JP4471043B2 - ウエハ支持具及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体ウエハ等のウエハを多数支持し、各種処理等を行うことが可能なウエハ支持具、及び該ウエハ支持具を効率的に製造し得る方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体ウエハなどの膜形成等を目的として熱処理する際、半導体ウエハボードが用いられていた。該半導体ウエハボードの材料としては、純度が高いという利点を活かして、石英が用いられていたが、耐熱性が劣ることから、近年では炭化ケイ素を用いるのが主流となっている。
しかし、前記炭化ケイ素を用いて作製した半導体ウエハボードは、重量が大きいため、取り扱い性が悪く、また、熱容量が大きいため、該半導体ウエハボードを熱処理炉内に挿入した際等に、炉内の温度が大きく変化してしまう等の問題があった。
【0003】
前記問題を解決するため、パイプ状に形成した成型体から、半導体ウエハを支持する支持部などの必要最低限の部位を残して、半導体ウエハボードを製造する方法が提案されている。
しかし、この方法では、加工工程が複雑であり、また、加工時に多くの不純物が混入してしまうため、これを酸などにより除去して高純度化する必要があり、製造コストが高くなるという問題があった。
【0004】
また、半導体ウエハーを支持する支持部や、該支持部を固定する固定部を別々に作製した後、ボルト止め等により製造する方法が提案されている。
しかし、この方法では、前記支持部や前記固定部を別々に作製した後にこれらを組み立てるため、上記同様に、加工工程が複雑となって製造コストが高くなったり、前記支持部と前記固定部との寸法が合わず、寸法精度が悪くなるという問題があった。
【0005】
前記問題を解決すべく、前記支持部や前記固定部のグリーン体(未焼結体)を鋳型で成形した後、これらを作製したのと同一のスラリーを塗布してこれらを接着仮止めし、仮焼、Si含浸を行う方法が提案されている。
しかし、この方法では、接着仮止めの際の取扱い性が悪く、また、支持部と固定部との接着強度を高める目的で、前記支持部に開先加工を施す際、前記支持部の強度が低いために、該支持部を所望の形状に開先加工することは困難であった。また、前記開先加工を行わない場合に、接着材の接着強度を大きくするためには、接着部に前記接着材による肉盛りを形成せざるを得なかった。更に、前記接着剤で仮止めした構造物は、前記グリーン体の構造物であるため、これを仮焼すると、寸法精度が悪くなるという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、接着の際の取扱い性及び製造効率に優れるウエハ支持具の製造方法、及び該製造方法によって製造され、強度、寸法精度等に優れるウエハ支持具を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 炭化ケイ素を含有してなり、ウエハを支持する支持部材と、炭化ケイ素を含有してなり、該支持部材を固定する固定部材とを仮焼し、仮焼した該支持部材の両末端を開先加工し、開先加工した該支持部材と前記固定部材とを炭化ケイ素を含有する接着材で接着してウエハ支持具構造物を形成し、該ウエハ支持具構造物に金属ケイ素を含浸させることを特徴とするウエハ支持具の製造方法である。
<2> 金属ケイ素を含浸させる前に、ウエハ支持具構造物を仮焼する前記<1>に記載のウエハ支持具の製造方法である。
<3> 支持部材及び固定部材が、更に炭素を含有する前記<1>又は<2>に記載のウエハ支持具の製造方法である。
<4> 前記<1>から<3>のいずれかに記載のウエハ支持具の製造方法によって製造されることを特徴とするウエハ支持具である。
【0008】
前記<1>に記載のウエハ支持具の製造方法においては、先ず、ウエハを支持する支持部材及び該支持部材を固定する固定部材を仮焼する。このため、前記支持部材及び固定部材は、強度が増し、後の開先加工や接着等の加工が容易となり、また、加工時に破損などが生じない。次に、仮焼した前記支持部の両末端を所望の形状に開先加工した後、該支持部と前記固定部とを接着材で接着し、ウエハ支持具構造物を形成する。この時、前記支持部の両末端は、所望形状に開先加工されているため、削除部分においては、接着材との接着面積が大きく、また、該削除部分に接着材を充填しても、肉盛りが形成されない。更に、前記ウエハ支持具構造物に金属ケイ素を含浸させる。この時、溶融した金属ケイ素は、毛細管現象等によって前記ウエハ支持具構造物中に浸透される。
【0009】
前記<2>に記載のウエハ支持具の製造方法においては、金属ケイ素を含浸させる前に、ウエハ支持具構造物を仮焼するので、得られるウエハ支持具構造物は、極めて強度に富む。
【0010】
前記<3>に記載のウエハ支持具の製造方法においては、支持部及び固定部が、さらに炭素を含有するので、得られるウエハ支持具構造物は、極めて強度に富む。
【0011】
前記<4>に記載のウエハ支持具は、前記<1>から<3>に記載のいずれかの製造方法によって製造されるので、前記支持部と前記固定部との接合面には、肉盛りが形成されず、寸法精度や強度に優れる。
【0012】
【発明の実施の形態】
−ウエハ支持具−
本発明のウエハ支持具は、支持部及び固定部を有してなり、所望によりその他の部を有してなる。
[支持部]
前記支持部の形状としては、ウエハを複数載置可能なウエハ載置部を有していれば、特に制限はないが、軽量で、熱応力の集中が低く、かつ、ウエハを複数支持可能な点で、断面円形の支柱等に前記ウエハ載置部が設けられてなる形状が好ましい。
