JP4461702B2 - 熱可塑性樹脂成形品及びその製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂成形品及びその製造方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性樹脂成形品及びその製造方法に関し、詳しくはアロイ化樹脂の表面に高耐候性を付与する際にアロイ化樹脂の変形等を防止でき、耐候性に優れた熱可塑性樹脂成形品を製造可能とする技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、雨樋等の断面形状の等しい長尺成形品は、通常、押出成形により製造される。その従来例として、ABS樹脂からなる基材の表面にASA樹脂からなる外層材を被覆することで、耐候性を付与した構造体が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、従来の構造体にあっては、強度的に弱く、耐熱性に劣るという問題がある。さらに、ABS樹脂とASA樹脂との間で良好な密着を得るためには、ABS樹脂を融点に近い温度(例えば250℃以上)まで加熱する必要があり、このような温度ではABS樹脂の寸法変化(成形歪み)が大きくなり、結果、耐候性に優れた熱可塑性樹脂成形品を形成することが困難であった。
【0004】
そこで、本発明者は本発明に至る過程で、PET樹脂とABS樹脂とをアロイ化したアロイ化樹脂を延伸成形した後に、その表面にアクリル系樹脂等の高耐候性樹脂を熱融着することで、耐候性を付与した熱可塑性樹脂成形品を形成することを考えた。PET樹脂とABS樹脂とをアロイ化することにより、PET樹脂の特性である延伸成形による高強度化と耐熱性とが得られるようになり、またABS樹脂の特徴である耐衝撃性と他の樹脂との優れた密着性とが得られるようになる。しかしながら、アロイ化樹脂を延伸成形した後に、耐候性に優れたアクリル系樹脂を熱融着させる場合において、アロイ化樹脂を融点に近い温度まで加熱しないと、アロイ化樹脂とアクリル系樹脂との間で良好な密着が得られない。このため、高耐候性を付与する際にアロイ化樹脂の寸法変化が大きくなり、結果、耐候性に優れた熱可塑性樹脂成形品を形成することが困難であった。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−47985号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の従来例の問題点に鑑みて発明したものであって、その目的とするところは、高耐候性樹脂を熱融着させる際の加熱温度をアロイ化樹脂の溶融温度よりも低くすることが可能となり、これにより高耐候性を付与する際に、アロイ化樹脂の寸法安定性や寸法精度が高く、反りや変形がなく、そのうえ、高耐候性樹脂の良好な密着性を得ることができる熱可塑性樹脂成形品を提供することにあり、他の目的とするところは、アロイ化樹脂と高耐候性樹脂との密着性に優れ且つ耐候性に優れた熱可塑性樹脂成形品の製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明に係る熱可塑性樹脂成形品は、PET樹脂とABS樹脂とをアロイ化したアロイ化樹脂2の表面の一部或いは全面に、アクリロニトリルスチレンを主成分とする樹脂からなる中間樹脂層3を被覆して多層成形品4が形成されると共に、該多層成形品4の表面の一部或いは全面に、アクリル系樹脂或いはASA樹脂から選ばれる高耐候性樹脂5が熱融着されて成ることを特徴としており、このように構成することで、アロイ化樹脂2と高耐候性樹脂(アクリル系樹脂或いはASA樹脂)5との間の中間樹脂層3によって、高耐候性樹脂5を熱融着させる際の加熱温度をアロイ化樹脂2の溶融温度よりも低くすることが可能となる。これにより高耐候性を付与する際にアロイ化樹脂2の寸法変化を小さくすることが可能となり、しかも、アロイ化樹脂2の溶融温度よりも低い温度で高耐候性樹脂5を被覆することが可能となるので、アロイ化樹脂2の寸法変化を防止しながら、アロイ化樹脂2と高耐候性樹脂5との間で良好な密着性が得られようになる。
