JP4474155B2 - 加工用工具 - Google Patents
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Description
かかる磁気ボール盤を使用する際、最初、磁気ボール盤を溶接構造用圧延鋼材又は建築構造用圧延鋼材等で作られた被加工物の加工位置近傍に持っていき、電磁石を作動させて、ベースを被加工物に磁力によって固定する。次いで、固定装置を解除して、本体をベースに対して相対移動させることにより、刃物であるドリルを加工位置に正確に位置決めする。ドリルを位置決めした状態で、本体を固定装置によってベースに固定する。次いで、ドリルを回転させながら被加工物に向かって移動させることにより、被加工物に孔あけ加工する。
また、従来の加工用工具は、特に、加工用工具を垂直面に固定して使用する場合、すなわち、所謂、「縦使い」の場合、固定装置を解除したとたんに、本体が相対移動自在となり、急に下方に移動してしまうので、本体を手でしっかり押さえたまま固定装置を解除する必要があり、加工用工具の操作性が非常に悪かった。加工用工具は刃物を有するので、操作性の向上は安全性を確保する上で重要である。
また、このような加工用工具は、しばしば、橋梁の橋脚部等の狭い作業箇所で使用されるので、ベースと工具とを固定する固定装置も含めて、加工用工具全体がコンパクトであることが好ましい。特に、加工面から遠ざかる方向、即ち、加工面が水平面であるときの高さ方向の作業スペースが十分に確保できないような箇所での作業を可能にするために、加工用工具の高さ方向の寸法が小さいことが好ましい。
このように構成された本発明の第1の観点による加工用工具によれば、本体がベースに対して固定された状態では、フランジ部の下面と空間の底面との間の隙間に配置された摺動部材が、ねじ部材によって付勢手段の付勢力に抗して軸部に向って移動されており、コロ部材は、摺動部材の傾斜面に沿って押上げられており、ベースのフランジ部の下面と本体の空間の底面との間の距離が押し広げられて、摺動部材が本体の空間の底面に、また、本体の底壁がベースの上面に又は本体の空間の天井面がフランジに押しつけられ、本体がベースに対して固定されている。
次いで、本体をベースに対して軸部を基準として相対移動させることにより、加工具を加工位置に正確に位置決めする。次いで、加工具を位置決めした状態で、本体を固定装置によってベースに固定する。詳細には、フランジ部の下面と空間の底面との間の隙間に配置された摺動部材を、ねじ部材によって付勢手段の付勢力に抗して軸部に向って移動させる。摺動部材の傾斜面に沿って回転可能なコロ部材は、規制手段によって所定位置以上に軸部に向かって移動せず、摺動部材だけが軸部に向かって移動し、コロ部材は傾斜面によって押上げられる。摺動部材の移動により、楔効果が発揮され、ベースのフランジ部の下面と本体の空間の底面との間、即ち、上記隙間の距離が押し広げられ、摺動部材が空間の底面に押付けられる。その結果、本体の空間の上下方向距離と本体の底壁の厚さの合計長さがベースの軸部とフランジ部の上下方向長さの合計よりも大きい第1の場合には、本体の底壁がベースの上面に押付けられ、かくして、本体がベースに対して固定される。これとは逆に、本体の空間の上下方向距離と本体の底壁の厚さの合計長さがベースの軸部とフランジ部の上下方向長さの合計よりも小さい第2の場合には、本体の空間の天井面がベースのフランジに押付けられ、かくして、本体がベースに対して固定される。
次いで、加工具を作動させて被加工物を加工する。
また、摺動部材が傾斜面を有しているので、ねじ部材によって摺動部材を軸部に徐々に近づけると、上記隙間、即ち、フランジ部の下面と空間の底面との間を押し広げる力が徐々に大きくなる。また、ねじ部材によって摺動部材を軸部から徐々に遠ざけると、摺動部材が付勢手段によって軸部から遠ざかる方向に付勢されているため摺動部材がねじ部材に追従して徐々に軸部から遠ざかり、上記隙間を押し広げる力が徐々に小さくなる。これを利用して、摺動部材の位置を、ベースに対する本体の移動を許しながらその移動を規制するように調整すれば、本体がベースに対して急に移動することを防止することが可能になる。特に、加工用工具を縦使いする場合であっても、本体がベースに対して徐々に下降するため、指等の身体を挟み込むけがを防止することができ、加工用工具の安全性を向上させることができる。また、固定を解除する際、本体を手で押さえながら固定手段を解除する必要がなくなる。その結果、本体をベースに対して固定したり解除したりする際の操作性を向上させることができる。
