以下、図面を参照しながら、本発明にかかるダクト成形機の実施形態を具体的に説明し、合わせてこのダクト成形機によって製造されるコーナピースレス・ダクトとその製造方法等について具体的に説明する。
本実施形態にかかるコーナピースレス・ダクト(以下、単にダクトともいう)について説明する。
図1はダクトを構成する互いに隣接する板状部材のうちのおす型はぜ継手部を側端部に有する板状部材の、成形加工前の板状素材の形状を示す図、図2は同じくめす型はぜ形成部を側端部に有する板状素材の形状を示す図である。
おす型はぜ継手部17m(図6参照)を形成するためのおす型はぜ形成部7mを両側端に有する板状素材1Aは、その平面形状(展開形状)において、図1に図示するように、該板状素材1Aの長手方向(図1の矢印Za方向参照)の始端1sおよび終端1eから中央側(図1において上下方向の中央側)へ偏った部分に、板状素材1Aの幅方向(図1の矢印Ya方向参照)に延びる切り込み(第1の切り込み)2Aがそれぞれ形成されている。なお、前記始端1sおよび終端1eは、おり返し部分14b(図6参照)を具備するような本実施形態にかかる板状素材1Aにおいては物理的な端ではないが、前記おり返し部分14b(図6参照)は必ずしも必須の構成ではないことから、前記おり返し部分14b(図6参照)を除いた板状部材の端を、この説明では便宜上、板状部材の始端1sおよび板状部材の終端1eと呼ぶこととする。
また、前記第1の切り込み2Aから長手方向の中央側にさらに偏った部分に、第2の切り込み22が形成されている。この第1の切り込み2Aから第2の切り込み22までの寸法は、フランジ形成部3からフランジ部13(図6参照)を加工する際に、成形加工機のローラによって板状素材1Aを挟持することが可能な寸法又はそれ以上の寸法に設定される。具体的には、3cm〜6cm程度にすることが好ましい。なお、図8,図9に図示するように、前記第1の切り込み2Aから第2の切り込み22までの部分Gは、フランジ部13が形成された後、ダクトに組み立てる際には、相手側の板状部材11B側に屈曲され、ダクト10の角部を塞ぐ役目を果たす。また、はぜ継手接合部分の端部を固定する役目も果たす。
一方、めす型はぜ継手部17f(図6参照)を形成するための、めす型はぜ形成部7fを有する板状素材1Bは、図2に図示するように、それらの展開形状において、該板状素材1Bの長手方向(図2の矢印Za方向参照)の始端1sおよび終端1eから中央側へ偏った部分に、板状素材1Bの幅方向(図2の矢印Ya方向参照)に延びる切り込み(第1の切り込み)2Bがそれぞれ形成されている。この実施形態では、切り込み2Bの長手方向の寸法は、図1に示す前記板状素材1Aの始端1s(あるいは終端1e)から第2の切り込み22までの寸法より小さくなっている。しかし、この切り込み2Bの長手方向の寸法と、前記板状素材1Aの始端1s(あるいは終端1e)から第2の切り込み22までの寸法(正確には第2の切り込み22の中央側の端部22eまでの寸法)を等しく構成してもよく、あるいは大きく構成してもよい。また、この切り込み2Bの始端1s(あるいは終端1e)側の、該始端1s(あるいは終端1e)からの位置(寸法)は、前記第1の切り込み2Aの始端1s(あるいは終端1e)側の端からの位置(寸法)と同じになるよう構成されている。また、この切り込み2Bの、長手方向(図2のZa方向)における中央側の端は、前記第1の切り込み2Aの始端1s(あるいは終端1e)側の端からの位置より長手方向中央よりの位置になるように構成されている。
また、前記各切り込み2A,2Bの深さ(寸法)dは、コーナ形成部4の重なり代W1(図6参照)に略等しく構成されている。つまり、この深さdの寸法は、図6に図示する、成形加工された板状素材1A,1Bのフランジ部13の幅vに等しい寸法となっている。そして、前記板状素材1A,1Bは、ともに等しい切り込み2の深さdを有する。
そして、前記板状素材1A,1Bの展開形状において、前記切り込み2A,2Bより長手方向において中央よりの部位の幅方向の寸法W2は、組み立ててダクト10にした状態(図10参照)において該ダクト10の壁面18(図10参照)となる壁面形成部8の寸法W3と、その両側端(板状素材1A,1Bの幅方向の両端部)に形成される両方のはぜ形成部7(7m,7f)の寸法W4を加えた寸法に設定されている。
従って、前記おす型はぜ形成部7mを有する板状素材1Aとめす型はぜ形成部7fを有する板状素材1Bとは、該はぜ形成部7m,7fの幅方向の寸法W4が相違することに起因して、前記幅方向の寸法W2が異なっている。具体的には、前記おす型はぜ形成部7mを有する板状素材1Aの寸法W2mは、めす型はぜ形成部7fを有する板状素材1Bの寸法W2fより小さくなっている。
この寸法的相違は、図6に図示するように、前記おす型はぜ継手部17mの場合、前記おす型はぜ形成部7m(図1参照)を単に略90°屈曲するだけで形成されるのに対して、前記めす型はぜ継手部17fの場合、前記めす型はぜ形成部7f(図2参照)を複数回(この実施形態1の場合3回)屈曲することによって形成されることに起因して生じる。
また、この実施形態では、図10に図示するように、幅Wと高さHが等しい(つまりダクト10の断面形状が正方形になる)ダクト10であるが、幅と高さが異なっているような形態(ダクトの断面が長方形)の場合には、当然のことながら前記壁面形成部8の寸法W3も、板状素材1Aと板状素材1Bとで異なってくる。
また、図1、図2に図示するように、前記板状素材1A,1Bの平面形状において、前記切り込み2A,2Bより長手方向において端(始端1sおよび終端1e)よりの部位(フランジ形成部3)の幅方向の寸法W5は、前記寸法W3と等しく構成されている。一方、この部位(フランジ形成部3)の長手方向の寸法L1は、寸法L1aと寸法L1bを加えた寸法となっている。この寸法L1aはフランジ部13(図6参照)の接合面13aの幅vaとなる。また、前記寸法L1bは、フランジ部13の折り返し部分13bの幅vbとなる。
そして、前記寸法W5と寸法L1とからなる領域がフランジ形成部3となる。そして、このフランジ形成部3に続いて、板状素材1A,1Bの幅方向(図1,図2の矢印Ya方向)に張り出すように、図10に図示するダクト10のコーナ部14を形成するための、コーナ形成部4(図1,図2参照)が設けられている。このコーナ形成部4の長手方向(図1,図2の矢印Za方向)の寸法L2は、前記フランジ形成部3の長手方向の寸法L1と等しく構成されている。この長手方向の寸法L2は、寸法L2aとL2bを加えた寸法であり、この寸法L2aはコーナ部14(図6参照)の重なり部分14a(図6参照)となり、前記寸法L2bは、コーナ部14の折り返し部分14b(図6参照)となる。