【0008】
また上記中間樹脂層3を構成するアクリロニトリルスチレンを主成分とする樹脂は、AS樹脂、ABS樹脂、ASA樹脂、ACS樹脂、AES樹脂から選ばれるのが好ましい。
【0009】
また上記中間樹脂層3には、PET樹脂とABS樹脂をアロイ化する際にアロイ化樹脂2に含まれる相容化剤と同種類の相容化剤が1〜10重量%添加されているのが好ましく、この場合、中間樹脂層3とアロイ化樹脂2中のPET樹脂部との密着性が良くなる。
【0011】
また上記PET樹脂とABS樹脂との重量割合が、PET樹脂:ABS樹脂=95:5〜5:95の範囲内にあるのが好ましく、この場合、アロイ化樹脂2と中間樹脂層3との密着性が良くなる。
【0012】
また本発明に係る熱可塑性樹脂成形品の製造方法は、PET樹脂とABS樹脂とをアロイ化したアロイ化樹脂2を押出成形する際に、アロイ化樹脂2の表面の一部或いは全面に、アクリロニトリルスチレンを主成分とする樹脂からなる中間樹脂層3を同時成形して多層成形品4を得、該多層成形品4に延伸成形と熱処理とを施すことにより、PET分子を配向、結晶化した後、多層成形品4の表面の一部或いは全面に、アクリル系樹脂、ASA樹脂から選ばれる高耐候性樹脂5を熱融着させて耐候性に優れた熱可塑性樹脂成形品1を得ることを特徴としており、このように構成することで、アロイ化樹脂2の表面に中間樹脂層3を同時成形し、その表面に高耐候性樹脂(アクリル系樹脂或いはASA樹脂)5を被覆することで、アロイ化樹脂2の溶融温度まで加熱する必要がなくなる。これにより高耐候性樹脂5を被覆する際にアロイ化樹脂2の寸法変化を小さくすることができると共に、アロイ化樹脂2と高耐候性樹脂5との密着性に優れたものとすることができる。
【0013】
また上記アロイ化樹脂2と中間樹脂層3とを、マルチマニホールドタイプのTダイ6を用いて多層成形するのが好ましく、この場合、多層成形品4を順次連続的に且つ効率よく押出成形することができる。
【0014】
また上記アロイ化樹脂2と中間樹脂層3とを多層成形する際に、予めフィードブロック8を用いて多層化し、その後、Tダイ7を用いて成形するのが好ましく、この場合、マルチマニホールド方式と比較して、アロイ化樹脂2と中間樹脂層3とのなじみが進み、界面の密着性がより向上する。
【0015】
また上記高耐候性樹脂5の融着温度は、140℃〜240℃の範囲であるのが好ましく、この場合、中間樹脂層3と高耐候性樹脂5とが溶融することができ且つアロイ化樹脂2が溶融しない範囲に設定可能となる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0017】
本実施形態の熱可塑性樹脂成形品1は、PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂とABS樹脂とをアロイ化したアロイ化樹脂2の表面の全面に、図1に示すように、アクリロニトリルスチレンを主成分とする樹脂からなる中間樹脂層3を被覆して多層成形品4が形成されると共に、該多層成形品4の表面の一部或いは全面に、高耐候性樹脂5が熱融着されて構成されている。なお、中間樹脂層3はアロイ化樹脂1の表面の一部のみに形成されてもよい。
【0018】
上記アロイ化樹脂2を構成するPET樹脂とABS樹脂との重量割合は、PET樹脂:ABS樹脂=95:5から5:95の範囲内にあるのが望ましい。つまりABS樹脂と中間樹脂層3との密着性を良くするためには、PET樹脂とABS樹脂との配合割合は上記比率内にする必要がある。その理由は、PET樹脂:ABS樹脂=95:5よりもABS樹脂が少ないと、中間樹脂層3がアロイ化樹脂2に対して密着しにくくなるからである。
【0019】
