JP2002504167A - ペル(3,6−アンヒドロ)シクロデキストリン誘導体によるイオン、特にPbの固定と分離 - Google Patents
ペル(3,6−アンヒドロ)シクロデキストリン誘導体によるイオン、特にPbの固定と分離Info
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Abstract
(57)【要約】
本発明は、式(I)と(II)[式中、一つのR1がOCH3を表し、他のR1はOCH3,OH,又はイオンの複合体化のための他の基を表す]のペル(3,6−アンヒドロ)シクロデキストリン誘導体と、固定又は分離すべきイオンを含む媒体とを接触させることを含む、ペル(3,6−アンヒドロ)シクロデキストリン誘導体を用いたイオンの、特に鉛の固定又は分離方法に関する。好ましくは、鉛を固定するために、該誘導体はn=6及びR1の全部=OCH3を持つ式(I)に相当する。
Description
【発明の詳細な説明】
ペル(3,6−アンヒドロ)シクロデキストリン誘導体
によるイオン、特にPbの固定と分離
技術分野
本発明はペル(3,6−アンヒドロ)シクロデキストリン誘導体によるイオン、
特にPbの固定と分離のためのプロセスに関する。
従来技術
シクロデキストリン又はシクロマルトオリゴサッカリドは、α-(1,4)結合
であるグルコース単位の結合により形成された天然起源を有する化合物である。
各種の研究が、これら化合物が疎水性分子と共に封入複合体を形成でき、かく
して水溶液中でのそれの可溶性を与えることを明らかにしている。各種の適用が
、D.Duchene “Pharmaceutical application of cyclodexttrins”in“Cyclodex
trins and their industrial uses”,D.Duchene,Editions de Sante,Paris,198
7,pp213-257によって記載されたような、特に製薬分野で、この現象の効果を獲
得するために提案されている。
製薬は、シクロデキストリン中の複合体の形態で、日本、イタリア及びより最
近フランスにおいて既に市販されている。フランスにおいて、シクロデキストリ
ン中の封入複合体の形態で市販された最初の有効成分は、BREXIN(R)の名称の下
にPierre Fabre Medicament社により販売された抗炎症薬であるピロキシカムで
ある。上記シクロデキストリンの非常に多数の修飾誘導体の中で、有機分子を包
含するそれの能力が欠落し又は非常に制限されるとしても、それ自身作動される
孔のためにそれは興味ある特性を有する。この種の化合物はペル(3,6−アン
ヒドロ)シクロデキストリンである。
上記ペルアンヒドロシクロデキストリンは、文献1:Gadelle A.とDefaye J.,
Angew.Chem.Int.Ed.Engl.,1991,30,78-79;及び文献2:Ashton P.R.,Ellwood P
.,Staton I.and Stoddart J.F.,Angew.Chem.Int.Ed.Engl.,1991,30,80-81)にお
いて
1991年から記載されており、且つこれら誘導体が水と有機溶媒中の両方で興味あ
る可溶性を有することを示している。幾つかの続く研究(文献3:Yamamura H.と
Fujita K.Chem.Pharm.Bull.,1991,39,2505-2508;文献4:Yamamura H.,Ezuka T
.,Kawase Y.,Kawai M.,Butsugan Y.とFujita K.,J.Chem.Soc.,Chem.Com.,1993,6
36-637;及び文献5:Yamamura H.,Nagaoka H.,Kawai M.とButsugan Y.,Tetrahe
dron Lett.1995,36,1093-1094)もまた、これらのペルアンヒドロ誘導体が無視で
きない選択性でアルカリイオンを複合体化することが示されている。
J.Org.Chem.,60,1995,pp 3898-3903においてAshton等は、メチル基によってそ
