JP4461727B2 - 外用剤組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、皮膚炎等に治療効果を有する外用剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
アトピー性皮膚炎等のアレルギー疾患に対する主な治療法には、ステロイド外用剤、非ステロイド系消炎外用剤等の外用製剤の使用、抗アレルギー剤、抗ヒスタミン剤、漢方薬、ステロイド剤、シクロスポリン等の内服、細菌ワクチン療法、薬浴療法、スキンケア、家塵ダニ対策、アレルゲン除去食療法等種々試みられている。しかし、いずれの治療法、治療剤によってもこの皮膚炎を根治することは難しいというのが現状である。更に、例えばステロイド剤は薬理効果は高いが薬剤特有の副作用が非常に強く、使用にあたっては充分な配慮が必要であると同時に長期連用は困難である。
また、コンドロイチン−4−硫酸、コンドロイチン−6−硫酸、デルマタン硫酸、ヘパラン硫酸及びケラタン硫酸等の多硫酸化ムコ多糖類をアレルギー性疾患治療薬として使用するという試みがある(例えば、特許文献1参照)。このようなヘパリン類似物質等は、主として牛の気管軟骨を含む肺臓から抽出したものであるが、近年ウシ伝達性海綿状脳症(BSE)の感染、及び牛、豚の口蹄疫感染が世界的問題になり、哺乳動物由来成分の安全性が懸念されている。
【0003】
アトピー性皮膚炎増悪の他の原因として患部の細菌感染、特に黄色ブドウ球菌が関与していることが知られている(例えば、非特許文献1参照)。そのためアトピー性皮膚炎治療のため、ポピドンヨード、カチオン界面活性剤、グルコン酸クロルヘキシジン、低級アルコール、ヒノキチオール等様々な外用殺菌消毒剤が用いられている(例えば、特許文献2参照)。しかし、これらの殺菌消毒剤は、皮膚への刺激性が強く、アトピー性皮膚炎患者のように皮膚が敏感な人々には使用しにくい。更に、殺菌消毒剤の使用は皮膚患部を無菌性に保つだけで、アトピー性皮膚炎の治療には不十分である。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−335288号公報
【特許文献2】
特開平9−077665号公報
【非特許文献1】
臨床免疫,第28巻(12号):1580頁(1996年)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、長期連用が可能で、皮膚に対する刺激が少なく、更に、原料として哺乳動物由来成分を用いず、皮膚炎患部の細菌感染、特に黄色ブドウ球菌の感染を防ぐことができ、優れた抗炎症作用を示す外用剤組成物、特にアトピー性皮膚炎に対して優れた抗炎症作用を示す外用剤組成物を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究の結果、ε−ポリリジン及び/またはその塩を含有する外用剤組成物によって前記課題が解決できることを見出し、その知見に基づいて本発明を完成させた。
【0007】
本発明は、以下によって構成される。
(1)ε−ポリリジン及び/またはその塩を含有する外用剤組成物。
(2)組成物がヒアルロン酸及び/またはその塩を含有し、その含有量が、組成物の重量基準で0.001〜10重量%である前記(1)項記載の外用剤組成物。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明において使用されるε−ポリリジンは、何れの方法によって得られたものであってもよく、具体的には、特許第1245361号に記載のストレプトマイセス・アルブラス・サブスピーシーズ・リジノポリメラスを、グルコース5重量%、酵母エキス0.5重量%、硫酸アンモニウム1重量%、リン酸水素二カリウム0.08重量%、リン酸二水素カリウム0.136重量%、硫酸マグネシウム・7水和物0.05重量%、硫酸亜鉛・7水和物0.004重量%、硫酸鉄・7水和物0.03重量%、pH6.8に調整した培地にて培養し、得られた培養物からε−ポリリジンを分離・採取することによって得られるε−ポリリジンを挙げることができる。
【0009】
本発明においては、遊離のε−ポリリジンを用いてもよく、塩酸、硫酸、及びリン酸等の無機酸とε−ポリリジンとで形成されるε−ポリリジンの無機酸塩、酢酸、プロピオン酸、フマル酸、リンゴ酸、クエン酸、マレイン酸、アジピン酸、グルコン酸、及び乳酸等の有機酸とε−ポリリジンとで形成されるε−ポリリジンの有機酸塩、カプロン酸、ラウリン酸、及びステアリン酸等の中鎖及び長鎖の飽和脂肪酸とε−ポリリジンとで形成されるε−ポリリジンの飽和脂肪酸塩、オレイン酸、リノール酸、及びアラキドン酸等の中鎖及び長鎖の不飽和脂肪酸とε−ポリリジンとで形成されるε−ポリリジンの不飽和脂肪酸塩等を用いてもよく、これらの混合物でも良い。
本発明に使用されるε−ポリリジンやその塩の毒性は非常に低く、例えばε−ポリリジン塩酸塩のマウス経口投与における急性毒性は、LD50 で5g/kg以上であり、人体等に使用しても安全性が高い。
【0010】
本発明の外用剤組成物には、抗菌効果を向上させるため酸を使用してもよい。本発明に用いられる酸としては、塩酸、リン酸、酢酸、乳酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、フマル酸、アジピン酸、グルコン酸、プロピオン酸、及びマレイン酸等を挙げることができる。
【0011】
