JP4473458B2 - エンジンの潤滑油供給装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンの潤滑油供給装置の構成に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のエンジンにおいては、シリンダブロックの一側端部にギアケースが連結され、該ギアケースの外側面にギアケースカバーが連結されており、該ギアケースとギアケースカバーとで構成されるギアケース部には、オイルパン内に貯溜される潤滑油を圧送する潤滑油ポンプが内装されていた。該潤滑油ポンプは例えばトロコイドポンプに構成され、インナーロータに形成される駆動軸孔へ、クランク軸が駆動軸として一体的に回転可能に嵌合して、該クランク軸により潤滑油ポンプを駆動するように構成していた。また、インナーロータの駆動軸孔を、クランク軸により回転駆動されるクランクギアに嵌合させて駆動する場合もあった。また、ギアケースには、カム軸駆動用のギアや、外部油圧用の油圧ポンプ駆動用のギア等が設けられており、この油圧ポンプ駆動用のギアはベアリングを介して支持されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前述のエンジンにを組み立てる場合には、潤滑油ポンプを組み付けた状態とした後に、ギアケース部をシリンダブロックに取り付けるように構成しており、シリンダブロックに取り付ける際に、潤滑油ポンプの駆動軸孔へクランク軸やクランクギアを嵌合させるようにしていた。そして、クランク軸の駆動軸孔との嵌合部は、例えば2面取りし、該駆動軸孔もクランク軸に合わせた形状に形成して、クランク軸と駆動軸孔とが一体的に回転可能となるようにしていた。従って、ギアケース部をシリンダブロックに取り付ける場合には、クランク軸と駆動軸孔との位相や位置をあわせた状態で取付作業を行う必要があるが、大きな部材であるシリンダブロックに、大きな部材であるギアケース部を取り付けるときに、微妙な位相合わせや位置合わせを行うことは困難であり、組立性が悪かった。また、外部油圧用の油圧ポンプ駆動用のギアを支持するベアリングは、雰囲気中にあるミスト状の潤滑油や、上方から落下してくる潤滑油が該ベアリングに付着することで潤滑されているが、積極的に潤滑しているわけではないため、潤滑が不充分となる恐れがあった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次に該課題を解決するための手段を説明する。
【0005】
請求項1においては、潤滑油ポンプ(22)をエンジン(E)のクランク軸(25)と一体的に回転可能な冷却ファン駆動プーリー(51)のボス部(51a)により駆動し、前記潤滑油ポンプ(22)をギアケース(23)のギアケースカバー(29)に組み付けた状態で該潤滑油ポンプ(22)の位相が該クランク軸(25)の位相と一定位置となるように固定するエンジンの潤滑油供給装置において、前記クランク軸(25)と前記冷却ファン駆動プーリー(51)のボス部(51a)と前記潤滑油ポンプ(22)のインナーロータ(22a)の位相とを合わせて前記ボス部(51a)を前記インナーロータ(22a)へ嵌合させるように、前記ボス部(51a)の外周に直線部(51b・51b)を形成するとともに、前記インナーロータ(22a)の内周も前記ボス部(51a)の外周形状と合わせた形状とし、前記ギアケースカバー(29)及びギアケース(23)に前記インナーロータ(22a)の位相を一定位置に固定する固定キャップ(56)を設け、該固定キャップ(56)をベース部材(56a)と該ベース部材(56a)から一方向へ突出形成された固定片(56b)と該ベース部材(56a)から突出した取付ピン(56c)とより形成し、前記固定片(56b)を前記インナーロータ(22a)と嵌合させ前記取付ピン(56c)をギアケースカバー(29)に形成した取付孔(29c)へ嵌入して該固定キャップ(56)をギアケースカバー(29)に取り付け、前記インナーロータ(22a)を前記固定片(56b)によりガイドして一定位置に合致する位相で固定し、前記クランク軸(25)を前記インナーロータ(22a)の内部まで嵌入させた後、該固定キャップ(56)を取り外し、前記冷却ファン駆動プーリー(51)を前記クランク軸(25)に嵌合固定して構成したものである。
