JP4459546B2 - アクチュエータ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、自動車等の車両が具備する安全装置等に用いられるアクチュエータに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車には、衝突時の乗員の安全性を向上させるために様々な安全装置が具備されている。
【0003】
例えば、自動車の前面衝突時に、シートベルトが正規の状態で乗員に装着されていないと、シートベルトに拘束された乗員が下方へ潜り込む姿勢になり、腰ベルトが骨盤から外れてしまう現象、いわゆる、サブマリン現象が生じることがある。このようなサブマリン現象が生じると、乗員の臀部あるいは下肢が前下方に移動し、下肢が乗員前方のインストルメントパネルに二次衝突する等のおそれがある。このようなサブマリン現象を抑制するための装置としては、従来、自動車の先端部に設けられたセンサが衝突を検知したときに、アクチュエータを動作させて機械的にシート先端部を持上げるシート装置が知られている。(例えば、特許文献1参照。)
また、自動車には、急停止時や前面衝突時に乗員を前方に飛び出させないために、シートベルトの巻取軸をロックする緊急時自動ロック装置付きリトラクタ装置が設けられることが通例である。このリトラクタ装置は、所定値以上の減速度を検知したときに巻取軸をロックし、シートベルトがそれ以上繰出されないようにするものである。ところが、このリトラクタ装置では、巻き締まる分だけはシートベルトが繰出されるので、ロック後もこの巻き締まり分だけシートベルトが緩むこととなる。このようなシートベルトの緩みを抑制するための装置としては、従来、自動車の先端部に設けられたセンサが衝突を検知したときに、アクチュエータを動作させてバックルをシートベルトが緊張する方向に牽引するバックルプリテンショナ装置や、このバックルプリテンショナ装置を備えたシート装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
さらに、自動車には、自動車が歩行者に衝突した場合に歩行者にかかる衝撃を緩和するための安全装置も具備されている。
【0005】
例えば、走行中の自動車の前面から歩行者に衝突すると、歩行者の下半身が自動車の先端部であるバンパに当たって、歩行者が自動車のフードに跳ね上げられることが多く、このような場合、フードに頭部等を打ち付けてしまうことがある。そのため、歩行者がフードに跳ね上げられた際の衝撃を緩和する装置として、自動車の先端部に設けられたセンサが衝突を検知したときに、アクチュエータを動作させてフードを所定量上方に押上げるフード装置が知られている。すなわち、フードが上方に押上げられると、フードとエンジンルーム内の各装置との間に隙間ができるため、歩行者が跳ね上げられてフードに衝突した際にこのフードが変形して、その衝撃によるエネルギーの一部を吸収するようになる(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−1136号公報(段落0010〜段落0023、図2,図3,図6〜図9)
【0007】
【特許文献2】
特開2002−29367号公報(段落0009〜段落0018、図4)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述のような安全装置に具備される従来のアクチュエータは、シリンダの一端部からピストンロッドを突出させた状態でピストンロッドのシリンダに対する相対移動をロックするように構成されている。そして、ひとたびシリンダの一端部からピストンロッドが突出されると、ピストンロッドはロック状態のまま保持されるようになっている。
【0009】
しかしながら、自動車の衝突時には、シート装置やバックルプリテンショナ装置が備えるアクチュエータがロック状態となって乗員の動きが拘束している状態で、アクチュエータにその軸線方向に沿った方向から何らかの荷重が与えられることがある。そのような場合、ピストンロッドがロック状態のまま保持される従来のアクチュエータを備えたシート装置やバックルプリテンショナ装置では、荷重によるエネルギーがそのまま乗員に伝わってしまう。
【0010】
また、フード装置では、フードに歩行者が衝突した際の衝撃によるエネルギーがフードの変形だけでは十分に吸収されない場合がある。しかしながら、ピストンロッドがロック状態のまま保持される従来のアクチュエータを備えたフード装置では、フードに歩行者が衝突した際の衝撃によるエネルギーをそれ以上吸収することができない。
【0011】
この発明は、このような事情にもとづいてなされたものであり、ロック状態のピストンロッドに所定値以上のエネルギーが与えられた時に、エネルギーを吸収することができるアクチュエータを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
第1の観点に基づく本発明のアクチュエータは、中空のシリンダと、前記シリンダの内径よりも小径に形成され、前記シリンダの軸線方向に相対移動可能となるように前記シリンダの内部に挿入されたピストンロッドと、前記シリンダ内に作用し、前記ピストンロッドを該シリンダの一端部から突出させる方向に作動させる動力発生装置と、該動力発生装置の作用により前記ピストンロッドを前記シリンダの一端部から突出させた状態で前記ピストンロッドの前記シリンダに対する相対移動をロックするロック機構と、を具備し、前記ピストンロッドと前記シリンダとのうちの一方が、前記ピストンロッドが前記ロック機構によりロックされた状態で前記ピストンロッドに前記軸線方向に沿った方向から所定値以上の荷重が与えられた時に、前記ピストンロッドが前記シリンダに挿入される方向に相対移動可能となるように塑性変形する塑性変形部を有していることを特徴とするとしている。
【0013】
