JP4459507B2 - 非線形歪等化回路、非線形歪等化方法 - Google Patents

非線形歪等化回路、非線形歪等化方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、衛星放送、地上波放送、ケーブルテレビジョン放送などのデジタル伝送において発生する非線形歪を除去する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、日本や欧米において、TV放送のデジタル化がケーブル、衛星、地上波の各メディアともに急速に進行している。日本においては、BSデジタル放送が2000年12月に本放送が開始され、地上波デジタル放送も2003年までに東京、名古屋、大阪の3大都市圏で本放送が開始される予定である。
【0003】
ところでBS放送においては伝送距離が数万kmにも及ぶため、放送衛星内のトランスポンダにおける増幅器はバックオフをほとんど取らず、増幅率の高い領域で動作させている。そのため、送信局から発射された電波は非線形歪を受け、放送衛星から各家庭の受信アンテナに送信されることになる。また衛星、地上、ケーブルのメディアを問わず、受信機には受信信号を増幅させるためのアンプが搭載されており、振幅の大きい受信信号はアンプの非線形特性に影響される。
【0004】
一方、磁気ディスク装置(HDD)等の磁気記録再生装置においては、磁気抵抗効果を用いた再生ヘッド(以下、MRヘッドという)が開発されている。MRヘッドを用いた磁気記録再生装置では、バイアス磁界のずれやMR素子の磁気特性のばらつき等により、MRヘッドの磁界−再生出力変換特性が非線形となり、再生信号波形が非線形歪を受ける。
【0005】
以上に示した非線形歪は、誤り率などを劣化させる大きな要因となっている。従来、非線形歪を補償する方法としては、例えばトランスポンダにおける増幅器の前に増幅器と逆特性の前置補償回路を設ける構成があった(都竹他:「21GHz 帯高度衛星放送システム−非線形補償回路による16QAM 伝送−」、テレビジョン学会技術報告,BCS94-25(Aug. 1994) )。
【0006】
またMRヘッドを用いた磁気記録再生装置における非線形歪補償方法として、例えば特開平9−7300号公報に示されたものがあった。図95はこの公報から抜粋した非線形補償等化器の全体構成図である。この非線形補償等化器は図95に示すように、振幅値変換器1025、FIRフィルタ1026、等価誤差算出器1028、LMSアルゴリズム係数学習器1029を含んで構成される。
【0007】
振幅値変換器1025は、再生波形1035を入力して2乗する乗算器1042a、再生波形1035と乗算器1042aの出力とを乗算する乗算器1042b、乗算器1042aの出力と係数値c2とを乗算する係数器1056a、乗算器1042bの出力と係数値c3とを乗算する係数器1056b、係数器1056aの出力と係数器1056bの出力と再生波形1035とを加算する加算器1044を有している。
【0008】
図95に示すFIRフィルタ1026は、第1のタップ入力値1048aを係数値h1で乗算する第1の係数器1047a〜第nのタップ入力値1048nを係数値hnで乗算する第nの係数器1047n、入力信号を順次遅延する遅延素子1043a〜1043n、第1の係数器1047a〜第nの係数器1047nの出力を加算する加算器1031を有している。
【0009】
等価誤差算出器1028は、FIRフィルタ1026から出力される等化出力と等化目標の差分を算出し、差分値を等化誤差1030として出力する減算器1046を有している。
【0010】
図96はLMSアルゴリズム係数学習器1029の構成図である。このLMSアルゴリズム係数学習器1029は、係数学習回路制御部1050、第1の係数学習回路1060、第2の係数学習回路1070から構成される。第1の係数学習回路1060は図28のFIRフィルタ1026に対するタップ係数を学習するもので、第2の係数学習回路1070は図28の振幅値変換器1025に対するタップ係数を学習するものである。
【0011】
第1の係数学習回路1060は、係数値h1の学習回路として、等化誤差1030と係数値h1とを乗算する乗算器1061a、ステップサイズパラメータu と乗算器1061aとの出力を乗算する乗算器1062a、乗算器1062aの出力と遅延素子1064aの出力とを加算する加算器1063a、加算器1063aの出力を遅延して加算器1063aに与える遅延素子1064aを有している。また係数値hnの学習回路として、等化誤差1030と係数値hnとを乗算する乗算器1061n、ステップサイズパラメータu と乗算器1061nとの出力を乗算する乗算器1062n、乗算器1062nの出力と遅延素子1064nの出力とを加算する加算器1063n、加算器1063nの出力を遅延して加算器1063nに与える遅延素子1064nを有している。
【0012】
第2の係数学習回路1070は、係数値c2の学習回路として、等化誤差1030と係数値c2とを乗算する乗算器1071a、ステップサイズパラメータu と乗算器1071aとの出力を乗算する乗算器1072a、乗算器1072aの出力と遅延素子1074aの出力とを加算する加算器1073a、加算器1073aの出力を遅延して加算器1073aに再び与える遅延素子1074aを有している。また係数値c3の学習回路として、等化誤差1030と係数値c3とを乗算する乗算器1071b、ステップサイズパラメータu と乗算器1071bとの出力を乗算する乗算器1072b、乗算器1072bの出力と遅延素子1074bの出力とを加算する加算器1073b、加算器1073bの出力を遅延して加算器1073bに再び与える遅延素子1074bを有している。
【0013】
このような構成の非線形補償等化器の動作について説明する。図95において、振幅値変換器1025は3次関数変換特性を持ち、MRヘッドで再生された再生波形1035を乗算器1042a,1042bを組み合わせて算出したべき乗結果と、係数値c2、係数値c3とを係数器1056a,1056bで乗算し、その結果を加算器1044で加算する。一般に、振幅値変換器1025は3次関数変換特性を有していれば、MRヘッドの磁界−再生出力変換特性の非線形に起因する再生信号波形中の波形歪を充分補償することが可能と言われている。
【0014】
パーシャルレスポンス等化器を構成するFIRフィルタ1026は、パーシャルレスポンス特性を与えるための波形等化を行う。FIRフィルタ1026の等化出力と等化目標との差が等化誤差算出器1028で求められる。この等化誤差1030はLMSアルゴリズム係数学習器1029に入力される。
【0015】
図96のLMSアルゴリズム係数学習器1029では、FIRフィルタ1026の各係数器1047a〜1047nに夫々入力されるタップ入力値1048a〜1048nがFIRフィルタタップ入力値列1052(h1#in 、・・、hn#in )として、係数学習回路制御部1050に与えられる。
【0016】
係数学習回路制御部1050は等化誤差1030が算出される時刻にタイミングを合わせて、FIRフィルタタップ入力値列1052をタップ入力値h1 in 〜hn in として夫々出力する。そして、タップ入力値h1 in 〜hn in と等化誤差1030との積を各タップに対して求め、夫々に学習速度と安定性を制御するためのステップサイズパラメータu を乗算し、この結果を遅延素子1064a〜1064nを用いて保持しておいた直前の係数値に加算する。この結果によって係数学習回路制御部1050がFIRフィルタ係数更新命令1053を発生し、係数値h1〜hnを更新する。
【0017】
振幅値変換器1025に対しても同様に、各係数器1056a、1056bへのタップ入力値1049が振幅値変換器タップ入力値列1054として係数学習回路制御部1050に与えられる。これと等化誤差1030を用いてFIRフィルタ1026と同様に係数が算出され、振幅値変換器係数更新命令1055によって振幅値変換器1025の係数値c2、c3が夫々更新される。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
磁気記録再生装置において従来考えられていた非線形歪補償回路は、以上のような構成で動作し、MRヘッドの磁界−再生出力変換特性の非線形に起因する再生信号中の波形歪を補償していた。
【0019】
しかしながら、上記のような非線形歪補償方法では、BSデジタル放送などのデジタル伝送における複素信号中の非線形歪を補償することはできなかった。また上記のような非線形歪補償方法では、搬送波の位相同期が確立していない信号を補償対象信号として扱っていなかった。
【0020】
一方、複素信号中の非線形歪を補償する方法として、例えば送信側のトランスポンダにおいて増幅器と逆特性の前置補償回路を設ける構成が従来考えられていた。しかし、受信側で複素信号中の非線形歪を補償する方法は考えられていなかった。
【0021】
本発明はこのような従来の問題点に鑑みてなされたものであって、特に請求項1記載の発明では、m次歪(mは2以上の整数)成分量を推定する情報を示す非線形歪補償用係数am(n)に基づいて、複素ベースバンド信号x(n)のm次歪成分を除去する非線形歪補償用複素信号変換回路を設けることにより、複素ベースバンド信号中の非線形歪 を補償する非線形歪等化回路を提供することを目的とする。
【0022】
特に請求項2記載の発明では、m次歪(mは2以上の整数)成分量を推定する情報を示す非線形歪補償用係数am(n)に基づいて、複素ベースバンド信号x(n)のm次歪成分を除去する非線形歪補償用複素信号変換回路と理想受信点との誤差を算出す る誤差算出回路との間に、線形歪成分量を推定する情報を示す線形歪補償用係数に基づいて、線形歪成分を除去する線形歪補償用複 素信号変換回路が存在する場合において、線形歪を補償するとともに複素ベースバンド信号中 の非線形歪を補償する非線形歪等化回路を提供することを目的とする。
【0023】
特に請求項3記載の発明では、請求項1〜2において、前記複素ベースバンド信号x(n)に対してm次の信号成分を生成する回路と、前記m次歪成分を生成する乗算回路と、前記複素ベースバンド信号x(n)から前記m次歪成分を除去する加算回路とを具備することにより、複素ベースバンド信号中の非線形歪 を補償する非線形歪等化回路を提供することを目的とする。
【0024】
特に請求項4記載の発明では、請求項2において、前記非線形歪補償用係数更新回路が、前記m次信号成分に対して前記低域通過フィルタと同じフィルタリングを行うことにより、前記非線形歪補償用複素信号変換回路の出力が前記低 域通過フィルタを通過することを考慮して、より精度高く複素ベースバンド信号中の非線形歪 を補償する非線形歪等化回路を提供することを目的とする。
【0025】
特に請求項5記載の発明では、請求項2において、前記線形歪補償用複素信号変換回路が、前記低域通過フィルタの出力と前記線形歪補償用係数とを畳み込み演算することにより前記線形歪成分を除去し、前記非線形歪補償用係数更新回路が、前記m次信号成分に対して前記線形歪補償用複素信号変換回路と同じ畳み込み演算を行うことにより、前記非線形歪補償用複素信号変換回路の出力が前記線形歪補償用複素信号変換回路を通過することを考慮して、より精度高く複素ベースバンド信号中の非線形歪を補償する非線形歪等化回路を提供することを目的とする。
【0026】
特に請求項6記載の発明では、請求項2において、前記線形歪補償用複素信号変換回路が、前記低域通過フィルタの出力と前記線形歪補償用係数とを畳み込み演算することにより前記線形歪成分を除去し、前記非線形歪補償用係数更新回路は、前記m次信号成分に対して前記低域通過フィルタと同じフィルタリングを行い、前記フィルタリングの出力に対して線形歪補償用複素信号変換回路と同じ畳み込み演算を行うことにより、前記非線形歪補償用複素信号変換回路の出力が前記低域通過フィルタと前記線形歪補償用複素信号変換回路を通過すること を考慮して、より精度高く複素ベースバンド信号中の非線形歪を補償する非線形歪等化回路を提供することを目的とする。
【0027】
特に請求項7記載の発明では、m次歪(mは2以上の整数)成分量を推定する情報を示す非線形歪補償用係数am(n)に基づいて、前記OFDMベースバンド信号x(n)のm次歪成分を除去する非線形歪補償用複素信号変換回路と同期復調回路を設けることにより、同期キャリア変調されたOFDMベースバンド信号中の非線形歪 を補償する非線形歪等化回路を提供することを目的とする。
【0028】
特に請求項8記載の発明では、m次歪(mは2以上の整数)成分量を推定する情報を示す非線形歪補償用係数am(n)に基づいて、前記OFDMベースバンド信号x(n)のm次歪成分を除去する非線形歪補償用複素信号変換回路と差動復調回路を設けることにより、差動キャリア変調されたOFDMベースバンド信号中の非線形歪 を補償する非線形歪等化回路を提供することを目的とする。
【0029】
特に請求項9記載の発明では、請求項7〜8において、前記非線形歪補償用複素信号変換回路が、前記OFDMベースバンド信号x(n)に対してm次の信号成分を生成する回路と、前記m次歪成分を生成する乗算回路と、前記OFDMベースバンド信号x(n)から前記m次歪成分を除去する加算回路とを具備することにより、OFDMベースバンド信号中の非線形歪を補償する非線形歪等化回路を提供することを目的とする。
【0030】
特に請求項10記載の発明では、請求項7において、前記FFT回路の出力をH(k)で除算することによって同期復調を行うことにより、同期キャリア変調されたOFDMベースバンド信号中の非線形歪を補償する非線形歪等化回路を提供することを目的とする。
【0031】
特に請求項11記載の発明では、請求項10において、前記非線形歪補償用係数更新回路が、前記m次信号成分をFFT変換する回路と、前記誤差信号と前記FFT変換された前記m次信号成分の複素共役と前記伝送路特性H(k)とステップパラメータとを乗算する乗算回路と、前記乗算回路の出力と前記非線形歪補償用係数am(n)とを加算することにより現在の非線形歪補償用係数として係数更新処理を施し、前記非線形歪補償用複素信号変換回路へ出力する加算回路とを具備することにより、同期キャリア変調されたOFDMベースバンド信号中の非線形歪 を補償する非線形歪等化回路を提供することを目的とする。
【0032】
特に請求項12記載の発明では、請求項8において、前記差動復調回路が、前記FFT回路の出力を前記1OFDM シンボル遅延した信号で、前記FFT回路の出力を除算することによって差動復調を行うことにより、差動キャリア変調されたOFDMベースバンド信号中の非線形歪 を補償する非線形歪等化回路を提供することを目的とする。
【0033】
特に請求項13記載の発明では、請求項12において、前記非線形歪補償用係数更新回路が、前記m次信号成分をFFT変換する回路と、前記誤差信号と前記FFT変換された前記m次信号成分の複素共役と前記遅延回路の出力とステップパラメータとを乗算する乗算回路と、前記乗算回路の出力と前記非線形歪補償用係数am(n)とを加算することにより現在の非線形歪補償用係数として係数更新処理を施し、前記非線形歪補償用複素信号変換回路へ出力する加算回路とを具備することにより、差動キャリア変調されたOFDMベースバンド信号中の非線形歪 を補償する非線形歪等化回路を提供することを目的とする。
【0034】
特に請求項14記載の発明では、請求項8において、前記差動復調回路が、前記FFT回路の出力を前記1OFDM シンボル遅延した信号の複素共役と、前記FFT回路の出力とを乗算することによって差動復調を行うことにより、差動キャリア変調されたOFDMベースバンド信号中の非線形歪 を補償する非線形歪等化回路を提供することを目的とする。
【0035】
特に請求項15記載の発明では、請求項14において、前記非線形歪補償用係数更新回路が、前記m次信号成分をFFT変換する回路と、前記誤差信号と前記FFT変換された前記m次信号成分の複素共役とステップパラメータとを乗算する乗算回路と、前記乗算回路の出力を前記遅延回路の出力の複素共役で除算する除算回路と、前記除算回路の出力と前記非線形歪補償用係数am(n)とを加算することにより現在の非線形歪補償用係数として係数更新処理を施し、前記非線形歪補償用複素信号変換回路へ出力する加算回路とを具備することにより、差動キャリア変調されたOFDMベースバンド信号中の非線形歪 を補償する非線形歪等化回路を提供することを目的とする。
【0036】
特に請求項16記載の発明では、請求項11、13、15において、前記非線形歪補償用係数更新回路の係数更新処理における前記FFT変換の出力に対して、c(c は2以上の整数)ポイント毎に1ポイントを用いて代表値とし、残りの(c-1) ポイントを前記代表値を用いて補間することに置き換えることにより、小さな回路規模でOFDMベースバンド信号中の非線形歪を補償する非線形歪等化回路を提供することを目的とする。
【0037】
特に請求項17記載の発明では、請求項11、13、15において、前記非線形歪補償用係数更新回路の係数更新処理における前記FFT変換の入力に対して、cポイント(c は2以上の整数)毎に1ポイントを用いて1/c のポイント数のFFT変換を行って代表値とし、残りの(c-1) ポイントは前記代表値を用いて補間することに置き換えることにより、小さな回路規模で、かつ精度良くOFDMベースバンド信号中の非線形歪を補償する非線形歪等化回路を提供することを目的とする。
【0038】
特に請求項18記載の発明では、m次歪(mは2以上の整数)成分量を推定する情報を示す非線形歪補償用係数am(n)に基づいて、複素ベースバンド信号x(n)のm次歪成分を除去する非線形歪補償用複素信号変換処理を行うことにより、複素ベースバンド信号中の非線形歪 を補償する非線形歪等化方法を提供することを目的とする。
【0039】
特に請求項19記載の発明では、m次歪(mは2以上の整数)成分量を推定する情報を示す非線形歪補償用係数am(n)に基づいて、複素ベースバンド信号x(n)のm次歪成分を除去する非線形歪補償用複素信号変換処理と理想受信点との誤差を算出す る誤差算出処理の間に、線形歪成分量を推定する情報を示す線形歪補償用係数に基づいて、線形歪成分を除去する線形歪補償用複素信号変換処理を行う場合において、線形歪を補償するとともに複素ベースバンド信号中 の非線形歪を補償する非線形歪等化方法を提供することを目的とする。
【0040】
特に請求項20記載の発明では、m次歪(mは2以上の整数)成分量を推定する情報を示す非線形歪補償用係数am(n)に基づいて、前記OFDMベースバンド信号x(n)のm次歪成分を除去する非線形歪補償用複素信号変換処理を行い、同期復調処理を行うことによ り、同期キャリア変調されたOFDMベースバンド信号中の非線形歪 を補償する非線形歪等化方法を提供することを目的とする。
【0041】
特に請求項21記載の発明では、m次歪(mは2以上の整数)成分量を推定する情報を示す非線形歪補償用係数am(n)に基づいて、前記OFDMベースバンド信号x(n)のm次歪成分を除去する非線形歪補償用複素信号変換処理を行い、差動復調回路を行うことにより、差動キャリア変調されたOFDMベースバンド信号中の非線形歪 を補償する非線形歪等化方法を提供することを目的とする。
【0042】
【課題を解決するための手段】
本願の請求項1の発明は、複素ベースバンド信号x(n)中の波形歪を補償する非線形歪等化回路であって、m次歪(mは2以上の整数)成分量を推定する情報を示す非線形歪補償用係数am(n)に基づいて、前記複素ベースバンド信号x(n)のm次歪成分を除去する非線形歪補償用複素信号変換回路と、前記非線形歪補償用複素信号変換回路の出力の低域成分のみを通過させる低域通過フィルタと、前記低域通過フィルタの出力の位相誤差e -jp(n) を検出し、制御信号e jp(n) に基づいて位相補正を行い、位相同期を確立する搬送波再生回路と、前記搬送波再生回路の出力と理想受信点との誤差を算出する誤差算出回路と、前記誤差算出回路の出力する誤差信号と前記搬送波再生回路で行われる位相補正の制御信号e jp(n) とに基づいて、前記m次歪成分量を推定する情報を示す前記非線形歪補償用係数am(n)を生成し、前記非線形歪補償用複素信号変換回路へ出力する非線形歪補償用係数更新回路と、を具備し、前記非線形歪補償用係数更新回路は、前記搬送波再生回路における位相補正の制御信号e jp(n) に対して逆回転の位相補正を与える信号e -jp(n) を生成して出力する回路と、前記複素ベースバンド信号x(n)に対して、同一位相で振幅をm乗することによりm次信号成分を生成する複素m乗回路と、前記誤差算出回路が出力する誤差信号と前記m次信号成分の複素共役と前記逆回転の位相補正を与える信号e -jp(n) とステップパラメータとを乗算する乗算回路と、前記乗算回路の出力と前記非線形歪補償用係数am(n)とを加算することにより現在の非線形歪補償用係数として係数更新処理を施し、前記非線形歪補償用複素信号変換回路へ出力する加算回路とを具備することを特徴とするものである。
【0043】
本願の請求項2の発明は、複素ベースバンド信号x(n)中の波形歪を補償する非線形歪等化回路であって、m次歪(mは2以上の整数)成分量を推定する情報を示す非線形歪補償用係数am(n)に基づいて、前記複素ベースバンド信号x(n)のm次歪成分を除去する非線形歪補償用複素信号変換回路と、前記非線形歪補償用複素信号変換回路の出力の低域成分のみを通過させる低域通過フィルタと、線形歪成分量を推定する情報を示す線形歪補償用係数に基づいて、前記低域通過フィルタの出力から線形歪成分を除去する線形歪補償用複素信号変換回路と、前記線形歪補償用複素信号変換回路の出力の位相誤差e -jp(n) を検出し、制御信号e jp(n) に基づいて位相補正を行い、位相同期を確立する搬送波再生回路と、前記搬送波再生回路の出力と理想受信点との誤差を算出する誤差算出回路と、前記誤差算出回路の出力する誤差信号と前記搬送波再生回路で行われる位相補正の制御信号e jp(n) とに基づいて、前記線形歪成分量を推定する情報を示す前記線形歪補償用係数を生成して前記線形歪補償用複素信号変換回路へ出力する線形歪補償用係数更新回路と、前記誤差算出回路の出力する誤差信号と前記搬送波再生回路で行われる位相補正の制御信号e jp(n) とに基づいて、前記m次歪成分量を推定する情報を示す前記非線形歪補償用係数am(n)を生成し、前記非線形歪補償用複素信号変換回路へ出力する非線形歪補償用係数更新回路と、を具備し、前記非線形歪補償用係数更新回路は、前記搬送波再生回路における位相補正の制御信号e jp(n) に対して逆回転の位相補正を与える信号e -jp(n) を生成して出力する回路と、前記複素ベースバンド信号x(n)に対して、同一位相で振幅をm乗することによりm次信号成分を生成する複素m乗回路と、前記誤差算出回路が出力する誤差信号と前記m次信号成分の複素共役と前記逆回転の位相補正を与える信号e -jp(n) とステップパラメータとを乗算する乗算回路と、前記乗算回路の出力と前記非線形歪補償用係数am(n)とを加算することにより現在の非線形歪補償用係数として係数更新処理を施し、前記非線形歪補償用複素信号変換回路へ出力する加算回路とを具備することを特徴とするものである。
【0044】
本願の請求項3の発明は、請求項1または2のいずれか1項の非線形歪等化回路において、前記非線形歪補償用複素信号変換回路は、前記複素ベースバンド信号x(n)に対して、同一位相で振幅をm乗することによりm次の信号成分を生成する回路と、前記m次の信号成分と前記非線形歪補償用係数am(n)とを乗算することにより前記m次歪成分を生成する乗算回路と、前記乗算回路の出力と前記複素ベースバンド信号x(n)とを加算することにより前記複素ベースバンド信号x(n)から前記m次歪成分を除去する加算回路とを具備することを特徴とする。
【0045】