【0006】
請求項2においては、 請求項1記載のエンジンの潤滑油供給装置において、前記潤滑油ポンプ(22)から吐出される潤滑油を、同じくクランク軸(25)により従動回転されるアイドルギア(32a)を遊嵌支持するアイドル軸(32)に油路を介して供給し、該アイドルギア(32a)の噴出孔(33b)から、ギアケース(23)内の油圧ポンプ駆動軸(34)への注油を可能としたものである。
【0007】
請求項3においては、請求項2記載のエンジンの潤滑油供給装置において、前記アイドル軸(32)は複数の締結部材(38・・)により固定し、各締結部材(38・・)の配置位置ピッチ(W1・W2・W3)を互いに異ならせたものである。
【0008】
請求項4においては、請求項1記載のエンジンの潤滑油供給装置において、前記潤滑油ポンプ(22)から吐出される潤滑油を、同じくクランク軸(25)により駆動されるカムギア(33a)の支持軸であるカム軸(33)に油路を介して供給し、該カム軸(33)からギアケース(23)内の油圧ポンプ駆動軸(34)への注油を可能としたものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の潤滑油通路が形成される間座を具備するエンジンを示す側面断面図、図2は同じく正面図、図3はギアケース部分を示す正面図、図4は同じく側面断面図、図5はカム軸の軸受部を示す正面図、図6は同じく側面断面図、図7は潤滑油ポンプのインナーロータ部分を示す側面断面図、図8は同じく正面断面図、図9は固定キャップを取り付けた潤滑油ポンプのインナーロータ部を示す正面図、図10は固定キャップを示す正面図、図11は同じく側面断面図である。
【0010】
まず、本発明の潤滑油通路が形成される間座を具備するエンジンの概略構成ついて図1、図2により説明する。エンジンEのシリンダブロック15の上端部にはシリンダヘッド1が取り付けられ、該シリンダヘッド1の上方には弁腕室2が形成されている。
【0011】
シリンダブロック15の一側面には、クランク軸25からの駆動力をカム軸14や燃料噴射ポンプ12等へ伝達するためのギア等を収納する、ギアケース23が連結されており、該ギアケース23の外側面には、潤滑油ポンプ22を収納するギアケースカバー29が連結されている。該ギアケース23とギアケースカバー29とでギアケース部を構成している。また、シリンダブロック15の他側面には、フライホイル28を収納するフライホイルハウジング27が連結されている。
【0012】
また、シリンダブロック15の下方にはオイルパン21が設けられており、該オイルパン21内には潤滑油が貯留されている。オイルパン21は間座18を介してシリンダブロック15に連結されている。間座18は、シリンダブロック15の一端部側からギアケース23及びギアケースカバー29の部分まで延設されており、シリンダブロック15と連結されるギアケース23は、さらに間座18と連結され、ギアケース23に連結されるギアケースカバー29も間座18と連結されている。
【0013】
間座18内には潤滑油通路である潤滑油吸入通路31が形成され、該間座18からオイルパン21内へ突出する潤滑油吸入管19と連通されている。そして、オイルパン21内に貯溜される潤滑油が、該潤滑油吸入管19及び潤滑油吸入通路31を通じて潤滑油ポンプ22に吸入されるようにしている。
【0014】
次に、前述のギアケース部について説明する。図3、図4に示すように、ギアケース23には、クランク軸25により駆動されるクランクギア25a、アイドル軸32により支持されるアイドルギア32a、燃料噴射ポンプ12のカム軸35により支持される燃料噴射ポンプ用ギア35a、エンジンEのカム軸33により支持されるカムギア33a、及び外部油圧用の油圧ポンプ駆動軸34に支持される油圧ポンプギア34a等が設けられている。
【0015】
アイドルギア32aがクランクギア25aと噛合し、燃料噴射ポンプ用ギア35a及びカムギア33aがアイドルギア32aと噛合し、油圧ポンプ駆動軸34がカムギア33aと噛合している。そして、カムギア33a、及びカム軸35が、アイドルギア32aを介して、油圧ポンプギア34aが、アイドルギア32a及びカムギア33aを介してクランク軸25により駆動されている。
