JP4477704B2 - 半導体基板表面からの有機汚染物の除去方法 - Google Patents

半導体基板表面からの有機汚染物の除去方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体基板表面からの有機汚染物の除去方法に関する。本発明は、さらに複数の連続した洗浄処理、又はVIAエッチングや他のエッチング処理後の洗浄等の多くの応用に対する本発明の方法の利用に関する。
【0002】
【従来の技術】
酸化、堆積又は成長プロセス等の様々なプロセス工程の前に行われる半導体基板表面の調製が、半導体技術における最も重要な問題の一つになってきた。0.5ミクロン及び0.25ミクロン以下のデザインルールの急速な普及とともに、微小な粒子と低レベルの汚染又は不純物(〜1010atoms/cm2、そしてそれ以下)がプロセスの歩止りに重大な影響を及ぼす。半導体基板表面から除去されるべき汚染物には、金属不純物、粒子及び有機物がある。半導体基板表面の異物の汚染レベルを低減するのに通常用いられる方法は、薬品溶液にウエーハを浸漬する方法である。
【0003】
有機物は、半導体ウエーハの表面から除去されなくてはならない汚染物の一つである。前洗浄段階においては、吸収された有機分子がウエーハ表面と洗浄用薬品との接触を妨げるため、不均一なエッチングやウエーハ表面の不均一な洗浄の原因となる。汚染のないウエーハ表面を実現するためには、有機不純物は他のウエーハ洗浄プロセスの前に除去されなくてならない。従来の湿式洗浄プロセスは、有機物を除去するための硫酸過酸化物混合物(SPM)の利用を含む。しかし、SPMは高価な薬品を使用し、そして高温で用いる必要があり、また化学廃棄物処理の問題を引き起こす。
【0004】
有機汚染の他の発生源は、標準的なICプロセスの流れにおいても起こる。その例としては、半導体基板の上の堆積されるフォトレジスト層又はフルオロカーボンポリマーの残留物がある。フルオロカーボンポリマーの残留物は、半導体(シリコン)半導体基板をドライな酸化物エッチング処理した時にできる。通常のフルオロカーボン気体を用いる酸化物エッチングでは、垂直の側壁プロファイルとフォトレジストマスクと下層膜に対するエッチングの選択性を高めるために、ポリマーを意図的に生成させる。SiO2−Si系のおけるエッチング選択性は、フルオロカーボンを基剤とするポリマーの生成を通じて特定のプロセス条件で達成される。重合反応は、Siの上で起こり易く、保護被膜を形成し、SiとSiO2間のエッチング選択性をもたらす。選択エッチングの後、レジストとポリマー状残留物は表面から除去される必要がある。もし、そのポリマーが次の金属堆積の前に完全に除去されないと、ポリマーはスパッタ金属原子と混ざり合い、信頼性に影響を与える高抵抗の物質を形成する。ポリマーの除去の方法は、プラズマエッチングの化学的作用、プラズマ源及び堆積フィルムの組成に依存する。しかし、乾式プロセスにおいては、O2又はH2を含む気体がフルオロカーボンポリマーの除去に用いられてきた。湿式の洗浄技術においては、アミンを基剤とする溶媒(米国特許第5,279,771号公報 と 米国特許第5,308,745号公報 )がよく使われている。有機フォトレジストの除去には、通常、湿式や乾式の酸化的な化学的作用(すなわち、O2プラズマ、SPM)又は溶媒剥離に基づく溶解プロセスが含まれる。これらのプロセスは高価であり、また廃棄物処理に関しては環境的に有害なものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
Si表面から有機汚染物(フォトレジストやエッチングの残留物)を除去する他の有効な洗浄方法を見い出す過程において、オゾン処理の化学的作用の利用が検討された。オゾンは、その強力な酸化力により、排水処理や飲料水の殺菌の分野で広く使われている。さらにオゾンの利点として、分解及び/又は反応の後の残留物(H2O、CO2、O2)が無害であることが挙げられる。オゾンの有機汚染物に対する酸化作用は、2つの異なる酸化経路、直接酸化又は間接的な酸化を含むものと一般に考えられている。直接酸化又はオゾン分解は第1の酸化剤として、分子状オゾンを含む。それは、まず炭素-炭素二重結合で起きる。このタイプの酸化は排水が低いpH域にある時に、起き易い。間接的な酸化は、第1の酸化剤のような第2の酸化剤を含む(たとえば、OHラジカル)。このタイプの酸化は、より反応性が高いが、あまり鋭敏ではなく、OHラジカルの生成し易い、高いpH、高温、促進剤(たとえば、H22)の添加、紫外線照射のような条件において、起き易い。実際の状況においては、オゾンに対して異なる反応性を有する汚染物の混合物が処理の対象となることが多い。しかし、いずれの酸化経路も同時に起き、間接的な酸化を進行させるには、分子状オゾンに対して高い反応性を有する有機汚染物の除去効率を犠牲にする必要がある。オゾン処理の化学的作用により、有機物の除去効率を最適化するためには、両方の酸化経路に影響を与えるパラメータを確認することが重要である。
【0006】
近年、オゾンは、その強い酸化力ゆえに、マイクロエレクトロニクス産業に導入された。オゾンが水に溶解した時、その自己分解時間は気相における場合に比べて速くなる。自己分解の間に、オゾンは反応の副生物としてOHラジカルを生成させる。G.AlderとR.Hill(J.Am.Chem.Soc.1950,72(1984)))によれば、これは有機物の分解によるものと信じられている。
【0007】
米国特許第5,464,480号公報は、半導体ウエハーから有機物を除去する方法を開示している。ウエハーを、1℃から15℃の温度範囲で、オゾンを含む水溶液に接触せしめる。ウエハーは、脱イオン水を含むタンクの中に置かれる。そしてウエハーから有機物を除去するのに十分な時間、オゾンを室温以下の脱イオン水の中に拡散させる。その間脱イオン水の温度は1℃から15℃の間に保つ。次に、ウエハーを脱イオン水ですすぐ。溶液の温度を1℃から15℃の間に保つ理由は、ウエハー上のすべての有機物を酸化し不溶性の気体にするため、十分に高濃度のオゾンを水の中に存在させる必要があるからである。
【0008】
欧州特許出願EP−A−0548596号は、洗浄工程において、いろいろな液状の薬品や超純水又はオゾンを含む気体と超純水からなる混合相流体を、オゾン気体を満たした処理室で半導体基板又は半導体ウエハーの上に噴霧する、スプレーツールプロセスを開示している。常に処理液の薄膜を新しくするためと、望ましくない物質を遠心力による除去を促進するため、回転させることが必要である。
【0009】
米国特許第5,181,985号公報は、湿式法で薬品を用いる半導体ウエハーの表面処理プロセスを開示している。それによれば、1つ又はそれ以上の液状の化学的に活性な物質を含む水相が、霧のように微細に分離した液体の状態でウエハー表面上で反応する。そのプロセスは、ウエハー表面に霧状の水を噴霧する工程と、半導体ウエハー表面で気相と液相との相互作用を起こすため、霧状の水と結合するように気体状の化学的に活性な物質を導入する工程とからなる。化学的に活性な物質は、気体状のアンモニア、塩化水素、フッ化水素、オゾン、オゾン化された酸素、塩素及び臭素からなる群から選ばれる。温度10℃から90℃の水が系に導入される。