【0013】
前記ウエハ載置部としては、溝や突起等として形成されているのが好ましい。前記ウエハ載置部が突起の場合には、該突起上にウエハを載置可能であってもよく、また、複数の突起にウエハを挟持可能であってもよい。これらの中でも、製造容易性等の点で、溝が好ましい。
前記ウエハ載置部が、溝の場合には、該溝の巾及び深さとしては、特に制限はなく、ウエハの厚み等に応じて適宜選択することができ、一般的には、巾が10〜30mmで、深さが5〜20mmが好ましい。
【0014】
前記支持部の大きさとしては、特に制限はなく、支持するウエハの大きさや重さ、半導体ウエハの熱処理に用いる場合には、熱処理炉の大きさ等に応じて適宜選択することができる。
【0015】
尚、前記ウエハ支持具を半導体ウエハ支持具として用いる場合、前記支持部の大きさとしては、半導体ウエハの大きさ等に応じて異なり、一概に規定することはできないが、該支持部の断面積及び柱長の好ましい数値範囲は、以下の通りである。
【0016】
前記支持部の断面積としては、一般的には、65〜250mm2が好ましい。
前記断面積が、250mm2を超える場合には、前記ウエハ支持具全体の重量が大きくなるため、製造時の取り扱いが困難となり、又、使用時に熱分解を起こす原因となることがある一方、前記断面積が、65mm2未満の場合には、前記ウエハ支持具の強度が低く、製造時の取り扱いが困難となることがある。
【0017】
前記支持部の柱長としては、1200mm以下が好ましい。該柱長が、1200mmを超える場合には、大きな鋳込み型・炉等が必要となるため、高コストとなることがある。
【0018】
前記支持部の数としては、ウエハを支持させる際の安定性から、複数が好ましく、製造効率及びウエハを載置する際の効率等の観点から、3〜4が特に好ましい。
【0019】
前記支持部の材料としては、耐熱性及び耐強度性等の点で、炭化ケイ素粉末を含む材料が好ましい。
前記支持部は、公知の成形方法によって形成される。
【0020】
[固定部]
前記固定部の形状としては、前記ウエハ支持部を固定し得るものであれば、特に制限はなく、円形・楕円形、輪形等の角部のない形状のほか、半円形や四角形等の角部のある形状が挙げられる。これらの中でも、熱応力の集中を低減する点で、前記角部のない形状が好ましい。また、支持するウエハと同一の形状とすることが好ましい。半導体ウエハは、一般的には、輪形であるため、半導体ウエハ支持具として用いる場合には、該固定部の形状は、輪形とするのが好ましい。
【0021】
前記固定部の大きさとしては、特に制限はなく、支持するウエハの大きさや、ウエハを熱処理する際に用いる熱処理炉の大きさ等に応じて適宜選択することができ。一般的には、支持するウエハの大きさより大きいものを用いる。
また、前記固定部の厚みとしては、4〜15mmが好ましい。
【0022】
前記固定部は、前記支持部を安定して固定させる点で、前記支持部の両末端のそれぞれに設けられるのが好ましい。
前記固定部の材料としては、耐熱性及び耐強度性等の点で、炭化ケイ素粉末を含む材料が好ましい。
前記固定部は、公知の成形方法によって製造される。
【0023】
[その他の部]
前記その他の部としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、長尺な縦型熱処理炉用のウエハ支持具においては、軸射熱の遮断を目的として、前記固定部の下部に設けられる台座や側壁等が挙げられる。
【0024】
図1は、本発明のウエハ支持具の一例を示す説明図である。ウエハ支持具1は、棒状の支持部2a、支持部2b、支持部2c及び支持部2dと、輪状の平板である固定部3a及び固定部3bとを有する。支持部2a、支持部2b、支持部2c及び支持部2dは、ウエハを側方から挿入できるように、固定部3a、固定部3bの外周に沿って、該固定部3a及び3bに所定の間隔で接着されて設けられている。支持部2a及び支持部2dは、前記固定部3aの外周上であって、かつ、該外周の任意の一の直径上に配置されている。また、支持部2b及び支持部2cは、該一の直径で切断される2つの外周のうち、一方の外周上に配置されいる。該一の直径の中点を中心として、支持部2aと支持部2bとのなす角、支持部2bと支持部2cとのなす角、又は支持部2cと支持部2dとのなす角は、応力集中を低減させる目的で、総て同一角度、即ち、60度となるように配置されている。
支持部2a、支持部2b、支持部2c、及び支持部2dには、前記ウエハ載置部としての溝が、固定部3aから一定の距離に、上下方向に所定間隔で多数形成されている。前記支持部2a、支持部2b、支持部2c、及び支持部2dのそれぞれに形成された溝のうち、固定部3aから同距離にある溝には、同一のウエハが載置される。
【0025】
支持部2a、支持部2b、支持部2c、及び支持部2dは、両末端が所望の形状に開先加工された後に、固定部3a、及び3bと接着材で接着されているため、接着部4a、接着部4b、接着部4c、及び接着部4dにおいては、接着材による肉盛りが形成されない。また、前記接着材が、支持部2a、支持部2b、支持部2c及び支持部2d、又は、前記固定部3a及び固定部3bと接触する面積が開先加工によって大きくなっているため、接着部4a、接着部4b、接着部4c及び接着部4dは、強度に優れる。さらに、支持部2a、支持部2b、支持部2c及び支持部2dと、固定部3a及び固定部3bとは、仮焼された後に接着されているので、ウエハ支持具1は、寸法精度に優れている。
