JP4469130B2 - テンショナ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車用エンジンのベルト式補機駆動装置に使用されるオートテンショナなど、伝動ベルトに張力を付与するようにしたテンショナに関し、特にコンパクト化に伴う軸部の引張応力低減化対策に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、自動車用エンジンのベルト式補機駆動装置には、伝動ベルトを押圧して該ベルトに張力を付与しつつ、その張力変動に応じてベルトに対する押圧作動を自動的に変化させるようにしたオートテンショナが使用されていることは知られている。
【0003】
ここで、従来のオートテンショナの構成を、図7に基づいて説明すると、自動車用エンジンに固定される固定部材aには、複数(図示する例では、3つ)の取付部b,b,…が設けられており、固定部材aには、軸部cが片持ち状に設けられている。この軸部cは、成型上の理由から中空状に形成されている。また、軸部c上には、ダンピング部材の1つである略円筒状のインサートベアリングdを介して、回動部材eのボス部fが回動可能に外嵌合されている。回動部材eには、テンションプーリgが取り付けられており、この回動部材eは、捻りコイルばねhの捻りトルクにより、テンションプーリgが伝動ベルト(図示せず)を押圧する回動方向に常時付勢されている。また、回動部材eのボス部fと捻りコイルばねhとの間には、ダンピング部材の1つであるスプリングサポートiが配置されている。このスプリングサポートiは、捻りコイルばねhの捻りトルクの反力でもってボス部fに押し付けられており、このことで、ボス部fもインサートベアリングdに押し付けられている。
【0004】
そして、回動部材eの回動に伴い、スプリングサポートiとボス部fとの間、およびボス部fとインサートベアリングdとの間にそれぞれ摺動摩擦が発生し、この摺動摩擦により回動部材eの回動がダンピングされるようになっている。その際に、捻りコイルばねhの捻りトルクが回動部材eの回動方向ないし回動位置などに応じて変化することから、それらに応じてダンピング力も自動的に変化するようになっている。
【0005】
ところで、近年では、補機の数の増加などにより、エンジンルーム内のスペース効率を一段と高める必要があり、このことから、上記のオートテンショナに対し、一層のコンパクト化が求められている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のオートテンショナでは、コンパクト化を図るべく、固定部材aの軸部cを小径化すると、軸部cの根元部分に大きな引張応力が発生して破損する虞れがあり、このために、軸部cの小径化を伴うようなコンパクト化は困難であるという問題がある。
【0007】
本発明は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、固定体に固定される固定部材が片持ち状に保持する軸部に回動可能に支持された回動部材をベルト押圧部が伝動ベルトを押圧する回動方向に常時付勢するようにしたオートテンショナなどのテンショナにおいて、軸部に発生する軸方向の引張応力を低減できるようにすることで、小径化による軸部の破損を回避できるようにし、もって、軸部の小径化を伴うコンパクト化が図れるようにすることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成すべく、本発明では、ボルトなどを用いて、軸部を軸方向に圧縮するようにし、このことで、軸部の根元部分に発生する軸方向の引張応力を低減するようにした。
【0009】
具体的には、請求項1の発明では、固定体に取り付けられるように設けられた取付部を有するとともに、軸部を有していて、取付部において固定体に固定される固定部材と、この固定部材の軸部上に回動可能に外嵌合されたボス部を有するとともに、ベルト押圧部を有していて、ボス部において固定部材により回動可能に支持された回動部材と、これら固定部材と回動部材との間に介装されていて、固定部材に対し回動部材を上記ベルト押圧部が伝動ベルトを押圧するように回動する方向に常時付勢する付勢手段とを備えたテンショナに対し、固定部材の軸部における根元部分に軸方向の圧縮応力が発生するように該根元部分を軸方向において圧縮する圧縮手段を備える。その際に、上記の固定部材は、軸部における根元部分を含む軸方向の部位に軸方向に延びるように設けられたボルト挿通孔と、このボルト挿通孔における軸方向の先端側に設けられたボルト螺合部および軸方向の根元部分側に設けられたボルト座面とを有するものとする。そして、上記の圧縮手段は、ボルト座面に着座したボルト頭部と、ボルト挿通孔に挿通されてボルト頭部との間で軸部の根元部分を軸方向に圧縮するようにボルト螺合部に螺合したボルト軸部とを有してなる圧縮ボルトとされているものとする。
