JP4468056B2 - リンク作動装置 - Google Patents

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Description

本発明は、リンク作動装置に関し、例えば、三次元空間における複雑な加工や物品の取り回し等の作業を高速かつ精密に実行するロボット関節などのリンク機構に利用されるリンク作動装置に関する。
例えば、三次元空間における複雑な加工や物品の取り回し等の作業を高速かつ精密に実行するリンク作動装置として、パラレルリンク機構を具備した作業装置がある(例えば、特許文献1参照)。
この作業装置は、ベースプレートとトラベリングプレートとの間を接続する複数のリンクを協調させて伸縮させることでベースプレートに対するトラベリングプレートの位置および姿勢を変化させるパラレルリンク機構を具備する。このパラレルリンク機構のトラベリングプレートにツールを取り付け、ワークを保持するテーブルを回転可能に配設することにより、テーブル上のワークに対するツールの位置および姿勢を自由に変えられるようにして、ツールによる三次元空間内での複雑な加工や物品の取り回しを可能にしている。
前記パラレルリンク機構では、可動部分の質量を軽減することができ、また、各リンクの位置決め誤差がその先端部で平均化されるなど、三次元空間における複雑な加工や物品の取り回し等の作業を高速かつ精密に実行する上で大きな特徴を具備している。
特開2000−94245号公報
しかしながら、前述したパラレルリンク機構では、各リンクの作動角が小さいため、トラベリングプレートの作動範囲を大きく設定しようとすると、リンク長が長くなることにより、機構全体の寸法が大きくなって装置の大型化を招来するという問題があった。また、機構全体の剛性が低く、トラベリングプレートに搭載されるツールの重量、つまり、トラベリングプレートにおける可搬重量も小さいものに制限されるという問題もあった。
この問題点を解消するため、本出願人は、コンパクトな構成で、剛性が高く、しかも可搬重量が大きいリンク機構を具備したリンク作動装置を先に提案している(特願2003−40086)。
このリンク作動装置は、入力部材と出力部材のそれぞれに設けたリンクハブに対して回転可能に端部リンク部材を連結し、入力側と出力側のそれぞれの端部リンク部材を中央リンク部材に対して回転可能に連結したリンク機構を三組以上有し、各リンク機構の中央部における横断面に関して入力側と出力側を幾何学的に同一とした構成を具備するものである。各リンク機構は、四つの回転対偶部からなる三節連鎖を構成している。
このリンク作動装置では、リンクハブに軸受外輪を内包すると共に軸受内輪を端部リンク部材と結合させることにより、リンクハブ内に軸受構造を埋設したものであり、リンク機構の内部空間に回転伝達部を配設し、その回転伝達部を介して端部リンク部材の姿勢を制御するアクチュエータを設けたものであり、入力側リンクハブを固定し、回転伝達部を駆動することにより出力側リンクハブを二自由度で動作させるようにしたものである。
このリンク作動装置では、リンク機構を構成する各部品同士が干渉することなく、そのリンク機構を広範囲で動作させるためには、リンク機構を構成する各部品の形状を工夫する必要がある。また、それら各部品は、リンク機構の組立性や加工性を考慮した形状とする必要もある。
そこで、本発明は前述の課題を改善するために提案されたもので、その目的とするところは、リンク機構を構成する各部品の形状を規定することにより、リンク機構の動作時に各部品同士が干渉することを未然に防止し得るリンク作動装置を提供することにある。
前述の目的を達成するための技術的手段として、本発明は、入出力側にそれぞれ配された入出力部材に対して回転可能に端部リンク部材を連結し、入力側と出力側のそれぞれの端部リンク部材を中央リンク部材に対して回転可能に連結した四つの回転対偶部からなるリンク機構を三組以上有し、各リンク機構の中央部における横断面に関して入力側と出力側を幾何学的に同一としたリンク作動装置において、前記入出力部材、端部リンク部材あるいは中央リンク部材からなるリンク機構の各構成部品のうち、少なくともいずれか一つの構成部品は、前記リンク機構の動作時における他の構成部品との干渉を防止する形状を有することを特徴とする。
