JP4478260B2 - 建設機械キャブのスライドドア - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、建設機械のキャブ(運転室)において使用されるスライドドアの、殊にそのホールド機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
建設機械のキャブ(以下キャブという)において、作業時に旋回台上でキャブのドアを開いても旋回台からドアがはみ出ないように、例えば実開平6−12556号公報に開示され、図12に外観を示すスライドドアを採用することがある。 これはキャブCの前縁内側上、下や外側中間に敷設したスライドレール等にローラを介してドアDを支持し、ドアをキャブの外側に沿って摺動(スライド)させてドア開口部Oの開閉を行うものである。このほか、前記スライドドアの前後をリンクでキャブに支持し、該リンクの回動によってドアをキャブの外側に沿ってスライドさせるものも、スライドドアの範疇に属する。
【0003】
スライドドアの閉止時に、スライドドアの閉止端、即ちドアの閉止時に先端側となる端部を、前記閉止端側のキャブポストに保持するホールド機構としては、特開平9−235753号公報に開示されるものや、図13に示されるものが採用されていた。即ち、これらはキャブポストP側に受け口Mを有するホルダHを取り付けるとともに、スライドドアDの閉止端にストライカSを固着したもので、前記受け口Mは前記公報のようにテーパ状に穴が形成されているか、または図12に示すようにキャブの外方に向かうゆるい傾斜面をもつ山形状の凹部mとしている。このような構成によって、スライドドアDの閉止時には、ドア閉止端のストライカSが前記ホルダHの受け口Mに突入してドアをホールド(保持)しようとするものである
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、スライドドアDの閉止時には、その閉止端は該閉止端と反対側にある開放端のロックポイントL(図1参照)をほぼ中心として回動しつつ、キヤブCの外方から斜めに前記ホルダHに向かって進入してくるから、ホルダHの受け口Mは手前を大きく開いたテーパ穴または凹部とする必要があり、このためストライカSとの間に隙間を生じやすく、スライドドアの閉止時の、殊にドアDと直角方向の定位置確保が困難となる。
【0005】
これを図13により説明すると、前記凹部mのゆるい傾斜面m’が形成するロック角βをスライドドアDの閉止端の進入角αより外方に出さないと、スライドドアDの閉止時にドアDが通常より外方から進入してきたとき、ストライカSがホルダHに激突して衝撃音を発生し、且つスライドドアDの進入をやり直す必要がある。しかし、前記ストライカSをホルダHの受け口Mに進入しやすくするため、前記ロック角βを大きく取るときは、前記の如くストライカSとの隙間を増大することになる。
【0006】
よって、本発明の解決しようとする課題は、前記ロック角を大きくしてもストライカとホルダとの隙間を増大することなく、したがってスライドドア閉止時の、殊にドアと直角方向の定位置確保が容易であり、しかもスライドドアが通常より外方から進入しても前記衝撃感を少なくできるホールド機構をもつ、建設機械キャブのスライドドアを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明建設機械キャブのスライドドアは、建設機械キヤブの外側面に沿って移動し、ドア開口部を開閉するスライドドアにおいて、該ドアの閉止端に基板(8a)よりやや倒し気味に当接部(8b)を立ち上げたストライカ(8)を設けるとともに、前記閉止端側のキャブポストに、前記ストライカに対向して、受け部(10a)と、その上下をコ字形に折り曲げてストッパ(10b)を形成した被支持部(10c)からなる受け部材(10−1)を、コイルばね(10−2)を内装しつつ、前記被支持部(10c)を貫通するピン(10−3)によりL形取付部材(10−4)に回動自在に支持し、前記コイルばね(10−2)を、キャブポスト(9)への取付部材(10−4)と受け部材(10−1)間に掛け、受け部材(10−1)のストッパ(10b)が常に取付部材(10−4)の一角に接触するよう付勢した、ストライカの受け部(10a)が回動するドアホルダを設けたことを特徴とする第1の発明と、建設機械キヤブの外側面に沿って設けたスライドレール(2)に誘導されて移動し、ドア開口部を開閉するスライドドアにおいて、該ドアの閉止端に基板(8a)よりやや倒し気味に当接部(8b)を立ち上げたストライカ(8)を設けるとともに、前記