JP4464123B2 - エンボス加工方法 - Google Patents

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Description

本発明はシート状基材に凹凸の模様をつけるためのエンボス加工方法及びその方法で得られたエンボス加工紙に関し、さらに詳しくは、彫刻ロール及び受けロールに弾性ロールを用い、製品の意匠性や生産コストに優れるエンボス加工法、及びこの方法で得られた意匠性に優れ、かつコストの低いエンボス加工紙に関するものである。
本発明はオンマシンエンボス加工においてもオフマシンエンボス加工においても用いることができる。
従来のエンボス加工は、表面に凹凸模様が形成された金属製彫刻ロール(エンボスロール)及びそれと対になる受けロールにより、各種製品の表面に凹凸の模様を付けるものである。金属製彫刻ロールと対になるロールは、その材質によって金属ロールやゴム、樹脂等からなる弾性ロール及びペーパーロール等に分類することができる。そして、このようなエンボス加工をシート状の紙に対して行なう場合、受けロールとして、エンボスロールを押し当てることによりロール上に凹凸模様が形成される素材が用いられる事が多く、その代表的なものとしてペーパーロールが使用されてきた。
ペーパーロールは、紙を使用したロールであり、エンボスロールとペーパーロールとで雄雌ロールを構成する場合と、凹凸模様のないフラットロールの場合がある。このうち雄雌ロールでは、加工対象の紙へ柄を深く入れることができるが、加工後の紙が硬くなって風合いがなくなるという欠点がある。さらに、このようなペーパーロールにおける凹凸模様の形成は、従来、トレーニングと呼ばれる方法により行なわれていた。これは、ペーパーロールを湿らせておき、対になるエンボスロールをペーパーロールに接触させた状態で両ロールを回転させてエンボスロールの凹凸模様を転写するという方法であるため、凹凸模様の形成に長期間を要し、この間、このエンボスロールを組み込んだ加工装置がトレーニングに占有されるという問題がある。一方、ペーパーロールがフラットロールの場合は、加工対象の紙への柄の入りが浅いという欠点がある。
また、受けロールに金属ロールを用いた場合、両ロールとも金属製であるため、両ロールの間にクリアランスを設ける必要があり、その結果、加工対象の紙の材質によって製品の仕上がり精度が異なる。
近年、受けロールに弾性ロールを用いる技術についても提案されている(例えば、特許文献1および2参照)。特許文献1にはゴムの硬度を特定した、外周面がフラットなゴムロールが受けロールとして用いられている。ゴムロールの場合は上記トレーニングによる凹凸模様の転写が難しいため、低速加工の場合は加工対象の紙へ柄を深く入れることができるが、加工速度を上げると柄の入りが浅くなるという問題があった。
ゴムなどの弾性体は、弾性とともに粘性も持ち合わせている。この粘性特性によってゴムの変形量は速度依存性を持つことになり、速い加工速度の場合、遅い加工速度のときに比較して受けロールのゴムの変形量に対する抵抗力が増加し、その結果、柄の入りが浅くなるのである。
また、この問題を解決するために特許文献2には受けロールの、彫刻ロールの凸部に対応する部分に、機械や薬品処理により、穴をあけ、彫刻ロールと受けロールの凹凸模様を互いに雌雄の関係にする技術が提案されている。
上記の技術は、金属彫刻ロールと金属受けロール又は、金属彫刻ロールと弾性受けロールの組み合わせであり、いずれも金属ロールが用いられており、金属ロールの場合は、コストが高く、ロール重量が重いため、運搬や交換が大変であり、彫刻についても加工に制約があり、繊細な模様をつけるためには長時間を要する等の問題があった。
さらにまた、彫刻ロール及び受けロール共に弾性ロールを用いる技術が提案されている(例えば、特許文献3参照)。この技術は、柔軟性のある嵩高性ティッシュに関したものであり、紙質によっては十分な効果が得られないという問題があった。
特開2000−127268号公報(第1頁) 特開平6−143466号公報(第1頁) 特開平7−258999号公報(第6頁)