【0010】
米国特許第5,503,708号公報は、有機膜を除去する方法と装置を開示している。すなわち、アルコールと、オゾン気体又はオゾン含有気体の1つとを含む混合気体を、少なくとも半導体ウエハーを処理室内に置くまでの間、上記処理室内へ導入し、半導体ウエハーの表面に形成された有機膜と混合気体が反応するようにする。
【0011】
特開昭61−004232号公報は、半導体基板の洗浄方法を開示している。その方法は、従来技術において、シリコンウエハー上の重金属の還元に用いられる伝統的な酸-過酸化水素洗浄に代わるものとして開発された。半導体基板は、洗浄タンクに満たされたギ酸や酢酸等の有機酸の濃い溶液に浸漬され、オゾン又は酸素が溶液を撹拌するようにタンクの底から供給される。上記溶液は、温度が100から150℃の間になるように加熱される。有機廃棄物はオゾンにより酸化され、溶解させて除去される。言い換えると、この日本の刊行物は、ギ酸金属化合物や酢酸金属化合物の形にして重金属を除去する方法とオゾンにより有機廃棄物を半導体ウエハー上から除去する方法とを開示している。
【0012】
本発明は、有機汚染物質を半導体半導体基板から除去するための改良された方法を提案することを目的とする。さらに、詳しくは、本発明は、半導体基板作製に係るあらゆるプロセスで起こる、フォトレジスト、レジスト残留物、ドライエッチング残留物等の有機汚染物を半導体基板表面から除去する方法を提案することを目的とする。
【0013】
【発明を解決するための手段】
本発明の第1の形態は、半導体基板をタンクの中に保持する工程と、水蒸気、オゾン及び捕捉剤として働く添加物からなる気体混合物を上記タンクに満たす工程とからなる。
本発明及び関連する特許出願の目的において用いられるタンクという言葉は、洗浄又は有機汚染物を除去するため、物質を保持するあらゆる種類の道具又は反応容器を意味する。したがって、タンクという言葉には、従来知られているウエットベンチ(wet benches)、ベッセル(vessels)、スプレープロセッサー(spray processors)、スピニングツール(spinning tools)、シングルタンク(single tank)、シングルウエハークリーニングツール(single wafer cleaning tools)などの道具や反応容器が含まれる。
本発明の第2の形態は、半導体基板をタンクの中に保持する工程と、水、オゾン及び捕捉剤として働く添加物からなる液体を上記タンクに満たす工程と、上記液体をその沸点以下の温度に維持する工程とからなる。
本発明の第3の形態は、半導体基板をタンクの中に保持する工程と、水、オゾン及び捕捉剤として働く添加物からなる液体を上記タンクに満たす工程とからなり、上記添加物の上記液体中における割合が、上記液体の1モル重量%以下である。
【0014】
捕捉剤は、混合物又は系の他の成分による好ましくない効果を妨げるために、混合物又は液体、気体、溶液等のあらゆる系に添加される物質を意味する。
上記添加剤は、OHラジカルの捕捉剤として働くことが好ましい。ラジカルは、非荷電種(すなわち、1原子又は2原子又は多原子分子である)であり、少なくとも、1つの不対電子を有する。捕捉剤の例としては、酢酸(CH3COOH)、酢酸塩(CH3COO-)、炭酸塩(HxCO3 -(2-x))、リン酸塩(H3PO4 -(3-x))などのカルボン酸又はリン酸又はそれらの塩が挙げられる。
【0015】
本発明の第3の形態においては、シリコンを酸化する能力を有するオゾンと蒸留水との混合物を用いる。第3の形態はシリコン表面の効率的な洗浄方法に関するものであり、以下の連続した工程に関する。
工程1:シリコン表面に酸化物を成長させる。
工程2:酸化物を除去する。
工程3(必要に応じて):親水的な表面が望ましい場合、薄い絶縁酸化物層を成長させる。
工程4:シリコンウエハーを乾燥させる。
【0016】
以下の上記と異なる連続工程も用いることができる。
工程1:シリコン表面の酸化物の成長を、シリコンを酸化する能力のあるオゾンと水との流体(液体又は気体)混合物を用いて行う。流体は、さらに捕捉剤のような添加物を含んでも良い。
工程2:酸化物を、塩酸等を含有する又は含有しない希フッ酸洗浄剤中で除去する。
工程3(必要に応じて):親水的な表面が望ましい場合、薄い絶縁酸化膜を、希塩酸とオゾンの混合物のようなオゾン化された混合物中で成長させる。
工程4:マラゴンニ型の乾燥又はシリコンウエハーの加熱を伴う乾燥により、シリコンウエハーを乾燥させる。
この連続した工程は、ウエットベンチ、シングルタンク、スプレープロセッサー、シングルウエハークリーニングツールなどのあらゆる反応容器やタンクを用いて行うことができる。
【0017】
本発明は、集積回路用のシリコンウエハーの製造において用いることができる。また、本発明は、平面デイスプレイ、太陽電池の製造のような関連する分野において又はマイクロマシニングの応用において又は半導体基板表面から有機汚染物質を除去する必要のある他の分野においても用いることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の目的は、半導体基板表面から有機汚染物を除去する方法に関する。
上記方法は、シリコン表面からフォトレジスト及びエッチング後の有機残留物を除去するのに用いることができる。上記有機汚染物は、上記半導体基板の少なくとも一部を覆う拘束された層である。上記拘束された層の厚さは、単分子層以下から1μmの範囲である。上記方法は、気相又は液相プロセスに適用できる。
以下の説明において、気相プロセスを対象とする本発明の第1の好ましい実施形態と、液相プロセスを対象とする本発明の第2の好ましい実施形態が開示される。
【0019】
<気相プロセスを対象とする第1の好ましい実施形態>
気相プロセスにおいて、半導体基板は、水蒸気、オゾン及び捕捉剤として働く添加物を含む気体混合物と接触するように、タンクの中に置かれる。捕捉剤は、他の成分による好ましくない影響を除くために、混合物に添加される物質である。捕捉剤は、OHラジカル捕捉剤として主に働く。添加物は、カルボン酸又はリン酸又はその塩である。さらに好ましくは、添加物は、酢酸である。
【0020】
気体混合物中における添加物の割合は、好ましくは気体混合物の10モル重量%以下である。気体混合物中における添加物の割合は、より好ましくは気体混合物の1モル重量%以下である。さらにより好ましくは、気体混合物中における添加物の割合は、気体混合物の0.5モル重量%以下である。さらにより好ましくは、気体混合物中における添加物の割合は、気体混合物の0.1モル重量%以下である。
【0021】