【0010】
上記の構成において、固定体に固定される固定部材の軸部に支持された回動部材をベルト押圧部が伝動ベルトを押圧する回動方向に付勢手段にて常時付勢するようにしたテンショナでは、ベルト押圧部に加わる伝動ベルトの反力などにより軸部に軸方向の引張応力が発生する。このとき、ボルト座面にボルト頭部を着座させるように、固定部材の軸部におけるボルト挿通孔に挿通されたボルト軸部がボルト螺合部に螺合することにより、ボルト頭部とボルト軸部のボルト螺合部との螺合部分とでもって軸部の根元部分は軸方向に圧縮されるようになる。こうして軸部の根元部分が圧縮手段により軸方向に圧縮されることで、その根元部分には軸方向の圧縮応力が発生するので、この圧縮応力により上記の引張応力は低減されることとなる。これにより、軸部の根元部分に発生する軸方向の引張応力による軸部の破損が抑えられるようになり、よって、軸部の小径化を伴うようなテンショナのコンパクト化に寄与できることとなる。
【0011】
請求項2の発明では、請求項1の発明において、固定部材の軸部と、回動部材のベルト押圧部とが、軸方向において互いに重なるように設けられている場合に、ボルト座面は、軸部の軸方向におけるベルト押圧部とは反対の側に配置されているものとする。
【0012】
上記の構成において、圧縮ボルトは、ボルト挿通孔に対し、軸部の軸方向におけるベルト押圧部とは反対の側から挿通されることで、ボルト頭部がボルト座面に着座することになる。よって、固定部材の軸部と、回動部材のベルト押圧部とが軸方向において互いに重なる場合に、ベルト押圧部の干渉を受けることなく、軸部に対する圧縮ボルトの装着が行えるようになる。
【0013】
請求項3の発明では、請求項2の発明において、ボルト座面は、該ボルト座面に着座したボルト頭部がボルト座面周りの部位表面から突出しないように凹設されているものとする。
【0014】
上記の構成において、ボルト座面に着座したボルト頭部は、ボルト座面周りの部位表面から突出しないように収容されるので、例えば、固定体における固定部材の被固定面が平面に形成されていて、固定部材における固定体への固定面が上記被固定面に面接触する平面に形成されている場合に、ボルト頭部が邪魔になるという事態は回避される。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0016】
(実施形態1)
図1および図2は、本発明の実施形態1に係るオートテンショナの全体構成を示しており、このオートテンショナは、図3に示すように、固定体としての自動車用エンジン1のクランク軸1aに連結された駆動プーリ1bと、複数の補機2(図示する例では、1つの補機2のみ示している)の入力軸2aに連結された従動プーリ2bとの間に1本の伝動ベルト3を掛け渡してなるベルト式補機駆動装置において、伝動ベルト3の張力を一定に維持するように自動車用エンジン1に取り付けて使用される。
【0017】
このオートテンショナは、自動車用エンジン1にボルト止めにより固定される固定部材10と、この固定部材10によりクランク軸の回転軸心に平行な軸心回りに回動可能に支持された回動部材30と、これら固定部材10および回動部材30間に介装されていて、固定部材10に対し回動部材30をベルト押圧方向(図3の時計回り方向)に常時付勢する付勢手段としての捻りコイルばね60とを備えている。一方、自動車用エンジン1の一側(図3の右側)には、それぞれ、側方(同図の右方)に向かって延びる3本の棒状ステー4,4,…が設けられており、各棒状ステー4の先端面には、ボルト螺合穴が設けられている。
【0018】
上記の固定部材10は、クランク軸1aの回転軸心に沿って延びるように配置される軸部11と、この軸部11の大半を覆うように設けられた有底筒状のカップ部12とを有する。具体的には、このオートテンショナは、従来のオートテンショナに比べると平面形状(図3に示す形状)においてコンパクト化されており、これに伴い、軸部11は、従来のオートテンショナの場合よりも小径にされている。また、カップ部12は、軸部11の一端側部分(図1および図2の下端側部分。以下、根元部分という)の外周に半径方向に突出するように周設された厚肉のフランジ部13と、このフランジ部13の周縁上に軸部11を取り囲むように立設された周壁14とからなる。カップ部12の外周には、3つの取付部15が設けられている。各取付部15には、それぞれ、該取付部15を軸部11の延びる方向に対し略直交する方向(図3の左右方向)に貫通するボルト孔16が設けられている。これら3つのボルト孔16,16,…は、それぞれ、自動車用エンジン1の棒状ステー4,4,…の3つのボルト螺合穴に合致するように配置されている。また、周壁14における周方向の一部には、該周壁14の内周側部位を除去した状態の固定側係止部17が設けられている。
