JP4465735B2 - 磁気検出装置の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気抵抗素子の抵抗値変化を利用して被検出体の回転等の運動を検出する磁気検出装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の磁気検出装置は、例えば特開平6−174490号公報に記載されているように、ギヤ等の被検出体の回転を検出するものがある。このものは、例えばフェライト系プラスチックマグネット等のように樹脂を用いて中空円筒状に型成形されたバイアス磁石(磁石部)の中空部に、磁気抵抗素子を有し樹脂によりモールドされたモールド材(集積回路部)を貫通させ、両者を一体保持するようにしたものである。
【0003】
そして、バイアス磁石と被検出体との間に磁界を発生させ、被検出体の運動に応じた磁界の変化によって磁気抵抗素子に生じる抵抗値変化を、被検出体〜磁気抵抗素子〜バイアス磁石の磁気回路により検出することによって、被検出体の運動状態を検出できるようになっている。
ここで、磁石部と集積回路部との組付においては、従来、次のような方法が採用されていた。
【0004】
まず、モールドされた集積回路部と樹脂成形された磁石部とを位置決めピンで仮止めして位置決めを行い、該ピンを抜くと同時にもう一度樹脂成形(2次成形)を行い、磁石部と集積回路部との固定を完了させる方法がある。また、磁石部に対して集積回路部を接着したり、圧入したりすることにより、両者の固定を行うという方法もある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記位置決めピンを用いた方法では、上記2次成形にて集積回路部と磁石部の位置決めを行う。そのため、例えば、トリミングによる磁気特性の調整等、両者の固定が必要な工程を、2次成形前に行う場合には、上記位置決めピンを用いた方法を用いることはできない。
【0006】
また、上記接着による固定方法では、接着剤の硬化がバッチ処理となり、加工工数がかかるため、コストが高くなる。また、上記圧入による固定方法では、集積回路部と磁石部との寸法精度を出すことが困難であるため、圧入荷重の管理が難しいという問題がある。本発明は上記問題に鑑み、樹脂を用いて中空円筒状に型成形された磁石部と、磁気抵抗素子を有し樹脂によりモールドされ磁石部の中空穴に挿入固定された集積回路部との固定を、精度良く安価に実現する磁気検出装置の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明においては、樹脂を用いて型成形され被検出体との間に磁界を発生させる磁石部(20)と、該被検出体の運動に応じた前記磁界の変化により抵抗値変化を生じる磁気抵抗素子を有すると共にモールド用樹脂(12)によりモールドされた集積回路部(10)とを備え、該磁石部は中空円筒状に成形されており、該集積回路部が該磁石部の中空穴に挿入固定されるとともに該集積回路部の両端部が当該中空穴から露出するように、該磁石部と該集積回路部とを組付固定してなる磁気検出装置の製造方法であって、磁石部(20)と集積回路部(10)とが最終的に組付固定されたものの外周形状に対応する形状を有する射出成形用の成形型(30)を用意し、該集積回路部を該成形型内に固定配置した後、該成形型内に該磁石部を構成する樹脂を射出することにより、該集積回路部を包み込むような形態で該磁石部を成形することを特徴としている。
【0008】
本製造方法によれば、集積回路部を、最終的な装置の外周形状に対応する形状を有する成形型内に固定配置させることで、集積回路部の磁石部に対する位置決めが可能であり、その位置決めされた状態で射出成形を行うことにより、集積回路部の外周囲に磁石部を形成することができる。
よって、従来のように2次成形あるいは接着や圧入によらずに、集積回路部と磁石部との固定を精度良く安価に実現する磁気検出装置の製造方法を提供することができる。
【0009】
さらに、請求項1記載の発明のように、集積回路部(10)として、モールド用樹脂(12)の外表面に、成形後の磁石部(20)と係止可能な形状を有する係止部(13)が形成されているものを用いれば、特に該モールド用樹脂と該磁石部との密着性が弱い場合に、集積回路部と磁石部との固定をより確実なものとできる。
【0010】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図に示す実施形態について説明する。本実施形態の磁気検出装置は、例えば、エンジン回転センサ、カム角センサ、クランク角センサ、車速センサ、ATセンサ、車輪速センサ等、回転を行う被検出体(ギヤ等)の回転を検出する回転検出装置として適用することができる。図1は本実施形態に係る磁気検出装置100の全体構成を示す斜視図である。
【0012】
磁気検出装置100において、10はモールドIC(本発明の集積回路部)である。モールドIC10は、図示しないICチップや磁気抵抗素子等が搭載されたリードフレーム11が、エポキシ等の熱硬化性樹脂よりなるモールド用樹脂12により上記ICチップや磁気抵抗素子等を包み込むようにモールドされているものである。
【0013】
ここで、モールドIC10においては、モールド用樹脂12から露出するリードフレーム11部分が外部回路等と電気的に接続される部分を構成しており、リードフレーム11における該露出部と反対側のモールド用樹脂12で内包されている端部に、上記ICチップや磁気抵抗素子を搭載している。
20は、樹脂(プラスチックマグネット材料)を用いて中空円筒状に成形されたマグネット(本発明の磁石部)である。マグネット20は、例えばPPS(ポリフェニレンサルファイド)等の熱可塑性樹脂をバインダとしてフェライト等の磁性粉を混合したものを、射出成形することにより成形される。マグネット20は、その中空穴に挿入固定されたモールドIC10により支持されている。なお、モールドIC10におけるマグネット20の円筒軸回りの回転を防止するため、上記中空穴は、上記円筒軸と直交する断面形状を角穴形状、扁平穴形状等の真円でない形状とする。
【0014】
