JP4475687B2 - コンクリート構造体用二液型エポキシ樹脂接着剤、およびそれを用いたコンクリート構造体の補修・補強方法 - Google Patents
コンクリート構造体用二液型エポキシ樹脂接着剤、およびそれを用いたコンクリート構造体の補修・補強方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、部材の接着、塗料、注型材料、複合材料マトリックスなどに用いられるコンクリート構造体用二液型エポキシ樹脂接着剤および、これを用いたコンクリート構造物の補修・補強方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
液状のエポキシ樹脂からなる主剤と液状のアミン化合物や酸無水物などからなる硬化剤からなり、主剤と硬化剤を直前に混合して使用する二液型エポキシ樹脂接着剤は、常温硬化が可能、無溶剤で使用可能、硬化時の気体発生がない、硬化後の諸物性が優れるなどの利点から、部材の接着、塗料、プライマー、シーリング剤、注型材料、繊維強化複合材料のマトリックス樹脂などの用途に広く用いられている。
【0003】
特に土木建築分野では、橋梁、トンネル、建物等のコンクリート構造物の経時劣化、地震による損傷に対する補修や、より大きな地震を想定した耐震基準の見直しなどのための補強のために液状のエポキシ樹脂を用いた工法が用いられる。このような補修・補強には、例えば鋼板を補強箇所の表面に樹脂を用いて貼り付ける鋼板補強方法や、例えば特開昭63−35967に示されるようにFRPを補強箇所の表面に樹脂を用いて貼り付けたりする方法、また、例えば特開平3−224901に示されるように補強箇所の表面に樹脂を含浸した強化繊維を貼り付けて補修・補強を行う方法が開示されている。
【0004】
二液型エポキシ樹脂接着剤を、部材の接着や塗料として、さらにコンクリート構造物の補修・補強目的で用いる場合、水直面や天井面に厚く塗る必要が生じる場合があるが、この場合は樹脂のたれ落ちを防ぐ手段が必要となる。
【0005】
たれ落ちを防ぐために、従来用いられてきた手段としては、二液型エポキシ樹脂の主剤に粒子状揺変性付与剤を配合する手法が挙げられる。この方法は、二液を混合した液体の揺変性により、厚く塗ってもたれ落ちが生じにくくする効果をもつが、大きなたれ落ち防止の効果を得ようとして粒子状揺変性付与剤の配合量を多くしようとすると、主剤の粘度および揺変性が大きくなりすぎ、容器からの取り出し、計量、硬化剤との混合などが行いにくくなるなど、作業性を低下させる問題点があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる従来技術の欠点を改良し、混合前の主剤、硬化剤の作業性に優れ、かつ混合後の揺変性が大きくたれ落ちの起こりにくいコンクリート構造体用二液型エポキシ樹脂接着剤、およびそれを用いたコンクリート構造体の補修・補強方法を提供せんとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明のコンクリート構造体用二液型エポキシ樹脂接着剤は上記課題を解決するため、次の構成を有する。すなわち、エポキシ樹脂を含んでなり、室温で120ポアズ以下の主剤と、脂肪族ポリアミンを含んでなり、室温で50ポアズ以下の硬化剤から構成され、前記主剤および前記硬化剤のいずれにも粒子状揺変性付与剤が配合されており、かつ、前記粒子状揺変性付与剤が、前記主剤中に0.5〜5重量%、前記硬化剤中に1〜20重量%、それぞれに配合されていることを特徴とするコンクリート構造体用二液型エポキシ樹脂接着剤である。
【0008】
