JP4474265B2 - タイヤ性能予測方法、タイヤ設計方法、タイヤ性能予測プログラム及び記録媒体 - Google Patents

タイヤ性能予測方法、タイヤ設計方法、タイヤ性能予測プログラム及び記録媒体 Download PDF

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Description

本発明は、タイヤ性能予測方法、タイヤ設計方法、タイヤ性能予測プログラム及び記録媒体にかかり、自動車等に使用されるトレッドパターンを有するタイヤの圃場における性能、特に、土等を含む流体を介するタイヤ性能を予測するタイヤ性能予測方法、タイヤ設計方法、タイヤ性能予測プログラム及び記録媒体に関する。
従来、空気入りタイヤ開発において、タイヤ性能は実際にタイヤを設計・製造し、自動車に装着して性能試験を行うことにより得られるものであり、性能試験の結果に満足できなければ設計・製造からやり直す、という手順を踏んできた。最近では、有限要素法等の数値解析手法や計算機環境の発達により、例えば、舗装路面を対象にしたタイヤ性能については、計算機でタイヤの剛体路面への荷重負荷、転動解析を行うことによる予測も可能になり、ここから幾つかの性能予測が行えるようになってきた。
タイヤの排水性能などタイヤが流体を介して使用される場合のタイヤ性能予測法を提案している(例えば特許文献1参照)。この技術では、トレッドパターンの排水性解析に代表される、水とタイヤの連成解析を必要とする複雑な現象の数値解析による性能予測を可能にしている。これらにより、流体を介しない舗装路面上でのドライ性能、水を介した路間上でのウェット性能については、設計・製造・性能評価のタイヤ開発サイクルの一部を数値解析で置き換えが可能になり、開発期間の短縮が図られてきている。
また、雪上路面を対象にした性能についても、弾性域または塑性域を判別しつつ雪モデルの変形計算を行う技術が知られている(例えば特許文献2参照)。
特開2001−9838号公報 特許第3332370号公報
しかしながら、タイヤ性能を得るための数値解析は、膨大な計算負荷を必要としており、簡便にタイヤ性能を得ることができない。
また、水や雪などの流体や材料を考慮したタイヤ性能の検討において雪に類似した土壌を含んだ圃場を想定した場合、雪上を走行するタイヤと圃場を走行するタイヤとでは取り扱う現象が大きく異なる場合がある。すなわち、土壌を含んだ圃場は、地盤により大きく状態が異なることが知られている。従って、圃場を一様な材料でモデル化して性能予測すると、実際の地盤に沿う結果を得ることができな場合がある。
本発明は、上記事実を考慮して、土などの圃場を介する実際に使用するタイヤ性能の予測を容易にすることができるタイヤ性能予測方法、タイヤ開発を効率化し、良好な性能のタイヤを得ることができるタイヤ設計方法、タイヤ性能予測プログラム及び記録媒体を得ることが目的である。
雪や土のような変形する路面上での有限要素法などの数値解析法によるシミュレーションが大規模で高コストとなる主因は、タイヤのみにならず路面形成物である雪や土などの材料を要素分割する必要があることで、その要素数がタイヤ単体での計算に比べて膨大となる点である。また、雪や土などの材料である路面形成物は弾性体でなく、永久変形を示す材料であり、計算をより複雑にしている。
そこで、請求項1に記載の発明のタイヤ性能予測方法は、次の(a)〜(e)の各ステップを含んでいる。
(a)接地及び転動の少なくとも一方により変形を与えることが可能でかつタイヤの回転軸と交差する平面で切断した2次元のタイヤ断面形状をタイヤ幅方向に所定幅展開することによりモデル化したタイヤモデルと、弾塑性体または塑性体を少なくとも含む材料で一部または全部が満たされると共に前記タイヤモデルの少なくとも一部と接触しかつ、前記タイヤモデルが接触されたときのタイヤの回転軸と交差する平面で切断した2次元の断面形状を前記平面の交差方向に一定幅展開することによりモデル化した圃場モデルと、を定めるステップ。
(b)前記タイヤモデル及び前記圃場モデルの変形計算を実行するステップ。
(c)前記変形計算後に、タイヤモデル及び圃場モデルとの境界面に予め定めた境界条件を付与しかつ、境界条件を付与した後のタイヤモデル及び圃場モデルについて前記ステップ(b)の計算を、前記タイヤモデル及び圃場モデルの変形が定常状態とみなせるまで繰り返して計算させるステップ。
(d)前記ステップ(b)またはステップ(c)におけるタイヤモデル及び圃場モデルの少なくとも一方のモデルに生じる物理量を求めるステップ。
(e)前記物理量により圃場におけるタイヤ性能を予測するステップ。
本発明では、タイヤと圃場(路面形成物)全体をモデル化して、大規模計算を実施するのではなく、タイヤ断面形状をモデル化して2次元的に解析を行う手法を導入する。ステップ(a)では、接地及び転動の少なくとも一方により変形を与えることが可能でかつタイヤの回転軸と交差する平面で切断した2次元のタイヤ断面形状をタイヤ幅方向に所定幅展開することによりモデル化したタイヤモデルと、弾塑性体または塑性体を少なくとも含む材料で一部または全部が満たされると共に前記タイヤモデルの少なくとも一部と接触しかつ、前記タイヤモデルが接触されたときのタイヤの回転軸と交差する平面で切断した2次元の断面形状を前記平面の交差方向に一定幅展開することによりモデル化した圃場モデルと、を定める。
まず、これから評価するタイヤの設計案(タイヤ形状・構造・材料・パターンの変更など)を数値解析上のモデルに落とし込むことで、数値解析が可能なタイヤモデル(数値解析モデル)を作成する。本発明のタイヤ性能予測方法では、タイヤを任意断面で切断した形状(タイヤ回転軸に対して交差する平面例えば垂直な平面での断面形状)をタイヤ幅方向に所定幅まで一様に展開し、円筒モデルとしてタイヤモデルを作成する。また、弾塑性体または塑性体を少なくとも含む材料でで一部または全部が満たされる目標性能に関わる圃場(路面を含むことができる)のモデル化を行い、圃場モデル(数値解析モデル)を作成する。圃場モデルは、タイヤモデルが接触されたときのタイヤの回転軸と交差する平面で切断した2次元の断面形状を平面の交差方向に一定幅展開することによりモデル化する。より詳細には、圃場モデルは、タイヤ前後方向と深さ方向には3次元モデルと同様の要素配置を用いるが、幅方向には1つの要素でモデル化を行う。この1要素の幅は、2次元タイヤモデルの幅よりも小さいことが好ましい。すなわち請求項2にも記載したように、前記圃場モデルは、前記タイヤモデルの所定幅より狭い一定幅でモデル化することができる。なお、圃場モデルには、路面モデルをさらに定めることもできる。
タイヤモデルは、パターンの高さや周方向への溝壁角度、ブロックの大きさ、ラグ溝の太さ、ピッチ数などを反映することができる。これにより、タイヤ幅方向、すなわちタイヤのセンター部からショルダー部にかけてのトレッドパターンの変化の影響が現れないものの、モデル化されている設計パラメータの影響に関しては、直接評価することができる。例えば、農業用タイヤのラグ形状の場合、ラグの形状がセンターからショルダーにかけて変化しているものが多い。溝壁は必ずしも周方向を向いているわけではなく、さらにセンター部とショルダー部でその形状も異なり、3次元モデルであっても、溝壁角度だけの効果を直接評価することは難しい。その点、2次元的なタイヤモデルであれば、その効果を直接評価することが可能であり、設計要因の寄与分離評価手法としても有効である。
