JP4460229B2 - トイレ用固形洗浄剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水洗トイレの貯水タンク蓋上に設置したり、貯水タンク内に投入することにより洗浄水中に溶解して、便器の洗浄効果を高めるトイレ用固形洗浄剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、トイレを衛生的に保持し、かつ洗浄による清涼感や爽快感を高める観点から種々の洗浄剤が開発され使用されているが、これには水洗トイレの貯水タンクの蓋上の手洗い部分に収容容器とともに設置して使用するオンタンク式洗浄剤と、貯水タンク内に投入するインタンク式洗浄剤とがある。
【0003】
上記トイレ用固形洗浄剤は、洗浄成分、芳香成分、色素、その他成分等からなる基剤から構成されており、オンタンク式洗浄剤、インタンク式洗浄剤のいずれも、流水や貯水と接触して洗浄剤中に適度に洗浄成分、芳香成分、色素を供給して洗浄性と芳香性を適度な期間持続させるよう設計されている。
【0004】
従来、トイレ固形洗浄剤に用いられる基剤には、特開昭51−39705号公報及び特開昭55−131098号公報に記載のポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレン共重合体及びその誘導体、特開昭58−25398号公報、特開昭59−24797号公報に記載のポリオキシエチレン脂肪酸エステル、特開昭60−127400に記載のエチレンオキシド(91〜230モル付加物)ジステアレートと酸化ワックス、特開2001−234190号公報には水溶性多価ヒドロキシ化合物と多価カルボン酸とのエステルで、分子内にカルボキシル基を有する化合物が知られている。
【0005】
しかしながら、非イオン性化合物を基剤の主剤にしたものについては、持続性と溶解性のバランスが悪かったり、水と接触すると吸水し著しく膨潤したり、タレが生じたり、水温による溶解度の違いから温度によって持続期間が著しく異なったり、洗浄力が弱いなどの問題があった。また、陰イオン界面活性剤を主剤としたトイレ固形洗浄剤基剤にあっては、洗浄力に優れるものの、水温によって溶解速度が変わり持続期間が著しく異なったり、固形洗浄剤の一部が崩壊して溶解しない内に塊のまま流出するといった問題が生じていた。
【0006】
このような問題を改善するものとして、特許文献1には、冬と夏の溶解差の改善されたトイレ用インタンク固形洗浄剤組成物が開示されている。この組成物は、界面活性剤として、分子構造内に炭素数約8〜約22のアルキル鎖をもつスルホネートおよびサルフェートの群から選ばれる有機硫黄反応生成物の水溶性アルカリ金属塩である陰イオン界面活性剤約5〜約80重量%と、非イオン界面活性剤剤約1〜約10重量%とを併用し、さらに、水溶性アルカリ土類金属塩約5〜約50重量%と、カルボキシメチルセルロースのアルカリ金属塩約3〜約30重量%と、20℃で液状の疎水性物質約0.5〜約15重量%とを配合したトイレ用インタンク固形洗浄剤が開示されている。
【0007】
【特許文献1】
特開平8−283796号明細書
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記組成物は、インタンク用として用いる固形洗浄剤組成物であるため、洗浄剤が湿潤、乾燥を繰り返す環境下にあるオンタンク用として使用した場合には、放水タップからの勢いのある水流の影響により、洗浄剤の一部が崩壊して塊のまま流出し、貯水タンクの手洗い部を汚してしまったり、崩壊することで持続期間が短くなる等の問題が生じていた。
本発明の目的は、オンタンク式洗浄剤と使用しても、洗浄剤の一部が塊のまま流出することがなく、水温差に影響されにくく、冬夏との溶解差を改善し、一年中ほぼ一定の速度で溶解し、持続期間に優れるトイレ用固形洗浄剤を提供ことにある。
【0009】
本発明者らは、このような従来の問題点に着目し、鋭意研究を行った結果、活性水素を2個有する有機化合物に、エチレンオキシドと、炭素数3以上のアルキレンオキシドを付加重合させ、エチレンオキシドの含有率が付加重合した全アルキレンオキシドの70〜98重量%であるポリアルキレングリコールと、二価カルボン酸の低級アルキルエステル及び/又は二価カルボン酸無水物と反応させて得られ、該ポリアルキレングリコールを少なくとも2単位以上含み、かつポリアルキレングリコールの平均繰返単位が1.5以上であるポリエステルポリオールを含有することを特徴とするトイレ用固形洗浄剤が上記課題の解決に有効であることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明に使用するポリエステルポリオールは、活性水素基を2個有する有機化合物にエチレンオキシドと炭素数3以上のアルキレンオキシドを付加重合したポリアルキレングリコールと、二価カルボン酸の低級アルキルエステル及び/又は二価カルボン酸無水物と反応させて得られジエステル結合した構造を有し、該ポリアルキレングリコールを少なくとも2単位以上含み、かつポリアルキレングリコールの平均繰返単位が1.5以上である直鎖状の化合物で、実質的に分子内にカルボキシル基を含有しないものである。