また、コーナ形成部4の幅方向の寸法W6は、実質的に、前記長手方向の寸法L2aと等しい寸法に構成されている。また、この幅方向の寸法W6は、前記コーナ部14の重なり代W1(図6参照)に等しい。
そして、図1あるいは図2のような平面形状を有する板状素材1A,1Bは、一般的にロール材として供給される金属薄板材から、プラズマ加工機(プラズマ切断機)を用いて、切り出される。勿論、この発明との関連においては、他の切断装置、あるいは最も原始的には所謂「ブリキ鋏」によって作業者の手によって切り出してもよい。
そして、このような平面形状を有する板状素材1A,1Bは、従来の板状素材に比べて、フランジ形成部3から、板状素材1A,1Bの幅方向へコーナ形成部4が張り出すように同じ部材上に一体に設けられている。つまり、従来の板状素材では、廃棄部分としてプラズマ加工時に切り落とされていた部分(図1,図2の斜線部分N参照)がコーナ形成部4として利用されることになる。
そして、前述のような平面形状を有する板状素材1A(あるいは1B)は、以下のような工程を経て、ダクト10を組み立てるための板状部材となる。
つまり、製造工程(成形加工工程)に沿って板状素材1Aを例示した図3に基づいて説明すると、まず、図3(a)に図示する、四隅にある前記コーナ形成部4(板状素材1Aの場合には、コーナ形成部4およびそれに隣接する前記部分G)を、はぜ形成部7(7m,7f)の屈曲加工側と反対側に所定角度、つまり図3(b)の矢印rで示すように、屈曲する仮加工が行われる。具体的には、略30°以上の角度(この実施形態では45°程度)で屈曲する仮加工が行われる(仮加工後の図3(b)参照)。ここで、「仮加工」と呼ぶのは、はぜ継手部を形成するために一時的に邪魔にならないようにはぜ成形加工領域から排除しておくための加工であるからである。
そして、この仮加工は、器具を用いて作業者が手作業でおこなってもよいし、あるいは自動的にダクト成形機に連続して設けた仮加工機械を用いておこなってもよい。または、後述する図50に図示する、はぜ成形機を用いておこなってもよい。
次に、前記仮加工したものを、ダクト成形機にかけて、図3(c)に図示するように、板状素材1A(あるいは1B)の一方の側端部(図3において左側端部)のはぜ形成部7(7m,7f)にはぜ継手部の成形加工を実施し、続いて、図3(d)に図示するように、反対側の側端部(図3において右側端部)にもはぜ継手の成形加工をおこなう。この加工によって、板状部材11A,11Bの両側にはぜ継手部17(17m,17f)が成形される。
このはぜ継手部の成形加工は、具体的には、おす型はぜ継手部の成形加工については、図4(a)〜(e)に図示するような各工程を経て、おこなわれる。
また、めす型のはぜ継手部の成形加工については、図5(a)〜(j)に図示するような各工程を経て、おこなわれる。なお、この実施形態では、これらの成形加工工程において、図4,図5に図示するように、前記コーナ形成部4(および板状素材1Aについてはそれに隣接する部分G)は、はぜ継手部の成形加工に際し邪魔にならないように、前述の仮加工の角度からさらに前記屈曲角度が90°になるよう2度目の仮加工されることが望ましい(図4、図5参照)。
前述のように両側端に、はぜ形成部7(7m,7f)から、はぜ継手部17(具体的には、図6に図示するように、板状部材11Aではおす型はぜ継手部17mが、板状部材11Bではめす型はぜ継手部17f)が形成されると、前記仮加工したコーナ形成部4(および板状素材1Aの場合には、それに隣接する前記部分G)を元の状態、つまり、フランジ形成部3と略フラットな状態に戻す(図3(e)参照,図4(e)と図5(j)の二点鎖線と戻す方向を示す矢印q参照)。
前記コーナ形成部4をフランジ形成部3に対して略フラットな状態に戻す加工は、手あるいは器具を用いて作業者が手作業でおこなってもよいし、あるいは自動的にダクト成形機に連続して設けた仮加工機械を用いておこなってもよい。
次に、図3(f),図3(g)に図示するように、板状素材1A(あるいは1B)の始端1s部分(あるいは終端1e部分)に設けられた前記フランジ形成部3からフランジ部13(図6参照)が形成されるよう成形加工をおこなう。この成形加工によって、前記コーナ形成部4は、フランジ部13と一体になって該フランジ部13の両側方から張り出した状態のコーナ部14となる。
このフランジ形成部3の成形加工は、一般に用いられる前記はぜ継手部の成形加工と基本的におなじ構成の成形加工機、つまり、複数の成形用ローラが列設された成形加工機を用いておこなうことができる。
このようにおす型はぜ継手部17mを有する板状部材11Aと、めす型はぜ継手部17fを有する板状部材11Bが形成されたものを用いて、コーナピースレス・ダクトを組み立てる手順と、該コーナピースレス・ダクトについて、以下に説明する。
つまり、図6あるいは図7に図示するように、各2枚の計4枚、つまり2対の前記板状部材11Aと板状部材11Bを用いて、当該板状部材11Aのおす型はぜ継手部17mを、板状部材11Bのめす型はぜ継手部17fのはぜ溝17g内に、各板状部材11A,11Bについてそれぞれ挿入(図6,図7の矢印Q参照)して、図10に図示するダクト10を組み立てる。この際、前記部分Gも、おす型はぜ継手部17mと同じ側に屈曲する。この実施形態の場合、前記部分Gの長手方向の寸法が、図1に示す前記板状部材11Aの始端1sおよび終端1eから第2の切り込み22までの寸法より大きくなっていることから、この部分Gの中央よりの端部がはぜ継手部分を覆うことになり、はぜ継手部分をその状態で固定するよう機能する(図8参照)。
また、この実施形態の場合、前記部分Gの屈曲は作業者が、工具を使用して、手作業でおこなっているが、勿論、機械を用いておこなうようにしてもよい。
このように、はぜ継手をおこなうと、図8、図9に図示するように、隣接する板状部材11Aのコーナ部14と板状部材11Bのコーナ部14は板厚方向に重なり、ダクト10のコーナ部14となる。
そして、この実施形態のように、各板状部材11A,11Bのコーナ部14に、ダクトに組み立てられた状態において板厚方向において重なった状態で、穴位置が一致するように固定用の穴9を形成しておくと、各板状部材11A,11B間の位置決めが容易となり、且つ正確な位置決め状態を確認できる構成となる。
そして、この固定用の穴9は、ダクト10(図10参照)同士を接合するときには、接合ボルト(図示せず)を挿通するための穴としても機能することになる。そして、このように接合ボルトで接合されることによって、重なっている各コーナ部14は、それぞれのダクト10において剛性の高いコーナ部14として機能することになる。
そして、前記固定用の穴9は円形の穴であったが、円形以外の穴、例えば、図16に図示するように、矩形状の穴9としてもよい。あるいは、その他の形状の穴であってもよい。