また、土壌などを有する圃場では負荷がかかると内部構造(空洞や水と土で形成される構造)が変化して変形するが、除荷しても変形が回復して初期形状に戻ることは殆どない。このため、土壌などを有する圃場を数値モデルとして表現するために圃場を塑性体としたり、必要に応じて弾性体としての特性も与えることで荷重負荷時に適切な反力を発生させるようにモデル化する。このように土壌などを有する圃場を弾塑性体または塑性体(剛塑性体)としてモデル化することにより、高精度にタイヤ性能を予測することができる。
次のステップ(b)ではタイヤモデル及び前記圃場モデルの変形計算を実行し、その変形計算後に、ステップ(c)では、タイヤモデル及び圃場モデルとの境界面に予め定めた境界条件を付与しかつ、境界条件を付与した後のタイヤモデル及び圃場モデルについて前記ステップ(b)の計算を、前記タイヤモデル及び圃場モデルの変形が定常状態とみなせるまで繰り返して計算させる。
3次元モデルでは、外面は全て土壌の流出も流入も許されない。予め土壌の存在する領域(閉空間)と、何もない領域を与え、この閉空間の中で土が移動する。本発明における2次元の圃場モデルの場合も同様に、何れの外面も土壌の流入・流出を許可しない境界条件が付与される。ただし、3次元モデルの場合と異なり、圃場モデルを幅方向に1要素で領域形成していることから、この幅方向への土の動きを許可しない条件での解析を実行する。
次のステップ(d)では、ステップ(b)またはステップ(c)におけるタイヤモデル及び圃場モデルの少なくとも一方のモデルに生じる物理量を求めて、次のステップ(e)において、物理量により圃場におけるタイヤ性能を予測する。
このように、タイヤモデル及び圃場モデルを同時に考慮した数値解析を行い、タイヤ性能について数値予測する。
本発明の2次元的なタイヤモデル及び圃場モデルによる解析では、3次元モデルに比べて極端に計算時間が短かくなる。実際には、転動計算を行った際の計算時間として、タイヤを圃場モデル上に押し付けた後、一定速度まで加速する転動解析に要する時間の短縮化を図ることができる。これは、タイヤモデルの要素数が減少したこと、そして圃場モデルの要素数が大幅に減少したためである。すなわち圃場とタイヤの連成解析では、タイヤ表面で土壌と接触する可能性のある面を用いて、解析中にタイヤの表面要素と圃場の土壌要素とでの接触判定を行う必要があるため、接触面を構成する要素や土壌要素の数が減少することにより、この接触判定に要する時間を大幅に減少することが可能である。
請求項3に記載の発明は、前記圃場モデルは、前記材料及び前記断面形状の少なくとも一方が異なる複数の圃場状態をモデル化し、前記複数の圃場状態の各々についてタイヤ性能を予測することを特徴とする。
土壌の物性は大きなばらつきを有する場合がある。従って、土壌を単一のモデルとして扱う場合、材料の密度や材料定数などの物性が一様である。しかし、実際の土壌の物性がばらつくので、複数の土壌についてタイヤ性能予測する必要がある。そこで、圃場モデルとして材料及び前記断面形状の少なくとも一方が異なる複数の圃場状態をモデル化し、複数の圃場状態の各々についてタイヤ性能を予測する。一例としては、少なくとも二種類の地盤を圃場として採用することができる。これにより、単一のモデルによる結果、地盤条件によっては性能が得られないということは生じない。また、この結果をタイヤ設計に反映させる場合に、タイヤ性能を発揮できないといった不良品の発生を未然に防ぐことができる。なお、異なる圃場状態は、実際に3軸試験、貫入試験、せん断試験などを行い、それらにフィッティングする形でモデルを決定すればよい。
なお、異なる圃場状態を得るためには、請求項4にも記載したように、前記圃場モデルを、複数の材料モデルを積層して形成してモデル化するようにしてもよい。
このように、圃場モデルを深さ方向へ複数の層を成すようにモデル化すること、例えば、各層の材料(圃場を構成する材料)を、実測された貫入抵抗やせん断抵抗などの実測値に一致するように配置することにより、実際の圃場への再現性が高い圃場モデルを作成することが可能となる。
請求項5に記載の発明は、前記タイヤ性能の予測結果が所定性能に到達しないとき前記タイヤモデルを修正し修正したタイヤモデルについて前記ステップ(b)乃至ステップ(e)を実行させるステップ(f)、を含むことを特徴とする。
タイヤ性能の予測結果は、タイヤモデルの有効性を左右する。そこで、タイヤ性能の予測結果が予め有効であるとされた所定性能に到達しないときにタイヤモデルを修正し修正したタイヤモデルについて前記ステップ(b)乃至ステップ(e)を実行させることで、修正したタイヤモデルのタイヤ性能を求めることができる。この処理を繰り返すことにより、有効なタイヤ性能のタイヤモデルを求めることができる。
例えば、2次元のタイヤモデルと2次元の圃場モデルを用いて、パターンの最適化を行う。この場合、ブロックの周方向長さ、高さ、溝壁形状(溝壁角度分布)、ラグ溝の太さ、ピッチ数などをパラメータとすればよい。評価関数として、牽引力または推進力を最大化するような形状を推定する。一般的な勾配法による最適化手法、線形計画法、遺伝的アルゴリズム、ニューラルネットワークなどを用いればよい。
請求項6に記載の発明は、前記タイヤモデルをタイヤ径方向に複数に分割し、前記タイヤモデルの分割領域が前記圃場モデルへ沈下した状態における分割領域毎に前記タイヤ性能を予測すると共に、予測結果に基づいて前記分割領域毎に前記タイヤモデルを修正することを特徴とする。
圃場モデルにタイヤモデルが接触する場合、タイヤモデルが圃場モデルに沈下する場合がある。この場合、その沈下量によって、タイヤモデル及び圃場モデルの挙動が変動する。そこで、ある特定の沈下量を示す条件を付与したタイヤモデル形状に対する最適化計算を、その目的とする沈下量の水準数だけ実施する。すなわち、圃場性能を最適化する際に、パターンの厚さを複数に分割し、さらに各厚さに達する沈下量を示す条件のもとで最適化計算を行い、各トレッド厚さにおいて最適化形状を構築する。
例えば、ラグやブロックの高さを複数に分けて考え、各厚さに達する沈下量での最適化計算を行う。パターンの先端だけが沈下した状態での最適形状は、パタ一ンの先端だけに適用される、パターンの中腹まで沈下した状態での最適形状は、パターンの中腹での最適形状として適用される。例えば、沈下した量に応じて最適形状を推定し、それらを滑らかにつないだり直線でつないだりすることにより、タイヤの放射方向へのパターン形状を最適化できる。
このことを利用して、例えば簡便に溝壁形状を改良することができる。ここでは、パターンの溝壁形状を決定するために、修正したい溝壁高さに対応した沈下量で計算することを想定する。
農業用タイヤ等のラグ付きタイヤのパターンを考える。具体的には、溝壁角度数水準を用意し、それぞれの形状を有する2次元モデルに対して、圃場モデルに対するタイヤモデルの沈下量を所定量となるように制御して解析を行う。但し、沈下量を制御するために、2次元タイヤモデルに作用させる荷重を調整することで沈下量を調整する。この沈下量は、パターンの溝壁形状を変化させたい区間まで沈下するように設定する。転動中に沈下量が変化するため、極端に細かい区間の断面形状を最適化することは避けるべきである。各条件での転動時の推進力を計算し、各深さにおいて最も性能の良い形状を採用する。
請求項7に記載の発明のタイヤ設計方法は、請求項5または請求項6に記載のタイヤ性能予測方法により得られる2次元のタイヤモデルの少なくとも1つの形状を、3次元のタイヤモデルのタイヤ周方向及びタイヤ幅方向の少なくとも一方に適用して、3次元のタイヤモデルを形成し、形成したタイヤモデルに基づいてタイヤ設計する、ことを特徴とする。