尚、接着部4a、接着部4b、接着部4c及び接着部4dにおいては、支持部2a、支持部2b、支持部2c及び支持部2dの末端と、固定部3aとが嵌着されていてもよい。
【0026】
本発明のウエハ支持具は、半導体ウエハの熱処理に使用する場合には、所望により、熱処理炉の構造によって、半導体ウエハを横方向から挿入可能な横型のウエハとしてもよく、半導体ウエハを上方又は下方から挿入可能な縦型のウエハ支持具としてもよい。また、所望により、前記ウエハ支持具の支持部末端に近い前記溝に、炭化ケイ素等からなる断熱板やダミーウエハを、あるいは、温度条件等が変化しやすい支持部両末端を除いた部分の前記溝に半導体ウエハを、挿入可能に設計してもよい。
【0027】
前記ウエハ支持具は、前記構成からなるため、前記支持部と前記固定部との接着部に肉盛りが形成されず、寸法精度に優れ、かつ、強度に優れる。従って、半導体ウエハを載置して、熱処理等を行うのに特に好適に用いることができる。
【0028】
前記本発明のウエハ支持具は、後述のウエハ支持具の製造方法によって製造される。
【0029】
−ウエハ支持具の製造方法−
本発明のウエハ支持具の製造方法は、仮焼工程と、開先加工工程と、ウエハ支持具構造物形成工程と、含浸工程とを有し、所望によりその他の工程を含む。
【0030】
[仮焼工程]
前記仮焼工程は、炭化ケイ素を含有してなり、ウエハを支持する支持部材と、炭化ケイ素を含有してなり、該支持部材を固定する固定部材と、を仮焼する工程である。
【0031】
(支持部材)
前記支持部材は、炭化ケイ素粉末を、スラリー状の混合粉体とし、該混合粉体を成形して得られる。ここで得られる支持部材は、グリーン体と称されることがあり、スラリー状の混合粉体から溶媒を除去して得られる多くの気孔が内在する未焼結の炭化ケイ素成形体である。
【0032】
前記炭化ケイ素粉末は、α型、β型、非晶質或いはこれらの混合物等の炭化ケイ素粉末を原料として、後述の方法で製造することができる。
なお、得られるウエハ支持具を高純度炭化ケイ素焼結体とするためには、原料に高純度の炭化ケイ素粉末を用いることが好ましい。また、前記β型の炭化ケイ素粉末のグレードには特に制限はなく、例えば、一般に市販されているβ型の炭化ケイ素粉末を用いることができる。
【0033】
前記炭化ケイ素粉末の粒径としては、高密度化の点では、小さい方が好ましく、具体的には、0.01〜10μmが好ましく、0.05〜5μmがより好ましい。
前記粒径が、0.01μm未満の場合には、計量、混合等の処理工程における取扱いが困難となることがある一方、10μmを超える場合には、比表面積が小さい、即ち、隣接する粉末との接触面積が小さくなり、高密度化し難くなることがある。
【0034】
前記高純度の炭化ケイ素粉末は、例えば、少なくとも1種以上のケイ素化合物を含むケイ素源と、少なくとも1種以上の加熱により炭素を生成する有機化合物を含む炭素源と、重合・架橋触媒と、を溶媒中で溶解し、乾燥した後、得られた粉末を非酸化性雰囲気下で焼成して得ることができる。
【0035】
前記ケイ素源としては、液状のケイ素源と固体状のケイ素源とを併用することもできるが、少なくとも1種は液状のケイ素源であることが必要である。
【0036】
前記液状のケイ素源としては、(モノ−、ジ−、トリ−、テトラ−)アルコキシシラン、テトラアルコキシシランの重合体等が挙げられる。
前記アルコキシシランの中でも、テトラアルコキシシランが好ましく、具体的には、メトキシシラン、エトキシシラン、プロポキシシラン、ブトキシシラン等が好ましく、取扱い性の点では、エトキシシランが特に好ましい。
前記テトラアルコキシシランの重合体としては、重合度が2〜15程度の低分子量重合体(オリゴマー)や高重合度のケイ酸ポリマーで液状の重合体などが挙げられる。これらの重合体は、所望により、酸化ケイ素を併用してもよい。
尚、前記酸化ケイ素には、SiOの他、シリカゾル(コロイド状超微細シリカ含有液、内部にOH基やアルコキシル基を含む)や二酸化ケイ素(シリカゲル、微細シリカ、石英粉末)等が含まれる。
前記ケイ素源は、1種単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。
【0037】
前記ケイ素源の中でも、均質性や取扱い性が良好な点で、テトラエトキシシランのオリゴマー及びテトラエトキシシランのオリゴマーと微粉末シリカとの混合物等が好適に挙げられる。また、前記ケイ素源は、純度が高いことが好ましく、具体的には、初期の不純物含有量で、20ppm以下が好ましく、5ppm以下がより好ましい。
【0038】
前記炭素源としては、液体状の炭素源の他、液状の炭素源と固体状の炭素源とを併用することができるが、残炭率が高く、かつ、触媒の作用又は加熱によって重合又は架橋する有機化合物が好ましい。その具体例としては、フェノール樹脂、フラン樹脂、ポリイミド、ポリウレタン、ポリビニルアルコール等の樹脂のモノマーやプレポリマー等、セルロース、蔗糖、ピッチ、タール等の液状の炭素源が好適に挙げられる。これらの中でも、レゾール型フェノール樹脂が特に好ましい。これらの炭素源は、1種単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。また、その純度は、目的により適宜制御選択が可能であるが、特に高純度の炭化ケイ素粉末が必要な場合には、各金属を5ppm以上含有していない有機化合物を用いるのが好ましい。
【0039】
前記重合・架橋触媒としては、前記炭素源に応じて適宜選択でき、例えば、前記炭素源が、フェノール樹脂やフラン樹脂の場合には、トルエンスルホン酸、トルエンカルボン酸、酢酸、しゅう酸、硫酸等の酸類が挙げられる。これらの中でも、トルエンスルホン酸がより好ましい。