【0019】
上記軸部11は、根元部分から他端(図1および図2の上端。以下、先端という)に向かって外径が漸次小さくなる断面テーパ状に形成されており、このテーパ状の外周には、略軸方向に延びるキー溝18が設けられている。軸部11上には、樹脂材からなる略円筒状のインサートベアリング20が先端側から外嵌合されている。インサートベアリング20の内周は、軸部11の外周の場合と略同じテーパ角度の断面テーパ状に形成されている。この内周には、略軸方向に延びるキー部21が設けられていて、このキー部21は軸部11の上記キー溝18内に係入しており、このことで、軸部11に対するインサートベアリング20の回り止めがなされている。インサートベアリング20の外周は、内周の場合と略同じテーパ角度の断面テーパ状に形成されている。また、軸部11の上端部には、略円板状のフロントプレート22が軸方向に直交するように配置されて回動不能に取り付けられている。
【0020】
一方、上記の回動部材30は、固定部材10の軸部11上にインサートベアリング20を介して外嵌合された略円筒状のボス部31と、このボス部31の軸方向上端部の外周に半径方向外方に向かって突出するように周設されたフランジ部32と、このフランジ部32の周縁にボス部31を取り囲みかつ固定部材10の周壁14に対向する状態に立設された周壁33と、フランジ部32の外周に半径方向外方に向かって延びるように設けられたアーム部34とを有してなる。また、周壁33におけるフランジ部32の近傍部位には、該周壁33を半径方向に貫通する回動側係止部35が設けられている。
【0021】
上記回動部材30のボス部31は、インサートベアリング20の外周の場合と略同じテーパ角度の断面テーパ状に形成されており、これにより、回動部材30の回動時にボス部31の内周面がインサートベアリング20の外周面に摺接するようになっている。また、固定部材10の軸部11は、回動部材30のボス部31を貫通していて、ボス部31の上面側に上記のフロントプレート22が位置しており、このことで、ボス部31の抜け止めがなされている。
【0022】
上記回動部材30におけるフランジ部32の上面には、断面円形状に凹設されてなる円形凹部36が回動軸心に対し同心状に配置されており、フロントプレート22は、この円形凹部36内に収容されている。その際に、円形凹部36の底面とフロントプレート22との間には、円板状をなす樹脂製のスラストワッシャ37が介装されている。
【0023】
上記回動部材30のアーム部34の先端には、回動軸心に平行に延びるボルト取付孔38が設けられている。ボルト取付孔38には、雌ねじが螺設されていて、ボルト39の軸部が螺着されており、このボルト39により、内輪および外輪を有してなるベアリング40の上記内輪がアーム部34に固定されている。そして、ベアリング40の外輪には、ベルト押圧部としてのテンションプーリ41が回転一体に外嵌合されている。また、ベアリング40とボルト39の頭部との間には、ベアリング40内にダストが侵入するのを防止するように円板状のダストシールド42が配置されている。尚、オートテンショナがコンパクト化されたものであることに伴い、回動部材30の回動軸心と、テンションプーリ41の回転軸心との間の寸法(アーム長さ)は、テンションプーリ41の一部が固定部材10の軸部11に軸方向において重なる程度に小さくされている。
【0024】
上記回動部材30のボス部31周りには、樹脂材からなるスプリングサポート50が配置されている。このスプリングサポート50は、略円筒状をなしていてボス部31上に外嵌合された円筒部51と、この円筒部51の下端部外周に半径方向外方に向かって突出するように周設された鍔部52とを有する。円筒部51の内周は、ボス部31の外周と略同じテーパ角度を持つ断面テーパ状に形成されていて、回動部材30の回動時に、該ボス部31の外周面に摺接するようになっている。鍔部52は、固定部材10のフランジ部13上に載置されている。
【0025】
