JP4468856B2 - 回転電機の固定子 - Google Patents

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この発明は、回転電機の固定子に関するものであり、特に水車発電機の固定子の端部構造に係るものである。
図8、図9は、従来の回転電機の固定子の端部構造を示す図である。図9は図8の側面から見た図である。
図8、図9において、固定子100は磁性材料薄板の積層構造からなる固定子コア1と、この固定子コア1の内周面に設けられた固定子スロット2と、前記固定子スロット2に納められた固定子コイルの端部3(図9では省略)と、固定子コア1の軸方向端面に設置され固定子コア1を軸方向に固定する歯形押え4と、前記歯形押え4の軸方向端面に設置され前記固定子コア1と前記歯形押え4を軸方向に固定する固定子クランパ5と、前記固定子コア1の外周側に設置され、軸方向に前記固定子コア1、歯形押え4、固定子クランパ5を貫通し軸方向両端から締付ける締付ボルト6とによって構成されている。
固定子クランパ5には、回転子コイル端部(図示せず)、及び固定子コイル端部3からの漏れ磁束が侵入する。この漏れ磁束は、回転子コイル、固定子コイルのN極から固定子クランパ5に侵入し、固定子クランパ5中を円周方向に通りS極へ至る。この時固定子クランパ5では磁束の侵入により損失が発生するが、この発生損失は以下の2つに大別できる。ひとつは固定子クランパ5に垂直に侵入する磁束により発生する渦電流損失であり、もうひとつは磁束が固定子クランパ5内を周方向に進むことにより発生する渦電流損失とヒステリシス損失である。通常固定子クランパ5は締付ボルト2〜3本あたり1セグメントとした扇形状体をなしこれを周方向に設置する構造としている。このため、1セグメントの幅が広く面積が大きく、磁束が固定子クランパ5に垂直に侵入することにより大きな渦電流損失が発生する。
上記のような従来構造により、固定子クランパ5で損失が発生し、回転電機の効率が低下する問題点があった。また、固定子クランパ5での損失が過大であると過熱する問題点があった。
上記のような問題点を解決する方法として、固定子コアの端部に磁性体の積層板で構成される磁束遮蔽を設ける方法が特に大容量のタービン発電機等で用いられている(例えば、特許文献1)。
特開昭56−049639号公報
しかしながら前記特許文献1に示された構成では、構造が複雑な上に部品点数が多く高価になる問題点があった。また、磁束遮蔽は幅の広い磁性材料を周方向にずらしながら軸方向に積んだ構造であるため、垂直に侵入する磁束により端面の面内で渦電流損失が発生するという問題点を有している。
この発明は上記のような課題を解決にするためになされたもので、固定子端部での渦電流損失を低減して回転電機の効率を向上させるとともに、固定子クランパの温度上昇を低減する固定子端部構造を備えた回転電機を提供することを目的とする。
この発明に係る回転電機の固定子は、固定子コアの軸方向端部に設けられ、円周方向に分割された複数個の固定子クランパと、複数の締付ボルトによって前記固定子コアが固定されており、各固定子クランパの固定子コアに対向する反対面側には、複数のシールド板が互いに狭い周方向の間隙を介して配置されており、シールド板の板厚が固定子コア端部における漏れ磁束の浸透深さ以上であり、また、シールド板の数は、締付ボルトと同一の数であるとともに、シールド板と固定子クランパとの間に、絶縁物が設けられているものである。
この発明の回転電機の固定子は、固定子クランパの固定子コアと接する反対面上に、複数のシールド板が互いに狭い周方向の間隙を介して配置されており、該シールド板の板厚が固定子コア端部における漏れ磁束の浸透深さ以上であり、また、シールド板の数は、締付ボルトと同一の数であるとともに、シールド板と固定子クランパとの間に絶縁物が設けられているので、シールド板によって固定子クランパに侵入する漏れ磁束は減少して渦電流損失が低減し、また絶縁物により渦電流が固定子クランパの方に迂回して流れることがなく、固定子クランパの温度上昇が低減され、固定子の小型化がはかれるとともに回転電機の効率が向上する効果がある。
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1を図に基づいて説明する。