の2-位置で置換したペルアンヒドロ-β-シクロデキストリン誘導体の合成を記
載している。
しかしながら、この化学修飾は、ペルアンヒドロシクロデキストリンの複合体
化又は選択特性を至適化するとの観点から実行されていない。
本発明の開示
本発明は、その特性、特にそれが複合体化しやすいイオンに関して、特に鉛に
関しての選択性を変更するために化学修飾が実施されているペルアンヒドロシク
ロデキストリンの誘導体のイオンの分離又は固定のための使用に関する。
本発明に従い、この修飾は、上記分子上に存在するヒドロキシル基、同じくL
-マンノース型誘導体に至るために逆にすることができる、炭素C2の相対的配置
に関する。
かくして、本発明は、以下の式:
[式中、少なくとも1のR1はメトキシ基を表し且つ同じか又は異なることがで
きるその他のR1は、式:OH,OR2,SH,SR2,OCOR2,NH2,NR2
R3,CONR2R3,CONH2,CN,COOR2,COOH及びR2の一つに従
う基を表し、式中R2は、O,S及びNの中から選択される1又はそれ以上のヘ
テロ原子を有すことができる、飽和又は不飽和の、脂肪族の又は芳香族の、炭化
水素基を表し、R3は、水素原子又はO,S及びNの中から選択される1又はそ
れ以上のヘテロ原子を有すことができる、飽和又は不飽和の、脂肪族の又は芳香
族の、炭化水素基を表し、且つnはペル(3,6−アンヒドロ)シクロデキストリ
ン誘導体により形成される複合体形でイオンを固定するため及び媒体からそれを
分離するために、6,7又は8に等しい]
の1つに従う、ぺル(3,6−アンヒドロ)シクロデキストリンの誘導体と、イオ
ンを含む媒体とを接触させることからなる、イオンの固定又は分離方法に関する
。
式(I)又は(II)のシクロデキストリン誘導体において、R2とR3のため
に使用できる脂肪族又は芳香族、炭化水素基は、各種のタイプとすることができ
る。それらは、ある炭素原子がO,S及びNのような1又はそれ以上の異種原子
によって置換されることができ、且つ1又はそれ以上のエチレン又はアセチレン
不飽和を有すことができる炭素鎖によって構成される。さらに、炭化水素基は、
異なる置換基、特に官能基又はハロゲン原子を有することができる。該芳香族炭
化水素基は、例えば1から20炭素原子を有するアルキル基によって任意に置換
したトシル基とフェニル基によって構成することができる。R2とR3は、特に1
から20炭素原子を有する直鎖又は分枝したアルキル基で表すことができる。
とりわけ鉛イオンの分離のために意図される、本発明の好適な実施態様に従っ
て、ペル(3,6−アンヒドロ)シクロデキストリン誘導体は、α−シクロデキス
トリン誘導体、即ち上述の式(I)と(II)において、nが6に等しいもので
ある。
好ましくは、使用される該誘導体は、式(I)に従い、全部のR1がメトキシ
基を表し、且つnが6に等しい。
本発明に従う方法によって固定又は分離することができるイオンは、各種のタ
イプとすることができる。それらは、例えば、アルカリ金属、アクチニド、ラン
タニド又は鉛、水銀、コバルト及びストロンチウムのような汚染金属のイオンと
することができる。
本発明に従う方法は、とりわけ複合体形における鉛の分離と固定に適用される
。
かくして、鉛とその誘導体は、環境を汚染し且つヒトと動物の両方に毒性であ
る。主な毒性作用は、神経学的発達及び神経系の機能に影響を及ぼす。それは結
局、環境から鉛を分離し且つ除去すること及びそれを安全に蓄える必要がある。
加えて、神経系及び他の器官におけるその作用を防ぐことによって生存生体の
鉛汚染除去を確実にすることを可能にするであろう製品は、これらの問題を解消
するために非常に重要となるだろう。
本発明に従い、上記(I)と(II)に従うペル(3,6−アンヒドロ)シクロ
デキストリンの誘導体が、鉛への高い特異性を有し、且つナトリウムイオンのよ
うな他のイオンの存在中でさえ、100%に到達することができる高い収率でそ
れの複合体化が可能であることを見出している。