また、本発明のコンクリート構造体の補修・補強方法は、上記課題を解決するため、次のいずれかの構成を有する。すなわち、前記二液型エポキシ樹脂接着剤を用い、その主剤と硬化剤を混合して得られるエポキシ樹脂組成物を含浸させた補強用繊維基材を、コンクリート構造体の表面に貼り付けて後、前記エポキシ樹脂組成物を硬化せしめることを特徴とするコンクリート構造体の補修・補強方法、前記二液型エポキシ樹脂接着剤を用い、その主剤と硬化剤を混合して得られるエポキシ樹脂組成物を介して、FRP板または鋼板をコンクリート構造物の表面に貼り付けて後、前記エポキシ樹脂組成物を硬化せしめることを特徴とするコンクリート構造体の補修・補強方法、または、前記二液型エポキシ樹脂接着剤を用い、その主剤と硬化剤を混合して得られるエポキシ樹脂組成物を、コンクリート構造物のヒビ割れ部分に注入して後、前記エポキシ樹脂組成物を硬化せしめることを特徴とするコンクリート構造体の補修・補強方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明のコンクリート構造体用二液型エポキシ樹脂接着剤を構成する主剤は、エポキシ樹脂と粒子状揺変性付与剤からなり、室温で液状である。エポキシ樹脂とは、分子内に複数のエポキシ基を有する化合物(以下、エポキシ樹脂化合物と称す)またはその複数種を混合したものを指す。エポキシ樹脂として室温で液状のものを用いることにより主剤を液状のものとすることができる。
【0010】
エポキシ樹脂には、室温で液状のエポキシ樹脂化合物を単独で用いても良いし、その複数種を混合したものでも良い。さらには、それらに、室温で固形のエポキシ樹脂化合物を混合したものでも良い。このようなエポキシ樹脂は主剤中に通常50〜99.5重量%、好ましくは70〜99.5重量%、より好ましくは80〜99.5重量%配合される。
【0011】
好ましく用いられるエポキシ樹脂化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂化合物、ビスフェノールF型エポキシ樹脂化合物、ビスフェノールS型エポキシ樹脂化合物、ビフェニル型エポキシ樹脂化合物、ナフタレン型エポキシ樹脂化合物、ノボラック型エポキシ樹脂化合物、フルオレン骨格を有するエポキシ樹脂化合物、フェノール化合物とジシクロペンタジエンの共重合体を原料とするエポキシ樹脂化合物、ジグリシジルレゾルシノール、テトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタン、トリス(グリシジルオキシフェニル)メタンのようなグリシジルエーテル型エポキシ樹脂化合物、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルアミノフェノール、トリグリシジルアミノクレゾール、テトラグリシジルキシレンジアミンのようなグリシジルアミン型エポキシ樹脂化合物、ビニルシクロヘキセンジエポキシドなどの脂環式エポキシ樹脂化合物が挙げられる。
【0012】
本発明において、主剤には、分子内に1個のエポキシ基を有する化合物を反応性希釈剤として主剤当たり45重量%以下、好ましくは25重量%以下であれば配合することもできる。分子内に1個のエポキシ基を有する化合物としては、フェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、スチレンオキシド、オクチレンオキシドなどが挙げられる。
【0013】
また、主剤には、エポキシ基を有しないがアミンと反応し得る化合物を添加材として主剤当たり30重量%以下、好ましくは20重量%以下であれば配合することができる。そのような化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネートやトリレンジイソシアネートなどのイソシアネート類を例として挙げることができる。さらにもう一つの例として、アミンとマイケル付加反応を行うα,β−不飽和カルボニル化合物、たとえばアクリル酸エステルやメタクリル酸エステルを挙げることができる。
【0014】
主剤には、その他の成分として、可塑剤、染料、有機顔料や無機充填材、高分子化合物、酸化防止剤、紫外線吸収剤、カップリング剤、界面活性剤などを適宜配合することもできる。
【0015】
本発明のコンクリート構造体用二液型エポキシ樹脂接着剤を構成する硬化剤は、前記エポキシ樹脂を硬化させうる成分(以下、硬化性成分と称す)と粒子状揺変性付与剤からなり、室温で液状である。硬化性成分とは、エポキシ樹脂を硬化させうる化合物またはこれらの混合物を指す。硬化性成分として室温で液状のものを用いることにより硬化剤を液状のものとすることができる。このような硬化性成分は、硬化剤中に通常50〜99重量%、好ましくは70〜99重量%、より好ましくは80〜99重量%配合される。