【0040】
前記高純度の炭化ケイ素粉末を製造する場合、炭素とケイ素との仕込み比(以下、C/Si比と略記する。)は、雰囲気の圧力によっても変動するため、一概には規定できないが、前記各成分の混合物を1000℃にて炭化して得られる炭化物中間体を、元素分析することにより規定される。化学量論的には、C/Si比が、3.0の時に生成炭化ケイ素中の遊離炭素が0%となるはずであるが、実際には同時に生成するSiOガスの揮散により低C/Si比において遊離炭素が発生する。この生成炭化ケイ素粉末中の遊離炭素量が焼結体等の製造用途に適当でない量にならないように予め配合量を決定することが重要である。通常、1気圧近傍で1600℃以上での焼成においては、遊離炭素を抑制する観点から、C/Si比としては、2.0〜2.5が好ましい。
但し、C/Si比が2.5を超える場合には、遊離炭素の発生は顕著に増加するものの、該遊離炭素は、粒子の成長を抑制する効果を有するため、粒子形成の目的によっては、C/Si比が2.5を超える場合も好ましい。
【0041】
所望により、前記ケイ素源と前記炭素源とを含有する混合物を硬化した後に前記炭化ケイ素粉末を製造してもよい。
前記硬化の方法としては、加熱により架橋する方法、硬化触媒により硬化する方法、電子線や放射線による方法等が挙げられる。
前記硬化の際に使用する触媒としては、前記炭素源に応じて適宜選択できるが、フェノール樹脂やフラン樹脂の場合には、トルエンスルホン酸、トルエンカルボン酸、酢酸、しゅう酸、塩酸、硫酸、マレイン酸等の酸類、ヘキサミン等のアミン類等が好適に挙げられる。
前記触媒は、溶媒中に、溶解又は分散させて混合させる。該溶媒としては、低級アルコール(例えばエチルアルコール等)、エチルエーテル、アセトン等が挙げられる。
【0042】
前記溶媒としては、特に制限はなく、公知の有機溶媒、例えば、低級アルコールや、アセトン等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0043】
前乾燥の方法としては、特に制限はなく、高周波乾燥、熱風乾燥、真空乾燥等の公知の乾燥方法が好適に用いられる。
【0044】
前記焼成は、窒素又はアルゴン等の非酸化性雰囲気中800℃〜1000℃にて30分〜120分間、加熱炭化して炭化物を得た後、得られた炭化物を、アルゴン等の非酸化性雰囲気中1350℃〜2000℃で加熱して行う。前記焼成温度と焼成時間とは、所望の炭化ケイ素の粒径等に応じて適宜選択できるが、1600〜1900℃が、生成効率の点で好ましい。
【0045】
また、前記焼成時に2000〜2100℃にて5〜20分間加熱処理を行うことにより、更に高純度の炭化ケイ素を得ることができる。
【0046】
また、特に高純度の炭化ケイ素粉末を得る方法としては、本出願人が先に出願した特開平9−48605号の単結晶の製造方法に記載の原料粉末の製造方法、即ち、高純度のテトラアルコキシシラン、テトラアルコキシシラン重合体から選択される1種以上をケイ素源とし、加熱により炭素を生成する高純度有機化合物を炭素源とし、これらを均質に混合して得られた混合物を非酸化性雰囲気下において加熱焼成して炭化ケイ素粉末を得る炭化ケイ素生成工程と、得られた炭化ケイ素粉末を、1700℃以上2000℃未満の温度に保持し、該温度の保持中に、2000℃〜2100℃の温度において5〜20分間にわたり加熱する処理を少なくとも1回行う後処理工程とを含む、前記2工程を行う方法が好ましい。
この方法によれば、不純物元素の含有量が0.5ppm以下の、高純度の炭化ケイ素粉末を得ることができる。但し、この方法により得られた高純度炭化ケイ素粉末は、大きさが不均一であるため、解粉、分級により前記粒度に適合するように処理するのが好ましい。
【0047】
前記炭化ケイ素粉末を製造する際には、導電性を付与することを目的として、所望により、前記炭化ケイ素粉末に窒素を導入させることができる。この場合、先ず、前記ケイ素源、前記炭素源、前記重合・架橋触媒と、窒素源からなる有機物質とを均質に混合するが、フェノール樹脂等の炭素源と、ヘキサメチレンテトラミン等の窒素源からなる有機物質と、トルエンスルホン酸等の重合・架橋触媒とを、エタノール等の溶媒に溶解する際に、テトラエトキシシランのオリゴマー等のケイ素源と十分に混合するのが好ましい。
【0048】
前記スラリー状の混合粉体は、前記炭化ケイ素粉末と、少なくとも1種以上の炭素源からなる有機物質又は炭素粉末と、を溶媒中に溶解、分散して製造する。
【0049】
前記有機物質は、加熱により炭素を生成する物質であり、導電性であるのが好ましい。具体的には、残炭率の高いコールタールピッチ、ピッチタール、フェノール樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂やグルコース等の単糖類、蔗糖等の少糖類、セルロース、デンプン等の多糖類などの各種糖類が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、炭化ケイ素粉末と均質に混合する目的から、常温で液体状の物質、溶媒に溶解する物質、加熱により軟化又は液状となる、熱可塑性又は熱融解性の物質が好適に挙げられるが、これらの中でも、得られる成形体の強度が高いフェノール樹脂、特に、レゾール型フェノール樹脂が好適に挙げられる。
【0050】
前記炭素粉末としては、カーボンブラック、アセチレンブラック等の熱分解カーボン、黒鉛、活性炭、及び水分散性カーボンが挙げられ、導電性のものが好ましい。これらの中でも導電性のカーボンブラックが特に好ましい。