【0011】
活性水素基とはアルコール性水酸基、アミノ基、フェノール性水酸基などである。該活性水素を2個有する有機化合物の具体例としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングルコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールA、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングルコール、またはポリテトラメチレングリコール、ブチルアミン、オクチルアミン、ラウリルアミン、シクロヘキシルアミン、モノアルキルアミン、アニリン等のアミン類が挙げられる。これらは単独、もしくは2種以上の併用で用いられる。
【0012】
本発明におけるポリアルキレングリコールは、前記活性水素を2個有する有機化合物にエチレンオキオキシドと炭素数3以上のアルキレンオキシドを付加重合したもので、かつエチレンオキシドの含有率が付加重合した全アルキレンオキシドの70〜98重量%である。
【0013】
活性水素を2個有する有機化合物に付加重合する炭素数3以上のアルキレンオキシドとしては、例えば、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド、炭素数は8〜30のα−オレフィンエポキシド又はグリシジルエーテル類が挙げられる。
【0014】
前記有機化合物のエチレンオキシド及び炭素数3以上のアルキレンオキシドを付加重合は、公知の方法で行えばよい。具体的には不活性ガス雰囲気下において活性水素を2個有する有機化合物に公知の触媒を添加して、約90〜200℃でエチレンオキシドあるいは炭素数3以上のアルキレンオキシドのいずれか一方を添加して反応し、その後他方を添加して反応させる。このようにして得られたポリアルキレングリコールはエチレンオキシドと、炭素数3以上のアルキレンオキシドとの付加形態はブロック型となる。
【0015】
上記エチレンオキシドと、炭素数3以上のアルキレンオキシドとの付加形態としては、ブロック型でもランダム型であってもよく、この場合には、活性水素を2個有する有機化合物に対して、エチレンオキシド及び炭素数3以上のアルキレンオキシドの混合物を添加して反応させるかまたは2種以上のアルキレンオキシドを同時に供給して反応させることで得られる。
【0016】
また、ブロック型の場合、異なるアルキレンオキシドを繰返し反応させ3ブロック以上としたものや、ブロック型とランダム型を組み合わせたものであっても良いが、ポリアルキレングリコールの末端がエチレンオキシドのブロック型付加重合物が好ましい。
【0017】
ポリアルキレングリコールにおける全アルキレンオキシド(エチレンオキシドと炭素数3以上のアルキレンオキシドとの合計量)に対するエチレンオキシドの含有率は70〜98重量%であり、この場合、最終的に得られるポリエステルポリオールの水溶性を確保しながら、水への溶解速度を適度に制御することができ、バインダーとして固形洗浄剤の崩壊を効果的に制御することが可能となる。
【0018】
ポリアルキレングリコールの重量平均分子量としては、3000〜30000が好ましく、より好ましくは5000〜28000である。すなわち、重量平均分子量が3000未満では最終的に得られるポリエステルポリオールを固形洗浄剤に使用した場合、溶解性の制御効果が劣り、30000を超えるとアルキレンオキシド付加反応での反応速度が著しく低下する傾向があり、経済的に不利である。
【0019】
前記ポリアルキレングリコールと反応させる二価カルボン酸類化合物としては、ジカルボン酸の低級アルキルエステル、ジカルボン酸無水物が挙げられる。ジカルボン酸の低級アルキルエステルとしては、フタル酸,イソフタル酸,テレフタル酸,マロン酸,コハク酸,セバシン酸,マレイン酸,フマル酸,アジピン酸,イタコン酸等の低級アルキルエステルが挙げられ、エステルとしてはジメチルエステル,ジエチルエステル,ジプロピルエステル等が挙げられる。
【0020】
また、ジカルボン酸無水物としては、上記各種ジカルボン酸の無水物が挙げられる。また、上記これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。なかでも、特に反応の容易性という観点から、上記ジカルボン酸の低級アルキルエステルを用いることが好ましい。