気体混合物は、酸素、窒素、アルゴン又は他のあらゆる不活性気体を含んでもよい。気体混合物のオゾン濃度は、主に10〜15モル重量%以下である。水蒸気は、主に混合物の使用温度で飽和している。混合物の使用温度は150℃以下であり、半導体基板の温度より高いことが好ましい。
【0022】
また半導体基板を溶液で濯ぐ工程を含んでも良い。濯ぎに用いる溶液は、脱イオン水からなることが好ましい。濯ぎに用いる溶液は、さらに塩酸及び/又はフッ酸、及び/又は硝酸、及び/又は二酸化炭素、及び/又はオゾンからなっても良い。また、濯ぎに用いる溶液をメガソン超音波撹拌しても良い。
【0023】
好ましくは、本実施形態においては、タンクに少なくとも水と上記添加物からなる液体を満たす工程を含み、タンクの液面を半導体基板より下にして、液体を加熱する。それから、タンクは、添加物を含む飽和水蒸気で満たされる。タンクは、さらにオゾンで満たされる。好ましくは、オゾンは液体を通してバブリングされる。液体は、好ましくは16℃から99℃の範囲で、より好ましくは、20℃と90℃の間で加熱される。さらにより好ましくは、60℃から80℃の間で加熱される。
【0024】
湿潤オゾン気相プロセスと表示された装置構成においては、完全にオゾン拡散器を浸漬するに十分な少量の液体のみを満たした石英容器を用いることが好ましい。液体は、酢酸のような添加物を添加した脱イオン水である。液体は石英容器の上に置かれる。液体は80℃に加熱される。ウエハーは、直接液体界面の上に浸漬しないように置かれる。オゾン拡散器は、溶融シリカから組み立てられ、オゾン発生器(ソルビウス)は、オゾン量が最大になるように酸素を流しながら操作される。望ましくは、酸素流量は3l/minが用いられる。実験の間ずっと、オゾンは液体の中に直接バブリングされる(気泡は減らさない)。密閉容器で液体を加熱し、液体を通して連続的にオゾンをバブリングさせることにより、ウエハーを湿潤な周囲に存在するオゾンに曝す。気相の実験においては、作業温度は80℃、脱イオン水は酢酸で酸性にする(1/100体積比)。ウエハーは、十分に長い時間処理され、湿潤気相処理の後に濯ぐ工程を行う。実験においては、ウエハーは10分処理され、続いて脱イオン水で10分濯ぎを受ける。
【0025】
また、酢酸が添加された蒸留水(pH1以下、好ましくは16M酢酸を100倍に薄める)又は硝酸を添加した蒸留水(pH1.5以下、好ましくは16M硝酸を100倍に薄める)を含む静置した石英容器に全部が浸漬したオゾン拡散器からオゾンをバブリングさせても良い。液体は石英容器の上に置かれる。ウエハーは、その液体の上に置かれ、周囲の湿ったオゾンに50℃又は80℃で10分間曝される。
【0026】
さらに、連続する80℃、10分間の湿潤オゾン気相工程と、5%硫酸を含む過酸化水素溶液を用いる90℃、10分間の酸洗浄工程との組み合わせを含む10分間の洗浄処理を行っても良い。
【0027】
<液相プロセスを対象とする第2の好ましい実施形態>
液相プロセスにおいて、半導体基板は、水、オゾン及び捕捉剤として働く添加剤との混合物からなる液体と接触するように、タンクの中に置かれる。捕捉剤は、他の成分による好ましくない影響を除去するために混合物に添加される物質である。捕捉剤は、主にOHラジカルの捕捉剤として働く。
【0028】
添加剤は、カルボン酸又はリン酸又はそれらの塩であり、好ましくは酢酸である。液体における添加物の割合は、液体の1モル重量%以下である。好ましくは、液体における添加物の割合は、液体の0.5モル重量%以下である。さらに好ましくは、液体における添加物の割合は、液体の0.1モル重量%以下である。液体は、さらにメガソン超音波撹拌される。
【0029】
好ましくは、さらに液体をその沸点以下の温度に維持する工程を含む。液体の温度は、100℃以下であることが好ましい。さらに好ましくは、16℃から99℃の間である。さらに好ましくは、20℃と90℃の間である。さらに好ましくは、60℃と80℃の間である。
【0030】
オゾンの気泡が半導体基板に接触するように、オゾンが液体を通してバブリングされるのが好ましい。
【0031】
さらに好ましくは、さらに、半導体基板を溶液で濯ぐ工程を含む。濯ぎに用いる溶液は、脱イオン水からなることが好ましい。濯ぎに用いる溶液は、さらに塩酸及び/又はフッ酸、及び/又は硝酸、及び/又は二酸化炭素、及び/又はオゾンを含むことがより好ましい。濯ぎに用いる溶液は、メガソン超音波撹拌される。
【0032】
本実施形態において、好ましくは、以下の装置構成が用いられる。気泡試験と表示されるオゾン装置構成(浸漬型)は、7lの液体が入る石英容器とタンクの底に位置するオゾン拡散器とからなる。液体は加熱される。作業温度は、45℃である。オゾン拡散器は、溶融シリカから加工され、オゾン発生器(ソルビウス)は気体フローにおいてオゾン量を最大にするように、酸素流量が調整される。最も好ましくは、3l/minの酸素流量が用いられる。実験の間ずっと、オゾンは直接石英タンクの中に(減少することなく)バブリングされる。半導体基板はオゾン拡散器の上に直接置かれ、液体の中に浸漬される。
【0033】
酸素/オゾンの気泡が表面に接触する。半導体基板は、気泡装置において、酢酸濃度を変えてオゾン処理を受ける。半導体基板は、7lの脱イオン水に加え、酢酸濃度を0から11、5mol/l(0、0.1ml(0.46mmol/l)、1.0ml(2.3mol/l)、及び5.0ml(11.5mmol/l))の範囲で変えた液体により、オゾン洗浄を受ける。
【0034】
さらに好ましくは、捕捉剤と気体状の化学的に活性な物質を含む水と半導体ウエハーの表面とを互いに接触させるために、従来の反応容器を用いることができる。そのような反応容器の例としては、F.S.I、SEMITOOLそしてSTEAG等の会社により販売されているものを用いることができる。そのような反応容器を用いる場合、1個又は複数個の半導体ウエハーが所定位置に挿入される。そして、水と微細に分離された水及び/又は気体状の化学的に活性な物質の供給そしてそれらがウエハー表面に均一に作用することを制御することができる。工程において生成した水は、集められた後、除かれる。処理後、ウエハーは容易に取り出すことができ、必要に応じて次に処理するウエハーが挿入される。
【0035】
ウエハーを所定の位置において、例えば回転等により揺動させる手段を設けることもできる。従来のウエットベンチ、又はスプレーエッチング又はスプレー洗浄容器、さらにスプレープロセッサー等に類似又は基づいて作製された反応容器を用いることができる。いろいろな溶液を導入するための手段の代わりに、いろいろな気体と水を供給するための手段が好適に用いられる。気体と液体を導入する手段を備えた混合システムを用いることも基本的に可能である。均一でアエロゾルのような霧を容器内部に噴霧できるノズル装置を用い、反応容器の中に水を噴霧することも可能である。霧は微細に分散した液滴からなる。オゾンを含む気体雰囲気で反応容器が満たされ、その反応容器の中で回転している半導体基板の上の好ましくない物質に処理液を噴霧することも可能である。
【0036】