ここで、入出力間に設けられた三組以上のリンク機構のそれぞれは、幾何学的に同一形状を有し、そのリンク機構を三組以上としたのは、二自由度機構とするためである。ここで、「リンク機構の中央部における横断面に関して入力側と出力側を幾何学的に同一にする」とは、中央リンク部材の対称面において入力側と出力側に分断した場合に入力側と出力側の幾何学的形状が同一であることを意味する。
また、各リンク機構は、四つの回転対偶部からなる三節連鎖を構成している。入力側と出力側のそれぞれの端部リンク部材は球面リンク構造で、三組以上のリンク機構における球面リンク中心は一致しており、また、その中心からの距離も同じである。端部リンク部材と中央リンク部材との連結部となる回転対偶部の軸は、ある交差角をもってもよいし、平行であってもよい。但し、三組以上のリンク機構における中央リンク部材の形状は幾何学的に同一である。
前述の構成におけるリンク機構の構成部品を、前記リンク機構の動作時における他の構成部品との干渉を防止する形状とする手段として、入力部材あるいは出力部材のリンク側外周縁部に、端部リンク部材の中央リンク側回転対偶部の外径面との干渉を防止するための面取り部を形成する手段が可能である。この面取り部は、リンク機構の最大折れ角をθmax、中央リンク部材の軸角をγとした場合、その面取り角度FがF=(θmax−γ)/2の条件を満足するテーパ面を有する。
他の干渉防止手段として、端部リンク部材の中央リンク側回転対偶部の内側端面と入出力側回転対偶部の軸中心との距離をS、前記端部リンク部材の中央リンク側回転対偶部の外径面と中央リンク側回転対偶部の軸線との距離をBとした場合、端部リンク部材が入出力部材に最接近する回転角度E=(θmax−γ)/2に基づいて、入出力部材の形状を、端部リンク部材の中央リンク側回転対偶部の外径面との干渉を防止するための外形寸法Qが、Q≦[S−Btan(E)]・cos(E)の条件を満足するように規定した構成が可能である。
他の干渉防止手段として、端部リンク部材の入出力側回転対偶部の外径面との干渉を防止するためのスペーサを入出力部材に付設した構成が可能である。この場合、端部リンク部材の中央リンク側回転対偶部の外側端面と入出力側回転対偶部の軸中心との距離をR、前記スペーサとの接合面から端部リンク部材の入出力側回転対偶部の軸中心までの距離をDとした場合、前記スペーサの厚みGを、G≧[R・sin(E)+B・cos(E)]−Dの条件を満足するように規定することが望ましい。
他の干渉防止手段として、端部リンク部材は彎曲したアーム形状を有し、その彎曲部の外側エッジ部に、同一リンク内における入出力側端部リンク部材同士の干渉を防止するための面取り部を形成した構成が可能である。
また、入力側端部リンクの中央リンク側回転対偶部と出力側端部リンク部材の中央リンク側回転対偶部の外側端面に、両端部リンク部材の回転対偶部同士の干渉を防止する面取り部を形成した構成が可能である。この面取り部は、中央リンク部材の軸角をγとした場合、その面取り角度HがH=γ/2の条件を満足するテーパ面を有する。
他の干渉防止手段として、端部リンク部材を両端支持する回転対偶部を有する中央リンク部材を、その中央リンク部材に対する端部リンク部材の回転範囲に合わせて部分的に除肉し、前記中央リンク部材と端部リンク部材の干渉を防止する除肉部を形成した構成が可能である。この除肉部は、中央リンク部材に端部リンク部材が折り畳まれた時に両部材がなす最小角度Tminのテーパ面を持つ。この場合、最小角度Tminは、リンク機構の最大折れ角θmaxと中央リンク部材の軸角γより、Tmin=sin-1([tan(γ/2)/tan((θmax+γ)/2)]0.5)から求められる。また、中央リンク部材に対する端部リンク部材の回転範囲Tは、T=2×(90−Tmin)で求められる。
以上のように、本発明に係るリンク作動装置では、入出力部材、端部リンク部材あるいは中央リンク部材からなるリンク機構の各構成部品のうち、少なくともいずれか一つの構成部品は、前記リンク機構の動作時における他の構成部品との干渉を防止する形状を有することにより、リンク機構の各構成部品が干渉することを未然に防止することができると共にリンク機構のコンパクト化も確保することができる。
