JP4460697B2 - 加飾成型物の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラスチック成型品の表面に美粧を施す方法に関する。
【0002】
【従来の技術及びその課題】
従来、プラスチック成型品の表面に美粧を施すためには塗料による塗装が一般に行われている。しかし、この塗装には多くの工数が掛かること、塗装を行うためのブースや焼付乾燥炉の設置のために大きなスペースが必要であること、これらを運転するためには多大なエネルギーが必要であること、また、塗装作業中にゴミが着くなど種々の問題がある。
【0003】
塗装に代わる外部装飾法として、可撓性のある加飾フィルムを貼り付ける方法も提案されているが、形状が複雑なプラスチック成型品の場合には加飾フィルムを表面に貼り付けることが困難であるという問題がある。
【0004】
また、金型に加飾フィルムを挿入して、加飾面の裏面より溶融樹脂を注入する射出成形によって美粧面を有するプラスチック部品等を製造する方法(例えば特開昭63−21671号公報、特開昭63−128469号公報、特表平2−503077号公報)も提案されている。しかし、これらの方法では、加飾フィルムに直接溶融した高温(一般に200℃以上)の樹脂が高圧で押し付けられるために、加飾フィルムは射出成型時に溶融して流れたり、変質したりしないものでなければならず、使用できる樹脂フィルムに制限がある。また、耐熱性の低い樹脂フィルムをこれらの方法に適用しようとする場合、加飾を目的としたフィルム層の裏面に耐熱性のある厚手のシートを積層して、射出成型時に溶融樹脂が加飾フィルム面に直接触れないようにする必要があり、そのためコストが高くなるという問題がある。
【0005】
さらに、上記した方法の他に、金型内面に加飾フィルムが装填された雌型金型内に、金型と嵌合する形に成型され、表面に接着剤が塗布されたプラスチック成型品を押し込むことによって加飾フィルムとプラスチック成型品を接合させる方法も知られている。しかし、複雑な形状のプラスチック成型品の表面に接着剤を均一に塗布することが困難な場合が多く、製造に際し長時間を要するなどの問題がある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前述した問題点を解決するために鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
【0007】
かくして、本発明に従えば、
「1.加飾フィルムに所定の形状を与えることができる雌型金型内面に、ホットメルト接着剤層を加飾面の反対側に設けてなる成形性加飾フィルムを必要ならば加熱して加飾面が雌型金型内面に対向するように装着し、次いでこの雌型金型内に嵌合するように成型され、必要ならば加熱されたプラスチック成型物を必要ならば加熱した雌型金型内に圧入して、加飾フィルムを雌型内面に押しつけることによって所定の形状を与えると同時に加飾フィルムとプラスチック成型物を接合させることを特徴とする加飾成型物の製造方法。
2.加飾フィルムに所定の形状を与える金型を有する真空成形機の金型内面に、ホットメルト接着剤層を加飾面の反対側に設けてなる成形性加飾フィルムを加飾面が金型内面に対向するように装着し、必要ならば加熱しながら真空成型を行って、加飾フィルムを真空成型機金型内面に密着させた後、金型内に嵌合するように成型され、必要ならば加熱されたプラスチック成型物を必要ならば加熱した金型内に圧入して、加飾フィルムをプラスチック成型物に押しつけることによって加飾フィルムとプラスチック成型物を接合させることを特徴とする加飾成型物の製造方法。