【0021】
本発明で用いるポリエステルポリオールは、上記ポリアルキレングリコールとジカルボン酸の低級アルキルエステル、またはジカルボン酸無水物を次のように反応させて得られる。すなわち、前述のように反応させてポリアルキレンオキシド化合物を準備し、これに上記ジカルボン酸の低級アルキルエステル、またはジカルボン酸無水物を添加した後、昇温させ、80〜250℃の加熱下において0.001〜20mmHgの減圧にして脱水または脱アルコールを行うことにより得られる。
【0022】
このようにして得られた直鎖状のポリエステルポリオールは、ポリアルキレンオキシド鎖を持つという点で、ポリエチレンオキシド、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドなどの共重合体またはその誘導体に代表される非イオン活性剤と類似の構造を有している
しかしながら、本発明のポリエステルポリオールがこれら一般の非イオン性の洗浄剤基剤と大きく異なる点は、その大きな分子量と分子構造にあり、ポリエステルポリオールは、ポリアルキレングリコールと二価カルボン酸がジエステル結合を介した繰返し単位で表される直鎖状の化合物を有し、実質的に末端にカルボキシル基が存在しない。さらに、該ポリアルキレングリコールを少なくとも2単位以上含み、該ポリアルキレングリコールの単位は2以上20以下が好ましく、3以上15以下が更に好ましい。
【0023】
本発明のポリエステルポリオールの重量平均分子量は、40000〜300000の範囲に設定することが好ましく、特に好ましくは50000〜200000である。エステル化剤として、ジカルボン酸を使用した場合、ポリエステルポリオールの重量平均分子量を高めることができず、徐溶化性能、優れたバインダー機能を発揮できない。
【0024】
ポリエステルポリオールの原料となるポリアルキレングリコールの重量平均分子量として3000〜30000程度が好ましい。分子量は上記範囲に調整することにより、ポリエステルポリオールは、水溶性ながら溶解速度が適度に制御され、かつ接着性が良好で、優れたバインダー機能を発揮する。しかもポリエステルポリオールの水溶液は透明であり、水洗トイレ用固洗浄剤として有用である。
【0025】
本発明で使用する下記一般式(1)
Y[(CH2CH2O)nH]p (1)
で示されるポリエーテル化合物におけるYは、1〜8個の活性水素原子を有する有機化合物に、プロピレンオキシド0〜95重量%と炭素数4以上のアルキレンオキシド100〜5重量%からなるアルキレンオキシドを付加重合してなる重量平均分子量500〜12000の重合体の残基である。
【0026】
なお、ここにいう残基とは、該重合体からエチレンオキシドとの反応にあずかる活性水素原子を除いた部分をいう。
【0027】
該重合体の重量平均分子量は、500〜12000である。該重量平均分子量が、500未満の場合、溶解速度が速くなり、12000を超えると続いて実施するエトキシレート化時の粘度が高くなり、製造が困難となる。
【0028】
前記活性水素原子を1〜8個有する有機化合物の具体例としては、例えば、脂肪族アルコール、アルキルフェノール、水、(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール、(ポリ)ブチレングリコール、ビスフェノールA、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリット、ソルビトール、脂肪族アミンなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0029】
前記炭素数が4以上のエポキシドの具体例としては、例えば、炭素数4以上のアルキレンオキシド(例えば、ブチレンオキシド)、α−オレフィンエポキシド、スチレンオキシドなどがあげられるが、これらに限定されるものではない。
【0030】
前記炭素数3のエポキシドは、プロピレンオキシドを示し、炭素数3のエポキシドと炭素数4以上のエポキシドとの重合形態(配列)はブロック、ランダムのいずれであってもよい。
【0031】
活性水素原子を有する有機化合物に重合させるエポキシド中の、炭素数4以上のエポキシドの割合が2%未満になると、溶解速度が速くなり、持続性に欠けるものとなる。
【0032】
また、一般式(1)中の[(CH2CH2O)nH]pの部分の分子量の割合は、一般式(1)で示される化合物中50〜95重量%、好ましくは70〜95重量%である。該割合が50重量%未満の場合、融点が低いものとなり、成形性に乏しく、95重量%を超えると溶解速度が速くなり、持続性に欠けるものとなる。
【0033】