また、本発明は、入出力側にそれぞれ配された入出力部材に対して回転可能に端部リンク部材を連結し、入力側と出力側のそれぞれの端部リンク部材を中央リンク部材に対して回転可能に連結した四つの回転対偶部からなるリンク機構を三組以上有し、各リンク機構の中央部における横断面に関して入力側と出力側を幾何学的に同一としたリンク作動装置において、前記入出力部材、端部リンク部材あるいは中央リンク部材からなるリンク機構の各構成部品のうち、少なくともいずれか一つの構成部品は、その構成部品の加工または組み立てに最適な平坦部を有することを特徴とする。
つまり、前記端部リンク部材は彎曲したアーム形状を有し、そのアーム先端に位置する中央リンク側回転対偶部の連結部の内側に、前記平坦部をテーパ状に形成した構成、あるいは、平坦部が、入力部材あるいは出力部材の外径面で、端部リンク部材との回転対偶部間に位置する部位に形成され、対向する端部リンク部材との回転対偶部の軸に対して垂直平面となる構成とすることが可能である。
以上のように、本発明に係るリンク作動装置では、入出力部材、端部リンク部材あるいは中央リンク部材からなるリンク機構の各構成部品のうち、少なくともいずれか一つの構成部品は、その構成部品の加工または組み立てに最適な平坦部を有することにより、リンク機構の構成部品における加工性および組立性の向上が図れる。
本発明によれば、入出力部材、端部リンク部材あるいは中央リンク部材からなるリンク機構の各構成部品のうち、少なくともいずれか一つの構成部品は、前記リンク機構の動作時における他の構成部品との干渉を防止する形状を有することにより、リンク機構の各構成部品が干渉することを未然に防止することができると共にリンク機構のコンパクト化も確保することができる。
また、入出力部材、端部リンク部材あるいは中央リンク部材からなるリンク機構の各構成部品のうち、少なくともいずれか一つの構成部品は、その構成部品の加工または組み立てに最適な平坦部を有することにより、リンク機構の構成部品における加工性および組立性の向上が図れる。
図1および図2に示す実施形態のリンク作動装置は、例えば、三次元空間における複雑な加工や物品の取り回し等の作業を高速かつ精密に実行するロボット関節などのリンク機構などに利用される三組のリンク機構1〜3を具備する。これら三組のリンク機構1〜3のそれぞれは幾何学的に同一形状をなす。
図1に示す実施形態のリンク機構1〜3は回転対称タイプで、入力部材4および入力側の端部リンク部材1a〜3aと出力部材5および出力側の端部リンク部材1c〜3cの位置関係が、中央リンク部材1b〜3bの中心線に対して互いに回転対称となる位置構成になっている。
図1および図2に示すように、各リンク機構1〜3は、入力部材4に回動自在に連結された入力側の端部リンク部材1a〜3aと、出力部材5に回動自在に連結された出力側の端部リンク部材1c〜3cと、両端部リンク部材1a〜3a,1c〜3cのそれぞれに回動自在に連結されて両端部リンク部材1a〜3a,1c〜3cを互いに連結する中央リンク部材1b〜3bとで構成され、四つの回転対偶部6a〜8a,6b1,6b2〜8b1,8b2,6c〜8cからなる三節連鎖構造をなす。
なお、図1および図2のリンク機構1〜3における各回転対偶部6a〜8a,6b1,6b2〜8b1,8b2,6c〜8cは軸受構造を内蔵している。これにより、その連結部分での摩擦抵抗を抑えて回転抵抗の軽減を図ることができ、滑らかな動力伝達を確保できると共に耐久性を向上できる。その軸受構造としては、二個のラジアル玉軸受、アンギュラ玉軸受、ローラ軸受、すべり軸受、もしくは一個の複列アンギュラ玉軸受などを使用することが可能である。
端部リンク部材1a〜3a,1c〜3cは球面リンク構造で、三組のリンク機構1〜3における球面リンク中心は一致しており、また、その中心からの距離も同じである。端部リンク部材1a〜3a,1c〜3cと中央リンク部材1b〜3bとの二つの回転対偶部6b1,6b2〜8b1,8b2の各軸は、ある交差角をもってもよいし、平行であってもよい。ただし、三組のリンク機構1〜3における中央リンク部材1b〜3bの形状は幾何学的に同一である。
リンク機構1〜3において、端部リンク部材1a〜3a,1c〜3cの幾何学的形状が入力側と出力側で等しく、また、中央リンク部材1b〜3bについても入力側と出力側で形状が等しいとき、中央リンク部材1b〜3bの対称面に対して中央リンク部材1b〜3bと入出力部材4,5と連結される端部リンク部材1a〜3a,1c〜3cとの角度位置関係を入力側と出力側で同じにすれば、幾何学的対称性から入力部材4および入力側の端部リンク部材1a〜3aと出力部材5および出力側の端部リンク部材1c〜3cは同じに動き、入力側と出力側は同じ回転角になって等速回転することになる。この等速回転するときの中央リンク部材1b〜3bの対称面を等速二等分面という。