本発明の外用剤組成物には、抗菌効果を向上させるため、pH緩衝能を有する電解質を配合してもよい。pH緩衝能を有する電解質としては、リン酸−リン酸金属塩、酢酸−酢酸金属塩、乳酸−乳酸金属塩、コハク酸−コハク酸金属塩、酒石酸−酒石酸金属塩、クエン酸−クエン酸金属塩、リンゴ酸−リンゴ酸金属塩等を挙げることができる。また金属塩の種類は特に限定されないが、ナトリウム塩やカリウム塩を挙げることができる。これら電解質の含有率は、外用剤組成物の形態や適用部位、適用の方法や回数等により異なり、また症状の軽重等に依存して広範囲に変えることができるが、本発明の外用剤組成物全量に対して、0.001〜5重量%が好ましく、0.01〜2重量%がより好ましい。含有率がこの範囲であれば十分なpH緩衝能が発揮され、かつ経済的である。
【0012】
また、本発明の外用剤組成物には、抗菌効果を向上させるため、アミノ酸を併用してもよい。本発明に使用するアミノ酸としては、中性アミノ酸(グリシン、アラニン、バリン或いはロイシン等)、酸性アミノ酸(アスパラギン酸、グルタミン酸等)、塩基性アミノ酸(リジン、アルギニン等)その他があるが、本発明におけるε−ポリリジンとの併用で著しい相乗効果が認められるグリシン、アラニンの使用が最も好ましい。これらのアミノ酸の含有率は、外用剤組成物の形態や適用部位、適用の方法や回数等により異なり、また症状の軽重等に依存して広範囲に変えることができるが、本発明の外用剤組成物全量に対して、0.001〜5重量%が好ましく、0.01〜2重量%がより好ましい。
また、ε−ポリリジン及び/またはその塩に対するアミノ酸の重量比率は、ε−ポリリジン及び/またはその塩:アミノ酸が1:1〜30であることが好ましい。含有率が上記の範囲であれば、抗菌効果においてε−ポリリジン及び/またはその塩とアミノ酸との著しい相乗効果が認められ、かつ経済的である。
【0013】
本発明において、ε−ポリリジン及び/またはその塩、pH緩衝能を有する電解質、及びアミノ酸を併用する場合は、ε−ポリリジン及び/またはその塩:pH緩衝能を有する電解質:アミノ酸の重量比率が1:1〜10:1〜30の割合で使用するのが好ましく、少ない使用量で顕著な抗菌効果が期待できる。
【0014】
本発明の外用剤組成物には、保湿作用を向上させるため保湿剤を併用してもよい。本発明で用いることができる保湿剤としては、例えば、グリセリン、ジグリセリン(EO)PO付加物、グルクロン酸、カロニン酸、ヒアルロン酸及びヒアルロン酸ナトリウム、カリウム、カルシウム等のヒアルロン酸塩、ホホバ油、大豆リン脂質、卵黄リン脂質等のリン脂質、スクワラン、ラノリン及びラノリンアルコール、ラノリン脂肪酸、ラノリン脂肪酸イソプロピル等のラノリン誘導体、尿素、ビタミンA、ビタミンA油、ビタミンE及びその酢酸トコフェロール等のビタミンE誘導体、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールのブロック共重合体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン脂肪酸エステル等のポリアルキレングリコール誘導体、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、カンテン、セルロース、キトサン、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、トレハロース等高分子多糖類及びその誘導体、イザヨイバラ抽出物、セイヨウノコギリソウ抽出物、メリロート抽出物アラニン、グルタミン酸、イソロイシン、ゼラチン、グルタミン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、dl−ピロリドンカルボン酸塩、コラーゲン、コラーゲンヘキサデシル、カゼイン、カゼインナトリウム等のアミノ酸及びその誘導体が挙げられる。これらの保湿剤は、市販品を使用することができる。また、これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。中でも、好ましいものとして、ヒアルロン酸及びその塩が挙げられる。
【0015】
本発明の外用剤組成物における保湿剤の含有量は、皮膚用外用剤の形態や適用部位、適用の方法や回数等により異なり、また症状の軽重等に依存して広範囲に変えることができる。組成物中の保湿剤の含有量は、通常、組成物の重量基準で0.0001〜50重量%である。保湿剤がヒアルロン酸及びその塩の場合は、その含有量が、組成物の重量基準で好ましくは0.001〜10重量%、より好ましくは0.005〜1.0重量%である。
【0016】
本発明の外用剤組成物の形態は特に制限されず、固体、液体、ペースト、ゼリー、粉末等のいずれの状態をとるものであってもよい。具体的には軟膏剤、硬膏剤、エアゾール剤、液剤、懸濁剤、貼付剤、ローション剤等の製剤を挙げることができる。また液剤等をガーゼ、脱脂綿、創傷被覆材、粘着プラスター等に含浸させ用いることもできる。
【0017】
本発明の外用剤組成物においては、以下の成分を併用することも有用である。外用剤組成物中の含有量は、外用剤組成物の形態や適用部位、適用の方法や回数等により異なり、また症状の軽重等に依存して広範囲に変えることができるが、通常、0.0001〜50重量%が好ましい。
【0018】
(1)抗菌剤