本実施形態に用いる処理液としては、例えば、液状化学物質、捕捉剤を含む超純水、そしてオゾン含有気体と超純水との混合相液体が挙げられる。
【0037】
半導体基板処理のための装置としては、複数の半導体基板を固定する半導体基板ホルダーを内部に備えた密閉処理容器が挙げられる。半導体基板ホルダーは、回転シャフト又は回転シャフトと繋がった回転テーブルを結合した処理容器に結合され、そしてオゾン含有気体又は処理液を供給するノズル又はオゾン含有気体と処理液とからなる混合相流体を供給するノズルを備えている。
【0038】
より詳細には、いろいろな液状化学物質、超純水そして捕捉剤、又はオゾン含有気体と超純水そして捕捉剤とを含む混合相流体を、処理容器内の半導体基板上の好ましくない物質の上に噴霧する。ここで、オゾン含有気体又はオゾン含有気体と超純水とからなる混合相流体を処理容器に供給し、オゾン濃度を所定濃度ないし高濃度に保つ様に調整している。そして噴霧する時、好ましくない物質が表面に存在している半導体基板を回転させることにより、遠心力で半導体基板上の処理液の薄い膜が常に更新され、好ましくない物質の除去が促進される。高速で半導体基板を回転させると、効果が大きくなる。なぜなら、半導体基板上の超純水の膜の厚さは非常に薄いため、その超純水の膜は連続的に除去されるからである。液体を加熱することも大きな効果がある。
【0039】
【実施例】
本発明は、本発明の2つの好ましい形態に開示された方法を以下に述べる応用にも用いることができる。
<応用1:VIA洗浄>
本発明の方法は、プラズマエッチング工程後、特にサブミクロン工程のウエハー洗浄技術に用いることができる。シリコン及びその化合物のドライエッチングは、フッ素との反応に基づくものであり、結果としてフルオロカーボンポリマーによる汚染をもたらす。フルオロカーボン残留物は、半導体(シリコン)半導体基板がドライな酸化物エッチングを受けることにより生成する。従来のフルオロカーボン気体を用いる酸化物エッチングにおいては、垂直な側壁プロファイルを作るため及びフォトレジストマスクと下層膜に対するエッチング選択性を上げるために、意図的にポリマーを生成させる。SiO2−Si系におけるエッチング選択性は、フルオロカーボンを基剤とするポリマーの生成を通して特定の条件の下で、達成される。
【0040】
重合反応は、Si上で起こることが好ましい。そうすることにより、保護層が形成されるとともに、SiとSiO2の間のエッチング選択性が達成される。選択エッチング後、レジストとポリマー状の残留物は表面から除去されなくてはならない。もし、次に金属積層の前にポリマーが完全に除去されないと、ポリマーはスパッタされた金属原子と混ざり合い、高抵抗の物質が生成し、信頼性に影響を与える問題を引き起こす。ポリマー除去の方法は、プラズマエッチングの化学的方法、プラズマ源及び積層膜の組成による。しかし、乾式プロセスにおいては、フルオロカーボンポリマーの除去には、酸素または水素を含む気体が用いられる。湿式洗浄方法においては、米国特許第5279771号公報と米国特許第5308745号公報に記載のアミンを基剤とする溶剤がよく使われる。これらのプロセスは、大体において、高価であり、かつ廃棄物処理に関し環境に有害である。
【0041】
図1と図2は、p型ウエハー上に調製された異なるVIA試験構造を示す。第1の構造は、500nmの酸化物層、30/80nmのTi/TiN層、700nmのAlSiCu層、20/60nmのTi/TiN、250nmの酸化物、400nmのSOG、500nmの酸化物(シリコン半導体基板から始めて)からなる。第2の構造は、以下の、500nmの酸化物、30/80nmのTi/TiN、700nmのAlSiCu、20/60nmのTi/TiN及び500nmの酸化物(またシリコン半導体基板から始めて)の層からなる。続いて、これらの構造は、I線レジストでコーティングされ、直径0.4から0.8μmのコンタクトホールを備えたマスクセットを介して露光される。VIA構造は、CF4/CHF3プラズマ中にエッチングされる。ウエハーの最初の工程として、VIA構造は500nm酸化物/400nmSOG/250nm酸化物を通してエッチングされ、TiTiN/Al層の上で止まる。第2の工程として、VIA構造は500nm酸化物層を通し、TiTiN/Al層の中までエッチングされる。ウエハーは、直接オゾン洗浄される(レジスト層とウエハー上の側壁のポリマーを残して)。
【0042】
この応用に用いられる装置構成は、図3に示される。湿潤オゾン気相工程と表示される装置は、オゾン拡散器を浸漬するに十分な量の液体のみで満たされた石英容器を用いる。液体は、たとえば酢酸のような添加物を添加された脱イオン水である。液体は石英容器の上に置かれる。液体は80℃に加熱される。ウエハーは、浸漬しないように、直接液体界面の上に置かれる。オゾン拡散器は、溶融シリカから加工され、ソルビウス発生器は、酸素流量3l/minで操作される。実験の間ずっと、オゾンは石英タンクの中に直接バブリングされる(気泡が減少しないように)。密閉容器の中の液体を加熱し、さらに連続してオゾンをバブリングすることにより、周囲の湿潤なオゾンにウエハーを曝す。気相での実験において、作業温度は80℃で、脱イオン水は酢酸で酸性にされる(1/100体積比)。すべてにおいて、ウエハーは10分処理され、続いて脱イオン水中で10分濯がれる。
【0043】
洗浄効率は、SEM観察(0.6μmのVIA構造の上の)に基づいて評価される。比較のため、ウエハーは、45分間酸素プラズマ処理され、乾式除去される(ウエハー上の側壁のポリマーを除く)。
【0044】
図4は、洗浄処理前(すなわち、レジストも側壁のポリマーも残っている状態)のVIA構造(図1)のSEM写真を示す。図5は、図1のVIA構造を45分間酸素でドライストリップ(dry strip)した時のSEM写真を示す。図1と図2の構造を10分間酢酸を添加し最適化された湿潤なオゾン気相プロセスに曝した後のSEM写真をそれぞれ図6と図7に示す。
【0045】
45分間の酸素によるドライストリップ処理後、側壁のポリマーがまだはっきりと見えることがわかる。しかし、気相処理に関しては、すばらしい洗浄効率が認められた(図6及び7)。気相処理においては、エッチング後の側壁のポリマーだけでなく、レジストコーティングも、表面には認められなかった。
酢酸添加による湿潤オゾン気相処理は、VIAエッチング構造からレジスト層及び側壁のポリマー残留物を除くのに有効であることが示された。これは、有機汚染物に対するオゾンによる除去効率が、物理的及び化学的に促進されたためである。
【0046】
<応用2:レジスト除去>
上述の様に、酢酸のような薬品添加物は、オゾン処理の化学的作用により有機汚染物の除去効率に影響を与える。この目的のために、レジスト層でコートされたウエハーは、いろいろなオゾン処理された脱イオン水混合物に曝される。レジスト除去効率が評価される。ウエハーはポジ(JSR電子製IX500el)及びネガ(Shipley製UVNF)レジストでコートされる。レジストで覆われたウエハーは、使用前にレジストを硬くするため、DUVによる焼き付け処理を行う。ポジレジストを備え、イオン注入されたウエハー(5e13at/cm2 P)が処理される。レジストの厚さは処理前後にエリプソメトリーによりモニターされる。