この発明によれば、ピストンロッドがロック機構によりロックされた状態でピストンロッドに所定値以上の荷重が与えられると、ピストンロッドとシリンダとのうちの一方が有する塑性変形部がピストンロッドがシリンダに挿入される方向に相対移動可能となるように塑性変形する。この塑性変形部の塑性変形により、所定値以上の荷重によりピストンロッドに与えられるエネルギーが吸収される。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜図7を参照して本発明の第1の実施形態を説明する。なお、以下、第1〜第5の実施形態のアクチュエータ1aでは、シリンダ2の一端側(図1において左側)を前側、他端側(図1において右側)を後側として説明する。
【0015】
第1の実施形態のアクチュエータ1aは、図1に示すように、シリンダキャップ3を有する中空のシリンダ2、動力発生装置としてのガス発生装置4、先端キャップ6を有するピストンロッド5、及びピストン7等を備えている。このアクチュエータ1aは、ガス発生装置4に着火することにより、図2に示すように、シリンダ2の前端部からピストンロッド5が突出するように構成されている。
【0016】
詳しくは、金属製のシリンダ2には、前端部にシリンダキャップ3が設けられているとともに、後端部にガス発生装置4が設けられている。ガス発生装置4は、ガスを発生させるための火薬を収容するガス発生部4aを有しており、このガス発生部4aからはガス発生部4a内に収容される図示しないガス発生体に着火するためのリード線4bが延出している。このガス発生装置4は、このガス発生部4aをシリンダ2の後端部に嵌合させた状態でシリンダ2の後端部に設けられている。
【0017】
また、このガス発生装置4は、リード線4bを外部に延出させた状態でキャップ状の支持部材9によって覆われている。そして、この支持部材9をシリンダ2の後端部に螺合させることにより、ガス発生装置4はシリンダ2に固定されている。なお、動力発生装置は、ガス発生装置4に限定されるものではなく、例えば、アキュムレータ等を用いてもよい。
【0018】
金属製のピストンロッド5は、シリンダ2の内径よりも小径に形成されている。ピストンロッド5の前端部には雄ねじ部20が設けられており、この雄ねじ部20に先端キャップ6が螺合されている。ピストンロッド5の後端部には、シリンダ2の軸線L(ピストンロッド5の軸線と同じ)方向に相対移動可能なピストン7が一体に設けられている。
【0019】
ピストンロッド5は、図1に示すように、先端キャップ6を露出させた状態で、ピストン7とともに軸線L方向に相対移動可能となるようにシリンダ2の内部に挿入されている。
【0020】
ピストン7は、その周方向に沿うリング状の溝部7aを有しており、この溝部7aにピストン7とシリンダ2との間を気密に保つピストンリング8(シールリング)が設けられている。このピストンリング8により、シリンダ2の内部のピストン7とガス発生部4aとの間のガス室10は気密に保たれている。
【0021】
ピストンロッド5には、後述するロック機構30によりロックされた状態で、軸線L方向に沿った方向、例えば、図3に矢印Xで示す方向から所定値以上の荷重が与えられた時に、このピストンロッド5がシリンダ2に挿入される方向に相対移動可能となるように塑性変形する塑性変形部21が設けられている。
【0022】
図4及び図5に示すように、塑性変形部21は、ピストンロッド5の中間領域(雄ねじ部20と後述する第2ロック溝との間の領域)に軸線L方向の一部に沿って設けられた6つの細長凸部22aにより構成されている。すなわち、ピストンロッド5は、6つの細長凸部22aを有してスプライン軸状に形成されている。これら細長凸部22aは、ピストンロッド5と一体、かつ、ピストンロッド5の周方向に略均等となるように形成されている。これら細長凸部22aは、例えば、転造等により溝部23を切削することで形成することができる。
【0023】
塑性変形部21をなす細長凸部22aの数は1以上であれば任意であり、例えば、図6に示すように6つ以上形成しても、図7に示すように6つ以下であってもよい。また、これら細長凸部22aの断面形状は、その外縁部がピストンロッド5内で摺動するような形状であればよく、本実施形態のように、外縁部が円弧状に形成された略矩形状(図5参照)としてもよく、また、図6に示すように波形や、図7に示すように略半円状等に形成してもよい。
【0024】
塑性変形部21をピストンロッド5に設ける場合、塑性変形部21を設ける位置はピストンロッド5の中間領域であればどこに設けてもよい。また、この実施形態では、塑性変形部21をなす細長凸部22aを夫々長手方向の全域の長さに対して略2/3程度の長さとなるように設けているが、塑性変形部21をなす細長凸部22aは中間領域の長手方向の全域にわたる長さとなるように設けてもよい(例えば、図17参照)。さらに、この実施形態では、塑性変形部21をピストンロッド5中間領域の後端部に寄せて設けているが、塑性変形部21は前記中間領域の後端部に寄せなくてもよい。
【0025】
次に、ロック機構30について説明する。ロック機構30は、図3に示すように、テーパ面31、第1接触端面33aを有する第1ロック溝33、第2接触端面35aを有する第2ロック溝35、及び、ロック部材としてのCリング36等を有している。
【0026】
テーパ面31及びロック溝33は、シリンダ2の一部をなすシリンダキャップ3の内部に設けられている。このテーパ面31は、前側に向かって拡開するように傾斜している。第1ロック溝33は、テーパ面31の後側の縁部と連続し且つ軸線Lと略平行に設けられた環状平面33bと、この環状平面33bの後側の縁部から軸線Lと略直交するように外側に張り出す第1接触端面33aとを有している。
【0027】
第2ロック溝35は、ピストンロッド5とピストン7との間に周方向に沿って設けられたリング状の溝である。この第2ロック溝35は、細長凸部22aのピストン7側の端面である第2接触端面35aと、この第2接触端面35aの後側の縁部と連続し且つ軸線Lと略平行に設けられた環状平面35bと、この環状平面35bの後側の縁部から外側に張り出す張出し端面35cとを有している。第2接触端面35aは、前方外側から後方内側に向かって傾斜する傾斜面となっている。張出端面35cは、前方内側から後方外側に向かって傾斜する傾斜面となっている。