本発明は、これら従来のエンボス加工方法の問題点を解決するためになされたもので、彫刻ロール及び受けロールが軽量で凹凸模様の加工性が容易であると共に、多くの紙質に適用が可能であり、かつ製品の意匠性や生産コストに優れるエンボス加工方法、およびその方法で得られたエンボス加工紙を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、凹凸模様が雌雄の関係にあり、共に弾性ロールからなる彫刻ロール及び受けロールを用いて、シート状基材として特定量の水分を含有する紙に対し、エンボス加工することにより、その目的を達成し得ることを見出した。
本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
(1) 彫刻ロールと受けロールによりシート状基材に凹凸の模様を付けるエンボス加工方法であって、前記彫刻ロール及び受けロールが弾性ロールであると共に、彫刻ロールと受けロールの凹凸模様が互いに雌雄の関係にあり、かつ前記シート状基材として水分率が6質量%以上の紙を用いることを特徴とするエンボス加工方法、
(2) 紙の水分率が8〜20質量%である上記(1)のエンボス加工方法、
(3) 彫刻ロールと受けロールのJIS K 6301スプリング硬さ試験A型で測定した硬度がいずれも20度以上である上記(1)または(2)のエンボス加工方法、
(4) 彫刻ロールと受けロールの硬度が、いずれも70度以上である上記(3)のエンボス加工方法、
(5) 彫刻ロールと受けロールの硬度の差が20度以下である上記(1)から(4)のエンボス加工方法、
(6) 紙の坪量が70〜400g/m2である上記(1)から(5)のエンボス加工方法、
(7) エンボス加工時の線圧が、150kN/m以下である上記(1)から(6)のエンボス加工方法、
(8)エンボス加工時の線圧が、30〜80kN/mである上記(1)から(7)のエンボス加工方法、
(9) 加工後の紙の表面粗さ(十点平均粗さ)Rz値が、15μm以上である上記(1)から(8)のエンボス加工方法、
(10) 弾性ロールに硬質ウレタンゴムを用いる上記(1)から(9)のエンボス加工方法、
(11) 彫刻ロールの表面が、レーザー光により彫刻を施されたものである上記(1)から(10)のエンボス加工方法、
(12) 彫刻ロール及び/又は受けロールに、スリーブ方式を用いる上記(1)から(11)のエンボス加工方法、
(13) 加工後の紙に印刷した印刷物の光沢ムラの標準偏差が2.00以下である上記(1)から(12)のエンボス加工方法、
(14) 紙として塗工紙を用いる上記(1)から(13)のエンボス加工方法、
(15) オフマシンエンボス加工方法である上記(1)から(14)のエンボス加工方法、及び
(16) 上記(1)から(15)のエンボス加工方法によって加工されたことを特徴とするエンボス加工紙、
を提供するものである。
本発明によれば、彫刻ロールと受けロールの凹凸模様が互いに雌雄の関係にある弾性ロールによって、シート状基材として水分率が6質量%以上の紙を用いてエンボス加工をすることにより、以下の優れた効果を奏する。
(1).弾性ロールからなる彫刻ロールの模様はレーザー加工法によって、従来の鉄ロールより繊細かつ 容易に彫刻することができる。
(2).ロール加工に対する制約が減るため、加工費を含めた彫刻ロールの費用を大幅に低減させること ができる。
(3).更に、レーザー光によって加工された彫刻ロールを用いて、水分含有量が制御されたシート状の紙をエンボス加工することによって、紙質を問わず意匠性に優れた製品を得ることができる。
(4).また、弾性ロールを用いることで、従来の鉄ロールに比べロールが軽量になり、運搬、及び取り替え作業が非常に容易になる。
以下に、本発明について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明における彫刻ロールと受けロールを模式的に示した断面図である。1は弾性ロールからなる彫刻ロール、2は弾性ロールからなる受けロール、3は調湿された紙を示す。
図2は、本発明における彫刻ロールと受けロールの雌雄関係にある凹凸模様を模式的に描いた表面部分の拡大図である。
図1に示すように、本発明のエンボス加工方法においては、凹凸模様が雌雄関係にある彫刻ロール1と受けロール2との間に、調湿した紙を通して凹凸模様を転写する。