更に、小径のコロ部材と高さ寸法の小さい摺動部材とを組合せれば、固定装置の高さ方向の寸法を小さくすることができるので、かかる構造を有していない従来の加工用工具よりも高さ方向の寸法が低いコンパクトな加工用工具を設計することが可能になる。それにより、従来の加工用工具が入り込めないような、加工面から遠ざかる方向への作業スペースが十分に確保できない加工箇所においても、加工用工具を加工箇所に持っていくことができ、被加工物の加工が可能になる。
このように構成された加工用工具では、本体をベースに対して長孔の長手方向軸線に沿って直線移動させる場合には、摺動部材が本体の空間の底面に沿って摺動し、本体の直線移動を許容する。また、このとき、長手方向軸線に対して互いに反対側に一対に配置された摺動部材が、それらの間に設けられた付勢手段によって互いに遠ざける方向に付勢されているので、少なくともねじ部材と反対側の摺動部材が本体の空間の案内面に向かって常に押付けられた状態になる。従って、ねじ部材を緩めている途中であってもねじ部材を完全に緩めた状態であっても、本体はベースに対して直線移動可能であるけれども、摺動部材と案内面との間に生じた摩擦抵抗により、本体がベースに対して自在に直線移動することが防止される。特に、加工用工具を縦使いする場合であっても、本体がベースに対して摩擦抵抗があるため、小さな力で本体を押さえればよく、その結果、本体をベースに対して固定したり解除したりする際の操作性を更に向上させることができる。また、意に反して急に、刃物を有する本体が動くことがないので、指等の身体を挟み込むけがを防止することができ、加工用工具の安全性を更に向上させることができる。
このように構成された加工用工具では、作業箇所が照明の少ない工場内や橋梁の橋脚部等の十分な照度が得られない箇所であっても、被加工物の加工箇所を照光手段によって照明することにより、作業者が加工箇所を容易に確認することができる。それにより、ドリルの位置合わせ時間を短縮でき、加工時間を短縮することができると共に、作業者の負担を軽減することができ、加工用工具の操作性を更に向上させることができる。照光手段がベースに内蔵されていれば、加工用工具がコンパクトになるので、更に好ましい。
このように構成された加工用工具では、電磁石が作動しているときは必ず、照光手段が点灯していることになり、電磁石が作動しているかどうかを照光手段が点灯しているかどうかにより、離れたところからでも目視することができる。その結果、電磁石の作動の切り忘れによる焼損を防止し、無駄な電力消費を軽減することができる。
このように構成された本発明の第2の観点による加工用工具は、固定装置による固定の詳細だけが上述した加工用工具の第1の形態と異なるので、異なる部分だけ以下に説明する。フランジ部の上面と空間の天井面との間の隙間に配置された摺動部材を、ねじ部材によって付勢手段の付勢力に抗して軸部に向って移動させる。摺動部材の傾斜面に沿って回転可能なコロ部材は、規制手段によって所定位置以上に軸部に向かって移動せず、摺動部材だけが軸部に向かって移動し、コロ部材は傾斜面によって押下げられる。摺動部材の移動により、楔効果が発揮され、本体のフランジ部の上面とベースの空間の天井面との間、即ち、上記隙間の距離が押し広げられ、摺動部材が空間の天井面に押付けられる。その結果、ベースの空間の上下方向距離とベースの頂壁の厚さの合計長さが本体の軸部とフランジ部の上下方向長さの合計よりも大きい第1の場合には、ベースの頂壁が本体の下面に押付けられ、かくして、本体がベースに対して固定される。これとは逆に、ベースの空間の上下方向距離とベースの頂壁の厚さの合計長さがベースの軸部とフランジ部の上下方向長さの合計よりも小さい第2の場合には、ベースの底面が本体のフランジの下面に押付けられ、かくして、本体がベースに対して固定される。
本発明の第2の観点による加工用工具は、上述した本発明の第1の観点による加工用工具と同様に作用し、且つ、同様の効果を奏する。
このように構成された加工用工具では、上述した本発明の第1の観点による加工用工具の好ましい形態と同様に作用し、且つ、同様の効果を奏する。
このように構成された本発明の第3の観点による加工用工具は、固定装置による固定の詳細だけが上述した本発明の第1の観点による加工用工具と異なるので、異なる部分だけ以下に説明する。本体の下面とベースの上面との間の隙間に配置された摺動部材を、ねじ部材によって付勢手段の付勢力に抗して軸部に向って移動させる。摺動部材の傾斜面に沿って回転可能なコロ部材は、規制手段によって所定位置以上に軸部に向かって移動せず、摺動部材だけが軸部に向かって移動し、コロ部材は傾斜面によって押下げられる。摺動部材の移動により、楔効果が発揮され、本体の下面とベースの上面との間、即ち、上記隙間の距離が押し広げられ、摺動部材が本体の下面に押付けられる。その結果、本体の空間の底面がベースのフランジに押付けられ、かくして、本体がベースに対して固定される。