【0028】
Cリング36は、テーパ面31とピストンロッド5との間に設けられている。Cリング36がシリンダキャップ3から外れないように、シリンダキャップ3には外れ止め部材37が設けられている。
【0029】
そのため、図2に示すように、ピストンロッド5がシリンダ2の前端部から突出すると、図3に二点鎖線に示す位置に設けられていたCリング36は、縮径しながら第2ロック溝35に嵌る。その後、ピストンロッド5に図3において矢印Xで示す方向から荷重が与えられると、Cリング36は、ピストンロッド5の第2ロック溝35に嵌った状態でピストンロッド5とともに前側から後側に移動し、図3に実線で示すように第1ロック溝33に落ち込む。
【0030】
このように、このロック機構30は、ピストンロッド5がシリンダ2の前端から突出した後にピストンロッド5に図3において矢印Xで示す方向から荷重が与えられると、Cリング36が第2接触端面35aと第1接触端面33aとの間に挟まるように構成されている。したがって、このロック機構30によって、ピストンロッド5のシリンダ2に対する相対移動をロックすることができる。
【0031】
なお、第1ロック溝33(環状平面33b)は省略してもよい。その場合、テーパ面31の後側の縁部と連続するように第1接触端面33aが設けられることとなる。ただし、このようにすると、Cリング36は噛合いが増す方向に摺動し易くなるため、塑性変形荷重を一定化させ難くなる。したがって、良好なエネルギー吸収特性が得難くなるので、第1ロック溝33(環状平面33b)は設けた方が好ましい。
【0032】
また、塑性変形荷重を上昇傾向にさせたい場合には、環状平面33aを前側に向かって拡開するように傾斜させるとよい。その場合も、Cリング36が噛合いの増す方向に摺動するのを抑制するために、環状平面33aの傾斜角(軸線Lと環状平面33aとのなす角)をテーパ面31の傾斜角(軸線Lとテーパ面31とのなす角)よりも小さくするのが好ましい。
【0033】
このアクチュエータ1aでは、以下のようにして動作する。リード線4bを介してガス発生体に電流が供給され、ガス発生体が着火すると、ガス発生体は急速に燃焼して、ガス室10にガスが噴出する。これにより、ガス室10内の圧力が高まるので、ピストン7がピストンロッド5とともにシリンダ2の前側に突き出る方向に移動する。ピストンロッド5がシリンダ2の先端部から突出すると、ピストンロッド5はロック機構30によりシリンダ2に対する相対移動がロックされる。
【0034】
この状態で、軸線L方向に沿った方向からピストンロッド5に所定値以上の荷重が与えられると、塑性変形部21がCリング36に押されて塑性変形(圧壊)して、ピストンロッド5がシリンダ2に挿入される方向に移動する。この塑性変形部21の塑性変形により、ピストンロッド5に与えられた荷重が吸収される。なお、細長凸部22aの塑性変形した部分は、細長凸部22aと細長凸部22aとの間の溝部23に逃げる。
【0035】
図8は、ピストンロッドのストロークとピストンロッドにかかる荷重との関係を示している。太線は第1の実施形態のアクチュエータ1a、細線は従来のアクチュエータ(ピストンロッド5の溝部23を埋めた形状のピストンロッドを備えたもの)を示している。なお、Sはピストンロッドがシリンダから最も突出している状態(ロック機構によりロックされている状態)であり、S1はピストンロッドがシリンダ内に初期状態と同じ位置まで収容されている状態である。
【0036】
第1の実施形態のアクチュエータ1aは、荷重がFC1(ストロークがSC1)までは軸線L方向に縮む方向に可逆的に変形するが、荷重がFC1を越える(ストロークがSC1を越える)と塑性変形部21をなす夫々の細長凸部22aが塑性変形し始める。細長凸部22aの塑性変形した部分は細長凸部22aと細長凸部22aとの間の溝部23に逃げるので、細長凸部22aの塑性変形した部分はそれ以降の塑性変形の妨げになり難い。そのため、ピストンロッド5は、ストロークがS1となるまで、細長凸部22aを圧壊させながら(エネルギーを吸収しながら)移動する。このように、第1の実施形態のアクチュエータ1aでは、SC1からS1までの間では、ピストンロッド5にかかる荷重はFC1から殆ど上昇することなくほぼ一定となる。
【0037】
これに対し、従来のアクチュエータは、荷重がFC2(ストロークがSC2)まではピストンシリンダが軸線方向に縮む方向に可逆的に変形し、荷重がFC2(ストロークがSC2を越える)とピストンシリンダが塑性変形し始める。従来のアクチュエータが備えるピストンロッドは丸棒状であるためFC2はFC1よりも大きくなる。また、荷重がFC2を越えた後も、ピストンロッド自体の塑性変形であるので塑性変形荷重が大きく、しかも、塑性変形した部分の逃げ場がないので、荷重上昇が本実施形態と比べて大きくなる。
【0038】
以上のように、本実施形態によれば、ピストンロッド5がロック機構30によりロックされた状態で軸線L方向に沿った方向から所定値FC1以上の荷重が与えられた時に、ピストンロッド5がシリンダ2に挿入される方向に相対移動可能となるように塑性変形部21が塑性変形するため、ピストンロッド5にかかる荷重を吸収することができる。したがって、第1の実施形態のアクチュエータ1aでは、ロック状態のピストンロッド5に所定値以上のエネルギーが与えられた時に、エネルギーを吸収することができる。
【0039】
また、塑性変形部21が、ピストンロッド5の外周に軸線L方向に沿って設けられた1以上の細長凸部22aを有しているので、転造等で塑性変形部21を安価且つ容易に形成することができる。
【0040】
さらに、ロック機構30が、シリンダ2の一部をなすシリンダキャップ3の内部に設けられシリンダ2の前側に向かって拡開するように傾斜するテーパ面31、シリンダ2の内部であってテーパ面31の後側に設けられた第1接触端面33a、ピストンロッド5に設けられた第2接触端面35a、及び、第1接触端面33aと第2接触端面35bとの間に挟まれてピストンロッド5のシリンダ2に対する相対移動をロックするCリング36を有している。
