JP4474055B2 - 画像形成方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法、トナージェット法あるいは静電印刷法などにおいて、電気的潜像の形成及び現像を行う画像形成方法及びトナーに関し、とりわけ、帯電手段によって帯電後、静電潜像を形成し、該静電潜像を現像・転写するクリーニング部材を持たない画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真法としては多数の方法が知られている。一般には光導電性物質を利用し、種々の手段により感光体上に静電荷潜像を形成し、ついで該潜像をトナーで現像を行ってトナー像を形成し、必要に応じて紙の如き転写材にトナー像を転写した後、熱,圧力,加熱加圧などにより転写材上にトナー像を定着して複写物又は印刷物を得るものである。転写材上に転写されずに感光体上に残留したトナー粒子はクリーニング工程により感光体上より除去される。
【0003】
感光体のクリーニング工程については、従来ブレードクリーニング、ファーブラシクリーニング、ローラクリーニング等の手段が用いられていた。該手段は力学的に感光体上の転写残トナーを掻き落とすか、またはせき止めて廃トナー容器へと転写残トナーを捕集するものであった。よって、このような手段を構成する部材が感光体表面に押し当てられることに起因し、問題が生じやすかった。例えば、クリーニング部材を強く押し当てることにより感光体表面が摩耗される。
【0004】
さらに、クリーニング手段を具備するために装置全体が必然的に大きくなり装置のコンパクト化を目指すときのネックになっていた。
さらには、エコロジーの観点より、廃トナーのでないシステムが待望されている。
【0005】
例えば、特公平5−69427号公報に、現像兼回収方式又は、クリーナーレスと呼ばれた技術を採用した画像形成装置が提案されている。該画像形成装置では感光体一回転につき一画像を形成し、転写残留トナーの影響が同一画像に現れないようにしている。特開昭64−20587号公報、特開平2−259784号公報、特開平4−50886号公報、特開平5−165378号公報では、転写残留トナーを散らし部材により感光体上に散らし、非パターン化することで、一画像につき感光体同一表面が複数回利用される場合でも、画像上で顕在化しにくい方法を提案している。
【0006】
今日、様々な転写材に対してトナー像を転写する必要性が出ている。残留トナーを非パターン化するための部材に電圧を印加する場合、クリーナーレスシステムであるが、装置全体をコンパクト化することが困難である。
【0007】
特開平2−51168号公報では、クリーナーレスの電子写真プリンティング方法において球形トナー及び球形キャリアを使用することで、安定した帯電特性を得ることを提案しているが、部材やドラムへのトナー融着等に関して、大きな因子であるトナーの分子量、MI、不溶分等の物性や帯電部材の物性の関係について言及していない。
【0008】
また、特開平5−2287号公報では、クリーナーレスの電子写真プリンティング方法においてトナーの抵抗値や帯電量を適正にすることにより、安定した帯電特性を得ることを提案しているが、トナーの分子量、MI、不溶分等の物性や帯電部材の物性の関係について言及していない。
【0009】
その他、特開平6−250566号公報、特開平8−292640号公報、特開平11−38730号公報、特開平11−311890号公報等においても様々なクリーナーレスの電子写真プリンティングシステムが提案されているが、トナーの分子量、MI、不溶分等の物性や帯電部材の物性の関係について言及していない。
【0010】
さらに、ユーザーの高画質に関する要望は強く、その観点からもトナーの物性、特に硬さや熱的特性は重要であり、特開平9−6135号公報や特開平10−333359号公報等において分子量分布やメルトインデックスを規定し、現像安定性や定着性に優れたトナーが提案されている。しかしこれだけでは十分ではなく、現像装置全体のマッチングを考えた場合、帯電部材の物性や二成分現像におけるキャリヤ物性も適正な範囲にすることが必要である。
【0011】
また、近年、電子写真感光体の光導電性物質として種々の有機光導電物質が開発され、特に電荷発生層と電荷輸送層を積層した機能分離型のものが実用化され、複写機やプリンターやファクシミリなどに搭載されている。このような電子写真装置での帯電手段としては、コロナ放電を利用した手段が用いられていたが、多量のオゾンを発生する。
【0012】
このような問題点を解決するための技術として、ローラまたはブレードなどの帯電部材を感光体表面に当接させることにより、その接触部分近傍に狭い空間を形成し所謂パッシェンの法則で解釈できるような放電を形成することによりオゾン発生を極力抑えた帯電方法が開発されている。この中でも特に帯電部材として帯電ローラを用いたローラ帯電方式が、帯電の安定性という点から好ましく用いられている。
【0013】
この帯電は帯電部材から被帯電体への放電によって行われるため、ある閾値電圧以上の電圧を印加することにより帯電が開始される。例えば感光層の厚さが約25μmの有機光導電性物質を含有する感光体に対して帯電ローラを当接させた場合には、約640V以上の電圧を印加すれば感光体の表面電位が上昇し始め、それ以降は印加電圧に対して傾き1で線形に感光体表面電位が増加する。以後この閾値電圧を帯電開始電圧Vthと定義する。つまり、感光体表面電位Vdを得るためには帯電ローラにはVd+Vthという必要とされる以上のDC電圧が必要となる。さらに、環境変動などによって帯電ローラの抵抗値が変動するため、感光体の電位を所望の値にすることが難しかった。
【0014】
このため、異なる帯電の均一化を図るために特開昭63−149669号公報に開示されるように、所望のVdに相当するDC電圧に2×Vth以上のピーク間電圧を持つAC電圧を重畳した電圧を接触帯電ローラに印加するDC+AC帯電方式が用いられる。これは、ACによる電位のならし効果を目的としたものであり、被帯電体の電位はAC電圧のピークの中央であるVdに収束し、環境変動の如き外乱には影響されにくい。
【0015】
しかしながら、このような帯電方法においても、その本質的な帯電機構は、帯電部材から感光体への放電現象を用いているため、先に述べたように帯電に必要とされる電圧は感光体表面電位以上の値が必要とされる。さらに、AC電圧の電界に起因する帯電部材と感光体の振動及び騒音(以下AC帯電音と称す)の発生、及び、放電による感光体表面の劣化などが顕著になり、新たな問題点となっていた。
【0016】
また、特開平5−19662号公報には一次重合粒子を融着して得た二次粒子をトナーに用いることが提案され、特開平4−296766号公報においては感光体露光光を透過する重合トナーを使用することが提案され、特開平5−188637号公報においては体積平均径,個数平均径,トナーの帯電量,トナー投影像の面積比,トナーのBET比表面積などを規定したトナーを使用することが提案されているが、現像兼回収方式を用いた優れた画像形成方法が待望されている。
【0017】
現像兼回収方式又はクリーナーレスと称される技術を用いた場合、画像上のメモリに関しては、転写残トナーの影響により、露光を遮り、静電荷潜像の形成を乱し所望の電位を得られず、画像上にネガメモリが発生しやすい。さらには、転写残トナーが多いと、現像工程で回収し切れずに画像上にポジメモリが生じやすい。非パターン化部材を用いて、画像品質が低下しやすい。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上述の如き問題点を解決した画像形成方法を提供することにある。
【0019】
すなわち、本発明の目的は、クリーナレス方式の画像形成方法を提供することにある。
【0020】
本発明の目的は、多数枚の連続プリントを行っても、トナー転写性に優れ、カブリのない耐久安定性にすぐれたクリーナレス方式の画像形成方法を提供することにある。
【0021】
本発明の目的は、多数枚の連続プリントを行っても、帯電ローラへの汚染が少なく、鮮明な画像特性を有し、且つ、耐久安定性に優れたクリーナレス方式の画像形成方法を提供することにある。
【0022】
本発明の目的は、像担持体の磨耗が少なく、画像濃度安定性の良好なクリーナレス方式の画像形成方法を提供することにある。
【0024】
【課題を解決するための手段】
本発明は、像担持体と、像担持体面を帯電する帯電手段と、帯電処理された像担持体に静電潜像を形成する情報書き込み手段と、静電潜像に現像剤を供給し静電潜像を可視化する現像手段と、可視化した現像剤像を転写材に転写する転写手段と、前記帯電手段より上流に位置していて、像担持体面上の現像剤を帯電する現像剤帯電量制御手段とを有する画像形成装置を用い、現像兼回収方式にて、画像形成を行う画像形成方法において、
該像担持体面を帯電する帯電手段が導電性弾性層を有する帯電ローラであり、かつ、該帯電ローラの表面硬度はアスカーCで30度乃至80度であり、
転写工程後の像担持体上に残余する現像剤を、前記現像剤帯電量制御手段で正規極性に帯電処理し、前記帯電手段で前記像担持体面を帯電する際に、適正帯電量にし、
該現像剤が、少なくとも結着樹脂及び着色剤を含有したトナーとキャリアを有する二成分現像剤であり、
該トナーは、テトラヒドロフラン(THF)可溶分の分子量分布におけるメインピークの分子量Mpが6,000乃至50,000であり、重量平均分子量(Mw)が8,000乃至1,500,000であり、
さらに該キャリアの体積平均による50%径が15乃至60μm、SF−1が100乃至130、該50%粒径の2/3以下の粒径の粒子の含有量が5体積%以下であることを特徴とする画像形成方法に関する。
【0026】
【発明の実施の形態】
現像兼回収方法を用いたクリーナーレス画像形成方法の原理を説明する。その原理は、電子写真各工程における感光体上のトナーの帯電極性及び帯電量を制御することと反転現像方法を用いるということである。
【0027】
マイナス帯電性の感光体及びマイナス帯電性のトナーを用いた場合、その転写工程において、プラス極性の転写部材によって可視化された像が転写材に転写される。転写材の種類(厚み,抵抗,誘電率等の違い)と画像面積との関係により、転写残トナーの帯電極性がプラスからマイナスまで変動する。しかし、マイナス帯電性の感光体を帯電する際のマイナス極性の帯電部材により、感光体表面と共に転写残トナーまでもが、転写工程においてプラス極性になったとしても、一様にマイナス側へ帯電極性を揃えることができる。それゆえ、現像方法として反転現像を用いた場合、現像されるべき明部電位部上にはマイナスに帯電された、転写残トナーが残り、現像されるべきでない暗部電位には、現像電界の関係上トナー担持体の方に転写残トナーが引き寄せられ、暗部電位部上にトナーは残留しない。
【0028】
図1を用い、更に具体的に説明する。
【0029】
トナー担持体(現像ローラ)101上に担持されたトナーとキャリアとを有する現像剤でマイナス極性に帯電されたトナーにより、マイナス帯電性の感光体102上の静電荷潜像を反転現像により、トナー像を得る。感光体上のトナー像は、プラスバイアスを印加したコロナ転写帯電器103により転写材104に転写される。転写材に転写しきれないトナーは転写残トナーとして感光体102上に残留する。
【0030】
この転写残トナーは、プラス極性の転写バイアスをうけてプラス極性となっているトナー粒子を含む。転写残トナーが、コロナ帯電器105により感光体102表面をマイナス極性に帯電する際に、プラス極性となっているトナー粒子をマイナス極性へ変換する。
【0031】
よって、コロナ帯電器105を通過した感光体2上のトナーは一様にマイナス極性であり、感光体表面電位もマイナス極性である。
【0032】
ついで、像露光106により静電荷潜像を形成し、トナーを担持した現像ローラ101により、感光体102の静電荷潜像を現像する。反転現像では、像露光部(明部電位部)を現像するが、現像ローラ102に印加するバイアスを、感光体非露光部,露光部電位の間に位置することにより、非露光部(暗部電位部)上に存在するマイナス極性トナーに対しては、トナー側に引きつける静電気力を働かせ、転写残のトナーを回収することができる。
【0033】
露光部上に存在するマイナス極性トナーに対しては、感光体表面上に残留する力が働くが、元来トナー像の形成される部分であり、問題を生じない。
【0034】
図2は、感光体36表面をマイナス極性に帯電する手段として帯電ローラ31を用い、転写帯電手段としてプラスバイアスを印加した転写ローラ37を用いている。
【0035】
上述のように、転写残トナーの帯電極性を制御することにより、現像兼回収方式によるクリーナレス画像形成方法を実施することが可能であるが、環境変動や連続通紙印字においてはまだ完全に回収できず、更なる改良が望まれている。
【0036】
これに対して、本発明者らは、鋭意検討の結果、現像兼回収方式によるクリーナレスシステムにおいて、画像形成方法感光体面を帯電する帯電手段より上流に位置していて、感光体面上のトナーを帯電するトナー帯電量制御手段とを有し、転写工程後の感光体上に残余するトナーを、前記トナー帯電量制御手段で正規極性に帯電処理にする画像形成装置を用い、加えてトナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶分の分子量分布におけるメインピークの分子量Mpが6,000乃至50,000であり、重量平均分子量(Mw)が8,000乃至1,500,000であり、キャリアの体積平均による50%径が15乃至60μm、SF−1が100乃至130であり、さらに該感光体面を帯電する帯電手段が導電性弾性層を有する帯電ローラであって、該帯電ローラの表面硬度はアスカーCで30度乃至80度である時に、現像兼回収方式における上記問題点を解決することを見出した。
【0037】
本発明のトナーにおいては、トナーの分子量分布、不溶分、およびメルトインデックスを所定の値とすることにより,帯電ローラ等の部材や感光ドラムを汚染したり、傷つけたりすることが少ない。とはいえ帯電ローラのようにドラムに圧接している部材がある場合、耐久が進むにつれて部材やドラムの汚染や磨耗が起こったり、トナーがドラム表面やローラ表面に付着さらには融着することがある。