このため、入出力部材4,5を共有する同じ幾何学形状のリンク機構1〜3を円周上に複数配置させることにより、複数のリンク機構1〜3が矛盾無く動ける位置として中央リンク部材1b〜3bが等速二等分面上のみの動きに限定され、これにより入力側と出力側は任意の作動角をとっても等速回転が得られる。
この実施形態のリンク作動装置は、入力側の端部リンク部材1a〜3aの回転対偶部6a〜8aに、モータ等のアクチュエータを連結し、そのアクチュエータにより、端部リンク部材1a〜3aの回転角位置を制御することで、出力部材5に取り付けられた、例えばロボットの腕(図示せず)などの可動部位の姿勢を制御する。
図1に示すリンク機構1〜3の基本的構成は、本出願人が先に提案した特願2003−40086に開示したものと同一であり、入出力部材4,5は、中心軸に貫通孔が形成され、外形を球面状としたドーナツ形状をなすリンクハブである。このリンク機構1〜3の各回転対偶部6a〜8a,6b1,6b2〜8b1,8b2,6c〜8cは、端部リンク部材1a〜3a,1c〜3cを片持ちで支持した構造を具備する。
一方、図2に示すリンク機構1〜3の基本構成は、本出願人が先に提案した特願2003−388307に開示したものと同一であり、入出力部材4,5は、円盤状をなす。このリンク機構1〜3の各回転対偶部6a〜8a,6b1,6b2〜8b1,8b2,6c〜8cは、端部リンク部材1a〜3a,1c〜3cを両端支持する構造を具備する。
図3および図4は、図2に示す実施形態のリンク作動装置において、入力側端部リンク部材1a〜3aと中央リンク部材1b〜3bの連結部分である回転対偶部6b1〜8b1の外径面Lが他の構成部品と干渉することを防止する手段を講じた二例を示す。なお、この例では、入力側端部リンク部材1a〜3aと中央リンク部材1b〜3bの回転対偶部6b1〜8b1について説明するが、出力側端部リンク部材1c〜3cと中央リンク部材1b〜3bの回転対偶部6b2〜8b2についても同様に適用できるのは勿論である。
図3に示す実施形態では、端部リンク部材1a〜3aの先端にある回転対偶部6b1〜8b1と入力部材4との干渉防止手段として、その端部リンク部材1a〜3aの回転対偶部6b1〜8b1が入力部材4に最も接近した場合に、その回転対偶部6b1〜8b1と入力部材4との間に隙間Cが形成されるように入力部材4の外周縁部を面取りする。この面取り部31は、入力部材4の外周縁部について、端部リンク部材1a〜3aが延びる方向と対応した箇所のみに形成すればよいが、その入力部材4の外周縁部の全周に亘って形成してもよい。面取り部31の角度Fは、端部リンク部材1a〜3aが入力部材4に最も接近した時に端部リンク部材1a〜3aの回転対偶部6b1〜8b1の外径面Lが入力部材4の上面となす角度Mと一致させる。
ここで、中央リンク部材1b〜3bと端部リンク部材1a〜3aの回転対偶部6b1〜8b1が軸受構造であるため、その組立性や加工性を考慮すると、回転対偶部6b1〜8b1の外径面Lと端部リンク部材1a〜3aの軸線Kを平行とすることが好ましい。なお、端部リンク部材1a〜3aの軸線Kとは、入力部材4と端部リンク部材1a〜3aの回転対偶部6a〜8aの軸と、中央リンク部材1b〜3bと端部リンク部材1a〜3aの回転対偶部6b1〜8b1の軸からなる平面を端部リンク部材1a〜3aの中心面とし、回転対偶部6a〜8aの軸の垂直平面となる端部リンク部材1a〜3aの平面と前述の中心面との交線を意味する。
このように回転対偶部6b1〜8b1の外径面Lと端部リンク部材1a〜3aの軸線Kが平行であれば、端部リンク部材1a〜3aが入力部材4に最も接近した時、端部リンク部材1a〜3aの軸線Kが入力部材4の上面となす角度Eと、回転対偶部6b1〜8b1の外径面Lが入力部材4の上面となす角度Mとが一致する。この時、角度Eは、リンク機構1〜3の最大折れ角θmaxと中央リンク部材1b〜3bの軸角γより容易に求めることができ、E=(θmax−γ)/2となる。従って、面取り部31の角度Fを、F=(θmax−γ)/2とすればよい。