また、これら固定用の穴9を形成する際に、図17に図示するように、少なくとも一方の穴9内に係合片9Aを形成しておき、図18(a),(b)に図示するように、組み立てた状態においてこの係止片9Aを相手側の穴9を挿通する状態でその背面で屈曲させることによって、隣接する板状部材11A,11B間を固定するよう構成してもよい。勿論、この矩形状の穴9の異なる片(部位)に、つまり、例えば、穴9の横の片あるいは上の片に、係止片9Aを形成してもよい。特に、この矩形状の穴9の上の片に係止片9Aを設けると、はぜ継手部分の係合の係合方向と逆方向に係止することができる点で、よりダクトの所定の形態を保持することができる構成となる。
そして、このように係止片9A片によって、穴9部分で、各板状部材11A,11B同士を係着しておくと、図10,図15に図示するようなダクト10に組み立てた状態で搬送する際、あるいは所定位置に吊る作業中、又はダクト10同士を接続する作業中においても、ダクト10を所定の状態(あるべき筒状の状態)に保持しておくことができ、作業が容易となる。
この係止片9Aに関する変形実施形態としては、図19(a),(b)に図示するように、穴9の上下の各片に係止片9Aをそれぞれ形成して、上下両側で係止するように構成してもよく、かかる構成では、上下方向に位置決め状態を拘束することができる構成となる。また、図20に図示するように、前記穴9に、種々の形態の係止片9Aを形成することができ、既に述べたような図20(a),(b)に示す形態の係止片9Aの他に、図20(c)に図示するように周方向全ての方向において係止することができる円形の係止片9Aであってもよく、あるいは、図20(d)に図示するように四方向において係止することができる三角形が各辺に形成されたような係止片9Aであってもよい。
ところで、前記実施形態では、専ら、ボタンパンチ型のはぜ継手構造を具備する板状部材によって組み立てられるダクトについて説明したが、本発明のコーナピースレス・ダクトは、このボタンパンチ型のはぜ継手構造のものに限定されるものでなく、図11,図12に図示するようなピッツバーグ型のはぜ継手構造を具備する板状部材11A,11Bによって組み立てられるダクトにも適用できることはいうまでもない。このピッツバーグ型のはぜ継手部を具備した板状部材11A,11Bも、おす型はぜ継手部の成形工程を示す図13,めす型はぜ継手部の成形工程を示す図14に、それぞれ図示するように、各工程を経て成形加工することによって製造することができる。つまり、基本的には、ボタンパンチ型のはぜ継手部を具備した板状部材のものとほぼ同じ工程を経て製造することができる。
そして、このピッツバーグ型のはぜ継手構造によって組み立てられたダクト10の場合にも、前述したボタンパンチ型のはぜ継手構造を具備したものと同じように、図15に図示するように、ダクト10のコーナ部14は、各板状部材のコーナ部14が板厚方向に重なることによって構成され、コーナピースレス・ダクトとなる。
これら図11〜図15において、図1〜図10と対応する主な構成については同じ参照番号を付す。
また、前記各実施形態では、めす型はぜ継手部をダクトの外側壁側に露出した形態のダクトについて説明したが、本コーナピースレス・ダクトは、めす型はぜ継手部をダクトの内側壁側に収容した形態のダクト(従来伝統的に用いられているダクト)にも適用できる。つまり、図21に図示するように、めす型はぜ継手部17fを両側(図21では一方のみ図示)に備えた板状部材11Bのフランジ部13を、ダクト10の内側の壁面18iと反対側に屈曲した構成とすれば、同様に適用できる。
次に、本発明にかかるダクト成形機について具体的に説明する。
図22は本発明の実施形態にかかるダクト成形機の全体の概略の構成を示す平面図、図23は図22に示すダクト成形機の全体側面図である。
図22に図示するダクト成形機は、左右一対に加工ロールが配置されることによって構成される複数の加工ロール対41(41A〜41L:図22では41A〜41Hのみ図示)が、成形加工流れに沿って、つまり図22において左側から右側へ向かって順次実施される成形加工流れ(この実施形態において、図22の素材通過方向を示す矢印Zと同じ方向:矢印Z参照)に沿って、機台B上に列設されている。この実施形態の場合、加工ロール対41は、12対が配置されている。しかし、加工ロール対の数は、特に限定されるものでなく、成形加工しようとする板状部材の形態、加工する板状素材の伸延性等によって、12対以上であっても、それ以下であってもよい。ところで、図22(複数の加工ロール対等の全体的配置関係を示す図)では、便宜的に、12対の加工ロール対のうち、8対の加工ロール対のみを図示している。そして、この図22に図示する8対の加工ロール対は、4対の加工ロール対を1ユニットとするユニットを2ユニット設けている。従って、12対の加工ロール対の場合には、ユニット数において、1ユニット多い3ユニット分設ければよい。
そして、この実施形態において、各加工ロール対41とその成形加工の状態を具体的に対応させると、板状素材1(1B)を図41(a)に図示するような形状に成形加工をおこなう、第1番目の加工ロール対である加工ロール対41Aは、図28に図示する。次に図41(b)に図示するような形状に成形加工をおこなう、第2番目の加工ロール対41Bは図29に図示する。図41(c)に図示するような形状に成形加工をおこなう、第3番目の加工ロール対41Cは図30に図示する。図41(d)に図示するような形状に成形加工をおこなう、第4番目の加工ロール対41Dは図31に図示する。図41(e)に図示するような形状に成形加工をおこなう、第5番目の加工ロール対41Eは図32に図示する。図41(f)に図示するような形状に成形加工をおこなう、第6番目の加工ロール対41Fは図33に図示する。図41(g)に図示するような形状に成形加工をおこなう、第7番目の加工ロール対41Gは図34に図示する。図41(h)に図示するような形状に成形加工をおこなう、第8番目の加工ロール対41Hは図35に図示する。図41(i)に図示するような形状に成形加工をおこなう、第9番目の加工ロール対41Iは図36に図示する。図41(j)に図示するような形状に成形加工をおこなう、第10番目の加工ロール対41Jは図37に図示する。図41(k)に図示するような形状に成形加工をおこなう、第11番目の加工ロール対41Kは図38に図示する。そして、図41(l)に図示するような形状に成形加工をおこなう、第12番目の加工ロール対41Lは図39に図示する。