【0038】
それに対して、鉄粉キャリアやフェライトキャリアのキャリア比抵抗の低さに起因する電荷リークによる画像欠陥や、大きな飽和磁化に起因する現像機内でのトナーパッキングによる画像欠陥などの問題点を解決するために提案されている磁性体分散型樹脂キャリアは、鉄粉キャリアやフェライトキャリアに比べ、高い比抵抗、低い飽和磁化、小さい真比重の設計にできるために軽負荷現像を容易に可能とし、現像機内におけるトナーへのダメージを抑制できるため、トナーがドラムや帯電部材に融着するのを防止することができる。さらに耐久における外添剤の埋め込みによる転写残トナーの増加を抑制できることからも部材の汚染を少なくすることができる。
【0039】
さらに粒子に形状的な歪みが少なく、粒子強度が高い球形形状にすることが容易設計できるため流動性に優れており、より均一な帯電を与えることが可能であることから本発明のトナーとの組み合わせによって安定した画像濃度を維持できる。
【0040】
ところが、トナー帯電量制御手段で正規極性に帯電処理にする帯電ローラを用いるクリーナレス方式の画像形成方法においては、トナーの融着に伴う不均一な画像に関してまだ十分なものではなかった。つまり、これは耐久での連続通紙により軽微に帯電ローラへトナーが付着し、帯電ローラ表面の硬さが適正でないとトナーがダメージを受けたり、ローラ表面やドラム表面に融着し、不良画像ができてしまうのである。
【0041】
これに対して本発明者らは鋭意検討の結果、上記画像形成方法において、帯電ローラの表面硬度をアスカーCで30度乃至80度とすることで、転写残トナーを帯電ローラ表面にもドラム表面にも付着(固着)するのを抑制し、さらに帯電ローラと感光ドラムとのニップ部でのトナーダメージを軽減することで、帯電ローラ汚染による画像欠陥やそれにともなう転写不良画像を抑制することに成功した。
【0042】
以下、本発明に係わるの画像形成装置(画像記録装置)について説明する。
【0043】
図3は本発明に従う画像形成装置例の概略構成模型図である。本例の画像形成装置は、転写方式電子写真プロセス利用、接触帯電方式、反転現像方式、クリーナレス、最大通紙サイズがA3サイズのレーザビームプリンタである。
【0044】
(1)プリンタの全体的概略構成
a)感光ドラム
1は回転ドラム型の電子写真感光体(以下、感光ドラムと記す)である。この感光ドラム1は、図4の層構成模型図のように、アルミニウム製シリンダ(導電性ドラム基体)1aの表面に、光の干渉を抑え、上層の接着性を向上させる下引き層1bと、光電荷発生層1cと、電荷輸送層1dの3層を下から順に塗り重ねた構成をしている。
【0045】
本発明の感光ドラムは上記に限られるものではない。以下につぎに電子写真感光体の典型的な構成について、図5、図6および図7により説明する。
【0046】
感光層が有機光導電体を主成分として構成され、有機光導電体としては、ポリビニールカルバゾール等の有機光導電性ポリマーを用いたもの、あるいは低分子量の有機光導電性物質を結着樹脂中に含有したものなどがある。
【0047】
図5の電子写真感光体は、導電性支持体16上に感光層17が設けられており、この感光層17は、結着樹脂中に電荷発生物質18を分散含有した電荷発生層19と電荷輸送層20の積層構造である。この場合電荷輸送層20は、電荷発生層19の上に積層されている。
【0048】
図6の電子写真感光体は、図5の場合と異なり、電荷輸送層20は電荷発生層19の下に積層されている。この場合、電荷発生層19中には電荷輸送物質が含有されていてもよい。
【0049】
図7の電子写真感光体は、導電性支持体16上に感光層17が設けられており、この感光層17は結着樹脂中に電荷発生物質18と電荷輸送物質(図示せず)が含有されている。
【0050】
これらのうち、図5に示すように、導電性支持体16側から電荷発生層19、次いで、電荷輸送層20の順で積層されている構造の感光体が本発明においては好ましい。
【0051】
導電性支持体16としては、アルミニウム、ステンレスなどの金属、紙、プラスチックなどの円筒状シリンダー、シートまたはフィルムなどが用いられる。また、これらの円筒状シリンダー、シートまたはフィルムは、必要に応じて導電性ポリマー層、あるいは酸化スズ、酸化チタン、銀粒子などの導電性粒子を含有する樹脂層を有していてもよい。
【0052】
また、導電性支持体16と感光層17の間にはバリアー機能と下引き機能を持つ下引き層(接着層)を設けることができる。
【0053】
下引き層は感光層の接着性改良、塗工性改良、支持体の保護、支持体の欠陥の被覆、支持体からの電荷注入性改良、感光層の電気的破壊に対する保護などのために形成される。その膜厚は0.2〜2μm程度である。
【0054】
電荷発生物質としては、ビリリウム、チオピオリリウム系染料、フタロシアニン系顔料、アントアントロン顔料、ジベンズビレンキノン顔料、ピラトロン顔料、アゾ顔料、インジゴ顔料、キナクリドン系顔料、非対称キノシアニン、キノシアニンなどを用いることができる。
【0055】
電荷輸送物質としては、ヒドラゾン系化合物、ピラゾリン系化合物、スチリル系化合物、オキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、トリアリールメタン系化合物、ポリアリールアルカン系化合物などを用いることができる。
【0056】
電荷発生層19は、上記電荷発生物質を0.5〜4倍量の結着樹脂、および溶剤と共に、ホモジナイザー、超音波、ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミルなどの方法でよく分散し、塗布、乾燥されて形成される。その厚みは5μm以下、特には0.01〜1μmの範囲が好ましい。
【0057】
電荷輸送層20は、一般的には上記電荷輸送物質と結着樹脂を溶剤に溶解し、塗布して形成する。電荷輸送物質と結着樹脂との混合割合は2:1〜1:2程度である。溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、クロルベンゼン、クロロホルム、四塩化炭素などの塩素系炭化水素類、などが用いられる。この溶液を塗布する際には、例えば浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法などのコーティング法を用いることができ、乾燥は10〜200℃、好ましくは20〜150℃の範囲の温度で5分〜5時間、好ましくは10分〜2時間で送風乾燥または静止乾燥下で行うことができる。生成した電荷輸送層の膜厚は5〜30μm、特には10〜25μmの範囲が好ましい。
【0058】
電荷発生層19および電荷輸送層20を形成するのに用いられる結着樹脂としては、アクリル樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート、ポリサルホン、ポリフェニレンオキシド、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、アルキド樹脂、および不飽和樹脂等から選ばれる樹脂が好ましい。特に好ましい樹脂としては、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、ポリカーボネート樹脂またはジアリルフタレート樹脂が挙げられる。
【0059】
また、電荷発生層あるいは電荷輸送層には、酸化防止剤、紫外線吸収剤、潤滑剤など種々の添加剤を含有させることができる。
【0060】
b)帯電手段
2は感光ドラム1の周面を一様に帯電処理する帯電手段としての接触帯電装置(接触帯電器)であり、本例は帯電ローラ(ローラ帯電器)である。
【0061】
この帯電ローラ2は、芯金2aの両端部をそれぞれ不図示の軸受け部材により回転自在に保持させると共に、押し圧ばね2eによって感光ドラム方向に付勢して感光ドラム1の表面に対して所定の押圧力をもって圧接させており、感光ドラム1の回転に従動して回転する。感光ドラム1と帯電ローラ2との圧接部が帯電部(帯電ニップ部)aである。
【0062】
帯電ローラ2の芯金2aには、電源S1より所定の条件の帯電バイアス電圧が印加されることにより回転感光ドラム1の周面が所定の極性・電位に接触帯電処理される。本例において、帯電ローラ2に対する帯電バイアス電圧は直流電圧(Vdc)と交流電圧(Vac)とを重畳した振動電圧である。
【0063】
直流電圧;−500V
交流電圧;周波数f1000Hz、ピーク間電圧Vpp1400V、正弦波とを重畳した振動電圧であり、感光ドラム1の周面は−500V(暗電位Vd)に一様に接触帯電処理される。
【0064】
帯電ローラ2の長手長さは320mmであり、図4の層構成模型図のように、芯金(支持部材)2aの外回りに、弾性層2bと、抵抗制御層2cと、表面層2dを下から順次に積層した3層構成である。弾性層2bは帯電音を低減するための発泡スポンジ層であり、抵抗制御層2cは帯電ローラ全体として均一な抵抗を得るための導電層であり、表面層2dは感光ドラム1上にピンホール等の欠陥があってもリークが発生するのを防止するために設けている保護層である。
【0065】
さらに詳細に説明する。
【0066】
図4において、2は帯電部材、2aは導電性支持体、2bは弾性層、2cは抵抗制御層、2dは表面層を示す。帯電ローラは抵抗制御層2cのない弾性層2bと表面層2dの構成であってもよい。
【0067】
本発明に用いられる導電性支持体2aは、鉄、銅、ステンレス、アルミニウム及びニッケル等の金属を用いることができる。更に、これらの金属表面に防錆や耐傷性付与を目的としてメッキ処理を施しても構わないが、導電性を損なわないことが必要である。
【0068】
帯電ローラ2において、弾性層2bには、帯電ローラ2の感光体1に対する良好な均一密着性を確保するために適当な弾性を持たせてある。
【0069】
弾性層2bの導電性は、ゴム等の弾性材料中にカーボンブラック等の導電性粒子あるいはアルカリ金属塩及びアンモニウム塩等の導電剤を添加することにより調整される。弾性はプロセス油及び可塑剤等の添加により調整される。弾性層2bの具体的弾性材料としては、例えば、天然ゴム、エチレンプロピレンジエンメチレンゴム(EPDM)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、シリコーンゴム、ウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴム、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、ニトリル−ブタジエンゴム(NBR)及びクロロプレンゴム(CR)等の合成ゴム、更にはポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂及びフッ素樹脂等の樹脂も挙げられる。また、前述の弾性材料の発泡体を弾性層2bに用いてもよい。
【0070】
前記弾性層の電気抵抗は、1×103〜1×1010[Ωcm]の範囲の導電性を有していることが好ましい。また、膜厚は導電性支持体の径にもよるので、特に制限を受けるものではない。
【0071】
表面層2dは、弾性層2b中の可塑剤等の帯電ローラ表面へのブリードアウトを防止するためや帯電ローラ表面の滑り性や平滑性を維持するために設けることが多い。表面層2dは塗工あるいはチューブを被覆することによって設ける。
【0072】
表面層2dを塗工により設ける場合、具体的な材料としては、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂及びシリコーン樹脂等の樹脂、更にはエピクロルヒドリンゴム、ウレタンゴム、クロロプレンゴム及びアクリロニトリル系ゴム等が挙げられる。塗工方法としては、浸漬塗工法、ロール塗工法及びスプレー塗工法などがよい。
【0073】
また、表面層2dをチューブを被覆することにより設ける場合、具体的な材料としては、ナイロン12、PFA(4フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、FEP(4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合樹脂)、更にはポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系及びポリアミド系等の熱可塑性エラストマーが挙げられる。
【0074】
チューブは熱収縮性チューブであってもよいし、非熱収縮性チューブであってもよい。表面層2dにも適度な導電性を持たせるため、カーボンブラック及びカーボングラファイトのような導電性粒子や、導電性酸化チタン、導電性酸化亜鉛及び導電性酸化錫等の導電性金属酸化物等の導電剤が用いられる。
【0075】
前記表面層の電気抵抗は、1×106〜1×1014[Ωcm]の範囲であることが好ましい。また、膜厚は、2乃至500μmであることが好ましい。より好ましくは、2乃至250μmである。
【0076】
抵抗制御層2cは帯電部材の抵抗を制御するために設けることが多い。抵抗制御層2cの具体的材料としては、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂等の樹脂、さらにはエピクロルヒドリンゴム、ウレタンゴム、クロロプレンゴム及びアクリロニトリル系ゴム等が挙げられる。抵抗制御層2cにも抵抗調整を目的として、カーボンブラックやカーボングラファイトのような導電性粒子や、導電性酸化チタン、導電性酸化亜鉛及び導電性酸化錫等の導電性金属酸化物あるいはアルカリ金属塩及びアンモニウム塩等の導電剤を分散することができる。
【0077】
抵抗制御層2cもまた塗工あるいはチューブを被覆することによって設ける。
【0078】
前記抵抗制御層の電気抵抗は、1×106〜1×1010[Ωcm]の範囲であることが好ましい。また、膜厚は、10乃至1000μmであることが好ましい。より好ましくは10乃至750μmである。
【0079】
本発明における体積抵抗率の測定は、JIS K 6911に準じて行ったものである。
【0080】
