JP4477235B2 - C−6でモノスルホニル化されたシクロデキストリン誘導体の調製のための位置選択法 - Google Patents
C−6でモノスルホニル化されたシクロデキストリン誘導体の調製のための位置選択法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、C−6でモノスルホニル化されたシクロデキストリン誘導体の、特にβシクロデキストリン誘導体の、調製のための位置選択法(regioselective method)に関する。
【0002】
シクロデキストリンのモノスルホニル化誘導体は、シクロデキストリンのモノ官能化誘導体を得るための出発材料として特別な適用が見出されるものである。
【0003】
【従来の技術】
シクロデキストリン又はシクロマルトオリゴ糖は、大量に利用可能な農業資源であるデンプンの、バイオテクノロジーの転換により得られる天然産物である。
【0004】
シクロデキストリン又はシクロマルトオリゴ糖は、その空洞部に、サイズがホストの構造のサイズに適合した種々の分子を包含する特性を有する、環状オリゴ糖である。
【0005】
これらの結合が一般的に無極性であることは、疎水型の構造物の優先的包含をもたらし、それにより特にこれらの媒体に不溶性又は溶解度の低い化合物の水中への可溶化を達成することが可能である。
【0006】
シクロデキストリンの誘導体の中で、シクロデキストリンスルホネート、及び特にp−トルエンスルホネートは、重要な誘導体のクラスを形成する。その理由は、それらを、関係する炭素の求核置換反応をおこすために用いることができ、それにより種々の官能基、アジド、アミン、ハライド、チオシアネート、チオールなどを導入するために用いることができ、そのような反応基を介して、アキル、アルキル及びアリール置換基を導入し、あるいはさらに分子内反応(エポキシド、3,6−無水物)を起こすことができるためである。
【0007】
これらの構造変化は、シクロデキストリンの物理化学的特性、特にそれらの溶解度、及びそれらの可溶化及び包含特性を修正するために、広く用いられている。
【0008】
こうして、文献WO−A−95/19994、WO−A−95/21870、EP−A−0403366、PCT/FR97/00447は、酸素−、イオウ−、又はチオウレア−含有結合によって、グルコース、アミノアキル、ペプチジル、グリコペプチジル、又はアルキル置換基のグラフト化を記載している。
【0009】
調べられたすべての場合で、グラフト化シクロデキストリンの溶解度の増加、可溶化特性の改善が、非常に高く、ファクターが100にも達することができる。
【0010】
得られたグラフト化シクロデキストリンの細胞毒性及び特に溶血性は、M. Bostらにより、J. Incl. Phenom. Mol. Recogn., 29 (1997) 57-63において報告されているように、一般的にさらに改善されている。
【0011】
より具体的には、上記シクロデキストリンスルホネートの中で、モノスルホニル化誘導体、及び特に61−モノ−p−トルエンスルホネート型誘導体が、シクロデキストリンのモノ官能化誘導体取得のために選択される。
【0012】
第1級アルコール位置の、シクロデキストリンのモノ官能化誘導体は、応用において特に重要なシクロデキストリン誘導体のクラスを形成する。
【0013】
V. Laineにより、J.Chem.Soc.,Perkin Trans.2,1995 1479-1487頁において、なされた研究は、このタイプの構造が、第1ヒドロキシルの環の全置換を含む同じ誘導体と比較して、一般的にかなり改善された包含特性を有していることを示している。
【0014】
このことは以下の事実によりおこる:
(i)包含の動態が、第1ヒドロキシルの横を通って入ることを含むのであれば、過置換(persubstitution)により作られる立体障害は、包含された構造が入るのを制限する;
(ii)空洞に含まれる構造の安定化は、しばしばシクロデキストリンの第1ヒドロキシルの1つと、含まれる構造の官能基の1つとの間の、水素結合の形成を用いる。