また、上記中間樹脂層3は、アロイ化樹脂2と高耐候性樹脂5の双方の密着力を高めるためのものであり、アクリロニトリルスチレンを主成分とする樹脂、例えば、AS樹脂、ABS樹脂、ASA樹脂、ACS樹脂、AES樹脂から選ばれる。この中間樹脂層3には、PET樹脂とABS樹脂をアロイ化する際にアロイ化樹脂2に含まれる相容化剤と同種類の相容化剤が1〜10重量%添加されているのが望ましい。つまり、PET樹脂とABS樹脂をアロイ化する際にアロイ化樹脂2に含まれる相容化剤と同種類の相容化剤を中間樹脂層3にも添加することで、中間樹脂層3とアロイ化樹脂2中のPET樹脂部との密着性が良くなる。なお、相容化剤が1重量%未満では、相容化剤の効果が乏しく、また10重量%を超えると、密着性の改善効果が頭打ちになるためであり、上記数値範囲内とするのが望ましい。
【0020】
図2は上記熱可塑性樹脂成形品1の製造工程の一例を示しており、上記アロイ化樹脂2と中間樹脂層3の押出成形を行なう二軸押出機A,Bと、延伸成形を行なう上下2つのロール9と、PET樹脂部の結晶化を行なう加熱炉11と、高耐候性樹脂5の押出成形を行なう押出機Cと、多層成形品4の表面に高耐候性樹脂5を被覆するための複層用金型10とを備えている。
【0021】
ここで、上記中間樹脂層3をアロイ化樹脂2の表面に密着させる方法として、アロイ化樹脂2を押出成形する際に、中間樹脂層3がアロイ化樹脂2の表面に配置する形で同時押出成形する方法がある。この同時押出成形する方法としては特に限定されないが、図2に示すように、マルチマニホールドタイプのTダイ6内で多層構造を作り出すマルチマニホールド方法と、図4に示すように、フィードブロック8を用いて複層化した後にシングルマニホールドタイプのTダイ7を用いて成形するフィードブロック方法とが有効である。
【0022】
図2に示すマルチマニホールド方式は、フィードブロックとTダイの2つの部材の機能を単一の部材で達成するものであり、多層成形品4を順次連続的に且つ効率よく押出成形できるものである。
【0023】
図4に示すフィードブロック方式は、アロイ化樹脂2と中間樹脂層3とをTダイ7に入れる前に、フィードブロック8を用いてアロイ化樹脂2と中間樹脂層3とを合流させて複層化し、この複層化された材料をシングルマニホールドタイプのTダイ7を用いて押し広げるものであり、上記マルチマニホールド方式と比較して、アロイ化樹脂2と中間樹脂層3とのなじみが進み、界面の密着性がより向上する利点、さらに樹脂ポートから引き取られる多層成形品4を薄肉にできる利点がある。
【0024】
上記アロイ化樹脂2の表面の一部(或いは全面)に中間樹脂層3を積層してなる多層成形品4は、上下2つのロール9,9を用いた圧延法により延伸され、加熱炉11によって加熱されることで、PET(ポリエチレンテレフタレート)分子が配向、結晶化される。この結晶化によってPET分子同士の融着を防止でき、複層用金型10への押出し供給が容易となる。
【0025】
最後に、複層用金型10において、加熱炉11を通過した後の多層成形品4の表面の一部或いは全面に、押出機Cから押出される高耐候性樹脂5が熱融着されるようになっている。高耐候性樹脂5としては、耐候性に優れたアクリル系樹脂或いはASA樹脂が用いられる。複層用金型10は、図3に示すように、上金型10aと下金型10bとの間に多層成形品4の主供給ポート12が形成され、この主供給ポート12は先細状の排出ポート13に連通している。さらに上金型10a内及び下金型10b内には押出機Cから押し出された高耐候性樹脂5が供給される副供給ポート14,14がそれぞれ形成され、各副供給ポート14は主供給ポート12と合流している。これにより、高耐候性樹脂5が多層成形品4の両表面にそれぞれ被覆される形で同時押出成形され、排出ポート13から耐候性に優れた熱可塑性樹脂成形品1が排出されるようになっている。またこのとき、複層用金型10において高耐候性樹脂5を溶融させる温度域は、中間樹脂層3と高耐候性樹脂5とが溶融することができ且つアロイ化樹脂2が溶融しない範囲内に設定する必要があり、140℃〜240℃の範囲、好ましくは180℃〜200℃の範囲内に設定されている。