図4において、2fは帯電ローラクリーニング部材であり、本例では可撓性を持つクリーニングフィルムである。このクリーニングフィルム2fは帯電ローラ2の長手方向に対し平行に配置され且つ同長手方向に対し一定量の往復運動をする支持部材2gに一端を固定され、自由端側近傍の面において帯電ローラ2と接触ニップを形成するよう配置されている。支持部材2gがプリンタの駆動モーターによりギア列を介して長手方向に対し一定量の往復運動駆動されて帯電ローラ表面層2dがクリーニングフィルム2fで摺擦される。これにより帯電ローラ表面層2dの付着汚染物(微粉トナー、外添剤など)の除去がなされる。
【0081】
c)情報書き込み手段
帯電処理された感光ドラム1の面に静電潜像を形成する情報書き込み手段3としては、LEDアレイを用いる方法、半導体レーザを用いる方法、液晶シャッタアレイを用いた方法などがある。本例は半導体レーザを用いたレーザビームスキャナである。
【0082】
画像読み取り装置等のホスト装置からプリンタ側に送られた画像信号に対応して変調されたレーザ光を出力して、回転感光ドラム1の一様帯電処理面を露光位置bにおいてレーザ走査露光L(イメージ露光)する。このレーザ走査露光Lにより感光ドラム1面のレーザ光で照射されたところの電位が低下することで、回転感光ドラム1面には、走査露光した画像情報に対応した静電潜像が順次に形成されていく。
【0083】
d)現像手段
4は感光ドラム1上の静電潜像に現像剤(トナー)を供給し静電潜像を可視化する現像手段としての現像装置(現像器)であり、本例は二成分磁気ブラシ現像方式の反転現像装置である。
【0084】
4aは現像容器、4bは非磁性の現像スリーブであり、この現像スリーブ4bはその外周面の一部を外部に露呈させて現像容器4a内に回転可能に配設してある。4cは非回転に固定して現像スリーブ4b内に挿設したマグネットローラ、4dは現像剤コーティングブレード、4eは現像容器4aに収容した二成分現像剤、4fは現像容器4a内の底部側に配設した現像剤攪拌部材、4gはトナーホッパーであり、補給用トナーを収容させてある。
【0085】
而して、回転する現像スリーブ4bの面に薄層としてコーティングされ、現像部cに搬送された現像剤中のトナー分が現像バイアスによる電界によって感光ドラム1面に静電潜像に対応して選択的に付着することで静電潜像がトナー画像として現像される。本例の場合は感光ドラム1面の露光明部にトナーが付着して静電潜像が反転現像される。
【0086】
現像部cを通過した現像スリーブ4b上の現像剤薄層は、引き続く現像スリーブの回転に伴い現像容器4a内の現像剤溜り部に戻される。
【0087】
現像容器4a内の二成分現像剤4eのトナー濃度を所定の略一定範囲内に維持させるために、現像容器4a内の二成分現像剤4eのトナー濃度が不図示の例えば光学式トナー濃度センサーによって検知され、その検知情報に応じてトナーホッパー4gが駆動制御されて、トナーホッパー内のトナーが現像容器4a内の二成分現像剤4eに補給される。二成分現像剤4eに補給されたトナーは撹拌部材4fにより撹拌される。
【0088】
e)転写手段・定着手段
5は転写装置であり、本例は転写ローラである。この転写ローラ5は感光ドラム1に所定の押圧力をもって圧接させてあり、その圧接ニップ部が転写部dである。この転写部dに不図示の給紙機構部から所定の制御タイミングにて転写材(被転写部材、記録材)Pが給送される。
【0089】
転写部dに給送された転写材Pは、回転する感光ドラム1と転写ローラ5の間に挟持されて搬送され、その間、転写ローラ5に電源S3からトナーの正規帯電極性である負極性とは逆極性である正極性の転写バイアス(本例では+2kV)が印加されることで、転写部dを挟持搬送されていく転写材Pの面に感光ドラム1面側のトナー画像が順次に静電転写されていく。
【0090】
転写部dを通ってトナー画像の転写を受けた転写材Pは、回転感光ドラム1面から順次に分離されて定着装置6(例えば熱ローラ定着装置)へ搬送されてトナー画像の定着処理を受けて画像形成物(プリント、コピー)として出力される。
【0091】
(2)クリーナレスシステムおよびトナー帯電量制御
本例のプリンタはクリーナレスであり、転写材Pに対するトナー画像転写後の感光ドラム1面に若干量残留する転写残トナーを除去する専用のクリーニング装置は具備させていない。転写後の感光ドラム1面上の転写残トナーは引き続く感光ドラム1の回転に伴い帯電部a、露光部bを通って現像部cに持ち運ばれて、現像装置4により現像と兼用で回収される(クリーナレスシステム)。
【0092】
本実施例においては現像装置4の現像スリーブ4bは前述したように現像部cにおいて、感光ドラム1面の進行方向とは逆方法に回転させており、これは感光ドラム1上の転写版トナーの回収に有利である。
【0093】
感光ドラム1面上の転写残トナーは露光部bを通るので露光工程はその転写残トナー上からなされるが、転写残トナーの量は少ないため、大きな影響は現れない。
【0094】
ただ前述のように、転写残トナーには帯電極性が正規極性のもの、逆極性のもの(反転トナー)、帯電量が少ないものが混在しており、その内の反転トナーや帯電量が少ないトナーが帯電部aを通過する際に帯電ローラ2に付着することで帯電ローラが許容以上にトナー汚染して帯電不良を生じることになる。
【0095】
また、感光ドラム1面上の転写残トナーの現像装置3による現像兼回収を効果的に行なわせるためには、現像部cに持ち運ばれる感光ドラム上の転写残トナーの帯電極性が正規極性であり、かつその帯電量が現像装置によって感光ドラムの静電潜像を現像できるトナーの帯電量であることが必要である。反転トナーや帯電量が適切でないトナーについては感光ドラム上から現像装置に除去・回収できず、不良画像の原因となってしまう。
【0096】
そこで本実施例においては、転写部dよりも感光ドラム回転方向下流側で、帯電部aよりも感光ドラム回転方向上流側の位置において、転写残トナーの帯電極性を正規極性である負極性に揃えるためのトナー(現像剤)帯電量制御手段7を設けている。
【0097】
転写残トナーの帯電極性を正規極性である負極性に揃えることにより、さらに下流に位置する帯電部aで、該転写残トナーの上から感光ドラム1面上を帯電処理する際に、感光ドラム1への鏡映力が大きくし、転写残トナーの帯電ローラ2への付着を防止するのである。
【0098】
次に現像工程における転写残トナーの回収について述べる。
【0099】
現像装置4は上述したとおりで、現像と兼用で転写残トナーを清掃するクリーナレス方式である。
【0100】
感光ドラム1上の転写残トナーが現像装置4に回収されるためのトナー帯電量は、前記現像剤帯電量制御手段で帯電処理されたときの帯電量の絶対値よりも小さい絶対値の帯電量にすることが必要である。これはいわゆる除電であり、転写残トナーの帯電量が高いとドラムとの親和力の方が勝り、現像装置4に回収されなくなり、画像欠陥を生じることによる。
【0101】
しかしながら、上述したように帯電ローラ2へのトナー付着を防止するために、トナー帯電量制御手段7によって負極性に大きく帯電された転写残トナーを、現像装置4において回収させるためには、除電を行う必要がある。その除電は帯電部aでなされる。即ち、帯電ローラ2には前記したように1000Hz、1400Vの交流電圧が印加されていることにより、転写残トナーは交流除電されるのである。また、帯電ローラ2への印加交流電圧の調整により帯電部aを通過後のトナー帯電量を交流除電で調整することができる。現像工程においては、トナーが現像されるべきではない感光ドラム1上の転写残トナーは、上記の理由で現像装置4に回収される。
【0102】
かくして、転写部dから帯電部aへ持ち運ばれる感光ドラム1上の転写残トナーのトリボをトナー帯電量制御手段7で正規極性である負極性に揃えて帯電処理することで転写残トナーの帯電ローラ2への付着を防止しつつ、帯電ローラ2で感光ドラム1を所定の電位に帯電する際に、上記のトナー帯電量制御手段7で正規極性である負極性に帯電処理された転写残トナーの帯電量を、現像装置4によって感光ドラムの静電潜像を現像できる適切な帯電量に制御することで現像装置での転写残トナーの回収も効率的になされるもので、これにより、帯電不良や不良画像がなく、しかもクリーナレスシステムのメリットを生かした画像形成装置を提供できる。
【0103】
次に本発明のトナーについて説明する。
【0104】
本発明に用いられるトナーはトナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶分の分子量分布におけるメインピークの分子量Mpが6,000乃至50,000であると耐久に伴う帯電ローラや感光体へのトナー融着を抑制することができる。さらに外添剤の遊離、埋め込みによる転写残を軽減することができる。
【0105】
ここで、THF可溶分の分子量分布の測定方法を以下に示す。
【0106】
<THF可溶分の分子量分布の測定方法>
ポリエステル樹脂の場合、GPC測定用の試料は以下のようにして作製する。結着樹脂をテトラヒドロフラン(THF)中に入れ、数時間放置した後、十分振とうしTHFと良く混ぜ(樹脂の合一体がなくなるまで)、更に12時間以上静置する。このときTHF中への放置時間が24時間以上となるようにする。その後、サンプル処理フィルター(ポアサイズ0.45〜0.5μm、たとえば、マイショリディスクH−25−5 東ソー社製、エキクロディスク25CR ゲルマン サイエンス ジャパン社製などが利用できる)を通過させたものを、GPCの試料とする。樹脂濃度は、樹脂成分が0.5〜5mg/mlとなるように調整する。
【0107】
結着樹脂のTHF可溶成分のGPCによる分子量及び分子量分布は以下の方法で測定される40℃のヒートチャンバ中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてTHFを毎分1mlの流速で流し、THF試料溶液を約100μl注入して測定する。試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリエステル試料としては、たとえば、東ソー社製あるいは、昭和電工社製の分子量が102〜107程度のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。カラムとしては、市販のポリスチレンジェルカラムを複数本組み合わせるのが良く、たとえば昭和電工社製のshodex GPC KF−801,802,803,804,805,806,807,800Pの組み合わせや、東ソー社製のTSKge1G1000H(HXL),G2000H(HXL),G3000H(HXL),G4000H(HXL),G5000H(HXL),G6000H(HXL),G7000H(HXL) TSKguardcolumnの組み合わせが挙げられる。
【0108】
特に、カラム構成は、昭和電工社製A−801、802、803、804、805、806及び807を連結したものが好ましい。
【0109】
テトラヒドロフラン(THF)可溶分の分子量分布におけるメインピークの分子量Mpが6,000未満であると帯電ローラや感光体に融着しやすくなり、画像欠陥を生ずることになる。
【0110】
メインピークの分子量Mpが50,000より大きいと、低分子量成分が少なくトナーが硬くなるため帯電ローラや感光ドラムが磨耗しやすくなる。また外添剤がトナーから遊離しやすくなる傾向にあり、帯電ローラやドラム等部材を汚染しやすくなる。その他定着性やOHPの透過性に劣る。
【0111】
さらには、トナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶分の重量平均分子量(Mw)が8,000乃至1,500,000であると耐久に伴う帯電ローラや感光体へのトナー融着を抑制することができる。さらに外添剤の遊離、埋め込みによる転写残を軽減することができる。
【0112】
テトラヒドロフラン(THF)可溶分の重量平均分子量(Mw)が8,000未満であると帯電ローラや感光体に融着しやすくなり、画像欠陥を生ずることになる。
【0113】
重量平均分子量(Mw)が1,500,000より大きいと、トナーが硬くなるため帯電ローラや感光ドラムが磨耗しやすくなる。また外添剤がトナーから遊離しやすくなる傾向にあり、帯電ローラ、ドラム等部材を汚染しやすくなる。その他定着性やOHPの透過性に劣る。
【0114】
さらに本発明においては、Mwが9,000乃至1,200,000であることがより好ましい。さらにはカラートナーにおいては混色性やOHT透過性の観点からMwが9,000乃至600,000であることがより好ましい。
【0115】
さらに、本発明者らは、クリーニング部材を除いたクリーナーレスシステムにおいて画像濃度が安定し、帯電ローラ等の接触部材に対する汚染の少ない静電荷像現像用トナーを提供するには、上述の様な分子量分布の規定に加えて、トナーのメルトインデックスを特定の範囲にすることが必要であることを見いだした。
【0116】
それは、様々な機能物質の複合体であるトナーの挙動を、材料物質の物性や添加量だけで判断することは困難であることと、結着樹脂のゲル分(不溶分)、非ゲル分(可溶分)、そして離型剤の複合体として評価できることに鑑みている。
【0117】
本発明において、トナーのメルトインデックス(温度130℃,49N(荷重5kg))の10分間での吐出量を1乃至80gにすることで、耐久に伴う帯電ローラや感光体へのトナー融着を抑制することができる。さらに外添剤の遊離、埋め込みによる転写残を軽減することができる。
【0118】
トナーのメルトインデックスが1未満となると、トナーが全体として硬くなるため帯電ローラや感光ドラムが磨耗しやすくなる。また外添剤がトナーから遊離しやすくなる傾向にあり、帯電ローラやドラム等部材を汚染しやすくなる。その他定着性やOHPの透過性に劣る。トナーのメルトインデックスが80を超えると、帯電ローラや感光体に融着しやすくなり、画像欠陥を生ずることになる。特に機内昇温等が起き温度が高くなったときに顕著である。
【0119】
本発明においてはメルトインデックスが3乃至60gであることが好ましい。
【0120】
ここでトナーのメルトインデックスの測定方法を以下に示す。
【0121】
<メルトインデックスの測定>
メルトインデックスとは、任意の温度、荷重における10分間での吐出量を示す。本発明においては以下の条件で測定した値とする。これは基本的に<JIS規格K−7210>に準拠している。