【0015】
したがって、シクロデキストリンのモノスルホニル化誘導体、特に61−モノ−p−トルエンスルホネートは、特に、国際特許出願CNRS PCT/FR97/9700447に記載されている薬理活性成分のための可溶化剤である、モノ−チオウレイドシクロデキストリンを調製するために用いられる、61−アミノ−61−デオキシ−シクロデキストリンを得るための必須の出発材料である。
【0016】
シクロデキストリンのスルホニル化化合物の調製は、多くの刊行物の主題であった。
【0017】
したがって、シクロデキストリンの最初のトシル化物は、Von W.Lautschらにより、Kolloid-Ztg,135(1954)134に、S.Umezawa及びK.TatsutaによりBull.Chem.Soc.,Jpn,41(1968)464に、及びF.CRAMERらにより、Chem.Ber.102(1969)494に記載された。
【0018】
これらすべての研究が、シクロデキストリンの第1級アルコール位置での位置選択的過トシル化(pretosylation)テストに関する。
【0019】
Ashtonらは、J.Org.Chem.,56(1991)7274-7280においてこれらの技術の改善を報告しており、そこでは、過剰量のp−トルエンスルホニルクロリド試薬をピリジン中で用いて、パー−6−0−p−トリスルホニル(tolysulfonyl)−α及びβ−シクロデキストリンを、各々1%と5%の収率で、得ることが可能である。
【0020】
すべての上記文献は、したがって過トシル化に関するものであるが、上述のごとく、モノスルホニル化誘導体が特別の興味をひくものである。
【0021】
したがって、上記化合物の特異的な合成法を利用可能にすることは有利なことである。
【0022】
α−シクロデキストリンのC−6における位置選択的モノ−p−トルエンスルホニル化は、最初に、L.D.Melton及びK.L.SlessorによりCarbohydr.Res.,18(1971)29-37に記載された。これらの著者は、ピリジン中のp−トルエンスルホニルクロリドを試薬として用い、活性炭カラムのクロマトグラフィーにより得られた6−O−p−トルエンスルホニルシクロマルトヘプタオースの混合物を精製している。
【0023】
61−O−p−トリスルホニルシクロマルトヘキサオースは、最終収率46%で得られる。
【0024】
この技術は、引き続き、Y.MatsuiらによってChem.Lett.,(1976)1037-1040において、I.TabushiらによってJ.Am.Chem.Soc.,99(1977)7100-7102において、Y.Matsui及びA.OkimotoによってBull.Chem.Soc.Jpn.,51(1978)3030-3034において、β−シクロデキストリンに延長された。
【0025】
61−O−p−トリスルホニルシクロマルトヘプタオースは、平均収率30%で得られるが、ジ−及びトリートシル化物が混在するため純度は完全ではない。
【0026】
J.Defayeら[(Carbohydr.Res.192(1989),251-258)は、この技術の改善を記載しており、それによればこの誘導体をより高い純度で収率26%で得ることが可能である。
【0027】
この改善は、本質的に、試薬の比率と反応時間の修正からなる。
【0028】
61−O−p−トリスルホニルシクロマルトヘプタオースを得るための別のアプローチは、K.TakahashiらによりTetrahedron Lett.25(1984)3331-3334において、ついでR.C.PetterらによりJ.Am.Chem.Soc.112(1990)3860-3868においてなされた。
【0029】
それは同じ試薬、アセトニトリル中の溶液中のp−トルエンスルホニルクロリドを用い、それを水酸化ナトリウムを含むβ−シクロデキストリンの水溶液へ添加する。
【0030】
周囲温度で2時間後、本質的に61−O−p−トリスルホニルシクロマルトヘプタオースを含む沈澱物を得る。
【0031】