本発明の第3の観点による加工用工具は、上述した本発明の第1の観点による加工用工具と同様に作用し、且つ、同様の効果を奏する。
このように構成された加工用工具では、本体をベースに対して長孔の長手方向軸線に沿って直線移動させる場合には、摺動部材が上記隙間の一方の面、即ち、本体の下面に沿って摺動し、本体の直線移動を許容する。また、このとき、長手方向軸線に対して互いに反対側に一対に配置された摺動部材が、それらの間に設けられた付勢手段によって互いに遠ざける方向に付勢されているので、少なくともねじ部材と反対側の摺動部材が本体の下面から下方に延びる延長部又はベースの上面から上方に延びる延長部の案内面に向かって常に押付けられた状態になる。従って、ねじ部材を緩めている途中であってもねじ部材を完全に緩めた状態であっても、本体はベースに対して直線移動可能であるけれども、摺動部材と案内面との間に生じた摩擦抵抗により、本体がベースに対して自在に直線移動することが防止される。特に、加工用工具を縦使いする場合であっても、本体がベースに対して摩擦抵抗があるため、小さな力で本体を押さえればよく、その結果、本体をベースに対して固定したり解除したりする際の操作性を更に向上させることができる。また、意に反して急に、刃物を有する本体が動くことがないので、指等の身体を挟み込むけがを防止することができ、加工用工具の安全性を更に向上させることができる。
このように構成された本発明の第4の観点による加工用工具は、固定装置による固定の詳細だけが上述した本発明の第1の観点による加工用工具と異なるので、異なる部分だけ以下に説明する。本体の下面とベースの上面との間の隙間に配置された摺動部材を、ねじ部材によって付勢手段の付勢力に抗して軸部に向って移動させる。摺動部材の傾斜面に沿って回転可能なコロ部材は、規制手段によって所定位置以上に軸部に向かって移動せず、摺動部材だけが軸部に向かって移動し、コロ部材は傾斜面によって押上げられる。摺動部材の移動により、楔効果が発揮され、本体の下面とベースの上面との間、即ち、上記隙間の距離が押し広げられ、摺動部材がベースの上面に押付けられる。その結果、ベースの空間の天井面が本体のフランジに押付けられ、かくして、本体がベースに対して固定される。
本発明の第4の観点による加工用工具は、上述した本発明の第1の観点による加工用工具と同様に作用し、且つ、同様の効果を奏する。
このように構成された加工用工具では、上述した本発明の第3の観点による加工用工具の好ましい形態と同様に作用し、且つ、同様の効果を奏する。
図1は、本発明による第1の実施形態である磁気ボール盤の正面図である。
図1に示すように、磁気ボール盤1は、電磁石を内蔵したベース2と、ベース2の上方に設けられ且つ加工具であるドリル4を加工位置に位置決めできるようにベース2に対して相対移動可能に設けられた本体6と、ベース2と本体6との間に介在された、本体6をベース2に対して解除可能に固定するための固定装置8とを有している。
本体6の後部には、ダクト24を介してスイッチボックス26が連結されている。スイッチボックス26は、本体6と一体にベース上面2bに沿って摺動可能であり、モーター部12のモーターを起動及び停止するためのスイッチ26aと、ベース2に内蔵された電磁石(図示せず)を作動させたり非作動にするためのスイッチ26bとを有している。また、スイッチ26bによって電磁石を作動させたときに照光ライト22が点灯し、電磁石を非作動にしたときに照光ライト22が消灯するように、照光ライト22は電磁石と連動している。
図4〜図6に示すように、ベース2は、ベース上面2bから上方に延びる軸部30と、軸部30から横方向に延びるフランジ部32とを有している。本体6の内部には、底面34aと天井面34bとを有する内部空間34が形成され、この内部空間34に通じる貫通孔36が本体6の底壁38に形成されている。ベース2の軸部30は貫通孔36を介して上方に延び、フランジ部32は、内部空間34内に受入れられている。また、フランジ部32の下面32aと内部空間34の底面34aとの間には隙間40が形成されている。
また、内部空間34には、本体6をベース2に対して直線移動させるとき、一対の摺動部材50a、50bを案内する案内面74が形成されている。具体的には、長手方向に延びる一対の周囲壁46は各々、長孔36に向って横方向に突出する突出部を有し、この突出部に長手方向軸線と平行に延びる案内面74が設けられている。案内面74には、ねじ部材58を受入れるために周囲壁46を貫く雌ねじ部76が設けられている。案内面74及び雌ねじ部76は、本体6をベース2に対して長手方向に直線移動させることにより摺動部材50a、50bが本体6に対してどの位置にあるときでも、摺動部材50a、50bの遠位面66の少なくとも一部分と対向しているように設けられている。