本発明の外用剤組成物で用いることができる抗菌剤としては、例えば、アクリノール、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化メチルロザニリン、グルコン酸クロルヘキシジン、塩化クロルヘキシジン、ヨウ素、ヨウ化カリウム、ポピドンヨード、ヨードホルム、アルキルポリアミノエチルグリシン、チメロサール、ブロノポール、レゾルシン、リゾチーム、キトサン、エゴノキ抽出物、ヒバ油、ヒノキチオール、プロタミン、プロポリス、しらこたん白、緑茶抽出物、甘草抽出物、ホオノキ抽出物、カラホオ抽出物、柑橘種子抽出物、ペクチン分解物、レンギョウ抽出物、カワラヨモギ抽出物、シソの葉エキス、カラシ抽出物、ワサビ抽出物、孟宗竹抽出物、トウガラシ抽出物、タデ抽出物、ウド抽出物、ニンニク抽出物、ピメンタ抽出物、イチジク抽出物、クワ抽出物、ブドウ種子抽出物、ペパー抽出物、マダケ抽出物、オレガノ抽出物、モミガラ抽出物、グローブ抽出物、しょうが抽出物、セージ抽出物、ハチク抽出物、ブドウ果皮抽出物、ホッコシ抽出物、ユッカフォーム抽出物、ローズマリー抽出物等が挙げられる。これらの抗菌剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0019】
(2)抗炎症剤
本発明の外用剤組成物で用いることができる抗炎症剤としては、例えば、酸化亜鉛、イオウ及びその誘導体、メフェナム酸、フェニルブタゾン、インドメタシン、イブプロフェン、ケトプロフェン、アラントイン、グアイアズレン、D−パンテノール及びそれらの誘導体並びにそれらの塩、グリチルリチン酸、グリチルリチン酸誘導体(グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸カリウム、グリチルリチン酸ナトリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム等)、β−グリチルレチン酸、グリチルレチン酸誘導体(グリチルレチン酸ステアリル、グリチルレチン酸ピリドキシン、ステアリン酸グリチルレチニル、3−サクシニルオキシグリチルレチン酸2ナトリウム等)、ε−アミノカプロン酸、ジクロフェナクナトリウム、トラネキサム酸、ブフェキサマック、イブプロフェンピコノール、ウフェナマート、スプロフェン、ロキソプロフェン、ベンダザック、ジクロフェナック、フルルビプロフェン、ピロキシカム、フェルビナク、アシタバ抽出物、アルニカ抽出物、オウバク抽出物、アロエ抽出物、イブキトラノオ抽出物、ウコン抽出物、オトギリソウ抽出物、カミツレ抽出物、カンゾウ抽出物、キンギンカ抽出物、クレソン抽出物、コンフリー抽出物、ゴカヒ抽出物、サルビア抽出物、シコン抽出物、シソ抽出物、シラカバ抽出物、チャ抽出物、トウキ抽出液、トウキンセンカ抽出物、ニワトコ抽出物、ホオウ抽出物、ムクロジ抽出物、ヨモギ抽出物、ユーカリ抽出物、レンゲソウ抽出物等を挙げることができ、これらの中でも特に好ましいものとしてグリチルレチン酸、グリチルリチン酸及びこれらの誘導体、トラネキサム酸等が効果的である。これらの薬物は1種単独でまたは2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
【0020】
(3)細胞賦活剤
本発明の外用剤組成物で用いることができる細胞賦活剤としては、例えば、レチノール及びその誘導体(パルミチン酸レチノール、酢酸レチノール等)、レチナール及びその誘導体、デヒドロレチナール、カロテン等のカロチノイド等のビタミンA類、チアミン類(チアミン塩酸塩、チアミン硫酸塩)、リボフラビン類(リボフラビン、酢酸リボフラビン等)、ピリドキシン類(塩酸ピリドキシン、ピリドキシンジオクタノエート等)、フラビンアデニンヌクレオチド、シアノコバラミン、葉酸類、ニコチン酸類(ニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル等)、コリン類等のビタミンB類、デオキシリボ核酸及びその塩、アデノシン三リン酸、アデノシン一リン酸等のアデニル酸誘導体及びそれらの塩、リボ核酸及びその塩、サイクリックAMP、サイクリックGMP、グアニン、アデニン、シトシン、チミン、キサンチン及びそれらの誘導体であるカフェイン、テオフェリン並びにそれらの塩等の核酸関連物質、α−及びγ−リノレン酸、コラーゲン、エイコサペンタエン酸及びそれらの誘導体、エストラジオール及びその誘導体並びにそれらの塩、グリコール酸、コハク酸、乳酸、サリチル酸等の有機酸及びそれらの誘導体並びにそれらの塩、アンズ抽出物、イチョウ抽出物、オタネニンジン抽出物、オオムギ抽出物、オレンジ抽出物、キュウリ抽出物、キウイ抽出物、シイタケ抽出物、スギナ抽出物、センブリ抽出物、タイソウ抽出物、トウガラシ抽出物、ニンニク抽出物、ニンジン抽出物、ブクリョウ抽出物、モモ抽出物、レタス抽出物、レモン抽出物、霊芝抽出物、ローズマリー抽出物、ヒノキチオール、セファランチン等の植物由来の抽出物、トリ等の卵成分、鶏冠抽出物、貝殻抽出物、貝肉抽出物、ローヤルゼリー、シルクプロテイン及びその分解物またはそれらの誘導体、ヘモグロビンまたはその分解物、ラクトフェリンまたはその分解物、イカスミ等の軟体動物抽出物、魚肉抽出物等、鳥類、貝類、昆虫類、魚類、軟体動物類、甲殻類等の動物由来の抽出物、酵母抽出物、乳酸菌抽出物、ビフィズス菌抽出物等の発酵代謝産物から選ばれる微生物由来の抽出物が挙げられる。これらは1種単独でまたは2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
【0021】
(4)チロシナーゼ活性阻害剤
本発明の外用剤組成物で用いることができるチロシナーゼ活性阻害剤としては、例えば、ビタミンC及びその誘導体並びにそれらの塩、グルタチオン及びその誘導体並びにそれらの塩、システイン及びその誘導体(例えば、N,N−ジアセチルシスチンジメチル等)並びにその塩、グラブリジン、グラブレン、リクイリチン、イソリクイリチン及びこれらを含有するカンゾウ抽出物、センプクカ抽出物、ケイケットウ抽出物、サンペンズ抽出物、ソウハクヒ抽出物、トウキ抽出物、イブキトラノオ抽出物、クララ抽出物、サンザシ抽出物、シラユリ抽出物、ホップ抽出物、ノイバラ抽出物及びヨクイニン抽出物等が挙げられる。これらは1種単独でまたは2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