本発明において、彫刻ロールとは、シート状の基材である紙に付与したい模様を形成したロールであり、受けロールとは、彫刻ロールと対向するロールであるが、本発明においては、凹凸模様が彫刻ロールと雌雄関係、すなわち、片方のロールの凹部に対して、対になるロールの凸部が同調する位置にあることが必要であり、受けロールに形成する凹凸は彫刻ロールの凹凸の形が基材に転写されるのを助けるために最低限必要な凹凸をつけたものから、本発明の彫刻及び受けロール共に弾性ロールであるため、従来の鉄ロール同士のように互いの凹凸模様間にクリアランスを設ける必要がなく精密な凹凸を付与したものまで含むことができ、彫刻ロールと同一の形状をした受けロールを用いることができる。
彫刻ロールと受けロールの凹凸模様が雌雄関係にあることにより、紙への柄入りが深くなると共に高速加工が可能である。
受けロールがフラットの場合、受けロールがくぼみつつ柄を形成することになるが、ゴムの変形量に速度依存性があるので、高速でエンボス加工すると柄の入りが浅くなる。これに対し彫刻ロールと受けロールの凹凸模様が雌雄関係にある場合は、加工時のロールの変形が少なく、エンボス加工は速度依存性のあるゴムの変形量に影響をほとんど受けずに済むので、高速加工に適しているのである。
本発明において、彫刻ロール、受けロール共に弾性ロールであることが必要である。弾性ロールとは、ロール表面が弾性素材からなれば特に制限はない。弾性ロールの形態としては、(1)金属ロールに弾性素材を巻き付けたものなど、外周が弾性のある物質で形成されているもの、(2)軸以外の部分が弾性素材で形成されているもの及び(3)軸も含めロール全体が弾性素材で形成されているもののいずれであってもよい。
好ましい彫刻ロールの態様としては、マンドレルの周辺に脱着自在の筒状スリーブが装着され、該スリーブの外周にゴム等の弾性素材を巻き付けた後に彫刻を施したものを例示することができる。このような構成とすることにより、低コストで多種類の柄に対応できる。また、交換部の重量が軽くなりロール交換や運搬作業効率向上、およびスリーブのみの保管となるため、軸付ロールの保管スペースと比較すると保管スペースを小さくできる等の効果がある。
受けロールについても彫刻ロール同様、マンドレルの周辺に着脱自在の筒状のスリーブが装着され、該スリーブの外周にゴム等の弾性素材を巻き付けたものであってもよいが、本発明においては、少なくとも彫刻ロールが、前記の構成を有することが好ましい。
彫刻ロールの凹凸模様は、レーザー加工法、機械加工法、エッチング法、手彫り加工法等によって行なうことができる。機械加工法は、ロール(ゴム等を巻いたスリーブを含む)に旋盤やフライス盤で彫刻する方法で、彫刻できる模様は直線や曲線で構成された幾何学的な模様に限られる。エッチング法は、光照射により模様を形成させた後、腐食により加工する方法であるが、3次元パターンの加工には不向きである。手彫り加工法は、ロール外周に人の手で彫刻する方法で、任意の模様も彫刻可能であるが加工時間とコストの点では不利である。
本発明においては、レーザー加工法により彫刻することが最も好ましい。
レーザー加工法は、ロール外周に直接レーザー光線を照射して模様を彫刻する方法であり、レーザー加工法により彫刻された模様は、機械加工法により彫刻された模様と比較して繊細である。なお、ここで言うロール外周に直接レーザー光線を照射する事項には、プレートにレーザー光線を照射して彫刻したものをロールに取り付ける態様も含まれる。レーザー彫刻によりゴムを加工することができるが、模様が繊細になる程、ロールの彫刻部の寸法精度、耐圧縮永久ひずみ、反発弾性等の性能が要求される。
レーザー加工法を用いる場合、コンピュータによる画像処理を併用する事が好ましい。コンピュータによる画像処理を用いて柄を電子的に設計し、それを装置によって物理的に実現することが可能である。
コンピュータによる画像処理を用いて柄を電子的に設計すると、拡大、縮小、凹凸反転等の処理が可能なので、意匠性に優れる柄を容易に作成する事ができるので好ましい。また、つなぎ目が無い柄の作成ができる点も好ましい。
弾性ロールにおける弾性素材としては、弾性を有するものであれば特に制限はないがゴム、熱可塑性エラストマー、プラスチック等を用いることができる。中でもゴムが好ましく、硬質ウレタンゴムが特に好ましい。硬質ウレタンゴムを弾性ロールに用いることにより彫刻柄とエンボス加工後の製品の柄の形状との差が少ない柄の再現性に優れる製品を得ることができる。
ゴムとしては、天然ゴム、スチレン・ブタジエンゴム、ニトリルゴム、ニトリル・ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、エチレン・プロピレンゴム、シリコーンゴム、ふっ素ゴム、ウレタンゴム等が挙げられる。これらのゴムは、一種単独または2種以上を混合して用いてもよい。またこれらのゴムは純ゴムとして用いることもできるが、必要に応じて、カーボンブラック、シリカ等の充填材、可塑剤等のほかに、加硫剤、老化防止剤など一般に慣用されている材料を用いることができる。