そして、前記加工ロール対41(41A〜41K)の各ロールの回転軸41Sおよび加工ロール対41Lのうちの加工ロール41Laの回転軸41Sは、図25に図示するように、素材通過方向(図のZ方向参照)に直交する方向であるX軸方向(図25において上下方向)を向くように、例えば、この実施形態では「縦向き」になるよう、配設されている。また、この実施形態の場合、前記加工ロール対41Lのうちの加工ロール41Lbの回転軸41Srだけは、図39に図示するように、前記回転軸41Sに対して直交する方向(図22のY方向参照)、つまり、「横向き」に配置されている。しかし、図40に図示するように、加工ロール41Lbの上端外周部の形状を段付き形状に変更することによって、前記回転軸41Srも、他の回転軸41Sと同様にX軸方向を向くように、例えば「縦向き」に配設してもよい。
なお、この図25は、図22のXXV−XXV矢視図で、加工ロール対41C部分を代表して示しているが、前記加工ロール対41Lを除く他の加工ロール対41は同様の構成を具備する。そして、加工ロール41Ca,41Cbおよび回転軸41Sを例示的に図示する図25に示すように、各回転軸41Sのそれぞれの上端部には、各加工ロール(41Aa,41Ab〜41Ka,41Kb、41Ka、41La)が該各回転軸41Sと一体に回転するように配設されている(図28〜図39参照)。
また、前述した各回転軸41Sは、この実施形態のように、各加工ロールの加工周面の基準部分(成形加工に際して、左右の接触面積が等しくなる部分(線))の径が実質上等しく構成されており、従って、各加工ロール対41A〜41Kの各回転ロールおよび前記回転ロール41Laのそれぞれの回転軸41Sの回転速度(角速度)が等しくなるよう、同じ速度で駆動されている。この駆動のメカニズムについては後述する。また、前記回転軸41Srは、加工ロール41Lbの外周面の周速が、加工ロール41Laの外周面の周速と等しくなるように、駆動される。
そして、前記加工ロール対41(41A〜41K)の各加工ロールのうち、図28〜図38に図示する板状素材1(1B)のダクトの壁面形成部8が接触する側の加工ロール41Ab〜41Kbの上端面41fに略接触するように、押さえロール42がそれぞれ配設されている。つまり、この実施形態の場合には、前記ダクトの壁面形成部8に接触する側の加工ロール41Ab〜41Kbに対して押さえロール42が配設されている。さらに、前記加工ロール41Lbに対しても、該加工ロール41Lbの周面と間を空けて、前記押さえロール42が配設されている。
これらの押さえロール42は、前記各加工ロール対41A〜41Lに対応して、該加工ロール対41A〜41Lの数と同数だけ設けられている。つまり、この実施形態では、押さえロール42は12個設けられている。
勿論、前記各押さえロール42の回転軸42Sのそれぞれの回転速度は等しく、且つ、該回転軸42Sに取着されている押さえロール42の外周面の周速が、前記加工ロール41Ab〜41Kbの基準部分での周速と等しくなるよう、該回転軸42Sは駆動される。なお、前記加工ロール41Lbに対しては、形成したはぜ継手部17fを上方から押圧して所定の寸法(厚み)にするように、前記押さえロール42が配置されている。
前記回転軸42Sは、前記X軸方向(図23の矢印X方向参照)および素材通過方向(図22、図23の矢印Z方向参照)に交角を有するよう配置されている。この実施形態では、前記交角が90度で、該回転軸42Sが横方向(図22の矢印Y方向参照)を向くように配置されている。しかし、別の実施形態としては、回転軸41Sが横方向を向き、回転軸42Sが縦方向を向いて配置されてもよい。また、前記回転軸42Sは、回転軸41Sに直交する場合だけでなく直交以外の交角(例えば、回転軸41Sに対して60度の角度)を有するように配置してもよい。
また、図25,図26等に図示するように、前述した各押さえロール42の回転軸42Sの、該押さえロール42が取着されている端部と反対側へさらに離間した部分、つまり、押さえロール42と接触している箇所からさらにダクトの壁面形成部8側(外側:図25,図26において右側))へ離間した部分には、送りロール対43の一部を構成する送りロール43Aが、送りロール43Bに対して上下に対をなすように、配置されている。図示しないが、前記加工ロール対41Lについても、該加工ロール対41Lに対応して、前記送りロール対43が配設されている。
前記送りロール対43は、上方に位置する送りロール43Aと、その下方に対峙するよう且つ相互の周面が略接触するように配置された送りロール43Bとから構成されている。
そして、前記送りロール43Aは前記回転軸42Sによって駆動され、前記送りロール43Bは、前記回転軸42Sと平行にその下方に配設されている回転軸43Sによって駆動される。従って、この実施形態では、前記回転軸42Sおよび回転軸43Sは、それぞれ横方向(Y方向)を向いて配置されている。
これら送りロール43Aと送りロール43Bは、これらの外周面間に板状素材1を上下両側から挟持して前記素材通過方向に搬送する、駆動型の送りロール対を形成している。
そして、これら二つの回転軸42Sと回転軸43Sは同一の回転速度で回転し、また、前記送りロール43Aと送りロール43Bの外径が等しく、従って、各外周面は、同一の周速で回転するよう構成されている。
また、この送りロール43Aと送りロール43Bの外周面の周速は、前記各加工ロール41Ab〜41Kbの基準部分と前記押さえロール42の外周面の各周速に等しくなるよう構成されている。このため、加工流れに沿って搬送される板状素材1は、加工ロール対41の間、押さえロール42とこれに略接触する加工ロール41Ab〜41Kbとの間で、且つ、前記上下の送りロール43A、43Bの間の、左右に離間した三箇所の部分において挟持された状態で確実に搬送されることになる。
ところで、図25、図26に図示するように、前記加工ロール対41(41A〜41K)のうちの一方の加工ロール、この実施形態では、前記加工ロール(41Ab〜41Kb)が、他方の加工ロール(41Aa〜41La)側へ、離間可能にばね(この実施形態ではコイルスプリング)45によって押圧されている。この実施形態では、これら加工ロール(41Ab〜41Lb)群を一つの可動ベース20上に配置し、この可動ベース20自体を機台Bに対して前記ばね45で、加工ロール(41Aa〜41Ka)群側へ離間可能に押圧している。
また、前記押さえロール42も、前記加工ロール(41Ab〜41Kb)側へ、つまり下方へ、離間可能に、ばね46(この実施形態では複数枚からなる皿ばね)によって押圧されている。さらに、前記送りロール43Aは、送りロール43B側へ離間可能に前記ばね46によって押圧されている。この実施形態の場合、前記押さえロール42と送りロール43Aとは、共に前記回転軸42S上に配置され、この回転軸42S自体が機台Bに対して、ばね46で下方に押圧されている。
