以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1に、本実施の形態の送信装置の構成を示す。送信装置100は、変調部102にディジタル信号101を入力すると共に、変調部110にディジタル信号109を入力する。
変調部102は、ディジタル信号101、フレーム構成信号118を入力とし、フレーム構成信号118にしたがってディジタル信号101を変調し、これにより得たベースバンド信号103を拡散部104に送出する。拡散部104は、ベースバンド信号103に拡散符号を乗算し、これにより得た拡散されたベースバンド信号105を無線部106へ送出する。無線部106は、拡散されたベースバンド信号105に周波数変換、増幅などを施すことにより、変調信号107を得る。変調信号107は、アンテナ108から電波として出力される。
変調部110は、ディジタル信号109、フレーム構成信号118を入力とし、フレーム構成信号118にしたがってディジタル信号109を変調し、これにより得たベースバンド信号111を拡散部112へ送出する。拡散部112は、ベースバンド信号111に拡散符号を乗算し、これにより得た拡散されたベースバンド信号113を無線部114へ送出する。無線部114は、拡散されたベースバンド信号113に周波数変換、増幅などを施すことにより、変調信号115を得る。変調信号115は、アンテナ116から電波として出力される。
なお以下の説明では、アンテナ108から送信される信号を変調信号Aと呼び、アンテナ116から送信される信号を変調信号Bと呼ぶ。
フレーム構成信号生成部117は、フレーム構成を示す情報、例えば、図2のフレーム構成の情報をフレーム構成信号118として出力する。
図2に、送信装置100の各アンテナ108、116から送信される変調信号のフレーム構成例を示す。アンテナ108から送信される変調信号A、アンテナ116から送信される変調信号Bは、チャネル推定のためのチャネル推定シンボル201、203と、データシンボル202、204とを有する。送信装置100は、図2に示すようなフレーム構成の変調信号Aと変調信号Bとをほぼ同時刻に送信する。なおチャネル推定のためのシンボル201及び203は、パイロットシンボル、ユニークワード、プリアンブルと呼ぶこともできる。
図3に、本実施の形態の受信装置の構成を示す。受信装置300は、2つのアンテナ301、311で信号を受信する。
無線部303は、アンテナ301で受信した受信信号302を入力とし、受信信号302に周波数変換、直交復調などを施し、これにより得たベースバンド信号304を逆拡散部305に送出する。逆拡散部305は、ベースバンド信号304を逆拡散し、これにより得た逆拡散後のベースバンド信号306を出力する。
変調信号Aのチャネル変動推定部307は、逆拡散後のベースバンド信号306を入力とし、例えば、図2のフレーム構成における変調信号Aのチャネル推定シンボル201を用いてチャネル変動を推定し、これにより得た変調信号Aのチャネル変動信号308を信号処理部321に送出する。同様に、変調信号Bのチャネル変動推定部309は、逆拡散後のベースバンド信号306を入力とし、例えば、図2のフレーム構成における変調信号Bのチャネル推定シンボル203を用いてチャネル変動を推定し、これにより得た変調信号Bのチャネル変動信号310を信号処理部321に送出する。
無線部313は、アンテナ311で受信した受信信号312を入力とし、受信信号312に周波数変換、直交復調などを施し、これにより得たベースバンド信号314を逆拡散部315に送出する。逆拡散部315は、ベースバンド信号314を逆拡散し、これにより得た逆拡散後のベースバンド信号316を出力する。
変調信号Aのチャネル変動推定部317は、逆拡散後のベースバンド信号316を入力とし、例えば、図2のフレーム構成における変調信号Aのチャネル推定シンボル201を用いてチャネル変動を推定し、これにより得た変調信号Aのチャネル変動信号318を信号処理部321に送出する。同様に、変調信号Bのチャネル変動推定部319は、逆拡散後のベースバンド信号316を入力とし、例えば、図2のフレーム構成における変調信号Bのチャネル推定シンボル203を用いてチャネル変動を推定し、これにより得た変調信号Bのチャネル変動信号320を信号処理部321に送出する。
信号処理部321は、逆拡散後のベースバンド信号306、316、変調信号Aのチャネル変動信号308、318、変調信号Bのチャネル変動信号310、320を入力とし、これらを用いて変調信号A、Bの検波、復号などを行うことにより、変調信号Aのディジタル信号322、変調信号Bのディジタル信号323を得る。信号処理部321の詳細の構成を、図4に示し、その詳しい動作については後で記述する。
図5に、本実施の形態における送受信装置間の関係を示す。送信装置100のアンテナ108から送信される信号をTxa(t)、アンテナ116から送信される信号をTxb(t)とし、受信装置300の受信アンテナ301で受信される信号をRx1(t)、受信アンテナ311で受信される信号をRx2(t)とし、各アンテナ間の伝搬変動をそれぞれh11(t)、h12(t)、h21(t)、h22(t)とする。すると、次式の関係式が成立する。ただし、tは時間とする。
図6A、図6Bに、各変調部102、110で16QAM(Quadrature Amplitude Modulation)を行った場合の変調信号Aと変調信号Bの信号点配置及びビット割り当てを示す。図6Aが変調信号Aの信号点配置及びビット割り当てであり、図6Bが変調信号Bの信号点配置及びビット割り当てである。変調信号A、変調信号B共に1シンボルに4ビットが割り当てられる。この実施の形態では、説明上、変調信号Aの1シンボルに割り当てられる4ビットを(Sa0,Sa1,Sa2,Sa3)と記述し、変調信号Bの1シンボルに割り当てられる4ビットを(Sb0,Sb1,Sb2,Sb3)と記述する。すなわち、(Sa0,Sa1,Sa2,Sa3)、(Sb0,Sb1,Sb2,Sb3)は、それぞれ、(0,0,0,0)から(1,1、1,1)の16種類の値をとる。
図6A、図6Bのように変調信号A、変調信号Bが16QAMのとき、多重されて受信された受信信号には、16×16=256点の信号点が存在することになる。この256点の信号点についてのI−Q平面における推定信号点は、図3の変調信号Aのチャネル変動信号308と、変調信号Bのチャネル変動信号310とから得ることができる。その信号点配置の一例を、図7に示す。
図7の黒点は256点の推定信号点を示す。また符号701は、図3の逆拡散後ベースバンド信号306の信号点を示す。このとき、256点の推定信号点と逆拡散後のベースバンド信号の信号点701との信号点距離を求め、最も距離の小さい値をとる推定信号点を探索することで、変調信号A、変調信号Bの復号、検波を行うことができる。例えば、符号702は、(Sa0,Sa1,Sa2,Sa3,Sb0,Sb1,Sb2,Sb3)が(0,0,0,0,0,0,0,0)の推定信号点であり、図7の場合、受信点701は256点の推定信号点のうち推定信号点702までの距離が最も小さいので、検波結果として(0,0,0,0,0,0,0,0)を得ることができる。
このようにして、検波を行うと、受信点と256点の推定信号点全ての間の信号点距離を求める必要があるため、回路規模が非常に大きくなる欠点がある。ただし、良好な受信品質(誤り率特性が良いデータ)を得ることができる利点がある。一方、(1)式の関係式の逆行列演算を行い、検波する方法においては、回路規模は削減できるが、誤り率特性が悪くなるという欠点がある。
本実施の形態の受信装置300は、この両者の特徴を踏まえて構成されており、小さな回路規模で、品質(誤り率特性)の良い受信データを得ることができるものである。
図4に、本実施の形態の受信装置300の特徴である信号処理部321の詳細構成を示す。
分離部507は、変調信号Aのチャネル変動信号308、318、変調信号Bのチャネル変動信号310、320、逆拡散後のベースバンド信号306、316を入力とし、(1)式の逆行列演算を行うことで、送信信号Txa(t)、Txb(t)の推定信号を得る。分離部507は、このようにして得た変調信号Aの推定ベースバンド信号508を部分ビット判定部509に送出すると共に、変調信号Bの推定ベースバンド信号511を部分ビット判定部512に送出する。
ここで分離部507と、部分ビット判定部509、512は、尤度検波とは異なる検波方法を用いて変調信号A、Bの一部のビットのみを復調する部分ビット復調部550を構成する。なお本実施の形態では、分離部507で(1)式の逆行列演算を行う場合について述べるが、例えばMMSE演算を行って複数の変調信号が混ざり合った受信信号を各変調信号A、Bに分離するようにしてもよく、要は尤度検波とは異なる検波方法を用いて変調信号A、Bの一部のビットのみを復調すればよい。
部分ビット判定部509、512の動作について説明する。部分ビット判定部509と部分ビット判定部512は、処理対象の信号が異なるだけで同様の動作を行うので、ここでは変調信号Aについての部分ビット判定部509の動作について説明する。図8Aは、16QAMの16個の信号点(シンボル)の座標の配置を示している。これからも分かるように、変調信号Aの1シンボルを構成する4ビット(Sa0,Sa1,Sa2,Sa3)は、信号点位置によって(0,0,0,0)から(1,1,1,1)のいずれかの値をとる。
部分ビット判定部509は、変調信号Aの推定ベースバンド信号508を入力とし、変調信号Aの推定ベースバンド信号508が、図8Bに示す領域1に存在していた場合Sa0=1、領域2に存在していた場合Sa0=0、領域3に存在していた合Sa2=1、領域4に存在していた場合Sa2=0、領域5に存在していた場合Sa3=1と決定し、この情報を変調信号Aの決定された部分ビット情報510として出力する。部分ビット判定部512は、変調信号Bの推定ベースバンド信号511を入力とし、上述と同様の動作を行うことで、変調信号Bの決定された部分ビット情報513を出力する。
ここで、1ビットを決定する領域を図8Bのように定めた理由は、Sa0、Sb1、Sa2、Sa3のうち図8Bのように定めた1ビットは残り3ビットと比較し、正しい可能性が高いからである。したがって、この1ビットを決定しても、後の検波で、受信品質の劣化につながる可能性が低いからである。
次に、信号点削減部514、516の動作について説明する。信号点削減部514は、変調信号Aのチャネル変動推定信号318、変調信号Bのチャネル変動推定信号320、変調信号Aの決定された部分ビット情報510、変調信号Bの決定された部分ビット情報513を入力とする。ここで信号点削減を行わない場合には、変調信号Aのチャネル変動推定信号318、変調信号Bのチャネル変動推定信号320から、図7のように、256個の信号点の候補点を求めることになる。しかし、本実施の形態では、変調信号Aの決定された部分ビット情報510及び変調信号Bの決定された部分ビット情報513を用いることで、前述のように、1ビットずつの決定情報(計2ビット)から、8ビット(256点の信号点)のうち8−2=6ビット(64個の信号点)のみが未決定となる。
例えば、変調信号Aの決定された部分ビット情報510としてSa0=1の情報が、変調信号Bの決定された部分ビット情報513としてSb0=0の情報が、信号点削減部514に入力されたものとする。すると、信号点削減部514は、256個の信号点(図7)のうち、Sa0=1かつSb=0の値を取らない信号点を削除する。このことにより候補信号点を64個に削減でき、信号点削減部514は、この64個に信号点の情報を削減後の信号点情報515として出力する。信号点削減部516は、変調信号Aのチャネル変動信号308、変調信号Bのチャネル変動信号310、変調信号Aの決定された部分ビット情報510、変調信号Bの決定された部分ビット情報513を入力とし、上述と同様の動作を行い、削減後の信号点情報517を出力する。
尤度検波部518は、逆拡散後のベースバンド信号306、316、削減後の信号点情報515、517を入力とする。そして、削減後の信号点情報515及び逆拡散後のベースバンド信号316から、図9の状態を得る。図9において、逆拡散後のベースバンド信号316が符号701で示す信号点であり、削減後の信号点情報515が黒点で示す64個の信号点である。そして、尤度検波部518は、64点の候補信号点と逆拡散後のベースバンド信号の信号点701との信号点距離を求める。つまり、ブランチメトリックを求める。これをブランチメトリックXと名付ける。同様に、尤度検波部518は、削減後の信号点情報517及び逆拡散後のベースバンド信号306から、64点の候補信号点と逆拡散後のベースバンド信号の信号点701との信号点距離を求める。つまり、ブランチメトリックを求める。これをブランチメトリックYと名付ける。
そして、尤度検波部518は、ブランチメトリックXとブランチメトリックYを用いて、尤度の最も高い系列8ビットを求め、これを変調信号Aのディジタル信号322及び変調信号Bのディジタル信号323として出力する。因みに、図4の例では、尤度検波部518が、変調信号A、変調信号Bのディジタル信号322、323を分離して(並列に)出力しているが、変調信号A、変調信号Bのディジタル信号を束ねて(直列に)一系統のディジタル信号として出力するようにしてもよい。
かくして本実施の形態によれば、尤度検波とは異なる検波方法を用いて各変調信号の1シンボルを構成する複数ビットのうちの部分ビットを判定する部分ビット復調部550と、判定された部分ビットを用いて候補信号点を削減する信号点削減部514、516と、削減された候補信号点と受信点とのユークリッド距離に基づいて最尤検波を行うことで受信ディジタル信号322、323を得る尤度検波部518とを設けるようにしたことにより、比較的小さな回路規模で誤り率特性を効果的に向上し得る受信装置300を実現できる。すなわち、尤度検波部518では、削減された候補信号点を用いるので、ユークリッド距離を求める演算回数が減少するため、回路規模を削減することができる。また逆行列演算結果に基づいて求める部分ビットは、誤り難いビットのみであるため、全てのビットを逆行列演算結果に基づいて尤度復号する場合と比較して、逆行列演算による誤り率特性の劣化を格段に抑制することができる。
(i)部分ビット判定部の他の構成例
上述した実施の形態では、部分ビット判定部509、512によって1ビットずつビット判定を行うことで、信号点削減部514、516でそれぞれ計2ビットの候補信号点数の削減を行う場合について説明した。ここでは、部分ビット判定部509、512によって2ビットずつビット判定を行うことで、信号点削減部514、516でそれぞれ計4ビットの候補信号点数の削減を行う方法及び構成を説明する。
図10A、図10Bに、図7の部分ビット判定部509、512において、2ビットを決定する際の決定方法の一例を示す。部分ビット判定部509と部分ビット判定部512は、処理対象の信号が異なるだけで同様の動作を行うので、ここでは変調信号Aについての部分ビット判定部509の動作について説明する。図10Aは、16QAMの16個の信号点(シンボル)の座標の配置を示している。これからも分かるように、変調信号Aの1シンボルを構成する4ビット(Sa0,Sa1,Sa2,Sa3)は、信号点位置によって(0,0,0,0)から(1,1,1,1)のいずれかの値をとる。
部分ビット判定部509は、変調信号Aの推定ベースバンド信号508を入力とし、変調信号Aの推定ベースバンド信号508が、図10Bの点線で囲まれた領域1に存在する場合、Sa0=0、Sa2=1と決定し、領域2に存在する場合、Sa1=1、Sa2=1、領域3に存在する場合、Sa0=1、Sa2=1、領域4に存在する場合、Sa0=0、Sa3=1、領域5に存在する場合、Sa1=1、Sa3=1、領域6に存在する場合、Sa0=1、Sa3=1、領域7に存在する場合、Sa0=0、Sa2=0、領域8に存在する場合、Sa1=1、Sa2=0、領域9に存在する場合、Sa0=1、Sa2=0と決定する。そして部分ビット判定部509は、この情報を変調信号Aの決定された部分ビット情報510として出力する。部分ビット判定部512は、変調信号Bの推定ベースバンド信号511を入力とし、上述と同様の動作を行うことで、変調信号Bの決定された部分ビット情報513を出力する。
ここで、2ビットを決定する領域を図10Bのように定めた理由は、Sa0、Sb1、Sa2、Sa3のうち図10Bのように定めた2ビットは残り2ビットと比較し、正しい可能性が高いからである。したがって、この2ビットを決定しても、後の検波で、受信品質の劣化につながる可能性が低いからである。
信号点削減部514では、上述と同様の動作を行うことで候補信号点削減を行う。このとき、変調信号Aの決定された部分ビット情報510は2ビット、変調信号Bの決定された部分ビット情報513は2ビットで構成されているため、8ビット(256点の信号点)のうち8−4=4ビット(16個の信号点)のみが未決定となる。これにより、候補信号点を16個に削減できる。この16個に信号点の情報が削減後の信号点情報となる。したがって、尤度検波部518では、ブランチメトリックの計算がさらに削減できるので、回路規模をさらに削減できる。ただし、部分ビット判定部509、512で決定するビット数が増えると、受信品質が劣化することになる。
(ii)マルチキャリア方式への適用
ここでは、本発明を、マルチキャリア方式に適用する場合の構成例を説明する。マルチキャリア方式としてOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式を用いた場合を例に説明する。
図11に、送信装置の構成を示す。送信装置1100は、変調部1102にディジタル信号1101を入力すると共に、変調部1112にディジタル信号1111を入力する。
