JP4475882B2 - 2次電池用正極材料の製造方法、および2次電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、2次電池用正極材料の製造方法及びその正極材料を有する2次電池に関し、より詳しくは、例えば、リチウムやその化合物を活物質とする、金属リチウム電池、リチウムイオン電池、リチウムポリマー電池等に代表される2次電池用の正極材料の製造方法、および該方法により製造される正極材料を有する2次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
金属リチウム電池、リチウムイオン電池、リチウムポリマー電池等の2次電池において正極材料となるLiFePO4等の活物質では、放電あるいは充電の過程で、リチウムのドープ/脱ドープを伴う形で電極酸化還元反応が進行する。こうした2次電池は、大容量電池として近年脚光を浴びている。
【0003】
従来において、上記正極材料の一つであるLiFePO4を合成する方法としては、例えば、▲1▼リン酸第一鉄8水和物[Fe3(PO4)2・8H2O]とリン酸水素アンモニウム[(NH4)2HPO4]と炭酸リチウム(LiCO3)を所定比で混合し、焼成する方法(例えば、特許文献1参照)、▲2▼鉄源としてシュウ酸鉄(FeC2O4)を用い、リン酸水素アンモニウム(NH4H2PO4)と炭酸リチウム(LiCO3)とを所定比で混合する方法(例えば、特許文献2参照)、▲3▼Fe3(PO4)2・8H2OとLi3PO4とを混合し、炭素材料を添加するとともに、焼成雰囲気中の酸素濃度を1012ppm(体積)以下で焼成を行う方法(例えば、特許文献3参照)等が提案されている。
【0004】
また、▲4▼LiFePO4の製造に際して、原料となるFe3(PO4)2・8H2OとLi3PO4とに、熱分解により炭素を析出する有機物(高分子、モノマー、低分子等)を共存させ、焼成により熱分解する方法も提案されている(特許文献4参照)。
【0005】
しかし、上記▲1▼〜▲4▼の方法で出発原料となる物質は、いずれも2次的な化合物であり、高価で入手が困難であるという問題があった。例えば、Li3PO4は比較的高価であり、シュウ酸鉄(FeC2O4)も比較的高価であるため正極材料の製造コストを上昇させる要因となっている。他の鉄原料であるFe3(PO4)2・8H2Oは、例えばNa2HPO4とFe(II)SO4・7H2Oから合成可能であるが、水和数の安定しない水和物であるため化学量論的な仕込みの制御が難しく、また、その合成過程においては、Fe3(PO4)2・8H2Oが沈澱として得られるので、ナトリウムイオン等を除去するには、濾過などの煩雑な操作が必要となる。この時、完全にナトリウムイオン等を除去することは困難であり、不純物混入の要因になる。また、濾過を完全に行い、未焼成反応物の純度を上げるには、沈澱として得られるFe3(PO4)2・8H2Oの結晶を十分に成長させ、大粒径(例えば、10μm程度以上)とすることが好ましいが、一般に大粒径のFe3(PO4)2・8H2OとLi3PO4の混合物を焼成して得られるLiFePO4は粗粒となり、正極材料としての活性が低くなる問題がある。
【0006】
このように、従来提案されてきたLiFePO4等の正極材料の製造技術は、不純物が混入したり、煩雑な処理操作が必要になるなどの問題点を有する上、いずれの方法も安価で入手が容易な原料を使用できないため、必然的に原価が高くなり、工業的規模での製造においては満足のいく方法ではなかった。
【0007】
【特許文献1】
特開平9−171827号公報
【特許文献2】
特開2000−294238号公報
【特許文献3】
特開2002−110163号公報
【特許文献4】
特開2001−15111号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、2次電池用正極材料を入手が容易で安価な原料から確実に合成することが可能な製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の第1の実施形態に係る2次電池用正極材料の製造方法の発明は、次の原料(ア)〜(ウ)、
(ア)LiOH・aH2OまたはLi2CO3
(イ)MCl2・bH2Oおよび
(ウ)(NH4)cHdPO4
[ここで、MはFe、CoもしくはMnから選ばれるいずれか一つ、または二つ以上の組合せを意味し、aは0〜1の数、bは0〜6の数、cおよびdは互いに異なって1または2である;以下同様である]
の溶液を混合して反応させた後、焼成することにより2次電池用正極材料LinMPO4(ここで、nは0〜1の数を示す;以下同様である)を得ることを特徴とする。
【0010】
この特徴によれば、安価で入手が容易な原料である金属の塩化物と、同様に安価で入手が容易なリン酸アンモニウムや水酸化リチウムから直接2次電池用正極材料LinMPO4を製造できる。しかも、製造過程で沈澱の濾別などの煩雑な処理操作は必要とせずに、化学量論比の原料混合物から直接に未焼成反応物が得られ、これを焼成することによって不純物を含まない高純度の正極材料が得られる。また、原料の仕込み組成だけで成分元素比を正確に制御できるので、従来の原料を使用した製造方法に比べて各段に有利である。
【0011】
さらに、焼成過程では、塩化アンモニウムガスが主に発生し、正極材料から除去されるので、精製工程を設けなくても純度の高い正極材料LinMPO4が得られる。発生した塩化アンモニウムは、毒性が低く安全な物質であり、適切な手段(排ガスの水洗、フィルター除去など)を施すことによって容易に処理できる。
以上から、本発明の第1の態様に係る製造方法は、工業的な規模での2次電池用正極材料の製造において十分に利用可能な実用性の高い製造技術である。
【0012】
