JP4467839B2 - ボールねじ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ナット部材がボールを介してねじ軸に螺合し、例えば工作機械のワークテーブル等においてモータの回転運動を直線運動に変換するボールねじ装置に係り、詳細には、略U字状のリターンパイプをナット部材に装着してボールの無限循環路を形成するタイプのボールねじ装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
所謂リターンパイプを用いてボールの無限循環路を形成したボールねじ装置としては種々のものが知られている。これらボールねじ装置は、図14に示すように、螺旋状のボール転動溝10が形成されたねじ軸1と、上記ボール転動溝10に対向する螺旋状の負荷転動溝を有すると共にボール3を介して上記ねじ軸1に螺合するナット部材2と、このナット部材2に装着されてボール3の無限循環路を形成するリターンパイプ4とを備えている。
【0003】
図15に示すように、かかるリターンパイプ4は、ナット部材2に挿入される一対の脚部40と、これら脚部40同士を連結する連絡通路部41とを備えて断面略U字状に形成されており、一方の脚部40から他方の脚部40に向けて内部をボール3が転走し得るようになっている。一方、上記ナット部材2にはリターンパイプ4の脚部40を挿入するためのボール通し孔がナット部材の中心軸線を挟むようにして一対形成されており、これらボール通し孔はナット部材の内周面に対して接線状に開設されている。また、これらのボール通し孔は負荷転動溝の数巻分を隔てて形成されている。そして、このボール通し孔に対してリターンパイプ4の脚部20を挿入すると、各脚部40がナット部材2の内周面に僅かに突出し、ねじ軸1のボール転走溝10からボール3をリターンパイプ4内に掬い上げるように構成されている。従って、ねじ軸1のボール転動溝10とナット部材2の負荷転動溝との間で荷重を負荷しながら転動してきたボール3は、リターンパイプ4の脚部40が突出する位置に到達すると、荷重から開放されると共にねじ軸1のボール転動溝10から離脱し、リターンパイプ4内を無負荷状態で転動して数巻分前のボール転動溝10に戻される。すなわち、リターンパイプ4をナット部材2に装着することによってボール3の無限循環路が形成されることになる。
【0004】
ところで、ボールをねじ軸のボール転動溝からリターンパイプ内に円滑に掬い上げるに当たっては、ボールの転動方向、すなわち螺旋状のボール転動溝を放射状に延伸させた方向に沿って掬い上げるのが効果的である。そのためには図15に示すように、リターンパイプ4の脚部40がボール転動溝10のリード角αと合致した角度だけ、ねじ軸に垂直な断面から軸方向へ傾斜している必要がある。また、リターンパイプ4はナット部材2の中心軸線を跨ぐようにして該ナット部材2に装着されるため、各脚部20についてはボール転走溝10のリード角αの傾斜方向が相反する方向となり、一対の脚部40は平行ではなく、互いに捩じれるようにして連結通路部41の両端に形成されている必要がある。
【0005】
しかし、この従来のリターンパイプの形状を考慮した場合、かかるリターンパイプの各脚部を順番にナット部材のボール通し孔へ挿入することは物理的に困難であり、リターンパイプをナット部材の中心軸線に対して垂直な方向(図14の紙面上方)からアプローチさせ、一対の脚部を同時にナット部材のボール通し孔に挿入する必要があった。そのためにはリターンパイプの脚部が挿入されるボール通し孔をナット部材の中心軸線に対して垂直に開設しなければならず、リターンパイプの脚部がボール転動溝のリード角と合致して傾斜している結果として、ボール通し孔の内径を実際のリターンパイプの外径よりも大きく設定しなければならなかった。
【0006】
このため、従来のボールねじ装置ではナット部材のボール通し孔にリターンパイプの脚部を挿入したのみでは、かかるリターンパイプを正確に位置決めすることができず、ボール通し孔に対する脚部の挿入後に実際にボールを転動させながら手作業でリターンパイプの位置決めを行う必要があった。また、ボール通し孔の内径の方がリターンパイプの外径よりも大きいので、これらの隙間からナット部材の内部に塵芥が侵入し、ボールの円滑な循環が早期に損なわれる懸念もあった。
【0007】