変調部1102、1112は、それぞれ、ディジタル信号1101、1111、フレーム構成信号1122を入力とし、フレーム構成信号1122にしたがってディジタル信号1101、1111を変調し、これにより得たベースバンド信号1103、1113をシリアルパラレル変換部(S/P)1104、1114に送出する。シリアルパラレル変換部1104、1114は、それぞれ、ベースバンド信号1103、1113をシリアルパラレル変換し、これにより得たパラレル信号1105、1115を逆フーリエ変換部(idft)1106、1116に送出する。逆フーリエ変換部1106、1116は、それぞれ、パラレル信号1105、1115に逆フーリエ変換を施し、これにより得た逆フーリエ変換後の信号1107、1117を無線部1108、1118に送出する。無線部1108、1118は、それぞれ、逆フーリエ変換後の信号1107、1117に周波数変換、信号増幅などを施すことにより、変調信号1109、1119を得る。変調信号1109、1119は、それぞれ、アンテナ1110、1120から電波として出力される。
これにより、各アンテナ1110、1120からは、それぞれ、OFDM信号である変調信号1109(変調信号A)と変調信号1119(変調信号B)が送信される。
ここでフレーム構成信号生成部1121は、フレーム構成の情報をフレーム構成信号1122として出力する。フレーム構成例を、図12A、図12Bに示す。図12A、図12Bは、フレーム構成を時間−周波数軸で表したものである。図12Aは変調信号Aのフレーム構成を示し、図12Bは変調信号Bのフレーム構成を示す。一例としてキャリア1からキャリア5で構成されて場合を示した。同一時刻のシンボルは同時に送信されているものとする。なお斜線で示したパイロットシンボル1201は、受信側でチャネル推定を行うためのシンボルである。ここではパイロットシンボルと呼んでいるが、プリアンブルなど別の呼び方をしてもよく、チャネル推定を行うことができるシンボルであればよい。なお空白で示した1202はデータシンボルを示す。
図13に、受信装置の構成を示す。受信装置300は、2つのアンテナ1301、1311で信号を受信する。
無線部1303は、アンテナ1301で受信した受信信号1302を入力とし、受信信号1302に周波数変換などを施し、これにより得たベースバンド信号1304をフーリエ変換部(dft)1305に送出する。フーリエ変換部1305は、ベースバンド信号1304をフーリエ変換し、これにより得たフーリエ変換後の信号1306を出力する。
変調信号Aのチャネル変動推定部1307は、フーリエ変換後の信号1306を入力とし、図12Aの変調信号Aのパイロットシンボル1201を用いて、変調信号Aのチャネル変動をキャリア1からキャリア5まで、それぞれ求め、変調信号Aのチャネル変動信号群1308(キャリア1からキャリア5のそれぞれの推定信号で構成されている)を出力する。同様に、変調信号Bのチャネル変動推定部1309は、フーリエ変換後の信号1306を入力とし、図12Bの変調信号Bのパイロットシンボル1201を用いて、変調信号Bのチャネル変動をキャリア1からキャリア5まで、それぞれ求め、変調信号Bのチャネル変動信号群1310(キャリア1からキャリア5のそれぞれの推定信号で構成されている)を出力する。
同様に、無線部1313は、アンテナ1311で受信した受信信号1312を入力とし、受信信号1312に周波数変換などを施し、これにより得たベースバンド信号1314をフーリエ変換部(dft)1315に送出する。フーリエ変換部1315は、ベースバンド信号1314をフーリエ変換し、これにより得たフーリエ変換後の信号1316を出力する。
変調信号Aのチャネル変動推定部1317は、フーリエ変換後の信号1316を入力とし、図12Aの変調信号Aのパイロットシンボル1201を用いて、変調信号Aのチャネル変動をキャリア1からキャリア5まで、それぞれ求め、変調信号Aのチャネル変動信号群1318(キャリア1からキャリア5のそれぞれの推定信号で構成されている)を出力する。同様に、変調信号Bのチャネル変動推定部1319は、フーリエ変換後の信号1316を入力とし、図12Bの変調信号Bのパイロットシンボル1201を用いて、変調信号Bのチャネル変動をキャリア1からキャリア5まで、それぞれ求め、変調信号Bのチャネル変動信号群1320(キャリア1からキャリア5のそれぞれの推定信号で構成されている)を出力する。
信号処理部1321は、フーリエ変換後の信号1306、1316、変調信号Aのチャネル変動信号群1308、1318、変調信号Bのチャネル変動信号群1310、1320を入力とし、これらを用いて変調信号A、Bの復号、検波などを行うことにより、変調信号Aのディジタル信号1322、変調信号Bのディジタル信号1323を得る。
信号処理部1321は、図4に示した信号処理部321と同様の構成とすればよい。すなわち、図4の変調信号Aのチャネル変動信号308に代えて変調信号Aのチャネル変動推定群1308を入力し、変調信号Bのチャネル変動信号310に代えて変調信号Bのチャネル変動推定群1310を入力し、逆拡散後のベースバンド信号306に代えてフーリエ変換後の信号1306を入力し、変調信号Aのチャネル変動信号318に代えて変調信号Aのチャネル変動推定群1318を入力し、変調信号Bのチャネル変動信号320に代えて変調信号Bのチャネル変動推定群1320を入力し、逆拡散後のベースバンド信号316に代えてフーリエ変換後の信号1316を入力すればよい。
例えば、分離部507は、変調信号Aのチャネル変動推定群501、504、変調信号Bのチャネル変動推定群502、505、フーリエ変換後の信号503、506を入力とし、(1)式に基づいてキャリアごとに逆行列演算を施し、図12A、図12Bの周波数−時間軸におけるフレーム構成にしたがって、変調信号Aの推定ベースバンド信号508、変調信号Bの推定ベースバンド信号511を出力する。
そして、部分ビット判定部509、512は、キャリアごとに、上述と同様に部分ビットを判定する。また信号点削減部514、516についても、キャリアごとに、上述と同様に信号点削減を行い、尤度検波部518も、キャリアごとに尤度検波を行う。これにより、OFDM信号でなる変調信号A、Bのディジタル信号1322、1323を得ることができる。
このようにして、OFDM方式等のマルチキャリア方式についても、本発明を実施することができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1と比較して、2ビットの部分判定の場合分けをより単純化し、受信品質の改善効果が大きいI−Q平面における信号点配置の仕方について説明する。因みに、ここでは、主に変調信号Aについて説明するが、変調信号Bについても同様の処理を行えばよい。
送信装置と受信装置の概略構成は、実施の形態1と同様である。実施の形態1と異なるのは、送信装置の変調部の構成と、受信装置の部分ビット判定部、信号点削減部の構成である。
図14Aに、本実施の形態の送信装置による信号点配置例を示す。また図14Bに、本実施の形態の受信装置による部分ビット判定方法を示す。すなわち、図1の変調部102、110、図11の変調部1102、1112によって、図14Aのような信号点マッピングを行う。また図4の部分ビット判定部509、512によって、図14Bのような領域分けを行って部分ビットを判定する。
図14Aに示すように、本実施の形態の変調部は、信号点4点を1セットとし、1セット内の4点の信号点間の距離は小さいが、セット間の距離を大きくする変調処理(マッピング)を行うようになっている。また変調部は、1セット内の4点の信号点間距離を等しくすると共に、各セット間の距離も等しくする。変調部は、このようにして、領域を第1から第4象限に簡単分割できるように信号点を配置する。
これにより、受信側では、信号点4点で構成されているセット内で共通となる2ビットを簡単に復調することができるようになる。つまり、セット内の信号点間距離は小さくセット間の信号点距離は大きいので、受信点がどのセット(象限)に含まれるかを容易かつ的確に判定できるので、2ビットの部分判定を容易かつ的確に行うことができる。
具体的には、受信ベースバンド信号が、図14Bに示すI−Q平面において、領域1に存在する場合には、領域1の信号点4点で共通の2ビット、Sa0=1、Sa2=1を部分ビットとして決定する。また受信ベースバンド信号が、領域2に存在する場合には、領域2の信号点4点で共通の2ビット、Sa0=0、Sa2=1を部分ビットとして決定する。また受信ベースバンド信号が、領域3に存在する場合には、領域2の信号点4点で共通の2ビット、Sa0=0、Sa2=0を部分ビットとして決定する。また受信ベースバンド信号が、領域4に存在する場合には、領域4の信号点4点で共通の2ビット、Sa0=1、Sa2=0を部分ビットとして決定する。
図4の部分ビット判定部509は、これらの決定された2ビットの情報を変調信号Aの決定された部分ビット情報510として出力する。またビット判定部512においても、変調信号Bについて同様の処理を行う。
図4の信号点削減部514、516は、部分ビット判定部509、512によって決定された4ビットの情報を用いて、実施の形態1で上述したように256点の候補信号点を16点の候補信号点に削減する。
かくして本実施の形態によれば、送信装置100、1100の変調部102、110、1102、1112において、IQ平面上で、複数の信号点セットに分割され、かつ信号点セット内の最小信号点間距離が信号点セット間の最小信号点距離よりも小さくされている信号点配置を用いて、送信ビットを信号点マッピングするようにしたことにより、受信側で部分ビットの判定を容易かつ的確に行うことができるといった効果を得ることができる。
加えて、1セット内の4点の信号点間距離を等しくすると共に、セット間の距離も等しくするようにしたことにより、送信最大電力対送信平均電力比が小さくなる。これにより、送信系電力増幅器の線形増幅の要求が軽減されるため、消費電力を小さくできるという効果も得られる。これは、以降説明する64値の変調方式に適用する場合も同様である。
なお実施の形態1や本実施の形態では、変調信号Aと変調信号Bの信号点配置を同じにする場合について説明したが、変調信号Aと変調信号Bの信号点配置を異なるようにした場合でも、同様の効果を得ることができる。
例えば、送信側では、変調信号Aの信号点配置を図14Aのようにし、変調信号Bの信号点配置を図8Aのようにする。そして受信側では、図4の変調信号Aのための部分ビット判定部509によって2ビットを決定し、変調信号Bのための部分ビット判定部512によって1ビットを決定することで、計3ビットを決定する。そして信号点削減部514、516では、この決定された3ビットの部分ビット情報を用いて256点の候補信号点を32点の信号点に削減する。
また受信側で、変調信号Aのみ部分ビットを判定する方法も考えられる。この方法を実現するための信号処理部321の構成を図15に示す。因みに、この例では、変調信号Aの信号点は、部分ビットを決定し易いように、図14Aのように配置されているものとする。図15の部分ビット判定部509は、図14Bの判定基準に基づいて変調信号Aの2ビットを部分判定する。信号点削減部514、516は、決定された2ビットを用いて、256点の候補信号点を64点の候補信号点に削減する。尤度検波部518は、64点の信号点と受信ベースバンド信号とのユークリッド距離を求めることで、尤度検波を行う。
このように、一方の変調信号についての部分ビットのみ判定すれば、部分ビット判定部の構成を簡単化できるので、その分だけ回路規模を削減することができる。このような構成は、一方の変調信号が、他方の変調信号よりも部分ビット判定が容易な信号点配置とされている場合に、特に有効である。
(実施の形態3)
本実施の形態では、変調方式を64値の多値変調としたときの具体的な信号点配置の仕方及び部分ビットの判定の仕方について説明する。送信装置及び受信装置の概略構成は、変調方式を16値の多値変調から64値の多値変調に換えることを除いて、実施の形態1や実施の形態2と同様である。
図16に、I−Q平面における64QAMの信号点配置を示す。本実施の形態の受信装置は、図4の部分ビット判定部509、511によって、それぞれ、6ビット中のうち最も誤る可能性が低い1ビットを決定するような領域分割を行って1ビットを決定する。そして信号点削減部514、516によって64×64=4096点の候補信号点から2ビット分の信号点を削減することで、候補信号点を1024点に削減する。尤度検波部518は、1024点の各候補信号点と受信点とのユークリッド距離を求めることで尤度検波を行う。
また受信装置において、部分ビット判定部509、511によって2ビットを決定するような領域分割を行い、それぞれ2ビットの部分ビットを決定すると、候補信号点数を256点に削減できる。また3ビットを決定するような領域分割を行い、それぞれ3ビットの部分ビットを決定すると、候補信号点数を64点に削減できる。また4ビットを決定するような領域分割を行い、それぞれ4ビットの部分ビットを決定すると、候補信号点数を16点に削減できる。このように部分ビット判定部509、511で決定するビット数を多くするほど、尤度検波を行う際の候補信号点数を少なくできるので、演算量を減らすことができるようになる。ただし、部分ビット判定部509、511で決定するビット数を多くするほど、誤り率特性が劣化すると同時に、実施の形態1の16QAMのときと同様に、領域分割が複雑になるという欠点がある。
そこで本実施の形態では、さらに好ましい64値の多値変調の信号点配置として、図17のような信号点配置を提案する。図17の信号点配置は、基本概念としては、実施の形態2で説明したものと同じである。すなわち、信号点を複数のセットに分け、セット内の信号点の最小ユークリッド距離よりもセット間の最小ユークリッド距離を大きくするような変調(マッピング)処理を行う。
具体的には、信号点16点を1セットとし、1セット内の16点の信号点間の距離は小さいが、セット間の距離を大きくする変調処理(マッピング)を行う。また変調部は、1セット内の16点の信号点間距離を等しくすると共に、各セット間の距離も等しくする。変調部は、このようにして、領域を第1から第4象限に簡単分割できるように信号点を配置する。
これにより、受信側では、信号点16点で構成されているセット内で共通となる2ビットを簡単に復調することができるようになる。つまり、セット内の信号点間距離は小さくセット間の信号点距離は大きいので、受信点がどのセット(象限)に含まれるかを容易かつ的確に判定できるので、2ビットの部分判定を容易かつ的確に行うことができる。
本実施の形態では、64値の多値変調の別の好ましい信号点配置として、図18に示すような信号点配置を提案する。図18は、各変調信号につき4ビットの部分ビットを決定するのに適した64値の多値変調の信号点配置である。この信号点配置の基本概念は、上述したのと同様に、信号点を複数のセットに分け、セット内の信号点の最小ユークリッド距離よりもセット間の最小ユークリッド距離を大きくするような変調(マッピング)処理を行うことである。
具体的には、信号点4点を1セットとし、1セット内の4点の信号点間の距離は小さいが、セット間の距離を大きくする変調処理(マッピング)を行う。このように、領域を1〜16に簡単分割できるように信号点を配置する。
これにより、受信側では、信号点16点で構成されているセット内で共通となる4ビットを簡単に復調することができるようになる。つまり、セット内の信号点間距離は小さくセット間の信号点距離は大きいので、受信点がどのセット(領域1〜16)に含まれるかを容易かつ的確に判定できるので、4ビットの部分判定を容易かつ的確に行うことができる。
かくして本実施の形態によれば、それぞれ異なる64値変調信号を複数のアンテナから送信するにあたって、64値の信号点を複数のセットに分け、セット内の信号点の最小ユークリッド距離よりもセット間の最小ユークリッド距離を大きくするような変調(マッピング)処理を行うようにしたことにより、受信側で容易かつ的確な部分ビット判定処理及び信号点削減処理を行うことができるので、受信側で比較的小さな回路規模で誤り率特性の良い受信信号を得ることができるようになる。
なお本実施の形態の方法は、実施の形態2でも説明したように、変調信号Aと変調信号Bの信号点配置を同じにする場合に限らず、変調信号Aと変調信号Bの信号点配置を異なるように配置し、変調信号Aと変調信号Bとで判定する部分ビットのビット数を異なるようにした場合でも、実施することができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、実施の形態1〜3の構成に加えて、送信側で畳み込み符号やターボ符号を行い、受信側で軟判定復号を行う場合における、好適な軟判定値計算方法を説明する。本実施の形態は、基本的には上述した実施の形態で説明したどの信号点配置を採用した場合でも適用できるものであるが、ここでは一例として送信側で図14Aに示した信号点配置を行った場合を例にとって説明する。
図1との対応部分に同一符号を付して示す図19に、本実施の形態の送信装置の構成を示す。送信装置1900は、符号化部1902に送信ディジタル信号1901を入力する。符号化部1902は、送信ディジタル信号1901に畳み込み符号化を施すことにより、符号化後のディジタル信号101及び符号化後のディジタル信号102を得、これらを変調部102、110に送出する。
受信装置の全体構成は、図3のとおりである。本実施の形態では、図3の信号処理部321を、図20の信号処理部2000のように構成する。なお図20では、図4との対応部分には同一符号を付した。
本実施の形態の信号処理部2000は、軟判定値計算部2001を有する。軟判定値計算部2001は、削減後の信号点情報515、517、逆拡散後のベースバンド信号503、506を入力とし、これらを用いて軟判定値信号2002を得、これを判定部2003に送出する。判定部2003は、軟判定値信号2002を復号することでディジタル信号2004を得る。
この軟判定値計算部2001及び判定部2003の処理について、図21を用いて詳述する。