本発明において、彫刻ロールの弾性体のJIS K 6301スプリング硬さ試験A型で測定した硬度(単位;度)(以下硬度ということがある)と受けロールの弾性体の硬度がいずれも20度より高い方が、エンボス加工時にそれら弾性体の凸部がつぶれにくいという点で好ましい。また、硬度が30度以上であると、弾性体の製造安定性が得られるため、硬度の安定したゴムが得られ、柄の再現性が優れたエンボス加工品が得られる。
また、彫刻ロールの硬度を70度以上にすると深いエンボス柄を得やすくなる。さらにまた、彫刻ロールと受けロールの硬度をいずれも70度以上にすること、あるいは彫刻ロールと受けロールの硬度の差を20度以下にすることによって、彫刻柄とエンボス加工後の製品の柄の形状との差が少ない柄の再現性の更に優れたエンボス加工品が得られる。
また本発明において、彫刻ロールおよび受けロール表面の弾性素材のヤング率は、JIS K 6301に準拠して測定した300%伸張時の引張応力が35MPa以下であることが好ましい。
本発明において、シート状基材として用いられる紙としては特に制限はないが、ファンシーペーパー、上質紙、中質紙、クラフト紙及び塗工紙等が挙げられる。これらの紙は、通常、書籍、パンフレット、カタログ、包装紙、ラベル等の用途に用いられる。
本発明で用いられる紙の坪量は70〜400g/m2が好ましい。
紙の原料であるパルプとしては、以下のものが挙げられる。木材パルプとしては、NBKP、LBKP、NBSP、GP、TMP、古紙パルプなどが挙げられ、必要に応じて単独であるいは併用して用いられる。非木材パルプと称されるものとしては、ケナフ、竹、リンター、麻、バガス、ワラ、アシ、エスパルト、バナナなどが挙げられる。合成繊維を混合してもよい。
目的に応じて、添加剤を含有させてもよい。例えば、木材パルプを主体とする紙である場合、内添サイズ剤としては、ロジン系サイズ剤、アルケニル無水コハク酸、アルキルケテンダイマー、石油樹脂系サイズ剤などを用いることができる。また、その他の添加剤として、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤、耐水化剤、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤、保湿剤、改質剤などを、本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することもできる。また、カオリン、チタン、炭酸カルシウム、タルクなどの填料を添加してもよい。
本発明に用いられるシート状基材である紙は、水分率が6質量%以上であることが必要であり、水分率が8〜20質量%の範囲が特に好ましい。紙の水分率を6質量%以上に調湿することで、(1)柄が深く入る、(2)低い線圧でもエンボス加工可能なので、彫刻面の磨耗が少なくなる為ロールが長持ちする、及び(3)彫刻柄とエンボス加工後の製品の柄の形状との差が少ない柄の再現性に優れる製品が得られる等、紙質による差の少ない意匠性に優れたエンボス加工製品を得ることができる。調湿することによってこのような効果が得られる理由としては、紙が柔軟になることや、パルプ間の水素結合を減少させて加工後の形状の戻りを減少させることなどが推測される。また、紙の水分率が8質量%以上であると、これら上記の効果がさらに向上する。さらに20質量%以下であれば、乾燥時の負荷が小さくて済むだけでなく、エンボス加工後に乾燥ドラムと接触する条件でも柄が崩れる虞は小さい。
なお、上記紙の水分率は、JIS P 8127に準拠して測定した値である。
エンボス加工には、抄紙機のライン上で行なうオンマシンエンボス加工と、抄紙機とは異なる機械によって行なうオフマシンエンボス加工とがある。本発明においては、オフマシンエンボス加工が好ましく用いられる。オフマシン機構の利点は、高度の生産性で最終製品が得られることである。オフマシン装置では、最終製品の特性をより柔軟に変えることが出来、最終製品の品質を高くすることができる。すなわち、本発明においては、通常の製紙の工程における乾燥工程を終了した乾紙を、紙質、凹凸模様の図柄に合わせて夫々意匠性の優れた最終製品を得るために、上記条件に合った水分率に再度調湿し、オフマシンエンボス加工を行なう。