閉止端側のキャブポストに、前記ストライカに対向して、受け部(10a)と、その上下をコ字形に折り曲げてストッパ(10b)を形成した被支持部(10c)からなる受け部材(10−1)を、コイルばね(10−2)を内装しつつ、前記被支持部(10c)を貫通するピン(10−3)によりL形取付部材(10−4)に回動自在に支持し、前記コイルばね(10−2)を、キャブポスト(9)への取付部材(10−4)と受け部材(10−1)間に掛け、受け部材(10−1)のストッパ(10b)が常に取付部材(10−4)の一角に接触するよう付勢した、ストライカの受け部(10a)が回動するドアホルダ(6)を設けたことを特徴とする第2の発明とからなる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明建設機械キャブのスライドドアの好ましい実施の形態を、図1乃至図10により詳細に説明する。
図中、1は本発明のスライドドアで、このドア1は図3に示すように、キヤブの前面から左外側面の略半分までを覆うような1枚の透明プラスティック板等で構成したもので、主としてキャブCの前縁内側上、下に敷設したスライドレール2に、図1に示す複数のアーム3及びローラ4、4’を介して支持され(ドア後部は図3のc、dの位置で支持)、前記レール2に誘導されてキャブCの外側に沿って移動する。これによって、スライドドア1を全開したときは、左外側面の略半分までが開放されるものである。なお、5はスライドドア1の引き手である。
【0009】
前記スライドレール2は、スライドドア1の閉止端1a側において、キャブCの内側に2aの如く曲げられており、また、スライドドア1は、閉止端1aと反対側1bにロックポイントLをもっている。スライドドア1は、前記スライドレール2の屈曲部2a及びロックポイントL(図1及び図3を参照)を中心とする回動作用によって、その閉止端1a側は図1の連続作動図のように誘導される。
【0010】
6は本発明に係るスライドドアのホールド機構で、スライドドア1の閉止端1aのフレーム7の2箇所にストライカ8を、またこれに対応して、閉止端1a側のキャブポスト9の図3に示す図a、b位置に前記ストライカ8を受け、保持するドアホルダ10をそれぞれ固着している。
【0011】
前記ストライカ8は、図4、図5に詳細を示すように、基板8aよりやや倒し気味に当接部8bを立ち上げたもので、図4のものは鋼板製、図5のものは合成樹脂や非鉄金属等で製作されており、基板8aを前記ドア1の閉止端1aのフレーム7にボルト11で固定するものである。
【0012】
前記ドアホルダ10は、詳細を図6、図7に示すように、受け部10aと、その上下をコ字形に折り曲げてストッパ10bを形成した被支持部10cからなる受け部材10−1を、コイルばね10−2を内装しつつ、前記被支持部10cを貫通するピン10−3によりL形取付部材10−4に回動自在に支持し、前記コイルばね10−2を取付部材10−4と受け部材10−1間に掛け、受け部材10−1のストッパ10bが常に取付部材10−4の一角に接触するよう付勢したものである。
【0013】
このようなドアホルダ10は、前記キャブポスト9に取付部材10−4を介しボルト12で固着したとき、図1、図2のように、受け部材10−1の受け部10aが、キャブCの外からみて、手前より奥に行くに従ってキャブポスト9側に後退するように配置されている。
【0014】
次に、上記のように構成した、本発明建設機械キャブのスライドドアの作動を図1により説明すると、スライドドア1を開放状態から引き手5によりキャブポスト9側に移動して行くと、ドア1はスライドレール2の屈曲部2a及び前記ロックポイントLを中心とする時計方向の回動作用によって、図1の連続作動図のように移動し、ドア1の閉止端1a側がキャブポイント9に接近する。
【0015】
やがて閉止端1aに固着したストライカ8の当接部8b先端が、図2のように、まずキャブポスト9に固着したドアホルダ10の受け部10aに当接して、該受け部10aをコイルばね10−2に抗して反時計方向に回動しつつ、ストライカ8の当接部8bの主体が前記受け部10aに接触する。このドアホルダ10における受け部10aのコイルばね10−2に抗した回動によって、スライドドア1のドアポスト9への衝撃感が薄められる。また、スライドドア1のストライカ8は、ドアホルダ10の受け部10aと前記の如く接触して、該受け部10aを回動した状態で押圧され、ドア1の閉止端1a側はこの状態で保持(ホールド)される。
【0016】