このように構成されているため、成形加工しようとする板状素材1(1A,1B)の板厚が異なる場合にも、前記ばね45,46による弾性的な押圧によって、その弾性範囲内では各ロール間の隙間調整することなく、各ロール間に板状素材1を確実に挟持しつつ成形加工流れに沿って搬送され、適正に成形加工することができる。
そして、前記加工ロール対41A〜41L、押さえロール42、送りロール対43は、この実施形態では、1台の電動モータMによって、駆動されるよう構成されている。具体的には、駆動の動力の流れを概念的に示す図24に図示するように、電動モータ(駆動手段)Mから略示するカップリング15を介して減速機Reに伝達され、該減速機Reの回転軸Sh0から、一対のスプロケットSp1とチェーンCh1とを介して、立設された中間軸Sh1に伝達され、該中間軸Sh1から、各一対のスプロケットSp2とチェーンCh2とを介して、両側に並設されているそれぞれの第2の中間軸Sh2に伝達される。なお、この実施形態では、前記第2の中間軸Sh2は、4対の加工ロールを有する1ユニット毎に設けられ、各ユニット内のロールを駆動するよう構成されている。従って、この実施形態のように加工ロール対41が12個設けられている場合には、前記第2の中間軸Sh2が3箇所に配置されることになる。しかし、この構成に拘束されるものではなく、種々の形態で動力を伝達することができる。
そして、前記各中間軸Sh2に配設された歯車Gr0から、第1の中間歯車Gr1に伝達され、この第1の中間歯車Gr1から第2の中間歯車Gr2に伝達される。しかる後、第2の中間歯車Gr2から、前記加工ロール41Baと41Ca(図22参照)の各回転軸41Sに固着された歯車Gr6,Gr8に伝達される。そして、該加工ロール41Ba(図22参照)の回転軸41Sに固着された歯車Gr6(図24参照)から、加工ロール41Bb(図22参照)に固着された歯車Gr7(図24参照)と第3の中間歯車Gr3Aに、伝達される。しかる後、第3の中間歯車Gr3Aから、前記加工ロール41Aa(図22参照)の回転軸41Sに固着された歯車Gr4に伝達される。そして、該加工ロール41Aa(図22参照)の回転軸41Sに固着された歯車Gr4から、加工ロール41Ab(図22参照)の回転軸41Sに固着された歯車Gr5に伝達される。
一方、前記加工ロール41Ca(図22参照)の回転軸41Sに固着された歯車Gr8から加工ロール41Cb(図22参照)の回転軸41Sに固着された歯車Gr9と、第4の中間歯車Gr3Bに伝達される。しかる後、第4の中間歯車Gr3Bから、前記加工ロール41Da(図22参照)の回転軸41Sに固着された歯車Gr10に伝達される。そして、該加工ロール41Da(図22参照)の回転軸41Sに固着された歯車Gr10から加工ロール41Db(図22参照)に固着された歯車Gr11に伝達される。
図24において、第2のユニットである右半分の加工ロール対41E〜41H(図22参照)へも同様に回転が伝達される。従って、加工ロール対が12対設けられている場合には、図22に図示しない第3のユニットの加工ロール41I〜41K、41Laへも同様に伝達されることになる。なお、前記加工ロール41Lbは、送りロール43Bと同軸上に配置され、後述する該送りロール43Bの駆動と一体に駆動される。
また、前記加工ロール対41と回転軸42S,43Sの向きが異なる、前記押さえロール42および送りロール43A、43Bへは、前記減速機Re側から以下のように動力が伝達される。つまり、図27に図示するように、前記減速機Re側からの動力が、前記第2の中間軸Sh2と、一対のベベルギアGr12,Gr13とを介して、その上方に横設された中間軸Sh4に伝達される。次に、この中間軸Sh4からさらにその上方の中間軸Sh5に歯車対(中間軸Sh5側に固着された歯車のみ図示)を介して動力が伝達され、この中間軸Sh5からさらにその上方の前記回転軸42Sに歯車対Gr14,Gr15を介して動力が伝達され、その結果、回転軸42S上に離間して固着されている前記押さえロール42および送りロール43Aが駆動される。
一方、前記送りロール43Bは、前記中間軸Sh4の側端(図27において右端)に配設されている歯車Gr16とこれに噛合する上方の回転軸43S上の歯車Gr17からなる歯車対を介して、駆動される。この中間軸Sh4は、各1のユニットに1本設けられている。また、前記歯車Gr17を具備した回転軸43Sから、隣接する回転軸43Sには、図示しない、歯車を具備し前記回転軸43Sに並設された中間軸と、その歯車に噛合し駆動される該回転軸43Sに取着された歯車を介して、伝達されるよう構成されている。
なお、図27では、加工ロール対41が固着されている回転軸41Sを表すために、便宜的に、前記中間軸Sh4の一方の端部(図27において左端部)と中間部分を省略している。
この実施形態の場合、図28〜図39に図示するように、前記加工ロール41Ab〜41Lbの各回転軸41Sの上端面は、該加工ロール41Ab〜41Lbの上端面より高さ的に低く、特に上端面に取着されるボルト48の頭は加工ロール41Ab〜41Lbの上端面より低くなるよう構成されている。また、この実施形態では、加工ロール41Aa〜41Laの各回転軸41Sの上端面は、加工ロール41Aa〜41Laの上端面より高さ的に低くなるよう構成されている。そして、加工ロール41Aa〜41Laの上端面に取着されるボルト49の頭が加工ロール41Aa〜41Laの上端面より大きく突出しない程度に構成され、該加工ロール41Aa〜41Laの上方に、コーナ部24となる板状素材1のコーナ形成部4を容易に逃がすための、非加工領域25がそれぞれ形成されている。そして、前記各非加工領域25は、素材通過方向に連続した空間を形成している。
また、この実施形態では、図32に図示する加工ロール41Eaは、回転軸41Sと一体的に極く僅かの量(寸法)だけ図32に図示する状態から下方に下降自在にばね45aで下方に付勢されており、板厚の薄い板状素材1を成形加工するときに相手側の加工ロール41Ebに対して、相対的に下方に降下して、板状素材1の側端部1Eの側端1e近傍を板厚の変化にかかわらず加工ロール41E対の間で確実に挟持して、所望の角度(この実施形態では90度)に確実に屈曲加工できるように構成されている。この成形加工は、図48(d)に図示する前記おす型はぜ継手部17の突起101eを、確実に係止するために重要な役割を果たすことになる。
そして、上述のように構成された本実施形態にかかるダクト成形機は、以下のように、コーナピースレス・ダクト等の板状部材の成形加工をおこなうことができる。以下、ボタンパンチ型はぜ継手構造の、めす型はぜ継手部を両側端に具備するダクトの板状部材11(11A、11B)の成形加工を例にとって説明する。即ち、