本願の請求項4の発明は、請求項2の非線形歪等化回路において、前記非線形歪補償用係数更新回路は、前記m次信号成分に対して前記低域通過フィルタと同じフィルタリングを行い、前記非線形歪補償用係数更新回路における前記乗算回路は、前記誤差算出回路が出力する誤差信号と前記フィルタリングの出力の複素共役と前記逆回転を施す回路の出力とステップパラメータとを乗算することを特徴とする。
【0046】
本願の請求項5の発明は、請求項2の非線形歪等化回路において、前記線形歪補償用複素信号変換回路は、前記低域通過フィルタの出力と前記線形歪補償用係数とを畳み込み演算することにより前記線形歪成分を除去し、前記非線形歪補償用係数更新回路は前記m次信号成分に対して前記線形歪補償用複素信号変換回路と同じ畳み込み演算を行い、前記非線形歪補償用係数更新回路における前記乗算回路は、前記誤差算出回路が出力する誤差信号と前記畳み込み演算の出力の複素共役と前記逆回転を施す回路の出力とステップパラメータとを乗算することを特徴とする。
【0047】
本願の請求項6の発明は、請求項2の非線形歪等化回路において、前記線形歪補償用複素信号変換回路は、前記低域通過フィルタの出力と前記線形歪補償用係数とを畳み込み演算することにより前記線形歪成分を除去し、前記非線形歪補償用係数更新回路は前記m次信号成分に対して前記低域通過フィルタと同じフィルタリングを行い、前記フィルタリングの出力に対して線形歪補償用複素信号変換回路と同じ畳み込み演算を行い、前記非線形歪補償用係数更新回路における前記乗算回路は、前記誤差算出回路が出力する誤差信号と前記畳み込み演算の出力の複素共役と前記逆回転を施す手段の出力とステップパラメータとを乗算することを特徴とする。
【0048】
本願の請求項7の発明は、同期キャリア変調されたOFDMベースバンド信号x(n)中の波形歪を補償する非線形歪等化回路であって、m次歪(mは2以上の整数)成分量を推定する情報を示す非線形歪補償用係数am(n)に基づいて、前記OFDMベースバンド信号x(n)のm次歪成分を除去する非線形歪補償用複素信号変換回路と、前記非線形歪補償用複素信号変換回路の出力をFFT変換するFFT回路と、前記FFT回路の出力を用いて伝送路特性H(k)を算出し、前記FFT回路の出力とH(k)に基づいて同期復調を行う同期復調回路と、前記同期復調回路の出力と理想受信点との誤差を算出する誤差算出回路と、前記誤差算出回路の出力する誤差信号と前記同期復調回路で算出した伝送路特性H(k)とに基づいて、前記m次歪成分量を推定する情報を示す前記非線形歪補償用係数am(n)を生成して前記非線形歪補償用複素信号変換回路へ出力する非線形歪補償用係数更新回路と、を具備することを特徴とする。
【0049】
本願の請求項8の発明は、差動キャリア変調されたOFDMベースバンド信号x(n)中の波形歪を補償する非線形歪等化回路であって、m次歪(mは2以上の整数)成分量を推定する情報を示す非線形歪補償用係数am(n)に基づいて、前記OFDMベースバンド信号x(n)のm次歪成分を除去する非線形歪補償用複素信号変換回路と、前記非線形歪補償用複素信号変換回路の出力をFFT変換するFFT回路と、前記FFT回路の出力と、前記FFT回路の出力を1OFDM シンボル遅延した信号を用いて差動復調を行う差動復調回路と、前記差動復調回路の出力と理想受信点との誤差を算出する誤差算出回路と、前記誤差算出回路の出力する誤差信号と前記差動復調回路における前記FFT回路の出力を1OFDM シンボル遅延した信号とに基づいて、前記m次歪成分量を推定する情報を示す前記非線形歪補償用係数am(n)を生成して前記非線形歪補償用複素信号変換回路へ出力する非線形歪補償用係数更新回路と、を具備することを特徴とする。
【0050】
本願の請求項9の発明は、請求項7または8のいずれか1項の非線形歪等化回路において、前記非線形歪補償用複素信号変換回路は、前記OFDMベースバンド信号x(n)に対して、同一位相で振幅をm乗することによりm次の信号成分を生成する回路と、前記m次の信号成分と前記非線形歪補償用係数am(n)とを乗算することにより前記m次歪成分を生成する乗算回路と、前記乗算回路の出力と前記OFDMベースバンド信号x(n)とを加算することにより前記OFDMベースバンド信号x(n)から前記m次歪成分を除去する加算回路とを具備することを特徴とする。
【0051】
本願の請求項10の発明は、請求項7の非線形歪等化回路において、前記同期復調回路は、前記FFT回路の出力をH(k)で除算することによって同期復調を行うことを特徴とする。
【0052】
本願の請求項11の発明は、請求項10の非線形歪等化回路において、前記非線形歪補償用係数更新回路は、前記OFDMベースバンド信号x(n)に対して、同一位相で振幅をm乗することによりm次信号成分を生成する複素m乗回路と、前記m次信号成分をFFT変換する回路と、前記誤差算出回路が出力する誤差信号と前記FFT変換された前記m次信号成分の複素共役と前記伝送路特性H(k)とステップパラメータとを乗算する乗算回路と、前記乗算回路の出力と前記非線形歪補償用係数am(n)とを加算することにより現在の非線形歪補償用係数として係数更新処理を施し、前記非線形歪補償用複素信号変換回路へ出力する加算回路とを具備し、前記非線形歪補償用係数更新回路の係数更新処理は、fを1以上の整数とするとき、f OFDMシンボル毎に1OFDM シンボルのみ係数更新を行うことを特徴とする。
【0053】
本願の請求項12の発明は、請求項8の非線形歪等化回路において、前記差動復調回路は、前記FFT回路の出力を前記1OFDM シンボル遅延した信号で、前記FFT回路の出力を除算することによって差動復調を行うことを特徴とする。
【0054】
本願の請求項13の発明は、請求項12の非線形歪等化回路において、前記非線形歪補償用係数更新回路は、前記OFDMベースバンド信号x(n)に対して、同一位相で振幅をm乗することによりm次信号成分を生成する複素m乗回路と、前記m次信号成分をFFT変換する回路と、前記誤差算出回路が出力する誤差信号と前記FFT変換された前記m次信号成分の複素共役と前記FFT回路の出力を前記1OFDM シンボル遅延した信号とステップパラメータとを乗算する乗算回路と、前記乗算回路の出力と前記非線形歪補償用係数am(n)とを加算することにより現在の非線形歪補償用係数として係数更新処理を施し、前記非線形歪補償用複素信号変換回路へ出力する加算回路とを具備し、前記非線形歪補償用係数更新回路の係数更新処理は、fを1以上の整数とするとき、f O FDMシンボル毎に1OFDM シンボルのみ係数更新を行うことを特徴とする。
【0055】
本願の請求項14の発明は、請求項8の非線形歪等化回路において、前記差動復調回路は、前記FFT回路の出力を前記1OFDM シンボル遅延した信号の複素共役と、前記FFT回路の出力とを乗算することによって差動復調を行うことを特徴とする。
【0056】
本願の請求項15の発明は、請求項14の非線形歪等化回路において、前記前記非線形歪補償用係数更新回路は、前記OFDMベースバンド信号x(n)に対して、同一位相で振幅をm乗することによりm次信号成分を生成する複素m乗回路と、前記m次信号成分をFFT変換する回路と、前記誤差算出回路が出力する誤差信号と前記FFT変換された前記m次信号成分の複素共役とステップパラメータとを乗算する乗算回路と、前記乗算回路の出力を、前記FFT回路の出力を前記1OFDM シンボル遅延した信号の複素共役で除算する除算回路と、前記除算回路の出力と前記非線形歪補償用係数am(n)とを加算することにより現在の非線形歪補償用係数として係数更新処理を施し、前記非線形歪補償用複素信号変換回路へ出力する係数更新処理を施す加算回路とを具備し、前記非線形歪補償用係数更新回路の係数更新処理は、f を1以上の整数とするとき、f OFDMシンボル毎に1OFDM シンボルのみ係数更新を行うことを特徴とする。
【0057】
本願の請求項16の発明は、請求項11、13、15のいずれか1項の非線形歪等化回路において、前記非線形歪補償用係数更新回路の係数更新処理における前記FFT変換の出力に対して、c(c は2以上の整数)ポイント毎に1ポイントを用いて代表値とし、残りの(c-1) ポイントを前記代表値を用いて補間することに置き換えたことを特徴とする。
【0058】
本願の請求項17の発明は、請求項11、13、15のいずれか1項の非線形歪等化回路において、前記非線形歪補償用係数更新回路の係数更新処理における前記FFT変換の入力に対して、c ポイント(c は2以上の整数)毎に1ポイントを用いて1/c のポイント数のFFT変換を行って代表値とし、残りの(c-1) ポイントは前記代表値を用いて補間することに置き換えたものとする。
【0059】
本願の請求項18の発明は、複素ベースバンド信号x(n)中の波形歪を補償する非線形歪等化方法であって、m次歪(mは2以上の整数)成分量を推定する情報を示す非線形歪補償用係数am(n)に基づいて、前記複素ベースバンド信号x(n)のm次歪成分を除去する非線形歪補償用複素信号変換処理を行い、前記非線形歪補償用複素信号変換処理の出力の低域成分のみを通過させる低域通過フィルタリング処理を行い、前記低域通過フィルタリング処理出力の位相誤差e -jp(n) を検出し、制御信号e jp(n) に基づいて位相補正を行い、位相同期の確立を行う搬送波再生処理を行い、前記搬送波再生処理出力と理想受信点との誤差信号を算出し、前記誤差信号と前記搬送波再生処理で行われる位相補正の制御信号e jp(n) とに基づいて、前記m次歪成分量を推定する情報を示す非線形歪補償用係数am(n)を生成して前記非線形歪補償用複素信号変換処理へ出力し、前記非線形歪補償用係数の生成処理は、前記搬送波再生回路における位相補正の制御信号e jp(n) に対して逆回転の位相補正を与える信号e -jp(n) を生成して出力し、前記複素ベースバンド信号x(n)に対して、同一位相で振幅をm乗することによりm次信号成分を生成し、前記誤差信号と前記m次信号成分の複素共役と前記逆回転の位相補正を与える信号e -jp(n) とステップパラメータとを乗算し、前記乗算出力と前記非線形歪補償用係数am(n)とを加算することにより現在の非線形歪補償用係数として係数更新処理を施すことを特徴とするものである。
【0060】
本願の請求項19の発明は、複素ベースバンド信号x(n)中の波形歪を補償する非線形歪等化方法であって、m次歪(mは2以上の整数)成分量を推定する情報を示す非線形歪補償用係数am(n)に基づいて、前記複素ベースバンド信号x(n)のm次歪成分を除去する非線形歪補償用複素信号変換処理を行い、前記非線形歪補償用複素信号変換処理の出力の低域成分のみを通過させる低域通過フィルタリング処理を行い、線形歪成分量を推定する情報を示す線形歪補償用係数に基づいて、前記低域通過フィルタの出力から線形歪成分を除去する線形歪補償用複素信号変換処理を行い、前記線形歪等化信号の位相誤差e -jp(n) を検出し、制御信号e jp(n) に基づいて位相補正を行い、位相同期の確立を行う搬送波再生処理を行い、前記搬送波再生処理出力と理想受信点との誤差信号を算出し、前記誤差信号と前記搬送波再生処理で行われる位相補正の制御信号e jp(n) とに基づいて、前記線形歪成分量を推定する情報を示す前記線形歪補償用係数を生成して前記線形歪補償用複素信号変換回路へ出力する線形歪補償用係数更新処理を行い、前記誤差信号と前記搬送波再生処理で行われる位相補正の制御信号e jp(n) とに基づいて、前記m次歪成分量を推定する情報を示す非線形歪補償用係数am(n)を生成して前記非線形歪補償用複素信号変換処理へ出力し、前記非線形歪補償用係数の生成処理は、前記搬送波再生回路における位相補正の制御信号e jp(n) に対して逆回転の位相補正を与える信号e -jp(n) を生成して出力し、前記複素ベースバンド信号x(n)に対して、同一位相で振幅をm乗することによりm次信号成分を生成し、前記誤差信号と前記m次信号成分の複素共役と前記逆回転の位相補正を与える信号e -jp(n) とステップパラメータとを乗算し、前記乗算出力と前記非線形歪補償用係数am(n)とを加算することにより現在の非線形歪補償用係数として係数更新処理を施すことを特徴とするものである。
【0061】
本願の請求項20の発明は、同期キャリア変調されたOFDMベースバンド信号x(n)中の波形歪を補償する非線形歪等化方法であって、m次歪(mは2以上の整数)成分量を推定する情報を示す非線形歪補償用係数am(n)に基づいて、前記OFDMベースバンド信号x(n)のm次歪成分を除去する非線形歪補償用複素信号変換処理を行い、前記非線形歪補償用複素信号変換処理の出力をFFT変換するFFT処理を行い、前記FFT処理出力を用いて伝送路特性H(k)を算出し、前記FFT処理出力をH(k) に基づいて同期復調処理を行い、前記同期復調処理出力と理想受信点とから誤差信号を算出し、前記誤差信号と前記同期復調処理で算出した伝送路特性H(k)とに基づいて、前記m次歪成分量を推定する情報を示す前記非線形歪補償用係数am(n)を生成して前記非線形歪補償用複素信号変換処理へ出力することを特徴とする。
【0062】
本願の請求項21の発明は、差動キャリア変調されたOFDMベースバンド信号x(n)中の波形歪を補償する非線形歪等化方法であって、m次歪(mは2以上の整数)成分量を推定する情報を示す非線形歪補償用係数am(n)に基づいて、前記OFDMベースバンド信号x(n)のm次歪成分を除去する非線形歪補償用複素信号変換処理を行い、前記非線形歪補償用複素信号変換処理の出力をFFT変換するFFT処理を行い、前記FFT処理出力と、前記FFT処理出力を1OFDM シンボル遅延した信号を用いて差動復調を行う差動復調処理を行い、前記差動復調処理出力と理想受信点との誤差を算出し、前記誤差信号と前記差動復調処理における前記FFT処理出力を1OFDM シンボル遅延した信号とに基づいて、前記m次歪成分量を推定する情報を示す前記非線形歪補償用係数am(n)を生成して前記非線形歪補償用複素信号変換処理へ出力することを特徴とする。
【0063】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1における非線形歪等化回路について、図面を参照しながら説明する。図1は本実施の形態における非線形歪等化回路101の構成を示すブロック図である。以下に示す各ブロック図において、太い実線は複素信号(ベクトル情報)の流れを示し、これより細い実線はスカラー情報の流れを示す。
【0064】
図1の非線形歪等化回路101は、非線形歪補償用複素信号変換回路102と、ルートロールオフコサインフィルタ103と、誤差算出回路104と、非線形歪補償用係数更新回路105とを有している。誤差算出回路104は、スライサ106と、複素減算器107とを有している。
【0065】
また図1には、非線形歪等化回路101の前段ブロックである準同期検波回路108と、搬送波再生回路111も図示されている。準同期検波回路108は、直交検波器109と、基準搬送波発生器110とを有している。搬送波再生回路111は、位相誤差検出器112と、低域通過フィルタ113と、数値制御発振器114と、複素乗算器115とを有している。
【0066】
図示しないアンテナで受信された変調信号に対して、準同期検波回路108が検波を行う。準同期検波回路108では、基準搬送波発生器110が選局周波数の正弦波を生成する。直交検波器109が正弦波の位相を90°遅らせて余弦波を生成し、前記変調信号と正弦波、及び前記変調信号と余弦波をそれぞれ乗算してI軸、Q軸データの検波を行う。
【0067】
サンプリング時刻n における検波信号の位相誤差角の大きさをP(n)とすると、搬送波再生回路111は検波出力の位相誤差e-jP(n)を除去し、位相同期が確立した信号x(n)を非線形歪等化回路101に出力する。搬送波再生回路111の位相誤差検出器112は、ルートロールオフコサインフィルタ103の出力v(n)と、最も近い符号点との位相誤差を算出する。低域通過フィルタ113は位相誤差を平均化し、数値制御発振器114が平均値により位相誤差e-jP (n)を打ち消すための正弦波ejP(n)を生成する。そして複素乗算器115が検波出力と正弦波ejP(n)の複素乗算を行って、x(n)を出力する。
【0068】
非線形歪等化回路101の動作を以下に説明する。非線形歪補償用係数更新回路105で生成される3次歪補償用係数a3(n) を用いて、非線形歪補償用複素信号変換回路102がx(n)に含まれる3次歪を除去する。そして、ルートロールオフコサインフィルタ103がナイキスト帯域幅の信号のみを通過させ、誤差算出回路104がこの信号v(n)と最も近い符号点d(n)との誤差を算出するとともに、d(n)を復調信号として誤り訂正部に出力する。なお図示しない誤り訂正部が軟判定復号を行う場合には、誤差算出回路104の入力v(n)を復調信号として誤り訂正部に出力する。非線形歪補償用係数更新回路105はこの誤差信号e(n)とx(n)を用いて、LMS(Least Mean Square :最小2乗平均)アルゴリズムによりa3(n) を更新する。
【0069】
図2に非線形歪補償用複素信号変換回路102の具体的な構成を示し、図3に非線形歪補償用係数更新回路105の具体的な構成を示す。図2の非線形歪補償用複素信号変換回路102は、複素3乗回路121と、複素乗算器127と、複素加算器128とを有している。複素3乗回路121は乗算器122、123、125、126と、加算器124とを有している。また図3の非線形歪補償用係数更新回路105は、遅延素子129と、複素3乗回路121と、LMS回路130とを有している。LMS回路130は、減算器131と、複素加算器132と、ステップパラメータ制御回路133と、乗算器134、135と、加算器136、137と、遅延素子138、139とを有している。
【0070】
非線形歪補償用複素信号変換回路102の動作を以下に説明する。位相同期が確立した信号x(n)が複素3乗回路121に入力されると、I、Q軸成分(実数部、虚数部)がそれぞれ乗算器122、123で2乗され、加算器124で加算されて|x2 (n)|が生成される。一方、x(n)のI、Q軸成分がそれぞれ乗算器125、126に入力されると、|x2 (n)|との乗算が行われ、|x2 (n)| x(n) が出力される。ここで|x2 (n)| x(n) をx3 (n)の値として定義する。非線形歪補償用係数更新回路105で生成される3次歪補償用係数a3 (n)とx3 (n)との複素乗算が複素乗算器127で行われる。複素加算器128では複素乗算器127の出力とx(n)との複素加算が行われ、x(n)から3次歪を除去した信号y(n)が出力される。以上より、y(n)は次式で表される。但し、初期値a 3 (0) = 0である。
y(n) = x(n) + a 3 (n)x3 (n) ・・式(1−1)
【0071】
次に非線形歪補償用係数更新回路105の動作を以下に説明する。位相同期が確立した信号x(n)が入力されると、遅延素子129がMシンボル分遅延させ、複素3乗回路121が上述した動作により、|x2 (n-M)| x(n-M) をx3 (n-M)として出力する。ここで図1のルートロールオフコサインフィルタ103の遅延がMシンボルであり、誤差算出回路104の遅延がないものと仮定している。遅延素子129は、y(n)から誤差信号e(n)を算出するまでのMシンボル分の遅延合わせを行っている。
【0072】
図3のLMS回路130では、減算器131がQ軸信号を符号反転することにより、複素共役[x3(n-M)] *が生成される。なお「* 」は共役複素数を表す記号とする。そして、複素乗算器132で複素共役[x3(n-M)] *と誤差信号e(n)との複素乗算が行われる。乗算器134、135では、ステップパラメータ制御回路133から出力される定数u と、複素乗算器132から出力されるI、Q軸信号との乗算が行われる。加算器136、137では、I、Q軸の乗算結果と遅延素子138、139からの出力がそれぞれ加算され、3次歪補償用係数a3 (n)として非線形歪補償用複素信号変換回路102に出力される。なお、遅延素子138、139では係数Re[ a 3 (n) ] 、Im[ a 3 (n) ] を1シンボル遅延させる。
【0073】
非線形歪補償用係数更新回路105の係数更新アルゴリズムについて、以下に説明する。図1より、誤差信号e(n)は次式で表される。
e(n)= d(n)− v(n) ・・式(1−2)
なお、v(n)はy(n)を帯域制限した信号であり、v(n)がy(n)と実質的に等しいと見なすと、次式が成立する。
e(n)= d(n)− y(n) ・・式(1−3)
式(1−3)と式(1−1)とから次式が得られる。
e(n)= d(n)−[ x(n) + a3 (n)x3 (n) ] ・・式(1−4)
【0074】
係数a3の評価関数をJ(a3) と表すと、評価関数J(a3) は誤差信号e(n)の振幅の2乗で与えられるので、次式が成立する。
J(a 3 ) = |e(n)|2 ・・式(1−5)
評価関数J(a3) を最小にするアルゴリズム、すなわちLMSアルゴリズムとしては最急勾配法を用いた勾配アルゴリズムに基づくものが多く、次式で係数が更新される。
a3(n+1) = a3(n) −α・dJ(a3)/da3(n)・・式(1−6)
【0075】
ここで式(1−4)を式(1−5)に代入して偏微分を行うと、次式が得られる。
dJ(a3)/da3 (n)= 2 {e(n)・de(n) /da3 (n) }= −2e(n)[x3(n)]*
・・式(1−7)
u = 2 αと置き、式(1−7)を式(1−6)に代入すると、次式が得られる。
a3(n+1) = a3(n) + ue(n)[x3(n)] *・・式(1−8)
【0076】
一方、図3よりa 3 (n) は次式で表される。
a3 (n) = a3(n-1) + ue(n-M)[|x2(n-M) |x(n-M) ]* ・・式(1−9)
x(n)をM シンボル遅延させたと見なせる信号v(n)から誤差信号e(n)を生成しているので、式(1−9)においては、
[ |x 2 (n-M) |x(n-M)] * =[x 3 (n-M)] *
として遅延合わせを行っている。誤差信号についてはこのMシンボル遅延を考慮して、e(n-M)と表現される。式(1−9)においてはa3(n) がe(n)とx(n)と比較して1シンボル遅延しているが、LMSアルゴリズムは係数更新の収束速度が比較的遅いため、実用上問題ない。
【0077】
図4に3次歪補償用係数a3(n) の更新の様子を示す。初期状態はa3(0) = 0 である。最も近い符号点d(n)と受信点x(n-M)との差が誤差信号e(n-M)である。但し、x(n-M)は非線形歪補償用複素信号変換回路102に続くルートロールオフコサインフィルタ103により帯域制限され、v(n-M)に変形されている。[ x3(n-M) ] * =[|x2(n-M) |x(n-M) ] *としているので、[ x3(n-M) ] * は受信点x(n-M)とI軸に関して対称の位相を有し、|x2(n-M) |倍の振幅となる。
【0078】
e(n-M)[ x3(n-M) ] * の位相はe(n-M)の位相と[ x3(n-M) ] * の位相との和となり、振幅はそれぞれの振幅の積となるので、図4に示すようにx(n-M)の位相方向付近を向いたベクトルとなり、3次歪によって小さくなった振幅を大きくする方向にa3(n) が更新される。よって、式(1−9)において[ x3(n-M) ] * =[|x2(n-M) |x(n-M) ] *とすることは妥当である。
【0079】
以上が本実施の形態における非線形歪等化回路の構成と動作であるが、非線形歪補償用複素信号変換回路102の出力y(n)が、ルートロールオフコサインフィルタ103を通過することを考慮して、より精度高く複素信号中の非線形歪を補償する構成としてもよい。
【0080】