タイヤ性能の予測結果を用いれば、性能が良好なタイヤを設計することができる。具体的には、タイヤを設計する場合、請求項5または請求項6に記載のタイヤ性能予測方法により得られる2次元のタイヤモデルの少なくとも1つの形状を、3次元のタイヤモデルのタイヤ周方向及びタイヤ幅方向の少なくとも一方に適用して、3次元のタイヤモデルを形成し、形成したタイヤモデルに基づいてタイヤ設計する。
このようにすることで、タイヤまわりの圃場を評価し、土などの土壌の挙動を予測しつつ、タイヤ性能として圃場性能を考慮したタイヤを設計することができる。
一例として、前記タイヤ性能予測方法で得られた圃場モデルに対して予測結果が良好な2次元のタイヤモデルの形状を3次元のタイヤモデルに適用することを想定する。通常、ある特定の地盤上を走行する際の牽引性能に最適化したラグ断面形状は、相対する地盤上においては性能が発揮されない傾向がある。それは、例えば軟らかい土の上を走行する際には、タイヤ前面に生じる走行抵抗を抑制する形状と、土壌に食い込んで推進力を発生する形状とが背反する関係にあるからである。このため、2次元のタイヤモデルとして得られた断面形状を、そのまま3次元形状に適用しても、2次元形状と同じ結果、すなわち、対象とした地盤上では狙い通りの性能が発揮されるものの、異なる地盤上では性能が発揮されない。
そこで、少なくとも2つの地盤を対象とした複数の圃場モデルについてそれぞれに対する最適形状を求め、それを組み合わせて3次元形状を作成する。具体的には、タイヤの幅方向に対して断面角度など、2次元解析で適用した形状パラメータに分布を持たせることになる。この場合、複数の2次元のタイヤモデルの形状案が、周知の最適化法によってタイヤの踏面内における分布を求めればよい。このように、2次元のタイヤモデルの形状において設計案の取捨選択を行うことにより、3次元のタイヤモデルでの最適化計算に必要なコストを大幅に減少することが可能である。これらの手順であれば、タイヤを製造して性能評価をする回数が極めて少なくなるため、タイヤ開発を効率化できる。
なお、コンピュータによってタイヤ性能を予測する場合、次のプログラムをコンピュータによって実行させることにより、容易かつ簡便にタイヤ性能を予測させることができる。
請求項8に記載の発明は、タイヤ性能予測プログラムであって、コンピュータによってタイヤ性能を予測するために、次の各ステップを含むことを特徴とする。
(1)接地及び転動の少なくとも一方により変形を与えることが可能でかつタイヤの回転軸と交差する平面で切断した2次元のタイヤ断面形状をタイヤ幅方向に所定幅展開することによりモデル化したタイヤモデルと、弾塑性体または塑性体を少なくとも含む材料で一部または全部が満たされると共に前記タイヤモデルの少なくとも一部と接触しかつ、前記タイヤモデルが接触されたときのタイヤの回転軸と交差する平面で切断した2次元の断面形状を前記平面の交差方向に一定幅展開することによりモデル化した圃場モデルと、を定めるステップ。
(2)前記タイヤモデル及び前記圃場モデルの変形計算を実行するステップ。
(3)前記変形計算後に、タイヤモデル及び圃場モデルとの境界面に予め定めた境界条件を付与しかつ、境界条件を付与した後のタイヤモデル及び圃場モデルについて前記ステップ(2)の計算を、前記タイヤモデル及び圃場モデルの変形が定常状態とみなせるまで繰り返して計算させるステップ。
(4)前記ステップ(2)またはステップ(3)におけるタイヤモデル及び圃場モデルの少なくとも一方のモデルに生じる物理量を求めるステップ。
(5)前記物理量により圃場におけるタイヤ性能を予測するステップ。
請求項9の発明は、コンピュータによってタイヤ性能を予測するためのタイヤ性能予測プログラムを記録した記録媒体であって、次の各ステップを含むことを特徴とする。
コンピュータによってタイヤ性能を予測するためのタイヤ性能予測プログラムを記録した記録媒体であって、次の各ステップを含むことを特徴とするタイヤ性能予測プログラムを記録した記録媒体。
(1)接地及び転動の少なくとも一方により変形を与えることが可能でかつタイヤの回転軸と交差する平面で切断した2次元のタイヤ断面形状をタイヤ幅方向に所定幅展開することによりモデル化したタイヤモデルと、弾塑性体または塑性体を少なくとも含む材料で一部または全部が満たされると共に前記タイヤモデルの少なくとも一部と接触しかつ、前記タイヤモデルが接触されたときのタイヤの回転軸と交差する平面で切断した2次元の断面形状を前記平面の交差方向に一定幅展開することによりモデル化した圃場モデルと、を定めるステップ。
(2)前記タイヤモデル及び前記圃場モデルの変形計算を実行するステップ。
(3)前記変形計算後に、タイヤモデル及び圃場モデルとの境界面に予め定めた境界条件を付与しかつ、境界条件を付与した後のタイヤモデル及び圃場モデルについて前記ステップ(2)の計算を、前記タイヤモデル及び圃場モデルの変形が定常状態とみなせるまで繰り返して計算させるステップ。
(4)前記ステップ(2)またはステップ(3)におけるタイヤモデル及び圃場モデルの少なくとも一方のモデルに生じる物理量を求めるステップ。
(5)前記物理量により圃場におけるタイヤ性能を予測するステップ。
コンピュータによってタイヤ性能を予測する場合、前記各ステップを含むタイヤ性能予測プログラムを記憶媒体に記憶するようにし実行させ、データ収集するようにすれば、過去の性能評価との比較や今後のデータ蓄積に役立てることができる。
以上説明したように本発明によれば、2次元のモデルを用いて、土壌などの弾塑性体や塑性体を少なくとも含む圃場を考慮してタイヤの性能を予測したり解析したりすることを可能にし、タイヤ開発の効率を向上できると共に、良好な性能のタイヤを得ることができる、という効果がある。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。本実施の形態は空気入りタイヤの性能予測に本発明を適用したものである。
図2には本発明の圃場性能を考慮してタイヤの性能予測を実施しつつタイヤの最適化をするためのパーソナルコンピュータの概略が示されている。このパーソナルコンピュータは、データ等を入力するためのキーボード10、予め記憶された処理プログラムに従ってタイヤの性能を予測するコンピュータ本体12、及びコンピュータ本体12の演算結果等を表示するCRT14から構成されている。
なお、コンピュータ本体12には、記録媒体としてのフレキシブルディスク(FD)が挿抜可能なフレキシブルディスクユニット(FDU)を備えている。なお、後述する処理ルーチン等は、FDUを用いてフレキシブルディスクFDに対して読み書き可能である。従って、後述する処理ルーチンは、予めFDに記録しておき、FDUを介してFDに記録された処理プログラムを実行してもよい。また、コンピュータ本体12にハードディスク装置等の大容量記憶装置(図示省略)を接続し、FDに記録された処理プログラムを大容量記憶装置(図示省略)へ格納(インストール)して実行するようにしてもよい。また、記録媒体としては、CDやDVD等の光ディスクや、MD,MO等の光磁気ディスクがあり、これらを用いるときには、上記FDUに代えてまたはさらにCD−ROM装置、CD−RAM装置、DVD−ROM装置、DVD−RAM装置、MD装置、MO装置等を用いればよい。