回転対偶部6b1〜8b1の外径面Lと入力部材4の間に隙間Cを形成して端部リンク部材1a〜3aが入力部材4と干渉しないように、入力部材4の外周縁部に面取り部31を形成するため、入力部材4の外周縁部に形成された面取り部31のテーパ面が点Jを通るように設計すればよい。この点Jは、端部リンク部材1a〜3aの軸線Kと回転対偶部6b1〜8b1の外径面Lとの距離Bと隙間Cから容易に求めることができる。ここで、入力部材4の上面から点Jまでの距離をP、入力部材4と端部リンク部材1a〜3aの回転対偶部6a〜8aの軸中心Oから入力部材4の上面までの距離をDとすると、P=D−(B+C)/cos(E)となる。
図4の実施形態では、端部リンク部材1a〜3aの先端にある回転対偶部6b1〜8b1と入力部材4との干渉防止手段として、入力部材4の大きさ、つまり、入力部材4と端部リンク部材1a〜3aの回転対偶部6a〜8aの軸中心Oからその端部リンク部材1a〜3aが延びる方向に沿って入力部材4の外周端面までの寸法Qを規定する。この実施形態における入力部材4は円盤状をなすため、入力部材4の半径Qを規定することになる。入力部材4と端部リンク部材1a〜3aの回転対偶部6a〜8aの軸中心Oから、中央リンク部材1b〜3bと端部リンク部材1a〜3aの回転対偶部6b1〜8b1の内側端面34までの距離をSとすると、入力部材4の半径Qは、Q≦[S−B・tan(E)]・cos(E)とすればよい。
この実施形態では、入力部材4は円盤状としているが、多角形(例えば三角形)形状とし、その端面と軸中心Oの距離Qとしても構わない。また、干渉部分に切り欠きを設け、切り欠きの端縁と軸中心の距離をQとしても構わない。
図5は、図1に示す実施形態のリンク作動装置において、入力側端部リンク部材1a〜3aと中央リンク部材1b〜3bの連結部分である回転対偶部6b1〜8b1の外径面Lが他の構成部品と干渉することを防止する手段を講じた一例を示す。なお、この例でも、入力側端部リンク部材1a〜3aと中央リンク部材1b〜3bの回転対偶部6b1〜8b1について説明するが、出力側端部リンク部材1c〜3cと中央リンク部材1b〜3bの回転対偶部6b2〜8b2についても同様に適用できるのは勿論である。
この図5に示す実施形態では、端部リンク部材1a〜3aの先端にある回転対偶部6b1〜8b1と入力部材4の取り付け部材32との干渉防止手段として、外形を球面状としたドーナツ形状をなすリンクハブである入力部材4とその入力部材4の取り付け部材32との間にスペーサ33を介設している。この入力部材4は、外形を球面状としたドーナツ形状を有することから、端部リンク部材1a〜3aと干渉しないようになっているが、その入力部材4の取り付け部材32との干渉を防止するためにスペーサ33を設置する。
ここで、中間リンク部材1b〜3bと端部リンク部材1a〜3aの回転対偶部6b1〜8b1の内側端面34から、入力部材4と端部リンク部材6a〜8aの軸中心Oまでの距離をSとすると、スペーサ33の厚みGは、G≧[R・sin(E)+B・cos(E)]−Dとすればよい。また、スペーサ33の径寸法については、端部リンク部材1a〜3aと干渉しないように設定すればよく、例えば図示のごとく、入力部材4の下端最小径寸法と合致させればよい。
図6〜図10は、端部リンク部材1a〜3a,1c〜3cと他の構成部品との干渉を防止する手段を講じた例を示し、以下に各実施形態を説明する。各実施形態では、図1に示すリンク作動装置に適用した場合について説明するが、図2に示すリンク作動装置にも適用可能であることは勿論である。
図6は、図1のリンク機構を鏡像対称タイプとし、そのリンク機構が高折れ角(例えば90°)をとった状態を示す。鏡像対称タイプのリンク機構1〜3は、入力部材4および入力側の端部リンク部材1a〜3aと出力部材5および出力側の端部リンク部材1c〜3cの位置関係が、中央リンク部材1b〜3bの中心線に対して互いに鏡像対称となる位置構成になっている。
この実施形態では、入出力側の端部リンク部材1a〜3a,1c〜3cが略L字状をなすアーム形状であり、その先端に中央リンク部材1b〜3bとの回転対偶部6b1,6b2〜8b1,8b2を有する。このようにリンク機構1〜3が高折れ角をとった場合、同一リンク内の入力側の端部リンク部材1a〜3aと出力側の端部リンク部材1c〜3cが相互に接近するため(図中A部分)、この中央リンク部材1b〜3bを長くすれば、この部分での干渉を防止することができるが、機構全体の高さが大きくなってしまう。