例えば、図19の送信装置1900が図14Aのような信号点配置で変調信号を送信したものとする。そして、図3の受信装置300がこの変調信号を受信したものとする。
すると、図20の信号処理部2000においては、部分ビット判定部509が、図14Bの信号点配置における領域分割に基づき、変調信号AのSa0、Sa2の2ビットを決定し、これを部分ビット情報510として出力する。同様に、部分ビット判定部512が、図14Bの信号点配置における領域分割に基づき、変調信号BのSb0、Sb2の2ビットを決定し、これを部分ビット情報513として出力する。
信号点削減部514は、部分ビット判定部509、512からの4ビットの情報を用いて、16×16=256点の信号点から16点の信号点を求め、これを削減後の信号点情報515として軟判定値計算部2001に送出する。同様に、信号点削減部516も、16点の信号点情報を削減後の信号点情報517として軟判定値計算部2001に送出する。
ここでは、一例として、部分ビット判定部509で決定された変調信号Aの部分ビットをSa0=0、Sa2=0、部分ビット判定部512で決定された変調信号Bの部分ビットをSb=0、Sb2=0とする。
このとき軟判定値計算部2001は、削減後の信号点情報515と逆拡散後のベースバンド信号316を用いて、図21の計算を行う。
(ステップST1)
はじめに、削減後の信号点情報515の16個の信号点と逆拡散後のベースバンド信号のユークリッド距離の例えば2乗を求める。ここで、ユークリッド距離の2乗を、D(Sa0,Sa2,Sb0,Sb2,Sa1,Sa3,Sb1,Sb3)という関数で表現する。すると、この例では、Sa0=0、Sa2=0、Sb=0、Sb2=0なので、D(0,0,0,0,Sa1,Sa3,Sb1,Sb3)においてSa1,Sa3,Sb1,Sb3が0または1の16個の値が求まることになる。因みに、これを用いて事後確率を求めることもできる。
(ステップST2)
次に、D(0,0,0,0,Sa1,Sa3,Sb1,Sb3)の16個の値から最大値を求める。このときの最大値をDmaxとする。
(ステップST3)
最後に、実際にユークリッド距離の2乗を求めた16個の信号点以外の240個の信号点のユークリッド距離の2乗の値を、全てDmaxとする。この例では、D(0,0,0,1,0,0,0,0)からD(1,1,1,1,1,1,1,1)の値を、全てDmaxとする。すなわち、実際にユークリッド距離の2乗を求めた16個の信号点以外の240個の信号点までのユークリッド距離は、16個の信号点のユークリッド距離の2乗値の最大値Dmaxよりも大きいと見なせるので、これらの信号点のユークリッド距離の2乗値を一律にDmaxに設定する。これにより、16点の信号点のユークリッド距離の2乗値を有効に活用して、256点のユークリッド距離の2乗値を容易に得ることができる。
そして、軟判定値計算部2001は、これらの256点のユークリッド距離の2乗の値(ブランチメトリック)を軟判定値信号2002として出力する。
判定部2003は、軟判定値信号2002を入力とし、ブランチメトリックから、パスメトリックを求め、復号し、ディジタル信号2004を出力する。
このように信号処理部2000によれば、削減された各候補信号点と受信点とのユークリッド距離のみを計算すると共に、それ以外の各信号点と受信点とのユークリッド距離を全て前記求めたユークリッド距離の最大値Dmaxと定めることで全ての候補信号点の軟判定値を得るようにしたことにより、全ての候補信号点についての軟判定値を容易に得ることができるようになる。
図20との対応部分に同一符号を付して示す図22に、本実施の形態の信号処理部の別の構成を示す。信号処理部2200は、重み付け係数計算部2201を有する。
重み付け係数計算部2201は、変調信号Aのチャネル変動信号308、318、変調信号Bのチャネル変動信号310、320を入力とし、ブランチメトリックに乗算する信頼度に相当する重み付け係数を求める。ここで、分離部507が例えば(1)式の演算を行って信号を分離する場合、重み付け計算部2201は信号の分離精度に相当する重み付け係数を求めるとよい。具体的には、重み付け計算部2201は、文献“Soft-decision
decoder employing eigenvalue of channel matrix in MIMO systems”IEEE PIMRC2003,
pp.1703-1707, Sep. 2003.に示されているように、例えば(1)式の行列の固有値の最小パワーを求め、これを重み付け係数信号2202として出力すればよい。
軟判定値計算部2001は、削減後の信号点情報515、517、逆拡散後のベースバンド信号306、316、重み付け係数信号2202を入力とし、求めたブランチメトリックに重み付け係数を乗算することより軟判定値信号2002を求める。
このように信号処理部2200においては、ブランチメトリックに重み付け係数を乗算するようにしたことにより、一段と誤り率特性を向上させることができる。なお、上記説明では、重み付け係数として固有値の最小パワーを用いた場合について述べたが、重み係数はこれに限ったものではない。
また本実施の形態では、畳み込み符号を用いた場合について説明したが、これに限ったものではなく、ターボ符号、低密度パリティ符号などを用いた場合でも同様に実施することができる。また信号の順番を入れ替えるインターリーブ、信号の一部を削除して冗長度を下げるパンクチャリングの機能などを設けても同様に実施することができる。これは、他の実施の形態についても同様である。
また本実施の形態では、ユークリッド距離の2乗を求め、それに基づいて軟判定値を求める例を説明したが、ユークリッド距離の2乗に限らず、他の尤度を基準に軟判定値を求める場合にも適用することができる。これは、他の実施の形態についても同様である。さらに、軟判定値を求める方法としては、本実施の形態で説明した以外に、ステップST1を利用して求めた事後確率と、チャネル行列とを利用して、分離後のSNRを求め、それを事前確率とし、事前確率と事後確率とを用いて軟判定値を求めてもよい。これは、他の実施の形態でも同様である。
(実施の形態5)
本実施の形態では、上述した実施の形態で説明したように受信側で部分ビットを削減して候補信号点を削減する処理を行うにあたって、より好適な符号化(畳み込み符号、ターボ符号)の仕方を説明する。
送信装置の概略構成は、図19のとおりである。この実施の形態では、一例として、変調部102、110が、図14Aに示すような信号点配置を採用した16値の多値変調を行うものとする。また受信装置の概略構成は、図3のとおりである。
図23に、本実施の形態の符号化部の構成を示す。すなわち、図23の符号化部2300は、図19の符号化部1902として用いられる。
符号化部2300は、(Sa0,Sa2)符号化部2302、(Sa1,Sa3,Sb1,Sb3)符号化部2304、(Sb0,Sb2)符号化部2306を有する。各符号化部2302、2304、2306は、ディジタル信号1901を入力し、それぞれ特定のビットに対する符号化処理を行う。
すなわち、(Sa0,Sa2)符号化部2302は、ディジタル信号1901に含まれるビットSa0、Sa2を符号化し、このビットSa0、Sa2の符号化情報2303を出力する。(Sa1,Sa3,Sb1,Sb3)符号化部2304は、ディジタル信号1901に含まれるビットSa1,Sa3,Sb1,Sb3を符号化し、このビットSa1,Sa3,Sb1,Sb3の符号化情報2305を出力する。(Sb0,Sb2)符号化部2306は、ディジタル信号1901に含まれるビットSb0,Sb2を符号化し、Sb0、Sb2の符号化情報2307を出力する。
このように、所定のビット単位で符号化処理を施すようにしたことにより、受信側ではそのビット単位で誤り訂正復号処理を行うことができるようになる。特に、本実施の形態では、受信側で部分ビット判定されるビット単位で符号化処理を施すようにしたことにより、部分ビット単位で誤り訂正復号処理を行うことができるようになるので好適である。
(Sa0,Sa1,Sa2,Sa3)信号生成部2308は、Sa0、Sa2の符号化情報2303と、Sa1,Sa3,Sb1,Sb3の符号化情報2305とを入力とし、Sa0、Sa1、Sa2、Sa3の信号を生成し、これを符号化後のディジタル信号101として出力する。
同様に、(Sb0,Sb1,Sb2,Sb3)信号生成部2310は、Sa1,Sa3,Sb1,Sb3の符号化情報2305と、Sb0、Sb2の符号化情報2307とを入力とし、Sb0、Sb1、Sb2、Sb3の信号を生成し、これを符号化後のディジタル信号109として出力する。
次に、このような送信信号を受信する受信装置の構成を説明する。本実施の形態の受信装置の概略構成は、図3のとおりである。受信装置300の信号処理部321の構成は、図4のとおりである。本実施の形態では、信号処理部321の部分ビット判定部509を図24Aのように構成し、部分ビット判定部512を図24Bのように構成し、尤度検波部518を図24Cのように構成する。
図24Aの(Sa0,Sa2)復号化部2402は、変調信号Aの推定ベースバンド信号508を入力とし、これを復号することで復号ビットSa0、Sa2を得、これを変調信号Aの決定された部分ビット情報510として出力する。
図24Bの(Sb0,Sb2)復号化部2405は、変調信号Bの推定ベースバンド信号511を入力とし、これを復号することで復号ビットSb0、Sb2を得、これを変調信号Bの決定された部分ビット情報513として出力する。
このように、部分ビット単位で誤り訂正符号を導入することで、一段と受信品質を向上させることができる。つまり、部分ビットの判定に誤りがあると、信号点削減の際に誤った信号点を選択することになるため、残りのビットの決定で誤りが生じる可能性が非常に高くなる。これに対して、本実施の形態のように、部分ビット単位で誤り訂正符号を導入すると、部分ビットを正しく復号できる可能性を高くできるので、信号点削減の際に誤った信号点を選択する可能性を低くできる。
加えて、(Sa0,Sa2)符号化部2302及び(Sb0,Sb2)符号化部2306によって、(Sa1,Sa3,Sb1,Sb3)符号化部2305よりも誤り訂正能力の高い符号化を行うようにすると、より好ましい。このようにすれば、部分ビットSa0,Sa2,Sb0,Sb2を誤り無く復号できる可能性を一段と高くできるので、誤った信号点削減を行う可能性を一段と低くでき、結果として誤り率特性を一段と向上させることができるようになる。
また、16値の多値変調の信号点配置としては、16QAMよりも、図14A、図14Bに示したような信号点配置の方が、本実施の形態のような誤り訂正符号の導入に適している。これは、16QAMでは、判定される部分ビットが領域によって異なるのに対し、図14A、図14Bの場合、領域によらず部分ビットが(Sa0,Sa2)、(Sb0,Sb2)と固定であるため、簡単に誤り訂正符号が導入できるからである。因みに、本実施の形態では、16値多値変調に対し誤り訂正符号を導入する例を説明したが、64値多値変調に対しても本実施の形態と同様の誤り訂正符号化処理を行えば、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。この場合にも、上述の説明と同様の理由で、64QAMよりも、図17、図18に示したような信号点配置を採用した方が、簡単に誤り訂正符号を導入することができるので適している。
図24Cの(Sa1,Sa3,Sb1,Sb3)復号化部2411は、削減後の信号点情報515、517、逆拡散後のベースバンド信号316、306を入力とし、候補信号点と受信ベースバンド信号の例えばユークリッド距離の2乗を求めることで、ブランチメトリックを求め、ブランチメトリックからパスメトリックを求め、復号することで、変調信号Aの受信ディジタル信号322及び変調信号Bの受信ディジタル信号323を得る。
かくして本実施の形態によれば、実施の形態1〜4の構成に加えて、部分ビットを符号化単位とした符号化処理を施す、つまり同一の信号点セット内にマッピングされる送信ビットをまとめて符号化するようにしたことにより、実施の形態1〜4の効果に加えて、受信側での誤り率特性を一段と向上させることができるようになる。
また部分ビットに対して、他のビットよりも誤り訂正能力の高い符号化処理を施す、つまり同一の信号点セット内にマッピングされる送信ビットをまとめて符号化するようにしたことにより、受信側での誤り率特性をさらに向上させることができるようになる。
なお本実施の形態では、送信側の符号化部を図23のように構成すると共に、受信側の信号処理部を図4、図24A、図24B、図24Cのように構成する場合について説明したが、符号化部及び信号処理部の構成はこれに限らない。図25に符号化部の他の構成例を示し、図26に信号処理部の他の構成例を示す。
図23との対応部分に同一符号を付して示す図25において、符号化部2500は、(Sa0,Sa2)符号化部2302、(Sa1,Sa3)符号化部2501、(Sb0,Sb2)符号化部2306、(Sb1,Sb3)符号化部2503を有する。各符号化部2302、2501、2306、2503は、ディジタル信号1901を入力し、それぞれ特定のビットに対する符号化処理を行う。
すなわち、(Sa0,Sa2)符号化部2302は、ディジタル信号1901に含まれるビットSa0、Sa2を符号化し、このビットSa0、Sa2の符号化情報2303を出力する。(Sa1,Sa3)符号化部2501は、ディジタル信号1901に含まれる
ビットSa1,Sa3を符号化し、このビットSa1,Sa3の符号化情報2502を出力する。(Sb0,Sb2)符号化部2306は、ディジタル信号1901に含まれるビットSb0,Sb2を符号化し、Sb0、Sb2の符号化情報2307を出力する。(Sb1,Sb3)符号化部2503は、ディジタル信号1901に含まれるビットSb1,Sb3を符号化し、このビットSb1,Sb3の符号化情報2504を出力する。
(Sa0,Sa1,Sa2,Sa3)信号生成部2308は、Sa0、Sa2の符号化情報2303と、Sa1,Sa3の符号化情報2502とを入力とし、Sa0、Sa1、Sa2、Sa3の信号を生成し、これを符号化後のディジタル信号101として出力する。
同様に、(Sb0,Sb1,Sb2,Sb3)信号生成部2310は、Sb1,Sb3の符号化情報2504と、Sb0、Sb2の符号化情報2307とを入力とし、Sb0、Sb1、Sb2、Sb3の信号を生成し、これを符号化後のディジタル信号109として出力する。
次に、図26の信号処理部2600の構成を説明する。図26の信号処理部2600は、図4の信号処理部321と比較して、部分ビット判定部509、512として軟判定復号部2601、2602が設けられている(つまり、部分ビット復調部2610が分離部507と軟判定復号部2601、2602とで構成されている)ことと、硬判定復号部2606、2608が設けられていることを除いて、図4の信号処理部321と同様の構成でなる。
軟判定復号部2601は、変調信号Aの推定ベースバンド信号508を入力とし、図25における部分ビットSa0、Sa2について軟判定復号を行い、これにより得た部分ビットSa0、Sa2の情報を変調信号Aの決定された部分ビット情報510として出力する。同様に、軟判定復号部2602は、変調信号Bの推定ベースバンド信号511を入力とし、図25における部分ビットSb0、Sb2について軟判定復号を行い、これにより得た部分ビットSb0、Sb2の情報を変調信号Bの決定された部分ビット情報513として出力する。
信号点削減部514、516は、決定された部分ビット情報510、513を用いて候補信号点を削減し、削減後の信号点情報515、516を尤度判定部2603に送出する。
尤度判定部2603は、削減後の候補信号点と逆拡散後のベースバンド信号316とから、最も尤度の高い候補信号点を探索することで尤度判定を行い、ビットSa1,Sa3,Sb1,Sb3を求める。そして尤度判定部2603は、ビットSa1,Sa3をビット情報2604として硬判定復号部2606に送出すると共に、ビットSb1,Sb3をビット情報2605として硬判定復号部2608に送出する。
硬判定復号部2606は、ビット情報2604を硬判定復号することにより、変調信号Aの誤り訂正後のビット情報2607を得る。同様に、硬判定復号部2608は、ビット情報2605を硬判定復号することにより、変調信号Bの誤り訂正後のビット情報2609を得る。
ここで、変調信号Aの決定された部分ビット情報510と変調信号Aの誤り訂正後のビット情報2607が最終的な誤り訂正後の変調信号Aのビット情報に相当し、変調信号Bの決定された部分ビット情報513と変調信号Bの誤り訂正後のビット情報2609が最終的な誤り訂正後の変調信号Bのビット情報に相当する。
このように、信号処理部2600においては、軟判定復号部2601、2602を設け、信号点削減に用いる部分ビットを軟判定復号処理によって求めるようにしたことにより、例えば硬判定を行う場合と比較して部分ビットの誤る確率を低くできるので、最終的な誤り率特性を向上させることができるようになる。因みに、尤度判定後の信号に対しては、硬判定を行うようにしたが、このようにしたのは、尤度判定を行う際に変調信号Aと変調信号Bは同時に判定するため、原理的に、変調信号Aのみに関する軟判定、変調信号Bのみに関する軟判定を行うことが困難だからである。
なお、本実施の形態では、受信側で部分ビット判定を行うビット以外のビット(Sa1,Sa3,Sb1,Sb3)に対しても符号化を行う場合について説明したが、部分ビット判定を行うビット以外のビットについては符号化を行わないようにしてもよい。要は、部分ビット単位で符号化を行うようにすれば、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
(実施の形態6)
本実施の形態では、送信側にトレリス符号化変調を導入することを提案する。なおここでは、変調方式として16QAM方式を用いる場合を例に説明する。
送信装置の概略構成は図1のとおりであり、送信信号のフレーム構成は図2のとおりである。また受信装置の概略構成は図3のとおりであり、図3の信号処理部321の詳細構成は図4のとおりである。