図1、図2は実施の形態1による回転電機固定子100の端部を示す図であり、図2は図1の側面図である。図において、固定子コア1の横方向両端部には歯形押え4、固定子クランパ5が設けられ、これらは固定子コア1の外周部に配置された締付ボルト6によって締め付け、固定されている。
固定子クランパ5は、図2に示すように円周方向に分割された扇形状体をなしている。固定子コア1の内径側にはスロット2が設けられ、図2では図示省略した固定子コイルが挿入されている。この固定子コイルの端部3を図1に示す。
固定子クランパ5の前記固定子コア1に対向する反対側面には図2に示すように複数のシールド板7が互いに狭い間隔Sを介して配置されている。このシールド板7の個数は、図2に示す例では締付ボルト6と同数であり、後述する絶縁物8とともに、締付ボルト6により固定子クランパ5上に締め付け固定されている。
このように締付ボルト6と同数に分割されたシールド板7は固定子クランパ5の扇形状体が締付ボルト6の2〜3本当たりに1個となるよう形成されているので、それに比較して幅狭である。
シールド板7は固定子端部における漏れ磁束が浸透する厚さ以上の厚みを備えている。このシールド板に鉄系材料を用いた場合、浸透厚さは水車発電機等の電気装荷の回転電機の場合、1mm程度である。
次に動作について説明する。上記のような構造にすることにより、固定子コイル端部3、回転子コイル端部(図示せず)からの漏れ磁束はまずシールド板7に侵入する。この磁束がシールド板7に垂直に侵入することにより渦電流損失が発生するが、シールド板7の幅は固定子クランパ5の幅より狭いため、シールド板7がない場合と比べ面内の渦電流損失は減少する。通常固定子クランパ5は締付ボルト2〜3本あたり1セグメントとしているため、例えばシールド板7を前述したように締付ボルト1本当たり1個設置した場合、1セグメントの幅は約1/2から1/3に狭くなり渦電流損失は減少する。また、シールド板7と固定子クランパ5の間には絶縁物8が設置されているので、渦電流が固定子クランパ5の方に迂回して流れることはない。シールド板7に侵入した磁束は周方向に進み、これによりシールド板7で渦電流損失、ヒステリシス損失が発生するが、これは従来の固定子クランパで発生する損失と大差ない。しかしながら、シールド板7は漏れ磁束の浸透深さ以上の厚みとしているので、漏れ磁束が固定子クランパ5に漏れる量は少なく、固定子クランパ5での漏れ磁束による発生損失は減少される。以上のように、シールド板7により固定子クランパ5への磁束侵入時の渦電流損失が低減されるため、固定子端部での固定子クランパ5の発生する熱損失は従来よりも低減することができ、固定子クランパの温度上昇も低減させ、ひいては回転電機の固定子の小型化が可能となる。
実施の形態2.
次にこの発明の実施の形態2を図3に基づいて説明する。この実施の形態2のシールド板7には外縁に凹形状のノッチ10が設けてある。このノッチ10を設けたことにより、渦電流が流れにくくなり渦電流損失を低減できる。なおノッチ10は凹形状を示したがV形状でもよく、特に形状にはこだわらなくてよい。
実施の形態3.
次にこの発明の実施の形態3を図4に基づいて説明する。この実施の形態3のシールド板7にはスリット7が設けてある。スリット7を設けることにより、渦電流が流れにくくなり、渦電流損失を低減できる。なお、図4ではスリット7を1本設けた例を示したが、複数本あってもよく、また、外周方向に伸びたスリットを示したが、これに限らず円周方向に伸びたものあるいは、外周方向、円周方向に伸びたスリットの混在するものがあってもよい。
実施の形態4.
次にこの発明の実施の形態4を図5に基づいて説明する。この実施の形態4ではシールド板7と固定子クランパ5を固定する絶縁ボルト13を締付ボルトと円周方向の間隔の間に複数本設けている。この絶縁ボルト13にてもシールド板7を固定子クランパ5とに固定するようシールド板7を分割する構造を採用することにより、シールド板7は締付ボルト3の本数に関係なく自由にセグメント数を決めることができるため、図5に示すようにシールド板7の幅Bをさらに小さくすることができ、磁束侵入時の渦電流損失を更に低減することができる。また、絶縁材のボルトとしているため、ボルトを介して電流が流れ損失が増加することがない。
実施の形態5.