図1は、本実施の形態の処理ルーチンを示すものである。本処理は、タイヤの性能予測評価を行いつつタイヤの最適形状を導出するものである。ステップ100では、評価するタイヤの設計案(タイヤ形状、構造、材料、パターンの変更など)を定める。また、ステップ100では、データベース化した圃場性能の計測結果や圃場におけるせん断強度に関する関係(例えば近似式で表される)を読み取る。これらの圃場性能の計測結果や圃場におけるせん断強度の関係についての技術は、本出願人が既に出願済みの技術(特願2004−232660号)を用いることができる。
圃場性能を得る技術の一例を説明する。まず、実際の圃場計測を行い、それを用いて数値演算により圃場性能の予測値を求める。数値演算は、圃場とタイヤを連成し、タイヤに作用する接地圧に対応するせん断応力分布を求めたのちにトラクションを求めて予測値を得る。例えば、土質試験による圃場計測を行い、計測結果をデータベース化する。なお、圃場の材料特性としては、圃場の間隙比と、応力と、せん断強度との関係を測定する。また、タイヤに接する流体として土などを含む圃場でよく、また弾塑性体や塑性体を含むものでもよく、例えば粒子状の氷塊を含む流体や土や泥、霜化した土や泥を含む流体などの各々や組み合わせでもよい。
圃場は、深さ方向への強度を再現することが困難なため、実圃場でせん断抵杭を測定すると共に、貫入抵抗を測定する。貫入抵抗は、圃場の深さ方向への強度分布を示すものである。なお、圃場モデルを深さ方向へ複数の層を成すようにモデル化するために、各層の材料(圃場を構成する材料)を、実測する。すなわち、圃場(土壌)表面での強度を測定することで、せん断抵抗値を計測し、その圃場(土壌)の深さ方向への強度分布を測定することで、貫入抵抗値を計測する。せん断抵抗は、圃場(土壌)の強度測定として、垂直応力とせん断応力との関係の計測が対応する。また、貫入抵抗は、圃場(土壌)の強度測定として、圧力と沈下量との関係の計測が対応する。この計測結果をデータベース化する。これにより、自由に圃場のデータを利用することができる。計測結果の一例として、圃場(土壌)表面での強度測定であるせん断抵抗値の計測結果(垂直応力とせん断応力との関係、図3)、貫入抵抗値の測定結果(圧力と沈下量との関係、図4)がある。
次に、圃場の間隙比、圧力、せん断強度との関係を関数近似する。詳細には、圃場は、間隙比、圧力、及び応力が関係する。この場合、圃場が有するべき特性として、体積歪みと、間隙比と、密度との間には所定の関係があり(図6)、また圃場の間隙比と圧力の対数値が比例する(図5)。また、圧力と体積歪みは比例しない。体積弾性係数Kが圧力の関数であることから、密度の関数として表現できるので、ポアソン比を仮定すれば(例えば0.3)、せん断弾性係数を決定できる。なお、図7には、密度と圧力との関係を示した。
以上の関係を用いて、圃場を構成する物質、すなわち土の粒子と間隙を満たす材料の密度から、圃場の密度と間隙比を関係づけた関数を導出し、間隙比の変化と圃場の体積歪みを関係づけた関数を導出する。この圃場に生じる圧力増分は、体積歪みなどを用いた指数関数を採用することができる。そして、体積弾性率やせん断弾性率は、この圧力に応じて決定する関数として導出することができる。せん断強度は、これらの過程で計算される圧力や塑性歪みにより決定される関数として導出することができる。以上の手順により、圃場が有するせん断強度を決定する関数を導出することができる。すなわち、圃場に関して、間隙比や圧力が密度で表されることから、せん断強度と間隙比、圧力の関係は、せん断強度と密度の関係式として、次の関数fによって例えば多項式を用いて近似式で表現することができる。
Figure 0004474265
これによって、土壌などを含む圃場を上記関数式に基づいてモデル化することができる。詳細には、せん断抵抗と貫入抵抗を計算により求め、求めた抵抗値と実測値とが、せん断および貫入とも合うように圃場モデルに用いるパラメータを設定することで、タイヤの圃場性能を予測するに足りる圃場モデルを作成することができる。すなわち、圃場モデルについて、せん断抵抗値や貫入低抗値を多数予め計算しておき、せん断抵抗値や貫入低抗値をもととするデータベース構築することが好ましい。
次のステップ102では、タイヤ設計案を数値解析上のモデルに落とし込むため、タイヤモデルを作成する。このタイヤモデルの作成は、本実施の形態では数値解析手法として有限要素法(FEM)を用いるものとする。従って、上記ステップ102で作成するタイヤモデルは、有限要素法(FEM)に対応した要素分割、例えば、メッシュ分割によって複数の要素に分割され、タイヤを数値的・解析的手法に基づいて作成されたコンピュータプログラムヘのインプットデータ形式に数値化したものをいう。この要素分割とはタイヤ、圃場(流体)、及び路面等の対象物を小さな幾つかの(有限の)小部分に分割することをいう。この小部分ごとに計算を行い全ての小部分について計算した後、全部の小部分を足し合わせることにより全体の応答を得ることができる。なお、数値解析手法には差分法や有限体積法を用いても良い。
ここで、タイヤモデルを3次元的に解析する場合、計算量が膨大となり、結果を簡単に得ることができない。そこで、本実施の形態は、タイヤと圃場の連成を考慮しつつもタイヤの性能予測結果を容易に得るため、タイヤモデルについて2次元タイヤモデルで性能評価をした後に、その2次元タイヤモデルを用いて3次元タイヤモデルを生成し、最終的にタイヤの性能予測をする。
このため、ステップ102では、タイヤ設計案を数値解析上のモデルに落とし込むため、2次元タイヤモデルを作成する。ここでは、タイヤ回転軸に垂直な平面で切断した断面形状のタイヤ断面モデルを作成する。従って、タイヤ同転軸に垂直で、トレッドパターンと交差する任意の平面での形状が作成される。通常はタイヤのリングモデル上にラグやプロツクの断面形状が取り付けられた形状となる。図8には、タイヤモデルを示すもので、(A)は3次元モデル、(B)はその断面モデルに相当するリングモデル上にラグやプロツクの断面形状が取り付けられた形状モデルを示した。この2次元モデルは、リブ溝の位置するような箇所で作成する必要はない。この段階ではタイヤモデルに加え、パタ一ンのピッチ、ラグ、ブロックの高さ、ラグやブロックの周方向の長さ、パターンの溝壁角度などがモデル化される。
2次元タイヤモデルを作成した後にはステップ104へ進み、圃場モデルを作成する。このステップ104では、2次元タイヤモデルと同様に、2次元的に扱うための2次元圃場モデルを作成する。なお、この2次元圃場モデルは、圃場断面ではなく、2次元タイヤモデル用の断面抽出が可能な圃場モデルである。また、2次元の圃場モデルは、タイヤ前後方向と深さ方向には3次元モデルと同様の要素配置を用いるが、幅方向には1つの要素でモデル化を行う。この1要素の幅は、2次元タイヤモデルの幅よりも小さいことが好ましい。すなわち、圃場領域は、タイヤ前後方向と深さ方向には3次元モデルと同様の要素配置を用いるが、幅方向には1つの要素でモデル化を行う。この1要素の幅は、2次元タイヤモデルの幅よりも小さくすることが好ましい。この圃場モデルを図9に示す。図9(A)は3次元圃場モデルであり、図9(B)は2次元圃場モデルである。なお、圃場モデルには、路面モデルをさらに定めることもできる。
この圃場モデルは、土などの土壌を含む流体である。圃場モデルの作成は、タイヤの一部(または全部)および接地面、タイヤが移動・変形する領域を含む圃場(流体領域)を分割し、モデル化するものである。詳細には、圃場を複数の単一の材料モデルからなる層を積層して構成する。この各々の層である材料モデルは、上述のように、圃場の間隙比(又は密度)、圧力、せん断強度の関係が指数関数や対数関数、そして多項式を組み合わせて関数化されており、さらに実測した貫入試験やせん断試験により決定されたパラメータとして定められる。