16QAMのトレリス符号化変調実施するためには、図1の送信装置100の変調部102、110を、例えば図27に示すように構成すればよい。
図27において、2701,2702、2703はシフトレジスタ、2704、2705は排他的論理和回路を示しており、入力a0,a1,a2から、b0,b1,b2,b3が生成される。そして、ベースバンド信号生成部2706は、b0,b1,b2,b3を入力とし、16QAMのマッピングを行うことでベースバンド信号2707を得る。
次に、受信装置の動作について説明する。上述したように、本発明の受信装置の特徴的な動作は、部分ビット判定部509、512(図4)にある。部分ビット判定部509と部分ビット判定部512は同様の動作を行うので、ここでは主に部分ビット判定部509の動作を説明する。
部分ビット判定部509は、変調信号Aの推定ベースバンド信号508を入力とし、例えばビタビ復号を行うことにより、符号化に関連したビット、つまり、図27におけるb0,b1,b2を決定し、これらの情報を変調信号Aの決定された部分ビット情報510として出力する。同様に、部分ビット判定部512は、変調信号Bの決定された部分ビット情報513(3ビットの情報)を出力する。
信号点削減部514、516は、信号点削減を行う。そして、尤度検波部518は、変調信号Aで送信された図27のb3の情報、変調信号Bで送信された図27のb3の情報を決定し、これを変調信号Aのディジタル信号519及び変調信号Bのディジタル信号520として出力する。
このように本実施の形態によれば、送信側でトレリス符号化変調を行うようにしたことにより、誤り訂正符号の導入を容易に行うことができ、簡易な送信装置構成で、受信側での誤り率特性を効果的に向上させることができるようになる。
(実施の形態7)
本実施の形態では、送信アンテナ数、受信アンテナ数が2本より多い場合の例として、送信アンテナ数3、受信アンテナ数3、送信変調信号数3のときの具体的な構成例について説明する。
また本実施の形態では、誤り率特性を効果的に向上させるための部分ビット判定の仕方及び信号点削減の仕方を提案する。
図1との対応部分に同一符号を付して示す図29に、本実施の形態における送信装置の構成を示す。送信装置2900は、変調信号A、変調信号Bに加えて、変調信号Cを送信する送信部を有することを除いて、図1の送信装置100と同様の構成でなる。ここでは、変調信号Cを送信する送信部の構成のみを説明する。
変調部2902は、ディジタル信号2901、フレーム構成信号118を入力とし、フレーム構成信号118にしたがってディジタル信号2901を変調し、これにより得たベースバンド信号2903を拡散部2904に送出する。拡散部2904は、ベースバンド信号2903に拡散符号を乗算し、これにより得た拡散されたベースバンド信号2905を無線部2906に送出する。無線部2906は、拡散されたベースバンド信号2905に周波数変換、増幅などを施すことにより、変調信号2907(変調信号C)を得る。変調信号2907はアンテナ2908から電波として出力される。
フレーム構成信号生成部117は、例えば、図30のフレーム構成の情報をフレーム構成信号118として出力する。
図30に、送信装置2900の各アンテナ108、116、2908から送信される変調信号のフレーム構成例を示す。アンテナ108から送信される変調信号A、アンテナ116から送信される変調信号B、アンテナ2908から送信される変調信号Cは、チャネル推定のためのチャネル推定シンボル201、203、3001と、データシンボル202、204、3002とを有する。送信装置2900は、図30に示すようなフレーム構成の変調信号A、変調信号B、変調信号Cをほぼ同時刻に送信する。なおチャネル推定のためのシンボル201、203、3001は、パイロットシンボル、ユニークワード、プリアンブルと呼ぶこともできる。
図3との対応部分に同一符号を付して示す図31に、本実施の形態における受信装置の構成を示す。なお以下の説明では、図3と同様に動作する部分についての説明は省略する。
ここで、図29の送信装置2900において、アンテナ108から送信される信号をTxa(t)、アンテナ116から送信される信号をTxb(t)、アンテナ2908から送信される信号をTxc(t)とし、図31の受信装置3100において、アンテナ301で受信した信号をRx1(t)、アンテナ311で受信した信号をRx2(t)、アンテナ3105で受信した信号をRx3(t)とし、各送受信アンテナ間での伝搬変動をそれぞれh11(t)、h12(t)、h13(t)、h21(t)、h22(t)、h23(t)、h31(t)、h32(t)、h33(t)とすると、次式の関係式が成立する。ただし、tは時間とする。
変調信号Cのチャネル変動推定部3101は、逆拡散後のベースバンド信号306を入力とし、例えば、図30のフレーム構成における変調信号Cのチャネル推定シンボル3001を用いてチャネル変動を推定し、これにより得た変調信号Cのチャネル変動信号3102を信号処理部3117に送出する。同様に、変調信号Cのチャネル変動推定部3103は、逆拡散後のベースバンド信号316を入力とし、例えば、図30のフレーム構成における変調信号Cのチャネル推定シンボル3001を用いてチャネル変動を推定し、これにより得た変調信号Cのチャネル変動信号3104を信号処理部3117に送出する。
また無線部3107は、アンテナ3105で受信した受信信号3106を入力とし、受信信号3106に周波数変換、直交復調などを施し、これにより得たベースバンド信号3108を逆拡散部3109に送出する。逆拡散部3109は、ベースバンド信号3108を逆拡散し、これにより得た逆拡散後のベースバンド信号3110を出力する。
変調信号Aのチャネル変動推定部3111は、逆拡散後のベースバンド信号3110を入力とし、例えば、図30のフレーム構成における変調信号Aのチャネル推定シンボル201を用いてチャネル変動を推定し、これにより得た変調信号Aのチャネル変動信号3112を信号処理部3117に送出する。同様に、変調信号Bのチャネル変動推定部3113は、逆拡散後のベースバンド信号3110を入力とし、例えば、図30のフレーム構成における変調信号Bのチャネル推定シンボル203を用いてチャネル変動を推定し、これにより得た変調信号Bのチャネル変動信号3114を信号処理部3117に送出する。同様に、変調信号Cのチャネル変動推定部3115は、逆拡散後のベースバンド信号3110を入力とし、例えば、図30のフレーム構成における変調信号Cのチャネル推定シンボル3001を用いてチャネル変動を推定し、これにより得た変調信号Cのチャネル変動信号3116を信号処理部3117に送出する。
信号処理部3117は、逆拡散後のベースバンド信号306、316、3110、変調信号Aのチャネル変動信号308、318、3112、変調信号Bのチャネル変動信号310、320、3114、変調信号Cのチャネル変動信号3102、3104、3116を入力とし、これらを用いて変調信号A、B、Cの検波、検波などを行うことにより、変調信号Aのディジタル信号322、変調信号Bのディジタル信号323、変調信号Cのディジタル信号3118を得る。
信号処理部3117の一つの構成例を図32に示す。また信号処理部3117の別の構成例を図33に示す。
先ず図32の構成について説明する。図4との対応部分に同一符号を付して示す図32において、信号処理部3117の部分ビット復調部3230の分離部3201は、変調信号Aのチャネル変動信号308、318、3112、変調信号Bのチャネル変動信号310、320、3114、変調信号Cのチャネル変動信号3102、3104、3116、逆拡散後のベースバンド信号306、316、3110を入力とし、(2)式について、例えば逆行列演算やMMSE(Minimum Mean Square Error)演算を行うことで、送信信号Txa(t)、Txb(t)、Txc(t)の推定信号を得る。分離部3201は、このようにして得た変調信号Aの推定ベースバンド信号508を部分ビット判定部509に、変調信号Bの推定ベースバンド信号511を部分ビット判定部512に、変調信号Cの推定ベースバンド信号3207を部分ビット判定部3208に送出する。部分ビット判定部509、512、3208は、求めた部分ビット情報510、512、3209を送出する。
部分ビット判定部509、512、3208の部分ビットの判定は、例えば、変調方式が16QAMの場合、上述した図8Bや図10Bの方法を採用することで実現できる。因みに、QPSKの場合は、例えば図28のような領域分けを行うことで実現できる。ここでは、変調方式を16QAMとし、図10Bのように、4ビットのうち2ビットを判定する場合を例に、アンテナ数3の場合の実施方法について説明する。
異なるアンテナから同時に送信された3つの16QAM信号を受信した場合、16×16×16=4096個の候補信号点が存在することになる。部分ビット判定部509、512、3208では変調信号A、B、Cそれぞれについて2ビットを判定するため、信号点削減部514、516、3210では4096個の候補信号点が4096/4/4/4=64個の候補信号点に削減される。よって、尤度判定部3212では、64個の候補信号点と逆拡散後のベースバンド信号とのブランチメトリックを求め、1個の候補信号点に絞り、検波を行うことで、変調信号A、変調信号B、変調信号Cの受信ディジタル信号322、323、3213を得ることになる。
このようにして、送信アンテナ数2、受信アンテナ数2、送信変調信号数2のときと同様に、送信アンテナ数3、受信アンテナ数3、送信変調信号数3のときにおいても、部分ビット判定を行い、決定した部分ビットを用いて候補信号点を削減し、削減した候補信号点を用いて尤度判定を行うことにより、比較的少ない演算量で受信品質の良い受信ディジタル信号322、323、3213を得ることができる。
次に、図33の構成について説明する。図32との対応部分に同一符号を付して示す図33の信号処理部3117は、制御部3301を有する。
制御部3301は、変調信号Aのチャネル変動信号308、318、3112、変調信号Bのチャネル変動信号310、320、3114、変調信号Cのチャネル変動信号3102、3104、3116を入力とし、例えば、変調信号Aの受信電界強度、変調信号Bの受信電界強度、変調信号Cの電界強度を推定する。そして、電界強度が最も小さい変調信号のみ部分ビット判定を行わないようというような、制御情報3302を出力する。
例えば、変調信号Aの受信電界強度が最も小さかったものとする。すると、変調信号Aの部分ビット判定部509は、ビット判定を行わないように制御される。つまり決定したビットは0ビットということになる。一方、変調信号Bの部分ビット判定部512、変調信号Cの部分ビット判定部3208は、それぞれ2ビット判定するように制御される。そして、信号点削減部514、516、3210は、変調信号Aの決定された0ビット(つまりどのビットも決定されていない)、変調信号Bの決定された2ビット、変調信号Cの決定された2ビットを用いて、4096個の候補信号点を4096/4/4=256個の候補信号点に削減する。尤度判定部3212では、256個の候補信号点と逆拡散後のベースバンド信号とのブランチメトリックを求め、1個の候補信号点に絞り、検波を行うことで、変調信号A、変調信号B、変調信号Cの受信ディジタル信号322、323、3213を得る。
このように、各変調信号の受信品質に基づいて、どの変調信号の部分ビットを信号点削減に用いるかを選択するようにしたことにより、単純に全ての変調信号の部分ビットを信号点削減に用いる場合と比較して(例えば図32のような構成と比較して)、一段と誤り率特性の良い受信ディジタル信号を得ることができるようになる。
つまり、単純に全ての変調信号の部分ビット判定結果を用いて、候補信号点を削減すると、受信品質(この実施の形態の場合には受信電界強度)の低い変調信号の部分ビット判定結果の誤る確率が高くなり、これに伴って的確な候補信号点の削減もできなくなる確率も高くなる。この結果、最終的な受信ディジタル信号の誤り率特性の劣化を招くおそれがある。本実施の形態では、これを考慮して、受信品質の良い変調信号の部分ビット判定結果のみ用いて信号点削減を行うようになされている。
かくして本実施の形態によれば、各変調信号の受信品質に基づいて、信号点削減部514、516、3210での候補信号点削減に、どの変調信号の部分ビットを用いるかを制御する制御部3301を設けたことにより、一段と誤り率特性の良い受信ディジタル信号322、323、3213を得ることができるようになる。
なお本実施の形態では、受信品質のパラメータとして、受信電界強度を用いる場合を例に説明したが、これに限ったものではなく、例えば、逆行列演算やMMSE演算後の各変調信号のキャリアパワー帯雑音電力比を求め、これを各変調信号の受信品質のパラメータとしてもよい。
また本実施の形態では、2つの変調信号のみ部分ビットを判定する例について説明したが、1つの変調信号のみ部分ビットを判定しても同様に実施することができる。
さらに、部分ビットとして判定するビット数を受信品質の優先順位により異なるようにしてもよい。例えば、「変調信号Aの受信電界強度>変調信号Bの受信電界強度>変調信号Cの受信電界強度」の関係が成立していた場合、変調信号Aの部分ビット判定部では2ビットを決定し、変調信号Bの部分ビット判定部では1ビットを決定し、変調信号Cの部分ビット判定部では0ビットを決定するというような、部分ビット判定を行っても、良好な誤り率特性と低演算規模との両立を図ることができる。
つまり、各変調信号の受信品質に基づいて、制御部3301によって、信号点削減部514、516、3210での信号点削減に、各変調信号の部分ビットを何ビット用いるかを制御すると、一段と誤り率特性の良い受信ディジタル信号322、323、3213を得ることができるようになる。
また本実施の形態では、変調方式として16QAMを用いた場合について説明したが、他の変調方式を用いた場合でも同様の効果を得ることができる。
また本実施の形態では、送信アンテナ数3、受信アンテナ数3、送信変調信号数3のときを例に説明したが、送信アンテナ数n、受信アンテナ数n、送信信号数n、(n>2)の場合に広く適用することができる。例えば、送信アンテナ数2、受信アンテナ数2、送信変調信号数2の場合には、変調信号Aの受信電界強度>変調信号Bの受信電界強度のとき、変調信号Aに対しては2ビットの部分ビットを判定し、変調信号Bに対しては1ビットあるいは0ビットの部分判定を行い、その後、尤度判定を行うことで残りのビットを含め判定するようにすればよい。
さらに本実施の形態では、符号化を行わない場合を例に説明したが、誤り訂正符号化を適用した際に、本実施の形態の判定方法を利用しても同様の効果を得ることができる。
因みに、変調信号A、変調信号Bの部分ビットを決定し、この部分ビットを用いて削減した候補信号点からブランチメトリックBMABを得、変調信号A、変調信号Cの部分ビットを決定し、この部分ビットを用いて削減した候補信号点からブランチメトリックBMACを得、変調信号B、変調信号Cを決定し、この部分ビットを用いて削減した候補信号点からブランチメトリックBMBCを得て、これらのブランチメトリックBMAB、BMAC、BMBCを用いて判定を行うことで、変調信号A、変調信号B、変調信号Cの受信ディジタル信号322、323、3213を得る方法を用いてもよい。
さらにシミュレーションを行った結果、本実施の形態で説明した、各変調信号の受信品質に応じて、信号点削減部での候補信号点削減に用いる部分ビットを制御する方法は、特に分離部3201(図33)でMMSEを行うようにすると、非常に優れた誤り率特性の受信ディジタル信号322、323、3213を得ることができることが分かった。
(実施の形態8)
上述した実施の形態1では変調方式が16QAMのときの1ビット部分判定方法(図8B)について説明したが、本実施の形態では、一段と良好な誤り率特性を得ることができる1ビット部分判定方法について説明する。
図34に、16QAMの信号点配置と受信信号の信号点の一例を示す。図中、3401から3416は16QAMの信号点(候補信号点)を示しており、3417は受信信号の信号点(受信点)を示している。また図34では、信号点3401から3416の4ビットの関係(S0,S1,S2,S3)も同時に示している。
本実施の形態の1ビットの部分ビット判定方法では、はじめに、受信信号の信号点3417と16QAMの信号点3401から3416とのユークリッド距離を求め、最小のユークリッド距離となる16QAMの信号点を求め、その信号点で示される4ビットを求める。図34の例では、受信点3417との最小ユークリッド距離の信号点として信号点3407が検出され、その信号点3407で示される4ビットのビット列として(S0,S1,S2,S3)=(1,1,1,1)が求まる。
次に、4ビット(S0,S1,S2,S3)のそれぞれに対し、以下のようなユークリッド距離を求める。
ビットS0として“1”が求まったので、ビット列(S0,S1,S2,S3)のS0の位置に“0”をとる信号点を探索する。探索結果として、信号点3401、3402、3405、3406、3409、3410、3413、3414が得られる。そして、これら8つの信号点と受信点3417とのユークリッド距離を求め、最も小さいユークリッド距離Dmin,S0の値を求める。
同様に、S1として“1”が求まったので、ビット列(S0,S1,S2,S3)のS1の位置に“0”をとる信号点を探索する。探索結果として、信号点3401、3404、3405、3408、3409、3412、3413、3416が得られる。そして、これら8つの信号点と受信点3417とのユークリッド距離を求め、最も小さいユークリッド距離Dmin,S1の値を求める。
