に係る実施形態は、軸筒10を軸方向のほぼ中央部にて二分割するとともに、筆記先端と反対側の端部からノック部材30を突出させた単独軸のボールペンであり、グリップ部材14にゲル材料を採用したものである。
図2には、軸筒10、インク収納管20、ノック部材30、スプリング受け部材40、リターンスプリング50および回転子60の細部が示されている。筆記者によってノック部材30へ与えられる進退運動を回転運動に変換しつつ筆記先端21を軸筒10から出没させるという機構部分は、特許3262754号公報に示される機構とほぼ同様であるが、大きく異なるのはノック部材30とリターンスプリング50との間に備えたスプリング受け部材40の存在である。
ノック部材30の進退とともにインク収納管20が進退するように、インク収納管20を所定の位置に固定するのは、スプリング受け部材40の筒内壁から中央に向かって突出する突条43である。この突条43については、図3において説明する。
図3は、スプリング受け部材40の斜視図であり、図4は、側面図(一部断面図)および平面図である。
スプリング受け部材40は、概ね筒状をなした熱可塑性樹脂製(本実施形態ではポリアセタール)の部材であり、リターンスプリング50側の外径をやや小さく形成することによって形成された段差部分をスプリング当接部42としている。
前述した突条43は、スプリング受け部材40の筒内壁から中央に向かって突出するように形成されている。全部で6個、対称な位置に配置されている。
図5は、伝達部材32の斜視図である。伝達部材32は、ノックヘッド部材31に与えられた力を回転子60に伝達するための部材であり、概ね筒状をなしている。そして、ノックヘッド部材31の内壁部分と係止される係止部32aと、その係止部32aと反対端において回転子60と噛み合う鈍角波歯状の波歯端部32bと、その波歯端部32b近傍における外周部において後軸筒15の内壁に設けられた内壁溝と噛み合うホームベース形状の噛み合い突起32cとを備えている。
後軸筒15の内壁に設けられたカム16は、内壁から突出する複数の内壁突条16aと、その内壁突条16aにおける隣り合う二つに挟まれた部位として形成される軸方向に平行な内壁溝16bとによって形成されている。また、それぞれの前記内壁突条16aは、筆記先端21側の端部を片波状の片波歯端部16cを形成している。(図7などにおいて図示。)
図6は、回転子60の斜視図である。回転子60は、伝達部材32を介してノックヘッド部材31に与えられた力によって回転し、リフィール20の筆記先端21を突出状態とするためにノックヘッド部材31、伝達部材32および回転子60が押し込まれたポジションを維持可能としたり、リフィール20の筆記先端21を軸筒10の内部に収納した状態とするためにノックヘッド部材31、伝達部材32および回転子60が押し込まれた状態を解除したりする機能を果たす。
回転子60の波歯端部64は、挿入部61が伝達部材32に挿入された場合に、伝達部材32の波歯端部32bと噛み合う部位となる。また、リング部65は、スプリング受け部材40の突起41と接触する部位となる。
以下、図7から図9を用いて、筆記者によってノック部材30へ与えられる進退運動を回転運動に変換しつつ筆記先端21を軸筒10から出没させるという機構部分を説明する。なお、機構部分の説明の都合上、後軸筒15の内壁の一部も図示している。
回転子60は、その挿入部61が伝達部材32に挿入され、伝達部材32の波歯端部32bと波歯端部64とが噛み合う場所に位置する。また、回転子60の突条部63もまた、後軸筒15の内壁溝16bにはまり込む。
図7に示されている状態は、ノックヘッド部材31が筆記者による押圧を受けておらず、筆記先端21(図7には図示せず)が軸筒10(図7には図示せず)の内部に没している状態である。また、回転子60の波歯端部64と伝達部材32の波歯端部32bとは互いに押しつけ合っている。
図8は、ノックヘッド部材31が筆記者による押圧を受け、最大に押し込まれた状態を示している。ノックヘッド部材31が押し込まれると、それに係合している伝達部材32の係合突起32cは、内壁溝16bの端部に移動する。そして、回転子60の波歯端部64と伝達部材32の波歯端部32bとが完全に噛み合うように、回転子60が僅かに回転する。このとき、スプリング受け部材40の突部41が回転子60と接している。そして、回転子60の波歯端部64と伝達部材32の波歯端部32bとが完全に噛み合い、互いに押しつけ合う状態となる。
筆記者がノックヘッド部材31への押圧をやめると、リターンスプリング50がスプリング受け部材40を押し返す。すると、片波歯端部16cと回転子60の波歯端部64とが接触しながら移動する。すると、片波歯端部16cと波歯端部64との接触角度に沿った移動を行うために回転子60が回転し、片波歯端部16cの奥部分に波歯端部64が当接し、回転子60がその回転を停止する。この停止位置は、ノックヘッド部材31の移動前よりも筆記先端21側となり、その結果、スプリング受け部材40などに支持固定されているインク収納部20も停止する。しかし、その停止位置は、内壁溝16bを噛み合い突起32cが後軸筒15の内壁溝16bにおけるスプリング受け部材40寄りである。したがって、図9では図示していないが、インク収納部の先端である筆記先端は、筆記先端軸筒から突出した位置で停止しており、筆記が可能となる。
12 筆記先端軸筒 13 雄ネジ部
14 グリップ部材 15 後軸筒
16 カム 16a 内壁突条
16b 内壁溝 16c 片波歯端部
19 化粧筒
20 インク収納管 21 筆記先端
30 ノック部材 31 ノックヘッド部材
32 伝達部材 32a 係合部
32b 波歯端部 32c 噛み合い突起
40 スプリング受け部材 41 突部
42 スプリング当接部 43,43a,43b,43c 突条
50 リターンスプリング 51 スプリング固定部材
60 回転子 61 挿入部
62 太筒部 63 突条部
64 波歯端部 65 リング部
66 雌ネジ部
Claims (2)
- 先端に筆記先端を収納可能な先端孔を備える前軸筒と、後端に内壁にカム面を形成した後軸筒とを備え、前記後軸筒の内壁にそのカム面と係脱するとともに後軸筒の軸方向に進退可能な回転子と、前記回転子に当接し、軸方向の押圧力を与えるためのノック部材の進退に合わせて進退するスプリング受け部材を内装し、一端は前記回転子と前記スプリング受け部材を前記ノック部材側に付勢するために前記スプリング受け部材の外径をやや小さく形成された段差部分であるスプリング当接部に当接し、他端は後軸筒に固定されたスプリング固定部材に付勢することにより縮装させたリターンスプリングを備え、ノック部材に与えられた力により回転子が軸方向に移動し、軸筒の先端孔から筆記先端を出没可能なノック式筆記具において、筆記先端に対してインクを供給するためのインク収納管の外周と前記スプリング受け部材の内壁とを係合させ、前記スプリング受け部材の内壁には、インク収納管の外周に当接することによってインク収納管と係合するための複数組の突条を備え、その突条における少なくとも一組は、内壁からの高さを他の突条とは異ならせたことを特徴とするノック式筆記具。
- 前記スプリング受け部材と回転子が当接する場合における回転子との当接部分には、両部材の動摩擦を低めるための突部を形成したことを特徴とする請求項1に記載のノック式筆記具。
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