コロ部材56の長手方向軸線は、傾斜面52に沿って傾斜方向に転がることができるように横方向軸線36bと垂直に傾斜面52を横切っている。また、本体6をベース2に対して直線移動させたとき、コロ部材56が摺動部62によって構成されている上述した壁面に当接して、コロ部材56が摺動部材50a、50bに対して長手方向に移動しないように、コロ部材56の長手方向の長さは、傾斜部68の幅よりもわずかに短くなっている。また、固定装置8の高さ方向寸法を低くするために、コロ部材56の径は小さいことが好ましく、コロ部材56の径は、例えば、約4〜8mmである。また、摺動部材50aを押す力を小さくしたい場合には、傾斜面52の角度を小さくすることが好ましく、傾斜面52の角度は、例えば、約5〜20度である。
規制部60は、フランジ部32の下面32a及び軸部30の側面30aによって構成されている。傾斜部68の高さ方向の寸法及びころ部材56の径は、摺動部材50a、50bを軸部30に向かって移動させたときに、摺動部材50a、50bが互いにぶつからず且つ規制部60に当接したコロ部材56を傾斜面52によって押上げて隙間40の距離を押し広げることができるように決められる。
ねじ部材58は、前記一対の摺動部材50a、50bの一方に作用する。図4及び図6では、ねじ部材58は、一方の摺動部材50aを押すように雌ねじ部76の一方に螺合しているが、他方摺動部材50bを押すために雌ねじ部76の他方に螺合していても良い。ねじ部材58は、摺動部材50a、50bの遠位面66を押すことが可能な押し部80と、押し部80に連結され且つ雌ねじ部76と螺合する雄ねじ部82と、雄ねじ部82に連結されたハンドル部84とを有している。
磁気ボール盤1を被加工物の加工位置の近傍に持っていき、スイッチ26aを入れ、ベース2に内蔵された電磁石を作動させ、その磁力によってベース2を被加工物に固定すると共に、照光ランプ22を点灯させる。
次いで、固定装置8を解除する。詳細には、ねじ部材58を緩めると、弾性部材54が、摺動部材50aの摩擦抵抗に抗して、一対の摺動部材50a、50bを軸部30から、即ち、互いから遠ざける方向に移動させる。それにより、コロ部材56が、隙間40を構成する一方の面であるフランジ部32の下面32aと摺動部材50aの傾斜面52との間で自由に回転できるようになり、本体6がベース2に対して自由に移動できるようになる。次いで、本体6をベース2に対して軸部30を基準として長手方向及び回転方向に相対移動させて、センターピン20を加工位置に合わせる。本体6をベース2に対して長手方向に移動させるとき、中間部材10の底壁38がベース2の上面2bと摺動部材50a、50bとの間を摺動する。本体6をベース2に対して軸部30周りに回転方向に移動させるとき、中間部材10は、摺動部材50a、50b及びコロ部材56とともに、ベース2の上面2bに沿って摺動する。
本体6をベース2に対して長孔36の長手方向軸線36aに沿って直線移動させたとき、本体6は、隙間40の一方の面に沿って、即ち、本体6の内部空間34の底面36aに沿って摺動可能な摺動部材に対しても長手方向軸線36aに沿って直線移動する。また、長手方向軸線36aに対して互いに反対側に一対に配置された摺動部材50a、50bが、それらの間に設けられた弾性部材54によって互いに遠ざける方向に付勢されているので、ねじ部材58と反対側の摺動部材50bが本体6の内部空間34の案内面74に向かって常に押付けられた状態になっている。
また、電磁石を作動させたときに照光ライト22が点灯し、電磁石を非作動にしたときに照光ライト22が消灯するように、照光ライト22は電磁石と連動している。このため、電磁石が作動しているときは必ず、照光ライト22が点灯していることになり、電磁石が作動しているかどうかを照光ライト22が点灯しているかどうかにより、離れたところからでも目視することができる。その結果、電磁石の作動の切り忘れによる焼損を防止し、無駄な電力消費を軽減することができる。
本体106は、本体下面106bから下方に延びる軸部130と、軸部130から横方向に延びるフランジ部132とを有している。ベース102の内部には、底面134bと天井面134aとを有する内部空間134が形成され、この内部空間134に通じる貫通孔136がベース2の頂壁138に形成されている。本体106の軸部130は貫通孔136を介して下方に延び、フランジ部132は、内部空間134内に受入れられている。また、フランジ部132の上面132aと内部空間134の天井面
34aとの間には隙間140が形成されている。