かくして、それは複合体形において周囲の媒体から鉛を分離することが可能と
なる。
本発明はまた、上述した式(I)又は(II)のペル(3,6−アンヒドロ)シ
クロデキストリンの誘導体と鉛の複合体に関する。
本発明に従う方法の実行のために、水溶液又は有機溶液の形態で式(I)又は
(II)のペル(3,6−アンヒドロ)シクロデキストリン誘導体を使用すること
が可能である。
分離又は固定すべきイオンを含む媒体は水溶液であり、有機溶液中の複合体を
形成する及ぶ水溶液からそれを容易に分離するために、水溶液と混和しない有機
溶媒、例えばクロロホルム中に該シクロデキストリン誘導体を溶解することが可
能である。
それはまた、水溶液、特に生存生体の鉛汚染除去のために、シクロデキストリ
ン誘導体を使用することも可能である。
かくして、式(I)又は(II)のシクロデキストリン誘導体が二和合性化合
物であることが知られる。それは結局、複合体形で鉛の固定を確実にするために
ヒト又は動物に投与することができ、かくしてヒト又は動物体の器官とそれとの
相互作用を防ぐことができる。
本発明はまた、以下の式:
[式中、少なくとも1のR1はメトキシ基を表し且つ同じか又は異なることがで
きるその他のR1は、式:OH,OR2,SH,SR2,OCOR2,NH2,NR2
R3,CONR2R3,CONH2,CN,COOR2,COOH及びR2の一つに従
う基を表し、式中R2は、O,S及びNの中から選択される1又はそれ以上のヘ
テロ原子を有すことができる、飽和又は不飽和の、脂肪族の又は芳香族の、炭化
水素基を表し、R3は、水素原子又はO,S及びNの中から選択される1又はそ
れ以上のヘテロ原子を有すことができる、飽和又は不飽和の、脂肪族の又は芳香
族の、炭化水素基を表し、且つnは6,7又は8に等しい]
の1つに従う、ペル(3,6−アンヒドロ)シクロデキストリンの誘導体を含むこ
とを特徴とする生存生物の鉛汚染除去用製薬組成物に関する。
好ましくは、該ペル(3,6−アンヒドロ)シクロデキストリン誘導体は、式(
I)に従い、式中R1の全てがメトキシ基を表し、且つnが6に等しい。
この組成物は、経口又は注射によって投与することができる。
その水溶液は、式(I)の誘導体の0.08モル/lまでを配合できる。
投与される量は、鉛汚染レベルと患者の体重に基づくであろう。
本発明はまた、この方法において使用に適した、以下の式:[式中、少なくとも1のR1はメトキシ基を表し且つ同じか又は異なることがで
きるその他のR1は、式:OH,OR2,SH,SR2,OCOR2,NH2,NR2
R3,CONR2R3,CONH2,CN,COOR2,COOH及びR2の一つに従
う基を表し、式中R2は、O,S及びNの中から選択される1又はそれ以上のヘ
テロ原子を有すことができる、飽和又は不飽和の、脂肪族の又は芳香族の、炭化
水素基を表し、R3は、水素原子又はO,S及びNの中から選択される1又はそ
れ以上のヘテロ原子を有すことができる、飽和又は不飽和の、脂肪族の又は芳香
族の、炭化水素基を表し、且つnは6,7又は8に等しい、ただしn=7の場合
R1全部がOCH3を表さず、且つ該誘導体が式(I)に従うという条件で]
の1つに従う、ペル(3,6−アンヒドロ)シクロデキストリンの誘導体に関する
。
本発明において使用されるシクロデキストリン誘導体は、異なる方法により作
製できる。
該シクロデキストリン誘導体が上記式(I)又は(II)に従い、少なくとも
1のR1がメトキシ基を表し且つその他のR1はOH又はOCH3を表し、且つn
が6,7又は8に等しい場合、以下の工程:
1)OH基を、アルカリ金属を表すMを持ったOM基に変換するためにアルカリ
金属水素化物と、式:
[式中、nは6,7又は8に等しい]
の一つに従うペルアンヒドロシクロデキストリンとを反応させること、
2)式CH3X(式中Xはハロゲン原子を表す)のメチル無水物と、1)中で得ら
れた修飾ペルアンヒドロシクロデキストリンとを反応させること、及び
3)もし要すれば、OCH3とは異なるR1基とそれとを置換するために1又はそ