なお、後述するように、本実施の形態では、複数の地盤すなわち異なる土壌などによる圃場物性を考慮するため、単一の圃場材料についての性能評価を複数行い、それらをデータとして保存する。このため、ステップ104では、初期値としての圃場物性を定めた圃場モデルを作成する。
2次元圃場モデルの作成が終了すると、路面モデルの作成と共に路面状態の入力をすることで、評価可能な環境構築を終了する。ここでは、圃場として畑などにおける土壌を想定する場合、路面のモデル化は特に必要はない。
次のステップ108では、境界条件の設定がなされる。すなわち、タイヤモデルの一部は圃場モデルの一部に介在することになるので、圃場モデルおよびタイヤモデルに解析上の境界条件を与えてタイヤおよび圃場の挙動をシミュレートする必要がある。この手順は、タイヤ転動時とタイヤ非転動時の場合で異なる場合があるので、入力等によりタイヤ転動時とタイヤ非転動時の選択を行えばよい。
ステップ108における、タイヤ転動時における境界条件の設定では、まず、圃場モデル(流体領域)に流入・流出に関する境界条件を与える。この流入・流出に関する境界条件は、圃場モデル(流体領域)の上面は自由に土や泥などの流体が流出し、その他の前面、後面、側面、下面は壁(流入・流出なし)として扱う。ここで、3次元モデルでの外面はすべて土の流出も流入も許されない。予め土壌などの圃場の存在領域と、何もない領域(void)を与え、この閉空間の中で土壌が移動する。2次元モデルの場合も同様に、何れの外面も土壌の流入・流出を許可しない境界条件を付与する。但し、3次元モデルと異なる点は、2次元穂場モデルが幅方向に1要素で領域を形成していることから、この幅方向への土の動きを許可しない条件で解析する点である。次に、タイヤモデルには内圧を与え、次に、タイヤモデルに回転変位及び直進変位(変位は力、速度でも良い)の少なくとも一方と、予め定めた負荷荷重とを与える。なお、路面との摩擦を考慮する場合は、回転変位(または力、速度でもよい)もしくは直進変位(または力、速度でもよい)のどちらか一方のみでよい。
また、ステップ108における、タイヤ非転動時における境界条件の設定では、まず、流体モデルに流入・流出に関する境界条件を与える。ここでは、解析を定常状態で行うため、タイヤモデルは進行方向に静止し、圃場の材料である土や泥などが進行速度でタイヤモデルに向かって移動するモデルを考える。すなわち、圃場モデル(流体領域)内の土や泥などの流体に流速を与える。流入・流出に関する境界条件は流体モデル(流体領域)の前面は進行速度で流入、後面は流出とし、上面、側面、下面は転動時と同様である。そして、タイヤモデルには内圧を与えてタイヤモデルに負荷荷重を与える。
次のステップ110では2次元タイヤモデルの変形計算を行い、次のステップ114では2次元圃場モデルの変形計算を行う。これら2次元のタイヤモデル及び圃場モデルの変形について定常な状態を得るために、タイヤモデルの変形計算及び圃場モデルの変形計算をそれぞれ所定時間(例えば1msec)以内で単独計算を行い、一定時間(例えば1msec)毎に両者の境界条件を更新する。
なお、圃場モデルの変形計算では、図10に示す応力計算処理が実行される。まず、ステップ319で、圃場の各要素について、流体要素への流入および流出質量の関係から密度変化を求め、現在の密度を求める。ステップ320で、密度から圧力を求める。次のステップ322において、密度または先に求めた圧力から体積弾性係数を求める。次のステップ324において、先に求めた体積弾性係数とポアソン比からせん断弾性係数を求める。次のステップ325において、この流体要素近傍の流速差から変さ歪みが求まり、次のステップ326では、これまでに求めたせん断弾性係数と偏差歪みを用いて偏差応力を求めて、次のステップ328において、これまで求めた圧力と偏差応力から応力を求める。
上記タイヤモデルの変形計算と圃場モデルの変形計算はどちらを先に計算しても良いし、また並行して計算しても良い。また、これらの変形計算では、経過時間(単独経過時間)の所定時間として1msecを採用できるがこれに限定するものではなく、10msec以下の経過時間を採用することができ、好ましくは1msec以下であり、更に好ましくは1μ・sec以下の経過時間を採用することができる。また、この経過時間は、各々で異なる時間を定めても良い。
次のステップ118では、タイヤモデルの変形計算および圃場モデルの変形計算それぞれ単独の計算を一定時間(例えば1msec)づつ行った後、これらを連成させるため、タイヤモデルの変形に応じて圃場モデルの境界面を認識し、境界条件を更新させた後、タイヤモデルに表面圧を付加する。すなわち、ステップ118では、境界条件更新の後に、圃場モデルの変形計算で計算した圧力をタイヤモデルにタイヤモデルの境界条件(表面力)として付加し、圧力によるタイヤモデルの変形を次のタイヤモデルの変形計算で計算させる。圃場側は変形後のタイヤモデルの表面形状を新たな壁として境界条件に取り入れ、タイヤモデル側は圃場の圧力をタイヤモデルにかかる表面力として境界条件に取り入れる。これを一定時間ごとに繰り返すことにより、タイヤ性能予測に関わるタイヤモデル及び圃場モデルの変形について定常な状態を擬似的に作り出すことができる。なお、上記では境界条件に取り入れる繰り返しの時間(単独経過時間)を一定時間として1msecを一例として挙げたが、10msec以下の時間を採用することができ、好ましくは1msec以下であり、更に好ましくは1μ・sec以下の時間を採用することができる。
次のステップ120では、計算終了か否かを判断し、ステップ120で肯定されるとステップ122へ進み、ステップ120で否定されると、ステップ110へ戻り、再度タイヤモデルの変形計算および圃場モデルの変形計算それぞれ単独の計算を所定時間づつ行う。なお、具体的な判断方法としては、対象とする物理量(圃場からの反力、圧力、流速等)が定常状態とみなせる(以前に計算した物理量と同じとみなせる状態)まで繰り返し計算し、計算が終了した場合には肯定判断とする。または、タイヤモデルの変形が定常状態とみなせるようになるまで繰り返す。さらに、所定時間になったら終了させることも可能である。他の判断方法としては、解析対象部分の変形が終了するまで繰り返し計算し、計算終了とした場合には肯定判断とする。解析対象部分の変形とは、転動によりタイヤの一部分が路面モデルに接触後に路面モデルから離れるまでの間、または沈下量の変動が微小となる圃場モデルの材料モデルの層に到達後にそこから離間するまでの間、もしくは圃場モデルに接触後に予め定めた沈下量に達するまでの間の変形を指す。
以上のようにして、タイヤモデルの変形計算及び圃場モデルの変形計算、そして両者の連成のための境界条件変更及び境界条件(表面力)の付加を行った後、変更した境界条件で計算を行う。これを繰り返し、計算が終了した場合には、ステップ120で肯定され、ステップ122へ進み、計算結果を予測結果として出力し、予測結果の評価を行う。なお、繰り返し計算中に、その時点における計算結果を出力し、その出力について評価したり、逐次評価したりしてもよい。すなわち、計算中に出力・評価してもよい。
予測結果としてせん断応力が求まる場合、せん断応力は積分することによってトラクションが求まるので、結果として求まるせん断応力を積分し、トラクションを求めて予測結果としてもよい。