【0122】
測定装置としてSemi−automatic 2−A Melt Index(Toyo Seiki Co.Ltd)を使用する。
【0123】
空洞内径2.095mmのオリフィスを入れ、あらかじめ130℃に温調しておき、ここにトナーサンプル3〜8gを秤量して投入する。この時、気泡が入らないように注意しながら金属製ピストンをセットし、5分以上温度を保つ。その後、ピストンとおもりの合計が49N(5kg)となるような荷重を一定にかけながら測定を行う。測定は任意の時間で行い、10分間の吐出量に換算しても良い。
【0124】
本発明においてはトナーのテトラヒドロフラン溶媒でのソックスレー抽出による不溶分が1乃至60質量%であると、耐久に伴う帯電ローラや感光体へのトナー融着を抑制することができる。さらに外添剤の遊離、埋め込みによる転写残を軽減することができる。
【0125】
ここでTHF不溶分の測定方法を以下に示す。
【0126】
<THF不溶分の測定>
本発明におけるTHF不溶分とは、トナー中の樹脂組成物中のTHF溶媒に対して不溶性となった超高分子ポリマー成分(実質的に架橋ポリマー)および顔料や磁性体も含めTHFに不溶である成分のトータルでの質量割合を示す。THF不溶分とは、以下のように測定された値をもって定義する。
【0127】
トナーサンプル0.5〜1.0gを秤量し(W1g)、円筒濾紙(例えば東洋濾紙製No.86R)に入れてソックスレー抽出器にかけ、溶媒としてTHF100〜200mlを用いて6時間抽出し、THF溶媒によって抽出された可溶成分をエバポレートした後、100℃で数時間真空乾燥し、THF可溶樹脂成分量を秤量する(W2g)。トナー中の顔料や磁性体も含めTHFに不溶であった成分の質量を(W2g)とする。THF不溶分は、下記式から求められる。
【0128】
【数1】
Figure 0004474055
【0129】
トナーのテトラヒドロフラン溶媒でのソックスレー抽出による不溶分が1質量%未満であると、長時間の耐久においてトナーに負荷がかかりつづけた場合など部材の汚染を生じたり、外添剤の埋め込みによる転写残が増加したりしやすくなる。
【0130】
一方、トナーのテトラヒドロフラン溶媒でのソックスレー抽出による不溶分が60質量%を超えると、トナーが全体として硬くなるため帯電ローラや感光ドラムが磨耗しやすくなる。また外添剤がトナーから遊離しやすくなる傾向にあり、帯電ローラやドラム等部材を汚染しやすくなる。その他定着性やOHPの透過性に劣る。
【0131】
本発明のトナーに用いられる低軟化点物質としては、例えば、パラフィン系ワックス、ポリオレフィン系ワックス、これらの変性物(例えば、酸化物やグラフト処理物)、高級脂肪酸およびその金属塩、アミドワックス、ケトンワックス、及びエステル系ワックスなどが挙げられるが、カラートナーに使用する場合は結晶性が高いとOHPの透過性を妨げることから、アミドワックス、エステルワックスが好ましい。
【0132】
低軟化点物質は結着樹脂100質量部に対し、1乃至35質量部、好ましくは5乃至30質量部配合するのが良い。
【0133】
本発明のトナーに使用される結着樹脂としては、下記の結着樹脂の使用が可能である。
【0134】
例えば、ポリスチレン、ポリ−p−クロルスチレン、ポリビニルトルエンの如きスチレンおよびその置換体の単重合体;スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体の如きスチレン系共重合体;ポリ塩化ビニル;フェノール樹脂;天然変性フェノール樹脂;天然変性マレイン酸樹脂;アクリル樹脂;メタクリル樹脂;ポリ酢酸ビニール;シリコーン樹脂;ポリエステル樹脂;ポリウレタン;ポリアミド樹脂;フラン樹脂;エポキシ樹脂;キシレン樹脂;ポリビニルブチラール;テルペン樹脂;クマロンインデン樹脂;石油系樹脂が使用できる。好ましい結着物質としては、スチレン系共重合体もしくはポリエステル樹脂があげられる。
【0135】
スチレン系共重合体のスチレンモノマーに対するコモノマーとしては、例えば、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドのような二重結合を有するモノカルボン酸もしくはその置換体;例えば、マレイン酸、マレイン酸ブチル、マレイン酸メチル、マレイン酸ジメチルのような二重結合を有するジカルボン酸およびその置換体;例えば、塩化ビニル、酢酸ビニル、安息香酸ビニルのようなビニルエステル類;例えば、エチレン、プロピレン、ブチレンのようなエチレン系オレフィン類;例えば、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトンのようなビニルケトン類;例えば、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルのようなビニルエーテル類;の如きビニル系単量体が単独もしくは2つ以上用いられる。
【0136】
スチレン系重合体またはスチレン系共重合体は架橋されていても良く、さらに架橋されている樹脂と架橋されていない樹脂との混合樹脂でも良い。
【0137】
結着樹脂の架橋剤としては、主として2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物を用いてもよい。例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンのような芳香族ジビニル化合物;例えば、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレートのような二重結合を2個有するカルボン酸エステル;例えば、ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホンの如きジビニル化合物;および3個以上のビニル基を有する化合物;が単独もしくは混合物として用いられる。
【0138】
架橋剤の添加量としては、重合性単量体100質量部に対して0.001〜10質量部が好ましい。
【0139】
本発明のトナーは、荷電制御剤を含有しても良い。
【0140】
トナーを負荷電性に制御するものとして下記物質がある。
【0141】
例えば、有機金属化合物、キレート化合物が有効であり、モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸系の金属化合物がある。他には、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノール等のフェノール誘導体類などがある。また、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、含金属ナフトエ酸系化合物、ホウ素化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーン、ケイ素化合物、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル−スルホン酸共重合体、ノンメタルカルボン酸系化合物等が挙げられる。また、上記荷電制御化合物をペンダントした樹脂をトナー中に内添させても良い。
【0142】
トナーを正荷電性に制御するものとして下記物質がある。
【0143】
例えば、ニグロシン及び脂肪酸金属塩等による変性物、グアニジン化合物、イミダゾール化合物、トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートなどの4級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩及びこれらのレーキ顔料、トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、りんタングステン酸、りんモリブデン酸、りんタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物など)、高級脂肪酸の金属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイドなどのジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレートなどのジオルガノスズボレート類;これらを単独で或は2種類以上組合せて用いることができる。これらの中でも、ニグロシン系、4級アンモニウム塩の如き荷電制御剤が特に好ましく用いられる。また、上記荷電制御化合物をペンダントした樹脂をトナー中に内添させても良い。
【0144】
これらの荷電制御剤は、樹脂成分100質量部に対して、0.01〜20質量部(より好ましくは0.5〜10質量部)使用するのが良い。
【0145】
本発明に用いられる着色剤は、黒色着色剤としてカーボンブラック,グラフト化カーボンや以下に示すイエロー/マゼンタ/シアン着色剤を用い黒色に調色されたものが利用される。
【0146】
イエロー着色剤としては、縮合アゾ化合物,イソインドリノン化合物,アンスラキノン化合物,アゾ金属錯体,メチン化合物,アリルアミド化合物に代表される化合物等が用いられる。具体的には、C.I.Pigment Yellow3、7、10、12、13、14、15、17、23、24、60、62、74、75、83、93、94、95、99、100、101、104、108、109、110、111、117、123、128、129、138、139、147、148、150、166、168、177、179、180、181、183、185、191、192、199等が好適に用いられる。
【0147】
また、染料としてC.I.Solvent Yellow33、56、79、82、93、112、162、163、C.I.Disperse Yellow42、64、201、211等があげられる。また、必要に応じてイエロー顔料、染料を単独で使用しても、もしくは数種の顔料や染料を併用しても良い。
【0148】
マゼンタ着色剤としては、縮合アゾ化合物,ジケトピロロピロール化合物,アントラキノン,キナクリドン化合物,塩基染料レーキ化合物,ナフトール化合物,ベンズイミダゾロン化合物,チオインジゴ化合物,ペリレン化合物等が用いられる。具体的には、C.I.Pigment Red2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、146、150、166、169、177、184、185、202、206、220、221、238、254やC.I.Pigment Violet19等が特に好ましい。また、必要に応じてマゼンタ顔料、染料を単独で使用しても、もしくは数種の顔料や染料を併用しても良い。
【0149】
本発明に用いられるシアン着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体,アントラキノン化合物,塩基染料レーキ化合物等が利用できる。具体的には、C.I.Pigment Blue1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66等が特に好適に利用できる。また、必要に応じてシアン顔料、染料を単独で使用しても、もしくは数種の顔料や染料を併用しても良い。
【0150】
これらの着色剤は、単独又は混合し更には固溶体の状態で用いることができる。本発明の着色剤は、色相角,彩度,明度,耐候性,OHP透明性,トナー中への分散性の点から選択される。該着色剤の添加量は、樹脂100質量部に対し1〜20質量部添加して用いられる。
【0151】
次に本発明に用いられるトナーを製造するための方法について説明する。本発明に用いられるトナーは、粉砕トナー製法及び重合トナー製法を用いて製造することが可能である。
【0152】
本発明において、粉砕トナーの製造方法は結着樹脂、低軟化点物質、着色剤としての顔料、染料又は磁性体、必要に応じて荷電制御剤、その他の添加剤を、ヘンシェルミキサー、ボールミルの如き混合機により充分混合し;得られた混合物を加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーの如き熱混練機を用いて溶融混練し、樹脂成分を互いに相溶せしめた中に低軟化点物質、顔料、染料、磁性体を分散又は溶解せしめ;得られた混練物を冷却固化後粉砕及び分級を行ってトナーを得ることができる。
【0153】
さらに必要に応じてトナーと所望の添加剤をヘンシェルミキサーの如き混合機により充分混合し、本発明に用いられるトナーを得ることができる。
【0154】
本発明において、重合トナーの製造方法は、特公昭56−13945号公報等に記載のディスク又は多流体ノズルを用い溶融混合物を空気中に霧化し球状トナーを得る方法や、特公昭36−10231号公報,特開昭59−53856号公報,特開昭59−61842号公報に述べられている懸濁重合法を用いて直接トナーを生成する方法や、単量体には可溶で得られる重合体が不溶な水系有機溶剤を用い直接トナーを生成する分散重合法又は水溶性極性重合開始剤存在下で直接重合しトナーを生成するソープフリー重合法に代表される乳化重合法や、予め一次極性乳化重合粒子を作った後、反対電荷を有する極性粒子を加え会合させるヘテロ凝集法等を用いトナーを製造することが可能である。
【0155】
しかしながら、分散重合法においては、得られるトナーは極めてシャープな粒度分布を示すが、使用する材料の選択が狭い事や有機溶剤の利用が廃溶剤の処理や溶剤の引火性に関する観点から製造装置が複雑で煩雑化しやすい。ソープフリー重合に代表される乳化重合法は、トナーの粒度分布が比較的揃うため有効であるが、使用した乳化剤や開始剤末端がトナー粒子表面に存在した時に環境特性を悪化させやすい。
【0156】
従って、本発明においては比較的容易に粒度分布がシャープな微粒子トナーが得られる常圧下での、または、加圧下での懸濁重合法が特に好ましい。一旦得られた重合粒子に更に単量体を吸着せしめた後、重合開始剤を用い重合せしめる所謂シード重合方法も本発明に好適に利用することができる。
【0157】