【0022】
(5)活性酸素除去剤
本発明の外用剤組成物で用いることができる活性酸素除去剤としては、例えば、スーパーオキサイドディスムターゼ、マンニトール、ビリルビン、コレステロール、トリプトファン、ヒスチジン、クエルセチン、クエルシトリン、カテキン、カテキン誘導体、ルチン、ルチン誘導体、タウリン、チオタウリン、卵殻膜抽出物、没食子酸、没食子酸誘導体、酵母抽出物、霊芝抽出物、ヤシャジツ抽出物、ゲンノショウコ抽出物、ボタンピ抽出物、メリッサ抽出物、パセリ抽出物及びジコッピ抽出物、レチノール及びその誘導体(パルミチン酸レチノール、酢酸レチノール等)、レチナール及びその誘導体、デヒドロレチナール等のビタミンA類;チアミン類(チアミン塩酸塩、チアミン硫酸塩等)、リボフラビン類(リボフラビン、酢酸リボフラビン等)、ピリドキシン類(塩酸ピリドキシン、ピリドキシンジオクタノエート等)、フラビンアデニンヌクレオチド、シアノコバラミン、葉酸類、ニコチン酸類(ニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル等)、コリン類等のビタミンB類;エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール、ジヒドロキシスタナール等のビタミンD類;トコフェロール及びその誘導体(dl−α(β、γ)−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、ニコチン酸−dl−α−トコフェロール、リノール酸−dl−α−トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロール等)、ユビキノン類等のビタミンE類;ジブチルヒドロキシトルエン及びブチルヒドロキシアニソール等が挙げられる。これらは1種単独でまたは2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
【0023】
(6)抗酸化剤
本発明の外用剤組成物で用いることができる抗酸化剤としては、例えば、ビタミンAアセテート、ビタミンAパルミテート等のビタミンA類及びそれらの誘導体並びにそれらの塩、ビタミンB類及びそれらの誘導体並びにそれらの塩、リン酸−L−アスコルビルマグネシウム、L−アスコルビン酸硫酸エステル二ナトリウム、ビタミンCジパルミテート等のビタミンC及びその誘導体並びにそれらの塩、ビタミンD類及びそれらの誘導体並びにそれらの塩、ビタミンEアセテート等のビタミンE及びその誘導体並びにそれらの塩、グルタチオン及びその誘導体並びにそれらの塩、BHT及びBHA、α−トコフェロール、ブチルヒドロキシトルエン等が挙げられる。これらは1種単独でまたは2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
【0024】
(7)金属キレート剤
本発明の外用剤組成物で用いることができる金属キレート剤としては、例えば、クエン酸、サリチル酸、酒石酸、グルコン酸、フィチン酸及びその誘導体並びにそれらの塩、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、デスフェリオキサミン、エチレンジアミン四酢酸及びその塩、ジエチレントリアミンペンタアセチックアシッド及びその塩、o−フェナントロリン、トランスフェリン、フェリチン、ラクトフェリン、カフェイックアシッド、マルトール、プルプロガリン、ピロガロール等が挙げられる。これらは1種単独でまたは2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
【0025】
(8)抗ヒスタミン剤
本発明の外用剤組成物で用いることができる抗ヒスタミン剤としては、例えば、ジフェンヒドラミン、塩酸ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミン、塩酸イソチペジル等が挙げられ、これらは1種単独でまたは2種以上を適宜組み合わせて使用することができ、その配合量としては、外用組成物全体に対して0.1〜2重量%が好適である。
(9)保存剤
本発明の外用剤組成物で用いることができる保存剤としては、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸エステル、安息香酸ナトリウム、尿素、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン等挙げられ、これらは1種単独でまたは2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
【0026】
尚、本発明の外用剤組成物は、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲内で、下記に例示する成分や添加剤を任意に選択・併用して製造することができる。外用剤組成物中の含有量は、外用剤組成物の形態や適用部位、適用の方法や回数等により異なり、また症状の軽重等に依存して広範囲に変えることができるが、通常、0.0001〜50重量%が好ましい。
【0027】
(10)油脂成分