シート状基材である紙の調湿の方法は、特に限定されないが、ブレードコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、サイズプレス、等既知のロールコーティング方式や、含浸、噴霧塗工などのコーティング方式で水分を付与することによって行なうことができる。また、高湿度の雰囲気中に長時間置くことなどによって行ってもよい。
本発明において、基材である紙にエンボス加工を行なう際の線圧は、特に制限はないが、通常150kN/m以下が好ましく、30〜80kN/mの範囲がより好ましい。紙質等により水分率を好ましい値に設定し柔らかくすることで低い線圧でもエンボス加工が可能になり彫刻面の摩耗が少なくなるため、ロールが長持ちする等の効果を得ることができる。
本発明において、エンボス加工後の紙の柄の深さに特に制限はないが、ある程度柄が深い場合の方が、本発明の効果がより顕著になる。エンボス加工後の紙の柄の深さは、紙の表面粗さ(十点平均粗さ)Rz値によって数値化できるが、この値が15μm以上である場合が好ましい。Rz値を15μm以上とする場合には、本発明のコストの低さ、加工の容易さ等の効果が他の方法と比較してより顕著になり、また意匠性の面でも、外観上、柄が充分に深いと感じられて優れたものとなる。Rz値の上限については特に制限はないが、通常100〜200μm程度である。柄の深さの調整は、彫刻ロールの彫刻深度やエンボス加工時の線圧等によって行なうことができる。
さらに、本発明は、エンボス加工後の紙に印刷した際の外観に関しても、優れた効果を発揮する。エンボス加工を行なうと紙に熱や圧力が加わるが、その圧力は彫刻ロールの凸部に接する部分において大きい。そのため、紙の、彫刻ロールの凸部に接した部分は表面がつぶされる程度が大きい。これにより、オフセット印刷等の印刷を施した際に、彫刻ロールの凸部に接した部分は光沢が大きく、他の部分は小さいという、光沢のムラが生じてしまう。本発明を用いると、小さい圧力で加工することができる、加工の際に熱を掛ける必要が無い等の理由により、彫刻ロールの凸部に接した部分でも殆どつぶれないため、この光沢ムラが小さい。特に塗工紙は光沢ムラが発生しやすいので、シート状基材として塗工紙を用いた場合に、他の方法と比べた本発明の方法の光沢ムラ防止効果の差は顕著である。本発明を用いて、エンボス加工後の紙に印刷した印刷物の光沢の標準偏差を、2.00以下に調整することが好ましい。標準偏差を上記範囲にすることで、印刷物の凸部と凹部の光沢が均一で美観に優れたエンボス加工紙を得ることができる。本発明を用いると上記範囲になる場合が多いが、調整する場合には、エンボス加工を行なう際の線圧等により調整することができる。
尚、光沢の標準偏差は、インク等の諸条件によって異なる。ここでいう光沢の標準偏差とは、石川島産業機械社製のRI-2型印刷適性試験機を用い、インクとして大日本インキ化学工業社製のバリウスG 藍を用いてインク盛量1.0gにて印刷し、昭光通商社製のコート紙表面分析装置で、分光して220nm波長の部分で測定した印刷光沢度の標準偏差である。
本発明はまた、前述の方法によって加工されてなるエンボス加工紙をも提供する。このエンボス加工紙は、意匠性に優れる上、製造コストも低く、書籍、パンフレット、高級カタログ、グリーティングカード、壁紙等の用途に好適である。
次に、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、エンボス加工紙の性能は、以下に示す方法に従って評価した。
(1)柄の再現性
エンボス加工後の紙の柄の再現性を、目視で評価した。
○・・・・再現性が非常に良好
△・・・・再現性がやや良好
×・・・・再現性が悪い
(2)表面粗さRz値
エンボス加工後の紙の表面粗さ(十点平均粗さ)を、(株)小坂研究所製の、表面粗さ測定器「SE−30D」、検出器「PU−DJ2S」、ダイヤモンド製の先端径2μmの探針を用いて測定した。
(3)印刷光沢度の標準偏差
石川島産業機械(株)社製のRI-2型印刷適性試験機を用い、インクとして、大日本インキ化学工業(株)社のバリウスG 藍を用いてインク盛量1.0gにて印刷し、昭光通商社製のコート紙表面分析装置で、分光して220nm波長の部分で印刷光沢度の標準偏差(印刷光沢ムラ)を測定した。
(4)彫刻及び受けロールの硬度