また、予測結果の出力は、せん断応力、圧力、エネルギー等の値もしくは分布を採用することができる。予測結果の出力の具体的な一例として、圧力の出力と可視化、及び応力分布の出力と可視化がある。また、評価は、トラクションが許容値であるかなどの評価や、主観評価(全体的に、スムーズに流れているか、流れの方向による乱れの判断等)、圧力・エネルギーが局所的に上昇していないか等を採用することができる。また、パターンの場合、溝内移動を採用することもできる。また、タイヤモデルの場合、タイヤが回転することにより、タイヤが土や泥等の流体を挟み込み、前方に押し出す量が多いか等を採用することができる。この予測結果の評価は、予測結果の出力値や出力値の分布を用いて、予め定めた許容値や許容特性を各出力値や出力値の分布にどの程度適合するかを数値的に表現することによって、評価値を定めることができる。
次に、ステップ124では、上記予測結果の評価から、予測性能が良好であるか否かを判断する。このステップ124の判断は、キーボードによる入力によってなされてもよくまた、上記評価値に、許容範囲を予め定めておき、予測結果の評価値が許容範囲内に存在するときに、予測性能が良好であると判断するようにしてもよい。
予測性能の評価の結果、目標性能に対して不十分であるときは、ステップ124で否定され、次のステップ126においてパターンを最適化(2次元タイヤモデルを変更(修正))してステップ108へ戻りこれまでの処理をやり直す。一方、性能が十分であるときは、ステップ124で肯定され、次のステップ128で上記性能が良好と判断した2次元タイヤモデルのデータを保存する。
以上のようにして、2次元タイヤモデルと2次元圃場モデルとにより、2次元タイヤモデルの圃場性能予測処理を実行する。これらの処理は、2次元モデルであり、リブ溝の位置は幅、そしてラグ溝の角度などを考慮することが基本的に不要のため、計算負荷は大幅に縮小する。すなわち、パタ一ンのピッチ、ラグ、ブロックの高さ、ラグやブロックの周方向の長さ、パターンの溝壁角度などが最適化される。なお、上記では、複数のタイヤ断面について処理することが好ましい。
ここで、ステップ126において圃場性能を向上させるために2次元タイヤモデルを最適化する場合、各種周知の最適化手法を用いた一般的に用いられる最適化手法を適用すればよい。この場合、ブロックの周方向長さ、高さ、溝壁形状(溝壁角度分布)、ラグ溝の太さ、ピッチ数などをパラメータとすればよい。評価関数として、牽引力または推進力を最大化するような形状を推定する。一般的な勾配法による最適化手法、線形計画法、遺伝的アルゴリズム、ニューラルネットワークなどを用いればよい。
この場合、計算負荷を軽減するための一例として、2次元タイヤモデルのパターンを変更することにより最適な形状を求める場合を説明する。図11には、2次元タイヤモデルのうちラグ断面について傾斜角度が異なる9種類のパターンを示した。ラグ断面の最適形状を得るために、これら9種類のパターンの各々について上記ステップ108乃至ステップ122の処理を行い、予測結果または評価値を得る。これらの9種類の結果からステップ124で予測性能が良好なパターンを選択する。これにより、上記ステップ104で定めた初期値としての圃場物性または後述するステップ132で変更した圃場物性に対して最適なパターンを求めることができる。
なお、圃場性能を向上させるために2次元タイヤモデルを最適化する場合には、2次元タイヤモデルのトレッド(パターン)の厚さを複数に分割し、さらに各厚さに達する沈下量を示す条件のもとで最適化計算を行い、各トレッド厚さにおいて最適化形状を構築することができる。
例えば、上記9種類のパターンを用いて簡便に溝壁形状を改良する一例を説明する。ここでは、パターンの溝壁形状を決定するために、修正したい溝壁高さに対応した沈下量での計算を実行する場合を説明する。これは、ある特定の沈下量を示す条件を付与したタイヤモデル形状に対する最適化計算を、その目的とする沈下量の水準数だけ実施することに相当する。
例えば農業用タイヤのラグ付きタイヤのようなパターンを考える。具体的には、溝壁角度数水準を用意し、それそれの形状を持つ2次元モデルに対して、図12に示すように沈下量をコントロールして解析を行う。すなわち、ラグ断面の最適形状を得るために、ラグ断面について傾斜角度が異なる9種類のパターンの各々のラグ断面について図12に示すように、各層についての計算(最適化)を実行する。図12の例では、ラグ先端が1/3沈む場合、ラグ先端が2/3沈む場合、ラグ先端が全て沈む場合、の3種類を想定し、各層でどのラグ断面が最適であるのかを考慮することができる。これによって、各層について最適なラグ断面となるラグ断面形状を求めることができる。ただし、沈下量をコントロールするために、2次元タイヤモデルに作用させる荷重を調整することで沈下量を変更することには注意が必要である。この沈下量は、パターンの溝壁形状を変化させたい区間まで沈下するように設定する。転動中に沈下量が変化するため、極端に細かい区間の断面形状を最適化することは避けるべきである。各条件での転動時の推進力を計算し、各深さにおいて最も性能の良い形状を採用する。
圃場物性に対して最適なパターンが求まり、そのデータ保存が終了すると(ステップ128)、ステップ130へ進み、上記の計算が圃場物性の総数に到達したか否かを判別することによって、形態対象とする全ての圃場物性についての予測性能が得られるタイヤモデル(パターン)を得ることができたか否かを判断する。ステップ130で工程された場合はそのままステップ134へ進み、否定された場合は、ステップ132において圃場モデルに異なる圃場物性を設定することにより、圃場モデルを変更して、ステップ108へ戻る。
このようにして、各々異なる圃場物性による複数の圃場モデル毎に、予測性能が得られるタイヤモデル(パターン)を得ることができる。この異なる圃場物性による圃場モデルの一例には、土壌を圃場の対象とした対象地盤を想定したときに、軟圃場として表現される代表的な圃場の材料物性、硬圃場として表現される代表的な圃場の材料物性、の各々で特定できる2種類の圃場モデルが代表される。
従って、各圃場物性に対して、最適な形状を求めることができる。この場合、2次元タイヤモデルのトレッド(パターン)の厚さ方向に複数に分割した領域毎に、各厚さに達する沈下量を示す条件のもとで、各トレッド厚さにおいて最適化形状を求めることができる。
以上のようにして圃場モデル(圃場物性)毎の2次元タイヤモデルの最適化が終了すると、上記で求めたデータ(ステップ128)を用いて3次元タイヤモデルの最適化を行う。すなわち、圃場に対する最適な2次元タイヤモデルの形状から3次元タイヤモデルを作成し、その3次元タイヤモデルを最適化する。
通常、特定の地盤上を走行する際の牽引性能に最適化したラグ断面形状は、相対する地盤上では性能が発揮されない傾向がある。それは、例えば軟土壌上を走行する際には、タイヤ前面に生じる走行抵抗を抑制する形状と、土に食い込んで推進力を発生する形状とが背反する関係にあるためである。このため、2次元モデルで得られた単一の地盤(圃場)における断面形状を、そのまま3次元形状に適用しても、2次元形状と同じ結果(すなわち対象とした地盤上では狙い通りの性能)が発揮されるものの、異なる地盤上では性能が発揮されない。そこで、予め複数(少なくとも2つ)の地盤を対象としてそれぞれに対する最適形状を組み合わせて3次元形状を作成して、最適化する。