図44に図示するような、プラズマ切断装置によって複数枚(この実施形態では2枚)重ねて所定の形状と寸法に裁断されたその内の1枚の板状素材1を、図22に図示するダク ト成形機の挿入端、つまり図22の左端側から、白抜き矢印Rで示すように、成形加工しようとする板状素材1(図44参照)のはぜ形成部7およびコーナ形成部4が加工ロール対41側に位置するように挿入する。なお、この際に、板状素材1がコーナピースレス・ダクト用の板状部材を製造するためのものである場合には、コーナ形成部4(図44,図46参照)を、予め、上側に所定角度だけ屈曲させておく(図46(b)の符号「32」の部分参照)。具体的には、この実施形態の場合には、図28等に図示するように略30度〜40度程度屈曲させておく。
かかる状態において、本ダクト成形機は、図25,図26に図示するように、板状素材1の加工側のはぜ形成部7側を加工ロール対41Aによって成形加工すべく左右から挟持・加工するとともに、加工ロール対のダクトの壁面形成部8が接触する側の加工ロール41Abの端面(上端面)41f(図28参照)とそれに実質上接触している押さえロール42との間で上下から挟持し、この押さえロール42から前記板状素材1の加工部分(はぜ形成部7)からさらにダクトの壁面形成部8側(図28において右側)へ離間した位置に配置された送りロール対43の間(上下の送りロール43A,43Bの間)において、上下方向から挟持して、このダクト成形機の奥方へ搬送する。このように、板状素材1は、異なる3箇所でしかも異なる方向で挟持されつつ、且つ、いずれのロールも同じ周速で回転して板状素材1を搬送するため、安定して成形加工流れ(素材通過方向)に沿ってダ クト成形機の奥方に送られる。そして、板状素材1は、各ロール間において、ばね45,46によって弾性的に押圧・挟持されているため、板状素材1の板厚寸法に係わらず確実に且つ適正に挟持される。
このように、板状素材1は、順次該ダクト成形機の奥方に配置されている加工ロール対41B,41C,41D,・・・・,41Lへと送られながら、図28〜図39に図示するように、順次成形加工される。
そして、この加工において、コーナ形成部4は、加工ロール対41のうちダクトの壁面形成部8が接触する加工ロール(41Aa,41Ba,41Ca,・・・)と反対側の加工ロール(41Ab,41Bb,41Cb,・・・)上方に加工流れに沿って連続した空間となる非加工領域25(図28参照)を円滑に奥方に通過する。
そして、板状素材1が、図28から図39に図示する加工ロール対41A〜41Lを全て通過すると、図41(1)に図示するように、板状素材1(1B)の一方の側端部にダブル溝状のめす型はぜ継手部17fが成形される。全体的に見ると、図46(c)に図示するような加工がおこなわれる。
そして、前記板状素材1の反対側の側端部に位置するはぜ形成部7fにも、同様のめす型はぜ継手部17fの成形加工がおこなわれる。この状態を全体的に示すと、図46(d)に図示するような形態の成形加工がなされる。
そして、図46(d)に図示する如く、前述のように板状素材1の両側端に所定のはぜ加工がおこなわれると、次に、前記のコーナ形成部4が図46(d)から図46(e)に図示するように、元の状態に、つまり屈曲されたところを元のフラットの状態に、戻す。このようにフラットに戻した状態で、板状素材1の前端部と後端部に、コーナ部14を具備したフランジ部13を形成するための、加工が行われる(図46(f),(g)参照)。
この結果、全体的に示す図46(g)、あるいは要部を拡大して示す図42、図43に図示するような、両側端部にめす型はぜ継手部17fが、また前後端には、コーナ部14を具備したフランジ部13が形成された、板状部材11Bが完成する。
また、形状の異なる加工ロール群を具備する別のダクト成形機を用いて、図45、図47(a)に図示する板状素材1(1A)の両側端部のはぜ形成部7mを略90度に屈曲加工することによって形成されるおす型はぜ継手部17mを両側端部に具備する別の板状部材11A(図47(g)参照)を形成する。
かかる別のダクト成形機としては、図22〜図40に図示するダクト成形機の加工ロール対41A〜41Lのうち、加工ロール対41A〜41Cと、おす型はぜ継手部17mにパンチ加工する左右一対のパンチ形成用ロール対41M(図49参照)を具備しているだけでよい。
このダクト成形機に関しても、前記加工ロール対41A〜41Cは、回転軸がX方向を向いて駆動されるとともに、板状素材1のダクトの壁面形成部8に接触する加工ロールの端面に略接触するよう、且つ素材通過方向(図22の矢印Zで示す方向を参照)および前記X方向に対して交角(この実施形態の場合には交角が90度)を有する、駆動型の押さえロールを配置し、それらからさらに離間した部位に板状素材を両側から挟持して加工流れに沿って送る駆動型の送りロールを具備するような構成については、図22〜図40に図示するダクト成形機と同じ構成を具備しているため、ここでは詳細な説明は省略する。
前記左右一対のパンチ形成用ロール対41Mについて図49に基づいて説明すると、このパンチ形成用ロール対41Mは、基本的には、前記列設されている加工ロール対41の回転軸41S(図22参照)と同じ列中(あるいはその素材通過方向の延長線上)に列設された回転軸41Qを有し、該回転軸41S(図22参照)あるいは回転軸43S(図22参照)と同様の、歯車機構によって駆動される。従って、ここでは、駆動のメカニズムについての説明は省略する。
前記回転軸41Qは、該回転軸41Qを駆動する歯車Gr20(あるいは歯車Gr21)に対して、該回転軸41Qの軸方向(上下方向)に移動可能に且つ一体に回転するようスプライン結合されている。
そして、このパンチ形成用ロール対41Mの各回転軸41Qは、ブラケット21を介して、空圧シリンダ22のシリンダロッド22aに連結され、該シリンダロッド22aの伸長動作によって、所定の成形加工位置にセットされる。この所定の成形加工位置は、このロール対41Mのロール41Ma,41Mbが、前記加工ロール対41A〜41Kの加工ロールと上下方向において同じ位置に設定されている。そして、この所定の成形加工位置において、前記ロール対41Mは、板状部材11Aのおす型はぜ継手部17mに対して係止用の突起101e(図48参照)を形成するパンチ加工を施すことが可能となる。
そして、前記空圧シリンダ22を収縮させると、前記ロール41Ma,41Mbが下降して、前記所定の成形加工位置より下方の位置に退避する。この下方の位置では、このロール対41Mは、おす型はぜ継手部17mが通過する下方位置に位置(退避)して、パンチ加工をおこなわない。