そこで、同一リンク内の入力側の端部リンク部材1a〜3aと出力側の端部リンク部材1c〜3cとの干渉を防止する手段として、入出力側の端部リンク部材1a〜3a,1c〜3cのアーム彎曲部となる部位の両側縁部を面取りする。このように面取り部35を形成したことにより、中央リンク部材1b〜3bをより一層短くすることができるため、リンク機構全体のコンパクト化を実現できる。この面取り部35は、図7に示すようにアームの全体に亘って形成したり、図8に示すようにアーム彎曲部となる必要な部位のみに形成してもよい。
また、図9に示す実施形態では、中央リンク部材1b〜3bとの回転対偶部6b1〜8b1を有する入力側の端部リンク部材1a〜3aについて、その回転対偶部6b1〜8b1が設けられたアーム先端の連結部の内側に平坦部36を形成する。このような平坦部36を形成すれば、端部リンク部材1a〜3aのアーム先端が入力部材4と干渉することを未然に防止することができる。なお、中央リンク部材1b〜3bとの回転対偶部6b2〜8b2を有する出力側の端部リンク部材1c〜3cについても同様に、アーム先端の連結部の内側に平坦部36を形成することが望ましい。
このように回転対偶部6b1〜8b1が設けられたアーム先端の連結部の内側に平坦部36を形成しておけば、例えば、リンク機構1〜3の組み立て時、その回転対偶部6b1〜8b1に軸受を圧入するに際して、図10に示すような治具37を用いることにより、アーム先端の連結部内側の平坦部36で端部リンク部材1a〜3aがしっかりと固定されるため、回転対偶部6b1〜8b1への軸受圧入が容易に行える。
図11は、入力側の端部リンク部材1a〜3aと中央リンク部材1b〜3bの回転対偶部6b1〜8b1と、出力側の端部リンク部材1c〜3cと中央リンク部材1b〜3bの回転対偶部6b2〜8b2とが干渉することを防止する手段を講じた一例を示す。この回転対偶部同士の干渉防止手段として、中央リンク部材1b〜3bを長くすればよいが、その場合、リンク機構全体が大きくなってしまう。
そこで、図11に示す実施形態では、入力側の端部リンク部材1a〜3aの回転対偶部6b1〜8b1の外側端面と、出力側の端部リンク部材1c〜3cの回転対偶部6b2〜8b2の外側端面を面取りする。このように回転対偶部6b1〜8b1と回転対偶部6b2〜8b2に面取り部38を形成したことにより、中央リンク部材1b〜3bを短くできるため、リンク機構の全体をより一層コンパクト化することができる。この場合、両面取り部38のテーパ面同士が平行となるように、面取り角度Hを、H=γ/2とすることが有効である。
なお、この面取り部38は、回転対偶部6b1〜8b1と回転対偶部6b2〜8b2の外側端面の全周に亘って形成してもよいが、リンク機構がとり得る最大折れ角θmaxにより、中央リンク部材1b〜3bに対する端部リンク部材1a〜3a,1c〜3cの回転範囲が規制されるため、回転対偶部6b1〜8b1と回転対偶部6b2〜8b2の外側端面の全周のうち、必要な領域のみに形成してもよい。
図12〜図14は、端部リンク部材1a〜3a,1c〜3cと中央リンク部材1b〜3bとの干渉を防止する手段を講じた一例を示し、以下にその実施形態を説明する。実施形態では、図2に示すリンク作動装置に適用した場合について説明する。
図12は、端部リンク部材1a〜3a,1c〜3cを両端支持する回転対偶部6b1〜8b1,6b2〜8b2を有する中間リンク部材1b〜3bの形状を示す。図13に示すように端部リンク部材1a〜3a,1c〜3cと中央リンク部材1b〜3bとが折り畳まれるように接近した状態となった時、その両部材がなす最小角度Tmin、つまり、二つの回転対偶部6b1〜8b1,6b2〜8b2を結ぶ中央リンク部材1b〜3bの軸線に対して端部リンク部材1a〜3a,1c〜3cがなす最小角度は、リンク機構がとり得る最大折れ角θmaxと中央リンク部材1b〜3bの軸角γより求めることができる。つまり、Tmin=sin-1([tan(γ/2)/tan((θmax+γ)/2)]0.5)となる。