【0026】
上記構成によれば、アロイ化樹脂2と高耐候性樹脂5との間に中間樹脂層3が介在されているため、高耐候性樹脂5を熱融着させる際の加熱温度をアロイ化樹脂2の溶融温度よりも低くすることが可能となる。つまり、従来のようにアロイ化樹脂2の表面に直接、高耐候性樹脂5を被覆する場合はアロイ化樹脂2の溶融温度まで加熱する必要があるが、本発明ではアロイ化樹脂2の表面に中間樹脂層3を同時成形し、その表面に高耐候性樹脂5を被覆するため、アロイ化樹脂2の溶融温度まで加熱する必要がなくなる。これにより高耐候性樹脂5を被覆する際にアロイ化樹脂2の寸法変化を小さくすることが可能となり、しかも、アロイ化樹脂2の溶融温度よりも低い温度で高耐候性樹脂5を被覆することが可能となるので、アロイ化樹脂2の寸法安定性や寸法精度が高く、反りや変形のないものとなり、そのうえ、良好な密着性が得られようになり、結果、耐候性に優れた熱可塑性樹脂成形品1を形成することが可能となる。
【0027】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって詳述する。
【0028】
(実施例1)
PET樹脂(ユニチカ製「NES2070」)70質量部に対して、ABS樹脂(東レ社製「トヨラック600」)30質量部を配合し、さらにPET樹脂とABS樹脂の合計に対して3重量%の相容化剤(エポキシ変性ポリスチレン系樹脂)を配合し、これらを均一に分散した後、二軸押出機によって、溶融、混合し、2mmφの円柱形状に押出成形した。そしてこの押出成形品を冷却した後に、ペレタイザーで長さ2mmに切断することによって、PET樹脂とABS樹脂のアロイ化樹脂ペレットを得た。
【0029】
そして、上記アロイ化樹脂ペレットを図2に示す押出機Aから板状に押出成形すると同時に、ABS樹脂(東レ社製「トヨラック600」)を押出機Bから押出成形し、マルチマニホールドタイプのTダイ6(成形金型)を用いて、アロイ化樹脂2の表面にABS樹脂(中間樹脂層3)を積層して、多層成形品4を得た。
【0030】
こうして得た多層成形品4を100℃に温度制御された2本のロール9,9間での圧延により3倍に延伸し、さらに130℃で5分間加熱することで、PET分子の配向と結晶化を行なった。
【0031】
その後、ASA樹脂(日立化成社製「バイタックスV6700」)を複層用金型10で200℃の温度で、上記アロイ化樹脂4の表面に熱融着させることで、熱可塑性樹脂成形品1を得た。
【0032】
(実施例2)
上記実施例1のPET樹脂とABS樹脂とのアロイ化樹脂2と同時に押出成形する中間樹脂層3の材料として、アロイ化樹脂2を得る際に用いた相容化剤(エポキシ変性ポリスチレン系樹脂)と同様の相容化剤を3重量%添加したABS樹脂(東レ社製「トヨラック600」)を用いた。これ以外は実施例1と同条件で熱可塑性樹脂成形品1を作製した。
【0033】
(実施例3)
上記実施例1のマルチマニホールドタイプのTダイ6に代えて、アロイ化樹脂2とABS樹脂(中間樹脂層3)とを同時に多層成形する際に、図4に示すフィードブロック8によりアロイ化樹脂2とABS樹脂とを複層化した後、シングルマニホールドタイプのTダイ7で成形した。それ以外は実施例1と同条件で熱可塑性樹脂成形品1を作製した。
【0034】
(比較例1)
実施例1と同様にして、PET樹脂とABS樹脂とのアロイ化樹脂ペレットを作製した。このペレットを板状に押出成形した後に、100℃に温度制御された2本のロール9,9間で圧延により3倍に延伸し、130℃で5分間加熱することで、PET分子の配向と結晶化を行なった。
【0035】
次に、ASA樹脂(日立化成社製「バイタックスV6700」)を複層用金型10で200℃の温度で、アロイ化樹脂2の表面に熱融着させることで、熱可塑性樹脂成形品1を得た。
【0036】
(比較例2)
比較例1のアロイ化樹脂2とASA樹脂(高耐候性樹脂5)との複層成形時の温度を230℃とした以外は、比較例1と同条件で熱可塑性樹脂成形品1を作製した。