本発明の第2の態様に係る2次電池用正極材料の製造方法の発明は、第1の態様において、導電性炭素および/または加熱分解により導電性炭素を生じ得る物質を添加して焼成を行うことを特徴とする。この特徴によれば、導電性炭素および/または加熱分解により導電性炭素を生じ得る物質を添加して焼成を行うことにより、正極材料に高い導電性と、電極性能の安定性を付与することができる。
【0013】
本発明の第3の態様に係る2次電池用正極材料の製造方法の発明は、第2の態様において、前記焼成過程は、常温から300℃ないし450℃に至る第一段階と、常温から焼成完了温度に至る第二段階と、を含み、加熱分解により導電性炭素を生じ得る物質を、第一段階の焼成後の焼成中間体に添加した後、第二段階の焼成を行うことを特徴とする。
【0014】
この2次電池用正極材料の発明によれば、加熱分解により導電性炭素を生じ得る物質を第一段階の焼成後の焼成中間体に添加して第二段階の焼成を行うことにより、加熱分解により導電性炭素を生じ得る物質が焼成中に原料の分解により生成するガス(主として水蒸気)により発泡することを防ぐことができる。その結果、融解状態にある該物質がより均一に正極材料の表面に溶融状態で広がり、より均一に熱分解炭素を析出させることができる。このため、得られる正極材料の表面導電性がさらに良好になり、また接触が強固に安定化される。
【0015】
本発明の第4の態様に係る2次電池用正極材料の製造方法の発明は、第3の態様において、導電性炭素を、第一段階の焼成前の原料に添加して焼成を行うことを特徴とする。
【0016】
この2次電池用正極材料LiFePO4の製造方法の発明によれば、第3の態様と同様の作用効果に加え、さらに導電性炭素を、第一段階の焼成前の原料(未焼成反応物を含む)に添加して焼成を行うことにより、加熱反応する原料と該導電性炭素との接触時間を長く取ることが可能になり、その間に反応によって生じる正極材料の構成元素の拡散により、該炭素の粒界に正極材料が入り込み、より均一で安定な炭素−正極材料複合体を形成するとともに、正極材料粒子同士の焼結を効果的に防止することができる。なお、本明細書において、「焼成前の原料」という表現は、出発原料と未焼成反応物の両方を含む意味で用いる。
【0017】
本発明の第5の態様に係る2次電池用正極材料の製造方法の発明は、第2の態様において、前記焼成過程は、常温から300℃ないし450℃に至る第一段階と、常温から焼成完了温度に至る第二段階と、を含み、導電性炭素を、第一段階の焼成前の原料に添加して焼成を行うことを特徴とする。
【0018】
この2次電池用正極材料の製造方法の発明によれば、正極材料の1次粒子の結晶成長を抑制して、得られる正極材料の結晶粒子を細粒化することができる。すなわち、導電性炭素を、第一段階の焼成前の原料(未焼成反応物を含む)に添加して焼成を行うことにより、加熱反応する原料と導電性炭素との接触時間を長く取ることができ、その間に反応によって生じる正極材料の構成元素の拡散により、導電性炭素の粒界に正極材料が入り込み、より均一で安定な炭素−正極材料複合体を形成させることができる。
【0019】
本発明の第6の態様に係る2次電池用正極材料の製造方法の発明は、第3の態様または第4の態様において、前記加熱分解により導電性炭素を生じ得る物質が、ビチューメン類であることを特徴とする。ビチューメン類は、加熱分解により導電性炭素を生じて正極材料に導電性を付与することができる。
【0020】
本発明の第7の態様に係る2次電池用正極材料の製造方法の発明は、第6の態様において、前記ビチューメン類が、軟化温度80℃から350℃の範囲にあり、加熱分解による減量開始温度が350℃から450℃の範囲にあり、かつ、500℃から800℃の加熱分解・焼成により導電性炭素を析出し得る石炭ピッチであることを特徴とする。かかる性質を有する石炭ピッチは、非常に安価であるとともに、焼成中に融解して焼成中の焼成中間体粒子の表面に均一に広がり、熱分解後、高い導電性を発現する炭素析出物となるため、導電性炭素を生じ得る物質として優れた性質を有する物質である。
【0021】
本発明の第8の態様に係る2次電池用正極材料の製造方法の発明は、第3の態様または第4の態様において、前記加熱分解により導電性炭素を生じ得る物質が、糖類であることを特徴とする。糖類を用いることによって、より優れた結晶成長抑制効果と導電性付与効果を同時に得ることができる。糖類は加熱分解によって導電性炭素を生じて正極材料に導電性を付与するだけでなく、糖類に含まれる多くの水酸基が焼成中間体および生じた正極材料粒子表面に強く相互作用することにより、結晶成長抑制作用も併せ持つと推測されるためである。
【0022】
本発明の第9の態様に係る2次電池用正極材料の製造方法の発明は、第8の態様において、前記糖類が、250℃以上500℃未満の温度域において分解を起こし、かつ150℃から分解までの昇温過程において一度は少なくとも部分的に融液状態をとり、さらに500℃以上800℃以下までの加熱分解・焼成によって導電性炭素を生成する糖類であることを特徴とする。かかる特定の性質を有する糖類は、融解により加熱反応中の正極材料粒子の表面に好適にコートされ、加熱分解後生じた正極材料粒子表面に導電性炭素を良好に析出させる。また、この過程で前記したように結晶成長を抑制する。このため、上記特定の性質の糖類は、特に優れた結晶成長抑制効果と導電性付与効果を奏する。
【0023】
本発明の第10の態様に係る2次電池用正極材料の製造方法の発明は、第1ないし第9のいずれか一の態様において、水素、水および水蒸気よりなる群から選ばれる1種または2種以上を添加して焼成を行うことを特徴とする。
【0024】
この特徴によれば、正極材料LinMPO4の1次粒子の結晶成長を抑制して、得られる正極材料の結晶粒子を細粒化することができる。
【0025】