再結晶の後、この化合物を収率11%で、ピリジンを溶媒として用いる方法に比べて明らかに改善された純度で得る(ピリジンでの方法でm.p.160−162℃に対し、m.p.179℃)。
【0032】
Tetrahedron Lett.,25(1984)3331-3334において発表されているK.Takahashiらによる結果は、この低い収率はおそらく、C−2及びC−3で置換されているシクロデキストリン誘導体をもたらすという、試薬の選択性の不足が関係していることを示す。
【0033】
上記の、シクロデキストリン、特にβ−シクロデキストリンのモノスルホニル化のための2つの主な技術を以下の図に示す。
【化1】
【0034】
両文献のこれらの2つの上記方法は、ピリジンを用いる方法について30%を超えず、水酸化ナトリウム存在下での水中で行なう方法では11%という、低い収率をもたらす。
【0035】
しかしながら、得られる61−O−p−トリスルホニルシクロマルトヘプタオースは、第2の方法では著しく純度が高くなっている。
【0036】
さらに水中の方法は、ピリジンを用いる方法よりも、工業的応用のために、経済的に有利である。
【0037】
しかしながら全体的な収率は、両方のケースとも、方法のいずれかを工業的応用に用いることを考えるためには低すぎる。
【0038】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、シクロデキストリンの61−スルホニル化誘導体、特にβ−シクロデキストリンの61−スルホニル化誘導体の、より高い選択性を得ることができ、したがってより高い全体的収率を得ることができる、シクロデキストリン、特にβ−シクロデキストリンのモノスルホニル化誘導体を調製するための選択的方法の必要性が存在する。
【0039】
さらに、最小限の数の簡単な工程で、高純度の最終的な産物をもたらす方法であって、簡単に利用でき低コストの試薬を用いる方法のさらなる必要性が存在する。
【0040】
本発明の目的は、中でも、これらの必要性を満たし、従来技術の方法の不利益、欠点、制限、障害を有さず、従来技術の方法で挙げられた課題の解決をもたらすような、シクロデキストリン、特にβ−シクロデキストリンのモノスルホニル化誘導体(シクロマルトヘプタオース)の調製のための位置選択法を提供するものである。
【0041】
【課題を解決するための手段】
この目的と他の目的は、本発明によれば、C−6でモノスルホニル化されたシクロデキストリン誘導体の調製のための位置選択法により達成され、上記シクロデキストリンは、アルカリ水溶液中で、シクロデキストリンの第2ヒドロキシル基と配位錯体を形成することができる金属塩の存在下、スルホニル化剤との反応の結果生成され、反応の後、上記C−6でモノスルホニル化されたシクロデキストリン誘導体は、反応混合物から回収される。
【0042】
上記シクロデキストリンは、α−、β−、及びγ−シクロデキストリンから選ばれ、β−シクロデキストリンが好ましい。
【0043】
【発明の実施の形態】
従来技術の方法と比較して、特にR.C.PETTERらによって刊行物に記載された水中の方法と比較して、本発明の方法は、驚くべきことに、改善された位置選択性と収率を提供し、β−シクロデキストリンに比べて、最終産物の平均収率は、一般的に45と50%の間であり、60%に達することもできる。
【0044】
良好な結果は、α−及びγ−シクロデキストリンでも得られるが、収率は、一般的には、より低い。
【0045】
さらに得られる産物は、高純度であり、すなわち一般的に最初の結晶化の間で95%を超える。
【0046】
さらに、用いられる溶媒は、水であり、ピリジンなどの有機溶媒の使用に比べて非常に有利である。従来の水中法では収率が非常に低いのに、その方法は、水を溶媒として使用しても非常に驚くほど収率を改善することは、特記すべきである。
【0047】
最後に、本発明の方法は、単純で、1つの必須工程のみを含み、容易に入手でき比較的低価格の日常的な試薬のみを用いるという利益を有しており、これによりその方法は工業的応用のために経済的に非常に有利である。
【0048】