【0037】
上記各実施例1〜3、比較例1、2で得られた熱可塑性樹脂成形品1において、アロイ化樹脂2とASA樹脂(高耐候性樹脂5)との密着性を碁盤目密着試験(JIS K5400)により評価を行なった。碁盤目密着試験とは、カッターナイフ等の鋭利な刃物で表面を切って、2mm角のマス目100個を付け、この上に粘着テープを貼り付けて引き剥がすことによって行ない、剥離したマス目の数で評価を行なうものである。評価結果を表1に示す。表1中の寸法変化は、複層化前後における幅の変化率で評価した。
【0038】
【表1】
Figure 0004461702
【0039】
この結果、実施例1〜3では碁盤目密着試験で剥離が発生せず、比較例1、2と比較して、ASA樹脂(高耐候性樹脂5)の密着性が飛躍的に改善されることがわかった。
【0040】
本発明に係る耐候性に優れた熱可塑性樹脂成形品1は、雨樋等の断面形状の等しい長尺成形品や、それ以外の各種の水廻り設備用素材等として広く用いることができる。
【0041】
【発明の効果】
上述のように請求項1記載の発明にあっては、PET樹脂とABS樹脂とをアロイ化したアロイ化樹脂の表面の一部或いは全面に、アクリロニトリルスチレンを主成分とする樹脂からなる中間樹脂層を被覆して多層成形品が形成されると共に、該多層成形品の表面の一部或いは全面に、アクリル系樹脂、ASA樹脂から選ばれる高耐候性樹脂が熱融着されて成るので、アロイ化樹脂と高耐候性樹脂(アクリル系樹脂或いはASA樹脂)との間の中間樹脂層によって、高耐候性樹脂を熱融着させる際の加熱温度をアロイ化樹脂の溶融温度よりも低くすることが可能となる。これにより高耐候性を付与する際に、アロイ化樹脂の寸法変化を小さくすることが可能となり、しかも、アロイ化樹脂の溶融温度よりも低い温度で高耐候性樹脂を被覆することが可能となるので、アロイ化樹脂の寸法変化を防止しながら、アロイ化樹脂と高耐候性樹脂との間で良好な密着性が得られようになり、結果、アロイ化樹脂と高耐候性樹脂との密着性に優れ且つ耐候性に優れた熱可塑性樹脂成形品を得ることが可能となる。
【0042】
また請求項2記載の発明は、請求項1記載の効果に加えて、上記中間樹脂層を構成するアクリロニトリルスチレンを主成分とする樹脂は、AS樹脂、ABS樹脂、ASA樹脂、ACS樹脂、AES樹脂から選ばれるので、高耐候性樹脂の被覆化の際にアロイ化樹脂の溶融温度まで加熱する必要がない条件で、熱可塑性樹脂成形品を形成することが可能となる。
【0043】
また請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の効果に加えて、上記中間樹脂層には、PET樹脂とABS樹脂をアロイ化する際にアロイ化樹脂に含まれる相容化剤と同種類の相容化剤が1〜10重量%添加されているので、中間樹脂層とアロイ化樹脂中のPET樹脂部との密着性が良くなる。
【0045】
また請求項4記載の発明は、請求項1記載の効果に加えて、上記PET樹脂とABS樹脂との重量割合が、PET樹脂:ABS樹脂=95:5〜5:95の範囲内にあるので、アロイ化樹脂と中間樹脂層との密着性が良くなる。
【0046】
また請求項5記載の発明にあっては、PET樹脂とABS樹脂とをアロイ化したアロイ化樹脂を押出成形する際に、アロイ化樹脂の表面の一部或いは全面に、アクリロニトリルスチレンを主成分とする樹脂からなる中間樹脂層を同時成形して多層成形品を得、該多層成形品に延伸成形と熱処理とを施すことにより、PET分子を配向、結晶化した後、多層成形品の表面の一部或いは全面に、アクリル系樹脂、ASA樹脂から選ばれる高耐候性樹脂を熱融着させて耐候性に優れた熱可塑性樹脂成形品を得るようにしたので、アロイ化樹脂の表面に中間樹脂層を同時成形し、その表面に高耐候性樹脂(アクリル系樹脂或いはASA樹脂)を被覆することで、アロイ化樹脂の溶融温度まで加熱する必要がなくなる。これにより高耐候性を付与する際にアロイ化樹脂の寸法変化を小さくすることが可能となり、結果、アロイ化樹脂と高耐候性樹脂との密着性に優れ且つ耐候性に優れた熱可塑性樹脂成形品を形成することが可能となる。