【0041】
従来のアクチュエータでは、ピストンロッド5をロックするロック構造の部品数が多く構造が複雑であるので、アクチュエータが高価でしかも大型になり易いという問題があった。これに対し、第1の実施形態のアクチュエータ1aは、上述のように簡単な構成であり、しかも部品としてはCリング36等を追加するだけでよい。したがって、ロック機構30を上述のようにすることで、安価でしかも小型のアクチュエータが得られる。
【0042】
また、ピストンロッド5が塑性変形する荷重FC1は、ピストンロッド5の材質や塑性変形部21の形状により大凡決まる値である。したがって、ピストンロッド5の材質が決定している場合、ピストンロッド5が塑性変形する荷重の目標値は、塑性変形部21の形状を変えることにより所望の値に調整することができる。
【0043】
すなわち、塑性変形部21の断面の面積(細長凸部22aの第2接触端面35aの面積)を小さくするほど、単位面積当たりにかかる荷重が大きくなるので、より小さい荷重で塑性変形部21が塑性変形するようになる。したがって、ピストンロッド5が塑性変形する荷重の目標値を小さくできる。また、細長凸部22aの数を少なくするほど、より小さい荷重で塑性変形部21が塑性変形するようになる。
【0044】
以下、図9を参照して本発明の第2の実施形態を説明する。
【0045】
第2の実施形態のアクチュエータ1aは、ピストンロッド5に設けられた塑性変形部21の形状を第1の実施形態と異ならせて、2段階のエネルギー吸収性を持たせるようにしたものである。
【0046】
塑性変形部21は、ピストンロッド5の外周の中間領域に軸線L方向に沿って設けられた複数の細長凸部22bにより構成されている。これら細長凸部22bは、前側の第1領域Aの幅が前側に向かって拡開するように形成されている。後側の第2領域Bの幅は一定である。これら細長凸部22bは、例えば、ピストンロッド5の中間領域に、前側となるに伴って先細となるような溝部23を切削加工により形成することで設けることができる。なお、他の構成は、図示しない部分を含めて上述した第1の実施形態と同じであるから、重複する説明は図に同符号を付して省略する。
【0047】
図10は、ピストンロッドのストロークとピストンロッドにかかる荷重との関係を示している。第1の実施形態と同様に、Sはピストンロッドがシリンダから最も突出している状態(ロック機構によりロックされている状態)であり、S1はピストンロッドがシリンダ内に初期状態と同じ位置まで収容されている状態である。
【0048】
第2の実施形態のアクチュエータ1aは、荷重がFC1(ストロークがSC1)までは軸線L方向に縮む方向に可逆的に変形するが、荷重がFC1を越える(ストロークがSC1を越える)と塑性変形部21をなす夫々の細長凸部22bが塑性変形し始める。第2領域Bが塑性変形している間は、塑性変形した部分は細長凸部22bと細長凸部22bとの間の溝部23に逃げるので、細長凸部22bの塑性変形した部分はそれ以降の塑性変形の妨げになり難い。したがって、第2領域Bが塑性変形している間は、ピストンロッド5にかかる荷重はFC1から殆ど上昇することなく、ほぼ一定となる。
【0049】
第1領域Aが塑性変形し始めると、ピストンロッド5にかかる荷重が上昇する。これは、第1領域Aが第2領域Bと比べて塑性変形し難く、しかも、第1領域Aが塑性変形した部分は逃げ場が少ないためである。
【0050】
以下、図11を参照して本発明の第3の実施形態を説明する。
【0051】
第3の実施形態のアクチュエータ1aでは、第2の実施形態と同様に、ピストンロッド5に設けられた塑性変形部21の形状を第1の実施形態と異ならせて、2段階のエネルギー吸収性を持たせるようにしたものである。
【0052】
塑性変形部21は、ピストンロッド5の中間領域に軸線L方向の一部に沿って設けられた複数の細長凸部22cにより構成されている。これら細長凸部22cは、前側の第1領域Cの高さが後側の第2領域Dと比べて低く形成されている。他の構成は、図示しない部分を含めて上述した第1の実施形態と同じであるから、重複する説明は図に同符号を付して省略する。
【0053】
図12は、ピストンロッドのストロークとピストンロッドにかかる荷重との関係を示している。第1の実施形態と同様に、Sはピストンロッドがシリンダから最も突出している状態(ロック機構によりロックされている状態)であり、S1はピストンロッドがシリンダ内に初期状態と同じ位置まで収容されている状態である。
【0054】
第3の実施形態のアクチュエータ1aは、荷重がFC1(ストロークがSC1)までは軸線L方向に縮む方向に可逆的に変形するが、荷重がFC1を越える(ストロークがSC1を越える)と塑性変形部21をなす夫々の細長凸部22cが塑性変形し始める。細長凸部22cのうちの第2領域Dが塑性変形している間は、塑性変形した部分は細長凸部22cと細長凸部22cとの間の溝部23に逃げるので、細長凸部22cの塑性変形した部分はそれ以降の塑性変形の妨げになり難い。したがって、第2領域Dが塑性変形している間は、ピストンロッド5にかかる荷重はFC1から殆ど上昇することなく、ほぼ一定となる。
【0055】
第1領域Cが圧壊し始めると、ピストンロッド5にかかる荷重が低下する。これは、第1領域C第2領域Dと比べて高さが低く、小さな荷重で塑性変形するためである。
【0056】
第2及び第3の実施形態のように、塑性変形部21の形状を前側の領域と後側の領域とで異なる形状とし、塑性変形部21が異なる荷重で変形するように設計することで、2段階のエネルギー吸収性を持たせることができる。
【0057】
なお、第2及び第3の実施形態では、2段階のエネルギー吸収性を有するアクチュエータとしたが、塑性変形部21の形状を長手方向において複数回異なる形状とすることで、3段階以上のエネルギー吸収性を有するアクチュエータを得ることができる。
【0058】