【0016】
硬化性化合物の種類としては、一般にアミン化合物、メルカプタン化合物、酸無水物等が挙げられるが、本発明では、特に室温硬化性や硬化物の物性の点でアミン化合物が用いられる。硬化性化合物は、単独の化合物であっても、複数の化合物の混合物でも良いが、それらは、室温で液状であるものを用いる。
【0017】
アミン化合物には、脂肪族アミン、芳香族アミン、イミン、塩基性窒素を含む複素環化合物などの有機化合物があるが、本発明では、特に脂肪族ポリアミンが用いられる。具体的には、下記のようなアミン化合物が挙げられる。例えば、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ジアミノブタン、ヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、4−アミノメチルオクタメチレンジアミン、3,3’−イミノビス(プロピルアミン)、3,3’−メチルイミノビス(プロピルアミン)、ビス(3−アミノプロピル)エーテル、1,2−ビス(3−アミノプロピルオキシ)エタン、メンセンジアミン、イソホロンジアミン、ビスアミノメチルノルボルナン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンである。
【0020】
さらに、硬化促進剤として、フェノール化合物を硬化剤に配合しても良い。フェノール化合物としては、ジイソプロピルフェノール、ノニルフェノールなどが好ましく用いられる。
【0021】
本発明において、硬化剤には、その他の成分として、可塑剤、染料、有機顔料や無機充填材、高分子化合物、酸化防止剤、紫外線吸収剤、カップリング剤、界面活性剤などを適宜配合することもできる。
【0022】
本発明において、主剤と硬化剤に配合される粒子状揺変性付与剤としては、各種の無機粒子が用いられる。具体的にはシリカ、アルミナ、アルミニウムとケイ素の混合酸化物、酸化チタン、軽質炭酸カルシウム、スメクタイト系粘土鉱物(モンモリロナイト、バイデライト、ベントナイト、ヘクトライト、サポナイトなど)、セピオライト、カーボンブラックなどが挙げられる。
【0023】
これらの内では、少量の配合で大きな揺変性付与効果を与えるため、シリカ粒子が好ましく用いられる。シリカ粒子としては、溶融法により得られるシリカ粒子(フューズドシリカ)、ケイ素の気相反応により得られるシリカ粒子、ゾルゲル法により得られるシリカ粒子、燃焼加水分解法により得られるシリカ粒子(フュームドシリカ)などを用いることができる。また、液相反応により得られるシリカが液体分散媒に分散したコロイドであるシリカゾルを用いることもできる。シリカゾルを用いる場合は、他成分とシリカゾルを混合した後、分散媒を熱や真空で除去する方法で主剤や硬化剤を調製する。
【0024】
これらの内では、フュームドシリカが、揺変性付与効果が特に大きいため、特に好ましく用いられる。
【0025】
シリカ粒子の平均一次粒子径は5〜200nmであることが好ましく、一次粒子径が5〜40nmであることがさらに好ましい。
【0026】
また、表面をシリコーンオイルやシランカップリング剤で処理したシリカ粒子も好ましく用いられる。
【0027】
シリカ粒子の市販品としては、フュームドシリカの“アエロジル”(日本アエロジル社)、ケイ素の気相反応により得られるシリカ粒子である“アドマファイン”(アドマテックス社)、フューズドシリカの“デンカ溶融シリカ”(電気化学工業)などを挙げることができる。シリカゾルとしては、“スノーテックス”(日産化学)などを挙げることができる。
【0028】
本発明のコンクリート構造体用二液型エポキシ樹脂接着剤において、その主剤における粒子状揺変性付与剤の配合量は主剤中に0.5〜5重量%であることが重要である。すなわち、0.5重量%より少ない場合は硬化剤と混合したときの増粘効果が得られにくく、5重量%より多い場合は主剤の粘度が高くなり取り扱い性が悪くなりがちである。
【0029】