【0051】
前記溶媒としては、水でもよいが、例えば好適な加熱により炭素を生成する有機化合物であるフェノール樹脂に対しては、エチルアルコール等の低級アルコール類やエチルエーテル、アセトン等が挙げられる。
なお、前記炭素源からなる有機物質、炭素粉末、及び溶媒は、不純物の含有量が低いものが好ましい。
前記各成分を前記溶媒中に溶解、分散した際に、十分に攪拌混合することにより、グリーン体中に均一分散した気孔を形成させることができる。
【0052】
前記グリーン体の製造においては、所望により、有機バインダーを添加してもよい。前記有機バインダーとしては、解膠剤、粉体粘着剤等が挙げられる。前記解膠剤としては、導電性を付与する効果をさらに上げる点で窒素系の化合物が好ましく、例えばアンモニア、ポリアクリル酸アンモニウム塩等が好適に用いられる。前記粉体粘着剤としては、ポリビニルアルコール、ウレタン樹脂(例えば水溶性ポリウレタン)等が好適に挙げられる。
また、その他、所望により、消泡剤を添加してもよい。前記消包剤としては、シリコーン消泡剤等が挙げられる。
【0053】
前記有機物質の前記グリーン体における含有量としては、炭素量で、10〜50%が好ましく、15〜40%がより好ましい。
前記含有量が、10%未満の場合には、後述の金属シリコンを含浸工程において、炭素が不足し、未反応のSiが気孔内に5%以上残存し、導電性が低くなることがある一方、50%を超える場合には、スラリーのチクソトロピックが大きくなり易く、成形性が劣るため、実用上実施が困難となることがある。
【0054】
所望により、窒素を導入する場合は、まず炭化ケイ素粉末と、炭素源からなる有機物質又は炭素粉末と、窒素源からなる有機物質と、を均質に混合するが、前記同様に、カーボンブラック、フェノール樹脂等の炭素源からなる有機物質又は炭素粉末と、ヘキサメチレンテトラミン等の窒素源からなる有機物質とを、水、エチルアルコールなどの溶媒に溶解、分散した後、炭化ケイ素粉末と十分に攪拌混合するのが好ましい。
【0055】
前記攪拌混合は、公知の攪拌混合手段、例えば、ミキサー、遊星ボールミルなどによって行うことができる。攪拌混合は、10〜30時間、特に、16〜24時間にわたって行うことが好ましい。
【0056】
前記スラリー状の混合粉体を成形する方法としては、特に制限はなく、公知の成形方法が挙げられるが、一般的には、鋳込み成形が好適に挙げられる。該鋳込み成形においては、前記スラリー状の混合粉体を前記鋳込み成形の成形型に流し込み、放置、脱型した後、50〜60℃の温度条件下で加熱乾燥又は自然乾燥して溶媒を除去することにより、規定寸法の支持部材(グリーン体)を得ることができる。
【0057】
以上のようにして得られる支持部材は、前記炭化ケイ素を含有し、所望によりその他の成分を含有してなる。
前記その他の成分としては、製造されるウエハ支持具の強度を向上させる観点から、炭素が好ましい。また、該炭素の前記支持部材における含有量としては、5〜30重量%が好ましく、10〜20重量%がより好ましい。
前記含有量が、5重量%未満の場合には、前記ウエハ支持具の強度が不十分となることがある一方、前記含有量が、30重量%を超える場合には、前記支持部材中の成分の純度が低下し、支持するウエハに不純物が転写してしまうことがある。
【0058】
(固定部材)
前記固定部材は、前記支持部材と同様の方法によって、炭化ケイ素粉末を、スラリー状の混合粉体とし、該混合粉体を成形して得られる。前記固定部材は、前記支持部材を固定する部材であり、炭化ケイ素を含有してなり、所望により、その他の成分を含有してなる。
前記その他の成分としても、前記支持部材と同様の成分が挙げられる。
【0059】
(仮焼)
前記仮焼は、後述のウエハ支持具構造物形成工程の前に行う必要がある。その理由としては、以下の通りである。
【0060】
先ず、前記支持部材及び前記固定部材は、仮焼前は、強度が低いため、接着材で接着する際等の取扱い時に破損してしまうことが多い。
また、接着材を塗布する接着部分においては、該接着材が支持部材及び固定部材に接触する面積を大きくして、接着部分の強度を向上するためには、前記支持部材の両末端に、開先加工を施工するのが好ましいが、前記仮焼前の支持部材は、強度が低いため、前記同様に、所望の形状に開先加工を行うことができず、支持部材が、破損してしまうことがある。
更に、前記開先加工を行わずに前記接着部の強度を向上させるためには、前記接着材によって接着部に肉盛りを形成させることが考えられるが、該接着部の寸法精度が悪くなるため、好ましくない。
一方、前記支持部材及び固定部材を接着材で接着してウエハ支持具構造物を形成する工程の前に、前記支持部材及び固定部材を仮焼する工程を設ければ、該仮焼工程によってある程度強度が高くなるため、後の開先加工や接着材での接着が容易となり、取扱い性に優れる。
【0061】
前記仮焼の温度としては、1200〜2400℃が好ましく、1600〜2000℃がより好ましい。
前記温度が、1200℃未満の場合には、グリーン体中の炭化ケイ素粉体同士の接触が十分に促進されず、接着強度が十分とならないため、取扱い性を向上させることができないことがある一方、2400℃を超える場合には、グリーン体中の炭化ケイ素粉体の粉体成長が著しくなり、後述の金属ケイ素の含浸が不十分となることがある。
【0062】
前記仮焼の際の昇温速度としては、800℃までは、1〜3℃/minが好ましく、800℃から最高温度までは、5〜8℃/minが好ましいが、前記グリーン体の形状、大きさ等を考慮して、適宜決定することができる。