ここで、中央リンク部材1b〜3bに対する端部リンク部材1a〜3a,1c〜3cの回転範囲Tは、T=2×(90−Tmin)となるため、中央リンク部材1b〜3bを端部リンク部材1a〜3a,1c〜3cの回転範囲T分だけ除肉する(図12中のXは、除肉部を示す)。このように中央リンク部材1b〜3bを除肉すれば、端部リンク部材1a〜3a,1c〜3cと中央リンク部材1b〜3bとの干渉を防止することができると共に、その中央リンク部材1b〜3bが強度的にも優れた構造となり得る。また、図14に示すように中央リンク部材1b〜3bの除肉部Xの端面39が非除肉部の端面40となす角度Iは、端部リンク部材1a〜3a,1c〜3cと中央リンク部材1b〜3bが折り畳まれる最小角度Tminを、Tmin=Iとなるようにすれば有効である。
図15〜図17は、リンク機構の組立性および加工性を考慮した入力部材4の形状の一例を示し、以下にその実施形態を説明する。実施形態では、図1に示すリンク作動装置に適用した場合について説明する。なお、出力部材5についても同様に適用可能であることは勿論である。
図15に示す実施形態では、入力側の端部リンク部材1a〜3aとの回転対偶部6a〜8aの軸43を一体に設けた入力部材4について、その回転対偶部6a〜8aの軸43を加工するに際しては、この入力部材4を安定した姿勢に保持するため、また、その軸43に軸受を容易に組み込むために平坦部41を設けている。このように入力部材4の軸43間に位置する外周面に平坦部41を形成したことにより、その軸43の加工および軸受の組み込みが容易となる。
また、図16および図17に示す実施形態では、入力側の端部リンク部材1a〜3aとの回転対偶部6a〜8aの軸を別体で取り付ける入力部材4について、その回転対偶部6a〜8aの軸を装着するための貫通孔等の取り付け部44間に位置する外周面に平坦部42を形成する。この平坦部42は、対向する端部リンク部材との回転対偶部6a〜8aの軸に対して垂直平面となるように形成すればよい。このように平坦部42を形成したことにより、入力部材4に貫通孔等の取り付け部44を加工するに際して、この入力部材4を安定した姿勢に保持することができ、また、その貫通孔等の取り付け部44に軸を装着する組み込みが容易となる。
本発明の実施形態で、三組のリンク機構を具備した片持ち支持タイプであり、回転対称となるリンク作動装置を示す斜視図である。 本発明の実施形態で、三組のリンク機構を具備した両端支持タイプのリンク作動装置を示す斜視図である。 図2に示す実施形態のリンク作動装置において、入力側端部リンク部材と中央リンク部材の回転対偶部が入力部材と干渉することを防止する手段を講じた一例を示す概略構成図である。 図2に示す実施形態のリンク作動装置において、入力側端部リンク部材と中央リンク部材の回転対偶部が入力部材と干渉することを防止する手段を講じた他例を示す概略構成図である。 図1に示す実施形態のリンク作動装置において、入力側端部リンク部材と中央リンク部材の回転対偶部が入力部材の取り付け部材と干渉することを防止する手段を講じた一例を示す概略構成図である。 図1に示す実施形態の鏡像対称となるリンク作動装置が高折れ角をとった状態を示す斜視図である。 端部リンク部材同士が干渉することを防止する手段を講じた一例を示す端部リンク部材の斜視図である。 端部リンク部材同士が干渉することを防止する手段を講じた他例を示す端部リンク部材の正面図である。 端部リンク部材のアーム先端が入力部材と干渉することを未然に防止する手段を講じた一例を示す断面図である。 端部リンク部材の回転対偶部に軸受を圧入する際に、端部リンク部材を治具に固定した状態を示す説明図である。 入力側の端部リンク部材と中央リンク部材の回転対偶部と、出力側の端部リンク部材と中央リンク部材の回転対偶部とが干渉することを防止する手段を講じた一例を示す概略構成図である。 端部リンク部材と中央リンク部材との干渉を防止する手段を講じた一例を示す中央リンク部材の斜視図である。 中央リンク部材に対する端部リンク部材の回転範囲を説明するための正面図である。 図12の中央リンク部材を示す正面図である。 リンク機構の組立性および加工性を考慮した入力部材の形状の一例を示す平面図である。 リンク機構の組立性および加工性を考慮した入力部材の形状の他例を示す正面図である。 図16の平面図である。
符号の説明
1〜3 リンク機構
1a〜3a,1c〜3c 端部リンク部材
1b〜3b 中央リンク部材
4 入力部材
5 出力部材
6a〜8a 回転対偶部
6b1,6b2〜8b1,8b2 回転対偶部
6c〜8c 回転対偶部
9a,9b 軸受
31 面取り部
33 スペーサ
35 面取り部
36 平坦部
41 平坦部
42 平坦部
X 除肉部

Claims (5)