3.加飾フィルムに所定の形状を与える金型を有する真空成形機の金型内面に、ホットメルト接着剤層を加飾面の反対側に設けてなる成形性加飾フィルムを必要ならば加熱して加飾面が金型内面に対向するように装着し、次いで加飾フィルムの接着剤層側に、真空成形機の金型内に嵌合するように成型され、必要ならば加熱されたプラスチック成型物を接触させ、必要ならばプラスチック成型物及び/または真空成形機の金型を加熱しながら真空成型を行うと同時に、該プラスチック成型物を金型内に押し込み加飾フィルムを金型内面に密着させると同時に加飾フィルムと成型物を接合させることを特徴とする加飾成型物の製造方法。
4.プラスチック成型物を加飾フィルムに接合後、該プラスチック成型物を金型内で僅かに後退させ、生じたキャビティーに気体を圧入する1項ないし3項記載の加飾成型物の製造方法。
5.プラスチック成型物を加飾フィルムに接合した後、さらに加熱する1項ないし4項記載の加飾成型物の製造方法。」
が提供される。
【0008】
本発明の加飾成型物の製造方法によれば、加飾フィルムは高温で高圧の射出成型用樹脂に直接触れることが無いので、耐熱性の無い加飾フィルムでもそのまま射出成型物に容易に接合できるため、射出成型物の加飾を安価に、また使用するフィルムの制限を受けることななく行うことが出来る。さらに複雑な形状のプラスチック成型物に直接接着剤を塗布する必要がないために、プラスチック成型物の加飾を生産性よく、安価に行うことが出来る。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明に使用できる加飾フィルムは、PVC、ポリカーボネート、ポリスチレン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、アクリル系、ポリオレフィン系などの樹脂からなる基材フィルムに顔料や染料を練りこんで着色したものや、これらの透明なまたは着色した樹脂フィルムに塗装を施したり印刷により美粧効果や絵柄を付加したもの、さらには、その上に透明なフィルムを積層したものなどが使用される。そして加飾フィルムの裏面にはホットメルト接着剤層が設けられている。
【0010】
基材フィルムへの塗装ないしは印刷は単層であっても複層であってもよい。例えば、塗装による連続した着色層の上に印刷で絵柄を形成したもの、さらにその上に透明フィルム層を積層したもの、顔料や金属粉等の光輝材を含む塗料を塗装した上に透明ないしは半透明の無色ないしは着色したフィルム層を形成したものなどを挙げることができる。
【0011】
加飾フィルムの裏面に適用されるホットメルト接着剤としては、加熱により単に溶融し融着するものでも、融着と同時に架橋硬化するものであってもよく、特に制限はないが、射出された成型用樹脂の圧入時の温度以下で融着できることが必要である。
【0012】
また、ホットメルト接着剤は、基材フィルム及びプラスチック成型物表面の両者に熱接着性のよいものが好適である。さらに、ホットメルト層と基材フィルムとの間、またはホットメルト接着剤とプラスチック成型品との間の付着性を高めるためにプライマー層が設けられる。例えば、ポリオレフィン樹脂系基材フィルムや成型物が使用される場合には、ホットメルト接着剤と基材フィルム間、またはホットメルト接着剤表面にハロゲン化ポリオレフィン樹脂系プライマー層を設けることなどが行われる。
【0013】
ホットメルト接着剤としては、エチレン−酢酸ビニル樹脂系、ポリエステル樹脂系、エポキシ樹脂系、ポリウレタン樹脂系、ポリアミド樹脂系、アクリル樹脂系、ポリオレフィン樹脂系、ポリスチレン樹脂系などのものが使用できる。これらのホットメルト接着剤には、ロジン、水添ロジン、石油樹脂、水添石油樹脂などのタッキファイヤー、流動調整剤などの添加剤など通常ホットメルト接着剤で用いられる添加剤を使用してもよい。また、加熱時に架橋し硬化させるために、ホットメルト接着剤の構成成分と加熱により反応する硬化剤を加えてもよい。例えば、ホットメルト接着剤組成中にカルボキシル基、水酸基、アミノ基などの官能基が含まれる場合、ブロック化イソシアネート硬化剤、エポキシ系硬化剤などの硬化剤、メラミンホルムアルデヒド樹脂硬化剤と組み合わせてもよいし、またはその逆の組み合わせでもよい。さらに、熱により活性化する潜在触媒などを組み合わせて使用してもよい。