また、常温から300℃ないし450℃に至る第一段階と、常温から焼成完了温度に至る第二段階と、を含む焼成に際し、第一段階の焼成後の焼成中間体に加熱分解により導電性炭素を生じ得る物質を添加した後、第二段階の焼成を行い、水素および/または水分(水または水蒸気)を添加する場合には、第3の態様において記した効果に加え、生じる正極材料の1次粒子を効率的に細粒化させ、さらに均一かつ安定に導電性炭素を正極材料粒子上に析出させ、高い正極性能を得ることができる。この過程において、水素(水分から生じる水素を含む)が加熱により、融解・熱分解する導電性炭素前駆物質に接触すると、恐らくは水素付加反応により、該物質の融液粘性を低下させるため、さらに良好な炭素析出状態を実現できる。
【0026】
また、常温から300℃ないし450℃に至る第一段階と、常温から焼成完了温度に至る第二段階と、を含む焼成に際し、導電性炭素を、第一段階の焼成前の原料(未焼成反応物を含む)に添加して焼成を行うとともに、加熱分解により導電性炭素を生じ得る物質を、第一段階の焼成後の焼成中間体に添加した後、第二段階の焼成を行い、少なくともその500℃以上の温度域において、水素および/または水分(水または水蒸気)を添加する場合にも、第4の態様に記した効果に加え、生じる正極材料の1次粒子を効率的に細粒化させ、さらに均一かつ安定に導電性炭素を正極材料粒子上に析出させ得るとともに、水素(水分から生じる水素を含む)が加熱により、融解・熱分解する導電性炭素前駆物質に接触すると、恐らくは水素付加反応により、該物質の融液粘性を低下させるため、より良好な炭素析出状態を実現できる。
【0027】
また、常温から300℃ないし450℃に至る第一段階と、常温から焼成完了温度に至る第二段階と、を含む焼成に際し、導電性炭素を、第一段階の焼成前の原料(未焼成反応物を含む)に添加して焼成を行い、少なくとも第二段階の焼成の500℃以上の温度域において、水素および/または水分(水または水蒸気)を添加する場合には、第5の態様に記した効果に加え、生じる正極材料の1次粒子を効率的に細粒化させることが可能である。
【0028】
また、本態様の方法によれば、原料の焼成が不十分で最終製品にまで化学変化しなかったり、焼成中間体が残留したりする恐れはなく、焼成によって目的の正極材料を原料から確実に合成できる。水素および/または水分は、強い結晶成長抑制作用、および加熱分解により導電性炭素を析出する物質の正極材料への付着状態を改善する強い作用を持つとともに、取り扱いが容易であり、しかも安価であるため、効率的である。さらに、前記加熱分解により導電性炭素を生じ得る物質が、ビチューメン類であり、その中でも特に、軟化温度が80℃から350℃の範囲にあり、加熱分解による減量開始温度が350℃から450℃の範囲にあり、かつ、500℃から800℃の加熱分解・焼成により導電性炭素を生じ得る石炭ピッチである場合には、かかる石炭ピッチが第二段階の焼成中に加熱により融解・熱分解する過程で、少なくとも500℃以上の温度域において、水素および/水分(水または水蒸気)に接触することになるため、得られる正極材料粒子上に析出する導電性炭素の析出状態が、正極性能上、より良好な状態に改善される。
【0029】
また、前記加熱分解により導電性炭素を生じ得る物質が、糖類であり、その中でも特に250℃以上500℃未満の温度域において分解を起こし、かつ150℃から分解までの昇温過程において一度は少なくとも部分的に融液状態をとり、さらに500℃以上800℃以下までの加熱分解・焼成によって導電性炭素を生じ得る糖類(例えばデキストリン等)である場合にも、かかる糖類が、第二段階の焼成中に加熱により融解・熱分解する過程で、少なくとも500℃以上の温度域において、水素および/水分(水または水蒸気)に接触することになるため、得られる正極材料粒子上に析出する導電性炭素の析出状態が、正極性能上、より良好な状態に改善される。
【0030】
なお、本発明において、気体である水素や水蒸気を「添加する」ことには、水素等のガスの存在下(つまり、水素雰囲気下等)で未焼成反応物や焼成中間体の焼成を行うことが含まれる。
【0031】
本発明の第11の態様に係る2次電池の発明は、第1の態様から第10の態様のいずれか一つに記載の方法により製造された2次電池用正極材料LinMPO4を構成要素に持つことを特徴とする。本発明方法によって製造された正極材料LiFePO4を用いた2次電池は、実用レベルを十分に上回る優れた電圧効率と有効電池放電容量を有する2次電池である。
【0032】
【発明の実施の形態】
本発明の2次電池用正極材料の製造方法は、次の原料(ア)〜(ウ)、
(ア)LiOH・aH2OまたはLi2CO3
(イ)MCl2・bH2Oおよび
(ウ)(NH4)cHdPO4
の溶液を混合して反応させた後、焼成することにより実施され、これにより2次電池用正極材料LinMPO4が得られる。
【0033】
本発明における2次電池用正極材料LinMPO4は、例えばリチウム電池、リチウムイオン電池、リチウムポリマー電池等のリチウム系2次電池の正極材料として好適に使用できる。LinMPO4は結晶骨格構造(スピネル型、オリビン型、ナシコン型等を一般にとる)が電気化学的酸化還元によってほとんど変化しないため、繰返し充放電が可能なアルカリ金属系2次電池用の正極材料として用いることができる。正極材料としては、これらの物質のそのままの状態は放電状態に相当し、電解質との界面での電気化学的酸化によって、アルカリ金属Liの脱ドープを伴いながら中心金属元素Mが酸化され、充電状態になる。充電状態から電気化学的還元を受けると、アルカリ金属Liの再ドープを伴いながら中心金属元素Mが還元され、元の放電状態に戻る。
【0034】