本発明のコンクリート構造体用二液型エポキシ樹脂接着剤において、その硬化剤における粒子状揺変性付与剤の配合量は、硬化剤中に1〜20重量%であることが重要である。すなわち、1重量%より少ない場合は硬化剤を主剤と混合したときの増粘効果が得られにくく、20重量%より多い場合は硬化剤の粘度が高くなり取り扱い性が悪くなりがちである。
【0030】
粒子状揺変性付与剤は、単独でも複数の品種を組み合わせてもよい。例えば、シリカ粒子とアルミナ粒子の組み合わせなどが用いられうる。
【0031】
また、主剤に配合する粒子状揺変性付与剤と硬化剤に配合する粒子状揺変性付与剤は、同じであっても良く、異なっていても良い。主剤と硬化剤は主成分が異なるため、分散性や粘度の点から異なる粒子状揺変性付与剤を配合することが好ましい場合がある。
【0032】
粒子状揺変性付与剤を配合する場合、主剤および硬化剤に予め、三本ロールやホモミキサーなどを用いて配合しておくことが好ましい。作業前にエポキシ樹脂と硬化性化合物、および粒子状揺変性付与剤を同時に配合することもできるが、この場合、粒子状揺変性付与剤が分散しきらず、硬化後の硬化物の物性を低下させるので好ましくない。
【0033】
本発明のコンクリート構造体用二液型エポキシ樹脂接着剤における主剤は室温で液状であるが、具体的には、その粘度が120ポアズ以下であることを必須とする。好ましくは10〜100ポアズである。すなわち、その粘度が120ポアズより高くなると、容器からの取り出しや計量など、作業性を低下させてしまう。
【0034】
また、本発明のコンクリート構造体用二液型エポキシ樹脂接着剤における硬化剤は室温で液状であるが、具体的には、その粘度が50ポアズ以下ことを必須とする。好ましくは1〜30ポアズである。
【0035】
さらに、本発明において、主剤と硬化剤を混合して得られるエポキシ樹脂組成物の粘度は、通常130ポアズ以上、好ましくは150〜200ポアズである。これが130ポアズ未満であると、エポキシ樹脂組成物を水直面や天井面に塗布した場合に、樹脂のたれ落ちが起こることがある。
【0036】
主剤、硬化剤およびエポキシ樹脂組成物の粘度は、JIS−Z−8803における、円すい−平板形回転粘度計による粘度測定方法に準拠し、E型粘度計を用いて、20℃の雰囲気下で回転速度1回転/分で測定する。後述する実施例では、E型粘度計として、東機産業(株)製のものを用いた。
【0037】
さらに、本発明のコンクリート構造体用二液型エポキシ樹脂接着剤において、主剤と硬化剤を混合して得られるエポキシ樹脂組成物は、次式で表されるチキソトロピー指数が3以上であることが好ましい。
【0038】
チキソトロピー指数=(0.5回転/分で測定した粘度)/(5回転/分で測定した粘度)
チキソトロピー指数が3未満の場合、塗布作業時に粘度が下がらないため、塗布むらを生じたり、補強用繊維基材へ含浸させる場合に含浸不良を起こしやすい。
【0039】
なお、ここで、0.5回転/分で測定した粘度、5回転/分で測定した粘度とは、それぞれ、前述した粘度測定条件において、回転速度を1回転/分から0.5回転/分、5回転/分にそれぞれ変更したときの粘度である。
【0040】
本発明における主剤と硬化剤は、低粘度であるので取り扱い性が良好である上、それらを混合すると増粘して適度な粘度と揺変性を持つエポキシ樹脂組成物となるので、それを後述するような用途に用いた場合、塗布時の樹脂の垂れ落ちが極めて少なくなる。
【0041】
本発明の二液型エポキシ樹脂接着剤は、次のようなコンクリート構造体を補修・補強する用途に好適に用いられる。
【0042】
例えば、コンクリート構造体の表面に、前記主剤と硬化剤を混合して得られるエポキシ樹脂組成物を塗布し、その上に、強化繊維の一方向シート、クロスなどのシート状補強用繊維基材を貼り付け、更にその上に前記エポキシ樹脂組成物を塗布した後、含浸ローラーがけして補強繊維基材に樹脂含浸し、必要に応じてこれを繰り返した後に、エポキシ樹脂組成物を硬化させる、いわゆるハンドレイアップ法によりコンクリート構造体を補修・補強する方法である。
【0043】