オレイン酸、ベヘン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、γ−リノレン酸、コルンビン酸、エイコサ−(n−6,9,13)−トリエン酸、アラキドン酸、α−リノレン酸、チムノドン酸、ヘキサエン酸等の脂肪酸、ペンタエリスリトール−テトラ−2−エチルヘキサノエート、イソプロピルミリステート、ブチルステアレート、ヘキシルラウレート、オクチルドデシルミリステート、ジイソプロピルアジペート、ジイソプロピルセバケート等の脂肪酸エステル、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、セチルアルコール、2−オクチルドデカノール、2−デシルテトラデカノール等の高級アルコール、ミツロウ、ラノリン、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、ワセリン、オリーブ油、ヒマシ油、カカオ脂、パーム油、タラ肝油、月見草油、コメヌカ油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、スクワラン、セラミド、炭化水素系オイル、流動パラフィン、メチルフェニルシロキサン、ジメチルシロキサン及びこれらの誘導体等。
【0028】
(11)ノニオン界面活性剤
ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート等のソルビタンエステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノイソステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート等のポリオキシエチレンソルビタンエステル、グリセロールモノイソステアレート、グリセロールモノミリステート等のグリセロールエーテル、ポリオキシエチレングリセロールモノイソステアレート、ポリオキシエチレングリセロールモノミリステート等のポリオキシエチレングリセロールエーテル、ジグリセリルモノステアレート、デカグリセリルデカイソステアレート、ジグリセリルジイソステアレート等のポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリルモノカプレート、グリセリルモノラウレート、グリセリルモノミリステート、グリセリルモノパルミテート、グリセリルモノオレエート、グリセリルモノステアレート、グリセリルモノリノレエート、グリセリルモノイソステアレート、グリセリルモノジリノレエート、グリセリルモノジカプレート等のグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリルモノミリステート、ポリオキシエチレングリセリルモノオレエート、ポリオキシエチレングリセリルモノステアレート等のポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンオクチルドデシルアルコール、ポリオキシエチレン−2−デシルテトラデシルアルコール等のポリオキシエチレン分岐アルキルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルアルコールエーテル、ポリオキシエチレンセチルアルコールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンジヒドロコレステロールエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油イソステアレート等のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル等。
【0029】
(12)アニオン界面活性剤
ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等の高級脂肪酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリン硫酸カリウム等の高級アルキル硫酸エステル塩、POEラウリル硫酸トリエタノールアミン、POEラウリル硫酸ナトリウム等のアルキルエーテル硫酸エステル塩、ラウロイルサルコシンナトリウム等のN−アシルサルコシン酸塩、N−ミリストイル−N−メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリッドナトリウム、ラウリルメチルタウリッドナトリウム等の高級脂肪酸アミドスルホン酸塩、POEステアリルエーテルリン酸等のリン酸エステル塩POEオレイルエーテルリン酸ナトリウム、ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、モノラウロイルモノエタノールアミドポリオキシエチレンスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルポリプロピレングリコールスルホコハク酸ナトリウム等のスルホコハク酸塩、リニアドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、リニアドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、リニアドデシルベンゼンスルホン酸等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、N−ラウロイルグルタミン酸モノナトリウム、N−ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム、N−ミリストイル−L−グルタミン酸モノナトリウム等のN−アシルグルタミン酸塩、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム等の高級脂肪酸エステル硫酸エステル塩、POEアルキルアリルエーテルカルボン酸塩等のPOEアルキルエーテルカルボン酸塩、α−オレフィインスルホン酸塩、高級脂肪酸エステルスルホン酸塩、二級アルコール硫酸エステル塩、高級脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル、ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム、N−パルミトイルアスパラキン酸ジトリエタノールアミン、カゼインナトリウム等。