2次電池用正極材料LinMPO4における中心金属元素Mとしては、例えばFe、Co、Mn等から選ばれる一つまたは二つ以上の組合せが挙げられる。LinMPO4の具体例としては、LiFePO4、LiCoPO4、LiMnPO4、LiFe1-xMnxPO4(ここで、0≦x≦1)、LiFe1-yCoyPO4(ここで、0≦y≦1)、FePO4、CoPO4、MnPO4、Fe1-xMnxPO4(ここで、0≦x≦1)、Fe1-yCoyPO4(ここで、0≦y≦1)等が挙げられる。
【0035】
正極材料の原料としては、(ア)LiOH・aH2OまたはLi2CO3、(イ)MCl2・bH2Oおよび(ウ)(NH4)cHdPO4を用いることができる。これらの原料は、リチウム:鉄:リンのモル比が1:1:1となるように調整することにより、焼成過程での不純物の生成と正極材料への混入を極力抑えることができる。
【0036】
リチウム源としては、例えば、LiOH・H2O、Li2CO3等を挙げることができる。
【0037】
また、正極材料に中心金属元素Mを導入するための原料となる金属塩化物またはその水和物MCl2・bH2Oとしては、安価で入手が容易なとして、例えば、FeCl2・4H2O、CoCl2・6H2O、MnCl2・4H2Oなどを挙げることができる。
【0038】
リン酸アンモニウム(NH4)cHdPO4としては、例えば、リン酸水素二アンモニウム[(NH4)2HPO4]、リン酸二水素アンモニウム(NH4H2PO4)等を挙げることができる。
【0039】
上記原料は、溶液の形態で混合される。(ア)〜(ウ)の原料を溶解する場合は、不純物が少ない純水を用いることが好ましい。純水は、例えば水道水を蒸留した後、イオン交換処理したものを利用できる。
【0040】
原料の混合工程は、好ましくは原料が酸化しないように窒素などの不活性ガス雰囲気で行うことが好ましい。また、原料が十分に混ざり合うように攪拌をしながら数時間〜数十時間程度の時間をかけて行うことが好ましい。
【0041】
原料である(ア)〜(ウ)を混合すると、反応して沈澱が生じ、溶液と混ざった状態のスラリー状になる。この状態で沈澱および溶液中には正極材料の前駆体(未焼成反応物)が生成していると考えられるため、この段階で十分に粉砕もしくは擂潰しておくことにより、正極材料LinMPO4の収率を高めることができる。粉砕もしくは擂潰は、自動擂潰機、ボールミル、ビーズミルなどを用い、例えば30分から10時間程度の時間をかけて行うことが好ましい。
【0042】
スラリー状態の反応物(未焼成反応物)は、多量の水分を含むので、水分を除去する乾燥処理を行うことが好ましい。乾燥処理は、室温〜60℃程度での風乾や減圧乾燥により行うことができる。
【0043】
焼成は、対象となる正極材料にもよるが、一般に採用されるような300〜900℃に至る焼成過程において、適切な温度範囲及び時間を選んで実施することができる。また、焼成は、酸化態不純物の生成防止や、残存する酸化態不純物の還元を促すため、酸素ガス不存在下(すなわち、例えばアルゴン、窒素、ヘリウム等の不活性ガス雰囲気中)で行うことが好ましい。
【0044】
本発明製造方法においては、導電性炭素や導電性炭素前駆物質(加熱分解により導電性炭素を生じ得る物質)を添加して焼成を行うことができる。
導電性炭素としては、例えば、黒鉛質炭素、無定形炭素等を挙げることができる。ここで、黒鉛質炭素や無定形炭素には、いわゆる、すす、カーボンブラックなども含まれる。
【0045】
また、導電性炭素前駆物質としては、例えば、ビチューメン類(いわゆるアスファルト;石炭や石油スラッジから得られるピッチ類を含む)、糖類、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、ABS樹脂、フェノール樹脂、その他芳香族基を有する架橋高分子などが挙げられる。これらの中でも、ビチューメン類(特に、精製された、いわゆる石炭ピッチ)および糖類が好ましい。これらのビチューメン類や糖類は加熱分解によって導電性炭素を生じて正極材料に導電性を付与する。特に、精製された石炭ピッチは、非常に安価であり、かつ焼成中に融解して焼成中の焼成中間体粒子の表面に均一に広がり、また熱分解過程を経て比較的低温(650℃〜800℃)での焼成後、高い導電性を発現する炭素析出物となる。また、糖類の場合は、糖類に含まれる多くの水酸基が焼成中間体および生じた正極材料粒子表面に強く相互作用することにより、結晶成長抑制作用も併せ持つため、糖類を用いることによって、より優れた結晶成長抑制効果と導電性付与効果を得ることができるからである。
【0046】
ここで、精製石炭ピッチとしては、軟化温度が80℃から350℃の範囲内にあり、熱分解による減量開始温度が350℃から450℃の範囲内にあり、500℃以上800℃以下までの加熱分解・焼成により、導電性炭素を生成するものが好適に用いられる。正極性能をより高めるためには、軟化温度が200℃〜300℃の範囲内にある精製石炭ピッチがより好ましい。また、精製石炭ピッチの含有不純物としては、正極性能に悪影響を与えることがないものが良いことは言うまでもないが、特に灰分が5000ppm以下であることが好ましい。
【0047】
さらに、糖類としては、250℃以上500℃未満の温度域において分解を起こし、かつ150℃から前記温度域までの昇温過程において一度は少なくとも部分的に融液状態をとり、さらに500℃以上800℃以下までの加熱分解・焼成によって導電性炭素を生成する糖類が特に好ましい。かかる特定の性質を有する糖類は、融解により加熱反応中の正極材料粒子の表面に好適にコートされ、加熱分解後生じた正極材料粒子表面に導電性炭素を良好に析出するとともに、この過程で上記したように結晶成長を抑制するからである。ここで、良好な導電性を生じさせるために、加熱分解温度は、正極材料の種類にもよるが、好ましくは570℃以上850℃以下、より好ましくは650℃以上800℃以下に設定できる。また、上記糖類は加熱分解によって、該糖類の焼成前の乾燥重量に対し、少なくとも15重量%以上、好ましくは20重量%以上の導電性炭素を生じ得るものがよい。これは、生じる導電性炭素の量的な管理を容易にするためである。以上のような性質を有する糖類としては、例えばデキストリンなどのオリゴ糖や、可溶性でんぷん、加熱により融解しやすい架橋の少ないでんぷん(例えば50%以上のアミロースを含むでんぷん)等の高分子多糖類が挙げられる。
