JP4470265B2 - 絞り成形方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、メッキ鋼板等の金属板を角部および稜線部を有する箱状体に絞り成形する絞り成形方に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
最近、電子レンジのとびら枠やテレビ受像機の前面枠等の家電製品等の材料として環境問題からリサイクルし易いメッキ鋼板等の金属板が樹脂材料に代って使用されるようになってきている。
【0003】
従来、メッキ鋼板等の金属板を、図4(a)の絞り成形品の斜視図および図4(b)の同一部拡大斜視図に示すように、絞り成形方法により厚さtの1枚の金属板1を、底面2と外周側面3とよりなり、R(アール)=tである角部4および稜線部5を有する箱状体に絞り成形するには、図5の従来の絞り金型の側断面図に示すように、上型ホルダー6に絞りポンチ7を固定し、その絞りポンチ7内を摺動可能に、吊ボルト8で上型ホルダー6から吊され、上バネ9により常に下方に付勢されたパッド10を設けた上側金型と、下型ホルダー11に前記絞りポンチ7と対応する絞りダイ12を固定し、その絞りダイ12の外周を摺動可能で、下バネ13により常に上方に付勢されたパッド14を設けた下側金型とよりなる絞り金型により、まず、上下金型が開いた状態を示す図5の左側半分に示すように、金属板1を下側金型の絞りダイ12とパッド14の上に載置し、次に、上側金型が下死点に達した状態を示す図5の右半分に示すように、上型ホルダー6が下降してパッド10と下側金型の絞りダイ12との間に金属板1を上バネ9の付勢力により挟持し、上型ホルダー6が更に下降すると、上側金型の絞りポンチ7が下側金型のパッド14に当接して下バネ13の反発力に抗してパッド14を絞りダイ12の外周に沿って下降させ、上側金型の絞りポンチ7と下側金型の絞りダイ12との間で金属板1を箱状体に絞り成形するものである。
【0004】
上記従来の絞り成形の工程は図6(a)の絞り工程上面図と、(b)の絞り工程側面図に示すように、まず、金属板1を第1絞りポンチで絞り可能な大きさのR1(アール)で外周側面3を絞る第1絞り工程の後、第1絞りポンチと相似形の第2絞りポンチで外周側面3をしごきながらR1を順次小さく成形し、最終の目的とするR2(アール)に絞る第2絞り工程を行っていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の絞り成形方により、金属板を、角部および稜線部を目的とするR(アール)で箱状体に絞るためには、外周側面を何回もしごきながら絞り成形をするため、金属板の外周側面が荒れて傷が付き、特にメッキ鋼板のようにメッキを施した金属板の場合は、メッキが剥がれ、その粉が金型に付き、次の製品を傷付けるという問題を有していた。
【0006】
本発明は上記の課題を解決するもので、箱状体の角部および稜線部を目的とするR(アール)で絞り成形しても、絞った外周側面が荒れて傷が付くことがなく、メッキ鋼板のようにメッキを施した金属板の場合、メッキが剥がれて金型に付着するということもない絞り成形方を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明は、金属板を、角部および稜線部を有する箱状体に絞り成形をする絞り成形方法であって、第1工程で、角部と稜線部とのなす角度が5度以内で、かつ、前記角部を前記金属板が絞り可能な大きさのR(アール)となるように、金属板を箱状体に絞り成形し、第2工程で、前記第1工程で絞り成形した前記箱状体を、最終製品としての箱状体のR(アール)に合わせたダイにかぶせて、前記箱状体の外周側面を、V状ポンチでたたき、前記箱状体の外周側面の前記角部のR(アール)を小さくして、前記角部のR(アール)を最終製品の目的とするR(アール)に成形する絞り成形方法である。
【0008】
これにより、絞り成形した箱状体の外周側面が荒れて傷が付いたり、箱状体を構成する金属板がメッキ鋼板等の場合にもメッキが剥がれて金型に付着するということがないものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、金属板を、角部および稜線部を有する箱状体に絞り成形をする絞り成形方法であって、第1工程で、角部と稜線部とのなす角度が5度以内で、かつ、前記角部を前記金属板が絞り可能な大きさのR(アール)となるように、金属板を箱状体に絞り成形し、第2工程で、前記第1工程で絞り成形した前記箱状体を、最終製品としての箱状体のR(アール)に合わせたダイにかぶせて、前記箱状体の外周側面を、V状ポンチでたたき、前記箱状体の外周側面の前記角部のR(アール)を小さくして、前記角部のR(アール)を最終製品の目的とするR(アール)に成形する絞り成形方法であり、第1工程で、角部と稜線部とのなす角度が5度以内になるように、金属板を箱状体に絞り成形することにより、第2工程でポンチにより箱状体の外周側面をたたいた場合、金属板の肉が余ることがなく、角部にしわができず、きれいなR(アール)が得られるというという作用を有する。
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0011】