スライドドア1を開放するときは、別設のロック機構(図示せず)を解除した後、前記引き手5を閉止端1a側と反対側に強く引けば、スライドドア1の閉止端1a側は、スライドレール2の屈曲部2aに誘導され、且つ前記ロックポイントLを中心として反時計方向に回動しようとするから、前記ストライカ8は前記ドアホルダ10の受け部10aから離れる。これにより、ドア1はドアホルダ10による保持作用から解除され、ドアホルダ10の、受け部10aをもつ受け部材10−1は、コイルばね10−2によってストッパ10bが取付部材10−4に当接する位置まで戻る。
【0017】
図8に示すものは、図1、図2に示すものとはドアホルダ21及びスライドレール22のみが異なるものである。即ち、図8に示すもののドアホルダ21は、基本的には図1乃至図7に示すものと同様であるが、受け部21aの奥側の端部にカジリ防止用フランジ21dを形成したものである。これによって、図9に示すように、(1)スライドドア20の閉止端20a側がキャブC内側に過度に入り込んだ状態(実線)でも、また逆に(2)前記閉止端20a側がキャブCの外側に振られた状態(点線)のときも、ストライカ8は受け部21aと確実に係合して保持ができる。図1、図2に示すものでは、スライドドア1の閉止時に、万一、ストライカ8が前記図9における(1)の状態(実線)よりさらに奥に入り込む可能性があり、ホルダ10の受け部10aに当接しない状態でスライドドア1が閉じてしまったとき、これを開放しようとして前記のようにドア1を引くと、ストライカ8の背面と受け部10aの先端が接触していわゆるカジリを発生し、スライドドア1が開放できない恐れがあるが、図8に示すものではこのようなおそれはない。
【0018】
図8に示すもののスライドレール22は、これも基本的には図1に示すものと同様であるが、屈曲部22aの先端近くに「ふくらみ」22bを追加したものである。これによって、スライドドア20のストライカ8がホルダ21の受け部21aに当接した後、該受け部21aを反時計方向に回動する場合、図10のようにスライドドア20の閉止端側を支持するローラ4が、スライドレール22の「ふくらみ」22bに入り込んで前記閉止端側をキャブC奥に移動せしめ、受け部21aとストライカ8が図10に示すような位置関係、即ちスライドドア20の開放方向に並行でストライカ8の先端を通る線「イ」と、同じくスライドドア20の開放方向に並行で受け部21aの最外側を通る線「ロ」との距離を大きく取るような位置関係として、スライドドア20の保持を確実にしている。
【0019】
【発明の効果】
本発明建設機械キャブのスライドドアは、建設機械キヤブの外側面に沿って移動し、ドア開口部を開閉するスライドドアにおいて、該ドアの閉止端に基板(8a)よりやや倒し気味に当接部(8b)を立ち上げたストライカ(8)を設けるとともに、前記閉止端側のキャブポストに、前記ストライカに対向して、受け部(10a)と、その上下をコ字形に折り曲げてストッパ(10b)を形成した被支持部(10c)からなる受け部材(10−1)を、コイルばね(10−2)を内装しつつ、前記被支持部(10c)を貫通するピン(10−3)によりL形取付部材(10−4)に回動自在に支持し、前記コイルばね(10−2)を、キャブポスト(9)への取付部材(10−4)と受け部材(10−1)間に掛け、受け部材(10−1)のストッパ(10b)が常に取付部材(10−4)の一角に接触するよう付勢した、ストライカの受け部(10a)が回動するドアホルダを設けたことを特徴とする第1の発明と、建設機械キヤブの外側面に沿って設けたスライドレール(2)に誘導されて移動し、ドア開口部を開閉するスライドドアにおいて、該ドアの閉止端に基板(8a)よりやや倒し気味に当接部(8b)を立ち上げたストライカ(8)を設けるとともに、前記閉止端側のキャブポストに、前記ストライカに対向して、受け部(10a)と、その上下をコ字形に折り曲げてストッパ(10b)を形成した被支持部(10c)からなる受け部材(10−1)を、コイルばね(10−2)を内装しつつ、前記被支持部(10c)を貫通するピン(10−3)によりL形取付部材(10−4)に回動自在に支持し、前記コイルばね(10−2)を、キャブポスト(9)への取付部材(10−4)と受け部材(10−1)間に掛け、受け部材(10−1)のストッパ(10b)が常に取付部材(10−4)の一角に接触するよう付勢した、ストライカの受け部(10a)が回動するドアホルダ(6)を設けたことを特徴とする第2の発明とからなるので、前記ロック角を大きくしてもストライカとホルダとの隙間を増大することなく、したがってスライドドア閉止時の、殊にドアと直角方向の定位置確保が容易であり、しかもスライドドアが通常より外方から進入しても前記衝撃感を少なくできるホールド機構をもつ、建設機械キャブのスライドドアを提供できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明建設機械キャブのスライドドアの第1例における、要部を連続作動的に示す平面略示図出、図3のX−X断面を示すもの