【0047】
また請求項6記載の発明は、請求項5記載の効果に加えて、上記アロイ化樹脂と中間樹脂層とを、マルチマニホールドタイプのTダイを用いて多層成形するので、多層成形品を順次連続的に且つ効率よく押出成形することが可能となる。
【0048】
また請求項7記載の発明は、請求項5記載の効果に加えて、上記アロイ化樹脂と中間樹脂層とを多層成形する際に、予めフィードブロックを用いて多層化し、その後、Tダイを用いて成形するので、マルチマニホールド式と比較してアロイ化樹脂と中間樹脂層とのなじみが進み、界面の密着性がより向上し、さらに多層成形品を薄肉にできるものである。
【0049】
また請求項8記載の発明は、請求項5記載の効果に加えて、上記高耐候性樹脂の融着温度は、140℃〜240℃の範囲であるので、中間樹脂層と高耐候性樹脂とが溶融することができ且つアロイ化樹脂が溶融しない範囲に設定可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の熱可塑性樹脂成形品の断面図である。
【図2】同上の熱可塑性樹脂成形品をマルチマニホールド方式で製造する場合の工程説明図である。
【図3】同上の複層用金型の断面図である。
【図4】同上の熱可塑性樹脂成形品をフィードブロック方式で製造する場合の工程説明図である。
【符号の説明】
1 熱可塑性樹脂成形品
2 アロイ化樹脂
3 中間樹脂層
4 多層成形品
5 高耐候性樹脂
6 マルチマニホールドタイプのTダイ
7 シングルマニホールドタイプのTダイ
8 フィードブロック

Claims (8)

  1. PET樹脂とABS樹脂とをアロイ化したアロイ化樹脂の表面の一部或いは全面に、アクリロニトリルスチレンを主成分とする樹脂からなる中間樹脂層を被覆して多層成形品が形成されると共に、該多層成形品の表面の一部或いは全面に、アクリル系樹脂、ASA樹脂から選ばれる高耐候性樹脂が熱融着されて成ることを特徴とする熱可塑性樹脂成形品。
  2. 上記中間樹脂層を構成するアクリロニトリルスチレンを主成分とする樹脂は、AS樹脂、ABS樹脂、ASA樹脂、ACS樹脂、AES樹脂から選ばれることを特徴とする請求項1記載の熱可塑性樹脂成形品。
  3. 上記中間樹脂層には、PET樹脂とABS樹脂をアロイ化する際にアロイ化樹脂に含まれる相容化剤と同種類の相容化剤が1〜10重量%添加されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の熱可塑性樹脂成形品。
  4. 上記PET樹脂とABS樹脂との重量割合が、PET樹脂:ABS樹脂=95:5〜5:95の範囲内にあることを特徴とする請求項1記載の熱可塑性樹脂成形品。
  5. PET樹脂とABS樹脂とをアロイ化したアロイ化樹脂を押出成形する際に、アロイ化樹脂の表面の一部或いは全面に、アクリロニトリルスチレンを主成分とする樹脂からなる中間樹脂層を同時成形して多層成形品を得、該多層成形品に延伸成形と熱処理とを施すことにより、PET分子を配向、結晶化した後、多層成形品の表面の一部或いは全面に、アクリル系樹脂、ASA樹脂から選ばれる高耐候性樹脂を熱融着させて耐候性に優れた樹脂熱可塑性樹脂成形品を得ることを特徴とする熱可塑性樹脂成形品の製造方法。
  6. 上記アロイ化樹脂と中間樹脂層とを、マルチマニホールドタイプのTダイを用いて多層成形することを特徴とする請求項5記載の熱可塑性樹脂成形品の製造方法。
  7. 上記アロイ化樹脂と中間樹脂層とを多層成形する際に、予めフィードブロックを用いて多層化し、その後、Tダイを用いて成形することを特徴とする請求項5記載の熱可塑性樹脂成形品の製造方法。
  8. 上記高耐候性樹脂の融着温度は、140℃〜240℃の範囲であることを特徴とする請求項5記載の熱可塑性樹脂成形品の製造方法。
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