【0047】
気泡試験と表示され、別の特殊な応用に用いられるオゾンの比較用装置構成(浸漬型)は、図8に示され、7lの液体を入れる石英容器とタンクの底に位置するオゾン拡散器とからなる。液体は加熱される。作業温度は、45℃である。オゾン拡散器は溶融シリカから加工され、ソルビウス発生器は酸素流量3l/minで操作される。処理の間ずっと、オゾンは石英タンクの中(気泡が減少しないように)に、直接バブリングされる。ウエハーはオゾン拡散器の上に直接置かれ、液体の中に浸漬される。そのようにして、酸素/オゾンの気泡が表面と接触する。ウエハーは、図7に示される気泡セットアップにおいて、酢酸濃度を変化させながら、オゾン処理を受ける。イオン注入されていないウエハーは、脱イオン水7lに次の量の酢酸を加えた液、0、0.1ml(0.46mmol/l)、1.0ml(2.3mmol/l)及び5.0ml(11.5mmol/l)を用いてオゾン洗浄される。イオン注入されたウエハーは、0又は11.5mmol/lのいずれかの液を用いて、オゾン洗浄される。
【0048】
イオン注入されたレジストの場合、決められた量の酢酸を添加することにより、除去効率が約50%(60nm/min対90nm/min)増加する。イオン注入されたレジストの結果は、図9に示す。処理の効率数は次のように定義される。すなわち、オゾン濃度に対して規格化されたレジスト除去効率であり、単位処理時間当たりの除去速度で表わされる。上記のように定義された処理効率数は、ネガレジストでは0.8から1.2nm/(min*ppm)、ポジレジストでは4.5から8.5nm/(min*ppm)までである。ポジ及びネガレジストの除去の強度の違いの順序にも拘わらず、全体の傾向は同じである。処理効率数に対する明確な効果は、酢酸を添加した時に現われる。
【0049】
<応用3:レジスト除去>
上記に基づき、実験計画法を適用した。検討した効果は、オゾン処理した物質による、薬品添加物を用いた時のレジスト除去効率である。焼き付けたポジ及びネガレジストを試験に用いた。気泡試験と表示され、図8に示されたオゾンの比較用装置構成(浸漬型)を用いた。評価における個々の変数の影響をより明確にするため、ウエハーは直接オゾンの気泡に接触させなかった。この低いオゾンの利用性(気泡又は気体が接触しない)は、応用2と比べて低い除去速度と低い処理効率に反映される。考慮した変数は、温度や溶液のpHだけでなく、酢酸、過酸化水素及びオゾン(酸素流量を変えることにより)濃度である。pHの影響(硝酸を加えることにより、2から5まで変化させた)は、酢酸の効果がpHによるものであるかどうかを調べるために、検討に加えた。過酸化水素は、OHラジカルを発生させることが知られており、添加した。添加量は、0、0.1、又は0.2ml(英国アッシュランド製、30%)である。酢酸(ベーカー製試薬用、99%)の添加量は、脱イオン水7lに0、0.5又は1mlである。温度は、21から40℃の範囲で変え、オゾン濃度は発生器を通す酸素流量でコントロールした。低い流量は、3l/min、高い流量は5l/minである。ポジ及びネガレジストのいずれの除去においても、結果は、単位時間当たりのレジスト除去速度で表わされる。設定された実験条件と結果を表1に示す。RS/ディスカバー(Discover)が、実験結果の解析のために用いられる。これは、最小自乗法と二次モデルに基づき、段階的多重回帰法を用いて行われる。このモデルは、実験結果を90%の偏差で説明できる。
【0050】
【表1】
Figure 0004477704
【0051】
ポジレジストの結果のみを、図10と図11に示すが、ネガレジスト除去の統計量も同様である。すべての応答に対する主たる効果は図10に示す。レジスト除去に対する最大の明確な効果は、酢酸濃度の変化(0から715μl添加する)によるものであり、pHにはほとんど関係しないことに注意する必要がある。また、レジストの除去速度は、過酸化水素の添加(0から200μl)により減少する。このグラフから温度はあまり重要でないと結論できる。しかし、オゾン濃度は、温度に強く依存し(溶解度と安定性は、温度に反比例する)、片寄った結果を与える。そこで、処理効率数が定義される。すなわち、オゾン濃度に対して規格化されたレジスト除去効率であり、単位オゾン及び単位時間当たりの除去速度で表わされる(すなわち、nm/(min*ppm))。以上のように得られた処理効率数は、ポジレジストで0.2と4nm(min*ppm)の間、ネガレジストで0.03から0.4nm/(min*ppm)の間で変化する。ポジレジストの除去における処理効率数に対するいくつかのパラメータの影響の結果を図11に示す。ポジとネガレジスト除去の間の強度の差の順序にも拘わらず、全体の傾向は同じである。酢酸の添加、オゾン濃度及び温度の上昇が、処理効率数に明らかな効果を与える。
【0052】
<応用4:レジスト除去>
本発明の方法のさらなる検討において、他の試験について以下に述べる。
オゾン処理した物質に対する大きな要求は、有機汚染物(クリーンルームの空気成分、フォトレジスト又は側壁のポリマー)を速くかつ完全に除去することである。除去効率に大きな影響を与えるパラメータを確認されなくてはならない。酢酸添加は、結果に影響を与えるが、またオゾン濃度や温度などの他のパラメータも重要であることが、明らかにされた。そこで、ポジレジストの除去効率に対するオゾン濃度及び作業温度の影響が、実験的に評価された。5nmの厚さのフォトレジストでコーティングしたウエハーを準備し、脱イオン水を含む静的な浴に浸漬した(図8における装置構成、しかし浸漬の間はバブリングを中止する)。オゾン濃度は、0から12ppm、温度は20、45そして70℃の間で変化させた。故意に、静的状態で(すなわち、オゾンを脱イオン水に飽和させた後、気体を流すのを止める)、1分洗浄し、パラメータの影響を調べる。主な結果を図12に示す。洗浄効率をオゾン濃度に対して、3つの異なる温度範囲において、プロットした。短い処理時間と静的条件(オゾンの利用が限定される)のため、除去は50%程度である。オゾン濃度当たりの除去効率は、温度を高くすると向上するが、検討した時間内における全除去量は、オゾン濃度を高くすると向上することがわかる。しかし、オゾンの溶解度は、温度とともに減少するが、処理効果は温度とともに向上する。
【0053】