上記スプリングサポート50の鍔部52上には、固定部材10に対し回動部材30をベルト押圧方向に常時付勢する捻りコイルばね60が配置されている。この捻りコイルばね60のコイル部61は、右ねじの方向に巻かれていて、スプリングサポート50の円筒部51および回動部材30のボス部31に対し遊嵌状態に配置されている。捻りコイルばね60の固定側および回動側の2つのタング62,63は、それぞれコイル部61から半径方向外方に向かって突出するように設けられており、固定側タング62は固定部材10の固定側係止部17に、また回動側タング63は回動部材30の回動側係止部35にそれぞれ周方向において係止されている。尚、鍔部52上には、コイル部61のコイル端を周方向の複数箇所において支承するように複数の支承部53,53,…が設けられており、また、回動部材30のフランジ部32の内面は、コイル部61のコイル端が巻き方向の略全体に亘って圧接するように螺旋状に形成されている。
【0026】
この捻りコイルばね60は、コイル部61が縮径する方向に捻られて固定部材10および回動部材30間に介装されており、このことで、コイル部61が拡径する方向の捻りトルクでもって回動部材30を回動付勢するとともに、その捻りトルクの反力でもってコイル部61における周方向の部位(例えば、固定側タングからコイル部61の巻き方向に略90°の部位)がスプリングサポート50の円筒部51を半径方向内方に押圧し、この押圧された円筒部51の部位とインサートベアリング20との間に回動部材30のボス部31を挟圧しており、これにより、回動部材30の回動に伴い、ボス部31とインサートベアリング20および円筒部51との各間にそれぞれ摺動摩擦が生じ、この摺動摩擦が抵抗となって回動部材30の回動をダンピングするようになっている。
【0027】
その際に、捻りトルクの反力が回動部材30の回動方向および回動位置などにより変化することから、回動部材30の回動に対するダンピング力は、その回動方向および回動位置などに応じて自動的に変化(一般には、ダンピング力はベルト押圧方向の回動時には小さく、反ベルト押圧方向の回動時には大きくなる)するようになっている。尚、コイル部61における回動側タング63側のコイル端では、該回動側タングから同じくコイル部61の巻き方向に略90°の部位が回動部材30のボス部31に当接している。また、捻りコイルばね60は、コイル部61が軸方向に圧縮された状態に固定部材10および回動部材30間に介装されており、このことで、回動部材30が円形凹部36の底面をスラストワッシャ37に圧接させるように押圧している。
【0028】
そして、本実施形態では、固定部材10の軸部11における根元部分に軸方向の圧縮応力が発生するように該根元部分を軸方向に圧縮する圧縮ボルト70が備えられている。
【0029】
具体的には、軸部11の軸心部分には、該軸部11を軸方向に貫通する貫通孔80が設けられており、この貫通孔80の根元部分は、拡径されてボルト挿通孔81とされている。また、貫通孔80おけるボルト挿通孔81の先端側の部分は、雌ねじが螺設されてなるボルト螺合部82とされている。一方、ボルト挿通孔81の根元部分側の開口縁は、ボルト座面83とされている。
【0030】
上記の圧縮ボルト70は、ボルト挿通孔81に対し挿通不能なボルト頭部71と、ボルト挿通孔81に挿通可能でかつボルト螺合部82の雌ねじに螺合可能な雄ねじの形成されたボルト軸部72とからなっている。そして、ボルト頭部71がワッシャ73を介してボルト座面83に着座するようにボルト軸部72がボルト挿通孔81に挿通されてボルト螺合部82に螺合しており、このことでボルト頭部71と、ボルト軸部72のボルト螺合部82との間でもって軸部11の根元部分を軸方向に圧縮するようになされている。
【0031】
ここで、上記のように構成されたオートテンショナにおける軸部11の根元部分に発生する応力の大きさを測定するようにした発生応力テストについて説明する。
【0032】
テストの要領としては、図4に示すように、固定部材10における軸部11およびフランジ部13のみからなる発明例のテストピースPを作成し、このテストピースPをフランジ部13において支持部材90に複数本のボルト91,91,…により固定するとともに、軸部11における根元部分T1およびキー溝端近傍部分T2の2箇所と、その略中間部分T3の1箇所とにそれぞれ歪みゲージ(図示せず)を貼り付けておき、その上で、軸部11におけるキー溝18の部分に対し、実際のベルト式補機駆動装置において作用すると考えられる最大の荷重を軸部11に直交する方向(同図の上下方向)に加えて、上記3箇所の部分T1〜T3の各発生応力をそれぞれ測定するようにした。
【0033】
また、もう1つのテストピースPとして、圧縮ボルト70の装着されていない従来のものを比較例として作成し、この比較例のテストピースPに対しても、発明例の場合と同じテストを行った。軸部11の外径など、圧縮ボルト70の有無以外の点では、発明例と比較例とは互いに略同じである。以上の結果を、図5に併せて示す。尚、同図の縦軸は軸方向における引張応力であり、したがって、「+」は引張応力を、また、「−」はマイナスの引張応力、つまり、圧縮応力を示す。