れ以上の試薬と、2)で得られたペルアンヒドロシクロデキストリンとを反応さ
せること、
を有する製造方法によって作製できる。
工程2)を実施するために、シクロデキストリンのOH基の1又はそれ以上の
修飾化のために必要な量のCH3Xが使用される。
該シクロデキストリン誘導体が上記式(I)又は(II)に従い、他のR1が
、上述した通りの意味を有しているOR2を表す場合、上記の方法は、式R2X(
式中R2は上述で与えられる意味を有し、Xはハロゲン原子である)のハロイドと
該誘導体との反応に続き、OCH3基を導入するために適用される。
該シクロデキストリン誘導体が式(I)又は(II)に従い、他のR1がOC
OR2を表す場合、上記方法は、メトキシ基を最初に導入するために適用され、
次いで該メチル誘導体が、OCOR2によって残っているヒドロキシルを置換す
るために、酸無水物、又は式R2COX又は(R2CO)2O(式中、R2は上述で与
えられる意味を有し且つXはハロゲン原子を表す)のハロイドと反応させる。
他のR1が、ハロゲン原子又は式SH,SR2,NH2,NR2R3,CONR2R3
,CONH2,CN,COOR2,COOH及びR2の基(R2とR3は上述で与え
られる意味を有する)を表し、nが6,7又は8に等しい場合、それは部分的に
メチル化したペルアンヒドロシクロデキストリン、即ち少なくとも1のR1がO
CH3を表し他のR1がOHを表す、によって開始する以下の工程:
1)OH基を、OM基(Mはアルカリ金属を表す)に変換するために、アルカリ金
属水素化物と上記ペルアンヒドロシクロデキストリンを反応させること、
2)少なくとも1のR1が式OSO2R2である、式(I)又は(II)の誘導体
を得るために、式CISO2R2(R2は上述で与えられる意味を有する)の塩化物
と、1)で得られた修飾したペルヒドロシクロデキストリンとを反応させること
、及び
3)望まれるR1によってOSO2R2を置換するために1又はそれ以上の適当な
試薬と、第2工程で得られた誘導体を反応させること、
で実行することが可能である。
この方法において、ペル(3,6−アンヒドロ)シクロデキストリンは、アルカ
リ金属水素化物の作用によってアルコキシドに最初に形質転換され、次いで上記
アルコキシドが、望まれるR1によって出発基を置換するための1又はそれ以上
の適当な試薬によって1又はそれ以上の工程において反応させる、式OSO2R2
の出発基を有する誘導体に変換される。
かくして、R1がNH2を表すべきケースにおいて、N3Mと2)で定義した化
合物とを反応することが可能である。アジドと称される、かくして得られた化合
物は、R1がNH2を表すものである生産物を得るために、触媒的水素添加を受け
ることができ又はアンモニアNH3の存在中で処理することができる。
R1がNR2R3を表す生産物は、化合物NHR2R3と、2)で定義した化合物
を反応することによって得られる。
R1がSH又はSR2を表すケースにおいて、それは、(R1−X)で化合物を与
える、ハロイドX-と、2)で定義した化合物を反応し、R1がSH又はSR2を
表す化合物を与えるためにHS-又はR2S-と次いで反応させることが可能であ
る。
R1が炭化水素を表す場合、反応は、R1が炭化水素基を表す最終化合物を与え
るようにR1 2LiCu(R1は炭化水素基を表す)によって実行される。
同じ手法において、R1がハロゲンを表す化合物は、R1がCNを表すであろう
最終化合物を与えるためにCN-と反応できる。
加えて、R1がCNを表す化合物は、制御した加水分解によって、R1がCON
H2を表すであろう化合物を与えることができる。R1がCNを表す化合物は、完
全な加水分解によって、R1がCOOHを表すであろう化合物を与えることがで
きる。
R1がCOOHを表す化合物は、エステル化によって、R1がCOOR2を表す
であろう化合物を与えることができる。
R1がCOOHで表される化合物は、DCC(ジシクロヘキシルカルボジイミド
)の存在中、R1がNR2R3を表すであろう化合物を与えるためにNHR2R3と反
応できる。