【0048】
上記導電性炭素や、精製石炭ピッチ、糖類に代表される導電性炭素前駆物質は、適切なタイミングで原料(または未焼成反応物や焼成中間体)中に混合して添加される。添加時には、必要に応じて原料(同上)と充分に混合するための操作、例えば粉砕や混練を行うこともできる。
【0049】
導電性炭素や導電性炭素前駆物質は、生じる正極材料中において、導電性炭素の重量濃度が0.1%以上10%以下、好ましくは0.5%以上7%以下、より好ましくは1%以上5%以下となるように添加することができる。
【0050】
本発明方法において、焼成は、一連の昇温およびこれに引き続く温度保持過程の一回のみにより実施する方式に限らず、例えば第一段階のより低温域での焼成過程(通例常温〜300ないし450℃の温度範囲;以下、「仮焼成」と記すことがある)、および第二段階のより高温域での焼成過程[通例常温〜焼成完了温度(500℃ないし800℃程度);以下、「本焼成」と記すことがある]の2段階に分けて行うこともできる。この場合、以下のタイミングで導電性炭素や導電性炭素前駆物質の混合を行うことにより、得られる正極材料の性能をより向上させることができる。
【0051】
仮焼成においては、未焼成反応物が加熱により最終的な正極材料に至る中間的な状態まで反応し、その際、多くの場合は熱分解によるガス発生を伴う。仮焼成の終了温度としては、発生ガスの大部分が放出し終わり、かつ最終生成物の正極材料に至る反応が完全には進行しない温度(すなわち、より高温域での第二段階の本焼成時に正極材料中の構成元素の再拡散・均一化が起こる余地を残した温度)が選択される。
【0052】
仮焼成に続く本焼成では、構成元素の再拡散・均一化が起こるとともに、正極材料への反応が完了し、しかも焼結などによる結晶成長を極力防げるような温度域まで昇温および温度保持がなされる。
【0053】
導電性炭素前駆物質、特に加熱により融解する石炭ピッチや糖類を用いる場合は、仮焼成前の原料(スラリー状の未焼成反応物を含む)に添加することも可能であるが(この場合でも相応の正極性能向上効果が得られる)、さらに高性能の正極材料を得るには、仮焼成後の焼成中間体(既に原料からのガス発生の大半が終了し、中間生成物となった状態)に添加し、本焼成を行うことがより好ましい。つまり、焼成過程における仮焼成と本焼成との間に、導電性炭素前駆物質の添加工程を設けることになる。
【0054】
これにより、加熱により融解・熱分解する石炭ピッチや糖類等の物質が、原料(未焼成反応物)から発生するガスにより発泡することを防ぎ、より均一に正極材料の表面に溶融状態で広がり、より均一に熱分解炭素を析出させることができる。
【0055】
これは以下の理由による。
すなわち、仮焼成において1次反応生成物の分解により発生するガスの大半が放出されてしまう結果、本焼成ではガスの発生が殆ど起こらず、仮焼成後のタイミングで導電性炭素前駆物質を添加することにより、均一な導電性炭素の析出が可能になる。このため、得られる正極材料の表面導電性がさらに良好になり、また接触が強固に安定化される。これに対し、仮焼成前の未焼成反応物に導電性炭素前駆物質を添加すると、仮焼成中に未焼成反応物から旺盛に発生するガスにより、融解状態で未だ完全には熱分解していない導電性炭素前駆物質が発泡し、均一な析出が妨げられる。
【0056】
また、既に導電性を有し、加熱による重量減少、形態変化やガス発生が最早殆ど起こらなくなった炭素(導電性炭素;例えば、スス、カーボンブラックなどの黒鉛質炭素や無定形炭素など)を添加する場合は、仮焼成前の未焼成反応物にこれらの所定量を混合し、仮焼成から一連の焼成過程を開始することが好ましい。これにより、加熱反応する未焼成反応物と該導電性炭素との接触時間を長く取ることができ、その間に反応によって生じる正極材料の構成元素の拡散により、導電性炭素の粒界に正極材料が入り込み、より均一で安定な炭素−正極材料複合体を形成するとともに、正極材料粒子同士の焼結を効果的に防止できるからである。
【0057】
また、導電性炭素前駆物質、例えば加熱により融解・熱分解する石炭ピッチや糖類等の物質と、導電性炭素との両方を添加することは、高い正極性能を持つ正極材料を得る上で有効である。この場合、導電性炭素は仮焼成前の未焼成反応物に添加し、加熱により融解・熱分解する石炭ピッチや糖類等の物質は仮焼成後の焼成中間体に添加することが好ましい。
【0058】
本発明のさらに好ましい態様においては、所定量の水素や水分(水、水蒸気等)を継続的に炉内に不活性ガスとともに供給しながら未焼成反応物を焼成する。例えば、焼成過程の全時間に渡って、または特に500℃以下から焼成完了までの温度、好ましくは400℃以下から焼成完了までの温度、より好ましくは300℃以下から焼成完了までの焼成温度において、水素や水分を添加することができる。
【0059】
気体である水素を用いる場合、対象となる正極材料にもよるが、一般に採用されるような300〜900℃に至る焼成過程において、適切な温度範囲及び時間を選んで必要十分な量の水素を供給でき、正極材料表面の酸素原子への付加や脱酸素、正極材料の還元等を効果的に起こすことが可能である。
【0060】
本発明方法では、水素は、第二段階の焼成時の、少なくとも500℃以上の温度範囲において添加することができる。例えば第二段階の焼成時の好ましくは500℃以下から焼成完了温度までの温度範囲にわたって、より好ましくは400℃以下から焼成完了温度まで、望ましくは300℃以下から焼成完了温度までの範囲(例えば、ほぼ焼成期間全域)にわたって添加することができる。この範囲においては、恐らくは後述する理由から、結晶成長の抑制が効果的に起こる。さらに、第一段階の焼成時においても水素を添加すると、その還元性により正極材料の酸化が防止できる等の効果が期待できる。