また、補強用繊維基材として、強化繊維のストランドを用い、それに前記エポキシ樹脂組成物を含浸しながら柱等のコンクリート構造体の表面にスパイラル状に巻き付けて後に、エポキシ樹脂組成物を硬化させる、いわゆるフィラメントワインディング法によりコンクリート構造体を補修・補強することもできる。
【0044】
ここで用いる強化繊維としては、例えば炭素繊維、芳香族ポリアミド繊維、ガラス繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維、ステンレス繊維およびシリコーンカーバイド繊維があげられるが、これらの繊維を2種以上混合して用いても構わない。本発明においては、特に軽量で強度および弾性率に優れるため、炭素繊維が好ましく用いられる。
【0045】
また、FRP板や鋼板をコンクリート構造物の表面に貼り付ける際の接着剤として、前記エポキシ樹脂組成物を介して貼り付け、その後硬化させることにより、コンクリート構造体を補修・補強することもできる。
【0046】
または、前記エポキシ樹脂組成物を、コンクリート構造体のヒビ割れ部分に注入して後、前記エポキシ樹脂組成物を硬化せしめてコンクリート構造体を補修・補強することもできる。
【0047】
【実施例】
以下、実施例に基づき本発明をより具体的に説明する。なお、本実施例中、主剤と硬化剤の混合物の塗膜の垂れ落ちの評価は次のようにして行った。すなわち、主剤と硬化剤の混合物を垂直に立てかけたスレート板に樹脂目付け600g/m2で塗布し、23℃で1日間放置した後、垂れ落ちの有無を目視で評価した。
【0048】
(実施例1)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂化合物“エピコート”828(油化シェルエポキシ(株)製)784gとブチルグリシジルエーテル196gを混合し、得られた混合物にアエロジル#380(日本アエロジル(株)製、平均一次粒子径:7nm)の濃度が2.0重量%になる量である20gを添加後、ホモミキサーで30分間攪拌して主剤1000gを得た。
【0049】
この主剤の粘度は38ポアズであり取り扱い性が極めて良好であった。
【0050】
ビスアミノメチルノルボルナン(三井東圧(株)製)216gにアエロジル#380(日本アエロジル(株)製)の濃度が9.24重量%になる量である22gを添加し、ホモミキサーで30分間攪拌して硬化剤238gを得た。
【0051】
この硬化剤の粘度は3ポアズであり取り扱い性が極めて良好であった。
【0052】
得られた主剤1000gと硬化剤238gを混合しエポキシ樹脂組成物を得た。この組成物の粘度は150ポアズであり、チキソトロピー指数は3.6であった。また、スレート板に塗布した塗膜の垂れ落ちはなかった。
【0053】
(実施例2)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂化合物“エピコート”828(油化シェルエポキシ(株)製)780gと1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(油化シェルエポキシ(株)製)195gを混合し、得られた混合物にアエロジル#380(日本アエロジル(株)製)の濃度が2.3重量%になる量である25gを添加後、ホモミキサーで30分間攪拌して主剤1000gを得た。
【0054】
この主剤の粘度は43ポアズであり取り扱い性が極めて良好であった。
【0055】
イソホロンジアミン(ヒュルスジャパン(株)製)228gにアエロジル#380(日本アエロジル(株)製)の濃度が9.16重量%になる量である23gを添加し、ホモミキサーで30分間攪拌して硬化剤251gを得た。
【0056】
この硬化剤の粘度は5ポアズであり取り扱い性が極めて良好であった。
【0057】
得られた主剤1000gと硬化剤251gを混合しエポキシ樹脂組成物を得た。この組成物の粘度は160ポアズであり、チキソトロピー指数は3.5であった。また、スレート板に塗布した塗膜の垂れ落ちはなかった。
【0058】