本発明者らは、基本的な分析とNMRスペクトル法の結果を関連させ、分子モデルを用いて、スルホニル化剤、例えばp−トルエンスルホニルクロリドが、シクロデキストリン、例えばβ−シクロデキストリンと、その空洞中に前もっての包含されることにより、反応することを示すことができた。
【0049】
ピリジンで反応を行なうとき、包含のトポロジーは、試薬が第1ヒドロキシルの開口を通って排他的に入ることを含み、最初に包含されたピリジンは、第2ヒドロキシルに比べてエネルギー的にあまり好ましくない、その包含複合体から移る。
【0050】
水中で反応を行なうとき、事象のこの順序は無効であり、試薬は空洞の両側により包含されることができ、これはトシル置換基のC−6での分布を実験的に観察することができるが、C−2とC−3の分布も観察でき、C−6ではスルホニル化収率が低い。
【0051】
本発明の方法の特異的反応条件は、これらの困難を克服し、スルホニル化剤、例えばアリールクロロスルホニル化試薬が、シクロデキストリンの、例えばβ−シクロデキストリンの第1ヒドロキシルの横を通って入ることを促進する。
【0052】
Y.MatsuiらによるBull.Chem.Soc.Jpn.,48(1975)2187-2191における研究は、水性アルカリ媒体中の銅(II)が、シクロデキストリンの第2ヒドロキシルを含む化学量論2:1を有する配位錯体を形成することにより、α−及びβ−シクロデキストリンと相互作用できたことを示した。
【0053】
そのような錯体の形成は、P.Klufersら、及びR.Fuchsらによりなされ、各々Chem.Eur.J.3(1997)601-608とAngew.Chem.Int.Ed.Engl,32(1993)852-854で報告されたX線結晶学研究により固体状態で確認された。
【0054】
これらの著者は、固体状態での、銅(II)とシクロデキストリンの2つの分子の第2ヒドロキシルの表面との“サンドイッチ”タイプの相互作用を解明している。
【0055】
本発明者らは、本発明の方法の条件下での、銅(II)などの金属とシクロデキストリンとの間の安定な錯体の形成が、シクロデキストリンの第2ヒドロキシルの開口をマスクすることにより、第1ヒドロキシルの開口を介して、スルホニル化剤、例えばアリールクロロスルホニル化試薬の包含の選択性を改善でき、したがって所望の誘導体、例えば61−アリールスルホニル化誘導体の最終収率を改善できることを見出した。
【0056】
第1ヒドロキシルにおけるスルホニル化の選択性を改善するそのような錯体の形成の利点を利用することは非常に驚くべきことであり、従来技術では記載も示唆もされておらず、従来技術には位置選択的合成のためにこれらの錯体の使用は全く言及されていない。
【0057】
本発明の方法を、塩化トシルから形成されたスルホニル化剤と、硫酸銅から形成された金属塩に関して、以下の図によって示す。
【0058】
シクロデキストリンの第2ヒドロキシルの、水酸化銅との相互作用を見ることができる。
【0059】
この図で、“サンドイッチ”タイプの相互作用が見られるが、相互作用は金属イオン、特に銅イオンを有する単一のシクロデキストリン分子の関与も含むこともできる。
【0060】
【化2】
【0061】
スルホニル化剤は、当業者に周知のいかなるスルホニル化剤でもよいが、好ましくは、アルキル、及びアリール−スルホニルクロリドの中から選ばれ、アルキル基は例えば1から3のCを含み、例えばメチル基またはイソプロピル基であり、アリール基は例えば6から10のCを含み、例えばフェニル基、ナフチル基…であり、このアリール基は任意に1つ以上の置換基、例えば1から9のCを有するアルキル又はアルコキシ基、例えばメチル、イソプロピル、メトキシ等…で置換されている可能性があるものである。
【0062】
置換されたアリール基は、さらに好ましくはパラトルエンスルホニルクロリド(トシルクロリド)である。
【0063】
シクロデキストリン、例えばβ−シクロデキストリンの第2ヒドロキシル基と配位錯体を形成できる金属塩は、一般的に、リチウム、鉛、及び銅塩から選ばれ、好ましくは銅塩である。
【0064】