【0016】
アイドルギア32aは、ブッシュ36を介して回転自在にアイドル軸32に支持されている。アイドル軸32には、シリンダブロック15に形成される潤滑油路15aと、該アイドル軸32の外周面とを連通する連通路32bが形成されている。また、ブッシュ36には連通路32bと連通する連通孔36aが形成され、アイドルギア32aには連通孔36aと連通可能な噴出孔33bが形成されている。噴出孔33bは、ギアケースカバー29側の外周方向へ向けて開口しており、潤滑油路15a内を圧送される潤滑油が、連通路32b及び連通孔36aを通じて噴出孔33bから噴出可能なように構成している。
【0017】
噴出孔33bは、平面視において軸方向と直交する方向から角度θ1だけギアケースカバー29側へ傾斜しており、連通路32bは、正面視において水平方向から上方へ角度θ2だけ傾斜している。
【0018】
そして、アイドル軸32はボルト等の複数の締結部材38・38・・・にてシリンダブロック15に締結され、ブッシュ36はアイドル軸32に固設されており、アイドルギア32aはクランクギア25aにより回転駆動されるので、アイドル軸32の連通路32b及びブッシュ36の連通孔36aと、クランクギア25aに形成される噴出孔33bとの円周方向の位相が一致したとき、即ちアイドルギア32aの回転により噴出孔33bが水平方向から上方へ角度θ2だけ傾斜した位置にきたときのみに、連通路32b及び連通孔36aと噴出孔33bとが連通して潤滑油が噴出されることとなる。
【0019】
この場合の噴出孔33bからの潤滑油の噴出方向は、平面視において軸方向と直交する方向から角度θ1だけギアケースカバー29側へ傾斜し、正面視において水平方向から上方へ角度θ2だけ傾斜しており、該角度θ1及び角度θ2は、噴出孔33bから噴出した潤滑油が噴出軌跡Lcの如くの軌跡を描いて、油圧ポンプ駆動軸34及び油圧ポンプギア34aの部分へ到達するような角度に設定している。
【0020】
このように、アイドル軸32の部分から、油圧ポンプ駆動軸34及び油圧ポンプギア34aの部分へ向けて潤滑油を噴出するように構成することで、油圧ポンプ駆動軸34及び油圧ポンプギア34aや当該部分のベアリング等に積極的に注油することが可能となり、充分な潤滑を行うことができる。尚、アイドル軸32からの注油は、油圧ポンプ駆動軸34及び油圧ポンプギア34aの部分のみでなく、燃料噴射ポンプ用ギア35aの部分等、他の補機部分に行うように構成することもできる。
【0021】
また、アイドル軸32を締結する複数の締結部材38・38・・・は、本例では例えば3個設けられており、各締結部材38・38の配置位置ピッチW1・W2・W3がそれぞれ異なるように配置されている。このように、各締結部材38・38の配置位置ピッチW1・W2・W3を異ならせて該締結部材38・38・・・を配置することで、アイドル軸32をシリンダブロック15へ締結する際に、常に連通路32bが正面視において水平方向から上方へ角度θ2だけ傾斜した姿勢となるように、該アイドル軸32を取り付けることが可能となる。
【0022】
即ち、連通路32bが正面視において水平方向から上方へ角度θ2だけ傾斜した姿勢でない姿勢となっている状態でアイドル軸32を取り付けようとすると、アイドル軸32の締結部材孔とシリンダブロック15の締結部材孔との位置が合わないため、連通路32bが正面視において水平方向から上方へ角度θ2だけ傾斜した姿勢となっている状態でのみ、該アイドル軸32をシリンダブロック15に取り付けることができるのである。これにより、連通路32bが誤った姿勢となった状態でアイドル軸32がシリンダブロック15に取り付けられることを防止することができる。
【0023】
また、補機の駆動ギア部分等へ向けての潤滑油の噴出は、カム軸33の部分から行うように構成することもできる。即ち、図5、図6に示すように、カム軸33はシリンダブロック15に回転自在に支持されており、カムギア33aとシリンダブロック15との間にはスラストメタル39が介装されている。シリンダブロック15におけるカム軸33の軸受部分には、該シリンダブロック15に形成される潤滑油通路15eから潤滑油が供給されており、該軸受部分を潤滑している。