次にこの発明の実施の形態5を図6に基づいて説明する。図6(b)は図6(a)のAA′における断面図である。この実施の形態5の絶縁物8は扇形状体をなし、複数個が円周方向にわたって配置されその上面に内径側から外径側に向かって複数のみぞ11を設けている。みぞ11を設けることにより、冷却風Fがみぞを流れシールド板7を背面から冷却し、シールド板7の温度上昇を低減することができる。
実施の形態6.
次にこの発明の実施の形態6を図7に基づいて説明する。この実施の形態6ではシールド板7と固定子クランパ5の間に設置した絶縁物を分割構造化した。このような任意の形状の分割構造の絶縁物8aを設置することにより風路が形成され、冷却風Fがシールド板7と固定子クランパ5間を流れるため、シールド板7と固定子クランパ5の温度上昇を低減すると共に、実施の形態5では必要であった絶縁物8のみぞ加工が不要となるため安価なものとなる。
前記実施の形態1において、シールド板は鉄系材料を使用する場合について説明したが、必ずしもこれに限らず、他の材料、例えば銅系材料であってもよい。
また、絶縁物は各種樹脂の積層板を用いてもよく、また布製材であってもよい。
この発明の実施の形態1〜6は、水車発電機等回転電機の固定子構造に適用可能である。
この発明の実施の形態1の回転電機の固定子端部を示す図である。 この発明の実施の形態1の回転電機の固定子端部側面図である。 この発明の実施の形態2のシールド板を示す図である。 この発明の実施の形態3のシールド板を示す図である。 この発明の実施の形態4のシールド板を示す図である。 この発明の実施の形態5の絶縁物を示す図である。 この発明の実施の形態6の絶縁物を示す図である。 従来の回転電機の固定子端部を示す図である。 従来の回転電機の固定子端部側面図である。
符号の説明
1 固定子コア、5 固定子クランパ、6 締付ボルト、7 シールド板、
8,8a 絶縁物、9 スリット、10 ノッチ、11 溝、
100 回転電機の固定子。

Claims (6)

  1. 固定子コアの軸方向端部に設けられ、円周方向に分割された複数個の固定子クランパと複数の締付ボルトとによって前記固定子コアが固定された回転電機の固定子において、前記各固定子クランパの前記固定子コアに対向する反対面側には、複数のシールド板が互いに周方向に狭い間隙を有して前記締付ボルトを介して前記固定子クランパに固定されており、前記シールド板の板厚が前記固定子コア端部における漏れ磁束の浸透深さ以上であり、また、前記シールド板の数は、前記締付ボルトと同一の数であるとともに、前記シールド板と前記固定子クランパとの間に、絶縁物が設けられていることを特徴とする回転電機の固定子。
  2. 前記シールド板の外縁にノッチを設けたことを特徴とする請求項1に記載の回転電機の固定子。
  3. 前記シールド板にスリットを設けたことを特徴とする請求項1に記載の回転電機の固定子。
  4. 前記シールド板の数は、前記締付ボルトの円周方向間隔間に設けられた絶縁ボルトと前記締付ボルトの和と同一の数であり、前記シールド板は前記締付ボルトと合わせ前記絶縁ボルトを介して前記固定子クランパに取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の回転電機の固定子。
  5. 前記絶縁物は、扇形状体の形状を有する複数の絶縁物で構成されているとともに、前記扇形状体の内径側から外径側に向かって前記シールド板を冷却するよう冷却風の流れる複数の溝が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の回転電機の固定子。
  6. 前記絶縁物は、任意の平面形状体を有する複数の絶縁物で構成されているとともに、前記シールド板と前記固定子クランパを冷却する風路が形成されるよう配置されていることを特徴とする請求項1に記載の回転電機の固定子。
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