図5にルートロールオフコサインフィルタ103の構成を示す。ルートロールオフコサインフィルタ103は、遅延素子141、142、143と、複素乗算器144、145、146とを有している。図5に示すように(2M+1)タップの場合、遅延素子は合計2M個、複素乗算器は合計(2M+1)個で構成され、遅延はセンタタップまでのMシンボルとなる。
【0081】
図6に、ルートロールオフコサインフィルタ103を通過することを考慮した場合の非線形歪補償用係数更新回路151の構成を示す。非線形歪補償用係数更新回路151は、図3の非線形歪補償用係数更新回路105において遅延素子129を削除し、複素3乗回路121の後段にルートロールオフコサインフィルタ103が加わった構成である。その後段のLMS回路130については、図3と同一である。
【0082】
以下、非線形歪補償用係数更新回路151の動作を説明する。位相同期が確立した信号x(n)が入力されると、複素3乗回路121が| x2(n)| x(n) をx3(n) として出力する。ルートロールオフコサインフィルタ103は| x2(n)| x(n) の帯域制限を行い、ΣCkFIL |x2 (n-k)| x(n-k) を出力する。ここでCkFIL はルートロールオフコサインフィルタ103の各係数である。ルートロールオフコサインフィルタ103の遅延がMシンボルであるので、遅延素子129が不要となる。この信号と誤差信号e(n)により、LMS回路130が3次歪補償用の係数a3(n) の更新を行い、非線形歪補償用複素信号変換回路102に出力する。よってa3(n) は次式で表される。
a3(n+1) = a3(n) + ue(n)[ΣCkFIL x3(n-k)] *・・式(1−10)
以上の構成により、複素信号中の非線形歪の補償をより精度高く行うことができる。
【0083】
また、図3の非線形歪補償用係数更新回路105及び図6の非線形歪補償用係数更新回路151が、位相同期の確立後に係数更新を開始する構成としてもよい。この場合、図1の搬送波再生回路111中の低域通過フィルタ113がフィルタ出力を観測し、出力が安定している場合に位相同期が確立したとして、Lock信号を"H" とする。
【0084】
図3の非線形歪補償用係数更新回路105及び図6の非線形歪補償用係数更新回路151は、Lock信号が"L" の場合には、LMS回路130中のステップパラメータ制御回路133がステップパラメータをu = 0とすることによりa3 (n) = 0とする。そして非線形歪補償用複素信号変換回路102がy(n)= x(n)として出力する。
【0085】
Lock信号が"H" の場合には、ステップパラメータ制御回路133はステップパラメータu に所定値を代入して係数更新を開始する。以上の構成により、搬送波再生回路111の引き込み動作に悪影響を及ぼさず、複素信号中の非線形歪の補償を行うことができる。
【0086】
また、図3の非線形歪補償用係数更新回路105及び図6の非線形歪補償用係数更新回路151が、高C/N時のみ係数更新を行う構成としてもよい。この場合、図1の非線形歪等化回路101中にC/N算出回路116を設ける。C/N算出回路116は誤差信号e(n)を用いて、最も近い符号点との距離を雑音と見なしてC/Nを算出して平均化し、その結果をCNR信号として図3の非線形歪補償用係数更新回路105及び図6の非線形歪補償用係数更新回路151に出力する。
【0087】
図3の非線形歪補償用係数更新回路105及び図6の非線形歪補償用係数更新回路151において、CNR信号が示すC/Nが設定した閾値以下の場合には、LMS回路130中のステップパラメータ制御回路133がステップパラメータをu = 0とする。こうすることによりa3(n) = 0として、非線形歪補償用複素信号変換回路102はy(n)= x(n)として出力する。CNR信号が示すC/Nが設定した閾値以上の場合には、ステップパラメータ制御回路133はステップパラメータu に所定値を代入して係数更新を行う。以上の構成により、低C/N時には悪影響を及ぼさず、複素信号中の非線形歪の補償を行うことができる。
【0088】
なお本実施の形態において、式(1−1)に示すように非線形歪で支配的な3次歪のみを除去する構成としたが、
y(n) = x(n) + Σa m (n)x m (n) (m > 1)・・式(1−11)
として、2次歪以上の任意の高次非線形歪を補償する構成としてもよい。この場合の係数更新式はそれぞれの次数において、
a m (n+1) = a m (n) + ue(n) [ x m (n)]* (m > 1) ・・式(1−12)
であり、x m (n) = |x m-1 (n) | x(n) とする。
【0089】
図7に2次歪以上K次歪以下の高次非線形歪を補償する非線形歪補償用複素信号変換回路161の構成を示し、図8に非線形歪補償用係数更新回路162の構成を示す。図7の非線形歪補償用複素信号変換回路161は、複素K乗回路163〜複素2乗回路164と、複素乗算器165〜166と、複素加算器167とを有している。また図8の非線形歪補償用係数更新回路162は、次数分だけの複数の遅延素子129と、複素K乗回路163〜複素2乗回路164と、次数分だけの複数のLMS回路130とを有している。
【0090】
このような構成の非線形歪補償用複素信号変換回路161の動作を以下に説明する。位相同期が確立した信号x(n)が入力されると、複素K乗回路163はx K (n) として| x K-1(n) | x(n) を生成し、複素2乗回路164はx2(n) として| x(n) | x(n) を生成する。複素K乗回路163〜複素2乗回路164は図2に示す複素3乗回路121と同様に、乗算器と加算器とから構成される。
【0091】
非線形歪補償用係数更新回路162で生成されるK次歪補償用係数 aK (n) とx K (n) を複素乗算器165で複素乗算を行い、2次歪補償用係数a2(n) とx2(n) とを複素乗算器166で複素乗算を行う。複素加算器167はa K (n) x K (n) と、a2(n)x2(n)と、x(n)との複素加算を行って、x(n)からK次歪と2次歪とを除去した信号y(n)を出力する。他の次数についても同様に、複素m乗回路によってx m (n) として| x m-1(n) | x(n) を生成し、非線形歪補償用係数更新回路162で生成されるm次歪補償用係数a m (n) とx m (n) を複素乗算器で複素乗算を行い、複素加算器167でx(n)との複素加算を行って、x(n)からm次歪を除去する。
【0092】
次に非線形歪補償用係数更新回路162の動作を以下に説明する。位相同期が確立した信号x(n)が入力されると、各次数の遅延素子129がMシンボル分遅延させる。そして、複素K乗回路163はx K (n-M) として| x K-1(n-M) | x(n-M) を生成し、複素2乗回路164はx2(n-M) として| x(n-M) | x(n-M) を生成する。各次数のLMS回路130は前記信号と誤差信号e(n)を用いて係数更新を行い、K次歪補償用係数a K (n) と2次歪補償用係数a2(n) を非線形歪補償用複素信号変換回路161に出力する。
【0093】
他の次数についても同様に、遅延素子129がx(n)をMシンボル分遅延させ、複素m乗回路によってx m (n) として| x m-1(n) | x(n) を生成する。そしてLMS回路130が前記信号と誤差信号e(n)を用いて係数更新を行い、m次歪補償用係数a m (n) を非線形歪補償用複素信号変換回路161に出力する。以上の構成により、2次歪以上の任意の高次非線形歪の補償を行う。
【0094】
非線形歪補償用複素信号変換回路161の出力y(n)がルートロールオフコサインフィルタ103を通過することを考慮して、より精度高く複素信号中の非線形歪を補償する構成の場合においても、同様に2次歪以上の任意の高次非線形歪の補償を行うことができる。この場合、非線形歪補償用係数更新回路162において各次数の遅延素子129を削除し、複素K乗回路163〜複素2乗回路164、及び各次数の複素m乗回路の後段にルートロールオフコサインフィルタ103を追加した構成となる。
【0095】
なお図8では各次数毎に遅延素子129を有する場合を示したが、1つの遅延素子129で共用化し、複素K乗回路163〜複素2乗回路164、及び各次数の複素m乗回路に出力信号を分配する構成としてもよい。
【0096】
また上記の例では、複素K乗回路163〜複素2乗回路164、及び各次数の複素m乗回路をそれぞれ有する場合を示したが、例えばI、 Q軸成分のべき乗を次の高い次数に順次出力することにより回路の共用化を図ってもよく、他の共用化方法を用いてもよい。
【0097】
(実施の形態2)
次に本発明の実施の形態2における非線形歪等化回路について、図面を参照しながら説明する。図9は本実施の形態における非線形歪等化回路201の構成を示すブロック図である。実施の形態2における非線形歪等化回路201は、実施の形態1の非線形歪等化回路101と比較して、非線形歪補償用係数更新回路202の構成が異なり、図1の非線形歪等化回路101の前段にあった搬送波再生回路111が、非線形歪等化回路201中のルートロールオフコサインフィルタ103の後段に設けられることが特徴である。準同期検波回路108は図1に示すものと同一であり、非線形歪等化回路201中のその他の各ブロックも図1の非線形歪等化回路101内の各ブロックと同一である。
【0098】
図示しないアンテナで受信された変調信号に対して、実施の形態1と同様に準同期検波回路108がI軸、Q軸データの検波を行って、検波出力x(n)を生成する。
【0099】
このような構成の非線形歪等化回路201の動作を以下に説明する。非線形歪補償用係数更新回路202で生成される3次歪補償用係数a3(n) を用いて、実施の形態1と同様に非線形歪補償用複素信号変換回路102が、x(n)に含まれる3次歪を除去する。そして、ルートロールオフコサインフィルタ103がナイキスト帯域幅の信号のみを通過させ、帯域制限信号v(n)を出力する。次に搬送波再生回路111がv(n)の位相誤差e -jP(n)を除去し、位相同期が確立した信号s(n)を誤差算出回路104に出力する。
【0100】
誤差算出回路104はこの信号s(n)と最も近い符号点d(n)との誤差を算出するとともに、d(n)を復調信号として図示しない誤り訂正部に出力する。なお誤り訂正部が軟判定復号を行う場合には、誤差算出回路104の入力s(n)を復調信号として誤り訂正部に出力する。非線形歪補償用係数更新回路202はこの誤差信号e(n)とx(n)、及び搬送波再生回路111で生成される位相回転信号e jP(n) を用いて、LMSアルゴリズムによりa 3 (n) を更新する。
【0101】
図10に非線形歪補償用係数更新回路202の構成を示す。この非線形歪補償用係数更新回路202は、実施の形態1の非線形歪補償用係数更新回路105において位相回転補正回路211が加わった構成である。位相回転補正回路211は、減算器212と複素乗算器213とを有している。なお非線形歪補償用係数更新回路202のその他の各ブロックは図3の非線形歪補償用係数更新回路105と同一である。
【0102】
非線形歪補償用係数更新回路202の動作を以下に説明する。図10において検波出力x(n)が入力されると、実施の形態1と同様に遅延素子129、複素3乗回路121により|x2 (n-M)| x(n-M) がx3(n-M) としてLMS回路130に出力される。一方、位相回転信号e jP(n) が入力されると、位相回転補正回路211では減算器212がQ軸信号を符号反転することにより複素共役e -jP(n)が生成される。複素乗算器213が複素共役e-jP(n)と誤差信号e(n)との乗算を行って搬送波再生回路111で行われる位相回転を補正し、補正結果をLMS回路130に出力する。LMS回路130は|x2 (n-M)|x(n-M)とe(n)e -jP(n)とを入力として、実施の形態1と同様に係数更新を行い、3次歪補償用係数a3(n) を非線形歪補償用複素信号変換回路102に出力する。
【0103】
このように、非線形歪補償用複素信号変換回路102と誤差算出回路104との間に位相同期を確立する搬送波再生回路111が存在する場合、搬送波再生回路111で行われる位相回転を補正することにより、複素信号中の非線形歪の補償を行うことができる。
【0104】
非線形歪補償用係数更新回路202の係数更新アルゴリズムは、式(1−7)に位相回転補正を加えて、次式のように表される。
a3(n+1) = a3(n) + ue(n)[x3(n)] * e -jP(n) ・・式(2−1)
【0105】
一方、図10よりa3(n) は次式で表される。
a3(n) = a3(n-1) + ue(n-M)[|x 2(n-M)|x(n-M) ]* e -jP(n-M)
・・式(2−2)
ここでは、x(n)をMシンボル遅延させたと見なせる信号s(n)から誤差信号e(n)を生成しているので、式(2−2)においては[ |x 2(n-M) |x(n-M) ] * =[x3(n-M)] * として遅延合わせを行っている。誤差信号と位相回転補正については、このMシンボル遅延を考慮して、それぞれe(n-M)、 e-jP(n-M)と表現される。
【0106】
また式(2−2)においてはa3(n) がe(n)、x(n)、e -jP(n)と比較して1シンボル遅延しているが、LMSアルゴリズムは係数更新の収束速度が比較的遅いため、実用上問題ない。
【0107】
以上が本実施の形態における非線形歪等化回路の構成と動作であるが、非線形歪補償用複素信号変換回路102の出力y(n)がルートロールオフコサインフィルタ103を通過することを考慮して、より精度高く複素信号中の非線形歪を補償する構成としてもよい。
【0108】
図11にルートロールオフコサインフィルタ103を通過することを考慮した場合の非線形歪補償用係数更新回路221の構成を示す。この非線形歪補償用係数更新回路221は、図10の非線形歪補償用係数更新回路202において遅延素子129を削除し、複素3乗回路121の後段にルートロールオフコサインフィルタ103が加わった構成である。その後段のLMS回路130と、LMS回路130のもう一方の入力を生成する位相回転補正回路211とについては、図10に示すものと同一である。
【0109】
このような構成の非線形歪補償用係数更新回路221の動作について説明する。検波出力x(n)が入力されると、複素3乗回路121が| x2(n)| x(n) をx3(n) として出力する。ルートロールオフコサインフィルタ103が帯域制限を行い、ΣCkFIL | x2(n-k)| x(n-k) をLMS回路130に出力する。ここでCkFIL はルートロールオフコサインフィルタ103の各係数である。ルートロールオフコサインフィルタ103の遅延がMシンボルであるので、遅延素子129が不要となる。
【0110】
一方、図10と同様に、位相回転信号e jP(n) と誤差信号e(n)とが入力されると、位相回転補正回路211は搬送波再生回路111で行われる位相回転を補正し、e(n)e -jP(n)をLMS回路130に出力する。この2つの信号により、LMS回路130が3次歪補償用係数a3(n) の更新を行い、非線形歪補償用複素信号変換回路102に出力する。この場合のa3(n) は次式で表される。
a3(n+1) = a3(n) + ue(n)[ΣCkFIL x3(n-k)]* e -jP(n)
・・式(2−3)
【0111】
以上の構成により、複素信号中の非線形歪の補償をより精度高く行うことができる。また、図10の非線形歪補償用係数更新回路202及び図11の非線形歪補償用係数更新回路221は、位相同期の確立後に係数更新を開始する構成としてもよい。実施の形態1と同様に、図9において搬送波再生回路111中の低域通過フィルタ113はフィルタ出力を観測し、出力が安定している場合に位相同期が確立したとしてLock信号を"H" とする。
【0112】
図10の非線形歪補償用係数更新回路202及び図11の非線形歪補償用係数更新回路221は、実施の形態1と同様にLock信号が"L" の場合にはa3(n) = 0とし、非線形歪補償用複素信号変換回路102がy(n)= x(n)として出力する。そしてLock信号が"H" の場合には係数更新を開始する。以上の構成により、搬送波再生回路111の引き込み動作に悪影響を及ぼさず、複素信号中の非線形歪の補償を行うことができる。
【0113】
また、図10の非線形歪補償用係数更新回路202及び図11の非線形歪補償用係数更新回路221は、高C/N時のみ係数更新を行う構成としてもよい。実施の形態1と同様に、図9の非線形歪等化回路201中にC/N算出回路116を設ける。そして、C/N算出回路116はC/Nを算出して平均化し、その結果をCNR信号として図10の非線形歪補償用係数更新回路202及び図11の非線形歪補償用係数更新回路221に出力する。
【0114】
図10の非線形歪補償用係数更新回路202及び図11の非線形歪補償用係数更新回路221は、実施の形態1と同様にCNR信号が示すC/Nが設定した閾値以下の場合にはa3(n) = 0とし、非線形歪補償用複素信号変換回路102がy(n)= x(n)として出力する。CNR信号が示すC/Nが、設定した閾値以上の場合には係数更新を行う。以上の構成により、低C/N時に悪影響を及ぼさず、複素信号中の非線形歪の補償を行うことができる。
【0115】
なお本実施の形態において、式(1−1)、式(2−1)に示すように非線形歪で支配的な3次歪のみを除去する構成としたが、実施の形態1と同様に式(1−11)を用いて2次歪以上の任意の高次非線形歪を補償する構成としてもよい。この場合の係数更新式は次数のようになる。
a m (n+1) = a m (n) + ue(n)[x m (n)]* e -jP(n)
・・式(2−4)
なお、x m (n) = |x m-1 (n) | x(n) とする。
【0116】
図12に2次歪以上K次歪以下の高次非線形歪を補償する非線形歪補償用係数更新回路231の構成を示す。なお図中の非線形歪補償用複素信号変換回路161は実施の形態1の場合と同一である。非線形歪補償用係数更新回路231は、図8に示す非線形歪補償用係数更新回路162において、位相回転補正回路211を加えた構成である。
【0117】
このような構成の非線形歪補償用複素信号変換回路231の動作を説明する。検波出力x(n)が入力されると、実施の形態1と同様にx K (n-M) として| x K-1(n-M) | x(n-M) を生成し、x2(n-M) として| x(n-M) | x(n-M) を生成し、LMS回路130に出力する。一方、位相回転信号e jP(n) と誤差信号e(n)が入力されると、位相回転補正回路211は図10の場合と同様に搬送波再生回路111で行われる位相回転を補正し、e(n)e -jP(n)をLMS回路130に出力する。
【0118】
このような2系統の信号により、LMS回路130は係数更新を行い、K次歪補償用係数a K (n) と2次歪補償用係数a2(n) とを非線形歪補償用複素信号変換回路161に出力する。他の次数についても同様に、x m (n) として| x m-1(n) | x(n) を生成し、LMS回路130がこの信号とe(n)e -jP(n)を用いて係数更新を行い、m次歪補償用係数a m (n) を非線形歪補償用複素信号変換回路161に出力する。また非線形歪補償用複素信号変換回路161は実施の形態1で説明したと同様の構成で、式(1−11)で示すy(n)を出力する。以上の動作により、2次歪以上の任意の高次非線形歪の補償を行う。
【0119】
非線形歪補償用複素信号変換回路161の出力y(n)がルートロールオフコサインフィルタ103を通過することを考慮して、より精度高く複素信号中の非線形歪を補償する構成の場合においても、同様に2次歪以上の任意の高次非線形歪の補償を行うことができる。この場合、非線形歪補償用係数更新回路231において各次数の遅延素子129を削除し、複素K乗回路163、複素2乗回路164、及び各次数の複素m乗回路の後段にルートロールオフコサインフィルタ103を追加した構成にする。
【0120】
なお図12では、各次数毎に遅延素子129を有する場合を示したが、1つの遅延素子129で共用化し、複素K乗回路163、複素2乗回路164、及び各次数の複素m乗回路に出力信号を分配する構成としてもよい。
【0121】
また上記の例では、複素K乗回路163、複素2乗回路164、及び各次数の複素m乗回路をそれぞれ有する場合を示したが、例えばI、Q軸成分のべき乗を次の高い次数に順次出力することにより、回路の共用化を図ってもよく、他の共用化方法を用いてもよい。
【0122】
(実施の形態3)
次に本発明の実施の形態3における非線形歪等化回路について、図面を参照しながら説明する。図13は本実施の形態における非線形歪等化回路301の構成を示すブロック図である。図13に示すように、この非線形歪等化回路301は、実施の形態1の非線形歪等化回路101と比較して、非線形歪補償用係数更新回路302の構成が異なり、線形歪補償用複素信号変換回路303と線形歪補償用係数更新回路304がルートロールオフコサインフィルタ103の後段に加えられたことが特徴である。準同期検波回路108と搬送波再生回路111は図1の場合と同一であり、非線形歪等化回路301中のその他の各ブロックは図1の非線形歪等化回路101の各ブロックと同一である。
【0123】
図示しないアンテナで受信された変調信号に対して、実施の形態1と同様に準同期検波回路108はI軸、Q軸データの検波を行う。そして搬送波再生回路111が検波出力の位相誤差e -jP(n)を除去し、位相同期が確立した信号x(n)を生成し、非線形歪等化回路301に出力する。
【0124】
このように構成された非線形歪等化回路301の動作を説明する。非線形歪補償用係数更新回路302で生成される3次歪補償用係数a3 (n) を用いて、非線形歪補償用複素信号変換回路102は実施の形態1と同様に、x(n)に含まれる3次歪を除去する。そしてルートロールオフコサインフィルタ103はナイキスト帯域幅の信号のみを通過させ、帯域制限信号v(n)を出力する。線形歪補償用複素信号変換回路303は、線形歪補償用係数更新回路304で生成される各タップ係数CkLEQ (n) を用いて、v(n)に含まれる線形歪を除去した信号w(n)を出力する。
【0125】
実施の形態1と同様に誤差算出回路104は、誤差信号e(n)を算出するとともに、この信号w(n)と最も近い符号点d(n)を復調信号として図示しない誤り訂正部に出力する。なお誤り訂正部が軟判定復号を行う場合には、誤差算出回路104の入力w(n)を復調信号として誤り訂正部に出力する。線形歪補償用係数更新回路304はこの誤差信号e(n)とv(n)とを用いて、LMSアルゴリズムによりCkLEQ (n) を更新する。また非線形歪補償用係数更新回路302はこの誤差信号e(n)とx(n)とを用いて、LMSアルゴリズムによりa 3 (n) を更新する。
【0126】
図14に線形歪補償用複素信号変換回路303の構成を示し、図15に線形歪補償用係数更新回路304の構成を示す。図14の線形歪補償用複素信号変換回路303は、遅延素子311〜312と、複素乗算器313〜314〜315と、複素加算器316とを有している。また図15の線形歪補償用係数更新回路304は、遅延素子317〜318と、(N+L+1)個のLMS回路130とを有している。
【0127】
なお図14に示すように、前ゴースト補償用をNタップとし、後ゴースト補償用をLタップとする。従って、線形歪補償用複素信号変換回路303と線形歪補償用係数更新回路304における遅延素子はそれぞれ合計(N+L)個で構成される。また、線形歪補償用複素信号変換回路303における複素乗算器は合計(N+L+1)個で構成される。そして遅延はセンタタップまでのNシンボルとなる。なお、線形歪補償用複素信号変換回路303と線形歪補償用係数更新回路304に設けられた合計(N+L)個の遅延素子は共用化してもよい。
【0128】