【図2】図1の一部を拡大して示す平面略示図
【図3】本発明スライドドアを備えた建設機械キャブの外観斜視図
【図4】本発明建設機械キャブのスライドドアにおける、ストライカの一例を示す斜視図
【図5】本発明建設機械キャブのスライドドアにおける、ストライカの他の例を示す斜視図
【図6】本発明建設機械キャブのスライドドアにおける、ホルダの一例を示す正面図
【図7】本発明建設機械キャブのスライドドアにおける、ホルダの一例を示す平面図
【図8】本発明建設機械キャブのスライドドアの第2例における、要部を示す平面略示図
【図9】本発明建設機械キャブのスライドドアの第2例における、ストライカとドアホルダの接触前の位置関係の説明図
【図10】本発明建設機械キャブのスライドドアの第2例における、スライドレールとローラの関係を説明する平面図
【図11】本発明建設機械キャブのスライドドアの第2例における、ストライカとドアホルダの接触後の位置関係の説明図
【図12】一般的スライドドアを有する建設機械用キャブの全体斜視図
【図13】従来のスライドドアにおけるストライカとドアホルダを説明する平面図。
【符号の説明】
C キャブ
D、1 スライドドア
1a スライドドアの閉止端
O ドア開口部
P、9 キャブポスト
H、10、21 ドアホルダ
10a、21a 受け部
10b ストッパ
10−1 受け部材
10−2 コイルばね
10−3 ピン
10−4 取付部材
21d カジリ防止用フランジ
M 受け口
S、8 ストライカ
8b 当接部
L ロックポイント
α 進入角
β ロック角
2、22 スライドレール
2a、22a スライドレールの屈曲部
22b ふくらみ
3 アーム
4 ローラ
5 引き手
6 スライドドアのホールド機構
7 フレーム
11、12 ボルト。
Claims (4)
- 建設機械キヤブの外側面に沿って移動し、ドア開口部を開閉するスライドドアにおいて、該ドアの閉止端に基板(8a)よりやや倒し気味に当接部(8b)を立ち上げたストライカ(8)を設けるとともに、前記閉止端側のキャブポストに、前記ストライカに対向して、受け部(10a)と、その上下をコ字形に折り曲げてストッパ(10b)を形成した被支持部(10c)からなる受け部材(10−1)を、コイルばね(10−2)を内装しつつ、前記被支持部(10c)を貫通するピン(10−3)によりL形取付部材(10−4)に回動自在に支持し、前記コイルばね(10−2)を、キャブポスト(9)への取付部材(10−4)と受け部材(10−1)間に掛け、受け部材(10−1)のストッパ(10b)が常に取付部材(10−4)の一角に接触するよう付勢した、ストライカの受け部(10a)が回動するドアホルダを設けたことを特徴とする建設機械キャブのスライドドア。
- 建設機械キヤブの外側面に沿って設けたスライドレール(2)に誘導されて移動し、ドア開口部を開閉するスライドドアにおいて、該ドアの閉止端に基板(8a)よりやや倒し気味に当接部(8b)を立ち上げたストライカ(8)を設けるとともに、前記閉止端側のキャブポストに、前記ストライカに対向して、受け部(10a)と、その上下をコ字形に折り曲げてストッパ(10b)を形成した被支持部(10c)からなる受け部材(10−1)を、コイルばね(10−2)を内装しつつ、前記被支持部(10c)を貫通するピン(10−3)によりL形取付部材(10−4)に回動自在に支持し、前記コイルばね(10−2)を、キャブポスト(9)への取付部材(10−4)と受け部材(10−1)間に掛け、受け部材(10−1)のストッパ(10b)が常に取付部材(10−4)の一角に接触するよう付勢した、ストライカの受け部(10a)が回動するドアホルダ(6)を設けたことを特徴とする建設機械キャブのスライドドア。
- 前記ストライカの受け部にかじり防止用フランジを形成したことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の建設機械キャブのスライドドア。
- 前記スライドレールのキャブポスト側の所定箇所に、スライドドアの閉止端側をキヤブ内方に移動せしめるふくらみ部を形成したことを特徴とする請求項2記載の建設機械キャブのスライドドア。
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