以下、図13を参照して本発明の第4の実施形態を説明する。
【0059】
第4の実施形態のアクチュエータ1aでは、ピストンロッド5に設けられた塑性変形部21の形状が第1の実施形態と異なっている。塑性変形部21は、網目状となるように配置された凸部24によって構成されている。網目状の凸部24により囲まれる凹部25は、塑性変形時に、塑性変形した部分が逃げ込めるだけの体積が確保されていればよい。これら凸部24及び凹部25は、例えは、ローレット等を用いた加工によって形成することができる。
【0060】
第4の実施形態のアクチュエータ1aでは、ピストンロッド5のストロークとピストンロッド5にかかる荷重との関係は、第1の実施形態と同様である。すなわち、荷重が所定の値までは軸線L方向に縮む方向に可逆的に変形し、荷重が所定値を越えると塑性変形部21をなす凸部24が塑性変形し始める。凸部24の塑性変形した部分は凸部24と凸部24との間の凹部25に逃げるので、凸部24の塑性変形した部分はそれ以降の塑性変形の妨げになり難い。ピストンロッド5はシリンダ2内に完全に収容されるまで、凸部24が圧壊されながら(エネルギーを吸収しながら)移動する。この間にピストンロッド5にかかる荷重はほぼ一定となる。
【0061】
以上のように、第4の実施形態のアクチュエータ1aでは、第1の実施形態のアクチュエータ1aと同様の効果が得られる。
【0062】
また、第4の実施形態のアクチュエータ1aでは、Cリング36と接触する第2接触端面35aの面積を第1の実施形態のアクチュエータ1aと比べて広く確保することができる。そのため、第4の実施形態のアクチュエータ1aは、特に、塑性変形荷重を大きくしたい場合に好適である。
【0063】
以下、図14を参照して本発明の第5の実施形態を説明する。
【0064】
第5の実施形態のアクチュエータ1aは、多段位置でロック可能なアクチュエータであり、多段位置でロックとエネルギー吸収とを複数回繰り返すように構成されている。
【0065】
塑性変形部21は長手方向に連なる複数のロック部26により構成されている。これらロック部26は前側傾斜面26aと後側傾斜面26bとを有して略三角形状に形成されている。なお、他の構成は、図示しない部分を含めて上述した第1の実施形態と同じであるから、重複する説明は図に同符号を付して省略する。
【0066】
この実施形態では、ロック部26の後側傾斜面26bがロック機構30を構成する第2接触端面となり、ロック部26とロック部26との間が第2ロック溝となる。すなわち、ロック部26とロック部26との間にCリング36が嵌ることでピストンロッド5のシリンダ2に対する相対移動が多段位置でロックされる。また、荷重が所定値を越えると、ロック部26の後側傾斜面がCリング36に押されて、Cリング36に接触しているロック部26が塑性変形し始める。ピストンロッド5はシリンダ2内に完全に収容されるまで、ロック部26を圧壊させながら(エネルギーを吸収しながら)移動する。
【0067】
本実施形態によれば、多段位置でロック可能であって、しかも、ロック状態で所定値以上のエネルギーが与えられた時に、ピストンロッド5に与えられたエネルギーを吸収することができるアクチュエータが得られる。
【0068】
なお、第1〜第5の実施形態では、塑性変形部21をピストンロッド5に設けたが、塑性変形部21はシリンダ2に設けてもよい。塑性変形部21をシリンダに設ける場合は、例えば、シリンダ2の内部に第1接触端面を前端面とする複数の細長凸部を形成することで実現できる。
【0069】
以下、図15〜図17を参照して本発明の第6の実施形態を説明する。なお、この実施形態は、シリンダ40の一端側(図15において上側)を前側、他端側(図15において下側)を後側として説明する。本実施形態は、多段階で動作するアクチュエータに適用した例である。
【0070】
第6の実施形態のアクチュエータ1bは、図15に示すように、中空のシリンダ40、中空のインナシリンダ41、動力発生装置としてのガス発生装置42、及び、先端キャップ44を有するピストンロッド43等を備えている。このアクチュエータ1bは、ガス発生装置42に着火することにより、シリンダ40の前端部からインナシリンダ41が突出するとともに、インナシリンダ41の前端部からピストンロッド43が突出するように構成されている。
【0071】
金属製のシリンダ40の後端部には、断面略L字状の支持部材49aが設けられている。ガス発生装置42は、支持部材49a、第1キャップ49b、及び第2キャップ49cに支持されてシリンダ40と略直交するように設けられている。
【0072】
金属製のインナシリンダ41の外径は、シリンダ40の内径よりも小径となるように形成されている。インナシリンダ41の後端部にはピストン部41aが設けられている。インナシリンダ41は、ピストン部41aとともにシリンダ40の軸線L方向(インナシリンダ41の軸線方向と一致)に相対移動可能となるようにシリンダ40の内部に挿入されている。
【0073】
金属製のピストンロッド43は、インナシリンダ41の内径よりも小径となるように形成されている。ピストンロッド43の前端部には雄ねじ部77が設けられており、先端キャップ44はこの雄ねじ部77に螺合されている。ピストンロッド43の後端部にはピストン部43aが設けられている。ピストンロッド43は、ピストン部43aとともに軸線L方向に相対移動可能となるようにインナシリンダ41の内部に挿入されている。
【0074】
また、このアクチュエータ1bは、図示しないが、インナシリンダ41をシリンダ40の一端部から突出させた状態でインナシリンダ41のシリンダ40に対する相対移動をロックする第1ロック機構と、ピストンロッド43をインナシリンダ41の一端部から突出させた状態でピストンロッド43のインナシリンダ41に対する相対移動をロックする第2ロック機構と、とを具備している。これらのロック機構は、第1の実施形態で説明したロック機構と同様に構成されている。
【0075】