また、内部空間134には、本体106をベース102に対して直線移動させるとき、一対の摺動部材50a、50bを案内する案内面174が形成されている。具体的には、長手方向に延びる一対の周囲壁146は各々、長孔136に向って横方向に突出する突出部を有し、この突出部に長手方向軸線と平行に延びる案内面174が設けられている。案内面174には、ねじ部材58を受入れるために周囲壁146を貫く雌ねじ部176が設けられている。案内面174及び雌ねじ部176は、本体106を長手方向に直線移動させることにより摺動部材50a、50bが本体106に対してどの位置にあるときでも、摺動部材50a、50bの遠位面66の少なくとも一部分と対向しているように設けられている。
本実施形態では、規制部160は、フランジ部132の上面132a及び軸部130の側面130aによって構成されている。
フランジ部132の上面132aと内部空間134の天井面134aとの間の隙間140に配置された摺動部材50aを、ねじ部材58によって弾性部材54の付勢力に抗して軸部130に向って移動させる。摺動部材50aの傾斜面52に沿って回転可能なコロ部材56は、規制部160によって所定位置以上に軸部130に向かって移動せず、摺動部材50aだけが軸部130に向かって移動し、コロ部材56は傾斜面52によって押下げられる。摺動部材50aの移動により、楔効果が発揮され、本体106のフランジ部132の上面132aとベース102の内部空間134の天井面134aとの間、即ち、上記隙間140の距離が押し広げられ、摺動部材50aが内部空間134の天井面134aに押付けられる。その結果、ベース102の頂壁138が本体106の下面106bに押付けられ、かくして、本体106がベース102に対して固定される。
ベース202は、ベース上面202bから上方に延びる軸部230と、軸部230から横方向に延びるフランジ部232とを有している。本体206の内部には、底面234aを有する内部空間234が形成され、この内部空間234に通じる貫通孔236が本体206の底壁238に形成されている。ベース202の軸部230は貫通孔236を介して上方に延び、フランジ部232は、内部空間234内に受入れられ且つ内部空間234の底面234aに当接可能な下面232aを有している。また、延長部211によって、本体206の下面206aとベース202の上面202bとの間には隙間240が形成されている。
また、延長部211には、本体206をベース202に対して直線移動させるとき、一対の摺動部材50a、50bを案内する案内面274が形成されている。具体的には、長手方向に延びる一対の延長部211は各々、長孔36に向って横方向に突出する突出部を有し、この突出部に長手方向軸線と平行に延びる案内面274が設けられている。案内面274には、ねじ部材58を受入れるために延長部211を貫く雌ねじ部276が設けられている。案内面274及び雌ねじ部276は、本体206を長手方向に直線移動させることにより摺動部材50a、50bがどの位置にあるときでも、摺動部材50a、50bの遠位面66の少なくとも一部分と対向しているように設けられている。
本実施形態では、規制部260は、ベース202の上面202b及び軸部230の側面230aによって構成されている。
本体206の下面206aとベース202の上面202bとの間の隙間240に配置された摺動部材50aを、ねじ部材58によって弾性部材54の付勢力に抗して軸部230に向って移動させる。摺動部材50aの傾斜面52に沿って回転可能なコロ部材56は、規制部260に当接し、それ以上に軸部230に向かって移動せず、摺動部材50aだけが軸部230に向かって移動し、コロ部材56は傾斜面52によって押下げられる。摺動部材50aの移動により、楔効果が発揮され、本体206の下面206aとベース202の上面202bとの間、即ち、上記隙間240の距離が押し広げられ、摺動部材50aが本体206の下面206aに押付けられる。その結果、本体206の内部空間234の底面234aがベース202のフランジ部232に押付けられ、かくして、本体206がベース202に対して固定される。
本体306は、本体下面306bから下方に延びる軸部330と、軸部330から横方向に延びるフランジ部332とを有している。ベース302の内部には、天井面334aを有する内部空間334が形成され、この内部空間334に通じる貫通孔336がベース302の頂壁338に形成されている。本体306の軸部330は貫通孔336を介して下方に延び、フランジ部332は、内部空間334内に受入れられ且つ内部空間334の天井面334aに当接可能な上面332aを有している。また、延長部311によって、本体306の下面306bとベース302の上面302aとの間には隙間340が形成されている。