同様に、S2として“1”が求まったので、ビット列(S0,S1,S2,S3)のS2の位置に“0”をとる信号点を探索する。探索結果として、信号点3409、3410、3411、3412、3413、3414、3415、3416が得られる。そして、これら8つの信号点と受信点3417とのユークリッド距離を求め、最も小さいユークリッド距離Dmin,S2の値を求める。
同様に、S3として“1”が求まったので、ビット列(S0,S1,S2,S3)のS3の位置に“0”をとる信号点を探索する。探索結果として、信号点3401、3402、3403、3404、3413、3414、3415、3416が得られる。そして、これら8つの信号点と受信点3417とのユークリッド距離を求め、最も小さいユークリッド距離Dmin,S3の値を求める。
つまり、決定されたビットSxの否定の値をとる信号点を探索し、それらの信号点と受信点3407とのユークリッド距離を求め、最も小さいユークリッド距離Dmin,Sxの値を求める。
そして、Dmin,S0、Dmin,S1、Dmin,S2、Dmin,S3の中で、最大値をとるものを探索する。例えば、最大値をとるものがDmin,S0であった場合、S0を決定する。つまり、最大値をとるものがDmin,Syであった場合、Syを決定する。これにより、ビット列(S0,S1,S2,S3)の中で、最も確からしいビットを選ぶことができるようになる。
以上の処理をまとめると、図35のようになる。
先ず、ステップST0で処理を開始すると、ステップST1で受信点3417とのユークリッド距離が最小の候補信号点3407を検出する。
ステップST2では、候補信号点3407に対応するビット列(1,1,1,1)に含まれるビットを1ビットずつ反転させる。ステップST3では、各反転ビット毎に、反転ビットを含む複数の候補信号点を探索する。ステップST4では、各反転ビット毎に、受信点とステップST3で探索した複数の候補信号点間での最小ユークリッド距離を検出する。ステップST5では、ステップST4で検出した各反転ビット毎の最小ユークリッド距離の中で最大のユークリッド距離を検出する。ステップST6では、ステップST5で検出した最大ユークリッド距離に対応するビットが、ステップST1で検出された候補信号点3407で表されるビット列(1,1,1,1)の中で最も信頼性の高いビットであるとして、これを部分ビットとして採用する。
つまり、ステップST2からステップST6では、ステップST1で検出した候補信号点により表されるビット列の中で最も信頼性の高いビットを決定する。そしてステップST7で処理を終了する。
かくして本実施の形態によれば、変調信号の受信点とのユークリッド距離が最小となる候補信号点を検出し、検出した候補信号点に対応するビット列に含まれるビットを1つずつ反転し、各反転ビット毎に、反転ビットを含む複数の候補信号点を探索し、各反転ビット毎に、受信点と前記探索した複数の候補信号点との最小ユークリッド距離を検出し、前記各反転ビット毎の最小ユークリッド距離の中で最大のユークリッド距離を検出し、検出した最大ユークリッド距離に対応するビットを部分ビットとして決定するようにしたことにより、誤っている確率が非常に低い1ビットを決定することができる。
ここで、このような1ビット判定アルゴリズムを、部分ビット判定部509、512で実行するようにすれば、誤っている確率の非常に低い部分ビット(1ビット)を決定できるので、最終的に得られる受信ディジタル信号の誤り率特性も向上させることができるようになる。但し、本実施の形態の1ビット判定アルゴリズムは、上述した実施の形態で説明した構成の受信装置に用いる場合に限らず、信号点で示されるビット列の中で最も誤っている確率の小さいビットを選択したい場合に広く適用できる。
なお本実施の形態では、16QAMを例に説明したが、他の変調方式のときも同様にして1ビットを決定することができる。またユークリッド距離の代わりにユークリッド距離の2乗を求めても同様に実施することができる。
(実施の形態9)
上述した実施の形態3においては、64QAMの部分ビット判定方法を説明したが、本実施の形態では実施の形態3で説明したのとは異なる2ビットの部分ビット判定方法および4ビットの部分ビット判定方法を説明する。以下に説明する部分ビットの判定は、例えば図4を参照すると、分離部507によって分離された変調信号A、Bの推定ベースバンド信号508、511を受信点として、部分ビット判定部509、512によって行われる。
(i)2ビットの部分ビット判定
図36は、64QAMの同相I―直交Q平面における信号点(候補信号点)と各信号点で送信する6ビットとの関係、および、受信信号点の存在位置による決定する2ビットの部分ビットの関係を示している。具体的には、図36において、各信号点の下に示した6ビットが各信号点に対応する6ビットであり、3601、3602が受信点を示す。
本実施の形態においては、点線で示すようにIQ平面を9つの領域に分ける。この領域分割の仕方が本実施の形態の特徴である。図36に示す領域分割では、各領域内で必ず判定ビットが同じになるビットが2ビット存在する。つまり、64QAMの6ビットを左から順に、(1番目のビット,2番目のビット,3番目のビット,4番目のビット,5番目のビット,6番目のビット)と名前を付けると、受信点3601が存在する分割領域では、いずれの信号点(候補信号点)も3番目のビット「0」と6番目のビット「1」が全て同じとなる。また受信点3602が存在する分割領域では、いずれの信号点(候補信号点)も3番目のビット「1」と4番目のビット「1」が全て同じとなる。
本実施の形態では、このような領域分割を行いつつ、受信点が分割された領域のどの領域に存在するかに応じて、1シンボルを構成する6ビットのうちの何番目のビットを部分ビットとして復調するかを変更する。換言すれば、IQ平面上を複数の領域に分けたときに、領域内で判定値が同じとなるビットのみを部分ビットとして復調する。これにより、部分ビットの誤り率特性を向上させることができる。
具体的には、受信点が符号3601に示す位置に存在した場合、(xx0xx1)と判定する。つまり、3番目のビット「0」と6番目のビット「1」のみを部分ビットとして判定(復調)する。なおxは不定(つまり、値を決定しないビット)を示す。
また、受信点が符号3602に示す位置に存在した場合は、(xx11xx)と判定する。つまり、3番目のビット「1」と4番目のビット「1」のみを部分ビットとして判定(復調)する。因みに、受信点が領域の境界上に存在した場合には、どちらの領域に振り分けてもよい。
そして、判定された2ビットの部分ビットに基づいて候補信号点の削減を行い、不定となっている4ビットを尤度検波により求める。
(ii)4ビットの部分ビット判定
次に、4ビットの部分ビット判定方法を、図37を用いて説明する。
図37は、64QAMの同相I―直交Q平面における信号点(候補信号点)と各信号点で送信する6ビットとの関係、および、受信信号点の存在位置による決定する4ビットの部分ビットの関係を示している。具体的には、図37において、各信号点の下に示した6ビットが各信号点に対応する6ビットであり、3701、3702が受信点を示す。
本実施の形態では、点線で示すようにIQ平面を49の領域に分ける。図36に示す領域分割では、各領域内で必ず判定ビットが同じになるビットが4ビット存在する。つまり、64QAMの6ビットを左から順に、(1番目のビット,2番目のビット,3番目のビット,4番目のビット,5番目のビット,6番目のビット)と名前を付けると、受信点3701が存在する分割領域では、いずれの信号点(候補信号点)も2番目のビット「1」と3番目のビット「0」と5番目のビット「1」と6番目のビット「0」が全て同じとなる。また受信点3702が存在する分割領域では、いずれの信号点(候補信号点)も2番目のビット「1」と3番目のビット「1」と4番目のビット「1」と6番目のビット「0」が全て同じとなる。
ここで、例えば、受信点が符号3701に示す位置に存在した場合、(x10x10)と判定する。つまり、2番目のビット「1」と3番目のビット「0」と5番目のビット「1」と6番目のビット「0」のみを部分ビットとして判定(復調)する。
また、受信点が符号3702に示す位置に存在した場合は、(x111x0)と判定する。つまり、2番目のビット「1」と3番目のビット「1」と4番目のビット「1」と6番目のビット「0」のみを部分ビットとして判定(復調)する。
そして、判定された4ビットの部分ビットに基づいて候補信号点の削減を行い、不定となっている2ビットを尤度検波により求める。
かくして本実施の形態によれば、64QAM変調された変調信号の一部のビットを復調するにあたって、当該受信信号点がIQ平面上でのどの領域に存在するかに応じて、1シンボルを構成する6ビットのビット列うちの何番目のビットを部分ビットとして復調するかを変更するようにしたことにより、部分ビット判定部509、512で判定する部分ビットの誤り特性が向上するので、尤度検波部518で用いる削減された候補信号点の信頼性が向上する。この結果、最終的な受信ディジタル信号322、323の誤り率特性を向上させることができるようになる。
つまり、本実施の形態で説明したような2ビット、または、4ビット判定アルゴリズムを、部分ビット判定部509、512で実行するようにすれば、誤っている確率の非常に低い部分ビット(2ビット、または4ビット)を決定できるので、最終的に得られる受信ディジタル信号322、323の誤り率特性も向上させることができるようになる。但し、本実施の形態の16QAMの2ビット、または、4ビット判定アルゴリズムは、上述した実施の形態で説明した構成の受信装置に用いる場合に限らず、信号点で示されるビット列の中で最も誤っている確率の小さいビットを選択したい場合に広く適用できる。
なお、本実施の形態では、部分ビットして、2ビットを判定する方法と4ビットを判定する方法について説明したが、受信信号の受信電界強度に基づいて、どちらかの方法を選択することも好適である。例えば、変調信号Aの受信電界強度が所定のしきい値以上の場合には部分ビットとして4ビットを判定し、しきい値未満の場合には2ビットを判定するようにする。このようにすれば、誤り率特性を低下させずに演算量を削減することができるようになる。
(実施の形態10)
実施の形態7においては、各変調信号の受信電界強度に応じて、部分ビットの決定数を制御する方法について説明したが、本実施の形態においては、逆行列演算やMMSE演算後の各変調方式の信号対雑音電力比を求め、これを用いて、部分ビット判定数を決定する受信装置の構成について詳しく説明する。
(2)式における(Rx1(t),Rx2(t),Rx3(t))Tのベクトルをrxとし、(2)式における行列をHとし、(Txa(t),Txb(t),Txc(t))Tのベクトルをtxとする。また、付加されるノイズベクトルをnとすると、(2)式は、次式のように表すことができる。
逆行列演算を行う場合には、Hの逆行列をH
−1で表すと、(3)式から次式が得られる。
ただし、tx’はtxについての受信装置における推定値である。
ここで、txの信号パワーとH−1nから求まるノイズパワーとの比を求めることで、逆行列演算後の信号対雑音電力比を求めることができる。これについては、例えば、文献”A SDM-COFDM scheme employing a simple feed-forward inter-channel interference canceller for MIMO based broadband wireless LANs” IEICE Transaction on Communications, vol.E86-B, no.1, pp.283-290, January 2003にも記載されている公知の技術なので詳しい説明は省略する。
具体的には、例えば図33の信号処理部3117に当てはめて説明すると、制御部3301が、変調信号Aのチャネル変動信号308、318、3112、変調信号Bのチャネル変動信号310、320、3114、変調信号Cのチャネル変動信号3102、3104、3116を入力し、(4)式のH−1を求め、変調信号Aの逆行列演算後の信号対雑音電力比、変調信号Bの逆行列演算後の信号対雑音電力比、変調信号Cの逆行列演算後の信号対雑音電力比を求める。
制御部3301は、変調信号A、B、Cの変調方式が64QAMで、例えば、「変調信号Aの逆行列演算後の信号対雑音電力比>変調信号Bの逆行列演算後の信号対雑音電力比>変調信号Cの逆行列演算後の信号対雑音電力比」の関係が成立していた場合、変調信号Aの部分ビット判定部509で決定するビット数をmaビット、変調信号Bの部分ビット判定部512で決定するビット数をmbビット、変調信号Cの部分ビット判定部3208で決定するビット数をmcビットとすると、ma>mb>mcの関係が成立するように決定するビット数を制御する。すなわち、逆行列演算後の信号対雑音電力比の大きな変調信号ほど、より大きな数の部分ビット判定を行うようにする。
このように、各変調信号の逆行列演算後の信号対雑音電力比に基づいて、制御部3301によって、信号点削減部514、516、3210での信号点削減に、各変調信号の部分ビットを何ビット用いるかを制御することで、一段と誤り率特性の良い受信ディジタル信号322、323、3213を得ることができるようになる。
変調方式が64QAMのときには、部分ビット判定部で決定するビット数ma、mb、mcとしては、実施の形態8や実施の形態9の部分ビット判定方法を用いると、1ビット、2ビット、4ビットが考えられる。しかし、本実施の形態は、これに限定されず、変調信号の逆行列演算後の信号対雑音電力比が非常に大きい場合には、全ビット(すなわち6ビット)を部分ビットとして決定するようにしてもよい。
以上では、逆行列演算後の信号対雑音電力比に基づいて、部分ビットとして何ビット判定するかを決定する場合を説明した。次に、逆行列演算と同様に線形変換であるMMSE演算後の信号対雑音電力比に基づいて、部分ビットとして何ビット判定するかを決定する場合について説明する。
(3)式における行列Hに基づき、次式の行列Gを算出する。
ただし、H
HはHの複素共役転置、Iは単位行列である。
(3)式に(5)式の行列を乗算することで、各変調信号の推定信号を得ることができる。そして、(3)式に(5)式の行列Gを乗算することで得た推定信号の信号対雑音電力比を計算する。このような信号対雑音電力比については、文献”Performance improvement of ordered successive detection with imperfect channel estimates for MIMO systems” IEICE Transaction on Communications, vol.E86-B, no.11, pp.3200-3208, November 2003にも記載されている公知の技術なので詳しい説明は省略する。
具体的には、例えば図33の信号処理部3117に当てはめて説明すると、制御部3301が、変調信号Aのチャネル変動信号308、318、3112、変調信号Bのチャネル変動信号310、320、3114、変調信号Cのチャネル変動信号3102、3104、3116を入力し、(5)式の行列Gを求め、(3)式に(5)式の行列Gを乗算し、変調信号AのMMSE演算後の信号対雑音電力比、変調信号BのMMSE演算後の信号対雑音電力比、変調信号CのMMSE演算後の信号対雑音電力比を求める。
制御部3301は、変調信号A、B、Cの変調方式が64QAMで、例えば、「変調信号AのMMSE演算後の信号対雑音電力比>変調信号BのMMSE演算後の信号対雑音電力比>変調信号Cの逆MMSE演算後の信号対雑音電力比」の関係が成立していた場合、変調信号Aの部分ビット判定部509で決定するビット数をmaビット、変調信号Bの部分ビット判定部512で決定するビット数をmbビット、変調信号Cの部分ビット判定部3208で決定するビット数をmcビットとすると、ma>mb>mcの関係が成立するように決定するビット数を制御する。すなわち、MMSE演算後の信号対雑音電力比の大きな変調信号ほど、より大きな数の部分ビット判定を行うようにする。
このように、各変調信号のMMSE演算後の信号対雑音電力比に基づいて、制御部3301によって、信号点削減部514、516、3210での信号点削減に、各変調信号の部分ビットを何ビット用いるかを制御することで、一段と誤り率特性の良い受信ディジタル信号322、323、3213を得ることができるようになる。
また本実施の形態では、送信アンテナ数3、受信アンテナ数3、送信変調信号数3のときを例に説明したが、送信アンテナ数n、受信アンテナ数n、送信信号数n、(n>2)の場合に広く適用することができる。例えば、送信アンテナ数2、受信アンテナ数2、送信変調信号数2の場合には、逆行列演算又はMMSE演算後の変調方式Aの信号対雑音電力比>逆行列演算又はMMSE演算後の変調方式Bの信号対雑音電力比のとき、例えば変調信号Aに対しては4ビットの部分ビットを判定し、変調信号Bに対しては2ビットあるいは1ビットの部分判定を行い、その後、尤度判定を行うことで残りのビットを含め判定するようにしてもよい。
シミュレーションを行った結果、本実施の形態で説明した、逆行列演算又はMMSE演算後の変調信号の信号対雑音電力比に応じて、信号点削減部での候補信号点削減に用いる部分ビットを制御する方法は、特に分離部3201(図33)でMMSEを行うようにすると、非常に優れた誤り率特性の受信ディジタル信号322、323、3213を得ることができることが分かった。
(実施の形態11)
一般に尤度検波部518(3212)では、候補信号点と受信点とのユークリッド距離の2乗を求める必要があるが、アンテナ数の増加および変調多値数の増加により、回路規模(特に乗算器の数)が増大する。本発明は、誤り率特性の劣化を抑制しつつこの回路規模を小さくするものであるが、本実施の形態では、上述した実施の形態に加えて、一段と尤度検波部518(3212)の回路規模を削減する方法を提示する。
本実施の形態では、尤度検波部518(3212)で行うユークリッド距離の2乗の計算をマンハッタン距離により近似する計算に置き換える。これにより、尤度検波部518(3212)で乗算器を用いずに尤度検波を行う。