(実施の形態)
図1は本発明の実施の形態における絞り成形方法に使用する成形金型の平面図、図2は同側面図であり、15は、前記図5の絞り金型による第1工程で、絞り可能な大きさのR(アール)、すなわち、絞り成形する金属板16の厚さtの3倍以上のR(アール)≧3tで金属板16を絞り成形した箱状体の角部、17は、第2工程で、前記第1工程において絞り成形した箱状体の角部15を、最終製品としての箱状体の角部18のR(アール)であるR(アール)=tに成形するために使用するV状ポンチ、19は前記V状ポンチ17に対応し、最終製品としての箱状体の角部18のR(アール)=tに合わせたダイであり、第1工程で絞り可能な大きさのR(アール)≧3tで絞り成形された箱状体をダイ19にかぶせて箱状体の外周側面20をV状ポンチ17でたたくことにより、R(アール)≧3tから最終製品の角部18のR(アール)に成形するものである。
【0012】
図3は上記実施の形態における絞り成形方法で絞り成形される箱状体の成形工程図で、(a)は成形工程を平面から説明するものであり、(b)は成形工程を側面から説明するものであり、前記図5の絞り金型による第1工程で、絞り可能な大きさのR(アール)、すなわち、絞り成形する金属板16の厚さtの3倍以上のR(アール)≧3tで、かつ、そのR(アール)≧3tの角部15と稜線部21とのなす角度が5度以内になるように、金属板16を箱状体に絞り成形し、第2工程で、図1,図2におけるV状ポンチ17により箱状体の角部15の外周側面20をたたき、R(アール)≧3tから最終製品の角部18のR(アール)に成形するものである。
【0013】
なお、第1工程で箱状体の角部15をR(アール)≧3tにするのは、絞り金型により金属板16を1度で絞る場合、角部15が破れないようにする限度であり、3tより小さなR(アール)で絞ると角部15が破れる恐れがあるためである。最近のように金属材料が改善されるまでは、R(アール)≧(4〜6)tであった(日刊工業新聞社発行「プレス絞り加工」橋本明著第32頁他参照)。
【0014】
また、第1工程で箱状体の角部15と稜線部21とのなす角度を5度以内にするのは、角度を5度以上にすると角部15が出っ張りすぎてしまい、第2工程でV状ポンチ17により角部15の外周側面20をたたいて目的とする角部18に成形する場合、金属板16の肉が余り、角部18にしわができ、きれいなR(アール)が得られないという問題があるからである。
【0015】
また、本実施の形態では絞り成形方法を箱状体の角部15,18に適用した例で説明したが、箱状体の稜線部21に適用しても同様の効果があることはいうまでもない。
【0016】
以上のように、本実施の形態における絞り成形方法は、金属板16を角部15,18および稜線部21を有する箱状体に絞り成形をする場合、第1工程で、角部15および稜線部21を絞り可能なR(アール)≧3tで、かつ、角部15と稜線部21とのなす角度を5度以内に絞った後、第2工程でV状ポンチ17により箱状体の外周側面20をたたきR(アール)=tの角部18および稜線部21とするものであり、第2工程で箱状体の外周側面20をしごくものではないので、外周側面20が荒れて傷付くことがなく、金属板16がメッキ鋼板の場合でもメッキが剥がれて金型に付着するということがないものである。
【0017】
【発明の効果】
以上のように、本発明の絞り成形方によれば、金属板を絞り成形して形成した箱状体の角部および稜線部を目的とするR(アール)にする場合に、箱状体の外周側面が荒れて傷が付くことがなく、箱状体を構成する金属板がメッキ鋼板等の場合にもメッキが剥がれて金型に付着するということがないという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における絞り成形方法に使用する成形金型の平面図
【図2】本発明の実施の形態における絞り成形方法に使用する成形金型の側面図
【図3】本発明の実施の形態における絞り成形方法で絞り成形される箱状体の成形工程図
【図4】(a)絞り成形品の斜視図(b)(a)の一部拡大斜視図
【図5】従来の絞り金型の側断面図
【図6】(a)従来の絞り工程上面図(b)従来の絞り工程側面図
【符号の説明】
1,16 金属板
2 底面
3,20 外周側面
4,15,18 角部
5,21 稜線部
6 上型ホルダー
7 絞りポンチ
8 吊ボルト
9 上バネ
10,14 パッド
11 下型ホルダー
12 絞りダイ
13 下バネ
17 V状ポンチ
19 ダイ

Claims (1)

  1. 金属板を、角部および稜線部を有する箱状体に絞り成形をする絞り成形方法であって、第1工程で、角部と稜線部とのなす角度が5度以内で、かつ、前記角部を前記金属板が絞り可能な大きさのR(アール)となるように、金属板を箱状体に絞り成形し、第2工程で、前記第1工程で絞り成形した前記箱状体を、最終製品としての箱状体のR(アール)に合わせたダイにかぶせて、前記箱状体の外周側面を、V状ポンチでたたき、前記箱状体の外周側面の前記角部のR(アール)を小さくして、前記角部のR(アール)を最終製品の目的とするR(アール)に成形する絞り成形方法。
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