【0034】
図5から判るように、比較例の場合には、3箇所共、引張応力が発生しており、その引張応力の大きさは、キー溝端近傍部分T2,中間部分T3,根元部分T1の順に大きくなっている。一方、発明例の場合でも、引張応力の大きさとしては、キー溝端近傍部分T2,中間部分T3,根元部分T1の順に大きくなっているが、その大きさは、比較例の場合に最も小さかったキー溝端近傍部分T2の引張応力よりも小さい。そして、根元部分T1の引張応力は、比較例の場合のキー溝端近傍部分T3よりも小さいことが判る。
【0035】
次に、発明例のテストピースPについて、上記の荷重を加えない場合の発生応力を測定した。この場合には、3箇所の部分T1〜T3の全てで、圧縮応力が発生していた。
【0036】
したがって、本実施形態によれば、自動車用エンジン1に固定される固定部材10の軸部11に支持された回動部材30をテンションプーリ41が伝動ベルト3を押圧する回動方向に捻りコイルばね60にて常時付勢しつつ、回動部材30の回動方向および回動位置などに応じて該回動部材30の回動に対するダンピング力を自動的に変化させるようにしたオートテンショナにおいて、上記軸部11の根元部分に圧縮ボルト70により発生する軸方向の圧縮応力でもって、該根元部分に発生する軸方向の引張応力を低減してそのような引張応力による軸部11の破損を抑えることができ、よって、軸部11の小径化を伴うようなオートテンショナのコンパクト化に寄与することができる。
【0037】
また、ボルト挿通孔81に対し、軸部11の軸方向におけるテンションプーリ41とは反対の側(図1および図2の下側)から圧縮ボルト70を挿通することができるので、固定部材10の軸部11と、回動部材30のテンションプーリ41とが軸方向において互いに重なる場合であっても、テンションプーリ41の干渉を受けることなく、圧縮ボルト70を軸部11に装着することができる。
【0038】
(実施形態2)
図6は、本発明の実施形態2に係るオートテンショナの全体構成を示しており、このオートテンショナは、自動車用エンジン1のタイミングベルト5を覆うように設けられたベルトカバー6を介して該エンジン1に取り付けられる。
【0039】
自動車用エンジン1には、ベルトカバー専用の取付部(図示せず)の他、共用の取付部7,7,…が一体に突設されており、オートテンショナは、それら共用の取付部7,7,…にベルトカバー6を介してボルト8,8,…により取り付けられるようになっている。尚、実施形態1の場合と同じ部分には同じ符号を付して示している。また、同図6の9は、タイミングベルト5が巻き掛けられたプーリである。
【0040】
固定部材10のカップ部12の底部底面は平面とされており、この底面がベルトカバー6の部位表面に面接合するようになされている。また、取付部15,15,…は、フランジ部13の外周に半径方向外方に向かって突出するように設けられていて、ベルトカバー6との接合面がカップ部12の底面と同じ平面に位置するようになされている。各取付部15には、該取付部15を軸部11の軸方向に貫通するボルト孔16が設けられており、固定部材10は、それら取付部15,16,…においてボルト8,8,…により共用取付部7,7,…に固定されている。
【0041】
そして、本実施形態では、ボルト座面83は、該ボルト座面83に着座した圧縮ボルト70のボルト頭部71がボルト座面83周りの部位表面から軸方向において突出しないように凹設されている。
【0042】
具体的には、貫通孔80のボルト座面83側の開口は、固定部材10のフランジ部13の底面に設けられている。その開口部周りの部位は、該部位の表面がフランジ部13の底面に対し軸方向におけるテンションプーリ41の側(図6の上側)に凹設されていて、断面円形状の凹部85とされており、その凹部85の底面により、ボルト座面83が形成されている。このボルト座面83とフランジ部13の底面との間の軸方向寸法は、ボルト頭部71の軸方向寸法と、ワッシャ73の厚さ寸法との合計値よりも若干大きくされており、このことで、圧縮ボルト70のボルト頭部71が、フランジ部13の底面から突出してベルトカバー6に当接するという事態が生じないようになっている。尚、その他の構成は、実施形態1の場合と同じであるので説明は省略する。
【0043】
したがって、本実施形態によれば、ベルトカバー6を介して自動車用エンジン1に取り付けられるオートテンショナの場合に、固定部材10のフランジ部13の底面側に位置するボルト頭部71を、該フランジ部13の底面から突出しないように収容することができるので、ボルト頭部71のそのような突出に起因するオートテンショナの取付作業の困難さを解消することができる。