本発明に従うシクロデキストリン誘導体は、多数の効果を有する。特に、それ
が全置換した即ち全てのR1がOH基とは異なる場合、その誘導体は、クロロホ
ルム、アセトン、テトラヒドロフランなどのような有機溶媒中で良好な溶解性を
有する。この可溶性は、当該分野で良く知られた液−液交換プロセスによって分
離を実行することを可能にするために、イオン分離におけるそれの使用のために
重要である。
さらに、1又はそれ以上の特有な化学基を導入することの可能性は、非常に変
化に富んだイオンのための複合体化剤に適合させることが可能である。これは、
出発材料として利用可能な3つの天然シクロデキストリンが、分離すべきイオン
のサイズに相関した補充の選択に至り得る、異なる孔直径を有するという事実に
よって増加される。
本発明において用いた式(I)又は(II)の出発製品は、Gadelle A.等及
びAshthon P.R.等の上述した文献1と2に記載したそれらのような、通常プロ
セスによって作製できる。
本発明の他の特徴と効果は、添付した図面を参照することにより説明のために
且つ非制限的な手法において与えられる以下の実施例を検討することでより良好
に推測できる。
図面の簡単な説明
図1(a),(b)と(c)は、実施例1単独(a)、又は硝酸鉛の1mmole/lの存
在において又は硝酸鉛の3mmole/lの存在において、誘導体のプロトンの核磁気共
鳴(NMR)スペクトルである。
実施態様の詳細な説明
実施例1:ヘキサキス(3,6−アンヒドロ−2−O−メチル)シクロマルトヘキ
サオース
この化合物は、式(I)に従い、全てのR1がOCH3を表し、nが6に等しい
。
120℃で48時間真空中で乾燥した50mg(0.057mmole)を秤量したヘキサ
キス(3,6−アンヒドロ)シクロマルトヘキサオースを10mlの無水ジメチルホル
ムアミド(DMF)に加え、その溶液を分散物が得られるまで70℃で15分間加
熱した。油中に分散した82mgの水素化ナトリウムを別のフラスコ中に秤量し、
それに10mlの無水DMFを加えた。後者のフラスコを撹拌しつつ、シリンジを用
いてヘキサキス(3,6−アンヒドロ)シクロマルトヘキサオース懸濁液を加えた
。25分間の撹拌後、その溶液を、ヨウ化メチルCH3I(3mmol)の200μlを撹
拌しつつ加えた。15分間の撹拌後、その溶媒を留去し、残渣を水に溶かした。
その溶液を油を除去するためにクロロホルムで洗浄し、その水性部分を凍結乾燥
した。その後者を、アセトニトリル中0から30%水の勾配を用いY.M.C.によっ
て作製されたポリアミンPBMNカラムでクロマトグラフィーにかけ、298K
の温度とD2O中3mmole/lの濃度、500MHzでのプロトンの核磁気共鳴によ
り特徴付けした。
得られた結果を図1(a)中に示した。
実施例2:鉛複合体の調製
実施例1で得られたペルメチル誘導体の水溶液に、3mmole/lのペルメチル誘導
体と1mole/lの硝酸鉛を含む水溶液を得るために、硝酸鉛水溶液を加えた。得ら
れた溶液は、実施例1と同じ条件下(500MHz,D2O,298K)で核磁気共鳴によっ
て分析した。
その結果は図1(b)中に与えられる。
このケースにおいて、その交換は遊離シクロデキストリン(図1(a))と、該複
合体(図1(b))とに一致する2つのシグナルを観測するため、NMR観測時間に
対し十分に遅くした。遊離及び複合体化部分のそれぞれの表面は、全ての鉛の存
在が複合化されることを表す、1対2を表す。
図1(b)において、遊離及び複合体化シクロデキストリンの間の明らかな分離
はプロトンH1のみが明白であった。該シグナルの広さはゆっくりした交換の特
徴である。
実施例3:鉛複合体の調製
実施例2におけると同じ操作方法を実施したが、その水溶液は、3mmole/lのペ
ルメチル誘導体と3mole/lの硝酸鉛を混合した。
そのプロトンのNMRスペクトルを図1(c)中に示した。
ここで再度、その複合体のシグナルのみが明らかであった。単一の広がったシ
グナルがH1で観測された。その挙動は、非常に高い親和性定数によって観測す