図38を用いて、その計算方法を説明する。同相I―直交Q平面においける候補信号点と受信信号点のユークリッド距離の2乗x2+y2が実際に求めたい値である。しかし、これを|x|+|y|で近似する方法がマンハッタン距離である。以下では、|x|<|y|を例に説明を進めていくが、|x|>|y|のときは、xとyを入れ替えて考えれば|x|<|y|のときと同様に考えることができる。
受信信号点が<1>の位置にある場合、ユークリッド距離は1.414xであるのに対し、マンハッタン距離は2xである。また、受信信号点が<2>の位置にある場合、ユークリッド距離はxであるのに対し、マンハッタン距離もxとなり、ユークリッド距離とマンハッタン距離が等しくなる。以上から明らかなように、|x|が大きくなるにつれ、(ただし、|x|<|y|)マンハッタン距離によるユークリッド距離からの近似誤差が大きくなることがわかる。
本実施の形態では、この問題を解決する方法を提案する。その際、本実施の形態では、乗算器の導入をさけ、ビットシフト、加算器、比較器により構成することで、回路規模の増大を防ぐ。
図39に、|x|と|y|の大きさの関係と、本実施の形態の尤度検波にて求めるユークリッド距離の近似値とを示す。具体的には、IQ平面上における候補信号点と受信信号点との、I方向の距離xとQ方向の距離yの大きさが、0≦|x|≦|y|×(1/4+1/8)の関係にある場合にはユークリッド距離の近似値を|y|とし、|y|×(1/4+1/8)≦|x|≦|y|×(1/2+1/8)の関係にある場合にはユークリッド距離の近似値を|y|×(1+1/8)とし、|y|×(1/2+1/8)≦|x|≦|y|×(1/2+1/4+1/8)の関係にある場合にはユークリッド距離の近似値を|y|×(1+1/4)とし、|y|×(1/2+1/4+1/8)≦|x|の関係にある場合にはユークリッド距離の近似値を|y|×(1+1/4+1/8)として、尤度検波を行う。ただし、|x|<|y|とする。
このとき、乗算係数は、1、1/2、1/4、1/8のいずれかの加算によって得られた係数となっているので、すべての計算がビットシフトおよび加算によって構成することができる。したがって、乗算器を使用しないで済むため、回路規模の増加を抑えることができる。なお、|x|>|y|のときは、図39のxとyを入れ替えて考えればよい。
図40に、図39に示すようなマンハッタン距離による近似方法を実現するための回路構成例を示す。|x|,|y|算出部4003は、候補信号点の情報4001、および、受信信号点の情報4002を入力とし、図38のように、同相I―直交Q平面における|x|,|y|を求め、これらを4004、4005として出力する。ただし、|x|<|y|とする。つまり、求まった2つの絶対値のうち、大きい方を|y|とし、小さい方を|x|とする。
計算部4006は、|x|,|y|を入力とし、図39の左側のような大小関係を比較演算により求め、その比較結果に応じてユークリッド距離の近似値として図39の右側の4つの計算式のうちのどの計算式を用いるかを決定し、決定した計算式を用いてユークリッド距離の近似値4007を求める。計算部4006は、例えば、図39の左側の比較演算を行う比較演算部と、図39の右側の各計算式を行う4つの演算部とを設け、比較演算部により得られた比較結果に基づき、4つの演算部のうち比較結果に対応した演算部を選択してユークリッド距離の近似値4007を求めるようにすればよい。この場合、比較演算部、演算部共に全ての演算をビットシフトおよび加算のみによって行うことができるので、小さな回路規模で図39のような計算を実現できる。
以上のような近似を行うことで、ユークリッド距離の近似値を精度良く、かつ、小さな回路規模で実現することができる。
また、本実施の形態では、図39のような大小関係とユークリッドの近似値との対応表に基づいてユークリッド距離の近似値を求める場合について説明したが、これに限ったものではなく、要は、ビットシフト、加算器、比較器により構成された回路によりユークリッド距離の近似値を求めるようにすれば、ユークリッド距離の近似値を精度良く、かつ、小さな回路規模で実現することができるようになる。
(実施の形態12)
これまでに、16QAMの部分ビット判定方法として、1ビット、2ビットの部分ビット判定方法について説明したが、本実施の形態では、これまでに扱わなかった16QAMの3ビットの部分ビット判定方法について詳しく説明する。
図34に、16QAMの信号点配置と受信信号の信号点の一例を示す。図中、3401から3416は16QAMの信号点(候補信号点)を示しており、3417は受信信号の信号点(受信点)を示している。また図34では、信号点3401から3416の4ビットの関係(S0,S1,S2,S3)も同時に示している。
本実施の形態の3ビットの部分ビット判定方法では、はじめに、受信信号の信号点3417と16QAMの信号点3401から3416とのユークリッド距離を求め、最小のユークリッド距離となる16QAMの信号点を求め、その信号点で示される4ビットを求める。図34の例では、受信点3417との最小ユークリッド距離の信号点として信号点3407が検出され、その信号点3407で示される4ビットのビット列として(S0,S1,S2,S3)=(1,1,1,1)が求まる。
次に、4ビット(S0,S1,S2,S3)のそれぞれに対し、以下のようなユークリッド距離を求める。
ビットS0として“1”が求まったので、ビット列(S0,S1,S2,S3)のS0の位置に“0”をとる信号点を探索する。探索結果として、信号点3401、3402、3405、3406、3409、3410、3413、3414が得られる。そして、これら8つの信号点と受信点3417とのユークリッド距離を求め、最も小さいユークリッド距離Dmin,S0の値を求める。
同様に、S1として“1”が求まったので、ビット列(S0,S1,S2,S3)のS1の位置に“0”をとる信号点を探索する。探索結果として、信号点3401、3404、3405、3408、3409、3412、3413、3416が得られる。そして、これら8つの信号点と受信点3417とのユークリッド距離を求め、最も小さいユークリッド距離Dmin,S1の値を求める。
同様に、S2として“1”が求まったので、ビット列(S0,S1,S2,S3)のS2の位置に“0”をとる信号点を探索する。探索結果として、信号点3409、3410、3411、3412、3413、3414、3415、3416が得られる。そして、これら8つの信号点と受信点3417とのユークリッド距離を求め、最も小さいユークリッド距離Dmin,S2の値を求める。
同様に、S3として“1”が求まったので、ビット列(S0,S1,S2,S3)のS3の位置に“0”をとる信号点を探索する。探索結果として、信号点3401、3402、3403、3404、3413、3414、3415、3416が得られる。そして、これら8つの信号点と受信点3417とのユークリッド距離を求め、最も小さいユークリッド距離Dmin,S3の値を求める。
つまり、決定されたビットSxの否定の値をとる信号点を探索し、それらの信号点と受信点3407とのユークリッド距離を求め、最も小さいユークリッド距離Dmin,Sxの値を求める。
そして、Dmin,S0、Dmin,S1、Dmin,S2、Dmin,S3の中で、最小値をとるものを探索する。例えば、最小値をとるものがDmin,S0であった場合、S0を除く残りの3ビット、つまり、S1、S2、S3を決定する。つまり、最小値をとるものがDmin,Syであった場合、Sy以外のビットを決定する。これにより、ビット列(S0,S1,S2,S3)の中で、確からしい3ビットを選ぶことができるようになる。
以上の処理をまとめると、図41のようになる。
先ず、ステップST0で処理を開始すると、ステップST1で受信点3417とのユークリッド距離が最小の候補信号点3407を検出する。
ステップST2では、候補信号点3407に対応するビット列(1,1,1,1)に含まれるビットを1ビットずつ反転させる。ステップST3では、各反転ビット毎に、反転ビットを含む複数の候補信号点を探索する。ステップST4では、各反転ビット毎に、受信点とステップST3で探索した複数の候補信号点間での最小ユークリッド距離を検出する。ステップST5では、ステップST4で検出した各反転ビット毎の最小ユークリッド距離の中で最小のユークリッド距離を検出する。ステップST6では、ステップST5で検出した最小ユークリッド距離に対応するビットが、ステップST1で検出された候補信号点3407で表されるビット列(1,1,1,1)の中で最も信頼性の低いビットであるとし、このビットを除くビットの値を決定する。
つまり、ステップST2からステップST6では、ステップST1で検出した候補信号点により表されるビット列の中で最も信頼性の低いビット以外を決定する。そしてステップST7で処理を終了する。
かくして本実施の形態によれば、変調信号の受信点とのユークリッド距離が最小となる候補信号点を検出し、検出した候補信号点に対応するビット列に含まれるビットを1つずつ反転し、各反転ビット毎に、反転ビットを含む複数の候補信号点を探索し、各反転ビット毎に、受信点と前記探索した複数の候補信号点との最小ユークリッド距離を検出し、前記各反転ビット毎の最小ユークリッド距離の中で最小のユークリッド距離を検出し、検出した最小ユークリッド距離に対応するビット以外のビットを部分ビットとして決定するようにしたことにより、誤っている確率が非常に低い3ビットを決定することができる。
ここで、このような3ビット判定アルゴリズムを、部分ビット判定部509、512で実行するようにすれば、誤っている確率の非常に低い部分ビット(3ビット)を決定できるので、最終的に得られる受信ディジタル信号の誤り率特性も向上させることができるようになる。但し、本実施の形態の3ビット判定アルゴリズムは、上述した実施の形態で説明した構成の受信装置に用いる場合に限らず、信号点で示されるビット列の中で誤っている確率の小さいビットを選択したい場合に広く適用できる。
なお本実施の形態では、16QAMを例に説明したが、他の変調方式のときも同様のアルゴリズムにより1ビットを除くビットを決定することができる。またユークリッド距離の代わりにユークリッド距離の2乗を求めても同様に実施することができる。
(実施の形態13)
これまでに、複数のアンテナから送信された複数の変調信号を、比較的小さな回路規模で誤り率特性良く復調するために、いくつかの部分ビット判定方法について説明した。本実施の形態では、上述したような部分ビット判定方法を、例えば文献“Likelihood function for QR-MLD suitable for soft-decision turbo decoding and its performance for OFDM MIMO multiplexing in multipath fading channels,”IEICE Transaction on Communications vol.E88-B, no.1, pp.47-57, 2005に示されているような、QR分解を用いたMLDに適用することを提案する。
図42に、本実施の形態の構成例を示す。本実施の形態では、送信アンテナ数3、受信アンテナ数3、変調方式16QAMの場合を例に説明する。図42の信号処理部4200は、図31の信号処理部3117として用いられる。
送信装置から3つの変調信号が送信され、受信装置が3つのアンテナで受信した場合、前述のように(2)式の関係が成立する。ここで、(2)式での行列をHとあらわすものとする。
QR分解部4201は、ユニタリ行列Qを用いてQR分解を行うことで、次式で表される上三角行列Rを得る。
そして、QR分解部4201は、行列Qの複素共役転置行列Q
Hを(2)式の受信信号に乗算することで、以下の関係式を得る。
そして、QR分解部4201は、(7)式により得た信号Z1(4202)を候補信号点演算部4214に、信号Z2(4203)を候補信号点演算部4210に、信号Z3(4204)を部分ビット判定部4208に出力すると共に、(6)式により得た行列Rの1行(4205)を候補信号点演算部4214に、行列Rの2行(4206)を候補信号点演算部4210に、行列Rの3行(4207)を部分ビット判定部4208に出力する。
部分ビット判定部4208は、信号Z3(4204)行列と行列Rの3行(4207)とを入力とする。ここで、信号Z3は変調信号のTxcの成分しか含まれない。したがって、チャネル変動の補正を行うことで、これまでに述べてきた16QAMの部分ビット判定方法を利用することができる。そこで、部分ビット判定部4208は、上述した実施の形態と同様の部分ビット判定を行うことで、変調信号Txcの尤度の高い部分ビット4209を出力する。
候補信号点演算部4210は、信号Z2(4203)と、行列Rの2行(4206)と、変調信号Txcの尤度の高い部分ビット4209とを入力する。候補信号点演算部4210は、これらを用いて信号点削減を行い、候補信号点信号4211を出力する。具体的に説明する。信号Z2は、変調信号Txb、変調信号Txcの成分のみで構成されている。このため、例えば各変調信号が16QAM信号の場合には、16(変調信号b)×16(変調信号c)=256点の候補信号点が存在することになるが、候補信号点演算部4210では、変調信号cについては部分ビット判定部4208で尤度が高いと判定された2ビットのみを用いて候補信号点信号4211を演算により求める。つまり、候補信号点演算部4210が演算する候補信号点の数は、16(変調信号b)×4(変調信号c)=64点である。このようにして、候補信号点演算部4210は演算すべき候補信号点の数を削減する。実際上、候補信号点演算部4210は、このようにして削減した候補信号点についてブランチメトリックを求め、その演算結果を候補信号点信号4211として候補信号点選択部4212に出力する。
これにより、候補信号点演算部4210では、部分ビット判定部4208により判定された尤度の高いビットについてのみブランチメトリック演算を行うので、演算量が少なくなる。例えば、各変調信号が16QAMの場合、従来のQR分解を用いたMLDでは候補信号点演算部4210において、16(変調信号b)×16(変調信号c)=256点についてのブランチメトリックを演算する必要がある。これに対して、本実施の形態においては、部分ビット判定部4208で尤度の高い部分ビット4209として2ビットが判定された場合、候補信号点演算部4210において、16(変調信号b)×4(変調信号c)=64点についてのブランチメトリックを演算すればよい。
この結果、演算規模を削減することができる。加えて、部分ビット判定部4208において上述した実施の形態のように的確に尤度の高いビット4208を判定し、これに基づいて候補信号点を削減しているので、判定誤りが少なくなる。これにより、演算規模の削減と受信品質の向上を両立させることができる。
候補信号点選択部4212は、候補信号点信号4211(例えば64点分の候補信号点のブランチメトリック)を入力とし、この中からあらかじめ決定されている数分の尤度の高い信号点(例えば16点)を候補信号点とし選択し、選択した候補信号点を示す候補信号点信号4213を出力する。つまり、候補信号点選択部4212は、候補信号点演算部4210からの例えば64点分の候補信号点のブランチメトリックに基づいて、その中から尤度の高い16点を選択し、その16点を示す候補信号点信号4213を出力する。
候補信号点演算部4214は、信号Z1(4202)と、行列Rの1行(4205)と、選択された候補信号点信号4213とを入力とする。候補信号点演算部4214は、これらを用いて、信号点削減を行い、候補信号点信号4215を出力する。具体的に説明する。信号Z1は、変調信号Txa、Txb、変調信号Txcの成分で構成されている。このため、例えば各変調信号が16QAM信号の場合には、16(変調信号a)×16(変調信号b)×16(変調信号c)=4096点の候補信号点が存在することになるが、候補信号点演算部4214では、変調信号b、変調信号cについては候補信号点選択部4212で選択された4ビットのみを用いて候補信号点信号4215を演算により求める。つまり、候補信号点演算部4214が演算する候補信号点の数は、16(変調信号a)×16(変調信号b、c)=256点である。このようにして、候補信号点演算部4214は演算すべき候補信号点の数を削減する。実際上、候補信号点演算部4214は、このようにして削減した候補信号点についてブランチメトリックを求め、その演算結果を候補信号点信号4215として候補信号点決定部4216に出力する。
候補信号点決定部4216は、候補信号点信号4215(例えば256点分の候補信号点のブランチメトリック)から最も確からしい候補信号点を求め、最も確からしい信号点を示す候補信号4217を出力する。なお、この候補信号4217は、例えば図32の変調信号Aのディジタル信号322、変調信号Bのディジタル信号323及び変調信号Cのディジタル信号3118に相当するものである。
このように本実施の形態によれば、QR分解を用いたMLDを行うにあたって、QR分解後に単一の変調信号成分のみを含むQR分解信号(信号Z1)について部分ビット判定を行って尤度の高い信号を判定し、この判定結果を後段の処理に引き継ぐようにしたことにより、QR分解を用いたMLDを行う場合において、誤り率特性を低下させることなく、演算規模を削減できる。
なお、本実施の形態においては、各変調信号の変調方式が16QAMの場合について説明したが、これに限らず、各変調信号の変調方式が16QAM以外の場合にも上述した実施の形態と同様の効果を得ることができる。また、送信アンテナ数3、受信アンテナ数3の場合で説明したがこれに限ったものではない。
(実施の形態14)
本実施の形態では、実施の形態13よりも一段と簡易な構成で、QR分解を用いたMLDを行うことができる構成及び方法を提案する。
本実施の形態では、実施の形態13と同様に、送信装置が3本のアンテナからそれぞれ異なる変調信号A、B、Cを送信し、受信装置が3本のアンテナでこれを受信する場合を例にとって説明する。