また、図16に示すように、インナシリンダ41は、インナシリンダ41が第1ロック機構30によりロックされた状態でインナシリンダ41に軸線L方向に沿った方向から所定値以上の荷重が与えられた時に、インナシリンダ41がシリンダ40に挿入される方向に相対移動可能となるように塑性変形する第1塑性変形部45を有している。
【0076】
第1塑性変形部45は、インナシリンダ41の外周に設けられている。この第1塑性変形部45は、インナシリンダ41のピストン部41aを除く長手方向略全域に軸線L方向に沿って設けられた複数の細長凸部47により構成されている。細長凸部47は、例えば、転造等により溝部75を形成することで、インナシリンダ41と一体、かつ、インナシリンダ41の周方向に略均等となるように形成されている。なお、第1塑性変形部45の形状はこれに限定されるものではない。第1塑性変形部45は、例えば、第1〜第5の実施形態で示したピストンロッド5が備える塑性変形部21と同様の形状としてもよい。
【0077】
さらに、図17に示すように、ピストンロッド43は、ピストンロッド43が第2ロック機構によりロックされた状態でピストンロッド43に軸線L方向に沿った方向から所定値以上の荷重が与えられた時に、ピストンロッド43がインナシリンダ41に挿入される方向に相対移動可能となるように塑性変形する第2塑性変形部46を有している。
【0078】
第2塑性変形部46は、ピストンロッド43の外周に設けられている。この第2塑性変形部46は、ピストンロッド43のピストン部43aを除く長手方向略全域に軸線L方向に沿って設けられた複数の細長凸部48により構成されている。細長凸部48は、例えば、転造等により溝部76を形成することで、ピストンロッド43と一体、かつ、ピストンロッド43の周方向に略均等となるように形成されている。
【0079】
なお、図15中符号71はシリンダ40とインナシリンダ41の間を気密に保つピストンリング、符号72はインナシリンダ41とピストンロッド43との間を気密に保つピストンリングを示している。
【0080】
図16中符号41bは、ピストンリング71が設けられる溝部、符号73は第1ロック機構が備えるインナシリンダ41側のロック溝、符号73aはロック溝73を構成するインナシリンダ41側の接触端面を示している。
【0081】
図17中符号43bは、ピストンリング72が設けられる溝部、符号74は第2のロック機構が備えるピストンロッド43側のロック溝、符号74aはロック溝74を構成するピストンロッド43側の接触端面を示している。
【0082】
他の構成は、図示しない部分を含めて上述した第1の実施形態と同じであるから、重複する説明は図に同符号を付して省略する。
【0083】
第6の実施形態によれば、ロック状態のピストンロッド43に与えられたエネルギーを吸収できる多段階で動作するアクチュエータが得られる。
【0084】
なお、第1塑性変形部45は、シリンダ40に設けてもよい。これは、例えば、シリンダ40の内部に、第1ロック機構が有するシリンダ側の接触端面を前端面とする複数の細長凸部を形成することで実現できる。
【0085】
また、ピストンロッド43は、上述したピストンロッドに限定されるものではなく、例えば、第1〜第5の実施形態で説明したピストンロッド5を用いてもよい。また、第1塑性変形部46は、インナシリンダ41に設けてもよい。これは、例えば、インナシリンダ41の内部に、第2ロック機構が有するインナシリンダ側の接触端面を前端面とする複数の細長凸部を形成することで実現できる。
【0086】
これらの実施形態のアクチュエータ1a,1bは、例えば、後述するフード装置50やシート装置60等(図18及び図19参照)に好適に用いることができる。
【0087】
図18は、第1の実施形態のアクチュエータ1aを備えたフード装置50を示している。以下、車両の進行方向を前側として説明する。
【0088】
このフード装置50は、例えば自動車Wの前部に設けられたエンジンルームを覆うように開閉自在に設けられたフード51に適用することができる。このフード装置50は、衝突検出センサ52、制御部53、及びアクチュエータ1aを備えている。
【0089】
衝突検出センサ52は、車体と歩行者との衝突を検知するセンサであって、フロントバンパ54に設けられている。アクチュエータ1aは、ピストンロッド5の突出側をフード51側(上側)に向けた状態で、フード51の下側に配置されている。制御部53は、衝突検出センサ52が衝突を検知したときに、リード線4bに電流を流すようになっている。
【0090】
このように構成されたフード装置50では、自動車Wが歩行者に衝突して衝突検出センサ52が動作すると、これと連動して、アクチュエータ1aが動作する。すなわち、リード線4bを介してガス発生体に電流が供給され、ガス発生体が着火する。ガス発生体が着火すると急速に燃焼して、ガスがガス室10に噴出する。これにより、ガス室10内の圧力が高まるので、ピストンロッド5がシリンダ2の先端部から突き出る方向に移動して、フード51を所定量上方に押上げる。フード51が上方に押上げられると、フード51とエンジンルーム内の各装置との間に隙間ができるため、歩行者が跳ね上げられてフード51に衝突した際にこのフード51が変形してその衝撃によるエネルギーの一部を吸収する。
【0091】
しかも、フード51に歩行者が衝突した際の衝撃によるエネルギーがフード51の変形だけでは十分に吸収されない時、すなわち、アクチュエータ1aのピストンロッド5がロック機構30によりロックされた状態でピストンロッド5に軸線L方向に沿った方向から所定値以上の荷重が与えられた時は、アクチュエータ1aの塑性変形部21が塑性して、所定値以上の荷重により与えられるエネルギーを吸収する。したがって、フード51に歩行者が衝突した際の衝撃によるエネルギーを従来のフード装置50よりも良好に吸収することができる。
【0092】
図19は、第1の実施形態のアクチュエータ1aを備えたシート装置60を示している。以下、車両の進行方向を前側として説明する。
【0093】