【0030】
(13)カチオン界面活性剤
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム等のアルキルトリメチルアンモニウム塩、塩化セチルピリジニウム等のアルキルピリジニウム塩、塩化ジステアリルジメチルアンモニウムジアルキルジメチルアンモニウム塩、塩化ポリ(N,N’−ジメチル−3,5−メチレンピペリジニウム)、アルキル四級アンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、ジアルキルモリホニウム塩、POE−アルキルアミン、アルキルアミン塩、ポリアミン脂肪酸誘導体、アミルアルコール脂肪酸誘導体等。
【0031】
(14)増粘剤
アラビアガム、カラギーナン、カラヤガム、トラガカントガム、キャロブガム、クインスシード(マルメロ)、カゼイン、カルボキシビニルポリマー、デキストリン、ゼラチン、ペクチン酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、PVM、PVP、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ローカストビーンガム、グアーガム、タマリントガム、ジアルキルジメチルアンモニウム硫酸セルロース、キサンタンガム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ベントナイト、ヘクトライト、ケイ酸AlMg(ビーガム)、ラポナイト、無水ケイ酸、塩化ナトリウム等の電解質等。
【0032】
(15)ビタミン
ビタミンA群:レチノール、レチナール(ビタミンA1)、デヒドロレチナール(ビタミンA2)、カロテン、リコピン(プロビタミンA)、ビタミンB群:チアミン塩酸塩、チアミン硫酸塩(ビタミンB1)、リボフラビン(ビタミンB2)、ピリドキシン(ビタミンB6)、シアノコバラミン(ビタミンB12)、葉酸類、ニコチン酸類、パントテン酸類、ビオチン類、コリン、イノシトール類、ビタミンC群:ビタミンC酸又はその誘導体、ビタミンD群:エルゴカルシフェロール(ビタミンD2)、コレカルシフェロール(ビタミンD3)、ジヒドロタキステロール、ビタミンE群:ビタミンE又はその誘導体、ユビキノン類、ビタミンK群:フィトナジオン(ビタミンK1)、メナキノン(ビタミンK2)、メナジオン(ビタミンK3)、メナジオール(ビタミンK4)、その他、必須脂肪酸(ビタミンF)、カルニチン、フェルラ酸、γ−オリザノール、オロット酸、ビタミンP類(ルチン、エリオシトリン、ヘスペリジン)、ビタミンU等。
【0033】
(16)アミノ酸
バリン、ロイシン、イソロイシン、トレオニン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、リジン、グリシン、アラニン、アスパラギン、グルタミン、セリン、システイン、シスチン、チロシン、プロリン、ヒドロキシプロリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、ヒドロキシリジン、アルギニン、オルニチン、ヒスチジン等や、それらの硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、クエン酸塩、またはピロリドンカルボン酸のごときアミノ酸誘導体等。
【0034】
(17)糖類
グルコース、マンノース、タロース、ガラクトース、ソルボース、タガトース、フルクトース、プシコース、マルトース、トレハロース、キシロビオース、イソマントース、ラクトース、スクロース、ラフィノース、ツラノース、ラクツロース、メリビオース、ビシアノース、リンビオース、マルトトリオース、キシロトリオース、マルトテトラオース、キシロテトラオース、マルトペンタオース、キシロペンタオース、マルトヘキサオース、キシロヘキサオース、マルトヘプタオース、キシロヘプタオース等。
【0035】
(18)無機塩
塩化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、ホウ砂、硫酸ナトリウム、硫化ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、塩化カリウム、硫化カリウム等。
【0036】
(19)その他
ゲル化剤、pH調節剤、金属イオン封鎖剤、香料、UV吸収剤、鎮痛剤、殺菌剤、角質改善剤、抗生物質、リン脂質、血行促進剤等。
【0037】
【実施例】
以下、実施例によって更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、本実施例において用いられたε−ポリリジンは、チッソ(株)製である。
【0038】
1.抗菌性試験
実施例1