【0061】
上記温度範囲における雰囲気中の水素の体積濃度は、およそ0.1%以上20%以下とすることができ、1%以上10%以下とすることが好ましい。これによって、前記遷移金属化合物からなる正極材料の結晶成長が好適に抑制される。
【0062】
本発明者らによる研究では、正極材料の原料(未焼成反応物)を、酸素ガス不存在下で水素および/または水分を供給しながら焼成すると、生じる正極材料の粒子の結晶性にわずかな乱れが生じ、生成する1次粒子がより細粒化されることが判明した。すなわち、水素および水分は有力な結晶成長抑制剤となることが実証された。このメカニズムは未だ明らかではないが、焼成中に未焼成反応物から合成され、成長する正極材料の結晶粒子の成長面において、表面酸素原子に水素が結合して水酸基を生じたり、その水酸基から生成した水分子が再脱離したりすることにより、結晶表面構造に乱れや不整合が生じる結果、粒子の成長が抑制されるものと考えられる。
【0063】
水は、水素と同様に結晶成長抑制効果を有する。その理由は未だ明らかではないが、水素ガス添加時と同様に、原料(未焼成反応物や焼成中間体の段階を含む)および正極活物質の表面に水酸基を生じさせ、これが結晶成長を遅らせるためではないかと推定される。また、水蒸気は、導電性炭素または熱分解により導電性炭素を生じ得る物質と高温(約500℃以上)で接触することによって、いわゆる水性ガス反応により水素と一酸化炭素を生じ、この水素によっても結晶成長抑制効果および還元効果が得られる。つまり、水分を連続的に供給し続けた場合、500℃以上の高温域においても、水性ガス反応によって、より多くの水素を確実に、かつ継続的に発生させることが可能であり、結晶成長抑制作用および還元作用を最大限に発揮させることが可能となる。
【0064】
水分の供給方法としては、炉内に噴霧するか、好ましくは予気化して水蒸気の形で供給する。供給温度範囲および供給量は水素の場合と同様にすることができる。すなわち、水は、第二段階の焼成時の、少なくとも500℃以上から焼成が完了する温度範囲において添加することが好ましい。例えば好ましくは第二段階の焼成時の500℃以下から焼成完了温度までの温度範囲にわたって、より好ましくは400℃以下から焼成完了温度まで、望ましくは300℃程度から焼成完了温度までの範囲(例えば、ほぼ焼成期間全域)にわたって、添加することができる。この範囲においては、恐らくは前記遷移金属化合物の表面酸素原子への水素付加や水酸基形成が良好に起こりやすいため、結晶成長の抑制が効果的に起こると考えられる。なお、第一段階の焼成時に水分を添加することもできる。
【0065】
上記温度範囲における雰囲気中の水蒸気の体積濃度は、およそ0.1%以上20%以下とすることができ、1%以上10%以下とすることが好ましい。これによって、正極材料の結晶成長が好適に抑制される。
【0066】
また、本焼成中において水素を添加して焼成する場合、添加された水素(水分から生じる水素を含む)が、加熱により融解・熱分解する石炭ピッチや糖類等の導電性炭素前駆物質に接触すると、恐らくは該物質の融液粘性を低下させるため、前述の炭素析出法において、さらに良好な状態を実現できる。例えば、導電性炭素前駆物質として、軟化温度が80℃から350℃の範囲内にあり、熱分解による減量開始温度が350℃から450℃の範囲内にあり、500℃以上800℃以下までの加熱分解により、導電性炭素を生成する精製石炭ピッチを用いる場合、焼成過程で融解状態になった石炭ピッチに水素(水分から生じる水素を含む)が作用すると、その粘性が低下し、流動性が向上して得られる正極材料中で極めて均一かつ被覆厚みの薄い析出状態が実現できる。
【0067】
本発明製造方法の概要を二段階焼成の場合を例に挙げて示す。
まず、二段階に分けて行われる焼成の第一段階の仮焼成後に導電性炭素前駆物質を添加する場合は、[原料の混合工程]、[必要に応じ粉砕、擂潰等を行う工程]、[第一段階の焼成工程]、[導電性炭素前駆物質の添加(必要に応じて、粉砕、混合、擂潰等を行うこともできる)]、[第二段階の本焼成工程]の順に実施される。
【0068】
また、二段階に分けて行われる焼成の第一段階の仮焼成前に導電性炭素を添加し、かつ第一段階の仮焼成後に導電性炭素前駆物質を添加する場合は、[原料の混合工程]、[必要に応じ粉砕、擂潰等を行う工程]、[導電性炭素の添加を行う工程(未焼成反応物とともに粉砕、混合、擂潰等を行うこともできる)]、[第一段階の仮焼成工程]、[導電性炭素前駆物質の添加(必要に応じて、焼成中間体とともに粉砕、混合、擂潰等を行うことができる)]、[第二段階の本焼成工程]の順に実施される。
【0069】
さらに、二段階に分けて行われる焼成の第一段階の仮焼成前に導電性炭素を添加する場合は、[原料の混合工程]、[必要に応じ粉砕、擂潰等を行う工程][導電性炭素の添加を行う工程(未焼成反応物とともに粉砕、混合、擂潰等を行うこともできる)]、[第一段階の仮焼成工程]、[必要に応じて焼成中間体の粉砕、混合、擂潰等を行う工程]、[第二段階の本焼成工程]の順に実施される。
【0070】
以上において、水素または水分を添加する場合は、少なくとも第二段階の本焼成工程の一部において、好ましくは第二段階の本焼成工程全域において、さらに望ましくは、これに加えて第一段階の仮焼成工程の少なくとも一部においても添加できる。
【0071】
以上のようにして得られる本発明の正極材料を使用した2次電池としては、例えば、金属リチウム電池、リチウムイオン電池、リチウムポリマー電池等を挙げることができる。
【0072】