一方、ナット部材の内周面には所定のリード角で負荷転動溝が形成されていることから、内径の大きなボール通し孔を中心軸線と垂直な方向から開設した場合には、かかるボール通し孔が隣接する負荷転動溝と干渉してしまう懸念もあり、特に、リード長が短く、しかもボール径が大きい場合には、ボール通し孔を開設することが困難であった。
【0008】
本発明はこのような問題点に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、面倒な位置決め作業を行わずともリターンパイプをナット部材に対して正確に位置決め固定することが可能であると共に、ナット部材の内部に対して塵芥が侵入する懸念もなく、ボールを長期にわたって円滑に無限循環させることが可能なリターンパイプ式のボールねじ装置を提供することにある。
【0009】
また、本発明の他の目的は、螺旋状のボール転動溝のリード長が小さく、且つ、無限循環するボールの径が大きい場合であっても、リターンパイプによってボールを無限循環させることが可能なボールねじ装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のボールねじ装置は、所定のリード角で螺旋状のボール転動溝が形成されたねじ軸と、このねじ軸が貫通する貫通孔を有すると共にこの貫通孔の内周面には上記ボール転動溝に対向する螺旋状の負荷転動溝が形成され、これらボール転動溝と負荷転動溝を転動する多数のボールを介して上記ねじ軸に螺合するナット部材と、このナット部材に対して貫通形成されると共に上記負荷転動溝の両端と連続する一対のボール通し孔と、これらボール通し孔に挿入される一対の脚部を有すると共に上記ナット部材に装着されてボールの無限循環路を形成するリターンパイプと、から構成され、上記ボール通し孔はねじ軸のボール転動溝のリード角と合致した角度だけ、ねじ軸に垂直な断面から軸方向へ傾斜して形成される一方、上記リターンパイプは上記ボール通し孔に適合する一対のリターンピースを有することを特徴とするものである。
【0011】
この本発明のボールねじ装置では、ナット部材の負荷転動溝とねじ軸のボール転動溝との間で荷重を負荷しながら転動してきたボールを円滑にリターンパイプに進入させるため、上記ナット部材に形成されるボール通し孔はねじ軸のボール転動溝のリード角と合致した角度だけねじ軸に垂直な断面から軸方向へ傾斜して形成されている。また、リターンパイプは上記ボール通し孔に適合する一対のリターンピースを組み合わせて形成されているので、各リターンピースを個別にナット部材のボール通し孔に挿入して固定することができる。このため、リターンピースが挿入されるナット部材のボール通し孔は該リターンピースの外径と同じ内径であれば足り、かかるリターンピースをナット部材のボール通し孔に挿入するのみで該リターンピースを正確に位置決めすることができる。また、ナット部材に開設するボール通し孔はリターンピースが隙間なく嵌合する大きさに形成すれば良いので、かかるボール通し孔とリターンピースとの間に隙間が生じることはなく、かかる隙間からナット部材の内部に対して塵芥が侵入するのを未然に防止することができきる。
【0012】
また、ナット部材に開設するボール通し孔はリターンピースが隙間なく嵌合する大きさであれば良いので、かかるボール通し孔が隣接する負荷転動溝と干渉することはなく、ボール転動溝のリード長が小さく且つボール径が大きい場合であっても、リターンパイプによってボールの無限循環路を形成することが可能となる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づいて本発明のボールねじ装置を詳細に説明する。
本発明のボールねじ装置は、図14に示した従来のボールねじ装置と同様、螺旋状のボール転動溝10が形成されたねじ軸1と、多数のボール3を介してこのねじ軸1に螺合するナット部材2と、このナット部材2に装着されてボール3の無限循環路を形成するリターンパイプとから構成されている。
【0014】
図1は本発明のボールねじ装置におけるボール3の無限循環路の形成状態を示す断面図である。このボールねじ装置においてもリターンパイプ5をナット部材2に装着してボール3の無限循環路を形成している点は従来のボールねじ装置と同じである。但し、かかるリターンパイプ5は、ナット部材2に対して直接位置決め固定される一対のリターンピース50と、これらリターンピース50に対して位置決め固定される連結通路ピース51とから構成されており、この点においてU字型の単一ピースから構成されていた従来のリターンパイプ4と異なっている。