線形歪補償用複素信号変換回路303の動作を説明する。図14において、帯域制限信号v(n)が入力されると、(N+L)個の遅延素子によって1シンボルずつシフトする。合計(N+L+1)個の複素乗算器は、線形歪補償用係数更新回路304で生成される各タップ係数CkLEQ (n) とタップ入力v(n-k)とを複素乗算する。複素加算器316がその結果を全て複素加算して、v(n)からゴーストを除去した信号w(n)を出力する。以上より、w(n)は次式で表される。但し、初期値CkLEQ (0) = 0である。
w(n)= ΣCkLEQ (n) v(n-k)・・式(3−1)
【0129】
このように構成された線形歪補償用係数更新回路304の動作を説明する。帯域制限信号v(n)が入力されると、(N+L)個の遅延素子によって1シンボルずつシフトされる。合計(N+L+1)個のLMS回路130は、誤差信号e(n)とタップ入力v(n-k)とを用いてLMSアルゴリズムにより、各タップ係数CkLEQ (n) を生成し、線形歪補償用複素信号変換回路303に出力する。ここでステップパラメータをλとすると、CkLEQ (n) は次式で表される。
CkLEQ (n+1) = CkLEQ (n) + λe(n)v(n) *・・式(3−2)
【0130】
次に図16に非線形歪補償用係数更新回路302の構成を示す。この非線形歪補償用係数更新回路302は、実施の形態1の非線形歪補償用係数更新回路105において、遅延素子129が遅延素子321に置き換わった構成である。その他の各ブロックは図3と同一である。ここで図13に示すように、ルートロールオフコサインフィルタ103の遅延がMシンボルであり、線形歪補償用複素信号変換回路303の遅延がNシンボルであり、誤差算出回路104の遅延がないものと仮定している。遅延素子321により、y(n)から誤差信号e(n)を算出するまでの(M+N)シンボル分の遅延合わせを行っている。
【0131】
次に非線形歪補償用係数更新回路302の動作を説明する。位相同期が確立した信号x(n)が入力されると、遅延素子321が(M+N)シンボル分の遅延を行う。そして複素3乗回路121は| x2(n-M-N)| x(n-M-N) をx3(n-M-N) として出力する。LMS回路130はこの信号と誤差信号e(n)とを用いて、LMSアルゴリズムにより、3次歪補償用係数a3(n) を生成し、非線形歪補償用複素信号変換回路102に出力する。
【0132】
非線形歪補償用係数更新回路302の係数更新アルゴリズムは、式(1−8)で表される。一方、図16よりa 3 (n) は次式で表される。
a3(n) = a3(n-1) + ue(n-M-N) [ |x2(n-M-N) |x(n-M-N) ] *
・・式(3−3)
x(n)を(M+N)シンボル遅延させたと見なせる信号w(n)から誤差信号e(n)を生成しているので、式(3−3)においては[ |x2(n-M-N) |x(n-M-N) ] *(=[x 3 (n-M-N)] *)として遅延合わせを行っている。
【0133】
誤差信号についてはこの(M+N)シンボル遅延を考慮して、e(n-M-N)と表現される。また式(3−3)においてはa3(n) がe(n)、x(n)と比較して1シンボル遅延しているが、LMSアルゴリズムは係数更新の収束速度が比較的遅いため、実用上問題ない。以上の動作により、線形歪を補償するとともに、複素信号中の非線形歪の補償を行う。
【0134】
なお本実施の形態において、非線形歪補償用複素信号変換回路102の出力y(n)がルートロールオフコサインフィルタ103を通過することを考慮して、より精度高く複素信号中の非線形歪を補償する構成としてもよい。
【0135】
図17にルートロールオフコサインフィルタ103を通過することを考慮した場合の非線形歪補償用係数更新回路331の構成を示す。この非線形歪補償用係数更新回路331は、図16の非線形歪補償用係数更新回路302において遅延素子321を遅延素子332に置き換え、複素3乗回路121の後段にルートロールオフコサインフィルタ103が加わった構成を特徴とする。その後段のLMS回路130については図16に示すものと同一である。
【0136】
このような構成の非線形歪補償用係数更新回路331の動作を説明する。図17において、位相同期が確立した信号x(n)が入力されると、遅延素子332がNシンボル分の遅延を行い、複素3乗回路121が| x2(n-N)| x(n-N) をx3(n-N) として出力する。そしてルートロールオフコサインフィルタ103が帯域制限を行い、ΣCkFIL | x2(n-N-k)| x(n-N-k) を生成し、LMS回路130に出力する。ここでCkFIL はルートロールオフコサインフィルタ103の各係数であり、遅延がMシンボルであるので、遅延素子321を遅延素子332に置き換えて、ルートロールオフコサインフィルタ103の出力までの遅延を合計(M+N)シンボルとしている。
【0137】
LMS回路130は、ルートロールオフコサインフィルタ103の出力と誤差信号e(n)とを用いて、LMSアルゴリズムにより3次歪補償用係数a3(n) の更新を行い、非線形歪補償用複素信号変換回路102に出力する。よってa3 (n) は式(1−10)で表される。このような動作により、複素信号中の非線形歪の補償をより精度高く行う。
【0138】
また非線形歪補償用複素信号変換回路102の出力y(n)が線形歪補償用複素信号変換回路303を通過することを考慮して、より精度高く複素信号中の非線形歪を補償する構成としてもよい。図18に線形歪補償用複素信号変換回路303を通過することを考慮した場合の非線形歪補償用係数更新回路341の構成を示す。
【0139】
図18に示すように、非線形歪補償用係数更新回路341は、図16の非線形歪補償用係数更新回路302において遅延素子321を遅延素子129に置き換え、複素3乗回路121の後段に線形歪補償用複素信号変換回路303が加わった構成であることを特徴とする。その後段のLMS回路130については図16の場合と同一である。
【0140】
このような構成の非線形歪補償用係数更新回路341の動作を説明する。位相同期が確立した信号x(n)が入力されると、遅延素子129がMシンボル分の遅延を行い、複素3乗回路121が| x2(n-M)| x(n-M) をx3(n-M) として出力する。線形歪補償用複素信号変換回路303がその出力を変形し、ΣCkLEQ (n) | x2 (n-M-k) | x(n-M-k) をLMS回路130に出力する。
【0141】
線形歪補償用複素信号変換回路303の遅延がNシンボルであるので、遅延素子321を遅延素子129に置き換えて、線形歪補償用複素信号変換回路303出力までの遅延を合計(M+N)シンボルとしている。LMS回路130は線形歪補償用複素信号変換回路303の出力信号と誤差信号e(n)とを用いて、LMSアルゴリズムにより3次歪補償用係数a3(n) の更新を行い、非線形歪補償用複素信号変換回路102に出力する。この場合a3(n) とa3(n+1) との関係は次式で表される。
a3(n+1) = a3(n) + ue(n)[ΣCkLEQ (n) x3(n-k)] *
・・式(3−4)
【0142】
このような動作により、複素信号中の非線形歪の補償をより精度高く行う。また非線形歪補償用複素信号変換回路102の出力y(n)が、ルートロールオフコサインフィルタ103と線形歪補償用複素信号変換回路303の両方を通過することを考慮して、より精度高く複素信号中の非線形歪を補償する構成としてもよい。
【0143】
ルートロールオフコサインフィルタ103と線形歪補償用複素信号変換回路303の両方を通過することを考慮した場合の非線形歪補償用係数更新回路351の構成を図19に示す。この非線形歪補償用係数更新回路351は、図16の非線形歪補償用係数更新回路302において遅延素子321を削除し、複素3乗回路121の後段にルートロールオフコサインフィルタ103と線形歪補償用複素信号変換回路303が加わった構成であることを特徴とする。その後段のLMS回路130については図16の場合と同一である。
【0144】
このような構成の非線形歪補償用係数更新回路351の動作を説明する。図19において、位相同期が確立した信号x(n)が入力されると、複素3乗回路121が| x2(n)| x(n) をx3(n) として出力する。そしてルートロールオフコサインフィルタ103が帯域制限を行い、z(n) =ΣCkFIL | x2(n-k)| x(n-k) を生成し、線形歪補償用複素信号変換回路303に出力する。線形歪補償用複素信号変換回路303はこの出力を変形し、ΣCiLEQ (n) z(n-i)をLMS回路130に出力する。
【0145】
ここでルートロールオフコサインフィルタ103の遅延がMシンボルであり、線形歪補償用複素信号変換回路303の遅延がNシンボルであるので、遅延素子321を削除して、線形歪補償用複素信号変換回路303の出力までの遅延を合計(M+N)シンボルとしている。LMS回路130は線形歪補償用複素信号変換回路303の出力信号と誤差信号e(n)とを用いて、LMSアルゴリズムにより3次歪補償用係数a3(n) の更新を行い、非線形歪補償用複素信号変換回路102に出力する。この場合、a3(n) とa3(n+1) との関係は次式で表される。
a3(n+1) = a3(n) + ue(n)[ΣCiLEQ (n) z(n-i)] * ・・式(3−5)
z(n) =ΣCkFIL x3(n-k) ・・式(3−6)
このような動作により、複素信号中の非線形歪の補償をより精度高く行うことができる。
【0146】
また、図16の非線形歪補償用係数更新回路302、図17の非線形歪補償用係数更新回路331、図18の非線形歪補償用係数更新回路341、及び図19の非線形歪補償用係数更新回路351が、それぞれ位相同期の確立後に係数更新を開始する構成としてもよい。実施の形態1と同様に、図13において搬送波再生回路111中の低域通過フィルタ113がフィルタ出力を観測し、出力が安定している場合に位相同期が確立したとしてLock信号を"H" とする。
【0147】
図16の非線形歪補償用係数更新回路302、図17の非線形歪補償用係数更新回路331、図18の非線形歪補償用係数更新回路341、及び図19の非線形歪補償用係数更新回路351は、実施の形態1と同様にLock信号が"L" の場合にはa3(n) = 0とし、非線形歪補償用複素信号変換回路102がy(n)= x(n)として出力する。Lock信号が"H" の場合には係数更新を開始する。このような動作により、搬送波再生回路111の引き込み動作に悪影響を及ぼさず、複素信号中の非線形歪の補償を行う。
【0148】
また、図16の非線形歪補償用係数更新回路302、図17の非線形歪補償用係数更新回路331、図18の非線形歪補償用係数更新回路341、及び図19の非線形歪補償用係数更新回路351が線形歪補償の収束後に係数更新を開始する構成としてもよい。図15に示すように、非線形歪補償用係数更新回路304中にセンタタップ係数監視回路319を設け、この回路がセンタタップ係数を観測し、係数が安定している場合に線形歪補償が収束したとして収束信号を"H" とする。
【0149】
図13に示すように、この収束信号は非線形歪補償用係数更新回路302に入力される。図16の非線形歪補償用係数更新回路302は収束信号が"L" の場合には、LMS回路130中のステップパラメータ制御回路133がステップパラメータu = 0とすることによりa3(n) = 0として、非線形歪補償用複素信号変換回路102がy(n)= x(n)として出力する。収束信号が"H" の場合には、ステップパラメータ制御回路133はステップパラメータu に所定値を代入し、係数更新を開始する。
【0150】
図17の非線形歪補償用係数更新回路331、図18の非線形歪補償用係数更新回路341、及び図19の非線形歪補償用係数更新回路351についても同様である。以上の動作により、線形歪補償の収束動作に悪影響を及ぼさず、複素信号中の非線形歪の補償を行うことができる。
【0151】
また、図16の非線形歪補償用係数更新回路302、図17の非線形歪補償用係数更新回路331、図18の非線形歪補償用係数更新回路341、及び図19の非線形歪補償用係数更新回路351が、高C/N時のみ係数更新を行う構成としてもよい。実施の形態1と同様に、図13において非線形歪等化回路301中にC/N算出回路116を設け、C/N算出回路116がC/Nを算出して平均化し、その結果をCNR信号として出力する。
【0152】
図16の非線形歪補償用係数更新回路302、図17の非線形歪補償用係数更新回路331、図18の非線形歪補償用係数更新回路341、及び図19の非線形歪補償用係数更新回路351は実施の形態1と同様に、CNR信号が示すC/Nが設定した閾値以下の場合にはa3 (n) = 0とし、非線形歪補償用複素信号変換回路102がy(n)= x(n)として出力する。CNR信号が示すC/Nが設定した閾値以上の場合には係数更新を行う。以上の動作により、低C/N時に悪影響を及ぼさず、複素信号中の非線形歪の補償を行う。
【0153】
なお本実施の形態において、式(1−1)、式(1−8)に示すように非線形歪で支配的な3次歪のみを除去する構成としたが、実施の形態1と同様に式(1−11)を用いて2次歪以上の任意の高次非線形歪を補償する構成としてもよい。この場合の係数更新式はそれぞれの次数において式(1−12)を適用し、
x m (n) = |x m-1(n)| x(n) とする。
【0154】
2次歪以上K次歪以下の高次非線形歪を補償する非線形歪補償用係数更新回路361の構成を図20に示す。なお非線形歪補償用複素信号変換回路161は図7に示す実施の形態1の場合と同一である。図20の非線形歪補償用係数更新回路361は、図8に示す非線形歪補償用係数更新回路162における各次数の遅延素子129を遅延素子321に置き換えた構成である。
【0155】
非線形歪補償用複素信号変換回路361の動作は、位相同期が確立した信号x(n)が入力されると、各次数の遅延素子321が(M+N)シンボル分遅延させる以外は実施の形態1と同一である。また非線形歪補償用複素信号変換回路161は実施の形態1で説明したと同様に式(1−11)で示すy(n)を出力する。以上の動作により、2次歪以上の任意の高次非線形歪の補償を行うことができる。
【0156】
非線形歪補償用複素信号変換回路161の出力y(n)がルートロールオフコサインフィルタ103を通過することを考慮して、より精度高く複素信号中の非線形歪を補償する構成の場合においても、2次歪以上の任意の高次非線形歪の補償を同様に行うことができる。この場合、非線形歪補償用係数更新回路361において各次数の遅延素子321を遅延素子332に置き換え、複素K乗回路163、複素2乗回路164、及び各次数の複素m乗回路の後段にルートロールオフコサインフィルタ103を追加した構成となる。
【0157】
非線形歪補償用複素信号変換回路161の出力y(n)が線形歪補償用複素信号変換回路303を通過することを考慮して、より精度高く複素信号中の非線形歪を補償する構成の場合においても、2次歪以上の任意の高次非線形歪の補償を同様に行うことができる。この場合、非線形歪補償用係数更新回路361において各次数の遅延素子321を遅延素子129に置き換え、複素K乗回路163、複素2乗回路164、及び各次数の複素m乗回路の後段に線形歪補償用複素信号変換回路303を追加した構成となる。
【0158】
非線形歪補償用複素信号変換回路161の出力y(n)がルートロールオフコサインフィルタ103と線形歪補償用複素信号変換回路303の両方を通過することを考慮して、より精度高く複素信号中の非線形歪を補償する構成の場合においても、2次歪以上の任意の高次非線形歪の補償を同様に行うことができる。この場合、非線形歪補償用係数更新回路361において各次数の遅延素子321を削除し、複素K乗回路163、複素2乗回路164、及び各次数の複素m乗回路の後段にルートロールオフコサインフィルタ103と線形歪補償用複素信号変換回路303とを追加した構成となる。
【0159】
なお上記の例では各次数毎に遅延素子を有する場合を示したが、1つの遅延素子で共用化し、複素K乗回路163、複素2乗回路164、及び各次数の複素m乗回路に出力信号を分配する構成としてもよい。
【0160】
また上記の例では、複素K乗回路163、複素2乗回路164、及び各次数の複素m乗回路をそれぞれ有する場合を示したが、例えばI、 Q軸成分のべき乗を次の高い次数に順次出力することにより、回路の共用化を図ってもよく、他の共用化方法を用いてもよい。
【0161】
(実施の形態4)
次に本発明の実施の形態4における非線形歪等化回路について、図面を参照しながら説明する。図21は本実施の形態における非線形歪等化回路401の構成を示すブロック図である。この非線形歪等化回路401は、実施の形態3の非線形歪等化回路301において非線形歪補償用係数更新回路302と線形歪補償用係数更新回路304の構成が変わり、非線形歪等化回路301の前段にあった搬送波再生回路111が非線形歪等化回路401中の線形歪補償用複素信号変換回路303の後段に設けられたことが特徴である。準同期検波回路108は図13に示すものと同一であり、非線形歪等化回路401中のその他の各ブロックは図13の非線形歪等化回路301の各ブロックと同一である。
【0162】
図示しないアンテナで受信された変調信号に対して、実施の形態1と同様に準同期検波回路108はI軸、Q軸データの検波を行って、検波出力x(n)を非線形歪等化回路401に与える。
【0163】
非線形歪等化回路401の動作を説明する。非線形歪補償用係数更新回路402で生成される3次歪補償用係数a3(n) を用いて、実施の形態1と同様に非線形歪補償用複素信号変換回路102がx(n)に含まれる3次歪を除去する。そしてルートロールオフコサインフィルタ103はナイキスト帯域幅の信号のみを通過させ、帯域制限信号v(n)を出力する。実施の形態3と同様に、線形歪補償用複素信号変換回路303は線形歪補償用係数更新回路403で生成される各タップ係数CkLEQ (n) を用いて、v(n)に含まれる線形歪を除去した信号w(n)を出力する。
【0164】
搬送波再生回路111はw(n)の位相誤差e -jP(n)を除去し、位相同期が確立した信号s(n)を誤差算出回路104に出力する。誤差算出回路104はこの信号s(n)と最も近い符号点d(n)との誤差を算出するとともに、d(n)を復調信号として誤り訂正部に出力する。なお図示しない誤り訂正部が軟判定復号を行う場合には、誤差算出回路104の入力s(n)を復調信号として誤り訂正部に出力する。非線形歪補償用係数更新回路402はこの誤差信号e(n)と搬送波再生回路111で生成される位相回転信号e jP(n) とx(n)を用い、LMSアルゴリズムによりa3(n) を更新する。更に線形歪補償用係数更新回路403はe(n)とe jP(n) とv(n)を用い、LMSアルゴリズムによりCkLEQ (n) を更新する。
【0165】
線形歪補償用係数更新回路403の構成を図22に示す。この線形歪補償用係数更新回路403は、実施の形態3の線形歪補償用係数更新回路304において位相回転補正回路211が加わったことが特徴である。線形歪補償用係数更新回路403のその他の各ブロックは図15の線形歪補償用係数更新回路304の各ブロックと同一である。なお、線形歪補償用複素信号変換回路303と線形歪補償用係数更新回路403とにおいて、それぞれに設けられた合計(N+L)個の遅延素子は共用化してもよい。
【0166】
このような構成の線形歪補償用係数更新回路403の動作を以下に説明する。図22において帯域制限信号v(n)が入力されると、実施の形態3と同様に(N+L)個の遅延素子によって1シンボルずつシフトされる。一方、位相回転信号e jP(n) が入力されると、位相回転補正回路211は搬送波再生回路111で行われる位相回転を補正し、e(n)e -jP(n)を(N+L+1)個のLMS回路130に出力する。
【0167】
LMS回路130はv(n-k)とe(n)e -jP(n)とを入力としてLMSアルゴリズムにより、各タップ係数CkLEQ (n) を線形歪補償用複素信号変換回路303に出力する。ここでステップパラメータをλとすると、CkLEQ (n) は次式で表される。
CkLEQ (n+1) = CkLEQ (n) + λe(n)v(n)* e -jP(n)・・式(4−1)
【0168】
非線形歪補償用係数更新回路402の構成を図23に示す。この非線形歪補償用係数更新回路402は、実施の形態3の非線形歪補償用係数更新回路302において位相回転補正回路211が加わったことを特徴とする。非線形歪補償用係数更新回路402のその他の各ブロックは図16に示す各ブロックと同一である。
【0169】
このような構成の非線形歪補償用係数更新回路402の動作を説明する。検波出力x(n)が入力されると、実施の形態3と同様に遅延素子321、複素3乗回路121により|x2(n-M-N) | x(n-M-N) がx3(n-M-N) としてLMS回路130に出力される。一方、誤差信号e(n)と位相回転信号e jP(n) とが入力されると、位相回転補正回路211は搬送波再生回路111で行われる位相回転を補正し、e(n)e -jP(n)をLMS回路130に出力する。LMS回路130は| x2(n-M-N)| x(n-M-N) とe(n)e -jP (n)とを入力として、実施の形態1と同様に係数更新を行い、3次歪補償用係数a3(n) を非線形歪補償用複素信号変換回路102に出力する。
【0170】
非線形歪補償用係数更新回路402の係数更新アルゴリズムは、式(2−1)で表される。一方、図23よりa3(n) は次式で表される。
a3(n)
= a3(n-1) + ue(n-M-N) [ |x2(n-M-N) |x(n-M-N) ] * e -jP(n-M-N)
・・式(4−2)
x(n)を(M+N)シンボル遅延させた信号と見なせるs(n)から誤差信号e(n)を生成しているので、式(4−2)においては[ |x2(n-M-N) |x(n-M-N) ] *(=[x 3 (n-M-N)] *として遅延合わせを行っている。
【0171】
誤差信号と位相回転補正とについては、この(M+N)シンボル遅延を考慮して、それぞれe(n-M-N)、e -jP (n-M-N)と表現される。また式(4−2)においてはa3(n) がe(n)、x(n)、e -jP(n)と比較して1シンボル遅延しているが、LMSアルゴリズムは係数更新の収束速度が比較的遅いため、実用上問題ない。
【0172】
以上の動作により、非線形歪補償用複素信号変換回路102と誤差算出回路104との間に位相同期を確立する搬送波再生回路111が存在する場合、搬送波再生回路111で行われる位相回転を補正することにより、線形歪を補償するとともに、複素信号中の非線形歪の補償を行うことができる。
【0173】
なお本実施の形態の非線形歪等化回路において、非線形歪補償用複素信号変換回路102の出力y(n)がルートロールオフコサインフィルタ103を通過することを考慮して、より精度高く複素信号中の非線形歪を補償する構成としてもよい。
【0174】
ルートロールオフコサインフィルタ103を通過することを考慮した場合の非線形歪補償用係数更新回路411の構成を図24に示す。この非線形歪補償用係数更新回路411は、図23の非線形歪補償用係数更新回路402において遅延素子321を遅延素子332に置き換え、複素3乗回路121の後段にルートロールオフコサインフィルタ103が加わったことを特徴とする。その後段のLMS回路130と、LMS回路130のもう一方の入力を生成する位相回転補正回路211については、図23に示すものと同一である。
【0175】
このような構成の非線形歪補償用係数更新回路411の動作を説明する。図24において、検波出力x(n)が入力されると、遅延素子332がNシンボルの遅延を行い、複素3乗回路121が| x2(n-N)| x(n-N) をx3(n-N) として出力する。そしてルートロールオフコサインフィルタ103が帯域制限を行い、ΣCkFIL | x2(n-N-k)| x(n-N-k) をLMS回路130に出力する。ここでCkFIL はルートロールオフコサインフィルタ103の各係数である。