そして、この実施形態の場合、前記空圧シリンダ22のシリンダロッド22aの収縮は、パンチ加工用のセットボタン(図示せず)を操作することによって、簡単に行えるよう構成されている。
そして、前述のように構成されているダクト成形機によれば、図45,図47(a)に図示する板状素材1から、図47(g)に図示するおす型はぜ継手部17mを両側端部に且つフランジ部13を始端1s部分と終端1e部分に具備した板状部材11Aを、図22〜図40に図示するダクト成形機の場合と同様に、安定して成形加工流れに沿って送りつつ、一連の成形加工がおこなわる。前記各加工ロール対41およびロール対41Mによる加工の流れを図示すると、図48(a)〜(d)に図示するとおりである。図48において、7mはおす型はぜ成形部である。つまり、このダクト成形機の場合には、図42,図43に図示するように、前記板状部材11Bに接続される板状部材11Aを成形することができる。
前記おす型はぜ継手部17mを両側端部に具備した板状部材11Aを、斜視図的に示すと、図47(g)、図42、図43のようになる。なお、これらの図において、14はコーナ部であり、Gはめす型はぜ継手部17fの端部を外側から押さえるための押さえ片部分である。
ところで、前記めす型はぜ形成部7fを具備する板状素材1(1B)の具体的な形状としては、この実施形態の場合、図44に図示するような平面形状の板材を用いている。この図44において、ダクトの壁面形成部を8で示し、めす型はぜ形成部は7fで示し、コーナ形成部は4で示す。
また、前記おす型はぜ形成部7mを具備する板状素材1(1A)の具体的な形状としては、この実施形態の場合、図45に図示するような平面形状の板材を用いる。この図45において、ダクトの壁面形成部を8で示し、おす型はぜ形成部を7mで示し、コーナ形成部は4で示す。
また、前記めす型はぜ形成部7fを具備する板状素材1Bから板状部材11Bへの概略の成形加工工程を、斜視図的に示すと、図46のようになる。
また、前記おす型はぜ形成部7mを具備する板状素材1Aから板状部材11Aへの概略の成形加工工程を、斜視図的に示すと、図47のようになる。
また、前記実施形態では、図22に図示するようにダクト成形機の挿入端に、板状素材1を挿入する場合に、コーナ形成部4を作業者が予め上側に所定角度だけ屈曲させて、はぜ形成部4が非加工領域25(図28参照)を通過するように構成している。しかし、このコーナ形成部4を、はぜ形成部7と機械的に分離することができるダクト成形機を以下の構成によって実現することができる。つまり、
図50に図示するように、前述したダクト成形機の挿入端部(上流端部)に、つまり、ダクト成形機の上流端の加工ロール対41A(41Aa,41Ab)と該加工ロール対41Aの上流方に、該加工ロール対41Aの一部を構成する一方の加工ロール(この実施形態では、加工ロール41Ab)と押さえロール42との境界面(正確には境界線(接触線))50をその仮想面内に含むような素材支持面51Aを、有する。この素材支持面51Aは、この実施形態では、支持台51の平面状の上面によって構成され、前記板状素材1(図53参照)を下方から支持する。
また、この支持台51の上方には、板状素材1の側端部1Eのはぜ形成部7をガイドする、ガイド部材53が配設されている。この実施形態では、該ガイド部材53は、板状素材1(図53参照)の側端面を素材通過方向に沿ってガイドする側方ガイド面53Aと、板状素材1の上面を素材通過方向に沿ってガイドする上面ガイド面53Bと切り込み2Aの端1kを素材通過方向に沿ってガイドする切り込みガイド部53eとを有する。そして、この上面ガイド面53Bと前記素材支持面51Aとの間を板状素材1の側端部1Eが通過できるように構成されている。また、このガイド部材53の板状素材1(図53参照)中央よりの端部には、図53に図示する板状素材1のコーナ形成部4をガイド部材53を隔ててその反対側(ガイド部材53の上側)へ逃がして下方から支持するための、傾斜面53Cを有する。この傾斜面53Cと前記上面ガイド面53Bとが、このガイド部材53の板状素材1側の端部を、エッジ状に形成し、このエッジ状の端に前記切り込みガイド部53eが形成されている。
そして、このガイド部材53と前記上流端の加工ロール対41A(41Aa,41Ab)との間には、図50およびその部分拡大図である図52に図示するような、板状素材1のはぜ形成部7を、該加工ロール対41A(41Aa,41Ab)の間に挿入するために、該はぜ形成部7を下方に屈曲させる屈曲装置55が配置されている。この屈曲装置55は、言わば「プレス装置」のような形態を有し、下側に位置する前記支持台51の素材支持面51Aに対して、下降自在に配置された可動部材55Aを有し、これら素材支持面51Aと可動部材55Aとの間に、前記板状素材1のはぜ形成部7を挟んで、下方に屈曲するよう構成されている。このため、前記可動部材55Aの底面は、はぜ形成部の存在する板状素材1の加工端側へ行くにしたがって下方に傾斜した如き傾斜面55aが形成されるとともに、この傾斜面55aに隣接して板状素材1の中央部よりの部位(反加工端側の部位)には、前記素材支持面51Aに面接触する挟持部55bが形成されている。そして、前記可動部材55Aは、図示しない復動式の空圧シリンダのシリンダロッドの先端に取着され、前記挟持部55bが前記素材支持面51Aに当接する位置(図52の二点鎖線参照)から上方に離間した位置(図52の実線の位置参照)まで、上下動可能になっている。また、前記屈曲装置55の空圧シリンダは、この実施形態の場合、作業者が足踏み式の押圧スイッチ(図示せず)を押すことによって下降し、放すことによって上昇するように構成されているが、勿論、板状素材1の送りを自動化させるとともに、該板状素材1の所定位置を位置センサー等で検知して、該送りを停止させるとともに、空圧シリンダが自動的に下降と上昇をおこなわせるように構成することも可能である。
また、この実施形態の場合には、前記屈曲装置55の下流側(図50において右側)の前記加工ロール41Aに隣接した位置には、第2のガイド部材58が配設されている。このガイド部材58のガイド面58Aは、素材通過方向(Z方向)に直交する方向(Y方向)において、板状素材1の反加工端側へゆくにしたがって上方に変化するような傾斜平面で構成されており、前記屈曲装置55で屈曲されたはぜ形成部7を下方に屈曲させた状態を維持して、前記加工ロール対41Aの間に円滑に送り込むことができるようになっている。