また、延長部311には、本体306をベース302に対して直線移動させるとき、一対の摺動部材50a、50bを案内する案内面374が形成されている。具体的には、長手方向に延びる一対の延長部311は各々、長孔336に向って横方向に突出する突出部を有し、この突出部に長手方向軸線と平行に延びる案内面374が設けられている。案内面374には、ねじ部材58を受入れるために延長部311を貫く雌ねじ部376が設けられている。案内面374及び雌ねじ部376は、本体306を長手方向に直線移動させることにより摺動部材50a、50bがどの位置にあるときでも、摺動部材50a、50bの遠位面66の少なくとも一部分と対向しているように設けられている。
本実施形態では、規制部360は、本体306の下面306b及び軸部330の側面330aによって構成されている。
本体306の下面306bとベース302の上面302aとの間の隙間340に配置された摺動部材50aを、ねじ部材58によって弾性部材54の付勢力に抗して軸部330に向って移動させる。摺動部材50aの傾斜面52に沿って回転可能なコロ部材56は、規制部360に当接し、それ以上に軸部330に向かって移動せず、摺動部材50aだけが軸部330に向かって移動し、コロ部材56は傾斜面52によって押上げられる。摺動部材50aの移動により、楔効果が発揮され、本体306の下面306bとベース302の上面302aとの間、即ち、上記隙間340の距離が押し広げられ、摺動部材50aがベース302の上面302aに押付けられる。その結果、ベース302の内部空間334の天井面334aが本体302のフランジ部332に押付けられ、かくして、本体306がベース302に対して固定される。
上記第1〜第6の実施形態において、本発明による加工用工具を磁気ボール盤を例に挙げて説明したけれども、加工用工具は磁気ボール盤に限らず、他の加工用工具であっても良い。
また、上記第1〜第6の実施形態において、1対の摺動部材50a、50bを設けたけれども、本体をベースに対して固定したり解除したりする際の操作性が十分であれば、摺動部材は1つであっても良い。
また、上記第1〜第4の実施形態において、軸部30及びフランジ部32を一体としてベース本体3又はモーター部12に取付けたが、製造や組立てがし易ければ、上記第5及び第6の実施形態のように、ベース本体又はモーター部と軸部を一体として、フランジ部軸部230に取付けても良い。第5及び第6の実施形態についても、これと逆のことが当てはまる。
また、上記第1〜第6の実施形態において、内部空間を中間部材とベース本体又はモーター部とにより構成しているが、製造や組立てがし易ければ、中間部材とベース本体又はモーター部の境界を変更しても良い。例えば、ベース本体又はモーター部に凹部を設けなくても良いし、中間部材に周囲壁を設けなくても良い。
また、上記第5の実施形態において、延長部211を本体206側から延長させたが、摺動部材50a、50bの遠位面66及びねじ部材58用の雌ねじ部276が設けられ手入れば、ベース202側から延長させても良い。同様に、上記第6の実施形態において、延長部311をベース302側から延長させたが、本体306側から延長させても良い。
また、上記第1〜第6の実施形態では、案内面74を設ける際、長手方向に延びる周囲壁46から突出する突出部を設けたが、本体をベースに対して移動させたときに常に摺動部材50a、50bの遠位面66が案内面74と対向しているように、突出部を設けないで周囲壁46に案内面74を直接設けても良い。
2、102、202、302 ベース
2b、102a、202b、302a ベース上面
4 ドリル
6、106、206、306 本体
8 固定装置
30、130、230、330 軸部
32、132、232、332 フランジ部
32a、132b、232a、332b フランジ部の下面
32b、132a、232b、332a フランジ部の上面
34、134、234、334 内部空間
34a、134b、234a、334b 内部空間の底面
34b、134a、234b、334a 内部空間の天井面
36、136、236、336 貫通孔
38、238 底壁
40、140、240、340 隙間
50a、50b 摺動部材
52 傾斜面
54 弾性部材
56 コロ部材
58 ねじ部材
60、160、260、360 規制部
74、174、274、374 案内面
211、311 延長部
Claims (10)
- 電磁石の磁力によって被加工物に固定可能な加工用工具であって、
電磁石を内蔵したベースと、該ベースの上方に設けられ且つ加工具を加工位置に位置決めできるように前記ベースに対して相対移動可能に設けられた本体と、前記ベースと前記本体との間に介在された、前記本体を前記ベースに対して解除可能に固定するための固定装置とを有し、