【0014】
基材フィルムにホットメルト接着剤層を設けるには、ホットメルト接着剤を溶融して基材フィルム上に塗工する方法、フィルム状の接着剤を基材フィルムに積層する方法、接着剤を溶剤に溶解ないしは分散して基材フィルム上に塗工する方法など公知の方法を用いて行えばよい。
【0015】
本発明に用いる加飾フィルムは、ホットメルト接着剤層を基材フィルム上に設けた後、ロール状に巻き取るかもしくは一定の大きさのシート状にカットして使用される。またシート状にカットしたフィルムにホットメルト接着剤を塗工したものを使用することもできる。
【0016】
本発明によれば、プラスチック成型物に加飾フィルムを接合するには、前記した1〜3項の方法で行われ、真空成型は従来から当該技術分野で公知の方法によって行うことができる。本発明の方法において加飾フィルム、雌型の金型、及びプラスチック成型物のいずれかはそれぞれ常温からホットメルト接着剤に適用される所定温度より20℃高い程度の温度範囲に保たれる。プラスチック成型物は、雌型の金型に最大圧力0.1〜5MPa程度の圧力で1〜120秒程度の時間押し付けることが好ましい。さらに、前記した4項のように加飾フィルムをプラスチック成型物に接合した後、該プラスチック成型物を100μmから1mm程度後退させて雌型より離し、生じたキャビティーに圧縮気体を注入して製造してもよい。圧縮気体の圧力は、0.1〜1MPa、温度は常温〜ホットメルト接着剤に適用される所定温度より20℃高い程度の温度範囲であることが好ましい。この操作により雌型の金型とプラスチック成型物の嵌合が多少不正確でも加飾フィルムをプラスチック成型物上に正確に転写し接合することができる。また、ホットメルト接着剤の融着が押し付け終了時には不充分であっても、本操作により融着を完全なものにすることができる。
【0017】
また、前記した1〜4項でプラスチック成型物に加飾フィルムを接合した後、ホットメルト接着剤が架橋硬化型の場合得られたプラスチック成型物を硬化温度以上に5〜120分程度加熱することにより架橋反応を完結させてもよい。
【0018】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明する。
【0019】
実施例1
厚さ100μmのフッ化ビニリデンとメチルメタクリレートとの共重合樹脂フィルムに、アクリック#2000のシルバーメタリック塗色(関西ペイント社製アクリル樹脂塗料)を乾燥膜厚30μmとなるようにスプレー塗装し、100℃で10分間加熱した。次いで、メタリック塗色塗装面にホットメルト接着剤JELCOM AD−HM6(十條ケミカル社製)を乾燥膜厚50μmになるようにスクリーン印刷し、60℃で1分間加熱し、ホットメルト接着剤付き加飾フィルムを得た。得られた加飾フィルムを所望の形状を与えるように形作られた真空成型用雌金型に、フッ化ビニリデンとメチルメタクリレート共重合樹脂フィルムの加飾面が金型面に対向するように装着し、フィルム表面温度を120℃に加熱した後に真空成型を行い加飾フィルムに所望の形状を与えた。次いで、この雌金型内に予めこの金型の内面に嵌合するように成型されたABS樹脂成型品を挿入し、100℃、プレス圧1.5MPaで10秒間圧着した後真空成型機の雌金型よりABS樹脂成型物を取り出した。
成型物表面は加飾フィルムで完全に覆われかつ、ABS樹脂成型物と加飾フィルムが強固に接合した加飾成型物が得られた。
【0020】
実施例2
実施例1で使用した接着剤付き加飾フィルムを加飾フィルムを所望の形状を与えるように形作られた真空成型用雌金型にフッ化ビニリデンとメチルメタクリレート共重合体樹脂フィルム面が金型面に対向するように装着し、次いで、ホットメルト接着剤層表面に100℃に加熱した予めこの金型の内面に嵌合するように成型されたABS樹脂成型品を接触させて真空成型を行うと同時に成型品を雌金型内に押し込み、プレス圧2MPaで5秒間圧着した後、真空成型機の雌金型より成型物を取り出した。成型物表面は加飾フィルムで完全に覆われかつ、ABS樹脂成型物と加飾フィルムが強固に接合した加飾成型物が得られた。