また、前記ガイド部材53の上流側(図50において左側)の位置には、図50およびその部分拡大図である図51に図示するような、コーナ形成部分離装置56が配設されている。このコーナ形成部分離装置56は分離ブロック56Aを有し、この実施形態では、分離ブロック56Aは、素材通過方向(Z方向参照)に直交する前記Y方向に沿って延びる枢支軸56aによって後述する第3のガイド部材59に、矢印Qで示す方向に揺動自在に支持されている。この分離ブロック56Aの幅Wd(図54参照)は、前記コーナ形成部4とはぜ形成部7との間に形成される切り込み2Aの切り込み深さdより狭い寸法になっている(図54参照)。なお、この切り込み深さdの切り込み奥端は、ダクトの壁面形成部8の側端8eとなる。
そして、前記枢支軸56aに対して、前記分離ブロック56Aは上流側(図50において左側)が、重くなっており、従って、該分離ブロック56Aは、外力が作用しない状態では図50に図示するような状態となっている。そして、該分離ブロック56Aの上流端部には、上流端から下流端側へ向かって上がるようなエッジ形状の前方傾斜面56bが形成されるとともに、この分離ブロック56Aの上流側が上方に持ち上げられた状態において前記ガイド部材53の傾斜面53Cと等しくなる側方傾斜面56cが形成されている。勿論、この側方傾斜面56cが前記ガイド部材53の傾斜面53Cよりやや高めに構成されていてもよい。また、前記分離ブロック56Aの底面の側端部は、第3のガイド部材59側にゆくにしたがって上方に変化するような傾斜面に形成されている。従って、前記側方傾斜面56cと前記底面との接合部分は、前記素材支持面51Aから上方に上がった位置に位置し、側方から板状素材1を挿入できるようになっている。
そして、この前方傾斜面56bによって、コーナ形成部4が上方に上げられるとともに、前記側方傾斜面56cによって後方に送られる際にその状態を維持して、前記ガイド部材53の傾斜面53Cにより円滑に下方から支持されて、はぜ形成部7と上下に分離された状態を形成できるように構成されている。このコーナ形成部分離装置56は、動力を必要とすることなく、前記分離ブロック56Aの前後方向の重量バランスと板状素材1が挟持されて持ち上げようとする方向の外力によって動作するようになっている。
また、この実施形態の場合には、前記コーナ形成部分離装置56の上流側(図50において左側)から側方にかけての該コーナ形成部分離装置56に隣接した位置には、第3のガイド部材59が配設されている。このガイド部材59のガイド面59Aは立設されており、板状素材1の側端1eをガイドし、前記ガイド部材53に円滑に導くように構成されている。
そして、このように構成された本ダクト成形機によれば、コーナ形成部4を上側に所定角度だけ屈曲させることによりはぜ形成部7と機械的に分離することができる、ダクト成形機を実現している。
具体的には、図44(あるいは図45)に図示するような、所定の形状と寸法に裁断された板状素材1を、作業者が、図53に図示するダクト成形機の上流端部の支持台51の側方から、該板状素材1の終端部の側端1eが前記第3のガイド部材59のガイド面59Aに略当接するような状態で、白抜き矢印Lで示す方向(Y方向と同じ)に、前記素材支持面51A上に載置するような状態で、挿入する。なお、この際、前記コーナ形成部分離装置56の分離ブロック56Aの底面の側端部が素材支持面51Aから上方に上がった位置にあるため、板状素材1の側端1eを容易に該分離ブロック56Aの下方に挿入することが可能となる。
そして、前記板状素材1の挿入が完了した状態で、図54に図示するような状態になる。この際、素材通過方向の前方側に位置する前記コーナ形成部4は、前記第2のガイド部材58の上方に位置する状態で挿入する。
そして、図54に示すような状態において、作業者は、空圧シリンダを動作させるスイッチを操作して、図55に図示するように、前記屈曲装置55の可動部材55Aを下降させて、板状素材1の素材通過方向の上流側(図55において左側)に位置するはぜ形成部(可動部材55Aの下方に隠れている部分)7をダクトの壁面形成部8に対して、下方に屈曲させる(図56参照)。この結果、板状素材1のはぜ形成部7が、前記第2のガイド部材58のガイド面58Aの下方の位置を通過できるようになる。なお、前述したように、始端側のコーナ形成部4(図44,図46参照)は、第2のガイド部材58の上方に位置する。また、前記可動部分55Aは、下降後、速やかに元の位置に復帰する。
次に、作業者は、この状態で、ダクト成形機の加工ロール41が回転するように、ダク ト成形機の駆動スイッチをONにして、図57に図示するように、板状素材1を加工ロール対41Aに挟持させて白抜き矢印Rで示す方向(素材通過方向)に、加工ロール対41Aおよび押さえロール42によって、加工ロール対41群の奥の方へ送り込む。
このようにガイドされた状態で、前記加工ロール対41Aおよびそれに当接する押さえロール42と、その下流側に設けられた加工ロール対(図示せず;図22等参照)およびそれに当接する押さえロール42によって、はぜ形成部7で、はぜ継手部17(17f、17m)が形成される(図41、図48等参照)。そして、このようにはぜ継手部17の加工の際には、前記コーナ形成部4(図44,図46参照)は、加工ロール41Aaのテーパ面41a(図50参照)によって上方へガイドされ、その加工ロール41Aaの上方の空間(非加工領域25)を通過して、何ら加工されることはない。また、このコーナ形成部4(図44,図46参照)が、加工ロール対41によるはぜ形成7の加工を邪魔するようなこともない。そして、加工ロール対41Aの後流側の加工ロール対群によって、図41あるいは図48に図示する加工が実行される。
そして、図58に図示するように、前記板状素材1の素材通過方向(Z方向)の終端に位置するコーナ形成部4(図44,図46参照)は、図57の状態から、図58に図示するように、前記コーナ形成部分離装置56の分離ブロック56Aの前記前方傾斜面56bによってガイドされて、分離ブロック56A上方に持ち上げられて屈曲して、さらに図59に図示するように、下流側の前記ガイド部材53へ送られて、上方に位置した状態で加工ロール対41A上方の前記非加工領域25を通過する。
また、前記送りに際し、板状素材1は、前記ガイド部材53のガイド面53Aによって、該板状素材1の側端1eが素材通過方向にガイドされ、前記上面ガイド面53Bと素材支持面51Aによって板状素材1の側端部1Eの上面と底面がガイドされ、さらに前記切り込みガイド部53eによって板状素材1の切り込み2Aの端1kが素材通過方向に沿ってガイドされる。
この図50に図示するダクト成形機の場合には、前記ガイド部材53等によって板状素材1が確実にガイドされた状態において素材通過方向に送られるため、図22に図示する送りロール対43群を省略することも可能となる。
このように本実施形態にかかるダクト成形機の場合には、コーナ形成部を作業者が手によって上方に屈曲することなく、自動的(機械的)に加工ロール対41の非加工領域に退避させてはぜ継手部を形成する加工を実施することが可能となる。