本発明のトナー製造方法に直接重合方法を用いる場合においては、以下の如き製造方法によって具体的にトナーを製造することが可能である。単量体中に低軟化点物質,着色剤,荷電制御剤,重合開始剤その他の添加剤を加え、ホモジナイザー,超音波分散機等によって均一に溶解又は分散せしめた単量体系を、分散安定剤を含有する水相中に通常の撹拌機またはホモミキサー,ホモジナイザー等により分散せしめる。好ましくは単量体液滴が所望のトナー粒子のサイズを有するように撹拌速度・時間を調整し、造粒する。その後は分散安定剤の作用により、粒子状態が維持され、且つ粒子の沈降が防止される程度の撹拌を行えば良い。重合温度は40℃以上、一般的には50〜90℃の温度に設定して重合を行う。また、重合反応後半に昇温しても良く、更に、トナー定着時の臭いの原因等となる未反応の重合性単量体、副生成物等を除去するために反応後半、又は、反応終了後に一部水系媒体を留去しても良い。反応終了後、生成したトナー粒子を洗浄・濾過により回収し、乾燥する。懸濁重合法においては、通常単量体系100質量部に対して水300〜3000質量部を分散媒として使用するのが好ましい。
【0158】
本発明に用いられるより好ましいトナーは、透過電子顕微鏡(TEM)を用いたトナーの断層面測定法で低軟化点物質が、外殻樹脂層で内包化された直接重合法を用いて製造されたものである。定着性の観点から多量の低軟化点物質をトナーに含有せしめる必要性から、必然的な低軟化点物質を外殻樹脂中に内包化せしめる必要がある。内包化せしめない場合のトナーは、粉砕工程において特殊な凍結粉砕を利用しないと十分な微粉砕化ができず結果的に粒度分布の広いものしか得られず、装置へのトナー融着も発生し甚だ好ましくない。また冷凍粉砕においては、装置への結露防止策のため装置が煩雑化したり、仮にトナーが吸湿した場合においてはトナーの作業性低下を招き、更に乾燥工程を追加することも必要となり問題となる。該低軟化点物質を内包化せしめる具体的な方法としては、水系媒体中での材料の極性を主要単量体より低軟化点物質の方を小さく設定し、更に少量の極性の大きな樹脂又は単量体を添加せしめることで低軟化点物質を外殻樹脂で被覆した所謂コア−シェル構造を有するトナーを得ることができる。トナーの粒度分布制御や粒径の制御は、難水溶性の無機塩や保護コロイド作用をする分散剤の種類や添加量を変える方法や機械的装置条件例えばローターの周速・パス回数・撹拌羽根形状等の撹拌条件や容器形状又は、水溶液中での固形分濃度等を制御することにより所定の本発明のトナーを得ることができる。
【0159】
本発明においてトナーの断層面を測定する具体的な方法としては、常温硬化性のエポキシ樹脂中にトナーを十分分散させた後温度40℃の雰囲気中で2日間硬化させ得られた硬化物を四三酸化ルテニウム、必要により四三酸化オスミウムを併用し染色を施した後、ダイヤモンド歯を備えたミクロトームを用い薄片状のサンプルを切り出し透過電子顕微鏡(TEM)を用いトナーの断層形態を測定した。本発明においては、用いる該低軟化点物質と外殻を構成する樹脂との若干の結晶化度の違いを利用して材料間のコントラストを付けるため四三酸化ルテニウム染色法を用いることが好ましい。
【0160】
重合法によりトナーを製造する場合に用いられるラジカル重合が可能なビニル系重合性単量体としては、単官能性重合性単量体あるいは多官能性重合性単量体を使用することができる。
【0161】
単官能性重合性単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレンなどのスチレン系重合性単量体;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、2−ベンゾイルオキシエチルアクリレートなどのアクリル系重合性単量体;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート、ジブチルフォスフェートエチルメタクリレートなどのメタクリル系重合性単量体;メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、ギ酸ビニルなどのビニルエステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロピルケトン等のビニルケトン類などのビニル系重合性単量体等が挙げられる。
【0162】
多官能性重合性単量体としては、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2’−ビス[4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル]プロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2’−ビス[4−(メタクリロキシ・ジエトキシ)フェニル]プロパン、2,2’−ビス[4−(メタクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル]プロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタリン、ジビニルエーテル等を挙げることができる。
【0163】
前記単官能性重合性単量体を単独あるいは2種以上組み合わせて、また、単官能性重合性単量体と多官能性重合性単量体を組み合わせて使用することができる。また、前記多官能性重合性単量体を架橋剤として使用することも可能である。
【0164】
本発明において、トナーにコア−シェル構造を形成せしめるためには、極性樹脂を併用することが好ましい。本発明に使用できる極性重合体及び極性共重合体の如き極性樹脂を以下に例示する。
【0165】
極性樹脂としては、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如き含窒素単量体の重合体もしくは含窒素単量体とスチレン−不飽和カルボン酸エステルとの共重合体;アクリロニトリルの如きニトリル系単量体;塩化ビニルの如き含ハロゲン系単量体;アクリル酸、メタクリル酸の如き不飽和カルボン酸;不飽和二塩基酸;不飽和二塩基酸無水物;ニトロ系単量体の重合体もしくはそれとスチレン系単量体との共重合体;ポリエステル;エポキシ樹脂;が挙げられる。より好ましいものとして、スチレンと(メタ)アクリル酸の共重合体、マレイン酸共重合体、飽和または不飽和のポリエステル樹脂、エポキシ樹脂が挙げられる。
【0166】
重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系又はジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジクシルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、2,2−ビス(4,4−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、トリス−(t−ブチルペルオキシ)トリアジンなどの過酸化物系開始剤や過酸化物を側鎖に有する高分子開始剤、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、過酸化水素などが使用される。
【0167】
重合開始剤は重合性単量体100質量部当り0.5〜20質量部の添加量が好ましく、単独で又は併用しても良い。
【0168】
また、本発明では分子量をコントロールするために、公知の架橋剤、連鎖移動剤を添加しても良く、好ましい添加量としては0.001〜15質量部である。
【0169】
本発明において、乳化重合,分散重合,懸濁重合,シード重合,ヘテロ凝集法を用いる重合法等によって、重合法トナーを製造する際に用いられる分散媒には、いずれか適当な安定剤を使用する。例えば、無機化合物として、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナ等が挙げられる。有機化合物として、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、ポリアクリル酸及びその塩、デンプン、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキシド、ポリ(ハイドロオキシステアリン酸−g−メタクリル酸メチル−eu−メタクリル酸)共重合体やノニオン系或はイオン系界面活性剤などが使用される。
【0170】
また、乳化重合法及びヘテロ凝集法を用いる場合には、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性イオン界面活性剤及びノニオン系界面活性剤が使用される。これらの安定剤は重合性単量体100質量部に対して0.2〜30質量部を使用することが好ましい。
【0171】
これら安定化剤の中で、無機化合物を用いる場合、市販のものをそのまま用いても良いが、細かい粒子を得るために、分散媒中にて該無機化合物を生成させても良い。
【0172】
また、これら安定化剤の微細な分散の為に、0.001〜0.1質量部の界面活性剤を使用してもよい。これは上記分散安定化剤の所期の作用を促進する為のものであり、その具体例としては、ドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム等が挙げられる。
【0173】
本発明のトナーは、通常一成分及び二成分系現像剤用として使用できる。一成分系現像剤として、磁性体を含有しない非磁性トナーを用いる場合には、ブレード又はローラを用い、現像スリーブにて強制的に摩擦帯電しスリーブ上にトナーを付着せしめることで搬送せしめる方法がある。
【0174】
次に本発明のキャリアについて説明をする。
【0175】
本発明のキャリア粒子の体積基準の50%粒径及び粒度分布の測定方法は、シンパテック(SYNPATEC)社製で乾式分散機(ロドス<RODOS>)を備えたレーザー回折式粒度分布測定装置(へロス<HELOS>)を用いて、フィードエア圧力3bar、吸引圧力0.1barの条件で測定した。
【0176】
キャリア粒径は、体積基準による50%粒径(D)が好ましくは15〜60μm、より好ましくは25〜50μmであることがよい。
【0177】
キャリアの50%粒径が15μm未満である場合には、キャリアの粒度分布の微粒子側の粒子による非画像部へのキャリア付着を良好に防止できない場合がある。キャリアの50%粒径が60μmより大きい場合には、磁気ブラシの剛直さによるはきめは生じないが、大きさ故の画像のムラを生じてしまう場合がある。
【0178】
さらにキャリアは、50%粒径の2/3以下の粒径(2D/3≧)の粒子の含有量が、好ましくは5体積%以下、より好ましくは0.1〜5体積%であることが良い。
【0179】
本発明のキャリアの粒度分布として、50%粒径の2/3以下の粒径の粒子の含有量が5体積%を超える場合には、キャリアの微粉によるキャリア付着を生じる場合がある。
【0180】
本発明において、キャリアの比抵抗は、1×108〜1×1016Ω・cmであることが好ましく、より好ましくは1×109〜1×1015Ω・cmであることが良い。
【0181】
キャリアの比抵抗が1×108未満であると、感光体表面へのキャリア付着を起こし易く、感光体に傷を生じさせたり、直接紙上に転写されたりして画像欠陥を起こし易くなる。さらに、現像バイアスが、キャリアを介してリークし、感光体ドラム上に描かれた静電潜像を乱してしまうことがある。
【0182】
キャリアの比抵抗が1×1016Ω・cmを超えると、エッジ強調のきつい画像が形成され易く、さらに、キャリア表面の電荷がリークしづらくなるため、チャージアップ現象による画像濃度の低下や、新たに補給されたトナーへの帯電付与ができなくなくなることによるカブリ及び飛散などを起こしてしまうことがある。さらに、現像器内壁等の物質と帯電してしまい、本来与えられるべきトナーの帯電量が不均一になってしまうこともある。その他、静電気的な外添剤付着など、画像欠陥を引き起こしやすい。
【0183】
キャリアの比抵抗の測定は、真空理工(株)社製の粉体用絶縁抵抗測定器を用いて測定した。測定条件は、23℃,60%条件下に24時間以上放置したキャリアを直径20mm(0.283cm2)の測定セル中にいれ、11.8kPa(120g/cm2)の荷重電極で挟み、厚みを2mmとし、印加電圧を500Vで測定した。
【0184】
キャリアの磁気特性は、1000/4π(kA/m)での磁化の強さが、好ましくは20〜100(Am2/kg)、より好ましくは30〜65(Am2/kg)であるような低磁気力であることが良い。
【0185】
キャリアの磁化の強さが100(Am2/kg)を超えるとキャリア粒径にも関係するが、現像極での現像スリーブ上に形成される磁気ブラシの密度が減少し、穂長が長くなり、かつ剛直化してしまうためコピー画像上に掃き目ムラが生じやすく、特に多数枚の複写又はプリントによるトナーの耐久劣化が生じやすい。
【0186】
キャリアの磁化の強さが20(Am2/kg)未満では、キャリア微粉を除去してもキャリアの磁気力が低下し、キャリア付着が生じやすく、トナー搬送性が低下し易い。
【0187】
キャリアの磁気特性の測定は、理研電子(株)製の振動磁場型磁気特性自動記録装置BHV−35を用いて行なった。測定条件としては、キャリア粉体の磁気特性は1000/4π(kA/m)の外部磁場を作り、そのときの磁化の強さを求めた。キャリアを円筒状のプラスチック容器にキャリア粒子が動かないように十分密になるようにパッキングした状態に作製し、この状態で磁化モーメントを測定し、試料を入れたときの実際の重量を測定して、磁化の強さ(Am2/kg)を求めた。
【0188】
本発明において、キャリアコアに用いる金属化合物粒子としては、下記式(1)又は(2)で表される磁性を有するマグネタイト又はフェライトが挙げられる。
【0189】
MO・Fe23 ・・・(1)
M・Fe24 ・・・(2)
(式中、Mは3価、2価又は1価の金属イオンを示す。)
【0190】
Mとしては、Mg、Al、Si、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Cd、Sn、Ba、Pb及びLiが挙げられ、これらは、単独あるいは複数で用いることができる。
【0191】
上記の磁性を有する金属化合物粒子の具体的化合物としては、例えば、マグネタイト、Zn−Fe系フェライト、Mn−Zn−Fe系フェライト、Ni−Zn−Feフェライト、Mn−Mg−Fe系フェライト、Ca−Mn−Fe系フェライト、Ca−Mg−Fe系フェライト、Li−Fe系フェライト及びCu−Zn−Fe系フェライトの如き鉄系酸化物が挙げられる。