以下、リチウムイオン電池を例に挙げ、2次電池の基本構成を説明する。リチウムイオン電池は、俗にロッキングチェア型とか、シャトルコック(バトミントンの羽根)型などと言われるように、充放電に伴い、負極、正極活物質の間をLi+イオンが往復することを特徴とする2次電池である(図1参照)。充電時には負極(現行系は黒鉛などのカーボンが用いられる)の内部にLi+イオンが挿入されて層間化合物を形成し(この時、負極カーボンが還元され、Li+の抜けた正極が酸化される)、放電時には、正極の内部にLi+イオンが挿入されて鉄化合物−リチウムの複合体を形成する(この時、正極の鉄が還元され、Li+の抜けた負極は酸化されて黒鉛等に戻る)。Li+イオンは充放電の間、電解質中を往復し、同時に電荷を運ぶ。電解質としては、例えばエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトンなどの環状有機溶媒と、例えばジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の鎖状有機溶媒との混合溶液に、例えばLiPF6、LiCF3SO3、LiClO4等の電解質塩類を溶解させた液状電解質、これらの液状電解質を高分子ゲル状物質に含浸させたゲル電解質、部分架橋ポリエチレンオキシドに前記電解質を含浸させたもの等の固体ポリマー電解質等が用いられる。液状電解質を用いる場合には、正極と負極が電池内で短絡しないようにポリオレフィン製等の多孔質隔膜(セパレータ)をそれらの間に挟んで絶縁させる。正極および負極は、正極材料および負極材料にそれぞれカーボンブラック等の導電性付与剤を所定量加え、例えばポリ4弗化エチレンやポリ弗化ビニリデン、フッ素樹脂等の合成樹脂、エチレンプロピレンゴムなどの合成ゴム等の結着剤および必要な場合はさらに極性有機溶媒を加えて混練、薄膜化させたものを用い、金属箔や金属網等で集電して電池が構成される。一方、負極に金属リチウムを用いた場合、負極ではLi(O)/Li+の変化が充放電とともに起こり、電池が形成される。
【0073】
【実施例】
次に、実施例等により、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらによって制約されるものではない。
実施例1
(1)正極材料の調製:
正極材料LiFePO4を、以下の手順で合成した。
▲1▼FeCl2・4H2O(和光純薬工業株式会社製)9.9405gを純水50mlに溶かした溶液、▲2▼(NH4)2HPO4(和光純薬工業株式会社製)6.603gを純水10mlに溶かした溶液、▲3▼LiOH・H2O(和光純薬工業株式会社製)2.098gを純水25mlに溶かした溶液、をそれぞれ準備した。以上▲1▼〜▲3▼において、純水としては水道水を蒸留した後イオン交換したものを使用した。
【0074】
溶液▲1▼に、溶液▲2▼、溶液▲3▼を加え、窒素雰囲気中で50℃に保ちながら2日間攪拌を行い、その後常温で真空乾燥し、未焼成反応物の乾燥物を得た。この未焼成反応物をアルミナ製るつぼに入れ、窒素ガスを200ml/分の流量で通気しながら、400℃にて5時間仮焼成を行った。この過程で副生成・揮発し、流通窒素と共に排出されたHClおよびNH4Clは、NaOH水溶液およびフィルターを通過させることによって捕集除去した。
【0075】
仮焼成後に取り出した試料にデキストリン(和光純薬工業株式会社製)0.0523gを加え、メノウ乳鉢にて混合後、窒素ガスを200ml流通しながら725℃で10時間本焼成を行い、炭素析出させた正極材料粉末を得た。
【0076】
この正極材料について、X線回折測定を行ったところ、オリビン型結晶構造を有するリン酸鉄リチウムLiFePO4に帰属する回折ピークが得られ、不純物の回折ピークは認められなかった。また、この正極材料について可溶化前処理後に炎光分析を行ったところ、Na、Kは0.01重量%の定量限界以下であった。また、Nコーダー法およびチオシアン酸第2水銀法による分析では、NおよびClも0.01重量%の定量限界以下であった。また、ICP発光分光法およびモリブデン青吸光光度法による分析により、Li:Fe:Pの含有元素モル比(Pを基準)は、0.99:1.00:1となり、化学量論比に一致した。一方、炭素コーダーによる分析では、炭素含有量は3.44重量%であった。以上から、この正極材料は、原料由来のLi以外のアルカリ金属や、Cl等の不純物を含まない高純度のリン酸鉄リチウムと炭素の複合体であり、しかも1次原料の仕込み組成だけで成分元素比が正確に制御できることが確認された。
【0077】
(2)2次電池の調製:
この正極材料と、導電性付与材としてのアセチレンブラック[デンカブラック(登録商標);電気化学工業株式会社製、50%プレス品]と、結着材としての未焼成PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)粉とを重量比で70.6/24.4/5となるように混合・混練して、厚さ0.7mmのシート状に圧延し、これを直径1.0cmに打抜いたペレットを正極とした。
【0078】
その後、ステンレス製コイン電池ケース(型番CR2032)に金属チタン網、金属ニッケル網をそれぞれ正負極集電体としてスポット溶接し、前記正極及び金属リチウム箔負極を多孔質ポリエチレン製隔膜セルガード3501(セルガード社製)を介して組入れ、電解液として1MのLiPF6を溶解したジメチルカーボネート/エチレンカーボネートの1/1混合溶液を満たして封入し、コイン型リチウム2次電池を作製した。正負極、隔膜、電解液等の一連の電池組立ては、アルゴン置換されたグローブボックス内で行った。
【0079】
(3)充放電試験
以上のようにして得た正極材料を組み込んだ2次電池について、正極ペレットの見かけ面積当たりの電流密度0.5mA/cm2にて、25℃の温度条件の下、3.0V〜4.0Vの作動電圧範囲で充放電試験を実施した。図2に、電流密度0.5mA/cm2における2サイクル目の充放電電圧特性を、また、図3に同条件における初期サイクル特性を示す。なお、放電容量は炭素含有量補正後の正極材料重量基準の値である。