溶液におけるオゾン濃度、酸化力及び洗浄効果は、物理的状態に応じて最大にすることができる。米国特許第5464480号公報に開示された1つのプロセスは、オゾンの溶解度を増加させるため、温度を下げて(冷蔵して)、水を処理している。この方法の不利な点は、反応性が低下し、反応速度が遅いため、処理時間が長くなる点である。オゾン濃度を高くする他の可能性としては、より効率の良い、オゾン発生器及び/又はオゾンを脱イオン水に移行させるオゾン拡散器を使うことである。しかし、上記の結果から、すべての効率化されたプロセスは、作業温度において、オゾン濃度を最大にすることを目指すべきである。この仮説を、図2及び図8の装置において、実際に示す。ここでは、気泡接触(下方の周囲、高い温度で)を備えた従来の浸漬と湿潤な気相プロセス(高い温度で)とが示されている。両方の装置構成については、上述されている。ポジレジストのウエハー(1.2nm)が10分間、いろいろな温度で(気泡)、又は80℃(気相)で処理に曝される。結果を図13に示す。気泡実験の溶解オゾン濃度(棒グラフ)と洗浄効率(線グラフとクロス)を示す。気泡実験の挙動に関しては、低温域では速度要因に規制され、また高温域ではオゾンの溶解度により規制されていることが理解できる。後者による規制を、周囲に湿潤なオゾンを存在させる実験により、緩和させることができる。ウエハーを湿潤な雰囲気に曝すことにより、ウエハー上に薄い縮合層が形成される。周囲のオゾン気体は、連続して大量のオゾンを供給する(気体中では重量%、溶液中ではppm)。
また、薄い縮合層は拡散律速を減少させ、寿命の短い反応性の高いオゾン成分がウエハー表面に到達し易くし、100%近い除去率をもたらす。重要なことは、湿潤でない気相プロセスでは、うまくいかないということである。
【0054】
〈応用5:一連の洗浄における第1の工程〉
本発明の他の応用は、オゾンと蒸留水とからなる混合物のシリコンに対する酸化力を用いたものである。従来、シリコンウエハーの洗浄は以下の連続した工程で行われていた。
工程1:シリコン表面に酸化物を成長させる。
工程2:酸化物を除去する。
工程3(必要に応じて):親水的な表面が望ましい場合に、薄い絶縁酸化物層を成長させる。
工程4:シリコンウエハーを乾燥させる。
このような連続した工程に関する詳細は、「New Wet CleaningStrategies for obtaining highly Reliable Thin Oxides],M.Heyns et al,Mat.Res.Soc.Symp.Proc.Vol.315,p.35(1993)に説明されている。他の刊行物にも、上記のような連続した工程によれば、高い除去効率が得られ、かつ金属の混入が低レベルであることが示されている。
【0055】
以下に示す上記と異なる連続した工程を行うことができる。
工程1:オゾンと水との混合物流体(液体又は気体)のシリコン酸化力を用いて、シリコン表面に酸化物を成長させる。流体は、さらに捕捉剤のような添加物を含む。
工程2:単独又は塩酸等の添加物を含む希釈されたフッ酸洗浄剤中で酸化物を除去する。
工程3(必要に応じて):親水的な表面が望ましい場合、希塩酸/オゾン混合物又はオゾンと水の混合物のようなオゾン化された混合物中で、薄い絶縁酸化物層を成長させる。
工程4:マラゴンニ型の乾燥又はシリコンウエハーの加熱を伴う乾燥工程によりシリコンウエハーを乾燥させる。
この連続した工程は、ウエットベンチ、シングルタンク、スプレープロセッサー又はシングル‐ウエハークリーニングツール等の反応容器又はタンクにおいて行うことができる。
【0056】
〈オゾンの化学的性質に関する考察〉
水溶液にオゾンを含む本発明を用いて得られた結果に関する、別の考えられる機構について説明する。水溶液におけるオゾンの分解は、塩基により触媒され、ラジカル(A)又はイオン的(B)な開始機構に従う。
(A) O3+OH*-----→O2 -+*HO2 (1)
*HO2-----→H++*O2 - (2)
(B) O3+OH---→HO2 -+O2 (3)
22-----→HO2 -+O2 (4)
3+HO2 -------→*OH+*O2 -+O2 (5)
【0057】
さらに、オゾンの分解は、開始反応のタイプには関係なく、反応(6)と(7)を伴う。開始機構がイオン的であるかラジカル的であるかに拘わらず、少なくとも、単位水酸化物イオン当たり3個のオゾン分子が分解することが理解される。
3+*O2--------→*O3 -+O2 (6)
*O3 -+H2O-----→*OH+OH+O2 (7)
【0058】
上記のオゾン分解経路に加え、OHラジカル(反応(5)と(7)で形成される)が、反応経路(8)によりさらにオゾンを分解させる。また、反応生成物が反応(2)、(6)及び(7)と結び付くことにより、連鎖反応が開始される。
*OH+O3----→*HO2+O2 (8)
【0059】
これらの分解機構は、中性又は塩基性の水性環境でのオゾンの消耗の説明に良いモデルである。しかし、酸性の場合、認められるオゾンの分解速度は、反応(1-4)において、水酸化物濃度から予想されるものより速くなる。したがって、別の分解機構が必要である。この開始機構は、既に述べた反応(2)、(6)及び(7)と組み合わせて、反応式(9-11)に示される。
3----→O+O2 (9)
O+H2O----→2*OH (10)
【0060】
反応(1-10)は、水性環境におけるオゾンの消耗を表わしている。しかし、酸化される化合物が存在すると、状況は複雑になるため、全体の概要を第14図に示す。オゾンの水溶液への移動は、溶解度により規制されるため、パージを行う時にオゾンの損失が生じる。1次反応は、酸化される溶質Mにより、オゾンが消費される。
【0061】
これらの反応において、水の過酸化水素への酸化も起きる(結果として、H22 ←--→HO2 -+H+の平衡が生じる)。この1次反応は、通常遅いため、オゾンは別の反応経路により分解し易い。たとえば、開始剤I(OH,HO2 -,---)とオゾンの反応により、1次ラジカル(*OH)が生成し、それは除去されるか、又はさらにオゾンと反応し、さらに多くのラジカルを生成するか又は溶質Mのさらなる酸化に関与する。反応(1-10)と第14図を検討すると、オゾンの化学的性質は化学的に制御可能である(すなわち、添加物の選択的な添加により)。
【0062】
上記の点から得られたオゾンに対する添加物の影響は、オーバーフロー浴における酸素/オゾンの気泡を減らすため、オゾン/水混合物がゴア(Gore)オゾンモジュール(膜を基材にしたミキサー)で調製されるオーバーフローの浴で示される。オーバーフロー浴の水の流量(20l/min)、オゾン発生器を通す酸素の流量(2l/min)及びオゾンモジュールにおける圧力(1バール)が、浴における可能なオゾンレベルを決定する。これらの変数は、ここに記載された実験においては、所定の値で一定の保たれる。脱イオン水中のオゾンレベルは、薬品を添加する前、飽和の状態に常に保たれる。用いられるすべての薬品は、ベーカー製の試薬用酢酸(99%)を除いて、英国アッシュランド製である。反応速度の影響を減らすため、すべての実験は室温で行った。オービスフィア-ラボMOCA製電気化学式オゾンセンサーをオゾンの測定に用いた。
【0063】
第15図に示すように、オーバーフローさせたタンクの中の脱イオン水中のオゾン濃度に対する酢酸の挙動は、オゾンを飽和レベルにした後、酢酸(99%)10mlを脱イオン水に添加,することにより、検討されている。非常に速やかにオゾンレベルは、増加し始める。