図43に、本実施の形態の構成例を示す。図43の信号処理部4300は、図31の信号処理部3117として用いられる。また、図43における信号4301は、図31における信号308、310、3102、306、318、320、3104、316、3112、3114、3116、3110に相当する信号群を示している。
QR分解部4302、4304、4306は、信号群4301を入力とし、それぞれ異なるQR分解を行う。
具体的には、QR分解部4302は(8)式の変換を行い、QR分解部4304は(9)式の変換を行い、QR分解部4306は(10)式の変換を行う。
ただし、RxX=(Txc,Txa,Txb)T、RxY=(Txa,Txb,Txc)T、RxZ=(Txb,Txc,Txa)Tとする。
そして、QR分解部4302は、(8)式の信号Z1、信号Z2、信号Z3、行列Rの1行、行列Rの2行、行列Rの3行を信号4303として出力する。QR分解部4304は、(9)式の信号Z1、信号Z2、信号Z3、行列Rの1行、行列Rの2行、行列Rの3行を信号4305として出力する。QR分解部4306は、(10)式の信号Z1、信号Z2、信号Z3、行列Rの1行、行列Rの2行、行列Rの3行を信号4307として出力する。
ビット単位ブランチメトリック演算部4308は、各QR分解部4302、4304、4306からの信号4303、4305、4307を入力し、各信号4303、4305、4307について、行列Rのうち最上位である1行を除く2行と3行に対してビット単位でブランチメトリックを求めることで、MLDを行うようになっている。
具体的には、ビット単位ブランチメトリック演算部4308は、信号4303を用いて、(8)式の2行と3行を基にビット単位でブランチメトリックを求めることで、TxaとTxbについてMLDを行う。例えば、各変調信号A、Bの変調方式をQPSKとする。このとき、ブランチメトリックをB1[a0][a1][b0][b1][c0][c1]で表すものとする。a0、a1は変調信号Aの送信2ビットを意味し、a0、a1=0または1である。同様に、b0、b1は変調信号Bの送信2ビットを意味し、b0、b1=0または1であり、c0、c1は変調信号Cの送信2ビットを意味し、c0、c1=0または1である。ビット単位ブランチメトリック演算部4308が、信号4303を用いて、(8)式で示される行列Rの2行と3行を基にビット単位でブランチメトリックを求めるということは、ブランチメトリックB1[a0][a1][b0][b1][X][X]を求めることに相当する。ここで、Xは不定を意味する。これは、(8)式の2行、3行では、変調信号Cの成分を含まないからである。従って、ビット単位ブランチメトリック演算部4308は、信号4303を用いて、変調信号A、Bについて計16個のブランチメトリックを求める。
同様に、ビット単位ブランチメトリック演算部4308は、信号4305を用いて、(9)式の2行と3行を基にビット単位でブランチメトリックを求めることで、TxbとTxcについてMLDを行う。ビット単位ブランチメトリック演算部4308が、信号4305を用いて、(9)式で示される行列Rの2行と3行を基にビット単位でブランチメトリックを求めるということは、ブランチメトリックB2[X][X][b0][b1][c0][c1]を求めることに相当する。このようにして、ビット単位ブランチメトリック演算部4308は、信号4305を用いて、変調信号B、Cについて計16個のブランチメトリックを求める。
同様に、ビット単位ブランチメトリック演算部4308は、信号4306を用いて、(10)式の2行と3行を基にビット単位でブランチメトリックを求めることで、TxcとTxaについてMLDを行う。ビット単位ブランチメトリック演算部4308が、信号4307を用いて、(10)式で示される行列Rの2行と3行を基にビット単位でブランチメトリックを求めるということは、ブランチメトリックB3[a0][a1][X][X][c0][c1]を求めることに相当する。このようにして、ビット単位ブランチメトリック演算部4308は、信号4307を用いて、変調信号C、Aについて計16個のブランチメトリックを求める。
次に、ビット単位ブランチメトリック演算部4308は、上述のようにして求められたブランチメトリックをビット単位ごとに加算する。変調信号Aのビットa0が“0”のときブランチメトリックをBa0,0とすると、例えば、ブランチメトリックBa0,0を次のように求める。
ビット単位ブランチメトリック演算部4308は、変調信号Aのビットa0が“1”のときのブランチメトリックをBa0,1とすると、ブランチメトリックBa0,1を次のように求める。
ビット単位ブランチメトリック演算部4308は、変調信号Aのビットa1が“0”のとき、“1”のときのブランチメトリックBa1,0、Ba1,1を同様にして求める。
また、ビット単位ブランチメトリック演算部4308は、変調信号Bのビットb0が“0”のときのブランチメトリックをBb0,0とすると、ブランチメトリックBb0,0を次のように求める。
ビット単位ブランチメトリック演算部4308は、変調信号Bのビットb0が“1”のときのブランチメトリックをBb0,1とすると、ブランチメトリックBb0,1を次のように求める。
ビット単位ブランチメトリック演算部4308は、変調信号Bのビットb1が“0”のとき、“1”のときのブランチメトリックBb1,0、Bb1,1を同様にして求める。
また、ビット単位ブランチメトリック演算部4308は、変調信号Cのビットc0が“0”のときブランチメトリックをBc0,0とすると、ブランチメトリックBc0,0を次のように求める。
ビット単位ブランチメトリック演算部4308は、変調信号Cのビットc0が“1”のときのブランチメトリックをBc0,1とすると、ブランチメトリックBc0,1を次のように求める。
ビット単位ブランチメトリック演算部4308は、変調信号Cのビットc1が“0”のとき、“1”のときのブランチメトリックBc1,0、Bc1,1を同様にして求める。
そして、ビット単位ブランチメトリック演算部4308は、上述のようにして求めた値を変調信号Aのビット単位のブランチメトリック群信号4309、変調信号Bのビット単位のブランチメトリック群信号4310、変調信号Cのビット単位のブランチメトリック群信号4311として出力する。
判定部4312は、変調信号Aのビット単位のブランチメトリック群信号4309、変調信号Bのビット単位のブランチメトリック群信号4310、変調信号Cのビット単位のブランチメトリック群信号4311に基づいて変調信号A、B、Cについて最も確からしい信号点を判定し、判定結果を受信データ4313として出力する。なお、この受信データ4313は、例えば図32の変調信号Aのディジタル信号322、変調信号Bのディジタル信号323及び変調信号Cのディジタル信号3118に相当するものである。
このように本実施の形態によれば、それぞれ異なるQR分解を行う複数のQR分解部4302、4304、4306と、QR分解部4302、4304、4306によって得られた信号4303、4305、4307それぞれについて、最上位の行を除いた行(本実施の形態の例では、行列Rの1行を除いた2行と3行)を基にブランチメトリックを求めるビット単位ブランチメトリック演算部4308と、そのブランチメトリックに基づいて尤度判定を行う判定部4312とを設けたことにより、QR分解を用いたMLDを行う場合において、誤り率特性を低下させることなく、演算規模を削減できる。
例えば図42に示したような、段階的に候補信号点を絞り込んでいく構成と比較して、候補信号点を引き継ぐ構成が不要となるため回路規模の簡略化を図ることができると共に、演算による遅延時間を軽減することができるため高速動作が可能となる。
ここで、本実施の形態におけるQR分解の最上位の行を除いたMLDと、従来のQR−MLDとの設計思想の違いについて言及しておく。例えば、送信アンテナ数3、受信アンテナ数3のシステムにおいて、従来のQR―MLDは、受信アンテナ数3のダイバーシチゲインを得るためのMLDの近似アルゴリズムである。一方で、本実施の形態は、受信アンテナ数2のダイバーシチを得ることためのMLDの近似アルゴリズムと言うことができる。つまり、一般的には、送信アンテナ数M、受信アンテナ数Mのシステムにおいて、従来のQR―MLDは、受信アンテナ数Mのダイバーシチゲインを得るためのMLDの近似アルゴリズムである。一方で、本実施の形態は、受信アンテナ数M−Pのダイバーシチを得ることためのMLDの近似アルゴリズムである。ただし、M>Pである。
ここで、本実施の形態の特徴としては、上述したように、従来のQR―MLDより演算規模を削減することができる点が挙げられる。また、上記Mが大きい場合、Pを小さく設定すれば、従来のQR―MLDの受信品質と大きな受信品質の差が発生しないことも特徴として挙げられる。
因みに、QR分解を用いたMLDの方法としては、MMSEの拡張を行っても同様に実施することができる。これについては、例えば、文献“シングルユーザ/マルチユーザMIMO伝送方式におけるMMSE拡張を行うQRM−MLDの検討”電子情報通信学会、信学技報(IEICE Technical Report)RCS2005−190、2006年3月、pp.73−78等に記載された既知の技術なので、その説明は省略する。
なお、本実施の形態において、実施の形態13と同様に部分ビット判定を最下位の行に対し施す構成を追加すれば、一段と演算規模を削減することができる。
また、本実施の形態では変調信号数が3の場合を例に説明したがこれに限ったものではなく、4以上のときも同様に実施することができる。例えば、送信装置が4本のアンテナからそれぞれ異なる変調信号を送信する場合にも適用できる。この場合、上述した実施の形態ではQR分解後の2行と3行に対しMLDを行ったが、QR分解後の3行と4行に対しMLDを施してもよいし、QR分解後の2行、3行、4行に対しMLDを施すようにしてもよい。つまり、QR分解後の最上位の行を除いた行を基にMLDを行うようにすればよい。
また、本実施の形態では各変調信号の変調方式がQPSKの場合について説明したが、これに限ったものではない。
さらに、ブランチメトリックの求め方は、上記のように加算する方法に限ったものではない。例えば、変調信号Aのビットa0が“0”のブランチメトリックBa0,0は、B1[0][0][0][0][X][X]、B1[0][0][0][1][X][X]、B1[0][0][1][0][X][X]、B1[0][0][1][1][X][X]、B1[0][1][0][0][X][X]、B1[0][1][0][1][X][X]、B1[0][1][1][0][X][X]、B1[0][1][1][1][X][X]、B3[0][0][X][X][0][0]、B3[0][0][X][X][0][1]、B3[0][0][X][X][1][0]、B3[0][0][X][X][1][1]、B3[0][1][X][X][0][0]、B3[0][1][X][X][0][1]、B3[0][1][X][X][1][0]、B3[0][1][X][X][1][1]の中の最小値としてもよい。
ところで、本実施の形態で求めているブランチメトリックは、復号する際の事後確率に相当することになる。さらに事前確率を利用すれば、一段と受信品質を向上させることができる。本実施の形態において、事前確率を利用するためには、例えば(8)式、(9)式、(10)式それぞれにおいて、2行と3行で形成される行列の逆行列を求め、その逆行列から分離後のSNR(上記(3)式、(4)式関連参照)を求めて、これを用いればよい。
(実施の形態15)
本実施の形態では、基本的には、実施の形態14と同様にそれぞれ異なるQR分解を行う複数のQR分解部を設けることにより、QR分解を用いたMLDを行う場合において、誤り率特性を低下させることなく、演算規模を削減できる構成及び方法について提案する。本実施の形態は、複数のQR分解の仕方が実施の形態14とは異なる。
本実施の形態では、実施の形態14と同様に、送信装置が3本のアンテナからそれぞれ異なる変調信号A、B、Cを送信し、受信装置が3本のアンテナでこれを受信する場合を例にとって説明する。
図44に、本実施の形態の構成例を示す。図44の信号処理部4400は、図31の信号処理部3117として用いられる。また、図44における信号4301は、図31における信号308、310、3102、306、318、320、3104、316、3112、3114、3116、3110に相当する信号群を示している。
QR分解部4302、4304、4306は、信号群4301を入力とし、それぞれ異なるQR分解を行う。
具体的には、QR分解部4401Aは(17)式の変換を行い、QR分解部4402Aは(18)式の変換を行い、QR分解部4401Bは(19)式の変換を行い、QR分解部4402Bは(20)式の変換を行い、QR分解部4401Cは(21)式の変換を行い、QR分解部4402Cは(22)式の変換を行う。
ただし、Rxa1=(Txc,Txb,Txa)T、Rxa2=(Txb,Txc,Txa)T、Rxb1=(Txc,Txa,Txb)T、Rxb2=(Txa,Txc,Txb)T、Rxc1=(Txa,Txb,Txc)T、Rxc2=(Txa,Txb,Txc)Tとする。
そして、QR分解部4401Aは、(17)式の信号Z1、信号Z2、信号Z3、行列Rの1行、行列Rの2行、行列Rの3行を信号4403Aとして出力する。QR分解部4402Aは、(18)式の信号Z1、信号Z2、信号Z3、行列Rの1行、行列Rの2行、行列Rの3行を信号4404Aとして出力する。QR分解部4401Bは、(19)式の信号Z1、信号Z2、信号Z3、行列Rの1行、行列Rの2行、行列Rの3行を信号4403Bとして出力する。QR分解部4402Bは、(20)式の信号Z1、信号Z2、信号Z3、行列Rの1行、行列Rの2行、行列Rの3行を信号4404Bとして出力する。QR分解部4401Cは、(21)式の信号Z1、信号Z2、信号Z3、行列Rの1行、行列Rの2行、行列Rの3行を信号4403Cとして出力する。QR分解部4402Cは、(22)式の信号Z1、信号Z2、信号Z3、行列Rの1行、行列Rの2行、行列Rの3行を信号4404Cとして出力する。
ビット単位ブランチメトリック演算部4405Aは、各QR分解部4401A、4402Aからの信号4403A、4404Aを入力し、各信号4403A、4404Aについて、行列Rのうち最上位である1行を除く2行と3行に対してビット単位でブランチメトリックを求めることで、MLDを行うようになっている。
具体的には、ビット単位ブランチメトリック演算部4405Aは、信号4403Aを用いて、(17)式の2行と3行を基にビット単位でブランチメトリックを求めることで、TxaとTxbについてMLDを行う。また、ビット単位ブランチメトリック演算部4405Aは、信号4404Aを用いて、(18)式の2行と3行を基にビット単位でブランチメトリックを求めることで、TxaとTxcについてMLDを行う。例えば、各変調信号の変調方式をQPSKの場合、ビット単位ブランチメトリック演算部4405Aは、信号4403Aを用いて、(17)式で示される行列Rの2行と3行を基にビット単位のブランチメトリックB1[a0][a1][b0][b1][X][X]を求める。つまり、ビット単位ブランチメトリック演算部4405Aは、信号4403Aを用いて、変調信号A、Bについて計16個のブランチメトリックを求める。また、ビット単位ブランチメトリック演算部4405Aは、信号4404Aを用いて、(18)式で示される行列Rの2行と3行を基にビット単位のブランチメトリックB2[a0][a1][X][X][c0][c1]を求める。つまり、ビット単位ブランチメトリック演算部4405Aは、信号4404Aを用いて、変調信号A、Cについて計16個のブランチメトリックを求める。
次に、ビット単位ブランチメトリック演算部4405Aは、このようにして求めたブランチメトリックをビット単位ごとに加算する。変調信号Aのビットa0が“0”のときブランチメトリックをBa0,0とすると、例えば、ブランチメトリックBa0,0を次のように求める。
ビット単位ブランチメトリック演算部4405Aは、変調信号Aのビットa0が“1”のときのブランチメトリックをBa0,1とすると、ブランチメトリックBa0,1を次のように求める。
ビット単位ブランチメトリック演算部4405Aは、変調信号Aのビットa1が“0”のとき、“1”のときのブランチメトリックBa1,0、Ba1,1を同様にして求める。そして、このようにして求めた値を変調信号Aのビット単位のブランチメトリック群信号4406Aとして出力する。
ビット単位ブランチメトリック演算部4405Bは、各QR分解部4401B、4402Bからの信号4403B、4404Bを入力し、各信号4403B、4404Bについて、行列Rのうち最上位である1行を除く2行と3行に対してビット単位でブランチメトリックを求めることで、MLDを行うようになっている。
具体的には、ビット単位ブランチメトリック演算部4405Bは、信号4403Bを用いて、(19)式の2行と3行を基にビット単位でブランチメトリックを求めることで、TxbとTxaについてMLDを行う。また、ビット単位ブランチメトリック演算部4405Bは、信号4404Bを用いて、(20)式の2行と3行を基にビット単位でブランチメトリックを求めることで、TxbとTxcについてMLDを行う。例えば、各変調信号の変調方式をQPSKの場合、ビット単位ブランチメトリック演算部4405Bは、信号4403Bを用いて、(19)式で示される行列Rの2行と3行を基にビット単位のブランチメトリックB3[a0][a1][b0][b1][X][X]を求める。つまり、ビット単位ブランチメトリック演算部4405Bは、信号4403Bを用いて、変調信号B、Aについて計16個のブランチメトリックを求める。また、ビット単位ブランチメトリック演算部4405Bは、信号4404Bを用いて、(20)式で示される行列Rの2行と3行を基にビット単位のブランチメトリックB4[X][X][b0][b1][c0][c1]を求める。つまり、ビット単位ブランチメトリック演算部4405Bは、信号4404Bを用いて、変調信号B、Cについて計16個のブランチメトリックを求める。