JIS K 6301スプリング硬さ試験A型に準拠した。
実施例1
*彫刻ロールの材質:硬質ウレタンゴム
*受けロールの材質:硬質ウレタンゴム
*彫刻ロールと受けロールの凹凸模様の形状:雌雄の関係
*紙:木材パルプNBKP50質量%、LBKP50質量%配合し、濾水度400mlにて抄造した原紙
*紙の水分率:10質量%
*加工方法:オフマシンエンボス加工方法
*彫刻ロールの硬度:98度
*受けロールの硬度:98度
*紙の坪量:116.3g/m2
*エンボス加工時の線圧:50kN/m
以上の条件に基づいてエンボス加工を行った。エンボス加工品についての各評価結果を第1表に示す。
比較例1
実施例1において彫刻ロールの材質を鉄、受けロールの材質をペーパーロール及び紙の水分率を5質量%に変え、彫刻ロールと受けロールの凹凸模様の形状、紙、加工方法、紙の坪量及びエンボス加工時の線圧については実施例1と同様に行った。エンボス加工品についての各評価結果を第1表に示す。
Figure 0004464123
本発明における彫刻ロールと受けロールを模式的に示した断面図である。 本発明における彫刻ロールと受けロールの雌雄関係にある凹凸模様を模式的に描いた、部分拡大図である。
符号の説明
1 彫刻ロール
2 受けロール
3 紙

Claims (14)

  1. 彫刻ロールと受けロールによりシート状基材に凹凸の模様を付けるエンボス加工方法であって、前記彫刻ロール及び受けロールが弾性ロールであると共に、彫刻ロールと受けロールの凹凸模様が互いに雌雄の関係にあり、彫刻ロールと受けロールのJIS K 6301スプリング硬さ試験A型で測定した硬度がいずれも20度以上であり、彫刻ロールと受けロールの硬度の差が20度以下であり、かつ前記シート状基材として水分率が6質量%以上の紙を用いることを特徴とするエンボス加工方法。
  2. 紙の水分率が8〜20質量%であることを特徴とする請求項1に記載のエンボス加工方法。
  3. 彫刻ロールと受けロールの硬度が、いずれも70度以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のエンボス加工方法。
  4. 紙の坪量が70〜400g/m2であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のエンボス加工方法。
  5. エンボス加工時の線圧が、150kN/m以下であることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載のエンボス加工方法。
  6. エンボス加工時の線圧が、30〜80kN/mであることを特徴とする請求項に記載のエンボス加工方法。
  7. 加工後の紙の表面粗さ(十点平均粗さ)Rz値が、15μm以上であることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載のエンボス加工方法。
  8. 弾性ロールに硬質ウレタンゴムを用いることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載のエンボス加工方法。
  9. 彫刻ロールの表面が、レーザー光により彫刻を施されたものであることを特徴とする、請求項1からのいずれか1項に記載のエンボス加工方法。
  10. 彫刻ロール及び/又は受けロールに、スリーブ方式を用いることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載のエンボス加工方法。
  11. 加工後の紙に印刷した印刷物の光沢ムラによる光沢の標準偏差が2.00以下であることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載のエンボス加工方法。
  12. 紙として塗工紙を用いることを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載のエンボス加工方法。
  13. オフマシンエンボス方法であることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載のエンボス加工方法。
  14. 請求項1から13のいずれか1項記載のエンボス加工方法によって加工されたことを特徴とするエンボス加工紙。
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