【0176】
ルートロールオフコサインフィルタ103の遅延がMシンボルであるので、遅延素子332を用いてルートロールオフコサインフィルタ103出力までの遅延を合計(M+N)シンボルとしている。一方、位相回転信号e jP(n) と誤差信号e(n)とが入力されると、図23の場合と同様に位相回転補正回路211は搬送波再生回路111で行われる位相回転を補正し、e(n)e -jP(n)をLMS回路130に出力する。この2つの信号によりLMS回路130が3次歪補償用係数a3(n) の更新を行い、非線形歪補償用複素信号変換回路102に出力する。よってa3(n) は次式で表される。
a3(n+1) = a3(n) + ue(n)[ΣCkFIL x3(n-k)]* e -jP(n)
・・式(4−3)
このような動作により、複素信号中の非線形歪の補償をより精度高く行うことができる。
【0177】
また非線形歪補償用複素信号変換回路102の出力y(n)が線形歪補償用複素信号変換回路303を通過することを考慮して、より精度高く複素信号中の非線形歪を補償する構成としてもよい。
【0178】
線形歪補償用複素信号変換回路303を通過することを考慮した場合の非線形歪補償用係数更新回路421の構成を図25に示す。この非線形歪補償用係数更新回路421は、図23の非線形歪補償用係数更新回路402において遅延素子321を遅延素子129に置き換え、複素3乗回路121の後段に線形歪補償用複素信号変換回路303が加わったことを特徴とする。その後段のLMS回路130と、LMS回路130のもう一方の入力を生成する位相回転補正回路211については、図23に示すものと同一である。
【0179】
このような構成の非線形歪補償用係数更新回路421の動作を説明する。図25において、検波出力x(n)が入力されると、遅延素子129がMシンボル分の遅延を行い、複素3乗回路121が| x2(n-M)| x(n-M) をx3(n-M) として出力する。線形歪補償用複素信号変換回路303がその出力を変形し、ΣCkLEQ (n) | x2(n-M-k)| x(n-M-k) をLMS回路130に出力する。線形歪補償用複素信号変換回路303の遅延がNシンボルであるので、遅延素子321を遅延素子129に置き換えて、線形歪補償用複素信号変換回路303出力までの遅延を合計(M+N)シンボルとしている。
【0180】
一方、位相回転信号e jP(n) と誤差信号e(n)とが入力されると、位相回転補正回路211が搬送波再生回路111で行われる位相回転を補正し、e(n)e -jP(n)をLMS回路130に出力する。この2つの信号を用いて、LMS回路130がLMSアルゴリズムにより3次歪補償用係数a3 (n) の更新を行い、非線形歪補償用複素信号変換回路102に出力する。よってa3(n) は次式で表される。
a3(n+1) = a3(n) + ue(n)[ΣCkLEQ (n) x3(n-k)]* e -jP(n)
・・式(4−4)
このような動作により、複素信号中の非線形歪の補償をより精度高く行うことができる。
【0181】
また非線形歪補償用複素信号変換回路102の出力y(n)がルートロールオフコサインフィルタ103と線形歪補償用複素信号変換回路303の両方を通過することを考慮して、より精度高く複素信号中の非線形歪を補償する構成としてもよい。
【0182】
ルートロールオフコサインフィルタ103と線形歪補償用複素信号変換回路303の両方を通過することを考慮した場合の非線形歪補償用係数更新回路431の構成を図26に示す。この非線形歪補償用係数更新回路431は、図23の非線形歪補償用係数更新回路402において遅延素子321を削除し、複素3乗回路121の後段にルートロールオフコサインフィルタ103と線形歪補償用複素信号変換回路303が加わったことを特徴とする。その後段のLMS回路130と、LMS回路130のもう一方の入力を生成する位相回転補正回路211とについては、図23に示すものと同一である。
【0183】
このような構成の非線形歪補償用係数更新回路431の動作を説明する。検波出力x(n)が入力されると、複素3乗回路121が| x2(n)| x(n) をx3(n) として出力する。ルートロールオフコサインフィルタ103が帯域制限を行い、z(n) =ΣCkFIL | x2(n-k)| x(n-k) を線形歪補償用複素信号変換回路303に出力する。線形歪補償用複素信号変換回路303はこの出力を変形し、ΣCiLEQ (n) z(n-i)をLMS回路130に出力する。ここでルートロールオフコサインフィルタ103、線形歪補償用複素信号変換回路303の遅延がそれぞれM、Nシンボルであるので、遅延素子321を削除して、線形歪補償用複素信号変換回路303の出力までの遅延を合計(M+N)シンボルとしている。
【0184】
一方、位相回転信号e jP(n) と誤差信号e(n)とが入力されると、位相回転補正回路211が搬送波再生回路111で行われる位相回転を補正し、e(n)e -jP(n)をLMS回路130に出力する。この2つの信号を用いて、LMS回路130がLMSアルゴリズムにより3次歪補償用係数a3(n) の更新を行い、非線形歪補償用複素信号変換回路102に出力する。よってa 3 (n) は次式で表される。
a3(n+1) = a3(n) + ue(n)[ΣCiLEQ (n) z(n-i)] * e -jP(n)
・・式(4−5)
z(n) =ΣCkFIL x3(n-k) ・・式(4−6)
このような動作により、複素信号中の非線形歪の補償をより精度高く行う。
【0185】
また、図23の非線形歪補償用係数更新回路402、図24の非線形歪補償用係数更新回路411、図25の非線形歪補償用係数更新回路421、及び図26の非線形歪補償用係数更新回路431が、位相同期の確立後に係数更新を開始する構成としてもよい。実施の形態1と同様に、図21において搬送波再生回路111中の低域通過フィルタ113がフィルタ出力を観測し、出力が安定している場合に位相同期が確立したとしてLock信号を"H" とする。
【0186】
図23の非線形歪補償用係数更新回路402、図24の非線形歪補償用係数更新回路411、図25の非線形歪補償用係数更新回路421、及び図26の非線形歪補償用係数更新回路431は実施の形態1と同様にLock信号が"L" の場合にはa3(n) = 0とし、非線形歪補償用複素信号変換回路102がy(n)= x(n)として出力する。Lock信号が"H" の場合には係数更新を開始する。このような動作により、搬送波再生回路111の引き込み動作に悪影響を及ぼさず、複素信号中の非線形歪の補償を行う。
【0187】
また、図23の非線形歪補償用係数更新回路402、図24の非線形歪補償用係数更新回路411、図25の非線形歪補償用係数更新回路421、及び図26の非線形歪補償用係数更新回路431が線形歪補償の収束後に係数更新を開始する構成としてもよい。実施の形態3と同様に、係数が安定している場合に線形歪補償が収束したとして、図21に示す収束信号を"H" とする。図21に示すように、この収束信号は非線形歪補償用係数更新回路402に入力される。
【0188】
図21に非線形歪補償用係数更新回路402は、収束信号が"L" の場合には、実施の形態3と同様にa3(n) = 0として、非線形歪補償用複素信号変換回路102がy(n)= x(n)として出力する。収束信号が"H" の場合には、ステップパラメータ制御回路133はステップパラメータu に所定値を代入し、係数更新を開始する。図24の非線形歪補償用係数更新回路411、図25の非線形歪補償用係数更新回路421、及び図26の非線形歪補償用係数更新回路431についても同様である。このような動作により、線形歪補償の収束動作に悪影響を及ぼさず、複素信号中の非線形歪の補償を行う。
【0189】
また、図23の非線形歪補償用係数更新回路402、図24の非線形歪補償用係数更新回路411、図25の非線形歪補償用係数更新回路421、及び図26の非線形歪補償用係数更新回路431が高C/N時のみ係数更新を行う構成としてもよい。
【0190】
実施の形態1と同様に、図21において非線形歪等化回路401中にC/N算出回路116を設け、C/N算出回路116がC/Nを算出して平均化し、その結果をCNR信号として出力する。図23の非線形歪補償用係数更新回路402、図24の非線形歪補償用係数更新回路411、図25の非線形歪補償用係数更新回路421、及び図26の非線形歪補償用係数更新回路431は実施の形態1と同様に、CNR信号が示すC/Nが設定した閾値以下の場合にはa3(n) = 0とし、非線形歪補償用複素信号変換回路102がy(n)= x(n)として出力する。CNR信号が示すC/Nが設定した閾値以上の場合には係数更新を行う。このような動作により、低C/N時に悪影響を及ぼさず、複素信号中の非線形歪の補償を行うことができる。
【0191】
なお本実施の形態において、式(1−1)、式(2−1)に示すように非線形歪で支配的な3次歪のみを除去する構成としたが、実施の形態1と同様に式(1−11)を用いて2次歪以上の任意の高次非線形歪を補償する構成としてもよい。この場合の係数更新式はそれぞれの次数において式(2−4)が成立し、x m (n) = |x m-1(n)| x(n) とする。
【0192】
2次歪以上K次歪以下の高次非線形歪を補償する非線形歪補償用係数更新回路441の構成を図27に示す。非線形歪補償用複素信号変換回路161は図7に示す実施の形態1の場合と同一である。図27に示すように、非線形歪補償用係数更新回路441は、図12の非線形歪補償用係数更新回路231における各次数の遅延素子129を遅延素子321に置き換えたことを特徴とする。非線形歪補償用複素信号変換回路441の動作は、検波出力x(n)が入力されると、各次数の遅延素子321が(M+N)シンボル分遅延させること以外は、実施の形態2と同一である。また非線形歪補償用複素信号変換回路161は実施の形態1で説明したと同様の構成で、式(1−11)で示すy(n)を出力する。このような動作により、2次歪以上の任意の高次非線形歪の補償を行うことができる。
【0193】
非線形歪補償用複素信号変換回路161の出力y(n)がルートロールオフコサインフィルタ103を通過することを考慮して、より精度高く複素信号中の非線形歪を補償する構成の場合においても、同様に2次歪以上の任意の高次非線形歪の補償を行うことができる。この場合、非線形歪補償用係数更新回路441において、各次数の遅延素子321を遅延素子332に置き換え、複素K乗回路163、複素2乗回路164、及び各次数の複素m乗回路の後段にルートロールオフコサインフィルタ103を追加した構成となる。
【0194】
非線形歪補償用複素信号変換回路161の出力y(n)が線形歪補償用複素信号変換回路303を通過することを考慮して、より精度高く複素信号中の非線形歪を補償する構成の場合においても、2次歪以上の任意の高次非線形歪の補償を同様に行うことができる。この場合、非線形歪補償用係数更新回路441において、各次数の遅延素子321を遅延素子129に置き換え、複素K乗回路163、複素2乗回路164、及び各次数の複素m乗回路の後段に線形歪補償用複素信号変換回路303を追加した構成となる。
【0195】
非線形歪補償用複素信号変換回路161の出力y(n)がルートロールオフコサインフィルタ103と線形歪補償用複素信号変換回路303の両方を通過することを考慮して、より精度高く複素信号中の非線形歪を補償する構成の場合においても、2次歪以上の任意の高次非線形歪の補償を同様に行うことができる。この場合、非線形歪補償用係数更新回路441において各次数の遅延素子321を削除し、複素K乗回路163、複素2乗回路164、及び各次数の複素m乗回路の後段にルートロールオフコサインフィルタ103と線形歪補償用複素信号変換回路303を追加した構成となる。
【0196】
なお上記の例では各次数毎に遅延素子を有する場合を示したが、1つの遅延素子で共用化し、複素K乗回路163、複素2乗回路164、及び各次数の複素m乗回路に出力信号を分配する構成としてもよい。
【0197】
また上記の例では、複素K乗回路163、複素2乗回路164、及び各次数の複素m乗回路をそれぞれ有する場合を示したが、例えばI、 Q軸成分のべき乗を次の高い次数に順次出力することにより、回路の共用化を図ってもよく、他の共用化方法を用いてもよい。
【0198】
(実施の形態5)
本発明の実施の形態5における非線形歪等化回路について、図面を参照しながら説明する。図28は本実施の形態における非線形歪等化回路501の構成を示すブロック図である。図28において非線形歪等化回路501は、非線形歪補償用複素信号変換回路102と、FFT回路502と、同期復調回路503と、誤差算出回路104と、非線形歪補償用係数更新回路506とを有している。同期復調回路503は、伝送路特性算出回路504と、複素除算器505とを有している。また図28には、非線形歪等化回路501の前段ブロックである準同期検波回路108も図示している。
【0199】
同期キャリア変調されたOFDM変調信号は図示しないアンテナで受信される。実施の形態1と同様に準同期検波回路108がI軸、Q軸データの検波を行って、検波出力x(n)を生成する。
【0200】
非線形歪等化回路501の動作を以下に説明する。非線形歪補償用係数更新回路506で生成される3次歪補償用係数a3(n) を用いて、非線形歪補償用複素信号変換回路102がx(n)に含まれる3次歪を除去する。FFT回路502はFFT変換を行って、周波数軸上の信号f(n)を同期復調回路503に出力する。図28に示すように、FFT回路502はL ポイントのFFT変換を行うものとし、処理遅延を2Lサンプルと仮定している。なお、前述した実施の形態1〜4においてはn で表す各時刻をシンボルと呼んでいたが、I FFT変換のL ポイントを集めたOFDMシンボルと区別するため、本実施の形態以降では各時刻をサンプルと呼ぶ。
【0201】
同期復調回路503では、伝送路特性算出回路504がf(n)に含まれるパイロット信号などにより伝送路特性H(k)を算出する。複素除算器505がf(n)をH(k)で複素除算することにより同期復調を行って、信号q(n)を誤差算出回路104に出力する。誤差算出回路104がこの信号q(n)と最も近い符号点d(n)との誤差を算出すると共に、d(n)を復調信号として図示しない誤り訂正部に出力する。なお誤り訂正部が軟判定復号を行う場合には、誤差算出回路104の入力q(n)を復調信号として誤り訂正部に出力する。非線形歪補償用係数更新回路506はこの誤差信号e(n)とx(n)を用いて、LMS アルゴリズムによりa3(n) を更新する。
【0202】
図29に非線形歪補償用係数更新回路506の構成を示す。図29において非線形歪補償用係数更新回路506は、複素3乗回路121と、FFT回路502と、LMS回路130とを有している。
【0203】
非線形歪補償用係数更新回路506の動作を以下に説明する。準同期検波された信号x(n)が入力されると、複素3乗回路121が| x2(n)| x(n) をx3(n) として出力する。FFT回路502がx3(n) のFFT変換を行って、周波数軸上の信号X3 g (k) をLMS回路130に出力する。LMS回路130はX3 g (k) とe(n)を入力として実施の形態1と同様に係数更新を行い、3次歪補償用係数a3(n) を非線形歪補償用複素信号変換回路102に出力する。
【0204】
ここで図28に示すように、同期復調回路503と誤差算出回路104の遅延がないものと仮定すると、y(n)から誤差信号e(n)を算出するまでの遅延はFFT回路502の2Lサンプル分となる。非線形歪補償用係数更新回路506中の遅延もFFT回路502の2Lサンプルと相当であり、処理遅延が等しくなっている。以上の構成により、同期キャリア変調されたOFDMベースバンド信号中の非線形歪の補償を行う。
【0205】
本実施の形態における非線形歪補償用係数更新回路506の係数更新アルゴリズムについて、以下説明する。図28より誤差信号e(n)は、
e(n)= d(n) − q(n) ・・式(5−1)
である。ここで、
q(n)= f(n) /H(k)・・式(5−2)
f(n)= FFT( y(n) )・・式(5−3)
を式(5−1)に代入すると、次式が得られる。
e(n)= d(n) − FFT( y(n) )/H(k)・・式(5−4)
但し、FFT( y(n) ) はy(n)のFFT変換を表す。この式に式(1−1)を代入すると、次式が得られる。
e(n)= d(n) − FFT( x(n) + a3(n)x3(n) ) /H(k)・・式(5−5)
LMS アルゴリズムは係数更新の収束速度が比較的遅いため、a3(n) を定数と見なすと、次式が得られる。
e(n)= d(n) − FFT( x(n) )/H(k) + a3 (n)・FFT( x3(n) )/H(k)
・・式(5−6)
【0206】
ここで式(5−6)を式(1−5)に代入して偏微分を行うと、次式が得られる。
dJ(a3)/da3(n)= 2 [e(n)・de(n) /da3(n)]
=−2e(n) [ FFT( x3(n) )/H(k) ]* ・・式(5−7)
u = 2 αと置き、式(5−7)を式(1−6)に代入すると、
a3(n+1) = a3(n) + ue(n) [ FFT( x3(n) ) /H(k) ] * ・・式(5−8)
となる。
【0207】
一方、図29よりa3(n) は次式で表される。
a3(n) = a3(n-1) + ue(n) [ FFT( |x2(n) |x(n) )/H(k) ] * ・・式(5−9)
式(5−9)においてはa3(n) がe(n)、x(n)、H(k)と比較して1サンプル遅延しているが、LMS アルゴリズムは係数更新の収束速度が比較的遅いため、実用上問題ない。
【0208】
なお以下の数式において、関数F( xi )のパラメータiについて、i=A からi=B までの関数F( xi ) の累積加算値ΣF( xi ) を「Σ i=A to B F( xi ) 」と表記し、円周率πを指数関数上で「pie 」と表記する。
【0209】
ここで伝送路特性が受信周波数帯域でほぼ一定、すなわちH(k) = 1と見なすと、式(5−8)は次のような式が得られる。
a3(n+1) = a3(n) + ue(n) [ FFT( x3(n) ) ] * ・・式(5−10)
上述した非線形歪等化回路の構成と動作は、式(5−10)によるものである。
【0210】
FFT回路502が時刻n =T から動作を開始し、
T + gL≦ n≦ T + (g+1)L - 1 ( g = 0, 1,… )・・式(5−11 )
とするとき、この期間におけるx3(n) のFFT変換をX3 g (k) と表すと、次のようになる。
X3 g (k) = Σj=(T+gL)to(T+(g+1)L-1) x3(j) WL k(j-T-gL) ,
WL = e -j2pie/L ( k = 0, 1, …, L-1 ) ・・式(5−12)
式(5−8)、式(5−10)においてFFT(x3(n))をX3 g (k) で表し、k = n-T-gLとおくと、それぞれ
a 3 (n+1) = a 3 (n) + ue(n)[ X3 g (n-T-gL) ] *・・式(5−13)
a 3 (n+1)
= a3 (n) + ue(n) [ X3 g (n-T-gL)/H(n-T-gL) ] * ・・式(5−14)
が得られる。
【0211】
FFT回路502の動作について、以下に説明する。例としてFFTのポイント数L =4 の場合を考える。簡単のためT = 0 とし、g = 0 とすると、式(5−11 )、式(5−12)はそれぞれ、
0 ≦ n≦ 3・・式(5−15)
X3 0(k) =Σj=0 to 3 x3(j) W4 kj
W4 = e -j2pie/4 ( k = 0, 1, 2, 3 )・・式(5−16)
となる。
【0212】
図30に、式(5−16)を実現するバタフライ演算回路521の構成を示す。図30においてバタフライ演算回路521は、8個の複素加算器522と、5個の回転演算子523とを有している。
【0213】
図31にFFT回路502の構成を示す。図31においてFFT回路502は、S/P(Serial to Parallel)変換回路531と、バタフライ演算回路521と、P/S(Parallel to Serial)変換回路532とを有している。図32にFFT回路502の動作の様子を示し、横軸が時刻n を表す。S/P変換回路531は4サンプル毎にS/P変換を行って、並列データを出力する。バタフライ演算回路521は前記並列データのバタフライ演算を行う。P/S変換回路532はバタフライ演算結果を並べ替えてP/S変換を行い、FFT変換の結果を出力する。図32の例では、処理遅延が8(=2L )サンプルである。なお図32はx3(n) のFFT変換について示しているが、y(n)のFFT変換についても同様である。
【0214】
以上が本実施の形態における非線形歪等化回路の構成と動作である。非線形歪等化回路501中のFFT回路502の出力f(n)が同期復調回路503を通過することを考慮して、式(5−8)に従って、より精度高く同期キャリア変調されたOFDMベースバンド信号中の非線形歪を補償する構成としてもよい。
【0215】
図33にこの場合の非線形歪補償用係数更新回路541の構成を示す。図33において非線形歪補償用係数更新回路541は、図29の非線形歪補償用係数更新回路506において、LMS回路130の前段に複素除算器505が加わった構成である。非線形歪補償用係数更新回路541の動作は、FFT回路502の出力X3 g (k) を複素除算器505を用いて伝送路特性H(k)で複素除算して、X3 g (k) /H(k)をLMS回路130に出力する。これ以外は、図29の非線形歪補償用係数更新回路506と同一である。
【0216】
以上の構成により、式(5−8)に従ってより精度高く同期キャリア変調されたOFDMベースバンド信号中の非線形歪の補償を行う。また、非線形歪補償用係数更新回路506(図29)、541(図33)中のFFT回路502の出力の内、例えば2ポイント毎に1ポイントを用いて代表値とし、残りの1ポイントを代表値として補間する構成としてもよい。例として、FFTのポイント数が4の場合を考える。式(5−16)において、k = 0 、2 を代表値とし、残りのk = 1 、3 についてはP/S変換回路532が
X3 0(1) = X3 0(0), X3 0(3) = X3 0(2) ・・式(5−17)
として補間を行う。
【0217】
この場合、図30のバタフライ演算回路521は破線で囲まれた部分のみで実現でき、回路規模を約1/2 にすることができる。また、非線形歪補償用係数更新回路506(図29)、541(図33)中のFFT回路502の入力の内、例えば2ポイント毎に1ポイントを用いて1/2 のポイント数のFFT変換を行って代表値とする。そして、残りの1ポイントを代表値として補間する構成としてもよい。例として、FFTのポイント数L =4 で、簡単のためT = 0 とし、g = 0 の場合を考える。n = 0 、2 を用いて2 ポイントのFFT変換を行うと、次式が得られる。
X3 0( 2(p-1) ) ' = Σs=1 to 2 x3( 2(s-1) ) W2 (p-1)(s-1)
W2 = e-j2pie/2 ( p = 1, 2 )・・式(5−18)
【0218】
式(5−18)のk = 0 、2 を代表値とし、残りのk = 1 、3 については
X3 0(1)' = X3 0(0)', X3 0(3)' = X3 0(2)' ・・式(5−19)
として補間を行う。
【0219】