【0063】
前記仮焼の最高保持時間としては、10〜120分が好ましく、20〜60分がより好ましいが、前記グリーン体の形状、大きさ等を考慮して適宜決定することができる。また、前記仮焼は、酸化防止の観点から、真空雰囲気又は不活性ガス雰囲気下で行うのが好ましい。
【0064】
前記仮焼は、真空炉、焙焼炉等の公知の装置を用いて行う。
【0065】
(開先加工工程)
前記開先加工工程は、仮焼した前記支持部材の両末端を開先加工する工程である。
前記開先加工においては、前記仮焼した後の十分な強度を有する支持部材を用いるため、容易に所望の形状にすることができる。例えば、開先基部から開先先端に向かって、前記支持部末端の径が、段階的に小さくなる形状のほか、連続的に小さくなる形状、例えば、図2(A)に示す円錐形や、図2(B)に示す円錐台形等が挙げられる。
前記開先加工においては、その開先角度が、50〜80度が好ましく、65〜75度がより好ましい。
前記開先角度が、80度を超える場合には、接着材の接着層の厚みが薄くなるため、接着強度が得られないことがある一方、50度未満の場合には、該接着剤を接着した後、乾燥する際に時間がかかり、実用性に劣ることがある。
また、前記開先深さは、前記支持部材の太さ等により異なるため、一概には、規定できないが、一般的には、5〜10mmが好ましい。
【0066】
前記開先加工の方法としては、特に制限はなく、機械加工、ガス加工、超音波レーザー加工等の公知の加工方法が好適に挙げられる。
【0067】
[ウエハ支持具構造物形成工程]
前記ウエハ支持具構造物形成工程は、開先加工した前記支持部材と前記固定部材とを炭化ケイ素を含有する接着材で接着してウエハ支持具構造物を形成する工程である。
【0068】
(接着材)
前記接着材は、炭化ケイ素を含有してなり、所望によりその他の成分を含有してなる。
該接着材としては、通常、前記支持部材又は前記固定部材の原料として用いた前記スラリー状の混合粉体と同じ成分を含有するスラリー状の混合粉体を用いるのが、ウエハ支持具全体の均一性の点で好ましい。
【0069】
また、前記接着材の各成分の含有量比としては、前記数値範囲内であれば、いずれも好適に用いることができるが、熱処理の際の熱応力の集中を低減させる点で、前記支持部材又は前記固定部材の原料として用いた前記スラリー状の混合粉体における各成分の含有量比と同じ含有量比が好ましい。
【0070】
前記その他の成分としては、特に制限はなく、例えば、接着強度の向上を目的として含有させる炭素や公知の結着樹脂等が挙げられる。
【0071】
前記接着材は、充填する際には、液体、固体の何れでもよいが、特に、ペースト状が好ましい。これらは、水分率を変えることによって、適宜調製することができる。
【0072】
(接着)
前記接着においては、前記接着材を、前記支持部材の両末端又は前記固定部材の少なくとも一方に充填し、前記支持部材と前記固定部材とを接着させる。
前記接着材を充填する部位としては、特に制限はなく、前記支持部材と前記固定部材との接着強度を向上させ得る部位であれば、好適に充填することができるが、前記支持部材の両末端において、前記開先加工によって削除した部位に充填するのが、特に好ましい。
【0073】
図3は、支持部材6の末端において、前記開先加工によって削除した部位に接着材5を充填した状態を示す断面概略説明図である。図3において、接着材5は、支持部材6の開先加工により削除された部位、即ち、円錐台形に開先加工された支持部材6の表面に充填され、支持部材6と固定部材7とを接着している。このように接着材5を充填させることによって、接着材5と前記支持部材6又は前記固定部材7との接触面積が大きくなるため、接着強度が向上する。また、接着材5を充填しても、肉盛りは形成されないため、接着部における寸法精度が向上する。
【0074】
前記接着材の充填方法としては、特に制限はなく、筆を用いて塗布・充填する等の公知の充填方法が好適に挙げられる。
【0075】
前記接着によって、前記ウエハ支持具の構造を有するウエハ支持具構造物を形成することができる。
【0076】
前記ウエハ支持具構造物形成工程の後には、該ウエハ支持具構造物を更に仮焼する工程を有するのが好ましい。前記ウエハ支持具構造物を更に仮焼することによって、より強度に富むウエハ支持具を製造することができる。
該仮焼の温度としては、1200〜2400℃が好ましく、1600〜2000℃がより好ましい。
前記温度が、1200℃未満の場合には、前記接着材を充填した部位における仮焼が不十分となり、前記ウエハ支持具の強度が低くなることがある一方、2400℃を超える場合には、炭化ケイ素粒が粒成長し、次工程である含浸工程において、金属ケイ素の含浸が不十分となることがある。
【0077】
前記仮焼の際の昇温速度としては、800℃までは、1〜3℃/minが好ましく、800℃から最高温度までは、5〜8℃/minが好ましいが、前記ウエハ支持具構造物形成工程の形状、大きさ等を考慮して、適宜決定することができる。
【0078】
前記仮焼の時間としては、10〜120分が好ましく、20〜60分がより好ましい。
前記時間が、10分未満の場合には、仮焼が不十分となるため、前記ウエハ支持具の強度を十分高くすることができなくなることがある一方、120分を超える場合には、前記炭化ケイ素粒が粒成長を起こすため、次工程である含浸工程において、金属ケイ素の含浸が不十分となることがある。
【0079】
前記仮焼の際には、真空炉、焙焼炉等の公知の装置を用いて焼結することができる。
【0080】
[含浸工程]