滅菌した1/500濃度の普通ブイヨン培地に、滅菌ピペットで黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)を、培地中の生菌数が10個/mlレベルの濃度となるように調整し、試験菌液を得た。
濃度0.01重量%のε−ポリリジン水溶液0.5mlを滅菌バイアル瓶に入れ、ここに前述の試験菌液0.5mlを加え、36℃で24時間培養を行った。培養終了後、滅菌生理食塩水(pH7.4)を20ml加えてよく振り、1ml中の生菌数を標準寒天培地法により測定した。その結果を表1に示した。
比較例1
濃度0.01重量%のε−ポリリジン水溶液の代わりに精製水を用いた他は実施例2と同様に培養を行い、生菌数を測定した。その結果を表1に示した。
表1の結果からε−ポリリジンは黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)に対して優れた抗菌効果を示すことが確認できた。
【0039】
【表1】
Figure 0004461727
【0040】
2.アトピー性皮膚炎モデルNCマウスの皮膚炎の進展に対する抑制効果試験
実施例2
ε−ポリリジンを、日本薬局方注射用水で希釈し、濃度0.025重量%のε−ポリリジン希釈液を調製した。
実施例3
ε−ポリリジンを、日本薬局方注射用水で希釈し、濃度0.1重量%のε−ポリリジン希釈液を調製した。
実施例4
ε−ポリリジンを、日本薬局方注射用水で希釈し、濃度0.5重量%のε−ポリリジン希釈液を調製した。
実施例5
ε−ポリリジンを、日本薬局方注射用水で希釈し、濃度5.0重量%のε−ポリリジン希釈液を調製した。
【0041】
実施例6
濃度1重量%のヒアルロン酸水溶液10mlをイオン交換水89.75gに溶解した。得られた液に濃度10重量%のε−ポリリジン水溶液0.25mlを加え、均一に溶解して、0.1重量%ヒアルロン酸−0.025重量%ε−ポリリジン溶液を調製した。
【0042】
実施例7
実施例6と同様な方法で、0.05重量%ヒアルロン酸−0.05重量%ε−ポリリジン溶液を調製した。
【0043】
実施例8
実施例6と同様な方法で、0.05重量%ヒアルロン酸−0.025重量%ε−ポリリジン溶液を調製した。
【0044】
(アトピー性皮膚炎モデルNCマウスの皮膚炎の進展に対する抑制効果試験方法及び評価結果1)
NC/Nga系雄性マウス(日本エスエルシー株式会社)の頭部後方から頸部背面及び背部にかけて注意深く剃毛し、上記実施例2、3、4、及び5で調製した試料は100μlを、一日一回、10日間にわたり、剃毛部及び耳の外側にプラスチック製のヘラで塗布した。試験は各群6匹ずつで行った。
全例について一日一回、被験物質塗布部位の外表の症状の状態観察を塗布終了後に行った。症状は次の分類表現に基づき耳及び頸背部についてスコア付けし、耳及び頸背部のスコアを合わせた総合スコアを算出した。
0:無症状
1:表皮剥離(鱗屑、落屑)、発赤
2:浮腫
3:痂皮(びらん・潰瘍)が被験物質塗布部位の1/4未満のもの
4:痂皮(びらん・潰瘍)が被験物質塗布部位の1/2未満のもの
5:痂皮(びらん・潰瘍)が被験物質塗布部位の1/2以上のもの
【0045】
また、被験物質最終塗布の翌日に、エーテル麻酔下で放血致死させ、頭部、頸部及び背部の皮膚を摘出し、10%中性緩衝ホルマリン液で固定した。この皮膚組織を常法に従い、パラフィン包埋後、薄切し、ヘマトキシリン・エオジン染色及びトルイジンブルー染色標本を作製し、表皮厚、肥満細胞数、病理組織学的所見(▲1▼炎症性細胞浸潤、▲2▼真皮の線維化、▲3▼扁平上皮過形成、▲4▼びらん、及び▲5▼痂皮)を診断した。表皮厚は標本の左右端及び中央の3箇所の、表皮が平坦な部位及びびらんの認められない部位を選択して計測し、平均値を算出した。また、肥満細胞数は、任意の1視野中の肥満細胞数を計測し、5視野についての合計値を算出した。更に、細胞質に顆粒が満ちているものを、顆粒肥満細胞、細胞質の顆粒が減少し,細胞周囲に顆粒の認められるものを、脱顆粒肥満細胞して分類した。
以下に各病理組織学的所見の診断基準を示す。
▲1▼炎症性細胞浸潤
リンパ球、顆粒球、マクロファージ等が混じる細胞浸潤を炎症性細胞浸潤とした。グレード分けについては組織破壊を伴わないものを軽度(+)、組織破壊を伴わないが、真皮全体に認められる場合を中程度(++)、組織破壊を伴わないが、真皮を超えて認められる場合を高度(+++)とした。また、びらんの周辺のみに細胞浸潤が認められる場合には異常所見とはしなかった。
▲2▼真皮の線維化
真皮の表層のみに線維化が認められる場合または真皮の厚さに変化が認められない場合を軽度(+)、真皮全体の線維化により、真皮が肥厚している場合を中程度(++)、標本上の真皮全体が肥厚している場合を高度(+++)とした。
▲3▼扁平上皮過形成
細胞の肥大または細胞数の増加により扁平上皮(表皮)の厚さが明らかに肥厚している場合を軽度(+)、乳頭状の間質を伴う場合を中程度(++)、標本全体に肥厚が認められる場合を高度(+++)とした。
▲4▼びらん
表皮の欠損が200倍の倍率で1視野以内の大きさのものが2箇所以内に認められる場合または2視野以内の大きさのものが1箇所に認められる場合を軽度(+)、2視野を超える大きさのものを中程度(++)、標本全体に認められる場合を高度(+++)とした。
▲5▼痂皮
全体の1/3未満の皮膚を被うものを軽度(+)とした(ただし、びらんの部分は除く)。
【0046】
被験物質塗布部位の外表の症状の状態観察結果を表2に示した。また、▲1▼炎症性細胞浸潤、▲2▼真皮の線維化、▲3▼扁平上皮過形成、▲4▼びらん、及び▲5▼痂皮の診断結果を表3に示した。