図34に式(5−18)と式(5−19)を実現するバタフライ演算回路551の構成を示す。図34においてバタフライ演算回路551は、2つの複素加算器522と、1つの回転演算子523とを有している。この場合、図34のバタフライ演算回路551は、図30のバタフライ演算回路521と比較して、回路規模を約1/4にすることができる。
【0220】
図35にこの場合のFFT回路561の構成を示す。図35においてFFT回路561は、S/P変換回路562と、バタフライ演算回路551と、P/S変換回路563とを有している。図36にFFT回路561の動作の様子を示し、横軸が時刻n を表す。S/P変換回路562は4サンプル毎にS/P変換を行って、4サンプル中の1番目と3番目のデータを並列に出力する。バタフライ演算回路551は並列データのバタフライ演算を行い、P/S変換回路563はバタフライ演算結果のP/S変換を行うとともに、式(5−19)の補間処理を行って、FFT変換の結果を出力する。図36の例では、処理遅延が8(=2L )サンプルである。
【0221】
また、図29における非線形歪補償用係数更新回路506中のFFT回路502を削除し、図28における非線形歪等化回路501中のFFT回路502に時間多重する構成としてもよい。
【0222】
図37にこの場合の非線形歪等化回路571の構成を示す。図37の非線形歪等化回路571は、図28の非線形歪等化回路501において、FFT回路572と非線形歪補償用係数更新回路573とに置き換わった構成である。
【0223】
また図38に非線形歪補償用係数更新回路573の構成を示す。図38において非線形歪補償用係数更新回路573は、図29の非線形歪補償用係数更新回路506において、FFT回路502を削除した構成である。
【0224】
以下、非線形歪等化回路571の動作を説明する。非線形歪補償用係数更新回路573中の複素3乗回路121よりx3(n) を演算し、FFT回路572に出力する。FFT回路572がy(n)とx3(n) を時間多重してそれぞれのFFT変換を行い、f(n)を同期復調回路503に出力し、X3 g (k) を非線形歪補償用係数更新回路573に出力する。非線形歪補償用係数更新回路573中のLMS回路130は、X3 g (k) とe(n)とを入力して実施の形態1と同様に係数更新を行う。そして3次歪補償用係数a3(n) を非線形歪補償用複素信号変換回路102に出力する。その他の動作については、図28の非線形歪等化回路501と同じである。
【0225】
図39にFFT回路572の構成を示す。図39においてFFT回路572は、S/P変換回路581、582と、バタフライ演算回路521と、P/S変換回路583、584と、セレクタ585とを有している。図40〜図43にFFT回路572の動作の様子を示し、横軸が時刻n を表す。例として、FFTのポイント数L =4 の場合を考える。図40及び図41に示すようにS/P変換回路581、及び582は4サンプル毎にS/P変換を行って、並列データを出力する。但し、S/P変換回路582はS/P変換回路581より(1/2)OFDMシンボル分、すなわち2サンプル分出力を遅延させる。
【0226】
図42に示すようにセレクタ585がS/P変換回路581、及び582の出力を選択し、バタフライ演算回路521に出力する。バタフライ演算回路521は、図32の場合より2倍速いクロックで並列データのバタフライ演算を行う。図43に示すようにP/S変換回路583、及び584はそれぞれバタフライ演算結果f(n)、X3 g (k) を並べ替えてP/S変換を行い、FFT変換の結果を出力する。但し、P/S変換回路583はバタフライ演算の完了後、(1/2)OFDMシンボル分、すなわち2サンプル分出力を遅延させる。図40〜図43の例では、処理遅延が8(=2L )サンプルである。以上の構成により、1つのFFT回路を時間多重して動作させ、より小さな回路規模で同期キャリア変調されたOFDMベースバンド信号中の非線形歪の補償を行う。
【0227】
また、図37における非線形歪等化回路571中のFFT回路572の出力f(n)が、同期復調回路503を通過することを考慮して、式(5−8)に従って、より精度高く同期キャリア変調されたOFDMベースバンド信号中の非線形歪を補償する構成としてもよい。
【0228】
図44にこの場合の非線形歪補償用係数更新回路591の構成を示す。図44において非線形歪補償用係数更新回路591は、図38の非線形歪補償用係数更新回路573において、LMS回路130の前段に複素除算器505が加わった構成である。非線形歪補償用係数更新回路591の動作は、FFT回路572の出力X3 g (k) を、複素除算器505を用いて伝送路特性H(k)で複素除算して、X3 g (k) /H(k)をLMS回路130に出力する。このこと以外は、図38の非線形歪補償用係数更新回路573と同一である。以上の構成により、1つのFFT回路を時間多重して動作させ、より小さな回路規模で式(5−8)に従って、同期キャリア変調されたOFDMベースバンド信号中の非線形歪のより精度高く補償を行う。
【0229】
また、図28における非線形歪等化回路501中の同期復調回路503で生成した伝送路特性H(k)を、FFT回路502に時間多重することにより、遅延プロファイルh'(n) を算出する構成としてもよい。
【0230】
遅延プロファイルとは、希望波の電力に対する遅延波の電力の遅延時間を示すものである。一般にOFDMではマルチパス干渉による遅延時間を考慮して、設定したガード・インターバル分だけ、送信シンボル長を長くする。受信側では、干渉が予想されるガード・インターバルのデータを無視して、受信信号にウインドウをかけてその一部を切り出して有効シンボルとする。FFTはこの有効シンボルだけに施す。このような遅延プロファイルを用いると、希望波の電力に対する遅延波の電力の遅延時間が正確に判るため、前後のシンボルの干渉を回避することができる有効シンボルの時間的位置が判る。このため遅延波の影響を除去する能力を格段に高めることができる。
【0231】
図45にこの場合の非線形歪等化回路601の構成を示す。図45において非線形歪等化回路601は、図28の非線形歪等化回路501において、FFT回路572に置き換わった構成である。
【0232】
以下、非線形歪等化回路601の動作を説明する。FFT回路572がy(n)とH(k)を時間多重してそれぞれのFFT変換を行い、f(n)を同期復調回路503に出力するとともに、遅延プロファイルh'(n) も出力する。その他の動作については、図28の非線形歪等化回路501と同じである。
【0233】
遅延プロファイルの算出について以下に説明する。例として、FFTのポイント数L =4 で、簡単のためT = 0 とし、g = 0 の場合を考える。遅延プロファイルh(n)はH(k)のIFFT変換として次式で与えられる。
h(n) = (1/4)Σk=0 to 3 H(k) W4 -kn ,
W4 = e -j2pie/4 ( n = 0, 1, 2, 3 )・・式(5−20)
一方、H(k)のFFT変換h'(n) は次式で与えられる。
h'(n) = Σk=0 to 3 H(k) W4 -kn
W4 = e-j2pie/4 ( n = 0, 1, 2, 3 )・・式(5−21)
【0234】
式(5−21)において、n ( n = 1, 2, 3 ) を4 −n に置き換えると、次式が得られる。
h'(4-n) = Σk=0 to 3 H(k) W4 k(4-n)k=0 to 3H(k) W4 -kn (W4 4) k
= Σk=0 to 3 H(k) W4 -kn = 4h(n)・・式(5−22)
【0235】
式(5−22)にn = 3, 2, 1 を代入すると、次式が得られる。
h'(1) = 4h(3) 、h'(2) = 4h(2) 、h'(3) = 4h(1) ・・式(5−23)
また、式(5−20)と式(5−21)より、次式が得られる。
h'(0) = 4h(0) ・・式(5−24)
【0236】
以上を図示したのが図46及び図47である。図46に示すように、周波数軸信号である伝送路特性H(k)をIFFT変換すると、時間軸信号である遅延プロファイルh(n)が算出される。一方、図47に示すように、周波数軸信号である伝送路特性H(k)をFFTすると、h'(n) が算出される。式(5−23)と式(5−24)より、4倍の係数を無視すると、h'(n) はn ≧ 1では時間軸信号である遅延プロファイルh(n)の逆順となる。h'(n) は式(5−20)の定義とは異なるが、以上の関係を認識していれば、遅延プロファイルとして利用することができるので特に問題は生じない。以上の構成により、同期キャリア変調されたOFDMベースバンド信号中の非線形歪の補償を行うとともに、新たな回路を追加することなく遅延プロファイルを算出する。
【0237】
また、図28における非線形歪等化回路501中の同期復調回路503で生成した伝送路特性H(k)を非線形歪補償用係数更新回路506中のFFT回路に時間多重することにより、遅延プロファイルh'(n) を算出する構成としてもよい。
【0238】
図48にこの場合の非線形歪等化回路611の構成を示す。図48において非線形歪等化回路611は、図28の非線形歪等化回路501において、非線形歪補償用係数更新回路612に置き換わった構成である。
【0239】
図49に非線形歪補償用係数更新回路612の構成を示す。図49において非線形歪補償用係数更新回路612は、図29の非線形歪補償用係数更新回路506において、FFT回路502をFFT回路572に置き換えた構成である。非線形歪補償用係数更新回路612の動作は、FFT回路572が複素3乗回路121の出力x3(n) と、H(k)とを時間多重してそれぞれのFFT変換を行う。そしてX3 g (k) をLMS回路130に出力するとともに、遅延プロファイルh'(n) も出力する。その他の動作については、図29の非線形歪補償用係数更新回路506と同じである。
【0240】
また、非線形歪等化回路611のその他の動作については、図28の非線形歪補償用係数更新回路601と同じである。以上の構成により、同期キャリア変調されたOFDMベースバンド信号中の非線形歪の補償を行うとともに、新たな回路を追加することなく遅延プロファイルを算出する。
【0241】
また、図48の非線形歪等化回路611中のFFT回路502における出力f(n)が同期復調回路503を通過することを考慮して、式(5−8)に従って、より精度高く同期キャリア変調されたOFDMベースバンド信号中の非線形歪を補償する構成としてもよい。
【0242】
図50にこの場合の非線形歪補償用係数更新回路621の構成を示す。図50において非線形歪補償用係数更新回路621は、図49の非線形歪補償用係数更新回路612において、LMS回路130の前段に複素除算器505が加わった構成である。非線形歪補償用係数更新回路612の動作は、FFT回路572の出力X3 g (k) を、複素除算器505を用いて伝送路特性H(k)で複素除算して、X3 g (k) /H(k)をLMS回路130に出力すこと以外は、図49の非線形歪補償用係数更新回路612と同一である。
【0243】
以上の構成により、式(5−8)に従って、より精度高く同期キャリア変調されたOFDMベースバンド信号中の非線形歪の補償を行うとともに、新たな回路を追加することなく遅延プロファイルを算出する。
【0244】
また、非線形歪補償用係数更新回路506(図29)、541(図33)、573(図38)、591(図44)、612(図49)、621(図50)が、例えば2OFDM シンボル毎に1OFDM シンボルのみ係数更新を行う構成としてもよい。
【0245】
図29の非線形歪補償用係数更新回路506において、係数更新制御回路511を設ける。係数更新制御回路511は2OFDM シンボル毎に1OFDM シンボルのみ"H" となる係数更新制御信号を出力し、複素3乗回路121、FFT回路502、及びLMS回路130は、係数更新制御信号が"L" の期間は動作を停止する。
【0246】
同様に、非線形歪補償用係数更新回路541(図33)、573(図38)、591(図44)、612(図49)、621(図50)においても、係数更新制御回路511を設ける。係数更新制御信号が"L" の期間は、前記非線形歪補償用係数更新回路中の各回路は動作を停止する。以上の構成により、3次歪補償用係数の収束時間は若干長くなるが、非線形歪補償用係数更新回路の消費電力を約1/2に削減することができる。
【0247】
また、図48の非線形歪等化回路611中の非線形歪補償用係数更新回路612が、例えば2OFDM シンボル毎に1OFDM シンボルのみ係数更新を行い、係数更新を行わないOFDMシンボル期間で遅延プロファイルh'(n) を算出する構成としてもよい。
【0248】
図51にこの場合の非線形歪補償用係数更新回路631の構成を示す。図51において非線形歪補償用係数更新回路631は、図49の非線形歪補償用係数更新回路612において、FFT回路572がFFT回路502に置き換わり、FFT回路502の前段にセレクタ632が加わった構成である。動作は以下の通りである。
【0249】
係数更新制御回路511は2OFDM シンボル毎に1OFDM シンボルのみ"H" となる係数更新制御信号を出力し、複素3乗回路121、及びLMS回路130は係数更新制御信号が"L" の期間は動作を停止する。またセレクタ632は係数更新制御信号が"H" の期間は複素3乗回路121の出力x3(n) を出力し、"L" の期間にH(k)を選択してFFT回路502に出力する。FFT回路502は前記選択された信号をFFT変換し、LMS回路130と外部とに出力する。FFT回路502の出力は1OFDM シンボル毎に交互にX3 g (k) と遅延プロファイルh'(n) を出力するが、LMS回路130は遅延プロファイルh'(n) が出力されるOFDMシンボルでは動作を停止する。また外部への出力は、遅延プロファイルh'(n) が出力されるOFDMシンボルのみ値が有効となる。
【0250】
以上の構成により、同期キャリア変調されたOFDMベースバンド信号中の非線形歪の補償を行うとともに、セレクタを追加するのみで消費電力を増加させることなく、遅延プロファイルを算出する。
【0251】
また、図48の非線形歪等化回路611中のFFT回路502における出力f(n)が同期復調回路503を通過することを考慮して、式(5−8)に従って、より精度高く同期キャリア変調されたOFDMベースバンド信号中の非線形歪を補償する構成としてもよい。
【0252】
図52にこの場合の非線形歪補償用係数更新回路641の構成を示す。図52の非線形歪補償用係数更新回路641は、図51の非線形歪補償用係数更新回路631において、LMS回路130の前段に複素除算器505が加わった構成である。非線形歪補償用係数更新回路641の動作は、FFT回路502の出力X3 g (k) を、複素除算器505を用いて伝送路特性H(k)で複素除算して、X3 g (k) /H(k)をLMS回路130に出力する。このこと以外は、図51の非線形歪補償用係数更新回路631と同一である。
【0253】
以上の構成により、式(5−8)に従って、より精度高く同期キャリア変調されたOFDMベースバンド信号中の非線形歪の補償を行うとともに、セレクタを追加するのみで消費電力を増加させることなく、遅延プロファイルを算出する。
【0254】
また、図37の非線形歪等化回路571中の非線形歪補償用係数更新回路573が、例えば2OFDM シンボル毎に1OFDM シンボルのみ係数更新を行う。そして係数更新を行わないOFDMシンボル期間で遅延プロファイルh ’(n) を算出する場合は、非線形歪等化回路571中のFFT回路572に時間多重する構成としてもよい。
【0255】
図53にこの場合の非線形歪等化回路651の構成を示す。図53において非線形歪等化回路651は、図37の非線形歪等化回路571において、セレクタ632を追加した構成である。
【0256】
以下、非線形歪等化回路651の動作を説明する。非線形歪補償用係数更新回路573は係数更新制御回路で生成する係数更新制御信号により、2OFDM シンボル毎に1OFDM シンボルのみ動作を行う。そして複素3乗回路121がx3(n) をセレクタ632に出力する。セレクタ632は係数更新制御信号が"H" の期間はx3(n) を選択し、"L" の期間はH(k)を選択し、FFT回路572に出力する。
【0257】
FFT回路572はy(n)とセレクタ632の出力を時間多重してそれぞれのFFT変換を行い、f(n)を同期復調回路503に出力し、セレクタ632のFFT変換値を非線形歪補償用係数更新回路573と外部とに出力する。FFT回路572はセレクタ632のFFT変換値として、1OFDM シンボル毎に交互にX3 g (k) と遅延プロファイルh'(n) とを出力する。しかし、非線形歪補償用係数更新回路573は、遅延プロファイルh'(n) が出力されるOFDMシンボルでは動作が停止し、また外部への出力は遅延プロファイルh'(n) が出力されるOFDMシンボルのみ値が有効となる。その他の動作については、図37の非線形歪等化回路571と同じである。
【0258】
以上の構成により、1つのFFT回路のみを時間多重して動作させ、より小さな回路規模で同期キャリア変調されたOFDMベースバンド信号中の非線形歪の補償を行う。またセレクタを追加するのみで消費電力を増加させることなく、遅延プロファイルを算出する。
【0259】
また、図53の非線形歪等化回路651において、FFT回路572の出力f(n)が同期復調回路503を通過することを考慮する。この場合、式(5−8)に従って、より精度高く同期キャリア変調されたOFDMベースバンド信号中の非線形歪を補償する構成としてもよい。
【0260】
図54にこの場合の非線形歪等化回路661の構成を示す。図54の非線形歪等化回路661は、図53の非線形歪等化回路651において、非線形歪補償用係数更新回路591に置き換わった構成である。非線形歪等化回路661の動作は、FFT回路572の出力X3g (k) を、非線形歪補償用係数更新回路591において複素除算器505を用いて伝送路特性H(k)で複素除算して、X3 g (k) /H(k)をLMS回路130に出力すること以外は、図53の非線形歪等化回路651と同一である。
【0261】
以上の構成により、1つのFFT回路のみを時間多重して動作させ、より小さな回路規模で、式(5−8)に従って、同期キャリア変調されたOFDMベースバンド信号中の非線形歪の補償を行う。そして、セレクタを追加するのみで消費電力を増加させることなく、遅延プロファイルを算出する。
【0262】
また、非線形歪補償用係数更新回路506(図29)、541(図33)、573(図38)、591(図44)、612(図49)、621(図50)、631(図51)、641(図52)が、高C/N時のみ係数更新を行う構成としてもよい。実施の形態1と同様に、非線形歪等化回路501(図28)、571(図37)、601(図45)、611(図48)、651(図53)、661(図54)にC/N算出回路116を設ける。C/N算出回路116はC/Nを算出して平均化し、その結果をCNR信号として出力する。実施の形態1と同様に、非線形歪補償用係数更新回路は、CNR信号が示すC/Nが設定した閾値以下の場合にはa3(n) =0とし、非線形歪補償用複素信号変換回路102がy(n)= x(n) として出力する。CNR信号が示すC/Nが設定した閾値以上の場合には、係数更新を行う。以上の構成により、低C/N時に悪影響を及ぼさず、同期キャリア変調されたOFDMベースバンド信号中の非線形歪の補償を行う
【0263】
なお本実施の形態において、式(1−1)に示すように非線形歪で支配的な3次歪のみを除去する構成としたが、式(1−11)を用いて2次歪以上の任意の高次非線形歪を補償する構成としてもよい。この場合の係数更新式はそれぞれの次数において、
H(k) = 1と見なすと、次式が得られる。
a m (n+1) = a m (n) + ue(n) [ FFT( xm (n) ) ] * (m > 1)
・・式(5−25)
f(n)が同期復調回路503を通過することを考慮すると、次式が得られる。
a m (n+1) = a m (n) + ue(n) [ FFT( xm (n) ) /H(k) ] * (m > 1)
・・式(5−26)
ここでx m(n) = |x m-1(n)| x(n) とする。
【0264】
非線形歪等化回路501(図28)、601(図45)の構成において、式(5−25)を用いて2次歪以上K次歪以下の高次非線形歪を補償する非線形歪補償用係数更新回路671の構成を図55に示す。図55において非線形歪補償用係数更新回路671は、複素K乗回路163と、複素2乗回路164と、次数分だけの複数のFFT回路502と、次数分だけの複数のLMS回路130とを有している。非線形歪補償用複素信号変換回路161は図7に示すものと同一である。
【0265】
非線形歪補償用係数更新回路671の動作を以下に説明する。準同期検波された信号x(n)が入力されると、複素K乗回路163、複素2乗回路164はそれぞれx K (n) として| x K-1(n) | x(n) を生成し、x2(n) として| x(n) | x(n) を生成する。各次数のFFT回路502がそれぞれx K (n) 、x2(n) のFFT変換を行って、周波数軸上の信号X K g (k) 、X2 g (k) をそれぞれ各次数のLMS回路130に出力する。各次数のLMS回路130は前記信号と誤差信号e(n)を用いて係数更新を行い、K次歪補償用係数a K (n) と2次歪補償用係数a2(n) とを非線形歪補償用複素信号変換回路161に出力する。
【0266】
他の次数についても同様にして、複素m 乗回路によってx m (n) として| x m-1(n) | x(n) を生成する。そして、LMS回路130が前記信号と誤差信号e(n)を用いて係数更新を行い、m次歪補償用係数a m (n) を非線形歪補償用複素信号変換回路161に出力する。また非線形歪補償用複素信号変換回路161は実施の形態1で説明したと同様の構成で、式(1−11)で示すy(n)を出力する。以上の構成により、2次歪以上の任意の高次非線形歪の補償を行う。
【0267】
また、非線形歪等化回路501(図28)、601(図45)中の非線形歪補償用係数更新回路506を、図33の非線形歪補償用係数更新回路541に置き換えた構成においても、同様に2次歪以上の任意の高次非線形歪の補償を行うことができる。この場合の係数更新式はそれぞれの次数において、式(5−26)を用いる。
【0268】
図56にこの場合の非線形歪補償用係数更新回路681の構成を示す。この回路は図55の非線形歪補償用係数更新回路671において、各次数のLMS回路130の前段に複素除算器505をそれぞれ追加した構成となる。
【0269】
また、非線形歪等化回路571(図37)、651(図53)の構成においても、同様に2次歪以上の任意の高次非線形歪の補償を行うことができる。この場合の係数更新式はそれぞれの次数において、式(5−25)を用いる。
【0270】
図57に、この場合の非線形歪補償用係数更新回路691の構成を示す。図57において非線形歪補償用係数更新回路691は、複素K乗回路163と、複素2乗回路164と、次数分だけの複数のLMS回路130とを有している。また、図37及び図53におけるFFT回路572はFFT回路692に置き換えられ、非線形歪補償用複素信号変換回路161は、図7と同一である。
【0271】
以下、非線形歪補償用係数更新回路691の動作を説明する。複素K乗回路163、複素2乗回路164はそれぞれx K (n) 、x2(n) を外部のFFT回路692に出力する。FFT回路692がy(n)とx K (n) 、x2(n) を時間多重してそれぞれのFFT変換を行い、f(n)を同期復調回路503に出力し、XK g (k) 、X2 g (k) をそれぞれ各次数のLMS回路130に出力する。各次数のLMS回路130は前記信号と誤差信号e(n)を用いて係数更新を行い、K次歪補償用係数a K (n) と2次歪補償用係数a2(n) を非線形歪補償用複素信号変換回路161に出力する。また非線形歪補償用複素信号変換回路161は実施の形態1で説明したと同様の構成で、式(1−11)で示すy(n)を出力する。