このような一般式(1)で示される化合物は、公知の方法、例えば、つぎに示す方法によって合成することができる。
【0034】
まず、活性水素原子1〜8個を有する有機化合物に苛性ソーダなどの塩基性触媒を添加し、窒素ガス置換して昇温し、炭素数4以上のエポキシド単独又は炭素数4以上のエポキシドとプロピレンオキシドとの混合物を添加して反応させることにより、一般式(1)で示される化合物を合成することができる。
【0035】
得られた化合物は、水への溶解速度が速すぎず、しかもその水溶液は透明であり、水洗トイレ用固形洗浄剤の基剤として有用である。
【0036】
本発明のトイレ用固形洗浄剤は、前記ポリエステルポリオールと前記一般式(1)で示されるポリエーテル化合物とを併用することにより、トイレ用固形洗浄剤用としてさらに好適な基剤を提供するものである。固形洗浄剤に配合する両者の合計の比率は、10〜70重量%が好ましく、12〜60重量%がより好ましい。
【0037】
配合量が10重量%以上の場合に、固形洗浄剤のもつ徐溶性や固形洗浄剤の一部が崩壊して流出しない効果が発され、80重量%を超えると水と接触して膨潤したり、容器からの洗浄剤のタレが生じたり、水温による溶解度の違いから温度によって持続期間が著しく異なったりする傾向が強くなるため好ましくない。
【0038】
前記ポリエステルポリオールと前記一般式(1)で示されるポリエーテル化合物の併用重量比率は1/99〜90/10が好ましく、2/98〜70/30がより好ましい。
【0039】
本発明に関わるトイレ固形洗浄剤の他の成分として、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤などの界面活性剤、香料、消臭成分、着色剤、油性成分の乳化可溶化剤、殺菌剤、キレート剤、増量剤、溶解性調整剤、漂白剤、撥水剤、充填剤、pH調整剤、増粘剤、薬剤安定性向上剤、成形性向上剤、無機系ビルダー、有機系ビルダー、酵素等を適宜配合することができる。
【0040】
香料の種類については特に制限されるものではなく、従来使用されているものはすべて使用可能であり、植物性香料、動物性香料、合成香料及びこれらの調合香料等を適宜配合することができる。消臭成分としては、緑茶抽出物、リンゴ酸、グリオキザール等が例示される。
【0041】
着色剤としては、青色1号、青色2号、青色3号、黄色2号、黄色4号、黄色202号の(1)、赤色106号、赤色2号および赤色3号などが挙げられる。増量剤としては、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、硫酸カリウム等の水溶性無機塩や、炭素数が2〜10のカルボン酸塩、炭素数が2〜10のヒドロキシカルボン酸塩等の水溶性有機酸塩が挙げられる。
【0042】
以上のごとく構成された本発明のトイレ用固形洗浄剤は、練り出し(押し出し)成形、プレス成形、打錠成形にて容易に製造することができる。
【0043】
【実施例】
以下、実施例を挙げて、更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、これらの実施例に限定されるものではない。なお、「%」の表示は「重量%」を意味するものである。
【0044】
[トイレ用固形洗浄剤の調製]
本実施例においては、トイレ用固形洗浄剤として、表1に示すポリエステルポリオールと表2に示すポリエーテル化合物を使用して、表3に示す13種類の洗浄剤を調製して評価を行った。具体的には、ポリエステルポリオールと一般式(1)で示されるポリエーテル化合物に陰イオン性界面活性剤であるα−オレフィンスルホン酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、香料、着色剤(黄色202号・青色1号)を添加混合し、得られた混合物を成形してトイレ用固形洗浄剤を調製した。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
[崩壊性試験]
表3に示す13種類の試料について、それぞれ5gをはかり取り、油圧打錠機にて打錠圧100kgf/cm2で打錠成形し、直径30mmの円柱状のサンプルを作製して試験に供した。
【0048】
崩壊性試験は、直径30mmの円柱状のサンプルを使用した以外は、日本薬局方 一般試験法58「崩壊性試験」に準じて行なった。具体的には、サンプルを崩壊試験器(液温25℃、20往復/分)にかけて、崩壊するまでの時間を調べ、以下の基準にしたがって評価した。結果を表3に示す。
○…崩壊抑制効果あり(試験開始後、崩壊するまで60分以上有した)
×…崩壊抑制効果なし(試験開始後、60分以内に崩壊)
【0049】
[混練性評価]