  1. 入出力側にそれぞれ配された入出力部材に対して回転可能に端部リンク部材を連結し、入力側と出力側のそれぞれの端部リンク部材を中央リンク部材に対して回転可能に連結した四つの回転対偶部からなるリンク機構を三組以上有し、各リンク機構の中央部における横断面に関して入力側と出力側を幾何学的に同一としたリンク作動装置において、前記入力部材あるいは出力部材のリンク側外周縁部に、端部リンク部材の中央リンク側回転対偶部の外径面との干渉を防止するための面取り部を形成し、前記面取り部は、リンク機構の最大折れ角をθmax、中央リンク部材の軸角をγとした場合、その面取り角度FがF=(θmax−γ)/2の条件を満足するテーパ面を有することを特徴とするリンク作動装置。
  2. 入出力側にそれぞれ配された入出力部材に対して回転可能に端部リンク部材を連結し、入力側と出力側のそれぞれの端部リンク部材を中央リンク部材に対して回転可能に連結した四つの回転対偶部からなるリンク機構を三組以上有し、各リンク機構の中央部における横断面に関して入力側と出力側を幾何学的に同一としたリンク作動装置において、前記端部リンク部材の中央リンク側回転対偶部の内側端面と入出力側回転対偶部の軸中心との距離をS、前記端部リンク部材の中央リンク側回転対偶部の外径面と中央リンク側回転対偶部の軸線との距離をBとした場合、端部リンク部材が入出力部材に最接近する回転角度E=(θmax−γ)/2に基づいて、入出力部材の形状を、端部リンク部材の中央リンク側回転対偶部の外径面との干渉を防止するための外形寸法Qが、Q≦[S−Btan(E)]・cos(E)の条件を満足するように規定したことを特徴とするリンク作動装置。
  3. 入出力側にそれぞれ配された入出力部材に対して回転可能に端部リンク部材を連結し、入力側と出力側のそれぞれの端部リンク部材を中央リンク部材に対して回転可能に連結した四つの回転対偶部からなるリンク機構を三組以上有し、各リンク機構の中央部における横断面に関して入力側と出力側を幾何学的に同一としたリンク作動装置において、前記端部リンク部材の中央リンク側回転対偶部の外径面との干渉を防止するためのスペーサを入出力部材に付設し、前記端部リンク部材の中央リンク側回転対偶部の外側端面と入出力側回転対偶部の軸中心との距離をR、前記スペーサとの接合面から端部リンク部材の入出力側回転対偶部の軸中心までの距離をDとした場合、前記スペーサの厚みGを、G≧[R・sin(E)+B・cos(E)]−Dの条件を満足するように規定したことを特徴とするリンク作動装置。
  4. 入出力側にそれぞれ配された入出力部材に対して回転可能に端部リンク部材を連結し、入力側と出力側のそれぞれの端部リンク部材を中央リンク部材に対して回転可能に連結した四つの回転対偶部からなるリンク機構を三組以上有し、各リンク機構の中央部における横断面に関して入力側と出力側を幾何学的に同一としたリンク作動装置において、前記入力側端部リンク部材の中央リンク側回転対偶部と出力側端部リンク部材の中央リンク側回転対偶部の外側端面に、両端部リンク部材の回転対偶部同士の干渉を防止する面取り部を形成し、前記面取り部は、中央リンク部材の軸角をγとした場合、その面取り角度HがH=γ/2の条件を満足するテーパ面を有することを特徴とするリンク作動装置。
  5. 入出力側にそれぞれ配された入出力部材に対して回転可能に端部リンク部材を連結し、入力側と出力側のそれぞれの端部リンク部材を中央リンク部材に対して回転可能に連結した四つの回転対偶部からなるリンク機構を三組以上有し、各リンク機構の中央部における横断面に関して入力側と出力側を幾何学的に同一としたリンク作動装置において、前記端部リンク部材を両端支持する回転対偶部を有する中央リンク部材を、その中央リンク部材に対する端部リンク部材の回転範囲T=2×(90−Tmin)に合わせて部分的に除肉し、前記中央リンク部材と端部リンク部材の干渉を防止する除肉部を形成し、前記除肉部は、中央リンク部材に端部リンク部材が折り畳まれた時に両部材がなす最小角度Tminのテーパ面を持ち、前記最小角度Tminは、リンク機構の最大折れ角θmaxと中央リンク部材の軸角γより、Tmin=sin -1 ([tan(γ/2)/tan((θmax+γ)/2)] 0.5 )から求められることを特徴とするリンク作動装置。
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