このシート装置60は、例えば自動車W(図18参照)に適用することができる。このシート装置60は、座部69aと背もたれ部69bとを有するシート本体69、衝突検出センサ52、制御部53、リンク機構61、及びアクチュエータ1aを備えている。
【0094】
車体に固定されたシートレール62には、前後方向にスライド可能なシートフレーム63が設けられている。このシートフレーム63は、図示しないロック機構30により所望の位置で固定されるようになっている。シートフレーム63には、支持部64を介してリンク機構61が回動可能に設けられている。リンク機構61は、例えば、一対のリンク部材65(一方のみ図示)とこれらのリンク部材65を繋ぐ連結部66とを備えて構成されている。
【0095】
一方のリンク部材65は、互いに略直交する長部67と短部68とを有して、略L字状に形成されている。他方のリンク部材65は、図示しないが、長部68のみを有してI字状に形成されている。一方のリンク部材65は、長部67と短部68との交差点、すなわち、角部で支持部64に支持されている。他方のリンク部材65は、その一端部がシートフレーム63に支持されている。そして、一方のリンク部材65の長部67側の端部と他方のリンクの他端部とが連結部66で繋がれている。また、一方のリンク部材65の短部68側の端部には、アクチュエータ1aのピストンロッド5の前端部が連結されている。制御部53は、衝突検出センサ52が衝突を検知したときに、リード線4bに電流を流すようになっている。
【0096】
このように構成されたシート装置60では、自動車Wが衝突して衝突検出センサ52が動作すると、これと連動してアクチュエータ1aが動作する。すなわち、リード線4bを介してガス発生体に電流が供給され、ガス発生体が着火する。ガス発生体が着火すると急速に燃焼して、ガスがガス室10に噴出する。これにより、ガス室10内の圧力が高まるので、ピストンロッド5がシリンダ2の先端部から突き出る方向に移動する。ピストンロッド5がシリンダ2の先端部から突出している状態で、ピストンロッド5はCリング36によりシリンダ2に対する相対移動がロックされる。これにより、一方のリンク部材65が、図19に実線で示す位置から二点鎖線で示す位置に回動し、シート本体69の座部69aの幅方向に延びる連結部66によって機械的に座部69aの先端部を持上げられる。したがって、このシート装置60では、いわゆるサブマリン現象を抑制できる。
【0097】
しかも、アクチュエータ1aがロック状態となって乗員の動きが拘束している状態で、アクチュエータ1aにその軸線L方向に沿った方向から何らかの荷重が与えられると、アクチュエータ1aの塑性変形部21が塑性して、所定値以上の荷重により与えられるエネルギーを吸収する。したがって、アクチュエータ1aがロックされている状態であっても、アクチュエータ1aにその軸線L方向に沿った方向から加えられた所定値以上の荷重によるエネルギーが乗員に伝わるのを抑制できる。
【0098】
なお、上述したシート装置60及びフード装置50では、第1の実施形態のアクチュエータ1aを備えさせているが、シート装置60及びフード装置50が備えるアクチュエータは第1の実施形態のアクチュエータ1aに限定されない。シート装置60及びフード装置50が備えるアクチュエータは、本発明に係るアクチュエータであればよく、例えば、第1の実施形態のアクチュエータ1aと置換させて第2〜第6の実施形態のアクチュエータ1a,1bのいずれかを備えさせるようにしてもよい。その場合、シート装置60及びフード装置50が求めるエネルギー吸収性が得られるように、アクチュエータを設計すればよい。
【0099】
特に、衝突速度が速い場合、つまり、与えられる荷重が大きい場合には、塑性変形荷重が一定であると、直ぐにピストンロッド5が完全にシリンダ2に収容された状態となってアクチュエータ1aでエネルギー吸収できなくなる。このような状況が想定される場合、第2の実施形態のアクチュエータ1aを用い、ピストンロッド5にかかる荷重を途中で上昇させるようにするとよい。
【0100】
また、フード装置50及びシート装置60では、全体としてのエネルギー吸収性は、アクチュエータ1a以外の各部品にも関連する。つまり、フード装置50及びシート装置60では、アクチュエータ1aのエネルギー吸収性を妨げるように他の部品が変形してしまう場合もある。このような状況が想定される場合には、第3の実施形態のアクチュエータ1aを用いるとよい。第3の実施形態のアクチュエータ1aを用いると、ピストンロッド5にかかる荷重を途中で減少させることができるため、アクチュエータ1aのエネルギー吸収性を妨げるように他の部品が変形しても、フード装置50及びシート装置60全体として良好なエネルギー吸収性が得られるようにすることができる。
【0101】
また、本発明のアクチュエータは、シート装置60及びフード装置50に限らず種々の装置に適用することができる。本発明のアクチュエータは、例えば、バックルをシートベルトが緊張する方向に牽引するアクチュエータを有するバックルプリテンショナ装置や、バックルプリテンショナ装置を備えたシート装置等にも適用することができる。
【0102】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれは、ロック状態のピストンロッドに与えられたエネルギーを吸収することができるアクチュエータが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態に係るアクチュエータをピストンロッドがシリンダに挿入されている状態で示す断面図。
【図2】 図1のアクチュエータの一部をピストンロッドがシリンダから突出している状態で示す断面図。
【図3】 図2の一部分を拡大して示す断面図。
【図4】 図1のアクチュエータが備えるピストンロッドを示す斜視図。
【図5】 図1のアクチュエータが備えるピストンロッドを示す横断面図。
【図6】 ピストンロッドの他の形態を示す横断面図。
【図7】 ピストンロッドのさらに他の形態を示す横断面図。