具体的には、ステップ134においてタイヤ性能として対象とする圃場を設定し、設定した対象圃場に対応する2次元タイヤモデルを次のステップ136で設定する。次のステップ138では、3次元タイヤモデルを作成すると共に、最適化処理を行う。この最適化処理の技術は、本出願人が既に出願済みの技術(特願2004−232660号)を用いることができる。
上記3次元タイヤモデルを作成する場合、2次元タイヤモデルを滑らかにつなぐようにして3次元タイヤモデルを作成することができる。より具体的には、タイヤの幅方向に対して断面角度など、2次元解析で適用した形状パラメータに分布を持たせる。この場合、複数の2次元形状案をどのようにタイヤの踏面内で分布させるかについて、周知の最適化手法を用いることで解決できる。このように、3次元形状において比較的計算負荷が大きい最適化手法を用いるが、2次元形状においてタイヤモデルの取捨選択しているので、3次元形状のタイヤモデルでの最適化計算では大幅にコストを減少することができる。
なお、3次元タイヤモデルについてタイヤ性能評価をする場合及び最適化する場合、全ての設計要因について最適化を行う必要はなく、上述の2次元モデルの最適化において考慮されなかった要因、すなわち、リブ溝の位置、幅、ラグ溝の角度など、タイヤの回転軸方向に変化する要因に関する最適化を行うだけでよい。
上記最適化の結果(ステップ138)、ステップ140に進み、上記ステップ138で得られた3次元タイヤモデル案のタイヤを製造し、その製造したタイヤについて次のステップ142において性能評価を行い、本ルーチンを終了する。なお、ステップ142の性能評価結果が良好でない(評価値が所定値未満で所望の性能が得られない)とき、良好な性能が得られるまで、3次元タイヤ形状を修正してステップ138から再度処理を繰り返しても良い。
このように、本実施の形態では、圃場毎に良好な性能が得られる2次元タイヤモデルを基本として、3次元タイヤモデルの最適化を行っているので、計算時間を短縮できると共に、牽引力など、タイヤ断面で十分性能評価が可能な点を優先して計算することが可能となる。また、2次元モデルを採用することで、タイヤモデルのパターンを全周用意した性能評価や解析をする必要がなく、処理の負荷軽減を図ることができる。
次に、本発明の実施例を詳細に説明する。
タイヤの規格として、荷重は標準荷重であり、標準荷重とは、下記規格に記載されている適用サイズにおける単輪の最大荷重(最大負荷能力)のことである。このときの内圧は下記規格に記載されている適用サイズにおける単輪の最大荷重(最大負荷能力)に対応する空気圧のことである。また、リムは下記規格に記載されている適用サイズにおける標準リム(または、"Approved Rim"、"Recommended Rim" )のことである。そして、規格とは、タイヤが生産又は使用される地域に有効な産業規格によって決められている。例えば、アメリカ合衆国では "The Tire and Rim Association Inc. の Year Book" で、欧州では"The European Tire and Rim Technical Organization の Standards Manual"で、日本では日本自動車タイヤ協会の"JATMA Year Book"にて規定されている。また、本実施例で対象とするタイヤでは、リム及び内圧は、上記ETRTO Standard Manualにて定める農業用ラジアルプライタイヤのサイズに対応する適用リム及び空気圧一負荷能力対応表に基づくものである。
このタイヤをもとに性能予測のためのモデル化を行った後にタイヤモデルの性能予測を行い、予測結果、実測結果を合わせて示した。
上記実施の形態で説明した2次元モデルによる解析の一番のメリットは、計算時間が短いことである。実際に転動計算を行った際の計算時間の比較を表1に示す。これはタイヤを圃場モデル上に押し付けた後、一定速度まで加速する転動解析に要する時間である。タイヤモデルの要素数が減少したこともあるが、なにより圃場モデルの要素数が大幅に減少した効果が大きい。この土壌等の圃場とタイヤの連成解析では、タイヤ表面で圃場と接触する可能性のある面を用いており、解析中にその表面要素と圃場要素とでの接触判定を行う必要がある。そのため、この接触面を構成する要素や圃場要素の数が減少することにより、この接触判定に要する時間を大幅に減少することが可能である。
Figure 0004474265
また、本実施例では、タイヤサイズが540/65R30であり、周方向に断面角度一定のパターン違いの2本のタイヤを対象とする。これらのタイヤの外面形状をレーザー形状測定装置で測定し、設計図面・実際のタイヤからの断面データよりタイヤ断面モデルを作成し、周方向に展開してタイヤの3次元数値モデルを作成した。パターンは設計図面に基づき3次元モデルを作成し、3次元タイヤモデルにトレッド部として貼りつけた。土壌などの圃場モデルは深さ60cm、長さ5m、幅150cmの土槽を想定し、深さ50cmを土壌で満たした。2次元解析時には幅10mm、3次元解析時には幅150cmの圃場モデルを用いている。また、タイヤには時速30km/h、スリップ率5%に相当する回転速度を与えた場合を想定した。
これらの2本のタイヤの断面角度に加え、中間の角度を用いた3水準の断面角度を、また3水準の沈下量を設定し、最適化計算を行った。実際に用いた形状としては図11に示す9種類のラグ形状であり、対象とした圃場は、軟圃場と硬圃場の2種類である。これらの各圃場に対して得られた形状(図1のステップ108乃至ステップ130)を、図13に示した。図13(A)は硬圃場に対する最適形状であり、図13(B)は軟圃場に対する最適形状である。この、最適化計算で得られた計算結果を表2,表3に示した。表2は、硬圃場での予測結果であり、表3は軟圃場での予測結果である。
Figure 0004474265
Figure 0004474265
また、3次元形状に適用する際には、図14に示すように、センター部に硬圃場向けの形状を、ショルダー部に軟圃場向けの形状を採用し、その中間部分では、断面角度が線形に変化するように形状を作成した。
このタイヤを試作し、トラクション試験を行った結果を、先ほどの2本のタイヤのトラクション試験結果と合わせて表4に示す。実際のトラクション試験では、上記のタイヤをW15L×30のリムに内圧240kPaで組み付け、トラクタに装着する。トラクタには牽引車両が取付けられており、牽引車両の回転数をコントロールすることで牽引荷重を調整することができる。スリップ率5%で走行を繰り返し、平均値を持ってトラクション試験での評価とした。
Figure 0004474265
表4から理解されるように、タイヤAを基準として各圃場でのトラクション結果を示しているが、軟圃場ではタイヤAが優位であるものの、硬圃場ではタイヤBが優位であることが確認できる。それに対し改良形状では、硬・軟圃場性能ともに改良されていることが確認できる。また、この場合、2次元解析を54回行っているが、3次元モデルを2回計算する時間とほとんど変わらない時間で最適化が行われており、非常に簡便に、かろすばやく改良検討を行うことができることを確認した。
このことから本性能予測は設計案の性能予測に有効であり、設計・製造・性能評価のタイヤ開発サイクルの一部を数値解析で置き換えることが可能である。これを活用することによって、タイヤ開発の効率化を行なえることが理解される。