第1ヒドロキシル基と配位錯体を形成できる上記金属塩は、一般的に、例えばこの金属の硝酸塩及び硫酸塩の中から選ばれる。
【0065】
好ましい塩は硫酸銅であり、これはより容易に、錯体に関与する水酸化銅を形成し、それにより最高の収率と、さらに低コストを達成する。
【0066】
本発明によれば、反応はアルカリ水溶液で起こり、すなわち用いられる溶媒は水であり、従来技術の同じ方法で用いられていたような例えばピリジンではない。
【0067】
反応媒体を形成するアルカリ水溶液のpHは好ましくは8以上であり、好ましいpH範囲は12、7−12、8であり、それにより一般的に最終産物の最高収率が得られる。
【0068】
アルカリのpHは、水溶液の形態で水酸化ナトリウムなどの塩基を反応媒体へ添加することにより得る。
【0069】
反応をおこすために、例えば以下の方法にしたがって進めることが可能である:最初に、シクロデキストリン、例えばβ−シクロデキストリンの、例えば5〜20重量%の濃度の水溶液を調製し、ついで引き続きこの溶液へ、最初に例えば10〜60g/lの濃度の金属塩水溶液を添加し、ついで例えば10〜25g/lの濃度の塩基水溶液(例えばNaOH)を添加する。
【0070】
得られた混合物を好ましくは周囲温度で、例えば5〜30分間振とうし、ついで均一な混合物へ、好ましくは1滴ずつ、適当な溶媒、例えばアセトニトリル中の例えば80〜225g/lの濃度のスルホニル化剤の溶液を添加する。
【0071】
この添加は、例えば30分から1時間30分の間隔で続けることができる。試薬の添加と混合の後、反応を継続させ完了させるために、ついで反応混合物を一般的に15〜30℃の温度において、好ましくは周囲温度で、例えば3〜6時間の間、好ましくは4〜5時間保持する。
【0072】
反応の後、反応混合物から、C−6でモノスルホニル化された上記シクロデキストリン誘導体を回収するために、一般的に以下の連続工程を行なう:
−そのpHを7付近にするために、一般的に酸、例えば塩酸、好ましくは希釈したもの、の添加により、反応混合物を中和し;中和が金属塩を沈澱させる、
−何らかの適当な液体−固体分離技術を用いて、例えばろ過により、金属塩の沈澱物を分離する、
−こうしてC−6でモノスルホニル化された上記シクロデキストリン誘導体の水溶液を得るが、任意に、溶液中に残存するすべての微量金属塩を除去して、ほぼ透明な水溶液を作製するために、さらなる分離操作を行なうこともできる。
【0073】
例えば、ろ過から得られた水溶液を、イオン交換樹脂の存在下で振とうすることができる。
【0074】
金属塩を含まない、C−6でモノスルホニル化されたシクロデキストリンの水溶液を、ついで、例えば凍結乾燥により、例えば最初の容量の50〜75%まで、好ましくは最初の値の2/3に濃縮し、例えばろ過で採集した所望の化合物を結晶化させ、ついで一般的に例えばアセトン及びエーテル中で洗浄し、最後に乾燥させる。
【0075】
任意に、最終産物、C−6でモノスルホニル化されたシクロデキストリン誘導体を、ついで、例えば、好ましくは水中で、1回以上の再結晶化により精製する。
【0076】
本発明の方法は、高く、最高の収率での調製を可能にすることにより、シクロデキストリンの、特にβ−シクロデキストリンの、C−6モノスルホニル化誘導体、例えばβ−シクロデキストリンの61−モノ−p−トルエンスルホネートは、61−アミノ−61−デオキシシクロマルトヘプタオース及び61−デオキシ−61−イソチオシアネートシクロマルトヘプタオースの、非常に改善された経済的な取得を提供し、これらはPCT/FR97/00449の実施例に記載されているモノチオウレア誘導体の必須の前駆体である。
【0077】
本発明の方法は、こうして一般的に、超分子化学、医療製品のベクター化(vectoring)と生物利用性、香料のカプセル化、調味料、キラル分離など…の分野で、シクロデキストリンの発展した使用への適用が見出される。
【0078】
本発明の他の特性と利点は、例示のために示す以下の実施例より見出されるであろうが、これにより制限されるものではない。
【0079】
【実施例】