【0080】
図2より、本発明方法で作成した正極材料を組み込んだリチウム2次電池は、極めて平坦な充放電電圧特性を示し、充放電末期の電圧の立ち上がり、立下りも鋭敏で、高い充放電特性を示すことが判る。また、図3に見られるように、同電池は安定した充放電サイクル特性を有しており、その放電容量は150mAh/g程度に達し(最大値は153mAh/g)、理論放電容量170mAh/gに近い値となった。
以上、実施例1に示されるように、本発明方法によれば、安価で入手が容易な原料から、優れた充放電特性を有するオリビン型リン酸鉄リチウムLiFePO4を直接合成できることが示された。
【0081】
【発明の効果】
本発明によれば、安価で入手が容易な原料である金属の塩化物と、同様に安価で入手が容易なリン酸アンモニウムや水酸化リチウムから直接2次電池用正極材料LinMPO4を製造できる。しかも、製造過程で沈澱の濾別などの煩雑な処理操作は必要とせずに、化学量論比の原料混合物から直接に未焼成反応物が得られ、これを焼成することによって不純物を含まない高純度の正極材料が得られる。また、原料の仕込み組成だけで成分元素比を正確に制御できるので、従来の原料を使用した製造方法に比べて各段に有利である。
【0082】
さらに、焼成過程では、塩化アンモニウムガスが発生し、正極材料から除去されるので、精製工程を設けなくても純度の高い正極材料LinMPO4が得られる。発生した塩化アンモニウムは、毒性が低く安全な物質であり、適切な手段(排ガスの水洗、フィルター除去など)を施すことによって容易に処理できる。
よって、本発明製造方法は、工業的な規模での2次電池用正極材料の製造において十分に利用可能な実用性の高い製造技術である。
【0083】
また、上記製造方法により得られる正極材料を使用した2次電池は、実用レベルを十分に上回る優れた電圧効率と有効電池放電容量を有する2次電池である。
【図面の簡単な説明】
【図1】2次電池の充放電挙動の説明に供する模式図。
【図2】実施例1で得たコイン型2次電池の充放電特性を示すグラフ図面。
【図3】実施例1で得たコイン型2次電池の初期充放電特性を示すグラフ図面。
【符号の説明】
10 負極
20 電解質
30 正極
40 外部回路
C 充電時
D 放電時
Claims (10)
- 原料を混合して反応させた後、焼成することにより、2次電池用正極材料LinMPO4(ここで、nは0〜1の数を示し、MはFe、CoもしくはMnから選ばれるいずれか一つ、または二つ以上の組合せを意味する)を得る2次電池用正極材料の製造方法であって、
前記原料として、前記焼成の過程で塩化アンモニウムガスが主に発生し、正極材料から除去されるように、次の原料(ア)〜(ウ)、
(ア)LiOH・aH2OまたはLi2CO3
(イ)MCl2・bH2Oおよび
(ウ)(NH4)cHdPO4
[ここで、aは0〜1の数、bは0〜6の数、cおよびdは互いに異なって1または2である]
の溶液を用いることを特徴とする、2次電池用正極材料の製造方法。 - 請求項1に記載の2次電池用正極材料の製造方法において、導電性炭素および/または加熱分解により導電性炭素を生じ得る物質を添加して焼成を行うことを特徴とする、2次電池用正極材料の製造方法。
- 請求項2に記載の2次電池用正極材料の製造方法において、前記焼成過程は、常温から300℃ないし450℃に至る第一段階と、常温から焼成完了温度に至る第二段階と、を含み、
加熱分解により導電性炭素を生じ得る物質を、第一段階の焼成後の焼成中間体に添加した後、第二段階の焼成を行うことを特徴とする、2次電池用正極材料の製造方法。 - 請求項3に記載の2次電池用正極材料の製造方法において、導電性炭素を、第一段階の焼成前の原料に添加して焼成を行うことを特徴とする、2次電池用正極材料の製造方法。
- 請求項2に記載の2次電池用正極材料の製造方法において、前記焼成過程は、常温から300℃ないし450℃に至る第一段階と、常温から焼成完了温度に至る第二段階と、を含み、
導電性炭素を、第一段階の焼成前の原料に添加して焼成を行うことを特徴とする、2次電池用正極材料の製造方法。 - 請求項3または請求項4に記載の2次電池用正極材料の製造方法において、前記加熱分解により導電性炭素を生じ得る物質が、ビチューメン類であることを特徴とする、2次電池用正極材料の製造方法。
- 請求項6に記載の2次電池用正極材料の製造方法において、前記ビチューメン類が、軟化温度80℃から350℃の範囲にあり、加熱分解による減量開始温度が350℃から450℃の範囲にあり、かつ、500℃から800℃の加熱分解・焼成により導電性炭素を析出し得る石炭ピッチであることを特徴とする、2次電池用正極材料の製造方法。
- 請求項3または請求項4に記載の2次電池用正極材料の製造方法において、前記加熱分解により導電性炭素を生じ得る物質が、糖類であることを特徴とする、2次電池用正極材料の製造方法。
- 請求項8に記載の2次電池用正極材料の製造方法において、前記糖類が、250℃以上500℃未満の温度域において分解を起こし、かつ150℃から分解までの昇温過程において一度は少なくとも部分的に融液状態をとり、さらに500℃以上800℃以下までの加熱分解・焼成によって導電性炭素を生成する糖類であることを特徴とする、2次電池用正極材料の製造方法。
- 請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の2次電池用正極材料の製造方法において、水素、水および水蒸気よりなる群から選ばれる1種または2種以上を添加して焼成を行うことを特徴とする、2次電池用正極材料の製造方法。
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