(実施例3)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂化合物“エピコート”828(油化シェルエポキシ(株)製)784gとダイマー酸ジグリシジルエステル型のエポキシ樹脂化合物“エピコート”871(油化シェルエポキシ(株)製)196gを混合し、得られた混合物にアエロジル#380(日本アエロジル(株)製)の濃度が2.0重量%になる量である20gを添加後、ホモミキサーで30分間攪拌して主剤1000gを得た。
【0059】
この主剤の粘度は47ポアズであり取り扱い性が極めて良好であった。
【0060】
3,3−ジメチル−メチレンビスシクロヘキシルアミン(エアプロダクトジャパン(株)製)274gにアエロジル#380(日本アエロジル(株)製)の濃度が7.74重量%になる量である23gを添加し、ホモミキサーで30分間攪拌して硬化剤297gを得た。
【0061】
この硬化剤の粘度は6ポアズであり取り扱い性が極めて良好であった。
【0062】
得られた主剤1000gと硬化剤297gを混合しエポキシ樹脂組成物を得た。この組成物の粘度は152ポアズであり、チキソトロピー指数は3.3であった。また、スレート板に塗布した塗膜の垂れ落ちはなかった。
【0063】
(実施例4)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂化合物“エピコート”828(油化シェルエポキシ(株)製)683gと1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(油化シェルエポキシ(株)製)195gおよびO−sec−ブチルフェノールグリシジルエーテル(油化シェルエポキシ(株)製)98gを混合し、得られた混合物にアエロジル#380(日本アエロジル(株)製)の濃度が2.4重量%になる量である24gを添加後、ホモミキサーで30分間攪拌して主剤1000gを得た。
【0064】
この主剤の粘度は40ポアズであり取り扱い性が極めて良好であった。
【0065】
イソホロンジアミン(ヒュルスジャパン(株)製)58g3,3−ジメチル−メチレンビスシクロヘキシルアミン(エアプロダクトジャパン(株)製)232gを混合し、アエロジル#380(日本アエロジル(株)製)の濃度が7.35重量%になる量である24gを添加し、ホモミキサーで30分間攪拌して硬化剤314gを得た。
【0066】
この硬化剤の粘度は7ポアズであり取り扱い性が極めて良好であった。
【0067】
得られた主剤1000gと硬化剤314gを混合しエポキシ樹脂組成物を得た。この組成物の粘度は163ポアズであり、チキソトロピー指数は3.4であった。また、スレート板に塗布した塗膜の垂れ落ちはなかった。
【0068】
(比較例1)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂化合物“エピコート”828(油化シェルエポキシ(株)製)748gとブチルグリシジルエーテル187gを混合し、得られた混合物にアエロジル#380(日本アエロジル(株)製)の濃度が6.5重量%になる量である65gを添加後、ホモミキサーで30分間攪拌して主剤1000gを得た。
【0069】
この主剤の粘度は180ポアズであり、高粘度のため流動性が非常に少なかった。
【0070】
ビスアミノメチルノルボルナン(三井東圧(株)製)212gを硬化剤とした。
【0071】
得られた主剤1000gと硬化剤212gを混合しエポキシ樹脂組成物を得た。この組成物の粘度は133ポアズでありチキソトロピー指数は3.5であった。また、スレート板に塗布した塗膜の垂れ落ちはなかった。
【0072】
(比較例2)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂化合物“エピコート”828(油化シェルエポキシ(株)製)800gと1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(油化シェルエポキシ(株)製)200gを混合し、主剤1000gとした。
【0073】
この主剤の粘度は12ポアズであり、取扱い性は良好であった。
【0074】
イソホロンジアミン(ヒュルスジャパン(株)製)234gにアエロジル#380(日本アエロジル(株)製)の濃度が23.03重量%になる量である70gを添加し、ホモミキサーで30分間攪拌して硬化剤304gを得た。