【0272】
図58にFFT回路692の構成を示す。図58においてFFT回路692は、S/P変換回路701、702、703と、バタフライ演算回路521と、P/S変換回路704、705、706と、セレクタ707とを有している。
【0273】
図59〜図62にFFT回路692の動作の様子を示し、横軸が時刻n を表す。例として、FFTのポイント数L =4 の場合を考える。図59及び図60に示すように、S/P変換回路701、702、及び703は4サンプル毎にS/P変換を行って並列データを出力する。但し、S/P変換回路702、703はS/P変換回路701よりそれぞれ1サンプル分、2サンプル分出力を遅延させる。図61に示すようにセレクタ707がS/P変換回路701、702、及び703の出力を選択し、バタフライ演算回路521に出力する。
【0274】
図61に示すようにバタフライ演算回路521は、図32の場合より4倍速いクロックで、並列データのバタフライ演算を行う。図62に示すようにP/S変換回路704、705、及び706はそれぞれバタフライ演算結果f(n)、X2 g (k) 、XK g (k) を並べ替えてP/S変換を行い、FFT変換の結果を出力する。但し、P/S変換回路705、706はバタフライ演算の完了後、それぞれ2サンプル分、1サンプル分出力を遅延させる。図59〜図62の例では、処理遅延が8(=2L )サンプルである。
【0275】
以上の構成により、1つのFFT回路を時間多重して動作させ、より小さな回路規模で2次歪以上の任意の高次非線形歪の補償を行う。他の次数の非線形歪を補償する場合には、その次数mの複素m 乗回路とLMS回路130を追加し、必要に応じてFFT回路792の多重度を上げれば良い。
【0276】
また、非線形歪等化回路571(図37)、651(図53)中の非線形歪補償用係数更新回路573を、図44の非線形歪補償用係数更新回路591に置き換えた構成においても、同様に2次歪以上の任意の高次非線形歪の補償を行うことができる。この場合の係数更新式はそれぞれの次数において、式(5−26)を用いる。
【0277】
図63にこの場合の非線形歪補償用係数更新回路711の構成を示す。この回路は図57の非線形歪補償用係数更新回路691において、各次数のLMS回路130の前段にそれぞれ複素除算器505を追加した構成となる。
【0278】
また、図48における非線形歪等化回路611の構成においても、同様に2次歪以上の任意の高次非線形歪の補償を行うことができる。この場合の係数更新式はそれぞれの次数において、式(5−25)を用いる。図64にこの場合の非線形歪補償用係数更新回路721の構成を示す。図64において非線形歪補償用係数更新回路721は、複素K乗回路163と、複素2乗回路164と、FFT回路692と、次数分だけの複数のLMS回路130とを有している。また、非線形歪補償用複素信号変換回路161は、図7に示すものと同一である。
【0279】
以下、非線形歪補償用係数更新回路721の動作を説明する。複素K乗回路163、複素2乗回路164はそれぞれxK (n) 、x2(n) をFFT回路692に出力する。FFT回路692がxK (n) 、x2(n) とH(k)を時間多重してそれぞれのFFT変換を行い、XK g (k) 、X2 g (k) をそれぞれ各次数のLMS回路130に出力するとともに、遅延プロファイルh'(n) も出力する。各次数のLMS回路130は前記信号と誤差信号e(n)を用いて係数更新を行い、K次歪補償用係数a K (n) と2次歪補償用係数a2(n) を非線形歪補償用複素信号変換回路161に出力する。
【0280】
また非線形歪補償用複素信号変換回路161は実施の形態1で説明したと同様の構成で、式(1−11)で示すy(n)を出力する。以上の構成により、2次歪以上の任意の高次非線形歪の補償を行うとともに、新たな回路を追加することなく遅延プロファイルを算出する。他の次数の非線形歪を補償する場合には、その次数mの複素m 乗回路とLMS回路130を追加し、必要に応じてFFT回路692の多重度を上げれば良い。
【0281】
また、図48における非線形歪等化回路611中の非線形歪補償用係数更新回路612を、図50の非線形歪補償用係数更新回路621に置き換えた構成においても、同様に2次歪以上の任意の高次非線形歪の補償を行うことができる。この場合の係数更新式はそれぞれの次数において、式(5−26)を用いる。この回路は図65に示すように、この場合の非線形歪補償用係数更新回路731は図64の非線形歪補償用係数更新回路721において、各次数のLMS回路130の前段にそれぞれ複素除算器505を追加した構成となる。
【0282】
また、図48における非線形歪等化回路611中の非線形歪補償用係数更新回路612を、図51の非線形歪補償用係数更新回路631に置き換えた構成においても、同様に2次歪以上の任意の高次非線形歪の補償を行うことができる。この場合の係数更新式はそれぞれの次数において、式(5−25)を用いる。
【0283】
図66にこの場合の非線形歪補償用係数更新回路741の構成を示す。図66において非線形歪補償用係数更新回路741は、複素K乗回路163と、複素2乗回路164と、セレクタ742と、FFT回路502と、次数分だけの複数のLMS回路130とを有している。また、非線形歪補償用複素信号変換回路161は、図7に示すものと同一である。
【0284】
以下、非線形歪補償用係数更新回路741の動作を説明する。係数更新制御回路511は例えば各4OFDM シンボル周期において、第1OFDM シンボルでは1、第3OFDM シンボルでは2 、第2及び第4OFDM シンボルでは0 となる係数更新制御信号をそれぞれ出力する。複素K乗回路163とK乗歪補償用のLMS回路130は係数更新制御信号が1の期間のみ動作する。そして、複素2乗回路164と2乗歪補償用のLMS回路130は係数更新制御信号が2の期間のみ動作する。
【0285】
セレクタ742は係数更新制御信号が1の期間は複素K乗回路163の出力x K (n) を選択し、2の期間は複素2乗回路164の出力x2(n) を選択し、0の期間はH(k)を選択し、FFT回路502に出力する。FFT回路502は前記選択された信号をFFT変換し、変換結果を各次数のLMS回路130と外部とに出力する。FFT回路502の出力は各4OFDM シンボル周期において、第1OFDM シンボルではX K g (k) を出力し、第3OFDM シンボルではX2 g (k) を出力し、第2及び第4OFDM シンボルでは遅延プロファイルh'(n) を出力する。K乗歪補償用及び2乗歪補償用のLMS回路130はそれぞれ第1 、第3OFDM シンボルのみ動作し、また外部の出力は遅延プロファイルh'(n) が出力される第2及び第4OFDM シンボルのみ値が有効となる。
【0286】
以上の構成により、2次歪以上の任意の高次非線形歪の補償を行うとともに、セレクタを追加するのみで消費電力を増加させることなく、遅延プロファイルを算出する。他の次数の非線形歪を補償する場合には、その次数mの複素m 乗回路とLMS回路130を追加し、必要に応じて係数更新制御回路511で生成する係数更新制御信号を変更し、セレクタ742の多重度を上げれば良い。
【0287】
また、図48における非線形歪等化回路611中の非線形歪補償用係数更新回路612を、図52の非線形歪補償用係数更新回路641に置き換えた構成においても、同様に2次歪以上の任意の高次非線形歪の補償を行うことができる。この場合の係数更新式はそれぞれの次数において、式(5−26)を用いる。図67にこの場合の非線形歪補償用係数更新回路751の構成を示す。この回路は図66の非線形歪補償用係数更新回路741において、各次数のLMS回路130の前段にそれぞれ複素除算器505を追加した構成となる。
【0288】
なお上記の2次歪以上の任意の高次非線形歪を補償する各例では、複素K乗回路163、複素2乗回路164、及び各次数の複素m乗回路をそれぞれ有する場合を示したが、実施の形態1と同様に、例えばI、 Q軸成分のべき乗を次の高い次数に順次出力することにより、回路の共用化を図ってもよく、他の共用化方法を用いてもよい。
【0289】
(実施の形態6)
本発明の実施の形態6における非線形歪等化回路について、図面を参照しながら説明する。図68は本実施の形態における非線形歪等化回路801の構成を示すブロック図である。図68において非線形歪等化回路801は、図28の非線形歪等化回路501において、非線形歪補償用係数更新回路541に置き換わり、同期復調回路503が差動復調回路802に置き換わった構成である。差動復調回路802は、1シンボル遅延回路803と複素除算器505とを有している。
【0290】
差動キャリア変調されたOFDM変調信号は図示しないアンテナで受信される。実施の形態1と同様に準同期検波回路108がI軸、Q軸データの検波を行って、検波出力x(n)を生成する。
【0291】
非線形歪等化回路801の動作を以下に説明する。非線形歪補償用係数更新回路541で生成される3次歪補償用係数a3(n) を用いて、非線形歪補償用複素信号変換回路102がx(n)に含まれる3次歪を除去する。そして、FFT回路502がFFT変換を行って、周波数軸上の信号f(n)を差動復調回路802に出力する。
【0292】
図68に示すようにL ポイントのFFT変換を行うものとし、処理遅延を2Lサンプルと仮定している。差動復調回路802では、1シンボル遅延回路803がf(n)を1OFDMシンボル遅延させてf(n-L)を出力し、複素除算器505がf(n)をf(n-L)で複素除算することにより差動復調を行って、信号q(n)を誤差算出回路104に出力する。誤差算出回路104がこの信号q(n)と最も近い符号点d(n)との誤差を算出するとともに、d(n)を復調信号として誤り訂正部に出力する。なお誤り訂正部が軟判定復号を行う場合には、誤差算出回路104の入力q(n)を復調信号として誤り訂正部に出力する。
【0293】
非線形歪補償用係数更新回路541はこの誤差信号e(n)とx(n)、f(n-L)を用いて、LMS アルゴリズムによりa3(n) を更新する。非線形歪補償用係数更新回路541の構成は図33に示す通りであり、複素除算器505への入力H(k)がf(n-L)に置き換えられるのみである。ここで図68に示すように、差動復調回路802と誤差算出回路104の遅延がないものと仮定すると、y(n)から誤差信号e(n)を算出するまでの遅延はFFT回路502の2Lサンプル分となる。非線形歪補償用係数更新回路541中の遅延もFFT回路502の2Lサンプルと相当であり、処理遅延が等しくなっている。以上の構成により、差動キャリア変調されたOFDMベースバンド信号中の非線形歪の補償を行う。
【0294】
本実施の形態における非線形歪補償用係数更新回路541の係数更新アルゴリズムについて以下に説明する。図68より、誤差信号e(n)は式(5−1)で表され、
q(n)= f(n) /f(n-L)・・式(6−1)
と、式(5−3)と、を式(5−1)に代入すると、次式が得られる。
e(n)= d(n) − FFT( y(n) )/f(n-L)・・式(6−2)
この式に式(1−1)を代入すると、次式が得られる。
e(n)= d(n) − FFT( x(n) + a3(n)x3(n) ) /f(n-L)・・式(6−3)
【0295】
LMS アルゴリズムは係数更新の収束速度が比較的遅いため、a3 (n) を定数と見なすと、次式が得られる。
e(n)= d(n) − FFT( x(n) )/f(n-L) + a3(n)・FFT( x3(n) )/f(n-L)
・・式(6−4)
ここで式(6−4)を式(1−5)に代入して偏微分を行うと、次式が得られる。
dJ(a3)/da3(n)= 2 [e(n)・de(n) /da3 (n)]
=−2e(n) [ FFT( x3(n) )/f(n-L) ]* ・・式(6−5)
【0296】
u = 2 αと置き、式(6−5)を式(1−6)に代入すると、次式が得られる。
a3(n+1) = a3 (n) + ue(n) [ FFT( x3(n) ) /f(n-L) ]* ・・式(6−6)
一方、図33よりa3(n) は次式で表される。
a3(n)
= a3(n-1) + ue(n) [ FFT( |x2(n) |x(n) )/f(n-L) ] * ・・式(6−7)
式(6−7)においてはa3(n) がe(n)、x(n)、f(n-L)と比較して1サンプル遅延しているが、LMS アルゴリズムは係数更新の収束速度が比較的遅いため、実用上問題ない。
【0297】
実施の形態5と同様に、FFT回路502が時刻n =T から動作を開始し、n の範囲を式(5−11 )とするとき、この期間におけるy(n)、x3(n) のFFT変換をそれぞれY g (k) 、X3 g (k) と表すと、
Y g (k) = Σj=(T+gL)to(T+(g+1)L-1) y(j) W L k(j-T-gL) ,
W L = e -j2pie/L ( k = 0, 1, …, L-1 ) ・・式(6−8)
となり、X3 g (k) は式(5−12)と同じになる。
【0298】
f(n-L) = FFT( y(n-L) )・・式(6−9)
であり、式(6−6)においてf(n-L)、FFT(x3 (n))をそれぞれY g (k')、X3 g (k) で表し、k' = n'-T-gL (n' = n- L)、 k = n-T-gL とおくと、次式が得られる。
a 3 (n+1)
= a 3 (n) + ue(n) [ X 3 g (n-T-gL)/Y g-1( n'-T-(g-1)L) ] *
・・式(6−10)
【0299】
以上が本実施の形態における非線形歪等化回路の構成と動作であるが、実施の形態5と同様に、図33の非線形歪補償用係数更新回路541中のFFT回路502の出力の内、例えば2ポイント毎に1ポイントを用いて代表値とし、残りの1ポイントを代表値として補間する構成としてもよい。この場合、実施の形態5と同じく、図30のバタフライ演算回路521は破線で囲まれた部分のみで実現でき、回路規模を約1/2にすることができる。
【0300】
また、実施の形態5と同様に、図33の非線形歪補償用係数更新回路541中のFFT回路502の入力の内、例えば2ポイント毎に1ポイントを用いて1/2のポイント数のFFT変換を行って代表値とし、残りの1ポイントを代表値として補間する構成としてもよい。この場合、実施の形態5と同じく、非線形歪補償用係数更新回路541において、図31のFFT回路502が図35のFFT回路561に置き換えられる。その結果、図30のバタフライ演算回路521は図34のバタフライ演算回路551に置き換えられ、図30のバタフライ演算回路521と比較して、回路規模を約1/4にすることができる。
【0301】
また、図33における非線形歪補償用係数更新回路541中のFFT回路502を削除し、図68における非線形歪等化回路801中のFFT回路502に時間多重する構成としてもよい。
【0302】
図69にこの場合の非線形歪等化回路811の構成を示す。図69において非線形歪等化回路811は、図37の非線形歪等化回路571において、非線形歪補償用係数更新回路591に置き換わり、同期復調回路503が差動復調回路802に置き換わった構成である。動作は以下の通りである。
【0303】
差動復調回路802では、f(n)をf(n-L)で複素除算することにより差動復調を行って、信号q(n)を誤差算出回路104に出力する。差動復調回路802内の非線形歪補償用係数更新回路591がx(n)、X3 g (k) 、e(n)とf(n-L)を入力として係数更新を行い、3次歪補償用係数a3(n) を非線形歪補償用複素信号変換回路102に出力する。その他の動作については、図37の非線形歪等化回路571と同じである。
【0304】
非線形歪補償用係数更新回路591の構成は図44に示す通りであり、複素除算器505への入力H(k)がf(n-L)に置き換えられるのみである。以上の構成により、1つのFFT回路を時間多重して動作させ、より小さな回路規模で差動キャリア変調されたOFDMベースバンド信号中の非線形歪の補償を行う。
【0305】
また、図68における非線形歪等化回路801中の差動復調回路802で 伝送路特性H(k)を生成し、H(k)をFFT回路502に時間多重することにより 、遅延プロファイルh'(n) を算出する構成としてもよい。
【0306】
図70にこの場合の非線形歪等化回路821の構成を示す。図70において非線形歪等化回路821は、図45の非線形歪等化回路601において、非線形歪補償用係数更新回路541に置き換わり、同期復調回路503が差動復調回路802に置き換わった構成である。動作は以下の通りである。
【0307】
差動復調回路802では、f(n)をf(n-L)で複素除算することにより差動復調を行って、信号q(n)を誤差算出回路104に出力する。そして、伝送路特性算出回路504がf(n)に含まれるパイロット信号などにより伝送路特性H(k)を算出してFFT回路572に出力する。非線形歪補償用係数更新回路541はx(n)、e(n)とf(n-L)を入力として係数更新を行い、3次歪補償用係数a3(n) を非線形歪補償用複素信号変換回路102に出力する。その他の動作については、図45の非線形歪等化回路601と同じである。非線形歪補償用係数更新回路541の構成は図33に示す通りであり、複素除算器505への入力H(k)がf(n-L)に置き換えられるのみである。
【0308】
以上の構成により、差動キャリア変調されたOFDMベースバンド信号中の非線形歪の補償を行うとともに、新たな回路を追加することなく遅延プロファイルを算出する。
【0309】
また、図68における非線形歪等化回路801中の差動復調回路802で伝送路特性H(k)を生成し、H(k)を非線形歪補償用係数更新回路541中のFFT回路502に時間多重することにより、遅延プロファイルh'(n) を算出する構成としてもよい。
【0310】
図71にこの場合の非線形歪等化回路831の構成を示す。図71において非線形歪等化回路831は、図48の非線形歪等化回路611において、非線形歪補償用係数更新回路621に置き換わり、同期復調回路503が差動復調回路802に置き換わった構成である。動作は以下の通りである。
【0311】
差動復調回路802では、f(n)をf(n-L)で複素除算することにより差動復調を行って、信号q(n)を誤差算出回路104に出力するとともに、伝送路特性算出回路504がf(n)に含まれるパイロット信号などにより伝送路特性H(k)を算出して、非線形歪補償用係数更新回路621に出力する。非線形歪補償用係数更新回路621はx(n)、e(n)とf(n-L)を入力として係数更新を行い、3次歪補償用係数a3(n) を非線形歪補償用複素信号変換回路102に出力するとともに、H(k)を入力として遅延プロファイルh'(n) を生成して出力する。
【0312】
その他の動作については、図48の非線形歪等化回路611と同じである。非線形歪補償用係数更新回路621の構成は図50に示す通りであり、複素除算器505への入力H(k)がf(n-L)に置き換えられるのみである。以上の構成により、差動キャリア変調されたOFDMベースバンド信号中の非線形歪の補償を行うとともに、新たな回路を追加することなく遅延プロファイルを算出する。
【0313】
また、非線形歪補償用係数更新回路541(図33)、591(図44)、621(図50)が、例えば2OFDM シンボル毎に1OFDM シンボルのみ係数更新を行う構成としてもよい。
【0314】
実施の形態5と同様に、非線形歪補償用係数更新回路541(図33)、591(図44)、621(図50)において、係数更新制御回路511を設ける。係数更新制御信号が"L" の期間は、前記非線形歪補償用係数更新回路中の各回路は動作を停止する。以上の構成により、3次歪補償用係数の収束時間は若干長くなるが、非線形歪補償用係数更新回路の消費電力を約1/2に削減することができる。
【0315】
また、図71の非線形歪等化回路831中の非線形歪補償用係数更新回路621が、例えば2OFDM シンボル毎に1OFDM シンボルのみ係数更新を行い、係数更新を行わないOFDMシンボル期間で遅延プロファイルh'(n) を算出する構成としてもよい。
【0316】
前述した図52がこの場合の非線形歪補償用係数更新回路641の構成であり、複素除算器505への入力H(k)がf(n-L)に置き換えられるのみである。動作は実施の形態5と同じである。以上の構成により、差動キャリア変調されたOFDMベースバンド信号中の非線形歪の補償を行うとともに、セレクタを追加するのみで消費電力を増加させることなく、遅延プロファイルを算出する。
【0317】
また、図69の非線形歪等化回路811中の非線形歪補償用係数更新回路591が、例えば2OFDM シンボル毎に1OFDM シンボルのみ係数更新を行い、係数更新を行わないOFDMシンボル期間で遅延プロファイルh ’(n) を算出する。この場合、非線形歪等化回路811中のFFT回路572に時間多重する構成としてもよい。
【0318】
図72にこの場合の非線形歪等化回路841の構成を示す。図72において非線形歪等化回路841は、図54の非線形歪等化回路661において、同期復調回路503が差動復調回路802に置き換わった構成である。動作は以下の通りである。
【0319】
差動復調回路802では、f(n)をf(n-L)で複素除算することにより差動復調を行って、信号q(n)を誤差算出回路104に出力する。そして、差動復調回路802内の伝送路特性算出回路504がf(n)に含まれるパイロット信号などにより伝送路特性H(k)を算出して、セレクタ632に出力する。非線形歪補償用係数更新回路591がx(n)、X g (k) 、e(n)とf(n-L)を入力として係数更新を行い、3次歪補償用係数a3(n) を非線形歪補償用複素信号変換回路102に出力する。その他の動作については、図54の非線形歪等化回路661と同じである。
【0320】
非線形歪補償用係数更新回路591の構成は図44に示す通りであり、複素除算器505への入力H(k)がf(n-L)に置き換えられ、x3(n) は複素3乗回路121からセレクタ632に出力される構成に変わるのみである。セレクタ632は係数更新制御信号によりx3(n) とH(k)から一方を選択して、FFT回路572に出力する。
【0321】
以上の構成により、1つのFFT回路のみを時間多重して動作させ、より小さな回路規模で差動キャリア変調されたOFDMベースバンド信号中の非線形歪の補償を行う。そして、セレクタを追加するのみで消費電力を増加させることなく、遅延プロファイルを算出する。
【0322】
また、非線形歪補償用係数更新回路541(図33)、591(図44)、621(図50)、641(図52)が、高C/N時のみ係数更新を行う構成としてもよい。実施の形態1と同様に、非線形歪等化回路801(図68)、811(図69)、821(図70)、831(図71)、841(図72)にC/N算出回路116を設け、C/N算出回路116はC/Nを算出して平均化し、その結果をCNR信号として出力する。
【0323】
実施の形態1と同様に、非線形歪補償用係数更新回路はCNR信号が示すC/Nが設定した閾値以下の場合にはa3(n) =0とし、非線形歪補償用複素信号変換回路102がy(n)= x(n) として出力する。CNR信号の示すC/Nが設定した閾値以上の場合には係数更新を行う。以上の構成により、低C/N時に悪影響を及ぼさず、差動キャリア変調されたOFDMベースバンド信号中の非線形歪の補償を行う。
【0324】