【0024】
スラストメタル39における、シリンダブロック15の軸受部分との接触部の一部にはスリット39aが開口しており、該軸受部分に供給される潤滑油が、スリット39aを通じて、該スリット39aとカムギア33aとの隙間からギアケースカバー29側へ噴出するように構成されている。スリット39aとカムギア33aとの隙間から噴出する潤滑油は、ギアケース23に形成される誘導リブ23fにより、例えば油圧ポンプ駆動軸34まで案内されて、該油圧ポンプ駆動軸34を潤滑するように構成されている。このスリット39a及び誘導リブ23fの形成位置は、潤滑油を噴出させたい方向に合わせて形成することが可能である。このように、スラストメタル39にスリット39aを形成することでも、任意の方向に潤滑油を噴出させて注油することが可能である。
【0025】
また、図7、図8に示すように、クランク軸25の先端部には、冷却ファン等を駆動するためのプーリー51が一体的回転可能に取り付けられている。該プーリー51はボス部51aをクランク軸25に嵌合して取り付けられており、該ボス部51aの外周は2面取りされて直線部51b・51bが形成されている。潤滑油ポンプ22のインナーロータ22aは、その内周を2面取りして、ボス部51aの外周形状と合わせた形状に形成され、該インナーロータ22aとボス部51aとは互いに位相を合わせて嵌合されている。これにより、インナーロータ22aはボス部51aと一体的に回転可能となり、潤滑油ポンプ22はプーリー51の軸部であるボス部51aに回転駆動されることとなる。
【0026】
ここで、本例におけるエンジンEを組み立てる場合には、潤滑油ポンプ22を装着した状態のギアケースカバー29及びギアケース23をボルト等の締結部材にてシリンダブロック15に締結し、その後プーリー51をクランク軸25に嵌合させつつ、該プーリー51のボス部51aの位相と潤滑油ポンプ22のインナーロータ22aの位相とを合わせて、該プーリー51をインナーロータ22aへ嵌合させるようにしている。
【0027】
プーリー51をインナーロータ22aに嵌合する際には、それぞれ2面取りしたプーリー51とインナーロータ22aとの位相を合わせた上で嵌合する必要があるが、プーリー51はさほど大きな部材ではなく取り扱いが容易であるため、嵌合作業中にプーリー51を回転させて該プーリー51の位相とインナーロータ22aの位相とを合わせる等の、微妙な位相合わせや位置合わせを容易に行うことができ、組立性が良好である。
【0028】
また、プーリー51をインナーロータ22aに嵌合する際に、治具等を用いてインナーロータ22aの位相を一定位置に固定し、該プーリー51の嵌合作業をさらに容易・簡便にすることができる。例えば、図9乃至図11に示すように、シリンダブロック15へ取り付ける前の、潤滑油ポンプ22が装着された状態のギアケースカバー29及びギアケース23に、インナーロータ22aの位相を一定位置に固定する治具としての固定キャップ56を取り付けるようにしている。
【0029】
固定キャップ56は、板状のベース部材56aから、2面取りされたインナーロータ22aの直線部22bと形状を合わせて形成される固定片56bを一方向へ突出するとともに、該ベース部材56aに取付ピン56cを形成している。そして、図10の如く、該固定片56bをインナーロータ22aと嵌合させてた後、図11の如く、取付ピン56cをギアケースカバー29に形成される取付孔29cへ嵌入して、該固定キャップ56をギアケースカバー29に取り付けるようにしている。この場合、インナーロータ22aは、固定キャップ56の固定片56bにガイドされて、該固定片56bと直線部22bとの位置が合う位相で固定される。
【0030】
該固定キャップ56は、ある程度の弾性を有した合成樹脂等により構成されているとともに、取付ピン56cの先端は二股に分かれたスナップフィット形状に形成されているので、取付孔29cに嵌入される取付ピン56cは、ある程度の保持力で固定キャップ56をギアケースカバー29に取付保持している。
【0031】
そして、固定キャップ56が取り付けられてインナーロータ22aの位相が固定された状態のギアケースカバー29及びギアケース23をシリンダブロック15へ取り付けた後は、取付ピン56cを取付孔29cから抜脱して該固定キャップ56を取り外し、予め該インナーロータ22aの位相に合わせた姿勢のプーリー51を嵌合させる。