【0021】
実施例3
実施例1において、フッ化ビニリデンとメチルメタクリレートとの共重合樹脂フィルムの代りに着色面と接する側に塩素化ポリプロピレンよりなるプライマー層を2μm設けたポリプロピレンフィルムを用いる以外は実施例1と全く同様にして作成した加飾フィルムを所望の形状を与えるように形作られたプレス成型用雌金型にポリプロピレンフィルム面が金型面に対向するように装着し、次いでホットメルト接着剤層表面に120℃に加熱した予めこの金型の内面に嵌合するように成型されたポリプロピレン樹脂成型品を接触させて、プレス圧1MPaで加飾フィルムを雌金型内面に押しつけさらに5秒間この圧力を保った後、成型物を約0.5mm雌金型より引き離し、雌金型側より120℃、0.3MPaの圧搾空気を5秒間吹き込んだ後、成型機の雌金型より成型物を取り出した。成型物表面は加飾フィルムで完全に覆われかつ、ポリプロピレン成型物と加飾フィルムが強固に接合した加飾成型物が得られた。
【0022】
【発明の効果】
本発明によれば、耐熱性のない加飾フィルムでも複雑な形状のプラスチック成型物にそのまま容易に接合できるため、加飾成型物を安価にまたフィルムの制限を受けることなく製造することができる。

Claims (5)

  1. 樹脂フィルム上に塗膜層を積層してなる加飾フィルムに所定の形状を与えることができる雌型金型内面に、ホットメルト接着剤層を加飾面の反対側に設けてなる成形性加飾フィルムを必要ならば加熱して加飾面が雌型金型内面に対向するように装着し、次いでこの雌型金型内に嵌合するように成型され、必要ならば加熱されたプラスチック成型物を必要ならば加熱した該雌型金型内に圧入して、該成形性加飾フィルムを雌型内面に押しつけることによって所定の形状を与えると同時に該成形性加飾フィルムとプラスチック成型物を接合させることを特徴とする加飾成型物の製造方法。
  2. 樹脂フィルム上に塗膜層を積層してなる加飾フィルムに所定の形状を与える金型を有する真空成形機の金型内面に、ホットメルト接着剤層を加飾面の反対側に設けてなる成形性加飾フィルムを加飾面が金型内面に対向するように装着し、必要ならば加熱しながら真空成型を行って、加飾フィルムを真空成型機金型内面に密着させた後、金型内に嵌合するように成型され、必要ならば加熱されたプラスチック成型物を必要ならば加熱した該金型内に圧入して、該成形性加飾フィルムをプラスチック成型物に押しつけることによって該成形性加飾フィルムとプラスチック成型物を接合させることを特徴とする加飾成型物の製造方法。
  3. 樹脂フィルム上に塗膜層を積層してなる加飾フィルムに所定の形状を与える金型を有する真空成形機の金型内面に、ホットメルト接着剤層を加飾面の反対側に設けてなる成形性加飾フイルムを必要ならば加熱して加飾面が金型内面に対向するように装着し、次いで該成形性加飾フィルムの接着剤層側に、真空成形機の金型内に嵌合するように成型され、必要ならば加熱されたプラスチック成型物を接触させ、必要ならばプラスチック成型物及び/または真空成形機の金型を加熱しながら真空成型を行うと同時に、該プラスチック成型物を金型内に押し込み該成形性加飾フィルムを金型内面に密着させると同時に該成形性加飾フィルムと成型物を接合させることを特徴とする加飾成型物の製造方法。
  4. プラスチック成型物を加飾フィルムに接合後、該プラスチック成型物を金型内で僅かに後退させ、生じたキャビティーに気体を圧入する請求項1ないし3の加飾成型物の製造方法。
  5. プラスチック成型物を加飾フィルムに接合した後、さらに加熱する請求項1ないし4の加飾成型物の製造方法。
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