【0192】
さらに、本発明において、キャリアコアに用いる金属化合物粒子としては、上記の磁性を有する金属化合物と下記の非磁性の金属化合物とを混合して用いても良い。
【0193】
非磁性の金属化合物としては、例えば、Al23、SiO2、CaO、TiO2、V25、CrO、MnO2、α-Fe23、CoO、NiO、CuO、ZnO、SrO、Y23及びZrO2が挙げられる。この場合、1種類の金属化合物を用いることもできるが、とくに好ましくは少なくとも2種以上の金属化合物を混合して用いるのが良い。その場合には、比重や形状が類似している粒子を用いるのが結着樹脂との密着性及びキャリアコア粒子の強度を高めるために、より好ましい。
【0194】
組み合わせの具体例としては、例えば、マグネタイトとヘマタイト、マグネタイトとγ−Fe23、マグネタイトとSiO2、マグネタイトとAl23、マグネタイトとTiO2、マグネタイトとCa−Mn−Fe系フェライト、マグネタイトとCa−MgFe系フェライトが好ましく用いることができる。中でもマグネタイトとヘマタイトの組み合わせが特に好ましく用いることができる。
【0195】
本発明に用いるキャリアコア粒子の結着樹脂としては、熱硬化性樹脂であり、一部または全部が3次元的に架橋されている樹脂であることが好ましい。このことにより、分散する金属化合物粒子を強固に結着できるため、キャリアコアの強度を高めることができ、多数枚の複写においても金属化合物の脱離が起きにくい。
【0196】
磁性体分散型キャリアコアを得る方法としては、特に以下に記載する方法に限定されるものではないが、本発明においては、モノマーと溶媒が均一に分散又は溶解されているような溶液中から、モノマーを重合させることにより粒子を生成する重合法の製造方法、特に、キャリアコア粒子中に分散する金属酸化物に、親油化処理を施すことにより、粒度分布のシャープな、微粉の少ない磁性体分散型樹脂キャリアコアを得る方法が、好適に用いられる。
【0197】
本発明においては、高画質化を達成するために重量平均粒径が1〜10μmの小粒径トナーと組み合わせて用いられるキャリアの場合、キャリア粒径もトナーの粒径に応じて小粒径化することが好ましく、上述した製造方法ではキャリア粒径を小粒径化させても平均粒径に関係なく微粉の少ないキャリアを製造できることから特に好ましい。
【0198】
キャリアコア粒子の結着樹脂に使用されるモノマーとしては、ラジカルの重合性モノマーを用いることができる。例えばスチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−エチルスチレン、p−ターシャリーブチルスチレンの如きスチレン誘導体;アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル;メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノメチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ベンジルの如きメタクリル酸エステル類;2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、n−ブチルエーテル、イソブチルエーテル、β−クロルエチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、p−メチルフェニルエーテル、p−クロルフェニルエーテル、p−ブロムフェニルエーテル、p−ニトロフェニルビニルエーテル、p−メトキシフェニルビニルエーテルの如きビニルエーテル;ブタジエンの如きジエン化合物を挙げることができる。
【0199】
これらのモノマーは単独または混合して使用することができ、好ましい特性が得られるような好適な重合体組成を選択することができる。
【0200】
前述したように、キャリアコア粒子の結着樹脂は3次元的に架橋されていることが好ましいが、結着樹脂を3次元的に架橋させるための架橋剤としては、重合性の2重結合を一分子当たり2個以上有する架橋剤を使用することが好ましい。
このような架橋剤としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンの如き芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、グリセロールアクロキシジメタクリレート、N,N−ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド及びジビニルスルフォンが挙げられる。これらは、2種類以上を適宜混合して使用しても良い。架橋剤は、重合性混合物にあらかじめ混合しておくこともできるし、必要に応じて適宜重合の途中で添加することもできる。
【0201】
その他のキャリアコア粒子の結着樹脂のモノマーとして、エポキシ樹脂の出発原料としてなるビスフェノール類とエピクロルヒドリン;フェノール樹脂のフェノール類とアルデヒド類;尿素樹脂の尿素とアルデヒド類;メラミンとアルデヒド類が挙げられる。
【0202】
もっとも好ましい結着樹脂は、フェノール系樹脂である。その出発原料としては、フェノール、m−クレゾール、3,5−キシレノール、p−アルキルフェノール、レゾルシル、p−tert−ブチルフェノールの如きフェノール化合物、ホルマリン、パラホルムアルデヒド、フルフラールの如きアルデヒド化合物が挙げられる。特にフェノールとホルマリンの組み合わせが好ましい。
【0203】
これらのフェノール樹脂又はメラミン樹脂を用いる場合には、硬化触媒として塩基性触媒を用いることができる。塩基性触媒として通常のレゾール樹脂製造に使用される種々のものを用いることができる。具体的にはアンモニア水、ヘキサメチレンテトラミン、ジエチルトリアミン、ポリエチレンイミンの如きアミン類を挙げることができる。
【0204】
本発明において、キャリアコアに含有される金属化合物は、親油化処理されていることが磁性キャリア粒子の粒度分布をシャープにすること及び金属化合物粒子のキャリアからの脱離を防止する上で好ましい。親油化処理された金属化合物を分散させたキャリアコア粒子を形成する場合、モノマーと溶媒が均一に分散又は溶解している液中から重合反応が進むと同時に溶液に不溶化した粒子が生成する。そのときに金属酸化物が粒子内部で均一に、かつ高密度に取り込まれる作用と粒子同士の凝集を防止し粒度分布をシャープ化する作用があると考えられる。
更に、親油化処理を施した金属化合物を用いた場合、フッ化カルシウムの如き懸濁安定剤を用いる必要がなく、懸濁安定剤がキャリア表面に残存することによる帯電性阻害、コート時におけるコート樹脂の不均一性、シリコーン樹脂の如き反応性樹脂をコートした場合における反応阻害を防止することができる。
【0205】
親油化処理は、エポキシ基、アミノ基及びメルカプト基から選ばれた、1種又は2種以上の官能基を有する有機化合物や、それらの混合物である親油化処理剤で処理されていることが好ましい。特に、帯電付与能が安定したキャリアを得るためには、エポキシ基が好ましく用いられる。
【0206】
磁性金属酸化物粒子は、磁性金属酸化物粒子100質量部当り好ましくは0.1〜10質量部、より好ましくは0.2〜6質量部の親油化処理剤で処理されているのが磁性金属酸化物粒子の親油性及び疎水性を高める上で好ましい。
【0207】
エポキシ基を有する親油化処理剤としては、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)トリメトキシシラン、エピクロルヒドリン、グリシドール及びスチレン−(メタ)アクリル酸グリシジル共重合体が挙げられる。
【0208】
アミノ基を持つ親油化処理剤としては、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメトキシジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、エチレンジアミン、エチレントリアミン、スチレン−(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体及びイソプロピルトリ(N−アミノエチル)チタネート等が用いられる。
【0209】
メルカプト基を有する親油化処理剤としては、例えば、メルカプトエタノール、メルカプトプロピオン酸及びγ−メルカプトプロピルトリメトキシシランが用いられる。
【0210】
キャリアコア表面を被覆する樹脂は、特に限定を受けるものではない。具体的には、例えば、ポリスチレン、スチレン−アクリル共重合体の如きアクリル樹脂、塩化ビニル、酢酸ビニル、ポリフッ化ビニリデン樹脂、フルオロカーボン樹脂、パーフロロカーボン樹脂、溶剤可溶性パーフロロカーボン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン、石油樹脂、セルロース、セルロース誘導体、ノボラック樹脂、低分子量ポリエチレン、飽和アルキルポリエステル樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、フェノール樹脂、変性フェノール樹脂、マレイン樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、無水マレインとテレフタル酸と多価アルコールとの重縮合によって得られる不飽和ポリエステル、尿素樹脂、メラミン樹脂、尿素−メラミン樹脂、キシレン樹脂、トルエン樹脂、グアナミン樹脂、メラミン−グアナミン樹脂、アセトグアナミン樹脂、グリプタール樹脂、フラン樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂及びポリウレタン樹脂を挙げることができる。
【0211】
中でもシリコーン樹脂は、コアとの密着性、スペント防止の観点から、好ましく用いられる。シリコーン樹脂は、単独で用いることもできるが、被覆層の強度を高め好ましい帯電に制御するために、カップリング剤と併用して用いることが好ましい。更に、前述のカップリング剤は、その一部が、樹脂をコートする前に、キャリアコア表面に処理される、いわゆるプライマー剤として用いられることが好ましく、その後の被覆層が、共有結合を伴った、より密着性の高い状態で形成することができる。
【0212】
カップリング剤としては、アミノシランを用いると良い。その結果、ポジ帯電性を持ったアミノ基をキャリア表面に導入でき、良好にトナーに負帯電特性を付与できる。更に、アミノ基の存在は、金属化合物に好ましく処理されている親油化処理剤と、シリコーン樹脂の両者を活性化させるため、シリコーン樹脂のキャリアコアとの密着性を更に高め、同時に樹脂の硬化を促進することでより強固な被覆層を形成することができる。
【0213】
被覆層の被覆処理時は、30℃〜80℃の温度下において、減圧状態で被覆することが好ましい。
【0214】
その理由は明確ではないが、下記(1)乃至(3)に記載するものと予想される。
(1)キャリアコアの持つ水分が、樹脂を活性化することに使用され、キャリア全体としての水分量を適度に制御できる。
(2)被覆段階で適度の反応が進行し、キャリアコア表面に被覆材が均一に、また平滑に被覆される。
(3)焼き付け工程において、少なくとも160℃以下での低温処理が可能となり、樹脂の過度な架橋を防止し、被覆層の耐久性を高められる。
【0215】
【実施例】
本発明を以下に実施例を示すことでより具体的に説明するが、これは本発明になんら限定するものではない。「部」は「質量部」を意味する。
【0216】
以下にキャリアの製造方法について説明する。
【0217】
(磁性キャリアの製造例1)
水媒体中にフェノール/ホルムアルデヒドモノマー(50:50)を混合分散した後、モノマー重量に対して、チタンカップリング剤で表面処理した0.25μmのマグネタイト粒子600部、0.6μmのヘマタイト粒子400部を均一に分散させ、アンモニアを適宜添加しつつモノマーを重合させ、磁性粒子内包球状磁性樹脂キャリア芯材1(平均粒径33μm,飽和磁化38Am2/kg)を得た。
【0218】
一方、トルエン20部,ブタノール20部,水20部,氷40部を四つ口フラスコにとり、撹拌しながらCH3SiCl3 15モルと(CH32SiCl2 10モルとの混合物40部を加え、更に30分間撹拌した後、60℃で1時間縮合反応を行った。その後シロキサンを水で十分に洗浄し、トルエン−メチルエチルケトン−ブタノール混合溶媒に溶解して固型分10%のシリコーンワニスを調製した。
【0219】
このシリコーンワニスにシロキサン固型分100部に対して2.0部のイオン交換水および2.0部の下記硬化剤(1)、1.0部の下記アミノシランカップリング剤(2)および、5.0部の下記シランカップリング剤(3)を同時添加し、キャリア被覆溶液Iを作製した。この溶液Iを塗布機(岡田精工社製:スピラコータ)により、前述のキャリア芯材100部に、樹脂コート量が1部となるように塗布し、コートキャリアIを得た。
【0220】
このキャリアは50%粒径が33μmであり、50%粒径の2/3以下の粒径(2D/3≧)の粒子の含有量が3.2体積%であり、SF−1の値は113であった。さらに比抵抗が7×1013Ωcmであり、飽和磁化が41Am2/kgであった。
【0221】
【化1】
Figure 0004474055
【0222】
【化2】
Figure 0004474055
【0223】
【化3】
Figure 0004474055
【0224】
(磁性キャリアの製造例2)
製造例1において得られたキャリアを分級することによって、体積平均による50%径が13μmのコートキャリアIIを得た。
【0225】
(磁性キャリアの製造例3)
製造例1において得られたキャリアを分級することによって、体積平均による50%径が70μmのコートキャリアIIIを得た。
【0226】
(磁性キャリアの製造例4)
MgO15部,MnO10部,Fe2375部を使用して微粒化した後、水を添加し造粒した後、1200℃にて焼成し、体積平均による50%径が33μmで、50%粒径の2/3以下の粒径(2D/3≧)の粒子の含有量が9.4体積%のフェライトキャリア芯材を得た。
【0227】