【0032】
この場合は、固定キャップ56によりガイドされていたインナーロータ22aの位相が一定位置に固定されており、該インナーロータ22aに嵌合させるプーリー51の姿勢を、予めインナーロータ22aの位相に合わせておくことができるので、該プーリー51を実際に嵌合させるときに位相合わせ等の作業を行う必要がなく、該プーリー51の嵌合作業をさらに容易・簡便にすることができる。
【0033】
【発明の効果】
本発明は以上の如く構成したので、次のような効果を奏するのである。
請求項1記載の如く、潤滑油ポンプ(22)をエンジン(E)のクランク軸(25)と一体的に回転可能な冷却ファン駆動プーリー(51)のボス部(51a)により駆動し、前記潤滑油ポンプ(22)をギアケース(23)のギアケースカバー(29)に組み付けた状態で該潤滑油ポンプ(22)の位相が該クランク軸(25)の位相と一定位置となるように固定するエンジンの潤滑油供給装置において、前記クランク軸(25)と前記冷却ファン駆動プーリー(51)のボス部(51a)と前記潤滑油ポンプ(22)のインナーロータ(22a)の位相とを合わせて前記ボス部(51a)を前記インナーロータ(22a)へ嵌合させるように、前記ボス部(51a)の外周に直線部(51b・51b)を形成するとともに、前記インナーロータ(22a)の内周も前記ボス部(51a)の外周形状と合わせた形状とし、前記ギアケースカバー(29)及びギアケース(23)に前記インナーロータ(22a)の位相を一定位置に固定する固定キャップ(56)を設け、該固定キャップ(56)をベース部材(56a)と該ベース部材(56a)から一方向へ突出形成された固定片(56b)と該ベース部材(56a)から突出した取付ピン(56c)とより形成し、前記固定片(56b)を前記インナーロータ(22a)と嵌合させ前記取付ピン(56c)をギアケースカバー(29)に形成した取付孔(29c)へ嵌入して該固定キャップ(56)をギアケースカバー(29)に取り付け、前記インナーロータ(22a)を前記固定片(56b)によりガイドして一定位置に合致する位相で固定し、前記クランク軸(25)を前記インナーロータ(22a)の内部まで嵌入させた後、該固定キャップ(56)を取り外し、前記冷却ファン駆動プーリー(51)を前記クランク軸(25)に嵌合固定して構成したことにより、固定キャップ(56)によりガイドされて潤滑油ポンプ(22)のインナーロータ(22a)の位相が一定位置に固定されているので、冷却ファン駆動プーリー(51)の姿勢を予め前記インナーロータ(22a)の位相に合わせておくことで、冷却ファン駆動プーリー(51)を嵌合させるときに位相合わせ等の作業を行う必要がなく、冷却ファン駆動プーリー(51)の嵌合作業を容易・簡便にすることができ、エンジンの潤滑油供給装置の組立性を良好とすることができる。
【0035】
請求項2記載の如く、請求項1記載のエンジンの潤滑油供給装置において、前記潤滑油ポンプ(22)から吐出される潤滑油を、同じくクランク軸(25)により従動回転されるアイドルギア(32a)を遊嵌支持するアイドル軸(32)に油路を介して供給し、該アイドルギア(32a)の噴出孔(33b)から、ギアケース(23)内の油圧ポンプ駆動軸(34)への注油を可能としたので、該油圧ポンプ駆動軸(34)やその付属部材等へ積極的に注油することが可能となり、充分な潤滑を行うことができる。
【0036】
請求項3記載の如く、請求項2記載のエンジンの潤滑油供給装置において、前記アイドル軸(32)は複数の締結部材(38・・)により固定し、各締結部材(38・・)の配置位置ピッチ(W1・W2・W3)を互いに異ならせたので、アイドル軸をシリンダブロックへ締結する際に、アイドル軸を常に一定の姿勢で取り付けることが可能となり、該アイドル軸が誤った姿勢となった状態でシリンダブロックに取り付けられることを防止することができる。
【0037】