【図8】 第1の実施形態に係るアクチュエータにおけるピストンロッドのストロークとピストンロッドの先端部にかかる荷重との関係を示す図。
【図9】 本発明の第2の実施形態に係るアクチュエータが備えるピストンロッドを示す斜視図。
【図10】 第2の実施形態に係るアクチュエータにおけるピストンロッドのストロークとピストンロッドの先端部にかかる荷重との関係を示す図。
【図11】 本発明の第3の実施形態の係るアクチュエータが備えるピストンロッドを示す斜視図。
【図12】 第3の実施形態に係るアクチュエータにおけるピストンロッドのストロークとピストンロッドの先端部にかかる荷重との関係を示す図。
【図13】 本発明の第4の実施形態に係るアクチュエータが備えるピストンロッドを示す斜視図。
【図14】 本発明の第5の実施形態に係るアクチュエータが備えるピストンロッドを示す斜視図。
【図15】 本発明の第6の実施形態に係るアクチュエータを示す断面図。
【図16】 図15のアクチュエータが備えるインナシリンダを示す斜視図。
【図17】 図15のアクチュエータが備えるピストンロッドを示す斜視図。
【図18】 図1のアクチュエータを備えたフード装置を示す側面図。
【図19】 図1のアクチュエータを備えたシート装置を一部切り欠いて示す側面図。
【符号の説明】
1a,1b…アクチュエータ、2…シリンダ、5…ピストンロッド、21…塑性変形部、22a〜22c…細長凸部、30…ロック機構、31…テーパ面、33a…第1接触端面、35a…第2接触端面、36…Cリング(ロック部材)、40…シリンダ、41…インナシリンダ、43…ピストンロッド、45…第1塑性変形部、46…第2塑性変形部

Claims (4)

  1. 中空のシリンダと、
    前記シリンダの内径より小径で、凹凸からなる塑性変形部を外周に具え、前記シリンダ内に、該シリンダの軸線方向に相対移動可能に挿入されたピストンロッドと、
    前記シリンダ内に作用し、前記ピストンロッドを該シリンダの一端部から突出させる方向に作動させる動力発生装置と、
    前記動力発生装置の作用により前記ピストンロッドを前記シリンダの一端部から突出させた状態で、前記塑性変形部の凸部にロック部材が係合し、前記ピストンロッドの前記シリンダに対する相対移動をロックするとともに、前記ピストンロッドの後退時、前記塑性変形部の凸部を塑性変形させるロック機構と、を具備し、
    更に前記ロック機構は、前記ロック部材が塑性変形させる前記塑性変形部の凸部部分が、塑性変形後に生じる該塑性変形部の溝部内部に逃げ得るように、該ロック部材を保持するロック溝(第1ロック溝)を具え、
    前記ピストンロッドが前記ロック機構によりロックされた状態で前記ピストンロッドに所定値以上の荷重が前記軸線方向に沿った方向から加えられると、前記ロック部材が前記凸部を塑性変形させつつ該凸部の塑性変形した部分を前記溝部内に押し入れ、前記ピストンロッドが前記シリンダ内に挿入されるように構成したことを特徴とするアクチュエータ。
  2. 前記塑性変形部の凸部は、前記ピストンロッドの外周に前記軸線方向に沿って設けられた1以上の細長凸部であることを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
  3. 中空のシリンダと、
    前記シリンダの内径より小径で、凹凸からなる第2塑性変形部を外周に具え、前記シリンダ内に、該シリンダの軸線方向に相対移動可能に挿入された中空のインナシリンダと、
    前記インナシリンダの内径より小径で、凹凸からなる第1塑性変形部を外周に具え、前記インナシリンダ内に、該インナシリンダの軸線方向に相対移動可能に挿入されたピストンロッドと、
    前記インナシリンダ内に作用し、前記インナシリンダを該シリンダの一端部及び前記ピストンロッドを前記インナシリンダの一端部から突出させる方向に作動させる動力発生装置と、
    前記動力発生装置の作用により前記ピストンロッドを前記インナシリンダの一端部から突出させた状態で、前記第1塑性変形部の凸部にロック部材が係合し前記ピストンロッドの前記インナシリンダに対する相対移動をロックするとともに、前記ピストンロッドの後退時、前記第1塑性変形部を塑性変形させる第1ロック機構と、
    前記動力発生装置の作用により前記インナシリンダを前記シリンダの一端部から突出させた状態で、前記第2塑性変形部の凸部にロック部材が係合し前記インナシリンダの前記シリンダに対する相対移動をロックするとともに、前記インナシリンダの後退時、前記第2塑性変形部を塑性変形させる第2ロック機構と、を具備し、
    更に前記第1ロック機構及び前記第2ロック機構は、前記ロック部材が塑性変形させる前記塑性変形部(第1、第2を含む。)の凸部部分が、塑性変形後に生じる該塑性変形部の溝部内部に逃げ得るように、該ロック部材を保持するロック溝(第1ロック溝)を具え、
    前記ピストンロッドが前記第1ロック機構によりロックされた状態で前記ピストンロッドに所定値以上の荷重が前記軸線方向に沿った方向から加えられると、前記第1ロック機構が前記第1塑性変形部の凸部を塑性変形させつつ該凸部の塑性変形部分を前記第1塑性変形部の溝部内に押し入れ、前記ピストンロッドを前記インナシリンダ内に挿入可能とし、
    前記インナシリンダが前記第2ロック機構によりロックされた状態で前記インナシリンダに所定値以上の荷重が前記軸線方向に沿った方向から加えられると、前記第2ロック機構が前記第2塑性変形部の凸部を塑性変形させつつ該凸部の塑性変形部分を前記第2塑性変形部の溝部内に押し入れ、前記インナシリンダを前記シリンダ内に挿入可能に構成したことを特徴とするアクチュエータ。
  4. 前記塑性変形部(第1、第2を含む。)の凸部が塑性変形する荷重を、前記ピストンロッドが前記シリンダに挿入される方向に沿って変更させたことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のアクチュエータ。
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