【0075】
この硬化剤は20℃の雰囲気下では流動性を示さなかった。
【0076】
得られた主剤1000gと硬化剤304gを混合しエポキシ樹脂組成物を得た。この組成物の粘度は155ポアズであり、チキソトロピー指数は3.2であった。また、スレート板に塗布した塗膜の垂れ落ちはなかった。
【0077】
(比較例3)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂化合物“エピコート”828(油化シェルエポキシ(株)製)683gと1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(油化シェルエポキシ(株)製)195gおよびO−sec−ブチルフェノールグリシジルエーテル(油化シェルエポキシ(株)製)98gを混合し、得られた混合物にアエロジル#380(日本アエロジル(株)製)の濃度が2.4重量%になる量である24gを添加後、ホモミキサーで30分間攪拌して主剤1000gを得た。
【0078】
この主剤の粘度は40ポアズであり取り扱い性が極めて良好であった。
【0079】
ビスアミノメチルノルボルナン(三井東圧(株)製)202gを硬化剤とした。
【0080】
得られた主剤1000gと硬化剤202gを混合しエポキシ樹脂組成物を得た。この組成物の粘度は32ポアズであり、チキソトロピー指数は、1.3であった。また、スレート板に塗布した塗膜には垂れ落ちがみられた。
【0081】
【発明の効果】
主剤および硬化剤の作業性が非常に良好であり、該主剤と硬化剤を混合した組成物は塗布時の垂れ落ちが極めて少ないので、コンクリート構造体を補修・補強する用途において、好適に用いられる。
Claims (6)
- エポキシ樹脂を含んでなり、室温で120ポアズ以下の主剤と、脂肪族ポリアミンを含んでなり、室温で50ポアズ以下の硬化剤から構成され、前記主剤および前記硬化剤のいずれにも粒子状揺変性付与剤が配合されており、かつ、前記粒子状揺変性付与剤が、前記主剤中に0.5〜5重量%、前記硬化剤中に1〜20重量%、それぞれに配合されていることを特徴とするコンクリート構造体用二液型エポキシ樹脂接着剤。
- 前記二液型エポキシ樹脂接着剤に含まれている主剤と硬化剤を混合して得られるエポキシ樹脂組成物が、次式で表されるチキソトロピー指数が3以上である、請求項1に記載のコンクリート構造体用二液型エポキシ樹脂接着剤。
チキソトロピー指数=(0.5回転/分で測定した粘度)/(5回転/分で測定した粘度) - 前記粒子状揺変性付与剤は、平均一次粒子径が5〜200nmのシリカ粒子である、請求項1または2に記載のコンクリート構造体用二液型エポキシ樹脂接着剤。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のコンクリート構造体用二液型エポキシ樹脂接着剤を用い、その主剤と硬化剤を混合して得られるエポキシ樹脂組成物を含浸せしめた補強用繊維基材を、コンクリート構造体の表面に貼り付けて後、前記エポキシ樹脂組成物を硬化せしめることを特徴とするコンクリート構造体の補修・補強方法。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のコンクリート構造体用二液型エポキシ樹脂接着剤を用い、その主剤と硬化剤を混合して得られるエポキシ樹脂組成物を介して、FRP板または鋼板をコンクリート構造物の表面に貼り付けて後、前記エポキシ樹脂組成物を硬化せしめることを特徴とするコンクリート構造体の補修・補強方法。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のコンクリート構造体用二液型エポキシ樹脂接着剤を用い、その主剤と硬化剤を混合して得られるエポキシ樹脂組成物を、コンクリート構造物のヒビ割れ部分に注入して後、前記エポキシ樹脂組成物を硬化せしめることを特徴とするコンクリート構造体の補修・補強方法。
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