【0015】
図2はこのリターンパイプ5を示す分解斜視図である。上記リターンピース50はボール3が通過するためのリターン通路52を内部に有する一方、外観はナット部材2に対する位置決めを容易とするために略矩形状に形成されており、ナット部材2に切り欠かれたボール通し孔に対して隙間なく嵌合するように構成されている。このリターンピース50をナット部材2のボール通し孔に嵌合させると、その一部がナット部材2の内周面20からねじ軸1に向けて突出するが、この突出端はねじ軸1と干渉することがないよう円弧状に切りかかれ、ねじ軸1のボール転動溝10を転動するボール3を上記リターン通路52内に導くための掬い上げ部53を構成している。すなわち、この掬い上げ部53は貫通孔52のねじ軸1側の端部を円弧状に切り欠くようにして形成されていることから、貫通孔52と連通する開口の幅が徐々に狭くなるように形成され、ボール3はこの掬い上げ部53に到達すると、両側から抱き抱えられるようにしてねじ軸1のボール転動溝10から持ち上げられ、リターンピース50の貫通孔52内に転がり込む。
【0016】
一方、上記連絡通路ピース51は略U字型に形成されており、その内部にはボール戻し通路54が貫通形成されている。この連絡通路ピース51の両端は上記リターンピース50の上面に接続されるが、かかるリターンピース50の上面には連絡通路ピース51の端面が嵌合する環状溝55が形成されており、リターンピース50に対して連絡通路ピース51を正確に位置決めして、リターンピース50の貫通孔52と連絡通路ピース51のボール戻し通路54とを段差なく連結し得るようになっている。
【0017】
図3及び図4は、ナット部材2に対してリターンピース50及び連絡通路ピース51を固定した状態を示す斜視図及び平面図である。このナット部材2にはボール3の無限循環路が3条形成されており、これら無限循環路に対応してリターンピース50及び連絡通路ピース51からなるリターンパイプ5も三組がナット部材2に固定されるようになっている。図4の紙面において、3組のボール無限循環路のうち、一番手前側に位置する無限循環路では既にリターンピース50及び連絡通路ピース51がナット部材2に取り付けられているが、2番目の無限循環路ではリターンピース50のみがナット部材2に取り付けられており、また、3番目の無限循環路ではリターンピース50もナット部材2に取り付けられていない。これらの図に示されるように、ナット部材2にはリターンピース50を固定するためのボール通し孔20が開設されており、リターンピース50はこのボール通し孔20に嵌合することによってナット部材2に正確に位置決めされるようになっている。このボール通し孔20はナット部材2の内周面に形成されたボール3の負荷転走溝に対応した位置に形成され、しかもナット部材2の外周面と内周面とを貫通するようにして形成されており、図4に示すように、ナット部材2の外側からボール通し孔20内を覗き込んだ際に、ナット部材2の内周面に形成された負荷転走溝21の断面形状が見えるようになっている。
【0018】
かかるボール通し孔20の内側壁は負荷転走溝21のリード角αに合致した角度だけねじ軸1に垂直な断面から軸方向へ傾斜しており、図5に示すように、上記リターンピース50はリード角αに合致した方向からボール通し孔20に挿入し得るようになっている。従って、かかるボール通し孔20の内側壁がリターンピース50をナット部材2の軸方向に関して位置決めするように構成されている。また、ボール通し孔20内にはナット部材2の半径方向に関してリターンピース50を位置決めするための段部22が形成されており、かかる段部22には固定ねじ23が螺合するタップ孔24が加工されている。これにより、リターンピース50をナット部材2のボール通し孔20に嵌合させ、更に固定ねじ23を締結することにより、かかるリターンピース50をナット部材2に対して正確に位置決めし、リターンピース50の掬い上げ部53とナット部材2の負荷転走溝21とを正確に対応させることができるようになっている。
【0019】