【0044】
尚、上記の実施形態1および実施形態2では、オートテンショナの場合について説明しているが、本発明は、回動部材の回動に対するダンピング力の自動変更機能を持たないテンショナに適用することもできる。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、固定体に固定される固定部材の軸部に支持された回動部材をベルト押圧部が伝動ベルトを押圧する回動方向に付勢手段にて常時付勢するようにしたテンショナにおいて、固定部材の軸部における根元部分を含む軸方向の部位に軸方向に延びるようにボルト挿通孔を設けて、そのボルト挿通孔の軸方向の先端側にボルト螺合部を、また軸方向の根元部分側にボルト座面をそれぞれ設け、ボルト挿通孔に圧縮手段としての圧縮ボルトのボルト軸部を挿通し、そのボルト軸部のボルト螺合部への螺合部分とボルト座面に着座したボルト頭部とでもって軸部の根元部分を軸方向に圧縮することができるので、該根元部分に発生する軸方向の引張応力を低減してそのような引張応力による軸部の破損を抑えることができ、よって、軸部の小径化を伴うようなテンショナのコンパクト化に寄与することができる。
【0046】
請求項2の発明によれば、ボルト挿通孔に対し、軸部の軸方向におけるベルト押圧部とは反対の側からボルトを挿通することができるので、固定部材の軸部と、回動部材のベルト押圧部とが軸方向において互いに重なる場合であっても、ベルト押圧部の干渉を受けることなく、圧縮ボルトを軸部に装着することができる。
【0047】
請求項3の発明によれば、ボルト座面に着座したボルト頭部を、ボルト座面周りの部位表面から突出しないように収容することができるので、ボルト頭部のそのような突出に起因するテンショナの取付作業の困難さを解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態1に係るオートテンショナの全体構成を示す縦断面図である。
【図2】 オートテンショナの全体構成を示す側面図である。
【図3】 オートテンショナが使用された自動車用エンジンのベルト式補機駆動装置を示す配置図である。
【図4】 軸部発生応力テストの要領を示す説明図である。
【図5】 軸部発生応力テストの結果を示す特性図である。
【図6】 本発明の実施形態2に係るオートテンショナの全体構成を示す図1相当図である。
【図7】 従来のオートテンショナの全体構成を示す図1相当図である。
【符号の説明】
1 自動車用エンジン(固定体)
3 伝動ベルト
10 固定部材
11 軸部
15 取付部
30 回動部材
60 捻りコイルばね(付勢手段)
70 圧縮ボルト(圧縮手段)
71 ボルト頭部
72 ボルト軸部
81 ボルト挿通孔
82 ボルト螺合部
83 ボルト座面
T1 根元部分
Claims (3)
- 固定体に取り付けられるように設けられた取付部と、軸部とを有し、上記取付部において上記固定体に固定される固定部材と、
上記固定部材の軸部上に回動可能に外嵌合されたボス部と、ベルト押圧部とを有し、上記ボス部において上記固定部材により回動可能に支持された回動部材と、
上記固定部材と上記回動部材との間に介装され、固定部材に対し回動部材を上記ベルト押圧部が伝動ベルトを押圧するように回動する方向に常時付勢する付勢手段とを備えたテンショナであって、
上記固定部材の軸部における根元部分に軸方向の圧縮応力が発生するように該根元部分を軸方向において圧縮する圧縮手段を備え、
上記固定部材は、
上記軸部における根元部分を含む軸方向の部位に軸方向に延びるように設けられたボルト挿通孔と、
上記ボルト挿通孔における軸方向の先端側に設けられたボルト螺合部および軸方向の根元部分側に設けられたボルト座面とを有し、
上記圧縮手段は、上記ボルト座面に着座したボルト頭部と、上記ボルト挿通孔に挿通されて上記ボルト頭部との間で上記軸部の根元部分を軸方向に圧縮するように上記ボルト螺合部に螺合したボルト軸部とを有してなる圧縮ボルトである
ことを特徴とするテンショナ。 - 請求項1記載のテンショナにおいて、
固定部材の軸部と、回動部材のベルト押圧部とは、軸方向において互いに重なるように設けられ、
ボルト座面は、ボルト挿通孔の軸方向における上記ベルト押圧部とは反対の側に配置されている
ことを特徴とするテンショナ。 - 請求項2記載のテンショナにおいて、
ボルト座面は、該ボルト座面に着座したボルト頭部がボルト座面周りの部位表面から軸方向において突出しないように凹設されている
ことを特徴とするテンショナ。
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