前記ベースは、その上面から上方に延びる軸部と、該軸部から横方向に延びるフランジ部とを有し、
前記本体の内部には、天井面と底面とを有する空間が形成され、該空間に通じる貫通孔が前記本体の底壁に形成されており、前記ベースの軸部は前記貫通孔を介して上方に延び、また、前記フランジ部は、前記空間内に受入れられ、前記フランジ部の下面と前記空間の底面との間に隙間が形成されており、
前記固定装置は、前記隙間に配置され且つ前記空間の底面に沿って摺動可能に設けられた摺動部材と、この摺動部材を前記軸部から遠ざかる方向に付勢する付勢手段とを有し、前記摺動部材には、前記軸部から遠ざかる方向に向かって上方に傾斜する傾斜面が形成されており、更に、該傾斜面の上に傾斜面を横切る方向に長手方向軸線が配置されたコロ部材と、前記摺動部材を前記付勢手段の付勢力に抗して前記軸部に向かって移動させ、且つ、その位置に固定するためのねじ部材と、前記摺動部材が前記ねじ部材によって前記軸部に向かって移動されるとき、前記コロ部材が所定位置以上に前記軸部に向かって移動しないように規制するための規制手段とを有する、ことを特徴とする加工用工具。 - 前記貫通孔は、前記本体を前記ベースに対して直線移動可能とするように長孔であり、前記摺動部材は、前記本体を前記ベースに対して直線移動させるとき、前記空間の底面に沿って摺動可能であり、
前記摺動部材は、前記長孔の長手方向軸線に対して互いに反対側に一対配置されており、前記空間には、前記本体を前記ベースに対して直線移動させるとき、前記一対の摺動部材を案内する案内面が形成されており、
前記付勢手段は、前記一対の摺動部材を互いに遠ざける方向に且つ前記案内面に押しつけるように、前記一対の摺動部材の間に設けられ、
前記ねじ部材は、前記一対の摺動部材の一方に作用する、ことを特徴とする請求項1に記載の加工用工具。 - 前記ベースに、加工箇所を照明するための照光手段が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の加工用工具。
- 前記電磁石を作動させたときに前記照光手段が点灯し、前記電磁石を非作動にしたときに前記照光手段が消灯するように、前記照光手段は前記電磁石と連動していることを特徴とする請求項3に記載の加工用工具。
- 電磁石の磁力によって被加工物に固定可能な加工用工具であって、
電磁石を内蔵したベースと、該ベースの上方に設けられ且つ加工具を加工位置に位置決めできるように前記ベースに対して相対移動可能に設けられた本体と、前記ベースと前記本体との間に介在された、前記本体を前記ベースに対して解除可能に固定するための固定装置とを有し、
前記本体は、その下面から下方に延びる軸部と、該軸部から横方向に延びるフランジ部とを有し、
前記ベースの内部には、天井面と底面とを有する空間が形成され、該空間に通じる貫通孔が前記ベースの頂壁に形成されており、前記本体の軸部は前記貫通孔を介して下方に延び、また、前記フランジ部は、前記空間内に受入れられ、前記フランジ部の上面と前記空間の天井面との間に隙間が形成されており、
前記固定装置は、前記隙間に配置され且つ前記空間の天井面に沿って摺動可能に設けられた摺動部材と、この摺動部材を前記軸部から遠ざかる方向に付勢する付勢手段とを有し、前記摺動部材には、前記軸部から遠ざかる方向に向かって下方に傾斜する傾斜面が形成されており、更に、該傾斜面の下に傾斜面を横切る方向に長手方向軸線が配置されたコロ部材と、前記摺動部材を前記付勢手段の付勢力に抗して前記軸部に向かって移動させ、且つ、その位置に固定するためのねじ部材と、前記摺動部材が前記ねじ部材によって前記軸部に向かって移動されるとき、前記コロ部材が所定位置以上に前記軸部に向かって移動しないように規制するための規制手段とを有する、ことを特徴とする加工用工具。 - 前記貫通孔は、前記本体を前記ベースに対して直線移動可能とするように長孔であり、前記摺動部材は、前記本体を前記ベースに対して直線移動させるとき、前記空間の天井面に沿って摺動可能であり、
前記摺動部材は、前記長孔の長手方向軸線に対して互いに反対側に一対配置されており、前記空間には、前記本体を前記ベースに対して直線移動させるとき、前記一対の摺動部材を案内する案内面が形成されており、
前記付勢手段は、前記一対の摺動部材を互いに遠ざける方向に且つ前記案内面に押しつけるように、前記一対の摺動部材の間に設けられ、
前記ねじ部材は、前記一対の摺動部材の一方に作用する、ことを特徴とする請求項5に記載の加工用工具。 - 電磁石の磁力によって被加工物に固定可能な加工用工具であって、