また、連絡通路ピース51が接合されるリターンピース50の上面は、かかるリターンピース50をナット部材2のボール通し孔20に嵌合させた際に、ナット部材2の中心軸線と平行となるように形成されている。このため、リターンピース50をナット部材2に対して固定した状態では、連絡通路ピース51をナット部材2に対してその中心軸線と垂直な方向からアプローチさせ、かかる連絡通路ピース51の端部開口をリターンピース50の環状溝55に対して嵌合させることができる。従って、連絡通路ピース51は既にナット部材2に固定された一対のリターンピース50に対して同時に且つ簡単に結合することができ、リターンピース50の貫通孔52と連絡通路ピース51のボール戻し通路54とを正確に連結することができる。尚、図5に示すように、連絡通路ピース51の上からはパイプ押え部材6がナット部材2に対して固定され、これによって連絡通路ピース51がナット部材2に対して固定されるようになっている。
【0020】
そして、このように構成された本発明のボールねじ装置によれば、そのリターンパイプ5を構成するリターンピース50がナット部材2のボール通し孔20に対してボール転動溝10のリード角αと合致した方向から挿入し得るので、かかるボール通し孔20はリターンピース50の大きさに合致したものであれば良く、ボール通し孔20に対するリターンピース50の嵌合のみによって該リターンピース50を正確に位置決めすることが可能となる。また、このリターンピース50にはボール転動溝10のリード角αと合致した方向に沿ってボール3の掬い上げ部53が形成されていることから、ねじ軸1のボール転動溝10内を転動するボール3をリターンピース50の貫通孔52に対して円滑に誘導することも可能となる。
【0021】
一方、ナット部材2に形成されるボール通し孔20はボール転動溝10のリード角αと合致した方向に沿って形成されることから、ナット部材2の負荷転動溝21を転動するボール3の径が大きい場合であっても、かかるボール通し孔20が一巻分だけ隣の負荷転動溝21と干渉してしまうことはなく、ボール転動溝10のリード長が小さく且つボール3の径が大きい場合でも、リターンパイプ方式によってボール3の無限循環路を形成することが可能となる。
【0022】
図6及び図7は本発明を適用したボールねじ装置の第2実施例を示すものである。このボールねじ装置は、螺旋状のボール転動溝10が形成されたねじ軸1と、多数のボール(図示せず)を介してこのねじ軸1に螺合するナット部材7と、このナット部材7に装着されてボールの無限循環路を形成するリターンパイプ8とから構成されている。
【0023】
上記ナット部材7にはねじ軸が貫通する貫通孔70が形成されており、かかる貫通孔70の内周面とねじ軸1の外周面との間には僅かな隙間が存在している。また、この貫通孔70の内周面にはボールが転動する螺旋状の負荷転動溝(図示せず)が形成されており、この負荷転動溝はねじ軸1のボール転動溝10と同一のリードで形成されている。従って、ねじ軸1のボール転動溝10とナット部材7の負荷転動溝とは互いに対向しており、ボールはこれらボール転動溝10と負荷転動溝とに挟まれ、ナット部材7とねじ軸1との隙間に螺旋状に配列されている。そして、ねじ軸1がナット部材7に対して回転すると、ボールが荷重を負荷しながらボール転動溝10及び負荷転動溝を転動し、これに伴ってナット部材7がねじ軸1の周囲を軸方向へ直線移動するようになっている。
【0024】
上記リターンパイプ8はナット部材7の負荷転動溝の終端と始端とを接続し、ねじ軸1の回転に伴って負荷転動溝の終端に到達したボールを該負荷転動溝の始端に戻し、ボールが無限循環するための循環路を形成している。この実施例におけるリターンパイプ8は一対のリターンピース80,80から構成されている。図8はこのリターンピース80を示すものである。このリターンピース80はナット部材7に挿入される脚部81、及びナット部材7の外周面に固定される頭部82を備えて略L字状に形成されており、かかる頭部82を貫通してナット部材7に螺合するボルト83によって該ナット部材7に固定されるようになっている。また、このリターンピース80にはボール3の直径よりも僅かに大きな直径を有するリターン通路84がL字型に形成されており、ボール3はこのリターン通路84内を荷重を負荷することなく自由に転動することができるようになっている。
【0025】
図7に示すように、一対のリターンピース80は互いに逆向きにナット部材7に固定されている。そして、これらのリターンピース80をナット部材7に対して完全に固定することにより、各リターンピース80の頭部82同士が隙間なく接触し、上記リターン通路84の頭部82側の開口が結合され、ボール3が一方のリターンピース80のリターン通路84から他方のリターンピース80のリターン通路84へ連続して転動することができるようになっている。
