JP3925177B2 - 永久磁石形回転電機のロータ構造 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は永久磁石形回転電機のロータ構造に関し、ダイナモメータとして用いられる永久磁石形電動機やその他の永久磁石形電動機などに適用して有用なものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、永久磁石形電動機はダイナモメータなど、各種の装置の電動機として利用されている。永久磁石形電動機は、ロータコアに永久磁石を配設することによりロータの各磁極を構成してなるロータ構造を有するものであり、ステータに設けたコイルに通電して回転磁界を形成することにより、トルクを発生させてロータが回転する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記のようなロータに永久磁石を取り付けた構造を持つ永久磁石形電動機では、スロットなどの空間高調波と電流による時間高調波の影響により、永久磁石部に渦電流損失が発生し、永久磁石の温度が上昇することによって、性能低下を招くおそれがある。
【0004】
そこで、従来、この対策として、永久磁石の総量は保ったまま、各磁極の永久磁石を複数に分割することにより、永久磁石の電気抵抗を高くして渦電流損失を低減するという方法が採られていた。また、ロータの外周全体を、アルミニュウム等の導電性材料で円筒状に形成されたエンクロージャで覆い、このエンクロージャに渦電流を発生させ、この反作用の効果によって永久磁石の渦電流損失を低減するという方法も採られていた。
【0005】
ところが、永久磁石を分割する方法では、永久磁石自身が受けるスロット高調波や電流高調波を低減することはできない。また、エンクロージャを用いる方法では、エンクロージャ自身の渦電流損失による発熱が生じ、その熱伝導によって永久磁石部の温度まで上昇する場合がある。
【0006】
従って、本発明は上記の事情に鑑み、より確実に永久磁石の渦電流損失を低減し、永久磁石の温度上昇を低減することができる永久磁石形回転電機のロータ構造を提供する。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明の永久磁石形回転電機のロータ構造は、ロータコアに永久磁石を配設することによりロータの各磁極を構成してなる永久磁石形回転電機のロータ構造において、
ロータの外周全体を覆う円筒状のエンクロージャを有し、且つ、このエンクロージャは、隣接するN極の永久磁石とS極の永久磁石との間の部分のみを導電性材料とし、その他の部分を電気絶縁材料としたことを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0010】
<参考例>
図1(a)及び図1(b)は本発明の参考例に係る永久磁石形電動機のロータ構造を示す平面図及び斜視図である。また、図2は図1(a)のA−A線矢視断面拡大図である。
【0011】
これらの図に示すように、本実施の参考例の永久磁石形電動機では円柱状のロータ1を有している。ロータ1の周囲にはギャップを隔ててステータ(図示せず)が設けられており、このステータに設けたコイルに通電して回転磁界を発生させることにより、トルクを発生させてロータ1を回転させる。図中の7はロータの回転軸である。
【0012】
ロータ1は例えば鋼板を積層した積層鉄心等であるロータコア2を有し、このロータコア2に形成された磁石用孔3A,3Bにロータ1の各磁極(図示例では2極)を構成するための永久磁石4A,4Bが、それぞれ挿入された埋め込み磁石形(IPM)のものである。
【0013】
磁石用孔3A,3Bは横断面が円弧状であり、ロータ軸方向(図1中の左右方向)に沿い且つロータ周方向に所定の間隔を隔てて形成されている。永久磁石4A,4Bは磁石用孔3A,3Bと同様に横断面が円弧状のものであり、ロータ軸方向に沿って磁石用孔3A,3Bにそれぞれ挿入されている。永久磁石4Aは外側(ロータ外周側)がN極、内側がS極となり、永久磁石4Bは外側(ロータ外周側)がS極、内側がN極となっている。なお、磁石用孔3A,3Bや永久磁石4A,4Bの形状は、必ずしもこれに限定するものではなく、適宜の形状とすることができ、また、永久磁石4A,4Bはそれぞれ複数に分割されていてもよい。
【0014】