また、モールドIC10のモールド用樹脂12における上記中空穴から露出する両端部は、該両端部の間の部分(上記中空穴の内径)よりも厚さを厚くすることによって外方に突出させたズレ防止壁13が形成されている。このズレ防止壁13は、マグネット20の中空穴端部に係止されることによって、モールドIC10のマグネット20における円筒軸方向へのズレを防止する係止部として構成されている。
【0015】
かかる磁気検出装置100の検出作用は基本的に上記従来のものと同様である。即ち、マグネット20と歯車等の被検出体との間に磁界を発生させ、被検出体の運動に応じた磁界の変化によってモールドIC10の磁気抵抗素子に生じる抵抗値変化を、被検出体〜モールドIC10〜マグネット20の磁気回路を介して検出することにより、被検出体の運動状態を検出できる。
【0016】
次に、磁気検出装置100の製造方法について、図2も参照して述べる。図2は本製造方法に用いる成形型30の構成を示す図である。
まず、マグネット20とモールドIC10とが最終的に組付固定されたもの外周形状、即ち図1に示す磁気検出装置100の外周形状に対応する形状を有する射出成形用の成形型30を用意する。この成形型30は一対の分割型即ち上型(第1の型)31と下型(第2の型)32とからなり、両型31、32を合致させた状態で、型内部に上記の外周形状に対応する形状を形成する。また、型割部分(図示例では下型32側)には、樹脂注入用のランナー33及びゲート34が設けられている。
【0017】
そして、下型32にモールドIC10を配設し、上型31を下型32に合致させることにより、成形型30内にモールドIC10を固定支持する。なお、モールドIC10には上記ズレ防止壁13が予め形成してあるが、このズレ防止壁13は、モールドIC10のモールド用の型にズレ防止壁13に対応する形状を設けておくことで、モールドの際に形成できる。
【0018】
成形型30内にモールドIC10を固定配置すると、合致した成形型30内にはマグネット20に対応した形状の空間が形成される。次に、マグネット20を構成する樹脂(プラスチックマグネット材料)、例えば上記のPPS(ポリフェニレンサルファイド)等の熱可塑性樹脂をバインダとしてフェライト等の磁性粉を混合したものを、溶融状態にて上記のランナー33及びゲート34から成形型30内に射出する。
【0019】
そして、射出された樹脂が固化することで、モールドIC10を包み込むような形態でマグネット20が成形され、これを成形型30から取り出し、図1に示す磁気検出装置100が出来上がる。
このように、上記製造方法によれば、、一対の分割型31、32を合致させた状態で磁気検出装置100の外周形状に対応する形状を構成する成形型30内に、モールドIC10を配置するとともに、両分割型31、32の合致によってモールドIC10を挟み付けて固定支持することで、モールドIC10のマグネット20に対する寸法精度の良い位置決めが可能である。
【0020】
そして、その位置決めされた状態でマグネット20の成形材料の射出成形を行うことにより、モールドIC10の外周囲にマグネット20を形成することができる。つまり、マグネット20にモールドIC10がインサート成形された形となる。また、インサート品であるモールドIC10が成形品で、このモールドIC10が露出するようにマグネット20を成形することから、上記射出成形は二次成形といってもよいかもしれない。
【0021】
なお、インサート成形では必ず行うことであるが、モールドIC10の寸法とマグネット20の型(二次成形型)寸法との合わせ込みが必要である。この合わせ込みにより、マグネット20の射出成形(二次成形)におけるバリを極力抑え、バリ取りといった後工程を不要とすることが好ましい。
このように、本実施形態によれば、従来のように2次成形あるいは接着や圧入によらずに、集積回路部と磁石部との固定を位置決め精度良く安価に実現する磁気検出装置の製造方法を提供することができる。
【0022】
また、例えば、モールドIC10におけるモールド用樹脂12がエポキシ樹脂であり、マグネット20の構成樹脂がPPSである場合、モールド用樹脂12とマグネット20との密着性は弱いため、図1に示す様に、モールド用樹脂12の外表面に係止部としてのズレ防止壁13を形成し、モールドIC10とマグネット20との固定をより確実なものとすることが好ましい。なお、モールド用樹脂12とマグネット20との密着性が確保されるならば、係止部は無くても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る磁気検出装置の全体構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示す磁気検出装置の製造に用いられる成形型の構成図である。
【符号の説明】
10…モールドIC、12…モールド用樹脂、13…ズレ防止壁、
20…マグネット、30…成形型。
Claims (1)
- 樹脂を用いて型成形され、被検出体との間に磁界を発生させる磁石部(20)と、前記被検出体の運動に応じた前記磁界の変化により抵抗値変化を生じる磁気抵抗素子を有すると共に、モールド用樹脂(12)によりモールドされた集積回路部(10)とを備え、
前記磁石部は中空円筒状に成形されており、
前記集積回路部が前記磁石部の中空穴に挿入固定されるとともに前記集積回路部の両端部が当該中空穴から露出するように、前記磁石部と前記集積回路部とを組付固定してなる磁気検出装置の製造方法であって、
前記磁石部と前記集積回路部とが最終的に組付固定されたものの外周形状に対応する形状を有する射出成形用の成形型(30)を用意し、
前記集積回路部を前記成形型内に固定配置した後、前記成形型内に前記磁石部を構成する樹脂を射出することにより、前記集積回路部を包み込むような形態で前記磁石部を成形し、
さらに、前記集積回路部(10)として、前記モールド用樹脂(12)の外表面に、成形後の前記磁石部(20)と係止可能な形状を有する係止部(13)が形成されているものを用いることを特徴とする磁気検出装置の製造方法。
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