【0026】
一方、ナット部材7には、内周面と外周面とを貫くボール通し孔71が形成されており、各リターンピース80は脚部81をこのボール通し孔71に挿入することによってナット部材7に位置決めされている。図9はボール3の無限循環路の形成状態を示す断面図である。上記リターンピース80の外観はナット部材7に対する位置決めを容易とするために略矩形状に形成されており、ナット部材7のボール通し孔71に対して隙間なく嵌合するように構成されている。このリターンピース80をナット部材7のボール通し孔71に嵌合させると、その一部がナット部材7の貫通孔70の内周面からねじ軸1に向けて突出するが、この突出端はねじ軸1と干渉することがないよう円弧状に切りかかれ、第1実施例のリターンピース50と同様、ねじ軸1のボール転動溝10を転動するボール3を上記リターン通路84内に導くための掬い上げ部85を構成している。リターンピース80に形成されたリターン通路84はナット部材7の負荷転動溝に対して接線方向へ延びており、かかる負荷転動溝を転動してきたボール3が円滑にリターン通路84へ進入することができるようになっている。
【0027】
図10に示すように、かかるボール通し孔71の内側壁は負荷転走溝のリード角αに合致して傾斜しており、上記リターンピース80はリード角αに合致した方向からボール通し孔71に挿入し得るようになっている。従って、かかるボール通し孔71の内側壁がリターンピース80をナット部材7の軸方向に関して位置決めするように構成されており、かかるリターンピース80をナット部材7に対して正確に位置決めし、リターンピース80の掬い上げ部85とナット部材7の負荷転走溝とを正確に対応させることができるようになっている。
【0028】
そして、このように構成された本発明のボールねじ装置によっても、そのリターンパイプ8を構成するリターンピース80がナット部材7のボール通し孔71に対してボール転動溝10のリード角αと合致した方向から挿入されるので、かかるボール通し孔71はリターンピース80の脚部81大きさに合致したものであれば良く、ボール通し孔71に対するリターンピース80の嵌合のみによって該リターンピース80を正確に位置決めすることが可能となるものである。また、ナット部材7の負荷転動溝を転動するボール3の径が大きい場合であっても、かかるボール通し孔71が一巻分だけ隣の負荷転動溝と干渉してしまうことはなく、ボール転動溝10のリード長が小さく且つボール3の径が大きい場合でも、リターンパイプ方式によってボール3の無限循環路を形成することが可能となるものである。
【0029】
また、この第2実施例のボールねじ装置では、図11に示すように、一対のリターンピース80の頭部82の間に直線状の連絡通路ピース86を介在させるように構成することもできる。このように構成すれば、ボールの無限循環路内に含める負荷転動溝の巻き数を増加させることができ、ボールねじ装置の負荷容量を向上させることができる。
【0030】
尚、第1及び第2実施例に示したナット部材では、かかるナット部材に対するボール通し孔20,71の加工を容易なものとし、且つ、ボール通し孔に対するリターンピースの嵌合作業を容易なものとするため、ナット部材2,7を円周方向に切り欠くようにしてボール通し孔20,71を形成している。しかし、本発明ではリターンピースを負荷転動溝の接線方向に沿って挿入し得る程度の大きさのボール通し孔をナット部材に開設すれば足りる。例えば、図12に示すように、ナット部材7に対してはリターンピース80の脚部81が隙間なく嵌合するホール通し孔72を形成し、このボール通し孔72をリターンピース80の脚部81が完全に塞ぐように構成することができる。
【0031】
すなわち、本発明では、図13に示すように、ボール通し孔71が螺旋状の負荷転動溝を放射状に延ばした方向に沿ってナット部材を貫通しており、このように形成されたボール通し孔71に対してリターンピース80が嵌合していれば良い。
【0032】
もっとも、前記実施例の如くナット部材2,7を円周方向へ切り欠くようにしてボール通し孔20,71を形成する場合は、かかるボール通し孔20,71をフライス加工等によって精度良く且つ簡便に形成することができ、ボール循環の円滑なボールねじ装置をより安価に生産することが可能となる。