【0064】
〈オゾン処理された物質のレジスト除去効率に対する酢酸の影響〉
間接的な酸化プロセスは、オゾン分解における連鎖を生長させるOHラジカルの存在に依存する(K.Sehested,H.Corfitzen,J.Holcman,J.Phys.Chem.,1992,96,1005−9)。G.AlderとR.Hill(J.Am.Chem.Soc.1950,72,1984)によれば、OHラジカルが有機物の分解に主な原因である。排水処理プロセスに通常用いられる方法には、紫外線照射、pH又は過酸化水素の添加がある。そのようにして、OHラジカルを生成させている。
【0065】
3つの異なる実験を行った。すなわち、まず、過酸化水素、次に酢酸に過酸化水素を添加する、最後に酢酸のみを添加する実験である。
【0066】
オゾン処理した脱イオン水に過酸化水素を添加した場合の、シリコンウエハーからのポジレジストの除去効率への影響を表2に示した。添加される過酸化水素の濃度は、脱イオン水中の実際のオゾン濃度のオーダーである。50μl(英国アッシュランド製、30%)のH22を7.5lタンクに添加した時は(0.08mmol/l)、大きな影響が認められた。測定されたレジスト除去速度は、4分の1近くに減少した。さらにH22を添加すると、レジスト除去効率はより低下し、ついには実質的に処理ができなくなる(2nm/minの除去速度)。これは、OHラジカルの量を増やすと、有機汚染物の除去速度が向上するという排水処理の場合とは、逆の結果である。排水処理において除去すべき有機物は、溶液の中に分散している。一方、我々の目的のためには、有機汚染物は、少なくとも半導体基板の1部を覆うような層の中に拘束されている必要がある。我々の目的にとっては、溶液の中の利用可能なオゾン及びオゾンによりもたらされる化合物の全体の量が問題なのではなく、むしろウエハー表面の近傍の有機物が拘束された層付近で発現する化学的活性が重要である。
【0067】
【表2】
Figure 0004477704
【0068】
したがって、この応用においては、OHラジカルにより触媒されるオゾンの分解機構は、形成されるOHラジカルの除去によりコントロールされる。捕捉剤は、他の成分による望ましくない影響を除くため、混合物又は他の系に添加される物質である。酢酸又は酢酸塩が、水性オゾン溶液の安定化剤である。第16図に、オゾン濃度に対する、酢酸及び過酸化水素の繰り返し添加(OHラジカルの生成促進)の協同効果を示す。時間t=0における添加(0.17mmol/l)にも拘わらず、脱イオン水が0.23mmol/lの酢酸のみで安定化されている場合、オゾン濃度はわずかに増加する。H22を数回添加した(それぞれ0.17mmol/l)後でも、オゾンレベルは最初のスタート時のレベルより低下しない。このことから、酢酸が、OHラジカルで開始されるオゾンの連鎖分解を止めるのに、大きな効果を持つことがわかる。
【0069】
少量の酢酸が添加された時の、オゾン処理した脱イオン水で10分間レジスト除去した時の実験結果を表3に示す、レジスト除去は処理時間10分として再計算され、除去速度(nm/min)で示されている。実験装置の問題で、測定されたオゾン濃度が全く定性的(オゾンセンサーと酸素/オゾン流の距離に再現性がない)であるということに注意する必要がある。0.02mmol/lから0.24mmol/lの酢酸をオゾン処理した脱イオン水に添加すると、添加しない比較プロセスと比べ50%程度レジスト除去効率が向上する。酢酸及び過酸化水素添加の協同効果をレジスト除去プロセスのために評価するとともに、表4に示す。これらの試験において、オゾン飽和後、脱イオン水は、まず、0.02mmol/lの酢酸を添加され、濃度の異なる過酸化水素が添加され、レジスト除去効率に対する効果が評価される。酢酸が存在している時、過酸化水素を添加すると、表2の効果と比べると弱いものではあるが、レジスト除去速度は低下する。また、酢酸を添加して得られる安定化効果は、溶液を酸性にした時の場合よりも強い(表2、硝酸を用いて)。
【0070】
【表3】
Figure 0004477704
【0071】
【表4】
Figure 0004477704
【0072】
酢酸を添加することにより、脱イオン水中のオゾン濃度を高くすることができる。しかし、レジスト除去効率の向上は、酢酸添加によるオゾン濃度の増加のみによっては説明できない。図9に、レジスト除去処理効率数に対する酢酸添加の影響を示すが、それはオゾン濃度に対して規格化されている。処理効率は、酢酸添加とともに、増加していることがわかる。したがって、未知の機構が関与していると考えられる。
【0073】
【発明の効果】
有機物は、廃水処理の場合のように均一に溶液の中に分散しているのではなく、シリコン表面の層の中に閉じ込められている。溶解しているオゾン(t1/2=20min)と反応性の高いオゾン種の短い寿命を考えると、廃水処理におけるオゾンの知識は、我々の応用には適用することはできない。有機物を確実に除去するためには、ウエハー近傍の有機物の拘束された層の付近で十分な化学的活性(反応性の高いオゾンを利用できること)が必要である。シリコンウエハー上の有機物の除去効率は、温度、オゾン濃度及び酢酸の添加に非常に影響される。温度とオゾン濃度の必要条件は、上記の湿潤なオゾン気体相の実験条件を満たしている。ウエハーを湿潤な雰囲気に曝すことにより、ウエハー表面に薄い縮合層が形成される。周囲のオゾン気体相により、薄い縮合層を通してシリコン表面の有機汚染物に向けて連続してオゾンが供給される。また、気泡実験において、気泡を含むオゾンが有機汚染物の拘束された層に常に接触している。
【0074】
酸化された酢酸溶液でOHラジカルが除去されると、以下に示す反応によりH22が生成する。
*OH+CH3COOH-----→*CH2COOH+H2O (11)
*CH2COOH+O2-----→*OOCH2COOH (12)
2*OOCH2COOH -----→0.7H22+Products (13)
反応(13)で形成される他の生成物には、ホルムアルデヒド、グリオキシル酸、グリコール酸及び有機過酸化物がある。
【0075】
酢酸フリーラジカル(反応(11))とレジスト表面との反応は、レジスト表面をオゾンと反応し易くするかもしれない。この反応は、水素原子の引き抜き反応を含み、不飽和結合を形成させる。この不飽和結合は、分子状オゾンと反応する。2番目に、レジスト表面に非常に近いところでフリーのOHラジカルを除去する。その結果、反応(11-13)により、たとえばH22が生成する。そして今度は、H22がレジスト表面の非常に近くに、コントロールされ局在化した”より強力な酸化力”(OHラジカル)を生成させる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 深いVIAエッチ構造を示す概略図である。
【図2】 過度にAlエッチングされたVIA構造を示す概略図である。