前記含浸工程は、前記ウエハ支持具構造物に金属ケイ素を含浸させる工程である。
【0081】
前記金属ケイ素は、高純度金属ケイ素(不純物の含有量が1ppm未満の金属ケイ素)であり、その融点以上の温度に加熱し、溶融させて、前記ウエハ支持具構造物に含浸させる。
【0082】
前記含浸によって、液状になった前記金属ケイ素が、毛細管現象等により前記ウエハ支持具構造物中に浸透し、該金属ケイ素とウエハ支持具構造物中の遊離炭素とが反応する。この反応によって、炭化ケイ素が生成し、前記ウエハ支持具構造物中の気孔等が、前記炭化ケイ素によって充填され、高密度かつ強固で、良好な導電性を有する前記本発明のウエハ支持具を得ることができる。
【0083】
前記加熱の温度としては、1450〜1700℃が好ましく、1550〜1650℃がより好ましい。
前記温度が、1450℃未満の場合には、前記金属ケイ素の粘性が上昇するため、該金属ケイ素が毛細管現象等により前記ウエハ支持具構造物中に浸透しないことがある一方、1700℃を超える場合には、前記金属ケイ素の蒸発が著しくなり炉体等に損傷を与えることがある。
【0084】
前記含浸の時間は、特に限定はなく、前記ウエハ支持具構造物の大きさや、該ウエハ支持具構造物中の遊離炭素の量により適宜決定することができる。
前記金属ケイ素としては、粉末、顆粒、塊状等の種々の形状が挙げられ、径が2〜5mmの塊状の金属ケイ素が好適に挙げられる。
【0085】
前記ウエハ支持具中の不純物元素の総含有量は、10ppm以下が好ましく、5ppm以下がより好ましい。但し、半導体工業分野への適用の観点からは、これらの化学的な分析による不純物含有量は参考値としての意味を有するに過ぎない。実用的には、不純物が均一に分布しているか、局所的に偏在しているかによっても、評価が異なり、一般的に、実用装置を用いて所定の加熱条件の下で、前記ウエハ支持具が、どの程度不純物元素によって汚染されるかを種々の手段により評価することができる。
【0086】
[その他の工程]
前記その他の工程としては、前記支持部材にウエハを載置するウエハ載置部を形成する工程等が挙げられる。
前記ウエハ載置部は、高い寸法精度が要求されるため、前記ウエハ載置部を形成する工程は、前記仮焼工程の後に有するのが好ましい。
尚、ウエハ支持具の上下端部近傍に、ダミーウエハ又は断熱板の載置部を設ける場合には、前記ウエハ載置部と、前記ダミーウエハ又は断熱板の載置部とは、幅や寸法精度が異なってもよい。前記ウエハ載置部は、高い寸法精度が要求されるため、前記仮焼工程の後に機械加工によって形成するのが好ましいが、前記ダミーウエハや断熱板の載置部は、高い寸法精度は要求されないため、前記仮焼工程の前後の何れに形成してもよい。
【0087】
また、前記その他の工程としては、加工、研磨、洗浄等の処理工程等が挙げられる。
【0088】
前記本発明のウエハ支持具の製造方法に用いる製造装置としては、前記本発明の加熱条件を満たしうるものであれば、特に制限はなく、公知の加熱炉内や反応装置等が挙げられる。
【0089】
前記本発明のウエハ支持具の製造方法は、接着の際の取扱い性及び製造効率に優れる。また、得られるウエハ支持具は、前述のように、強度、寸法精度等に優れる。
【0090】
また、前記本発明のウエハ支持具の製造方法によれば、得られるウエハ支持具中の不純物元素の総含有量を10ppm以下にすることができる。
なお、ここで、不純物元素とは、1989年IUPAC無機化学命名法改訂版の周期律表における1族から16族元素に属し、かつ、原子番号が、6〜8及び14を除く3以上の元素をいう。
【0091】
また、前記ウエハ支持具の製造方法によれば、得られるウエハ支持具は、密度が2.9g/cm3以上の高密度品となり、導電性を発現する多結晶半導体となる傾向がある。即ち、電気伝導に寄与する伝導電子は、粒界を挟んで炭化ケイ素結晶間を流れるため、粒界相と炭化ケイ素との接合部も導電性の発現に重要である。
【0092】
また、前記ウエハ支持具は、所望により窒素を150ppm以上固溶状態で含有させれば、粒界に生じる空間電荷層のバリアが約0.15eV以下となるため、良導電性が達成される。このときの前記ウエハ支持具の体積抵抗率は100Ω・cmを示す。前記窒素の含有量を200ppm以上にすると、粒界の空間電荷層のバリアが0.026eV以下となり、常温(300K)でもこのバリアを熱励起で飛び越えることができ熱励起伝導を発現するのみならず、トンネル伝導も起こる。
【0093】
さらに、前記本発明のウエハ支持具の製造方法で得られるウエハ支持具は、高い曲げ強度を有する。一般の炭化ケイ素焼結体からなるウエハ支持具の曲げ強度は、室温における曲げ強度240MPa以上、1500℃における曲げ強度55.0〜80.0MPaであるが、本発明のウエハ支持具の製造方法で得られるウエハ支持具の曲げ強度は、室温における曲げ強度で300MPa以上である。
【0094】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0095】
[実施例1]
(支持部材及び固定部材の作製)
炭化ケイ素粉末として、中心粒径0.8μmの高純度炭化ケイ素粉末(特開平9−48605号に記載の製造方法に準じて製造された不純物含有量5ppm以下の炭化珪素:1.5重量%のシリカを含有)3400gと、炭素源からなる有機物質としてカーボンブラック(新日化製「#SL200」)600gとを、解膠剤としてポリアクリル酸アンモニウム44gを溶解した水600gに添加し、16時間ボールミルにて分散混合した後、粉体粘着剤として水溶性ポリウレタン(三洋化成製「ユーコート」)120gと、シリコーン消泡剤(信越化学(株)製「KM72A」)3.4gを添加し、さらに10分間ボールミルで分散混合し、粘度1.8ポイズのスラリ−状の混合粉体を製造した。