上記芯材に、製造例1と同様に樹脂コートを行い、コートキャリアIVを得た。このキャリアのSF−1の値は126であった。さらに比抵抗が3×1012Ωcmであり、飽和磁化が57Am2/kgであった。
【0228】
(磁性キャリアの製造例5)
製造例4で得られたフェライトキャリア芯材を分級し、体積平均による50%径が38μmで、50%粒径の2/3以下の粒径(2D/3≧)の粒子の含有量が4.1体積%のフェライトキャリア芯材を得た。上記芯材に、製造例1と同様に樹脂コートを行い、コートキャリアVを得た。
【0229】
(磁性キャリアの製造例6)
製造例4で得られたフェライトキャリア芯材を粉砕、分級し、体積平均による50%径が36μmで、50%粒径の2/3以下の粒径(2D/3≧)の粒子の含有量が4.2体積%のフェライトキャリア芯材を得た。
【0230】
上記芯材に、製造例1と同様に樹脂コートを行い、コートキャリアVIを得た。このキャリアのSF−1の値は139であった。
【0231】
(磁性キャリアの製造例7)
製造例1において、マグネタイト200部、ヘマタイト800部に変更すること以外は同様にして、コートキャリアVIIを得た。
【0232】
このキャリアは50%粒径が36μmであり、50%粒径の2/3以下の粒径(2D/3≧)の粒子の含有量が4.4体積%であり、SF−1の値は115であった。さらに比抵抗は2×1016Ωcmであり、飽和磁化は18Am2/kgであった。
【0233】
(磁性キャリアの製造例8)
製造例1において、溶液Iにカーボンブラックを1%含有させること以外は同様にして、コートキャリアVIIIを得た。
【0234】
このキャリアは50%粒径が34μmであり、50%粒径の2/3以下の粒径(2D/3≧)の粒子の含有量が3.9体積%であり、SF−1の値は118であった。さらに比抵抗は8×106Ωcmであり、飽和磁化は47Am2/kgであった。
【0235】
(磁性キャリアの製造例9)
製造例1において、マグネタイト1000部、ヘマタイト0部に変更すること以外は同様にして、コートキャリアIXを得た。
【0236】
このキャリアは50%粒径が38μmであり、50%粒径の2/3以下の粒径(2D/3≧)の粒子の含有量が4.4体積%であり、SF−1の値は116であった。さらに比抵抗は5×1014Ωcmであり、飽和磁化は102Am2/kgであった。
【0237】
上記得られたコートキャリアI〜IXの物性を表1に示す。
【0238】
【表1】
Figure 0004474055
【0239】
以下に、帯電ローラの製造方法を説明する。
【0240】
(帯電ローラの製造例1)
EPDM100部に対し、導電性カーボンブラック40部、パラフィンオイル50部と発泡剤、架橋剤及びその他の配合剤を適量添加、混練し、導電性コンパウンド1を作製した。次に、直径6mmのステンレス製芯金に前記コンパウンドを加硫成形した後、外径を研磨し、厚さ3mmの発泡体である弾性層1を作製した。
【0241】
次に、エーテル系熱可塑性ウレタンエラストマー(アスカーC硬度;62度)10部に導電性カーボンブラック14.5部を配合し、加圧式ニーダーを用い180℃で10分間溶融混練した。更に冷却後、粉砕機にて粉砕した後、単軸押出機を用いてペレット化した。
【0242】
このペレットを押出機を用いて、内径が10.5[mm]、肉厚500[μm]のシームレスチューブを得た。このチューブを以下チューブAと呼称する。
【0243】
更に、同じペレットを用いて、熱プレスにより直径5mm、厚み3mmの円板状シートを作製し、前記弾性層1の軟化剤であるパラフィンオイルに7日間浸漬放置した。このシートで放置前後の質量変化率及び体積抵抗率を測定したところ、質量変化率は0.03%であり、体積抵抗率は放置前で1.9×106Ωcm、放置後で2.0×106Ωcmと殆ど変化はなかった。
【0244】
これとは別に、エチレンブチレンゴム分子鎖の片端にポリスチレン分子鎖、もう逆端にオレフィン結晶が共有結合で結び付いた熱可塑性エラストマー(アスカーC硬度;62度)100部に導電性カーボンブラック14部を配合し、加圧式ニーダーを用い200℃で10分間溶融混練した。更に冷却後、粉砕機にて粉砕した後、単軸押出機を用いてペレット化した。更に、このペレットを押出機を用いて、内径が11.5[mm]、肉厚200[μm]のシームレスチューブを得た。このチューブを以下チューブBと呼称する。
【0245】
続いて、チューブAにエアーを吹き込み外径を拡大しつつ、弾性層1を挿入してチューブを被覆した後、チューブBをその外側に同様の方法で被覆して帯電ローラ1を得た。
【0246】
得られた帯電ローラ1の各特性は以下の通りであった。
【0247】
電気抵抗値;
低温低湿環境(温度15℃,湿度10%、以下L/L環境) 1.2MΩ
高温高湿環境(温度32.5℃,湿度80%、以下H/H環境)1.0MΩ
表面硬度 ;62度(アスカーC)
【0248】
電気抵抗値は、帯電ローラの外周に10mm幅のアルミニウム箔を密着させて巻き付け、芯金とアルミ箔間に直流電圧250Vを印加し、抵抗計HIOKI3119 DIGITAL MΩ HITESTER(日置電機製)を使用して測定した値である。
【0249】
表面硬度(アスカーC)は、アスカーCゴム硬度計(高分子計器(株)社製)を用いて行い、5点平均で数値を求めたものである。なお、測定は片側500g荷重で測定する。
【0250】
(帯電ローラの製造例2)
製造例1において、チューブAに使う熱可塑性エラストマーのアスカーC硬度を25度、チューブBに使う熱可塑性エラストマーのアスカーC硬度を25度とする以外は同様にして、帯電ローラ2を得た。得られた帯電ローラ2の表面硬度(アスカーC)は、25度であった。
【0251】
(帯電ローラの製造例3)
製造例1において、チューブAに使う熱可塑性エラストマーのアスカーC硬度を86度、チューブBに使う熱可塑性エラストマーのアスカーC硬度を86度とする以外は同様にして、帯電ローラ3を得た。得られた帯電ローラ3の表面硬度(アスカーC)は、86度であった。
【0252】
(帯電ローラの製造例4)
製造例1において、チューブAに使う熱可塑性エラストマーのアスカーC硬度を35度、チューブBに使う熱可塑性エラストマーのアスカーC硬度を35度とする以外は同様にして、帯電ローラ4を得た。得られた帯電ローラ4の表面硬度(アスカーC)は、35度であった。
【0253】
(帯電ローラの製造例5)
製造例1において、チューブAに使う熱可塑性エラストマーのアスカーC硬度を77度、チューブBに使う熱可塑性エラストマーのアスカーC硬度を77度とする以外は同様にして、帯電ローラ5を得た。得られた帯電ローラ5の表面硬度(アスカーC)は、77度であった。
【0254】
以下に、トナーの製造方法について説明する。
【0255】
(トナーの製造例1)
本発明に用いるシアントナーは、次の如くして調製した。高速撹拌装置TK−ホモミキサーを備えた2リットル用四つ口フラスコ中に、イオン交換水910部とポリビニルアルコール1部を添加し回転数を12000回転に調整し、55℃に加温せしめ分散剤系とした。
【0256】
一方、分散質系は、
・スチレン単量体 165部
・2−エチルヘキシルアクリレート単量体 35部
・フタロシアニン顔料 15部
(C.I.Pigment Blue 15:3)
・飽和ポリエステル樹脂 10部
(ビスフェノールAとテレフタル酸との重縮合物、酸価10mgKOH/g、ガラス転移点65℃)
・カリックスアレーン 2部
・エチレングリコールジアクリレート 0.4部
・低軟化点物質 40部
(パラフィンワックスMw=1200,Mn=750,Mw/Mn=1.6)上記混合物をアトライターを用い3時間分散させた後、重合開始剤である2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)5部を添加した分散物を、上記分散媒中に投入し回転数を維持しつつ12分間造粒した。その後高速撹拌器からプロペラ撹拌羽根に撹拌器を代え内温を60℃に昇温させ50回転で重合を3時間継続させた後、1時間かけて80℃に昇温し、その後6時間重合を継続した。
【0257】
重合終了後スラリーを冷却し、水洗、乾燥をしてシアン粒子(1)を得た。得られたシアン粒子(1)をコールターカウンターにより粒度分布を測定したところ、体積平均径は6.3μmであった。
【0258】
得られたシアン粒子(1)100部に対し、疎水化処理を行ったチタニア微粉末を1.5部を加え、三井鉱山社製ヘンシェルミキサーを用いて均一拡散しシアントナー(1)を得た。物性を表2に示す。
【0259】
(トナーの製造例2)
シアントナー(2)は、トナー製造例1のエチレングリコールジアクリレートの添加量を0.4部から0.2部に変更し、飽和ポリエステル樹脂の添加量を10部から9.5部に変更し、さらに不飽和ポリエステル樹脂(ビスフェノールAとフマル酸との重縮合物、酸価10mgKOH/g、ガラス転移点65℃)を0.5部添加することを除いて実施例1と同様に調製した。
【0260】
(トナーの製造例3)
シアントナー(3)は、トナー製造例1のエチレングリコールジアクリレートの添加量を0.4部から0.2部に変更し、飽和ポリエステル樹脂の添加量を10部から8部に変更し、さらに不飽和ポリエステル樹脂(ビスフェノールAとフマル酸との重縮合物、酸価10、ガラス転移点65℃)を2部添加することを除いて実施例1と同様に調製した。
【0261】
(トナーの製造例4)
シアントナー(4)は、トナー製造例1のエチレングリコールジアクリレートを添加せず、高速撹拌後の内温を85℃にすることを除いて実施例1と同様に調製した。
【0262】
(トナーの製造例5)
・スチレン−2−エチルヘキシルアクリレート−エチレングリコールジアクリレート共重合体(ガラス転移点65℃) 100部
・フタロシアニン顔料 7部
(C.I.Pigment Blue 15:3)
・飽和ポリエステル樹脂 5部
(ビスフェノールAとテレフタル酸との重縮合物、酸価10mgKOH/gガラス転移点65℃)
ジアルキルサリチル酸金属化合物 1部
・低軟化点物質 8部
(パラフィンワックス Mw=1200 , Mn=750 , Mw/Mn=1.6)
上記混合物をヘンシェルミキサーで予備混合し、二軸押出混練機により温度130℃にて溶融混練し、冷却後、ハンマーミルを用いて粗粉砕し、次いでエアージェット方式による微粉砕機で粉砕した。これを分級してシアン粒子(5)を得た。
【0263】
このシアン粒子(5)100部に対し、疎水化処理を行ったチタニア微粉末を1.5部を加え、三井鉱山社製ヘンシェルミキサーを用いて均一拡散しシアントナー(5)を得た。
【0264】
(トナーの製造例6)
シアントナー(6)は、トナー製造例1のエチレングリコールジアクリレートに変えて連鎖移動剤としてスチレンダイマーを添加し、重合開始剤の添加量を5部から10部に変更し、そして高速攪拌後の内温を85℃にすることを除いて実施例1と同様に調製した。
【0265】
(トナーの製造例7)
シアントナー(7)は、トナー製造例1の飽和ポリエステル樹脂の代わりに不飽和ポリエステル樹脂(ビスフェノールAとフマル酸との重縮合物、酸価10mgKOH/g、ガラス転移点65℃)を10部添加することを除いてトナー製造例1と同様に調製した。
【0266】
(トナーの製造例8)
シアントナー(8)は、トナー製造例1の開始剤の添加量を5部から1部に変更することを除いてトナー製造例1と同様に調製した。
【0267】
(トナーの製造例9〜11)
着色剤としてマゼンタ着色剤(C.I.ピグメントレッド122)、イエロー着色剤(C.I.ピグメントイエロー93)、またはブラック着色剤(グラフトカーボンブラック)を使用することを除いて、実施例1と同様にしてマゼンタトナー(1)、イエロートナー(1)およびブラックトナー(1)を調製した。これらのトナーを調べたところ、シアントナー(1)と非常に類似した物性を有していた。表2に物性を示す。
【0268】
【表2】
Figure 0004474055
【0269】
〈実施例1〉
シアントナー1とコートキャリアIとをトナー濃度8%で混合してシアン二成分系現像剤1を作製した。
【0270】
次に、市販の複写機GP55(キヤノン製)の現像装置を図3に示す如く改造し、現像スリーブとしてはφ16mmのSUSスリーブをサンドブラスト処理によって表面形状をRz=9.0に調整したものを使用した。
【0271】
また本例においてはトナー帯電制御手段を装備しており、印加電圧は−800Vとした。この時、トナー帯電量制御手段を通過後の転写残トナーの帯電量は−55μC/gであった。
【0272】
帯電部材としては帯電ローラを用いている。この帯電ローラは、感光ドラム方向に付勢して感光ドラムの表面に対して所定の押圧力をもって圧接させており、感光ドラムの回転に従動して回転する。感光ドラムと帯電ローラとの圧接部が帯電部(帯電ニップ部)である。
【0273】
さらに本例において、帯電ローラに対する帯電バイアス電圧は直流電圧(Vdc)と交流電圧(Vac)とを重畳した振動電圧である。
【0274】
より具体的には、
直流電圧;−500V
交流電圧;周波数f1000Hz、ピーク間電圧Vpp1400V、正弦波とを重畳した振動電圧であり、感光ドラム1の周面は−500V(暗電位Vd)に一様に接触帯電処理される。帯電ローラを通過後の転写残トナーの帯電量は−35μC/gであった。
【0275】
クリーニングユニットを取り外し、現像コントラスト250V、カブリ取り反転コントラスト−150Vに設定し、非連続の交流電界を有する現像バイアスを印加し前述のシアン二成分系現像剤1を使用し23.0℃/65%下で画出しを行い、さらに画像面積比率10%のオリジナル原稿を用いて、1万枚の連続複写を行った結果を表3に示した。
【0276】
表3より、上述の画像形成手段は、画質も良好で、連続複写による画像変化や部材汚染も小さく、トナー飛散も問題なく非常に良好であることがわかる。
【0277】
〈実施例2〉
実施例1において、シアントナー2とコートキャリアIと帯電ローラ1を使用すること以外は同様にして評価を行った。それぞれの物性値が適正であったので、実施例1同様、良好な結果が得られた。
【0278】
〈実施例3〉