【図3】 気相プロセスにおいて用いられる装置構成を示す図である。
【図4】 洗浄処理前のVIA構造を示すSEM写真である。
【図5】 45分間O2ドライストリップ後のVIA構造を示すSEM写真である。
【図6】 本発明の好ましい実施形態の方法に10分間曝した図1の深いVIA構造を示すSEM写真である。
【図7】 本発明の好ましい実施形態の方法に10分間曝した図2の過度にAlエッチングされたVIA構造のSEM写真である。
【図8】 液相プロセスにおいて用いられる装置構成を示す図である。
【図9】 酢酸濃度とポジ及びネガレジストの除去におけるレジスト除去工程の効率数の関係を示すグラフである。
【図10】 主たるパラメータのポジレジスト除去速度に対する影響を示すグラフである。
【図11】 主たるパラメータのポジレジスト除去工程の効率数への影響を示すグラフである。
【図12】 静的システムにおける温度とオゾン濃度とレジスト除去効率との関係を示すグラフである。
【図13】 気泡又は湿潤気相工程における温度とオゾン濃度とレジスト除去効率との関係を示すグラフである。
【図14】 水性オゾンにおける可能な反応式を示す。
【図15】 オーバーフロータンクにおけるOHラジカル捕捉のオゾン濃度に対する影響を示すグラフである。
【図16】 酢酸添加した脱イオン水に、繰り返し過酸化水素を添加した時の影響を示すグラフである。

Claims (46)

  1. 半導体基板をタンクの中に保持する工程と、上記タンクを水蒸気、オゾン及びOHラジカル捕捉剤として働く添加物からなる気体混合物で満たす工程とを含み、上記気体混合物における上記添加物の比率が10モル重量%以下である、半導体基板表面からの有機汚染物の除去方法。
  2. さらに、上記混合物に酸素、窒素及びアルゴンからなる群から選ばれた気体を添加する工程を含む請求項1記載の除去方法。
  3. 上記有機汚染物が、上記半導体基板の少なくとも一部を覆う、拘束された層からなる請求項1記載の除去方法。
  4. 上記拘束された層が、単分子層以下から1μmの範囲の厚さを有する請求項3記載の除去方法。
  5. 上記気体混合物が上記半導体基板と接触する請求項1記載の除去方法。
  6. 上記添加物が、カルボン酸、リン酸及びそれらの塩からなる群から選ばれる請求項1記載の除去方法。
  7. 上記添加物が酢酸である請求項記載の除去方法。
  8. 上記気体混合物における上記添加物の比率が1モル重量%以下である請求項記載の除去方法。
  9. 上記気体混合物における上記添加物の比率が0.5モル重量%以下である請求項記載の除去方法。
  10. 上記気体混合物における上記添加物の比率が0.1モル重量%以下である請求項記載の除去方法。
  11. さらに、溶液で上記半導体基板を濯ぐ工程を含む請求項1記載の除去方法。
  12. 上記濯ぐ工程に用いる溶液が脱イオン水である請求項11記載の除去方法。
  13. さらに、上記溶液が、塩酸、フッ酸、硝酸、二酸化炭素及びオゾンからなる群から選ばれた少なくとも一つの溶液を含む請求項12記載の除去方法。
  14. 上記溶液をメガソン超音波攪拌する請求項12記載の除去方法。
  15. さらに、上記タンクに水と上記添加物からなる液体を、上記タンクにおける液面が上記半導体基板の下になるように満たす工程と、
    上記液体を加熱する工程とを含む請求項1記載の除去方法。
  16. オゾンで上記タンクを満たす工程を含む請求項15記載の除去方法。
  17. オゾンを上記液体にバブリングする請求項16記載の除去方法。
  18. 上記液体の温度が、16℃から99℃の間である請求項15記載の除去方法。
  19. 上記液体の温度が、20℃から90℃の間である請求項18記載の除去方法。
  20. 上記液体の温度が、60℃から80℃の間である請求項19記載の除去方法。
  21. 水蒸気が飽和水蒸気である請求項1記載の除去方法。
  22. 上記混合物中のオゾン濃度が10モル重量%以下である請求項1記載の除去方法。
  23. 上記混合物の温度が150℃以下で上記半導体基板の温度より高い請求項1記載の除去方法。
  24. 上記半導体基板がシリコンウエハーである請求項1記載の除去方法。
  25. 半導体基板の少なくとも片側に、水、オゾン及びOHラジカル捕捉剤として働く添加物を含む液体を接触させる工程と、上記液体をその沸点以下の温度に保つ工程とからなり、上記液体中の上記添加物の比率が1モル重量%以下である半導体基板表面からの有機汚染物の除去方法。
  26. 上記温度が100℃以下である請求項25記載の除去方法。
  27. 上記液体を、上記半導体基板の少なくとも片側に噴霧する請求項25記載の除去方法。
  28. 上記温度が16℃から99℃の間である請求項25記載の除去方法。
  29. 上記温度が20℃から90℃の間である請求項28記載の除去方法。
  30. 上記温度が60℃から80℃の間である請求項29記載の除去方法。
  31. 上記液体をメガソン超音波攪拌する請求項25記載の除去方法。
  32. 上記液体にオゾンをバブリングする請求項25記載の除去方法。
  33. 上記有機汚染物が、上記半導体基板の少なくとも一部を覆う拘束された層からなる請求項25記載の除去方法。
  34. 上記拘束された層が、単分子層以下から1mmの範囲の厚さを有することを特徴とする請求項33記載の除去方法。
  35. 上記添加物が、カルボン酸、リン酸及びそれらの塩からなる群から選ばれる請求項25記載の除去方法。
  36. 上記添加物が酢酸である請求項35記載の除去方法。
  37. 上記液体中の上記添加物の比率が0.5モル重量%以下である請求項25記載の除去方法。
  38. 上記液体中の上記添加物の比率が0.1モル重量%以下である請求項37記載の除去方法。
  39. オゾンの気泡が上記有機汚染物に接触する請求項25記載の除去方法。
  40. さらに、上記半導体基板を溶液で濯ぐ工程を含む請求項25記載の除去方法。
  41. 上記濯ぐ工程に用いる溶液が脱イオン水である請求項40記載の除去方法。
  42. さらに、上記溶液が、塩酸、フッ酸、硝酸、二酸化炭素及びオゾンからなる群から選ばれた少なくとも一つの溶液を含む請求項41記載の除去方法。
  43. 上記溶液をメガソン超音波攪拌する請求項40記載の除去方法。
  44. 上記半導体基板がシリコンウエハーである請求項25記載の除去方法。
  45. 半導体基板をタンクの中に保持する工程と、上記タンクを水、オゾン及びOHラジカル捕捉剤として働く添加物からなる流体で満たす工程を含む半導体基板表面からの有機汚染物の除去方法であって、上記流体中の上記添加物の割合が1モル重量%以下である半導体基板表面からの有機汚染物の除去方法。
  46. 上記半導体基板の少なくとも片側を上記液体の霧に接触させる請求項25記載の除去方法。
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