電磁石を内蔵したベースと、該ベースの上方に設けられ且つ加工具を加工位置に位置決めできるように前記ベースに対して相対移動可能に設けられた本体と、前記ベースと前記本体との間に介在された、前記本体を前記ベースに対して解除可能に固定するための固定装置とを有し、
前記ベースは、その上面から上方に延びる軸部と、該軸部から横方向に延びるフランジ部とを有し、
前記本体の内部には、底面を有する空間が形成され、該空間に通じる貫通孔が前記本体の底壁に形成されており、前記ベースの軸部は前記貫通孔を介して上方に延び、また、前記フランジ部は、前記空間内に受入れられ且つ前記空間の底面に当接可能な下面を有し、前記本体の下面から下方に延びる延長部又は前記ベースの上面から上方に延びる延長部によって、前記本体の下面と前記ベースの上面との間に隙間が形成されており、
前記固定装置は、前記隙間に配置され且つ前記本体の下面に沿って摺動可能に設けられた摺動部材と、この摺動部材を前記軸部から遠ざかる方向に付勢する付勢手段とを有し、前記摺動部材には、前記軸部から遠ざかる方向に向かって下方に傾斜する傾斜面が形成されており、更に、該傾斜面の下に傾斜面を横切る方向に長手方向軸線が配置されたコロ部材と、前記摺動部材を前記付勢手段の付勢力に抗して前記軸部に向かって移動させ、且つ、その位置に固定するためのねじ部材と、前記摺動部材が前記ねじ部材によって前記軸部に向かって移動されるとき、前記コロ部材が前記軸部に向かって移動しないように規制するための規制手段とを有する、ことを特徴とする加工用工具。 - 前記貫通孔は、前記本体を前記ベースに対して直線移動可能とするように長孔であり、前記摺動部材は、前記本体を前記ベースに対して直線移動させるとき、前記本体の下面に沿って摺動可能であり、
前記摺動部材は、前記長孔の長手方向軸線に対して互いに反対側に一対配置されており、前記本体の延長部又は前記ベースの延長部には、前記本体を前記ベースに対して直線移動させるとき、前記一対の摺動部材を案内する案内面が形成されており、
前記付勢手段は、前記一対の摺動部材を互いに遠ざける方向に且つ前記案内面に押しつけるように、前記一対の摺動部材の間に設けられ、
前記ねじ部材は、前記一対の摺動部材の一方に作用する、ことを特徴とする請求項7に記載の加工用工具。 - 電磁石の磁力によって被加工物に固定可能な加工用工具であって、
電磁石を内蔵したベースと、該ベースの上方に設けられ且つ加工具を加工位置に位置決めできるように前記ベースに対して相対移動可能に設けられた本体と、前記ベースと前記本体との間に介在された、前記本体を前記ベースに対して解除可能に固定するための固定装置とを有し、
前記本体は、その下面から下方に延びる軸部と、該軸部から横方向に延びるフランジ部とを有し、
前記ベースの内部には、天井面を有する空間が形成され、該空間に通じる貫通孔が前記ベースの頂壁に形成されており、前記本体の軸部は前記貫通孔を介して下方に延び、また、前記フランジ部は、前記空間内に受入れられ且つ前記空間の天井面に当接可能な上面を有し、前記本体の下面から下方に延びる延長部又は前記ベースの上面から上方に延びる延長部によって、前記本体の下面と前記ベースの上面との間に隙間が形成されており、
前記固定装置は、前記隙間に配置され且つ前記ベースの上面に沿って摺動可能に設けられた摺動部材と、この摺動部材を前記軸部から遠ざかる方向に付勢する付勢手段とを有し、前記摺動部材には、前記軸部から遠ざかる方向に向かって上方に傾斜する傾斜面が形成されており、更に、該傾斜面の上に傾斜面を横切る方向に長手方向軸線が配置されたコロ部材と、前記摺動部材を前記付勢手段の付勢力に抗して前記軸部に向かって移動させ、且つ、その位置に固定するためのねじ部材と、前記摺動部材が前記ねじ部材によって前記軸部に向かって移動されるとき、前記コロ部材が所定位置以上に前記軸部に向かって移動しないように規制するための規制手段とを有する、ことを特徴とする加工用工具。 - 前記貫通孔は、前記本体を前記ベースに対して直線移動可能とするように長孔であり、前記摺動部材は、前記本体を前記ベースに対して直線移動させるとき、前記ベースの上面に沿って摺動可能であり、
前記摺動部材は、前記長孔の長手方向軸線に対して互いに反対側に一対配置されており、前記本体の延長部又は前記ベースの延長部には、前記本体を前記ベースに対して直線移動させるとき、前記一対の摺動部材を案内する案内面が形成されており、
前記付勢手段は、前記一対の摺動部材を互いに遠ざける方向に且つ前記案内面に押しつけるように、前記一対の摺動部材の間に設けられ、
前記ねじ部材は、前記一対の摺動部材の一方に作用する、ことを特徴とする請求項9に記載の加工用工具。
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