本試験で用いた近交系NC/Ngaマウスは、7−8週齢を境に顔、耳、頸、背部等に強い痒覚を伴う皮膚炎を自然発症し、その皮膚症状は加齢とともに悪化が見られる。このNC/Ngaマウスの強い痒覚を伴う皮膚炎は、引っかき行動の出現から始まり、出血を伴い、進行すると皮膚のびらん、潰瘍形成へと到り、皮膚は乾燥、肥厚する。これらはヒトのアトピー性皮膚炎ときわめて類似した症状と考えられている。試験には、頸部または背部に痂皮形成(スコア4)が観察された動物を順次使用し、症状及び体重が均一になるよう群分けを行った。
今試験では、投与期間終了までに、実施例2で調製した外用剤組成物では、6例全例(うち2例で症状の消失)で、実施例3で調製した外用剤組成物では、6例全例で、実施例4で調製した外用剤組成物では、6例中5例で、実施例5で調製した外用剤組成物では、6例中4例で、それぞれ症状の軽減が見られた。これらの結果は無処置群ではスコアの平均が増加傾向を示す(塗布0日目:4.0、塗布11日目:4.5)ことを考慮すると、症状進展の抑制効果を示唆するものと考えられた。更に、表3に示すように、病理組織学的所見においても、無処置群では軽度(+)や中程度(++)の所見が中心であり、高度(+++)の所見を示すものが一部発現することを考慮すると、実施例2〜5で調製した外用剤組成物は、症状進展の抑制効果に優れていることが確認された。
【0047】
【表2】
Figure 0004461727
【0048】
【表3】
Figure 0004461727
(表中の数字は有所見固体数を示す。)
【0049】
(アトピー性皮膚炎モデルNCマウスの皮膚炎の進展に対する抑制効果試験方法及び評価結果2)
被験物質を実施例6〜8で得た試料とした他は、アトピー性皮膚炎モデルNCマウスの皮膚炎の進展に対する抑制効果試験1と同様な試験を行い、評価した。実施例6〜8で調製した試料は100μlを各回の塗布に用いた。
被験物質塗布部位の外表の症状の状態観察結果を表4に示した。また、▲1▼炎症性細胞浸潤、▲2▼真皮の線維化、▲3▼扁平上皮過形成、▲4▼びらん、及び▲5▼痂皮の診断結果を表5に示した。
【0050】
今試験では、投与期間終了までに、実施例6で調製した外用剤組成物では、6例中3例で、実施例7で調製した外用剤組成物では、6例中5例で、実施例8で調製した外用剤組成物では、6例中5例で、それぞれ症状の軽減が見られた。これらの結果は無処置群ではスコアの平均が増加傾向を示す(塗布0日目:4.0、塗布11日目:4.5)ことを考慮すると、症状進展の抑制効果を示唆するものと考えられた。更に、表5に示すように、病理組織学的所見においても、無処置群では軽度(+)や中程度(++)の所見が中心であり、高度(+++)の所見を示すものが一部発現することを考慮すると、実施例6〜8で調製した外用剤組成物は、症状進展の抑制効果に優れていることが確認された。
【0051】
【表4】
Figure 0004461727
【0052】
【表5】
Figure 0004461727
(表中の数字は有所見固体数を示す。)
【0053】
以下に本発明の処方例を示す。表6における処方例1ないし13の外用剤は、いずれも本発明の目的を満足する効果を有する製剤である。各外用剤の製造方法は特に限定されないが、例えば、親油成分と親水成分を別々に加熱溶解混合し、それらを攪拌、乳化後冷却する方法等が例示できる。
【0054】
(処方例に用いた成分の略号と内容)
a1.ε−ポリリジン
b1.グリシン
b2.アラニン
b3.クエン酸
b4.クエン酸ナトリウム
b5.ミツロウ
b6.ワセリン
b7.流動パラフィン
b8.スクワラン
b9.セタノール
b10.ベヘニルアルコール
b11.モノステアリン酸
b12.ソルビタンモノイソステアレート
b13.グリセリルモノステアレート
b14.メチルフェニルシロキサン
b15.ポリオキシエチレンモノステアリン酸ソルビタン
b16.ポリオキシエチレングリセリルモノミリステート
b17.カルボキシビニルポリマー
b18.ヒドロキシプロピルセルロース
b19.グリセリン
b20.プロピレングリコール
b21.1,3−ブチレングリコール
b22.エチルパラベン
b23.メチルパラベン
b24.グリチルレチン酸
b25.ケトプロフェン
b26.酢酸レチノール
b27.α−トコフェロール
b28.トレハロース
b29.70%−マルチトース水溶液
b30.イソロイシン
b31.尿素
b32.ヒアルロン酸ナトリウム
b33.リン酸−L−アスコルビルマグネシウム
b34.酒石酸
b35.塩酸ジフェンヒドラミン
b36.チオタウリン
b37.リゾチーム
b38.塩化ベンザルコニウム
b39.緑茶抽出物
b40.大豆リン脂質
b41.乳酸ナトリウム
【0055】
【表6】
Figure 0004461727
【0056】
【発明の効果】
本発明によれば、ε−ポリリジン及び/またはその塩を含有する外用剤組成物は、長期連用が可能で、皮膚に対する刺激が少なく、更に、原料として哺乳動物由来成分を用いず、皮膚炎患部の細菌感染、特に黄色ブドウ球菌の感染を防ぐことができ、優れた抗炎症作用を示す。特にアトピー性皮膚炎に対して優れた抗炎症作用を示し、アトピー性皮膚炎等のアレルギー疾患用治療剤として好適である。

Claims (2)

  1. ε−ポリリジン及び/またはその塩を含有するアレルギー疾患用の外用剤組成物
  2. 組成物がヒアルロン酸及び/またはその塩を含有し、その含有量が、組成物の重量基準で0.001〜10重量%であるアトピー性皮膚炎用の請求項1記載の外用剤組成物。
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