【0033】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明のボールねじ装置によれば、ナット部材に形成される一対のボール通し孔はボール転動溝のリード角と合致した角度だけ軸方向へ傾斜して形成されているが、これらボール通し孔に挿入されるリターンパイプは一対のリターンピースを組み合わせて形成されているので、これらリターンピースが挿入されるナット部材のボール通し孔は該リターンピースの外径と同じ内径であれば足り、各リターンピースを個別にナット部材のボール通し孔に挿入するのみで該リターンピースを正確に位置決めすることができる。このため、面倒な位置決め作業を行わずともリターンパイプをナット部材に対して正確に位置決め固定することが可能である、また、ボール通し孔とリターンピースとの間に隙間が生じることもないので、ナット部材の内部に対して塵芥が侵入する懸念もなく、ボールを長期にわたって円滑に無限循環させることが可能となる。
【0034】
更に、ナット部材に開設するボール通し孔はリターンピースが隙間なく嵌合する大きさであれば良いので、かかるボール通し孔が隣接する負荷転動溝と干渉することはなく、ボール転動溝のリード長が小さく、且つ、無限循環するボールの径が大きい場合であっても、リターンパイプ方式によってボールねじ装置を構成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のボールねじ装置の第1実施例におけるボールの循環状態を示す図である。
【図2】 本発明のボールねじ装置のリターンパイプを示す分解斜視図である。
【図3】 本発明のボールねじ装置のナット部材を示す斜視図である。
【図4】 図3に示したナット部材の平面図である。
【図5】 ナット部材に対するリターンピース及び連絡通路ピースの装着の様子を示す側面図である。
【図6】 本発明のボールねじ装置の第2実施例を示す斜視図である。
【図7】 第2実施例に係るボールねじ装置を示す平面図である。
【図8】 第2実施例に係るリターンピースを示す斜視図である。
【図9】 第2実施例に係るボールねじ装置におけるボールの循環状態を示す図である。
【図10】 ナット部材に対するリターンピースの装着の様子を示す側面図である。
【図11】 第2実施例に係る一対のリターンピースの間に連絡通路ピースを介在させた例を示す斜視図である。
【図12】 第2実施例に係るボールねじ装置の変形例を示す斜視図である。
【図13】 本発明におけるボール通し孔と負荷転動溝との位置関係を示す概略図である。
【図14】 従来のボールねじ装置を示す斜視図である。
【図15】 従来のボールねじ装置におけるリターンパイプを示す斜視図である。
【符号の説明】
1…ねじ軸、2…ナット部材、3…ボール、5…リターンパイプ、20…ボール通し孔(ボール通し孔)、50…リターンピース、51…連絡通路ピース
Claims (3)
- 所定のリード角で螺旋状のボール転動溝が形成されたねじ軸と、このねじ軸が貫通する貫通孔を有すると共にこの貫通孔の内周面には上記ボール転動溝に対向する螺旋状の負荷転動溝が形成され、これらボール転動溝と負荷転動溝を転動する多数のボールを介して上記ねじ軸に螺合するナット部材と、このナット部材に対して貫通形成されると共に上記負荷転動溝の両端と連続する一対のボール通し孔と、これらボール通し孔に挿入される一対の脚部を有すると共に上記ナット部材に装着されてボールの無限循環路を形成するリターンパイプと、から構成され、
上記ボール通し孔はねじ軸のボール転動溝のリード角と合致した角度だけ、ねじ軸に垂直な断面から軸方向へ傾斜して形成される一方、
上記リターンパイプは上記ボール通し孔に適合すると共に上記ボール通し孔に対して上記ボール転動溝のリード角と合致した方向から挿入される一対のリターンピースと、上記ナット部材の外側で一対のリターンピースを連結する連絡通路ピースを有し、
上記連絡通路ピースが接合されるリターンピースの上面は、かかるリターンピースを上記ボール通し孔に嵌合させた際に、上記ナット部材の中心軸線と平行となるように形成されていることを特徴とするボールねじ装置。 - 上記ボール通し孔はナット部材を円周方向へ切り欠くようにして形成されていることを特徴とする請求項1記載のボールねじ装置。
- 上記リターンパイプを構成する一対のリターンピースは夫々が個別に上記ナット部材に対して位置決めされ、且つ、固定されていることを特徴とする請求項1記載のボールねじ装置。
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