実施例:61−O−p−トリスルホニルシクロマルトヘプタオースの調製
β−シクロデキストリンの水中(500ml)での溶液(11.35g、10mmol)に対して、連続して、水中(750ml)の硫酸銅(7.5g、30mmol)溶液、ついで水中(500ml)の塩化ナトリウム(10g、250mmol)の溶液を添加する。
【0080】
混合物は、周囲温度で10分間(pH12.7)振とうし、ついでアセトニトリル中(100ml)のp−トルエンスルホニルクロリド(15g、79mmol)の溶液を、1滴ずつ1時間15分にわたって添加する。
【0081】
反応混合物をついで周囲温度にて4時間30分保持する。
【0082】
得られる暗青色溶液を、1N塩酸(60ml)を用いて中和する。碧青色の沈澱が生じ、これをろ過で除去する。
【0083】
微量の銅塩が溶液中に残っている可能性があるときは、それらはDuolite(商標)GT-73交換樹脂の存在下で水溶液を振とうすることにより除去することができる。
【0084】
透明な溶液を、凍結乾燥により、最初の容量の2/3に濃縮する。結晶化する61−O−p−トリスルホニルシクロマルトヘプタオースをろ過により回収し、アセトン(2×40ml)とエーテル(2×20ml)で洗浄し、乾燥する(7.1g)。
【0085】
水中での2回の再結晶の後、6.33g(48%)の産物を得、m.p.190−192℃[α]D20+122°(c 4、Me2SO)である。同じ産物の物理的定数は、Carbohydr.Res.,192(1989)251-258においてm.p.160−162℃[α]D20+118°(c 4、Me2SO)であり、J.Am.Chem.Soc.112(1990)3860-3868においてm.p.179℃[α]D23+50.7°である。
【0086】
1Hと13C NMRデータは、R.C.PetterらによるJ.Am.Chem.Soc.112(1990)3860-3868の分献に記載されたものと同じである。
【0087】
この実施例は、本発明の方法で得られる高収率と、最終産物の高純度を示す。
Claims (9)
- C−6でモノスルホニル化されたシクロデキストリン誘導体の調製のための位置選択法であって、前記シクロデキストリンは、アルカリ水溶液中で、銅塩の存在下、スルホニル化剤との反応の結果生成され、反応の後、前記C−6でモノスルホニル化されたシクロデキストリン誘導体は、反応混合物から回収されるものである、方法。
- 前記シクロデキストリンは、α−、β−、及びγ−シクロデキストリンから選ばれるものである、請求項1記載の方法。
- 前記スルホニル化剤は、アリール−及びアルキル−スルホニルクロリドから選ばれ、前記アリール基は任意に1つ以上の置換基で置換されているものである、請求項1記載の方法。
- 前記スルホニル化剤はパラトルエン−スルホニルクロリド(トシルクロリド)である請求項3記載の方法。
- 前記銅塩が、硝酸銅及び硫酸銅から選ばれる請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。
- 前記銅塩が硫酸銅である請求項5記載の方法。
- 前記アルカリ水溶液が12.7から12.8のpHを有しているものである請求項1〜6のいずれか1項記載の方法。
- 試薬を添加及び混合すること、及び反応を継続かつ完了させるために、反応混合物を15〜30℃の温度に3〜6時間の間保持することにより反応が起こるものである、請求項1〜7のいずれか1項記載の方法。
- 反応の後、C−6でモノスルホニル化された前記シクロデキストリン誘導体を回収するために、反応混合物を中和して銅塩を沈澱させ、銅塩の沈澱物を分離し、銅塩を含まない得られたC−6でモノスルホニル化されたシクロデキストリン誘導体の水溶液を濃縮し、C−6でモノスルホニル化されたシクロデキストリン誘導体を採集し、任意に精製する、請求項1〜8のいずれか1項記載の方法。
Applications Claiming Priority (3)
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