次に、ビット単位ブランチメトリック演算部4405Bは、このようにして求めたブランチメトリックをビット単位ごとに加算する。変調信号Bのビットb0が“0”のときブランチメトリックをBb0,0とすると、例えば、ブランチメトリックBb0,0を次のように求める。
ビット単位ブランチメトリック演算部4405Bは、変調信号Bのビットb0が“1”のときのブランチメトリックをBb0,1とすると、ブランチメトリックBb0,1を次のように求める。
ビット単位ブランチメトリック演算部4405Bは、変調信号Bのビットb1が“0”のとき、“1”のときのブランチメトリックBb1,0、Bb1,1を同様にして求める。そして、このようにして求めた値を変調信号Bのビット単位のブランチメトリック群信号4406Bとして出力する。
ビット単位ブランチメトリック演算部4405Cは、各QR分解部4401C、4402Cからの信号4403C、4404Cを入力し、各信号4403C、4404Cについて、行列Rのうち最上位である1行を除く2行と3行に対してビット単位でブランチメトリックを求めることで、MLDを行うようになっている。
具体的には、ビット単位ブランチメトリック演算部4405Cは、信号4403Cを用いて、(21)式の2行と3行を基にビット単位でブランチメトリックを求めることで、TxcとTxaについてMLDを行う。また、ビット単位ブランチメトリック演算部4405Cは、信号4404Cを用いて、(22)式の2行と3行を基にビット単位でブランチメトリックを求めることで、TxcとTxbについてMLDを行う。例えば、各変調信号の変調方式をQPSKの場合、ビット単位ブランチメトリック演算部4405Cは、信号4403Cを用いて、(21)式で示される行列Rの2行と3行を基にビット単位のブランチメトリックB3[a0][a1][X][X][c0][c1]を求める。つまり、ビット単位ブランチメトリック演算部4405Cは、信号4403Cを用いて、変調信号C、Aについて計16個のブランチメトリックを求める。また、ビット単位ブランチメトリック演算部4405Cは、信号4404Cを用いて、(22)式で示される行列Rの2行と3行を基にビット単位のブランチメトリックB6[X][X][b0][b1][c0][c1]を求める。つまり、ビット単位ブランチメトリック演算部4405Cは、信号4404Cを用いて、変調信号C、Bについて計16個のブランチメトリックを求める。
次に、ビット単位ブランチメトリック演算部4405Cは、このようにして求めたブランチメトリックをビット単位ごとに加算する。変調信号Cのビットc0が“0”のときブランチメトリックをBc0,0とすると、例えば、ブランチメトリックBc0,0を次のように求める。
ビット単位ブランチメトリック演算部4405Cは、変調信号Cのビットc0が“1”のときのブランチメトリックをBc1とすると、ブランチメトリックBc0,1を次のように求める。
ビット単位ブランチメトリック演算部4405Cは、変調信号Cのビットc1が“0”のとき、“1”のときのブランチメトリックBc1,0、Bc1,1を同様にして求める。そして、このようにして求めた値を変調信号Cのビット単位のブランチメトリック群信号4406Cとして出力する。
判定部4407は、変調信号Aのビット単位のブランチメトリック群信号4406A、変調信号Bのビット単位のブランチメトリック群信号4406B、変調信号Cのビット単位のブランチメトリック群信号4406Cに基づいて変調信号A、B、Cについて最も確からしい信号点を判定し、判定結果を受信データ4408として出力する。なお、この受信データ4408は、例えば図32の変調信号Aのディジタル信号322、変調信号Bのディジタル信号323及び変調信号Cのディジタル信号3118に相当するものである。
ここで、実施の形態14の構成と、本実施の形態の構成とを比較すると、実施の形態14では、QR分解部4302、4304、4306間で全ての行を入れ替えてQR分解を行うようにしている。これに対して、本実施の形態では、QR分解部4401Aと4402Aとの間、4401Bと4402Bとの間、4401Cと4402Cとの間で、最下位行(3行)を固定とし、それ以外の行を入れ替えてQR分解を行うようにした。
このように本実施の形態によれば、それぞれ異なるQR分解を行う複数のQR分解部4401A、4402A、4401B、4402B、4401C、4402Cと、QR分解部4401A、4402A、4401B、4402B、4401C、4402Cによって得られた信号4403A、4404A、4403B、4404B、4403C、4404Cそれぞれについて、最上位の行を除いた行(本実施の形態の例では、行列Rの1行を除いた2行と3行)を基にブランチメトリックを求めるビット単位ブランチメトリック演算部4405A、4405B、4405Cと、そのブランチメトリックに基づいて尤度判定を行う判定部4407とを設けたことにより、QR分解を用いたMLDを行う場合において、誤り率特性を低下させることなく、演算規模を削減できる。
例えば図42に示したような、段階的に候補信号点を絞り込んでいく構成と比較して、候補信号点を引き継ぐ構成が不要となるため回路規模の簡略化を図ることができると共に、演算による遅延時間を軽減することができるため高速動作が可能となる。
なお、本実施の形態では変調信号数が3の場合を例に説明したがこれに限ったものではなく、4以上のときも同様に実施することができる。変調信号数3の場合は、QR分解後の2行と3行に対しMLDを行い、かつ、最下位行である3行に、求めたい変調信号が属するようにQR分解を行ったが、例えば、送信装置が4本のアンテナ数からそれぞれ異なる変調信号を送信する場合は、QR分解後の3行と4行に対しMLDを施し、かつ、最下位行である4行に、求めたい変調信号が属するようにQR分解を行うようにすればよい。この場合、例えば、QR分解後の2行、3行、4行に対しMLDを施し、かつ、最下位行である4行に、求めたい変調信号が属するようにQR分解を行うようにすればよい。
また、本実施の形態では各変調信号の変調方式がQPSKの場合について説明したが、これに限ったものではない。
さらに、ブランチメトリックの求め方は、上記のように加算する方法に限ったものではない。例えば、変調信号Aのビットa0が“0”のブランチメトリックBa0,0は、B1[0][0][0][0][X][X]、B1[0][0][0][1][X][X]、B1[0][0][1][0][X][X]、B1[0][0][1][1][X][X]、B1[0][1][0][0][X][X]、B1[0][1][0][1][X][X]、B1[0][1][1][0][X][X]、B1[0][1][1][1][X][X]、B2[0][0][X][X][0][0]、B2[0][0][X][X][0][1]、B2[0][0][X][X][1][0]、B2[0][0][X][X][1][1]、B2[0][1][X][X][0][0]、B2[0][1][X][X][0][1]、B2[0][1][X][X][1][0]、B2[0][1][X][X][1][1]の中の最小値としてもよい。
ところで、本実施の形態で求めているブランチメトリックは、復号する際の事後確率に相当することになる。さらに事前確率を利用すれば、一段と受信品質を向上させることができる。本実施の形態において、事前確率を利用するためには、例えば(17)式、(18)式、(19)式、(20)式、(21)式、(22)式それぞれにおいて、2行と3行で形成される行列の逆行列を求め、その逆行列から分離後のSNR(上記(3)式、(4)式関連参照)を求めて、これを用いればよい。
また、本実施の形態においては、各変調信号を最下位行に固定し、それ以外の行を入れ替えた全ての組み合わせについてQR分解を行い、ブランチメトリックを求める場合について説明したが、必ずしも各変調信号が最下位行となる全ての組み合わせについてQR分解及びブランチメトリック演算を行う必要はない。例えば、本実施の形態では、変調信号Aに着目した場合、変調信号Aが最下位行となる全ての場合、つまり、(17)式、(18)式に対しQR分解を行っている。しかし、(17)式のみだけで、変調信号Aのブランチメトリックを求めてもよい。これにより、演算規模を削減することができる。特に、送信変調信号数が増加した場合、QR分解を行う回数は、演算規模の急激な増大を招くことになるので、適宜QR分解の処理数を設定すると、演算規模の削減の点で有効となる。このQR分解の処理数は、例えば重要な変調信号ほど処理数を多くし、逆に重要でない変調信号ほど処理数を少なくすれば、有効に演算規模を削減することができるようになる。
(他の実施の形態)
なお上述した実施の形態では、主に、本発明を、スペクトル拡散通信方式及びOFDM方式に適用する場合を例に説明したが、これに限ったものではなく、シングルキャリア方式や、OFDM方式以外のマルチキャリア方式、さらにはマルチキャリア方式とスペクトル拡散通信方式を併用した方式に対しMIMO伝送を用いた場合にも同様の効果を得ることができる。
また変調方式として主に16値の多値変調を用いた場合について説明したが、16値以外の多値変調を用いた場合にも同様の効果を得ることができる。すなわち、上述した実施の形態では、16値の多値変調信号を受信したときに、図8B、図10B、図14Bに示したようにして部分ビットを求めたが、これに限らない。例えば、1シンボルでmビットを送信する変調方式の場合、部分ビット判定により求めたk(k≦m)ビットに基づいてmビットをm−kビットに絞り込み(すなわち候補信号点数を削減し)、削減した候補信号点に対して尤度検波を行えば、上述した実施の形態と同様の効果を得ることができる。また部分ビットを求める場合の領域の分け方は、図8B、図10B、図14B、図16、図17、図18に限らず、別の領域分けを適用することもできる。
また上述した実施の形態では、主に、部分ビットを判定するにあたって逆行列演算を行う場合について述べたが、部分ビットの判定方法はこれに限らず、要は、尤度検波とは異なる検波方法でかつ尤度復号よりも演算量の少ない検波方法によって部分ビットを求めるようにすれば、全てのビットを尤度検波により求める場合と比較して演算量を削減できるので、上述した実施の形態と同様の効果を得ることができる。
さらに上述した実施の形態では、主に、送信アンテナ数2、受信アンテナ数2、送信信号数2の場合を例に説明したが、本発明はこれに限らず、送信アンテナ数n、受信アンテナ数n、送信信号数n(n≧3)の装置にも適用できる。また送信アンテナ数、送信信号数よりも受信アンテナ数を多くし、分離、信号点削減を行う際に、合成又は選択ダイバーシチを行うことで、分離精度や受信品質の向上を狙った装置にも適用することができる。
本発明は、上述した実施の形態に限定されずに、種々変更して実施することができる。
本発明の受信装置の一つの態様においては、複数のアンテナからそれぞれ異なる変調信号を送信する送信装置から送信された変調信号を受信する受信装置であって、各変調信号のチャネル推定値を求めるチャネル変動推定部と、尤度検波とは異なる検波方法を用いて変調信号の一部のビットのみを復調する部分ビット復調部と、復調された部分ビット及びチャネル推定値を用いて候補信号点を削減する信号点削減部と、削減された候補信号点と受信ベースバンド信号とを用いて尤度検波を行う尤度検波部とを具備する構成を採る。
この構成によれば、部分ビット復調部では尤度検波とは異なる検波方法を用いて一部のビットのみを復調するので、少ない演算量で部分ビットを得ることができる。また尤度検波部では、削減された候補信号点を用いて尤度検波を行うので、少ない演算量で残りのビットを精度良く求めることができる。このように、尤度検波を部分的に行うようにしているので、ユークリッド距離を求める演算回数を削減しつつ、誤り率特性の良い受信ディジタル信号を得ることができるようになる。
本発明の受信装置の一つの態様においては、各変調信号の受信品質に基づいて、信号点削減部での候補信号点削減に、どの変調信号の部分ビットを用いるかを制御する制御部をさらに具備する構成を採る。
この構成によれば、単純に全ての変調信号の部分ビットを用いて信号点削減を行う場合と比較して、誤っている確率が高い部分ビットを信号点削減処理に用いないようにすることができるので、より的確な信号点削減処理を行うことができ、一段と誤り率特性の良い受信ディジタル信号を得ることができるようになる。
本発明の受信装置の一つの態様においては、各変調信号の受信品質に基づいて、信号点削減部での信号点削減に、各変調信号の部分ビットを何ビット用いるかを制御する制御部をさらに具備する構成を採る。
この構成によれば、単純に全ての変調信号につき同じ数だけ部分ビットを用いて信号点削減を行う場合と比較して、誤っている確率が高い部分ビットを信号点削減処理に用いないようにすることができるので、より的確な信号点削減処理を行うことができ、一段と誤り率特性の良い受信ディジタル信号を得ることができるようになる。
本発明の受信装置の一つの態様においては、部分ビット復調部は、受信信号を各変調信号に分離する分離部と、分離された変調信号の受信点とのユークリッド距離が最小となる候補信号点を求め、求めた候補信号点に対応するビット列に含まれるビットを1つずつ反転し、各反転ビット毎に、反転ビットを含む複数の候補信号点を探索し、各反転ビット毎に、受信点と前記複数の候補信号点との最小ユークリッド距離を検出し、前記各反転ビット毎の最小ユークリッド距離の中で最大のユークリッド距離を検出し、検出した最大ユークリッド距離に対応する1ビットを復調部分ビットとする部分ビット判定部とを具備する構成を採る。
この構成によれば、部分ビット判定部によって、誤っている確率の非常に低い1ビットを得ることができるので、より的確な信号点削減処理を行うことができ、一段と誤り率特性の良い受信ディジタル信号を得ることができるようになる。
本発明の受信装置の一つの態様においては、部分ビット復調部は、チャネル推定値を用いたチャネル推定行列の逆行列演算によって各変調信号を分離する分離部と、分離された変調信号の部分ビットを判定する部分ビット判定部とを具備する構成を採る。
本発明の受信装置の一つの態様においては、部分ビット判定部は、MMSE(Minimum Mean Square Error)演算を行うことにより各変調信号を分離する分離部と、分離された変調信号の部分ビットを判定する部分ビット判定部とを具備する構成を採る。
これらの構成によれば、尤度検波を場合と比較して、少ない演算量で部分ビットを決定することができる。
本発明の部分ビット判定方法の一つの態様においては、変調信号の受信点とのユークリッド距離が最小となる候補信号点を検出する最小距離候補点検出ステップと、検出した候補信号点に対応するビット列に含まれるビットを1つずつ反転するビット反転ステップと、各反転ビット毎に、反転ビットを含む複数の候補信号点を探索するステップと、各反転ビット毎に、受信点と前記探索した複数の候補信号点との最小ユークリッド距離を検出するステップと、各反転ビット毎の最小ユークリッド距離の中で最大のユークリッド距離を検出するステップと、検出した最大ユークリッド距離に対応するビットを部分ビットとして決定するステップとを含むようにする。
この方法によれば、最小距離候補点検出ステップで検出した候補信号点により表されるビット列の中で最も信頼性の高いビットを決定できるので、誤っている確率の非常に低い1ビットを決定することができる。
本発明の送信装置の一つの態様においては、複数のアンテナからそれぞれ異なる変調信号を送信する送信装置であって、IQ平面上で、複数の信号点セットに分割され、かつ信号点セット内の最小信号点間距離が信号点セット間の最小信号点距離よりも小さくされている信号点配置を用いて、送信ビットを信号点マッピングすることにより変調信号を得る変調部と、変調部により得られた変調信号を送信するアンテナとを具備する構成を採る。
この構成によれば、受信側で、信号セット内の信号点に共通のビットを容易かつ的確に判定できるようになる。よって、変調信号の一部のビット(部分ビット)のみを復調することが求められる受信装置にとって、非常に都合の良い送信信号を形成できる。
本発明の送信装置の一つの態様においては、同一の信号点セット内にマッピングされる送信ビットをまとめて符号化する符号化部をさらに具備する構成を採る。
この構成によれば、受信側で、信号点セット内で共通の部分ビット単位で誤り訂正処理を行うことができるようになるので、受信側で、一段と簡易な構成で一段と誤っている可能性の低い部分ビットを得ることができるようになる。
本発明の送信装置の一つの態様においては、符号化部は、同一の信号点セット内にマッピングされる送信ビットについては、他の送信ビットよりも誤り訂正能力の高い符号化を施す構成を採る。
この構成によれば、受信側で、一段と誤っている可能性の低い部分ビットを得ることができるようになる。
本発明の受信装置の一つの態様においては、部分ビット復調部は、64QAM変調された変調信号の一部のビットを復調するにあたって、当該受信信号点がIQ平面上でのどの領域に存在するかに応じて、1シンボルを構成する6ビットのビット列のうちの何番目のビットを部分ビットとして復調するかを変更する構成を採る。
この構成によれば、部分ビット復調部で復調する部分ビットの誤り特性が向上するので、尤度検波部で用いる削減された候補信号点の信頼性が向上する。この結果、最終的な復調ビットの誤り率特性を向上させることができるようになる。
本発明の受信装置の一つの態様においては、それぞれ異なるQR分解を行う複数のQR分解部と、QR分解部によって得られた信号それぞれについて、最上位の行を除いた行を基にブランチメトリックを求めるビット単位ブランチメトリック演算部と、そのブランチメトリックに基づいて尤度判定を行う判定部とを具備する構成を採る。
この構成によれば、QR分解を用いたMLDを行う場合において、誤り率特性を低下させることなく、演算規模を削減できるようになる。