実施例1において、シアントナー3とコートキャリアIと帯電ローラ4を使用すること以外は同様にして評価を行った。トナーのMwとTHF不溶分がやや高かったため外添剤のトナーへの付着が弱くなったことと、帯電ローラ表面硬度がやや低かったことから、帯電ローラ表面がやや汚れる結果となったと推察される。
【0279】
〈実施例4〉
実施例1において、シアントナー4とコートキャリアIと帯電ローラ4を使用すること以外は同様にして評価を行った。トナーのMwとMpそしてTHF不溶分がやや低かったため、帯電ローラ表面がやや汚れる結果となったと推察される。
【0280】
〈実施例5〉
実施例1において、シアントナー5とコートキャリアIと帯電ローラ1を使用すること以外は同様にして評価を行った。それぞれの物性値が適正であったが、粉砕法によるトナーであるため球形度がやや低く、転写残トナーが多く、帯電ローラ表面がやや汚れる結果となったと推察される。
【0281】
〈実施例6〉
実施例1において、シアントナー1とコートキャリアVと帯電ローラ1を使用すること以外は同様にして評価を行った。それぞれの物性値が適正であったが、コートキャリアの球形度(SF−1値)がやや低かったため、ややドラムが削れる結果となったと推察される。
【0282】
参考例7〉
実施例1において、シアントナー1とコートキャリアIVと帯電ローラ1を使用すること以外は同様にして評価を行った。50%粒径の2/3以下の粒径(2D/3≧)の粒子の含有量(微粉量)がやや多かったために、キャリアがドラム表面に移行しドラムやローラを傷つけたと推察される。
【0283】
〈実施例8〉
実施例1において、シアントナー1とコートキャリアVIIと帯電ローラ5を使用すること以外は同様にして評価を行った。コートキャリアの比抵抗がやや高いためにややカブル結果となり、また磁気力が低いために搬送性に劣りベタ均一性が満足行かなかったと推察される。
【0284】
〈実施例9〉
実施例1において、シアントナー1とコートキャリアVIIIと帯電ローラ5を使用すること以外は同様にして評価を行った。コートキャリアの比抵抗がやや低いためにドラム表面に電荷リークが起こり、カブリ、濃度低下が発生したと推察される。
【0285】
〈実施例10〉
実施例1において、シアントナー1とコートキャリアIXと帯電ローラ1を使用すること以外は同様にして評価を行った。コートキャリアの磁気特性が高いため、現像剤の劣化が促進され、濃度が低下したと推察される。
【0286】
〈実施例11〉
実施例1において、帯電ローラの印加電圧を変化させて、帯電ローラ通過後のトナーの帯電量を−61μC/gにすること以外は同様にして評価を行った。トナーの帯電量が高く、現像装置において回収されず、スジ状のカブリが生じた。
【0287】
〈比較例1〉
実施例1において、シアントナー6とコートキャリアIと帯電ローラ1を使用すること以外は同様にして評価を行った。比較例の評価結果を表3に示す。トナーのMwとMpそしてTHF不溶分が低すぎ、MIが高すぎたため、帯電ローラ表面がひどく汚れる結果となったと推察される。
【0288】
〈比較例2〉
実施例1において、シアントナー7とコートキャリアIと帯電ローラ1を使用すること以外は同様にして評価を行った。トナーのMwとTHF不溶分が高すぎ、MIが低すぎたため、外添剤のトナーへの付着が弱くなったことから、帯電ローラ表面が汚れ、カブリやベタ不均一を生じたと推察される。
【0289】
〈比較例3〉
実施例1において、シアントナー8とコートキャリアIと帯電ローラ1を使用すること以外は同様にして評価を行った。トナーのMpが高すぎたため、外添剤のトナーへの付着が弱くなったことから、帯電ローラ表面が汚れ、カブリやベタ不均一を生じたと推察される。
【0290】
〈比較例4〉
実施例1において、シアントナー1とコートキャリアIIと帯電ローラ1を使用すること以外は同様にして評価を行った。コートキャリアの50%径が小さかったために、キャリアがドラム表面に移行しドラムやローラを傷つけたと推察される。
【0291】
〈比較例5〉
実施例1において、シアントナー1とコートキャリアIIIと帯電ローラ1を使用すること以外は同様にして評価を行った。コートキャリアの50%径が大きかったために、キャリア粒子に対するトナー量が相対的に多くなり、カブリやトナー飛散を起こしたと推察される。
【0292】
〈比較例6〉
実施例1において、シアントナー1とコートキャリアVIと帯電ローラ1を使用すること以外は同様にして評価を行った。コートキャリアの球形度(SF−1値)がやや低かったため、ドラムが削れやすくなり、カブル結果となったと推察される。
【0293】
〈比較例7〉
実施例1において、シアントナー1とコートキャリアIと帯電ローラ2を使用すること以外は同様にして評価を行った。帯電ローラ表面硬度が低すぎたことから、トナーが付着しやすくなり帯電ローラ表面が汚れる結果となったと推察される。
【0294】
〈比較例8〉
実施例1において、シアントナー1とコートキャリアIと帯電ローラ3を使用すること以外は同様にして評価を行った。帯電ローラ表面硬度が高すぎたことから、ローラとドラムとの密着性が落ち、トナーが若干付着した場合にも、ムラを生じやすくなったと推察される。
【0295】
〈比較例9〉
実施例1において、トナー帯電制御手段を取り外すこと以外は同様にして評価を行った。帯電ローラでのトナーの帯電量が低く、帯電ローラにトナーが多量に付着したため、帯電が阻害され、カブリを生じた。
【0296】
【表3】
Figure 0004474055
【0297】
[画像評価方法]
(画像濃度変化)
画像濃度はマクベス濃度計またはカラー反射濃度計(例えばColorreflection densitometer X−RITE 404Amanufactured by X−Rite Co.)で測定する。初期濃度と一万枚耐久後の濃度の差で評価する。
A:0.1%以下
B:0.1%を超え0.2%以下
C:0.2%を超え0.3%以下
D:0.3%を超える
【0298】
(カブリの測定)
カブリの測定は、REFLECTOMETER MODEL TC−6DS(東京電色社製)を用い測定し、下記式により算出した。カブリ値は少ない方が良好である。
カブリ(反射率;%)=(標準紙の反射率;%)−(サンプルの白べた部の反射率;%)
A:1.2%以下
B:1.2%を超え1.6%以下
C:1.6%を超え2.0%以下
D:2.0%を超える
【0299】
(ベタ均一性)
得られた転写紙上のベタ部画像は5点の濃度差でA、B、C、Dと評価した。
A:0.1%以下
B:0.1%を超え0.2%以下
C:0.2%を超え0.3%以下
D:0.3%を超える
【0300】
(トナー飛散)
トナー飛散は、現像容器の上流側トナー飛散抑制部及び下流側トナー飛散抑制部の外表面のトナーによる汚れ、及び現像容器以外のトナーによる汚れを観察し下記評価基準に基づいて評価した。
A:全く認められない。
B:現像容器の上流側トナー飛散抑制部外表面に汚れが若干認められるが、下流側トナー飛散抑制部外表面には汚れが認められない。
C:現像容器の上流側トナー飛散抑制部の外表面及び下流側トナー飛散防止部の外表面には汚れが認められるが、現像容器以外には汚れが認められない。
D:現像容器以外まで汚れが認められる。
【0301】
(帯電ローラ汚れ)
帯電ローラ汚れは、ローラ表面を目視で観察し、さらに画像欠陥を観察し、下記評価基準に基づいて評価した。
A:ローラ表面、画像ともに欠陥は全く認められない。
B:耐久後半、ローラ表面に汚れが若干認められるが、画像には現れない。
C:耐久後半、ローラ表面に汚れが若干認められ、画像にも若干のムラが生ずる。
D:耐久後半、ローラ表面の汚れがひどく、画像にもムラが生ずる。
【0302】
(ドラム削れ)
ドラム削れは、ドラム表面を目視で観察し、さらに画像欠陥を観察し、下記評価基準に基づいて評価した。
A:ドラム表面、画像ともに欠陥は全く認められない。
B:耐久後半、ドラム表面光沢の低下が若干認められるが、画像には現れない。
C:耐久後半、ドラム表面に傷が若干認められ、画像にも若干のムラが生ずる。
D:耐久後半、ドラム表面に深い傷が認められ、画像にもムラが生ずる。
【0303】
〈実施例12〉
実施例1において、使用したシアン二成分系現像剤と同様にして、イエロートナー1を用いてイエロー二成分系現像剤、マゼンタトナー1を用いてマゼンタ二成分系現像剤、ブラックトナー1を用いてブラック二成分系現像剤をそれぞれ得た。上記4色の二成分系現像剤を図8に示す構成の画像形成装置を入れ、20000枚のフルカラー画出しを行ったところ、実施例1同様に良好な結果が得られた。
【0304】
【発明の効果】
本発明によれば、表面硬度がアスカーCで30度乃至80度である導電性弾性層を有する帯電ローラを用いた画像形成装置において、粒径および球形度を規定したキャリアと分子量分布を規定したトナーからなる二成分現像剤を用いることにより、多数枚の連続プリントを行っても、画像濃度が安定し、カブリのない耐久安定性にすぐれたクリーナレス方式の画像形成方法が得られる。
【0305】
また、多数枚の連続プリントを行っても、帯電ローラへの汚染が少なく、像担持体の磨耗が少ない画像形成方法が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に適用されうる画像形成装置の一例を示す概略説明図である。
【図2】本発明に適用されうる画像形成装置の他の一例を示す概略説明図である。
【図3】本発明に適用されうる画像形成装置の他の一例を示す概略説明図である。
【図4】本発明に適用されうる帯電ローラの一例を示す概略説明図である。
【図5】本発明に適用されうる電子写真感光体の一例を示す概略説明図である。
【図6】本発明に適用されうる電子写真感光体の他の一例を示す概略説明図である。
【図7】本発明に適用されうる電子写真感光体の他の一例を示す概略説明図である。
【図8】本発明に適用されうる画像形成方法を実施可能なさらに別の画像形成装置を示す概略説明図である。
【符号の説明】
1 感光体(像担持体)
2 帯電手段
3 情報書き込み手段
4 現像装置
5 転写装置
6 定着装置
7 トナー帯電量制御手段

Claims (12)

  1. 像担持体と、像担持体面を帯電する帯電手段と、帯電処理された像担持体に静電潜像を形成する情報書き込み手段と、静電潜像に現像剤を供給し静電潜像を可視化する現像手段と、可視化した現像剤像を転写材に転写する転写手段と、前記帯電手段より上流に位置していて、像担持体面上の現像剤を帯電する現像剤帯電量制御手段とを有する画像形成装置を用い、現像兼回収方式にて、画像形成を行う画像形成方法において、
    該像担持体面を帯電する帯電手段が導電性弾性層を有する帯電ローラであり、かつ、該帯電ローラの表面硬度はアスカーCで30度乃至80度であり、
    転写工程後の像担持体上に残余する現像剤を、前記現像剤帯電量制御手段で正
    規極性に帯電処理し、前記帯電手段で前記像担持体面を帯電する際に、適正帯電量にし、
    該現像剤が、少なくとも結着樹脂及び着色剤を含有したトナーとキャリアを有する二成分現像剤であり、
    該トナーは、テトラヒドロフラン(THF)可溶分の分子量分布におけるメインピークの分子量Mpが6,000乃至50,000であり、重量平均分子量(Mw)が8,000乃至1,500,000であり、
    さらに該キャリアの体積平均による50%径が15乃至60μm、SF−1が100乃至130、該50%粒径の2/3以下の粒径の粒子の含有量が5体積%以下であることを特徴とする画像形成方法。
  2. 該トナーのメルトインデックス(温度130℃,49N(荷重5kg))の10分間での吐出量が1乃至80gであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
  3. 該トナーのメルトインデックス(温度130℃,49N(荷重5kg))の10分間での吐出量が3乃至60gであることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成方法。
  4. 該トナーのテトラヒドロフラン溶媒でのソックスレー抽出による不溶分が1乃至60質量%であることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の画像形成方法。
  5. 該キャリアは、結着樹脂中に金属化合物を分散させたコアを持ち、コア表面を樹脂でコートした磁性体分散型コートキャリアであることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の画像形成方法。
  6. 該キャリアは、比抵抗が1×108乃至1×1016Ω・cmであり、1000/4π(kA/m)における磁化の強さが20乃至100(Am2/kg)であることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の画像形成方法。
  7. 該キャリアの金属化合物が、強磁性体と該強磁性体より高抵抗の非磁性金属化合物を含有し、該強磁性体はマグネタイトであり、高抵抗金属化合物の少なくともひとつがヘマタイトであることを特徴とする請求項またはに記載の画像形成方法。
  8. 該キャリアにおける結着樹脂が、熱硬化性樹脂からなり架橋構造を有していることを特徴とする請求項乃至のいずれかに記載の画像形成方法。
  9. 該キャリアにおける結着樹脂が、フェノール樹脂であることを特徴とする請求項乃至のいずれかに記載の画像形成方法。
  10. 前記帯電手段は振動電界を印加することを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の画像形成方法。
  11. 前記情報書き込み手段は露光手段であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の画像形成方法。
  12. 該トナーは、重合性モノマーおよび着色剤を少なくとも含有する重合性モノマー組成物を重合開始剤の存在下で、溶媒液中で重合する重合法によって製造されたものであることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の画像形成方法。
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