また、ロータコア2にはループ状の導電性部材6を配設するための導電性部材用孔5A,5Bも形成されている。これらの導電性部材用孔5A,5Bはロータ軸方向に沿い、且つ、磁石用孔3Aのロータ周方向端部と磁石用孔3Bのロータ周方向端部との間にそれぞれ位置するように形成されている。そして、ループ状の導電性部材6は、両側部6a,6bを導電性部材用孔5A,5Bにそれぞれ挿入するようにしてロータコア2に配設されている。即ち、ループ状の導電性部材6は、隣接するN極の永久磁石4AとS極の永久磁石Bとの間に位置している。なお、ループ状の導電性部材6の両端部は、回転軸7に接触しないように曲げられている。ループ状の導電性部材6を形成する導電性材料としては、銅、銅合金、アルミ、アルミ合金、チタン合金、鉄鋼材料などがある。
【0015】
従って、本参考例によれば、ループ状の導電性部材6に例えば図1(a)に矢印で示すように渦電流が流れ、この導電性部材6の渦電流によって、永久磁石4A,4Bが配設してある場所に反作用の磁界ができるため、永久磁石4A,4Bが受ける変動磁界が低減され、これによって永久磁石4A,4Bに発生する渦電流損失を低減することができる。そして、永久磁石4A,4B部の渦電流損失が低減することにより、次のような効果が得られる。
【0016】
▲1▼ 永久磁石4A,4Bの渦電流損失が低下するため、永久磁石形電動機の効率が向上する。
▲2▼ 渦電流による発熱量が減少することから、入力電流を増すことができるため、永久磁石形電動機の性能を向上させることもできる。
▲3▼ 温度上昇が少ないため、絶縁等級が低くなり、コストの低減を図ることができる。また、信頼性も向上する。
【0017】
<実施の形態>
図3(a)は本発明の実施の形態に係る永久磁石形電動機のロータ構造を示す斜視図、図3(b)は前記ロータ構造を分解して示す斜視図である。また、図4は図3(a)のB−B線矢視断面拡大図である。
【0018】
これらの図に示すように、本実施の形態の永久磁石形電動機では円柱状のロータ11を有している。ロータ11の周囲にはギャップを隔ててステータ(図示せず)が設けられており、このステータに設けたコイルに通電して回転磁界を発生させることにより、トルクを発生させてロータ11を回転させる。図中の16はロータの回転軸である。
【0019】
ロータ11は例えば鋼板を積層した積層鉄心等であるロータコア12を有し、このロータコア12に形成された磁石用孔13A,13Bにロータ11の各磁極(図示例では2極)を構成するための永久磁石14A,14Bが、それぞれ挿入された埋め込み磁石形(IPM)のものである。
【0020】
磁石用孔13A,13Bは横断面が円弧状であり、ロータ軸方向(図3中の左右方向)に沿い且つロータ周方向に所定の間隔を隔てて形成されている。永久磁石14A,14Bは磁石用孔13A,13Bと同様に横断面が円弧状のものであり、ロータ軸方向に沿って磁石用孔13A,13Bにそれぞれ挿入されている。永久磁石14Aは外側(ロータ外周側)がN極、内側がS極となり、永久磁石4Bは外側(ロータ外周側)がS極、内側がN極となっている。なお、磁石用孔13A,13Bや永久磁石14A,14Bの形状は、必ずしもこれに限定するものではなく、適宜の形状とすることができ、また、永久磁石14A,14Bはそれぞれ複数に分割されていてもよい。
【0021】
また、ロータ11には、このロータ11(ロータコア12)の外周全体を覆う円筒状のエンクロージャ15が設けられている。そして、このエンクロージャ11は、隣接するN極の永久磁石13AとS極の永久磁石13Bとの間の部分15a,15bのみを銅、銅合金、アルミ、アルミ合金、チタン合金、鉄鋼材料などの導電性材料とし、その他の部分15c,15dをエポキシ樹脂、FRP(繊維強化複合材)などの電気絶縁材料としている。
【0022】
従って、本実施の形態によれば、隣接するN極の永久磁石13AとS極の永久磁石13Bとの間の部分15a,15bのみを導電性材料とし、その他の部分15c,15dを電気絶縁材料としたエンクロージャ15を備えたことにより、導電性材料からなる部分15a,15bにのみ例えば図3(a)に矢印で示すように渦電流が流れるため、シールド効果を保持しながら、エンクロージャ15自身の渦電流損失を低減することができ、且つ、導電性材料からなる部分15a,15bが渦電流によって発熱しても、この部分15a,15bと永久磁石14A,14Bとの間には距離があるため、従来のようにエンクロージャ全体が渦電流で発熱する場合に比べて、永久磁石14A,14Bの温度上昇を低減することができる。また、永久磁石14A,14B部の渦電流損失が低減することにより、上記参考例と同様に次のような効果が得られる。