ることができる。
実施例4:鉛複合体の調製
実施例3におけると同じ操作方法を実施したが、加えて実施例1の3mmole/lの
ペルメチル誘導体と、3mole/lの硝酸鉛と、3molce/lの硝酸ナトリウムを混合し
た水溶液を得るために、硝酸ナトリウムも添加した。
得られた複合体のNMRスペクトルは、図1(c)中に示したそれと同一であっ
た。
かくして、該複合体のNMRスペクトルは、3mMの硝酸ナトリウムの存在によ
り変更されなかつた。この結果は、過剰のナトリウムイオンの存在においてさえ
も、その鉛が複合体化されたことをそれが示したために、生物学的分野における
適用の点から極めて重要である。
実施例2から4で得られたNMRの結果は、Pbに対する実施例1のペルメチ
ル誘導体の親和定数が、出発材料のヘキサキス(3,6−アンヒドロ)シクロマル
トヘキサオースで得られたそれよりもより高く、ペルメチル誘導体のケースにお
いてほぼ105であり、出発材料ペル(アンヒドロ)シクロデキストリンのケース
においてほぼ2500であった。
かくして、上記ペルメチル誘導体は、特に生存生体中の鉛汚染除去のために非
常に重要である。
かくして、それは、相当する非メチル化ペル(3,6−アンヒドロ)シクロデキ
ストリンが溶血性であるのに対して、毒性も溶血性もない。さらにそれは、高い
ナトリウム濃度の存在中でさえ、鉛を複合体化できる。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 アンドレ・ギャドゥル
フランス・F―38830・モンボノー・ル・
アミュー・フリュリ・23
(72)発明者 ジャン−クロード・ドゥブジー
フランス・F―38660・ラ・テラス・リ
ュ・デュ・シャトー・60
(72)発明者 フローレンス・ファヴル
フランス・F―38000・グルノーブル・リ
ュ・デ・ボン・ゼンファン・8
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1. 以下の式: [式中、少なくとも1のR1はメトキシ基を表し且つ同じか又は異なることがで きるその他のR1は、式:OH,OR2,SH,SR2,OCOR2,NH2,NR2 R3,CONR2R3,CONH2,CN,COOR2,COOH及びR2の一つに従 う基を表し、式中R2は、O,S及びNの中から選択される1又はそれ以上のヘ テロ原子を有すことができる、飽和又は不飽和の、脂肪族の又は芳香族の、炭化 水素基を表し、R3は、水素原子又はO,S及びNの中から選択される1又はそ れ以上のヘテロ原子を有すことができる、飽和又は不飽和の、脂肪族の又は芳香 族の、炭化水素基を表し、且つnはペル(3,6−アンヒドロ)シクロデキストリ ン誘導体により形成される複合体形でイオンを固定するため及び媒体からそれを 分離するために、6,7又は8に等しい] の1つに従う、ペル(3,6−アンヒドロ)シクロデキストリンの誘導体と、イオ ンを含む媒体とを接触させることからなる、イオンの固定又は分離方法。 2. 上記イオンが鉛イオンである請求項1記載の方法。 3. nが6に等しい請求項1又は2記載の方法。 4. ペル(3,6−アンヒドロ)シクロデキストリン誘導体が式(I)に従い、 式中R1の全てがメトキシ基を表し、且つnが6に等しい請求項1又は2記載の 方法。 5. 上記媒体が水溶液であり、該シクロデキストリン誘導体が該水溶液と混和 しない有機溶媒中に溶解されている請求項1から4のいずれか1項記載の方法。 6. 以下の式:[式中、少なくとも1のR1はメトキシ基を表し且つ同じか又は異なることがで きるその他のR1は、式:OH,OR2,SH,SR2,OCOR2,NH2,NR2 R3,CONR2R3,CONH2,CN,COOR2,COOH及びR2の一つに従 う基を表し、式中R2は、O,S及びNの中から選択される1又はそれ以上のヘ テロ原子を有すことができる、飽和又は不飽和の、脂肪族の又は芳香族の、炭化 水素基を表し、R3は、水素原子又はO,S及びNの中から選択される1又はそ れ以上のヘテロ原子を有すことができる、飽和又は不飽和の、脂肪族の又は芳香 族の、炭化水素基を表し、且つnは6,7又は8に等しい] の1つに従う、ペル(3,6−アンヒドロ)シクロデキストリンの誘導体を含むこ とを特徴とする生存生物の鉛汚染除去用製薬組成物。 