本実施の形態にかかり、タイヤの性能予測評価プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。 本発明の実施の形態にかかる、タイヤ性能予測方法を実施するためのパーソナルコンピュータの概略図である。 貫入抵抗値の測定結果として、圧力と沈下量との関係を示す特性図である。 圃場(土壌)の強度であるせん断抵抗値の計測結果として、垂直応力とせん断応力との関係を示す特性図である。 圃場の間隙比と圧力の対数値との関係を示す特性図である。 圃場が有するべき特性として、体積歪みと、間隙比と、密度との関係を示す概念図である。 圃場の密度と圧力との関係を示す特性図である。 タイヤモデルを示し、(A)は3次元モデル、(B)はその断面モデルに相当するリングモデル上にラグやプロツクの断面形状が取り付けられた形状モデルを示した。 圃場モデルを示し、(A)は3次元圃場モデル、(B)は2次元圃場モデルを示す斜視図である。 圃場モデルの変形計算である応力計算処理の流れを示すフローチャートである。 2次元タイヤモデルのうちラグ断面について傾斜角度が異なる9種類のパターンを示した線図である。 設定した沈下量を示すための説明図である。 圃場毎の最適ラグ形状を示し、(A)は硬圃場に対する最適形状、(B)は軟圃場に対する最適形状を示す線図である。 ラグ形状について2次元形状を3次元形状に適用する際の、センター部からショルダー部に向けた形状分布を示す説明図である。
符号の説明
10 キーボード
12 コンピュータ本体
14 CRT
30 タイヤモデル
FD フレキシブルディスク(記録媒体)

Claims (9)

  1. 次の各ステップを含むタイヤ性能予測方法。
    (a)接地及び転動の少なくとも一方により変形を与えることが可能でかつタイヤの回転軸と交差する平面で切断した2次元のタイヤ断面形状をタイヤ幅方向に所定幅展開することによりモデル化したタイヤモデルと、弾塑性体または塑性体を少なくとも含む材料で一部または全部が満たされると共に前記タイヤモデルの少なくとも一部と接触しかつ、前記タイヤモデルが接触されたときのタイヤの回転軸と交差する平面で切断した2次元の断面形状を前記平面の交差方向に一定幅展開することによりモデル化した圃場モデルと、を定めるステップ。
    (b)前記タイヤモデル及び前記圃場モデルの変形計算を実行するステップ。
    (c)前記変形計算後に、タイヤモデル及び圃場モデルとの境界面に予め定めた境界条件を付与しかつ、境界条件を付与した後のタイヤモデル及び圃場モデルについて前記ステップ(b)の計算を、前記タイヤモデル及び圃場モデルの変形が定常状態とみなせるまで繰り返して計算させるステップ。
    (d)前記ステップ(b)またはステップ(c)におけるタイヤモデル及び圃場モデルの少なくとも一方のモデルに生じる物理量を求めるステップ。
    (e)前記物理量により圃場におけるタイヤ性能を予測するステップ。
  2. 前記圃場モデルは、前記タイヤモデルの所定幅より狭い一定幅でモデル化することを特徴とする請求項1に記載のタイヤ性能予測方法。
  3. 前記圃場モデルは、前記材料及び前記断面形状の少なくとも一方が異なる複数の圃場状態をモデル化し、前記複数の圃場状態の各々についてタイヤ性能を予測することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のタイヤ性能予測方法。
  4. 前記圃場モデルは、前記圃場状態として、複数の材料モデルを積層して形成することによりモデル化することを特徴とする請求項3に記載のタイヤ性能予測方法。
  5. 前記タイヤ性能の予測結果が所定性能に到達しないとき前記タイヤモデルを修正し修正したタイヤモデルについて前記ステップ(b)乃至ステップ(e)を実行させるステップ(f)、を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載のタイヤ性能予測方法。
  6. 前記タイヤモデルをタイヤ径方向に複数に分割し、前記タイヤモデルの分割領域が前記圃場モデルへ沈下した状態における分割領域毎に前記タイヤ性能を予測すると共に、予測結果に基づいて前記分割領域毎に前記タイヤモデルを修正することを特徴とする請求項5に記載のタイヤ性能予測方法。
  7. 次の各ステップを含むタイヤ設計方法。
    請求項5または請求項6に記載のタイヤ性能予測方法により得られる2次元のタイヤモデルの少なくとも1つの形状を、3次元のタイヤモデルのタイヤ周方向及びタイヤ幅方向の少なくとも一方に適用して、3次元のタイヤモデルを形成し、形成したタイヤモデルに基づいてタイヤ設計する、ことを特徴とするタイヤ設計方法。
  8. コンピュータによってタイヤ性能を予測するために、次の各ステップを含むことを特徴とするタイヤ性能予測プログラム。
    (1)接地及び転動の少なくとも一方により変形を与えることが可能でかつタイヤの回転軸と交差する平面で切断した2次元のタイヤ断面形状をタイヤ幅方向に所定幅展開することによりモデル化したタイヤモデルと、弾塑性体または塑性体を少なくとも含む材料で一部または全部が満たされると共に前記タイヤモデルの少なくとも一部と接触しかつ、前記タイヤモデルが接触されたときのタイヤの回転軸と交差する平面で切断した2次元の断面形状を前記平面の交差方向に一定幅展開することによりモデル化した圃場モデルと、を定めるステップ。
    (2)前記タイヤモデル及び前記圃場モデルの変形計算を実行するステップ。
    (3)前記変形計算後に、タイヤモデル及び圃場モデルとの境界面に予め定めた境界条件を付与しかつ、境界条件を付与した後のタイヤモデル及び圃場モデルについて前記ステップ(2)の計算を、前記タイヤモデル及び圃場モデルの変形が定常状態とみなせるまで繰り返して計算させるステップ。
    (4)前記ステップ(2)またはステップ(3)におけるタイヤモデル及び圃場モデルの少なくとも一方のモデルに生じる物理量を求めるステップ。
    (5)前記物理量により圃場におけるタイヤ性能を予測するステップ。
  9. コンピュータによってタイヤ性能を予測するためのタイヤ性能予測プログラムを記録した記録媒体であって、次の各ステップを含むことを特徴とするタイヤ性能予測プログラムを記録した記録媒体。
    (1)接地及び転動の少なくとも一方により変形を与えることが可能でかつタイヤの回転軸と交差する平面で切断した2次元のタイヤ断面形状をタイヤ幅方向に所定幅展開することによりモデル化したタイヤモデルと、弾塑性体または塑性体を少なくとも含む材料で一部または全部が満たされると共に前記タイヤモデルの少なくとも一部と接触しかつ、前記タイヤモデルが接触されたときのタイヤの回転軸と交差する平面で切断した2次元の断面形状を前記平面の交差方向に一定幅展開することによりモデル化した圃場モデルと、を定めるステップ。
    (2)前記タイヤモデル及び前記圃場モデルの変形計算を実行するステップ。
    (3)前記変形計算後に、タイヤモデル及び圃場モデルとの境界面に予め定めた境界条件を付与しかつ、境界条件を付与した後のタイヤモデル及び圃場モデルについて前記ステップ(2)の計算を、前記タイヤモデル及び圃場モデルの変形が定常状態とみなせるまで繰り返して計算させるステップ。
    (4)前記ステップ(2)またはステップ(3)におけるタイヤモデル及び圃場モデルの少なくとも一方のモデルに生じる物理量を求めるステップ。
    (5)前記物理量により圃場におけるタイヤ性能を予測するステップ。
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