【0023】
▲1▼ 永久磁石14A,14Bの渦電流損失が低下するため、永久磁石形電動機の効率が向上する。
▲2▼ 渦電流による発熱量が減少することから、入力電流を増すことができるため、永久磁石形電動機の性能を向上させることもできる。
▲3▼ 温度上昇が少ないため、絶縁等級が低くなり、コストの低減を図ることができる。また、信頼性も向上する。
【0024】
なお、上記実施の形態では、2極機の場合について説明したが、これに限定するものではなく、本発明は2極以上(例えば4極、8極など)のものにも適用することができる。
【0027】
【発明の効果】
以上発明の実施の形態とともに具体的に説明したように、本発明の永久磁石形回転電機のロータ構造によれば、隣接するN極の永久磁石とS極の永久磁石との間の部分のみを導電性材料とし、その他の部分を電気絶縁材料としたエンクロージャを備えたことにより、導電性材料からなる部分にのみ渦電流が流れるため、シールド効果を保持しながら、エンクロージャ自身の渦電流損失を低減することができ、且つ、導電性材料からなる部分が渦電流によって発熱しても、この部分と永久磁石との間には距離があるため、従来のようにエンクロージャ全体が渦電流で発熱する場合に比べて、永久磁石の温度上昇を低減することができる。また、永久磁石部の渦電流損失が低減することにより、次のような効果が得られる。
【0028】
▲1▼ 永久磁石の渦電流損失が低下するため、永久磁石形回転電機の効率が向上する。
▲2▼ 渦電流による発熱量が減少することから、入力電流を増すことができるため、永久磁石形回転電機の性能を向上させることもできる。
▲3▼ 温度上昇が少ないため、絶縁等級が低くなり、コストの低減を図ることができる。また、信頼性も向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の実施の形態1に係る永久磁石形電動機のロータ構造を示す平面図、(b)は前記ロータ構造の斜視図である。
【図2】図1(a)のA−A線矢視断面拡大図である。
【図3】(a)は本発明の実施の形態2に係る永久磁石形電動機のロータ構造を示す斜視図、(b)は前記ロータ構造を分解して示す斜視図である。
【図4】図3(a)のB−B線矢視断面拡大図である。
【符号の説明】
1 ロータ
2 ロータコア
3A,3B 磁石用孔
4A,4B 永久磁石
5A,5B 導電性部材用孔
6 ループ状の導電性部材
6a,6b 側部
7 回転軸
11 ロータ
12 ロータコア
13A,13B 磁石用孔
14A,14B 永久磁石
15 エンクロージャ
15a,15b 導電性材料からなる部分
15c,15d 電気絶縁材料からなる部分
16 回転軸
Claims (1)
- ロータコアに永久磁石を配設することによりロータの各磁極を構成してなる永久磁石形回転電機のロータ構造において、
ロータの外周全体を覆う円筒状のエンクロージャを有し、且つ、このエンクロージャは、隣接するN極の永久磁石とS極の永久磁石との間の部分のみを導電性材料とし、その他の部分を電気絶縁材料としたことを特徴とする永久磁石形回転電機のロータ構造。
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JP2001370896A JP3925177B2 (ja) | 2001-12-05 | 2001-12-05 | 永久磁石形回転電機のロータ構造 |
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JP2001370896A JP3925177B2 (ja) | 2001-12-05 | 2001-12-05 | 永久磁石形回転電機のロータ構造 |
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JP2001370896A Expired - Lifetime JP3925177B2 (ja) | 2001-12-05 | 2001-12-05 | 永久磁石形回転電機のロータ構造 |
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- 2001-12-05 JP JP2001370896A patent/JP3925177B2/ja not_active Expired - Lifetime
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