【0096】
得られたスラリ−状の混合粉体を、支持部材の鋳型である、800mm×φ20mmサイズの石膏モールド4基、及び、固定部材の鋳型である、φ(200mm−160mm)×15tmmサイズの石膏モールド2基に鋳込み、6時間放置した後、脱型し、12時間乾燥(50℃)させて、遊離炭素を含む支持部材及び固定部材(グリーン体)を作製した。
【0097】
(仮焼工程)
得られた支持部材及び固定部材(グリーン体)を、1600℃で1時間仮焼(昇温は800℃まで1℃/min、1600℃まで5℃/min、雰囲気は真空である。)した後、10分間保持して、仮焼した支持部材及び固定部材を得た。
【0098】
(開先加工工程)
前記仮焼した支持部材の両端を、図2(B)に示す円錐台形となるように、削り落とし、開先加工を行った。該開先加工は、ハンド研磨器を用いて行い、前記仮焼した支持部材の末端から10mmの位置から、末端へ向かって、開先角度70度で削り落とした。
【0099】
(ウエハ支持具構造物形成工程)
前記両末端を開先加工した支持部材、及び、前記固定部材を、前記支持部材及び固定部材の作製において得られた、スラリ−状の混合粉体(接着材)で接着した後、室温(25℃)下で24時間放置後、60℃で300分間乾燥させ、ウエハ支持具構造物を得た。
【0100】
(含浸工程)
得られたウエハ支持具構造物を、内径60mm、高さ80mmのカーボンるつぼ内で、アルゴン雰囲気下で1550℃まで昇温して溶融させた2〜5mmの塊の高純度金属シリコン(高純度化学研究所製)に浸漬し、30分保持することにより、ウエハ支持具構造物中の遊離炭素と毛細管現象により該ウエハ支持具構造物中に浸透した溶融金属シリコンとを反応させ、本発明のウエハ支持具を得た。
【0101】
[実施例2]
実施例1のウエハ支持具構造物形成工程において、得られたウエハ支持具構造物を、1800℃で1.0時間焼成(昇温は800℃まで1℃/min、1800℃まで5℃/min、雰囲気は真空である。)し、20分間保持することによって、ウエハ支持具構造物をさらに、仮焼した外は、実施例1と同様にしてウエハ支持具を作製した。
【0102】
[実施例3]
実施例1の支持部材及び固定部材の作製において、カーボンブラック(新日化製「#SL200」)の添加量を400gに代えた外は、実施例1と同様にして、ウエハ支持具を作製した。
【0103】
実施例1〜3では、接着の際の取扱い性及び製造効率に優れていた。また、得られたそれぞれのウエハ支持具は、強度、寸法精度等に優れていた。
【0104】
[比較例1]
実施例1において、仮焼工程を設けなかった外は、実施例1と同様にしてウエハ支持具を作製した。
【0105】
[比較例2]
実施例1において、開先加工工程を設けなかった外は、実施例1と同様にしてウエハ支持具を作製した。
【0106】
比較例1では、仮焼工程を設けることなく、支持部材の両末端に開先加工を行ったため、開先加工の際に該支持部材に破損が生じ、所望の形状に開先加工することができなかった。また、得られたウエハ支持具の寸法精度が悪かった。
比較例2では、開先加工工程を設けることなく、支持部材と固定部材とを接着したため、接着材と、支持部材・固定部材との接着面積が低く、実施例と比べて、得られたウエハ支持具の接着強度が低かった。また、接着材を充填した部位に、肉盛りが形成され、寸法精度が悪かった。
【0107】
【発明の効果】
本発明によれば、接着の際の取扱い性及び製造効率に優れるウエハ支持具の製造方法、及び該製造方法によって製造され、強度、寸法精度等に優れるウエハ支持具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、ウエハ支持具の一例を示す概略説明図である。
【図2】図2(A)及び(B)は、開先加工の一例を示す概略説明図である。
【図3】図3は、支持部材の削除部分に接着材を充填した一例を示す概略説明図である。
【符号の説明】
1:ウエハ支持具
2a、2b、2c、2d:支持部
3a、3b:固定部
4a、4b、4c、4d:接着部
5:接着材
6:支持部材
7:固定部材
Claims (5)
- 炭化ケイ素を含有してなり、ウエハを支持する支持部材のグリーン体と、炭化ケイ素を含有してなり、該支持部材を固定する面が平面である固定部材のグリーン体をそれぞれ成形し、支持部材のグリーン体と固定部材のグリーン体を仮焼し、仮焼した該支持部材の両末端を開先加工し、開先加工した該支持部材と前記仮焼した固定部材の平面とを、支持部材の開先加工によって削除した部位に、炭化ケイ素を含有する接着材を肉盛りが形成されないように充填することにより接着してウエハ支持具構造物を形成し、該ウエハ支持具構造物に金属ケイ素を含浸させることを特徴とするウエハ支持具の製造方法。
- 金属ケイ素を含浸させる前に、ウエハ支持具構造物を仮焼する請求項1に記載のウエハ支持具の製造方法。
- 支持部材及び固定部材が、更に炭素を含有する請求項1又は2に記載のウエハ支持具の製造方法。
- 固定部材のグリーン体と支持部材のグリーン体が窒素を含む有機物質をさらに含有する請求項1から3のいずれかに記載のウエハ支持具の製造方法。
- 請求項1から4のいずれかに記載のウエハ支持具の製造方法によって製造されることを特徴とするウエハ支持具。
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