7. ペル(3,6−アンヒドロ)シクロデキストリン誘導体が式(I)に従い、 式中R1の全てがメトキシ基を表し、且つnが6に等しい請求項6記載の製薬組 成物。 8. 以下の式: [式中、少なくとも1のR1はメトキシ基を表し且つ同じか又は異なることがで きるその他のR1は、式:OH,OR2,SH,SR2,OCOR2,NH2,NR2 R3,CONR2R3,CONH2,CN,COOR2,COOH及びR2の一つに従 う基を表し、式中R2は、O,S及びNの中から選択される1又はそれ以上のヘ テロ原子を有すことができる、飽和又は不飽和の、脂肪族の又は芳香族の、炭化 水素基を表し、R3は、水素原子又はO,S及びNの中から選択される1又はそ れ以上のヘテロ原子を有すことができる、飽和又は不飽和の、脂肪族の又は芳香 族の、炭化水素基を表し、且つnは6,7又は8に等しい] の1つに従う、ベル(3,6−アンヒドロ)シクロデキストリンの誘導体と、鉛と の複合体。 9. nが6に等しい請求項8記載の複合体。 10. ペル(3,6−アンヒドロ)シクロデキストリン誘導体が式(I)に従い、 式中R1の全てがメトキシ基を表し、且つnが6に等しい請求項8記載の複合体 。 11. 以下の式: [式中、少なくとも1のR1はメトキシ基を表し且つ同じか又は異なることがで きるその他のR1は、式:OH,OR2,SH,SR2,OCOR2,NH2,NR2 R3,CONR2R3,CONH2,CN,COOR2,COOH及びR2の一つに従 う基を表し、式中R2は、O,S及びNの中から選択される1又はそれ以上のヘ テロ原子を有すことができる、飽和又は不飽和の、脂肪族の又は芳香族の、炭化 水素基を表し、R3は、水素原子又はO,S及びNの中から選択される1又はそ れ以上のヘテロ原子を有すことができる、飽和又は不飽和の、脂肪族の又は芳香 族の、炭化水素基を表し、且つnは6,7又は8に等しい、ただしn=7の場合 R1全部がOCH3を表さず、且つ該誘導体が式(I)に従うという条件で] の1つに従う、ぺル(3,6−アンヒドロ)シクロデキストリンの誘導体。 12. R1全部がOCH3を表し且つnが6に等しい、式(I)に従う請求項1 1記載のペル(3,6−アンヒドロ)シクロデキストリンの誘導体。 13. 式(I)又は(II): [式中、少なくとも1のR1はメトキシ基を表し且つ同じか又は異なることがで きるその他のR1は、式:OH,OR2,SH,SR2,OCOR2,NH2,NR2 R3,CONR2R3,CONH2,CN,COOR2,COOH及びR2の一つに従 う基を表し、式中R2は、O,S及びNの中から選択される1又はそれ以上のヘ テロ原子を有すことができる、飽和又は不飽和の、脂肪族の又は芳香族の、炭化 水素基を表し、R3は、水素原子又はO,S及びNの中から選択される1又はそ れ以上のヘテロ原子を有すことができる、飽和又は不飽和の、脂肪族の又は芳香 族の、炭化水素基を表し、且つnは6,7又は8に等しい] のペル(3,6−アンヒドロ)シクロデキストリン誘導体の製造方法であり、以下 の工程: 1)OH基を、アルカリ金属を表すMを持ったOM基に変換するためにアルカリ 金属水素化物と、式: [式中、nは6,7又は8に等しい] の一つに従うペルアンヒドロシクロデキストリンとを反応させること、 2)式CH3X(式中Xはハロゲン原子を表す)のメチル無水物と、1)中で得ら れた修飾ペルアンヒドロシクロデキストリンとを反応させること、及び 3)もし要すれば、OCH3とは異なるR1基とそれとを置換するために1又はそ れ以上の試薬と、2)で得られたペルアンヒドロシクロデキストリンとを反応さ せること、 を含むペル(3,6−アンヒドロ)シクロデキストリン誘導体の製造方法。
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