請求項4記載の如く、請求項1記載のエンジンの潤滑油供給装置において、前記潤滑油ポンプ(22)から吐出される潤滑油を、同じくクランク軸(25)により駆動されるカムギア(33a)の支持軸であるカム軸(33)に油路を介して供給し、該カム軸(33)からギアケース(23)内の油圧ポンプ駆動軸(34)への注油を可能としたので、該油圧ポンプ駆動軸(34)やその付属部材等へ積極的に注油することが可能となり、充分な潤滑を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の潤滑油通路が形成される間座を具備するエンジンを示す側面断面図である。
【図2】 同じく正面図である。
【図3】 ギアケース部分を示す正面図である。
【図4】 同じく側面断面図である。
【図5】 カム軸の軸受部を示す正面図である。
【図6】 同じく側面断面図である。
【図7】 潤滑油ポンプのインナーロータ部分を示す側面断面図である。
【図8】 同じく正面断面図である。
【図9】 固定キャップを取り付けた潤滑油ポンプのインナーロータ部を示す正面図である。
【図10】 固定キャップを示す正面図である。
【図11】 同じく側面断面図である。
【符号の説明】
E エンジン
15 シリンダブロック
22 潤滑油ポンプ
22a インナーロータ
23 ギアケース(23)
29 ギアケースカバー
32 アイドル軸
33 カム軸
51 プーリー
56 固定キャップ
Claims (4)
- 潤滑油ポンプ(22)をエンジン(E)のクランク軸(25)と一体的に回転可能な冷却ファン駆動プーリー(51)のボス部(51a)により駆動し、前記潤滑油ポンプ(22)をギアケース(23)のギアケースカバー(29)に組み付けた状態で該潤滑油ポンプ(22)の位相が該クランク軸(25)の位相と一定位置となるように固定するエンジンの潤滑油供給装置において、前記クランク軸(25)と前記冷却ファン駆動プーリー(51)のボス部(51a)と前記潤滑油ポンプ(22)のインナーロータ(22a)の位相とを合わせて前記ボス部(51a)を前記インナーロータ(22a)へ嵌合させるように、前記ボス部(51a)の外周に直線部(51b・51b)を形成するとともに、前記インナーロータ(22a)の内周も前記ボス部(51a)の外周形状と合わせた形状とし、前記ギアケースカバー(29)及びギアケース(23)に前記インナーロータ(22a)の位相を一定位置に固定する固定キャップ(56)を設け、該固定キャップ(56)をベース部材(56a)と該ベース部材(56a)から一方向へ突出形成された固定片(56b)と該ベース部材(56a)から突出した取付ピン(56c)とより形成し、前記固定片(56b)を前記インナーロータ(22a)と嵌合させ前記取付ピン(56c)をギアケースカバー(29)に形成した取付孔(29c)へ嵌入して該固定キャップ(56)をギアケースカバー(29)に取り付け、前記インナーロータ(22a)を前記固定片(56b)によりガイドして一定位置に合致する位相で固定し、前記クランク軸(25)を前記インナーロータ(22a)の内部まで嵌入させた後、該固定キャップ(56)を取り外し、前記冷却ファン駆動プーリー(51)を前記クランク軸(25)に嵌合固定して構成したことを特徴とするエンジンの潤滑油供給装置。
- 請求項1記載のエンジンの潤滑油供給装置において、前記潤滑油ポンプ(22)から吐出される潤滑油を、同じくクランク軸(25)により従動回転されるアイドルギア(32a)を遊嵌支持するアイドル軸(32)に油路を介して供給し、該アイドルギア(32a)の噴出孔(33b)から、ギアケース(23)内の油圧ポンプ駆動軸(34)への注油を可能としたことを特徴とするエンジンの潤滑油供給装置。
- 請求項2記載のエンジンの潤滑油供給装置において、前記アイドル軸(32)は複数の締結部材(38・・)により固定し、各締結部材(38・・)の配置位置ピッチ(W1・W2・W3)を互いに異ならせたことを特徴とするエンジンの潤滑油供給装置。
- 請求項1記載のエンジンの潤滑油供給装置において、前記潤滑油ポンプ(22)から吐出される潤滑油を、同じくクランク軸(25)により駆動されるカムギア(33a)の支持軸であるカム軸(33)に油路を介して供給し、該カム軸(33)からギアケース(23)内の油圧ポンプ駆動軸(34)への注油を可能としたことを特徴とするエンジンの潤滑油供給装置。
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