表3に示す13種類の試料1kgを混練機(株式会社栗本鐵工所製SIKRCニーダ)にて直径20mmの円柱状に練り出したときの混練状態について以下の基準にしたがって評価した。結果を表3に示す。
○…品温が50℃未満で、指で押しても固く、表面が滑らかで問題なく混練することができる
△…混練を行なうのがやや困難、又は、品温・固さに多少問題がある
【0050】
[減少性評価]
上記崩壊性試験において、サンプルの外観を目視し、以下の基準にしたがって評価した。結果を表3に示す。
○…時間経過とともに薬剤が減少し、サンプルが小さくなる
△…試験途中で薬剤の減少が遅くなり、サンプルの外観の変化が緩やかに
なる
【0051】
[使用試験]
上記混練性評価において混練機で練り出した円柱状のサンプル25g(実施例3及び比較例1の2試料を使用)をオンタンク用芳香洗浄剤容器(小林製薬株式会社製「ブルーレットおくだけ」貝殻容器)に入れ、家庭用トイレのロータンク(貯水量:10リットル、東陶機器株式会社製TOTO S721B)の手洗い部に取り付けた。
【0052】
ロータンクの流入水の温度を25℃または5℃に維持し、それぞれ1時間に1回の割合で、9リットルの水を流速4.5リットル/minで自動的にフラッシュするように設定し、サンプルの重量を測定した。
【0053】
そして、このサンプルの重量から、以下の式に従って、残存率を算出した。図1に、その結果を示す。なお、図1(a)及び(b)において、試験開始後に2試料とも残存率が100%を超えているが、これはトイレ用固形洗浄剤が、水を吸って膨潤したためである。
残存率(重量%)=(測定したサンプル重量/サンプル初期重量)×100
【0054】
【表3】
【0055】
[評価結果]
表3より、ポリエステルポリオールを添加し、打錠成形により作製した実施例1〜9のトイレ用固形洗浄剤については、ポリエステルポリオールを添加しなかった比較例1〜4に比べて、優れた崩壊抑制効果を示すことが判る。
【0056】
ポリエステルポリオールの添加量としては0.1%以上であればよい(実施例1)。ただ、ポリエステルポリオールとポリエーテル化合物(1)との合計量が56%以上になると(実施例7〜9)、薬剤の溶解速度が遅くなると共に、成形性がやや低下することから、全体のバランスを考慮すれば、ポリエステルポリオールとポリエーテル化合物(1)との合計量が0.1〜56%未満であることがより好ましい。
【0057】
また、実施例3の組成物を、混練機で練り出して作製したサンプルを実際にトイレのロータンクを使用して評価した使用試験では、図1(a)及び(b)に示すように、ポリエステルポリオールを添加しない比較例1に比べて大幅に使用回数が向上することが確認された。
【0058】
【発明の効果】
以上の説明から明らかのように、本発明のポリエステルポリオールを含有するトイレ用固形洗浄剤は、洗浄剤の崩壊性が改善され、これによりオンタンク型洗浄剤として使用した場合においても、大幅に使用回数を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】トイレ用固形洗浄剤の使用試験の結果を示すグラフで、(a)は水温25℃の条件で行なった結果を、(b)は水温5℃の条件で行なった結果をそれぞれ示す。
Claims (4)
- 活性水素を2個有する有機化合物に、エチレンオキシドと、炭素数3以上のアルキレンオキシドを付加重合させ、エチレンオキシドの含有率が付加重合した全アルキレンオキシドの70〜98重量%であるポリアルキレングリコールと、二価カルボン酸の低級アルキルエステル及び/又は二価カルボン酸無水物と反応させて得られ、前記ポリアルキレングリコールとして少なくとも2単位以上含み、かつポリアルキレングリコールの平均繰返単位が1.5以上であるポリエステルポリオールを含有することを特徴とするトイレ用固形洗浄剤。
- 下記一般式(1):
Y[(CH2CH2O)nH]p (1)
(式中、Yは、1〜8個の活性水素原子を有する有機化合物に、プロピレンオキシド0〜90重量%と炭素数4以上のアルキレンオキシド100〜10重量%からなるアルキレンオキシドを付加重合してなる重量平均分子量500〜12000の重合体の残基、nは整数、pは1〜8の整数を示し[(CH2CH2O)nH]pの部分の分子量が、一般式(1)で示される化合物の分子量の50〜95重量%である。)で示されるポリエーテル化合物を併せて含有することを特徴とする請求項1記載のトイレ固形洗浄剤。 - ポリアルキレングリコールの重量平均分子量が3000〜30000である請求項1、2記載のトイレ固形洗浄剤。
- ポリエステルポリオールの重量平均分子量が40000〜300000である請求項1、2、3記載のトイレ固形洗浄剤。
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