なお本実施の形態において、式(1−1)に示すように非線形歪で支配的な3次歪のみを除去する構成としたが、式(1−11)を用いて2次歪以上の任意の高次非線形歪を補償する構成としてもよい。この場合の係数更新式はそれぞれの次数において、次式が成立する。
a m (n+1) = a m (n) + ue(n) [ FFT( xm (n) ) /f(n-L) ]* (m > 1)
・・式(6−11)
なおx m (n) = |x m-1(n)| x(n) とする。
【0325】
非線形歪等化回路801(図68)、821(図70)の構成において、式(6−11)を用いて2次歪以上K次歪以下の高次非線形歪を補償する非線形歪補償用係数更新回路681の構成は図56に示す通りである。即ち複素除算器505への入力H(k)がf(n-L)に置き換えられるのみである。動作は実施の形態5と同じである。以上の構成により、2次歪以上の任意の高次非線形歪の補償を行う。
【0326】
また、非線形歪等化回路811(図69)、841(図72)の構成においても、同様に2次歪以上の任意の高次非線形歪の補償を行うことができる。この場合の非線形歪補償用係数更新回路711の構成は図63に示す通りである。即ち複素除算器505への入力H(k)がf(n-L)に置き換えられるのみである。
【0327】
また、図71における非線形歪等化回路831においても、同様に2次歪以上の任意の高次非線形歪の補償を行うことができる。この場合の非線形歪補償用係数更新回路731の構成は図65に示す通りである。即ち複素除算器505への入力H(k)がf(n-L)に置き換えられるのみである。
【0328】
また、図71における非線形歪等化回路831中の非線形歪補償用係数更新回路721を、図52の非線形歪補償用係数更新回路641に置き換えた構成においても、同様に2次歪以上の任意の高次非線形歪の補償を行うことができる。この場合の非線形歪補償用係数更新回路751の構成は図67に示す通りである。即ち複素除算器505への入力H(k)がf(n-L)に置き換えられるのみである。
【0329】
なお上記の2次歪以上の任意の高次非線形歪を補償する各例では、複素K乗回路163、複素2乗回路164、及び各次数の複素m乗回路をそれぞれ有する場合を示した。しかし、実施の形態1と同様に、例えばI、 Q軸成分のべき乗を次の高い次数に順次出力することにより回路の共用化を図ってもよく、他の共用化方法を用いてもよい。
【0330】
(実施の形態7)
本発明の実施の形態7における非線形歪等化回路について、図面を参照しながら説明する。図73は本実施の形態における非線形歪等化回路901の構成を示すブロック図である。図73において非線形歪等化回路901は、図68の非線形歪等化回路801において、差動復調回路902と非線形歪補償用係数更新回路905とに置き換わった構成である。差動復調回路902は、1シンボル遅延回路803と、複素共役回路903と、複素乗算器904とを有している。複素共役回路903はQ軸データのみを正負反転して、複素共役を生成する回路である。
【0331】
差動キャリア変調されたOFDM変調信号は図示しないアンテナで受信される。そして実施の形態1と同様に準同期検波回路108がI軸、Q軸データの検波を行って、検波出力x(n)を生成する。
【0332】
非線形歪等化回路901の動作を以下に説明する。差動復調回路902では、1シンボル遅延回路803がf(n)を1OFDMシンボル遅延させてf(n-L)を出力し、複素共役回路903がf(n-L)の複素共役 f(n-L) * を生成する。複素乗算器904がf(n)とf(n-L)* の複素乗算を行うことにより差動復調を行って、信号q(n)を誤差算出回路104に出力する。その他の動作については、非線形歪補償用係数更新回路905の構成を除いては、図68の非線形歪等化回路801と同じである。
【0333】
図74に非線形歪補償用係数更新回路905の構成を示す。図74において非線形歪補償用係数更新回路905は、図33の非線形歪補償用係数更新回路541において、複素除算器505が複素乗算器904に置き換えられた構成で、複素乗算器904への入力H(k)がf(n-L) * に置き換えられているのみである。
【0334】
ここで図73に示すように、差動復調回路902と誤差算出回路104の遅延がないものと仮定すると、y(n)から誤差信号e(n)を算出するまでの遅延はFFT回路502の2Lサンプル分となる。非線形歪補償用係数更新回路905中の遅延もFFT回路502の2Lサンプルに相当し、処理遅延が等しくなっている。以上の構成により、差動キャリア変調されたOFDMベースバンド信号中の非線形歪の補償を行う。
【0335】
本実施の形態における非線形歪補償用係数更新回路905の係数更新アルゴリズムについて、以下に説明する。図73より誤差信号e(n)は式(5−1)で表され、
q(n)= f(n) ・f(n-L)* ・・式(7 −1)
とする。式(7 −1)と式(5−3)とを式(5−1)に代入すると、次式が得られる。
e(n)= d(n) − FFT( y(n) )・f(n-L) * ・・式(7−2)
この式に式(1−1)を代入すると、次式が得られる。
e(n)= d(n) − FFT( x(n) + a3(n)x3(n) ) ・f(n-L) * ・・式(7−3)
【0336】
LMS アルゴリズムは係数更新の収束速度が比較的遅いため、a3(n) を定数と見なすと、次式が得られる。
e(n)= d(n) − FFT( x(n) )・f(n-L) * + a3(n) ・FFT( x3(n) )・f(n-L) *
・・式(7−4)
ここで式(7−4)を式(1−5)に代入して偏微分を行うと、次式が得られる。
dJ(a3)/da3 (n)= 2 [e(n)・de(n) /da3(n)]
=−2e(n) [ FFT( x3(n) )・f(n-L) * ] * ・・式(7−5)
【0337】
u = 2 αと置き、式(7−5)を式(1−6)に代入すると、次式が得られる。
a3(n+1)
= a3(n) + ue(n) [ FFT(x3(n)) ・f(n-L) * ] * ・・式(7−6)
【0338】
一方、図74よりa3(n) は次式で表される。
a3(n)
= a3(n-1) + ue(n) [ FFT(x3(n)) ・f(n-L) * ] * ・・式(7−7)
式(7−7)においてはa(n) がe(n)、x(n)、f(n-L) * と比較して1サンプル遅延しているが、LMS アルゴリズムは係数更新の収束速度が比較的遅いため、実用上問題ない。
【0339】
実施の形態5と同様に、FFT回路502が時刻n =T から動作を開始し、n の範囲を式(5−11 )とするとき、この期間におけるy(n)、x3(n) のFFT変換をそれぞれY g (k) 、X3 g (k) と表すと、Y g (k) は式(6−8)となり、X3 g (k) は式(5−12)となる。
【0340】
f(n-L)は式(6−9)で表現され、式(7−6)においてf(n-L)、FFT(x3(n))をそれぞれY g (k')、X3 g (k) で表し、k' = n'-T-gL (n' = n- L)、 k =n-T-gLとおくと、次式が得られる。
a 3 (n+1)
= a 3 (n) + ue(n) [ X3 g (n-T-gL)・Y g-1( n'-T-(g-1)L ) * ] *
・・式(7−8)
【0341】
以上が本実施の形態における非線形歪等化回路の構成と動作であるが、実施の形態5と同様に、図74の非線形歪補償用係数更新回路905中のFFT回路502の出力の内、例えば2ポイント毎に1ポイントを用いて代表値とし、残りの1ポイントを前記代表値として補間する構成としてもよい。この場合、実施の形態5と同じく、図30のバタフライ演算回路521は破線で囲まれた部分のみで実現でき、回路規模を約1/2にすることができる。
【0342】
また、実施の形態5と同様に、図74の非線形歪補償用係数更新回路905中のFFT回路502の入力の内、例えば2ポイント毎に1ポイントを用いて1/2のポイント数のFFT変換を行って代表値とし、残りの1ポイントを代表値として補間する構成としてもよい。この場合、実施の形態5と同じく、非線形歪補償用係数更新回路905において、図31のFFT回路502が図35のFFT回路561に置き換えられる。その結果、図30のバタフライ演算回路521は図34のバタフライ演算回路551に置き換えられ、図30のバタフライ演算回路521と比較して、回路規模を約1/4にすることができる。
【0343】
また、図73における非線形歪補償用係数更新回路905中のFFT回路502を削除し、図73における非線形歪等化回路901中のFFT回路502に時間多重する構成としてもよい。
【0344】
図75にこの場合の非線形歪等化回路911の構成を示す。図75において非線形歪等化回路911は、図69の非線形歪等化回路811において、差動復調回路902と非線形歪補償用係数更新回路912とに置き換わった構成である。動作は以下の通りである。
【0345】
差動復調回路902では、f(n)とf(n-L)* の複素乗算を行うことにより差動復調を行って、信号q(n)を誤差算出回路104に出力する。その他の動作については、非線形歪補償用係数更新回路912の構成を除いては、図69の非線形歪等化回路811と同じである。
【0346】
図76に非線形歪補償用係数更新回路912の構成を示す。図76において非線形歪補償用係数更新回路912は、図44の非線形歪補償用係数更新回路591において、複素除算器505が複素乗算器904に置き換えられた構成であり、複素乗算器904への入力H(k)がf(n-L) * に置き換えられている。以上の構成により、1つのFFT回路を時間多重して動作させ、より小さな回路規模で差動キャリア変調されたOFDMベースバンド信号中の非線形歪の補償を行う。
【0347】
また、図73における非線形歪等化回路901中の差動復調回路902で伝送路特性H(k)を生成し、H(k)をFFT回路502に時間多重することにより、遅延プロファイルh'(n) を算出する構成としてもよい。
【0348】
図77にこの場合の非線形歪等化回路921の構成を示す。図77において非線形歪等化回路921は、図70の非線形歪等化回路821において、差動復調回路902と非線形歪補償用係数更新回路905とに置き換わった構成である。動作は以下の通りである。
【0349】
差動復調回路902では、f(n)とf(n-L) * の複素乗算を行うことにより差動復調を行って、信号q(n)を誤差算出回路104に出力するとともに、差動復調回路902内の伝送路特性算出回路504がf(n)に含まれるパイロット信号などにより伝送路特性H(k)を算出して、FFT回路572に出力する。その他の動作については、非線形歪補償用係数更新回路905の構成を除いては、図70の非線形歪等化回路821と同じである。
【0350】
非線形歪補償用係数更新回路905の構成は図74に示す通りである。以上の構成により、差動キャリア変調されたOFDMベースバンド信号中の非線形歪の補償を行うとともに、新たな回路を追加することなく遅延プロファイルを算出する。
【0351】
また、図73における非線形歪等化回路901中の差動復調回路902で伝送路特性H(k)を生成し、H(k)を非線形歪補償用係数更新回路905中のFFT回路502に時間多重することにより、遅延プロファイルh'(n) を算出する構成としてもよい。
【0352】
図78にこの場合の非線形歪等化回路931の構成を示す。図78において非線形歪等化回路931は、図71の非線形歪等化回路831において、差動復調回路902と非線形歪補償用係数更新回路932とに置き換わった構成である。動作は以下の通りである。
【0353】
差動復調回路902では、f(n)とf(n-L)* の複素乗算を行うことにより差動復調を行って、信号q(n)を誤差算出回路104に出力するとともに、伝送路特性算出回路504がf(n)に含まれるパイロット信号などにより伝送路特性H(k)を算出して、非線形歪補償用係数更新回路932に出力する。その他の動作については、非線形歪補償用係数更新回路932の構成を除いては、図71の非線形歪等化回路831と同じである。
【0354】
図79に非線形歪補償用係数更新回路932の構成を示す。図79において非線形歪補償用係数更新回路932は、図50の非線形歪補償用係数更新回路621において、複素除算器505が複素乗算器904に置き換えられた構成であり、複素乗算器904への入力H(k)がf(n-L)* に置き換えられている。以上の構成により、差動キャリア変調されたOFDMベースバンド信号中の非線形歪の補償を行うとともに、新たな回路を追加することなく遅延プロファイルを算出する。
【0355】
また、非線形歪補償用係数更新回路905(図74)、912(図76)、932(図79)が、例えば2OFDM シンボル毎に1OFDM シンボルのみ係数更新を行う構成としてもよい。
【0356】
実施の形態5と同様に、非線形歪補償用係数更新回路905(図74)、912(図76)、932(図79)において、係数更新制御回路511を設ける。実施の形態5と同様に、係数更新制御信号が"L" の期間は、前記非線形歪補償用係数更新回路中の各回路は動作を停止する。以上の構成により、3次歪補償用係数の収束時間は若干長くなるが、非線形歪補償用係数更新回路の消費電力を約1/2に削減することができる。
【0357】
また、図78の非線形歪等化回路931中の非線形歪補償用係数更新回路932が、例えば2OFDM シンボル毎に1OFDM シンボルのみ係数更新を行い、係数更新を行わないOFDMシンボル期間で遅延プロファイルh'(n) を算出する構成としてもよい。
【0358】
図80がこの場合の非線形歪補償用係数更新回路941の構成であり、図52の非線形歪補償用係数更新回路641において、複素除算器505が複素乗算器904に置き換えられた構成であり、複素乗算器904への入力H(k)がf(n-L)* に置き換えられている。以上の構成により、差動キャリア変調されたOFDMベースバンド信号中の非線形歪の補償を行うとともに、セレクタを追加するのみで消費電力を増加させることなく、遅延プロファイルを算出する。
【0359】
また、図75の非線形歪等化回路911中の非線形歪補償用係数更新回路912が、例えば2OFDM シンボル毎に1OFDM シンボルのみ係数更新を行い、係数更新を行わないOFDMシンボル期間で遅延プロファイルh ’(n) を算出する場合、非線形歪等化回路911中のFFT回路572に時間多重する構成としてもよい。
【0360】
図81にこの場合の非線形歪等化回路951の構成を示す。図81において非線形歪等化回路951は、図72の非線形歪等化回路841において、差動復調回路902と非線形歪補償用係数更新回路912とに置き換わった構成である。動作は以下の通りである。
【0361】
差動復調回路902では、f(n)とf(n-L) * の複素乗算を行うことにより差動復調を行って、信号q(n)を誤差算出回路104に出力するとともに、伝送路特性算出回路504がf(n)に含まれるパイロット信号などにより伝送路特性H(k)を算出して、セレクタ632に出力する。その他の動作については、非線形歪補償用係数更新回路912の構成を除いては、図72の非線形歪等化回路841と同じである。
【0362】
非線形歪補償用係数更新回路912の構成は図76に示す通りであり、x3(n) が複素3乗回路121からセレクタ632に出力される構成に変わるのみである。セレクタ632は係数更新制御信号によりx3(n) とH(k)からどちらかを選択してFFT回路572に出力する。
【0363】
以上の構成により、1つのFFT回路のみを時間多重して動作させ、より小さな回路規模で差動キャリア変調されたOFDMベースバンド信号中の非線形歪の補償を行うとともに、セレクタを追加するのみで消費電力を増加させることなく、遅延プロファイルを算出する。
【0364】
また、非線形歪補償用係数更新回路905(図74)、912(図76)、932(図79)、941(図80)が、高C/N時のみ係数更新を行う構成としてもよい。実施の形態1と同様に、非線形歪等化回路901(図73)、911(図75)、921(図77)、931(図78)、951(図81)にC/N算出回路116を設け、C/N算出回路116はC/Nを算出して平均化し、その結果をCNR信号として出力する。
【0365】
実施の形態1と同様に、非線形歪補償用係数更新回路はCNR信号が示すC/Nが設定した閾値以下の場合にはa3(n) =0とし、非線形歪補償用複素信号変換回路102がy(n)= x(n) として出力する。CNR信号の示すC/Nが、設定した閾値以上の場合には係数更新を行う。以上の構成により、低C/N時に悪影響を及ぼさず、差動キャリア変調されたOFDMベースバンド信号中の非線形歪の補償を行う。
【0366】
なお本実施の形態において、式(1−1)に示すように非線形歪で支配的な3次歪のみを除去する構成としたが、式(1−11)を用いて2次歪以上の任意の高次非線形歪を補償する構成としてもよい。この場合の係数更新式はそれぞれの次数において、次式が得られる。
a m (n+1) = a m (n) + ue(n) [ FFT( xm (n) ) ・f(n-L)* ] * (m > 1)
・・式(7−9)
ここでx m (n) = |x m-1(n)| x(n) とする。
【0367】
非線形歪等化回路901(図73)、921(図77)の構成において、式(7−9)を用いて、2次歪以上K次歪以下の高次非線形歪を補償する非線形歪補償用係数更新回路961の構成を図82に示す。図82において非線形歪補償用係数更新回路961は、図56の非線形歪補償用係数更新回路681において、複素除算器505が複素乗算器904に置き換えられた構成であり、複素乗算器904への入力H(k)がf(n-L) * に置き換えられている。以上の構成により、2次歪以上の任意の高次非線形歪の補償を行う。
【0368】
また、非線形歪等化回路911(図75)、951(図81)の構成においても、同様に2次歪以上の任意の高次非線形歪の補償を行うことができる。この場合の非線形歪補償用係数更新回路971の構成を図83に示す。図83において非線形歪補償用係数更新回路971は、図63の非線形歪補償用係数更新回路711において、複素除算器505が複素乗算器904に置き換えられた構成であり、複素乗算器904への入力H(k)がf(n-L) * に置き換えられている。
【0369】
また、図78における非線形歪等化回路931においても、同様に2次歪以上の任意の高次非線形歪の補償を行うことができる。この場合の非線形歪補償用係数更新回路981の構成を図84に示す。図84において非線形歪補償用係数更新回路981は、図65の非線形歪補償用係数更新回路731において、複素除算器505が複素乗算器904に置き換えられた構成であり、複素乗算器904への入力H(k)がf(n-L) * に置き換えられている。
【0370】
また、図78における非線形歪等化回路931中の非線形歪補償用係数更新回路932を、図80の非線形歪補償用係数更新回路941に置き換えた構成においても、同様に2次歪以上の任意の高次非線形歪の補償を行うことができる。この場合の非線形歪補償用係数更新回路991の構成を図85に示す。図85において非線形歪補償用係数更新回路991は、図67の非線形歪補償用係数更新回路751において、複素除算器705が複素乗算器904に置き換えられた構成であり、複素乗算器904への入力H(k)がf(n-L) * に置き換えられている。
【0371】
なお上記の2次歪以上の任意の高次非線形歪を補償する各例では、複素K乗回路163、複素2乗回路164、及び各次数の複素m乗回路をそれぞれ有する場合を示した。しかし、実施の形態1と同様に、例えばI、 Q軸成分のべき乗を次の高い次数に順次出力することにより回路の共用化を図ってもよく、他の共用化方法を用いてもよい。
【0372】
なお実施の形態1〜7において非線形歪補償用複素信号変換回路の変換式を式(1−1)、式(1−11)としたが、これは一例であり他の変換式を用いてもよい。また実施の形態1〜7においてx m (n) = |x m-1(n)| x(n) (m > 1)とし、特にx3(n) =| x2(n)| x(n) としたが、x m (n) 及びx3(n) (m > 1)を表す式として他の式を用いてもよい。
【0373】
また本実施の形態1において、非線形歪補償用係数更新回路の係数更新式として式(1−8)、式(1−10)、式(1−12)を用いたが、d シンボル毎に係数更新を行ってもよく(d は2以上の整数)、最急勾配法以外のLMS アルゴリズムやLMS 以外のアルゴリズムを用いてもよい。
【0374】
また本実施の形態2において、非線形歪補償用係数更新回路の係数更新式として式(2−1)、式(2−3)、式(2−4)を用いたが、d シンボル毎に係数更新を行ってもよく(d は2以上の整数)、最急勾配法以外のLMS アルゴリズムやLMS 以外のアルゴリズムを用いてもよい。
【0375】
また本実施の形態3において、非線形歪補償用係数更新回路の係数更新式として式(1−8)、式(1−10)、式(3−4)〜式(3−6)、式(1−12)を用いたが、d シンボル毎に係数更新を行ってもよく(d は2以上の整数)、最急勾配法以外のLMS アルゴリズムやLMS 以外のアルゴリズムを用いてもよい。
【0376】
また本実施の形態4において、非線形歪補償用係数更新回路の係数更新式として式(2−1)、式(4−3)〜式(4−6)、式(2−4)を用いたが、d シンボル毎に係数更新を行ってもよく(d は2以上の整数)、最急勾配法以外のLMS アルゴリズムやLMS 以外のアルゴリズムを用いてもよい。
【0377】
また本実施の形態5において、非線形歪補償用係数更新回路の係数更新式として式(5−8)、式(5−10)、式(5−25)、式(5−26)を用いたが、d サンプル毎に係数更新を行ってもよく(d は2以上の整数)、最急勾配法以外のLMS アルゴリズムやLMS 以外のアルゴリズムを用いてもよい。
【0378】
また本実施の形態6において、非線形歪補償用係数更新回路の係数更新式として式(6−6)、式(6−11)を用いたが、d サンプル毎に係数更新を行ってもよく(d は2以上の整数)、最急勾配法以外のLMS アルゴリズムやLMS 以外のアルゴリズムを用いてもよい。
【0379】
また本実施の形態7において、非線形歪補償用係数更新回路の係数更新式として式(7−6)、式(7−9)を用いたが、d サンプル毎に係数更新を行ってもよく(d は2以上の整数)、最急勾配法以外のLMS アルゴリズムやLMS 以外のアルゴリズムを用いてもよい。
【0380】
また本実施の形態1〜4において変調方式について特に明記しなかったが、本発明の非線形歪等化回路が適用される変調方式は特定の方式に制限されるものではなく、OFDM、QAM、VSB、PSKなどあらゆる変調方式が可能である。
【0381】
また本実施の形態1〜7における非線形歪補償用係数更新回路のステップパラメータu を各次数共通としたが、次数毎にステップパラメータu m を割り当ててそれぞれ可変としてもよい。
【0382】
また本実施の形態1〜4で示した位相同期確立の判定方法、C/N算出方法、及び本実施の形態3、 4における線形歪補償収束判定方法は一例であり、他の方法を用いてもよい。
【0383】
また本実施の形態5〜7で示したC/N算出方法は一例であり、他の方法を用いてもよい。
【0384】
また本実施の形態1〜4では、非線形歪等化回路中の低域通過フィルタとしてロールオフコサインフィルタを用いる場合を示したが、他の低域通過フィルタを用いてもよい。
【0385】
また本実施の形態3において、線形歪補償用係数更新回路係数更新式として式(3−2)を用いたが、最急勾配法以外のLMS アルゴリズムやLMS 以外のアルゴリズムを用いてもよい。
【0386】
また本実施の形態4において、線形歪補償用係数更新回路係数更新式として式(4−1)を用いたが、最急勾配法以外のLMS アルゴリズムやLMS 以外のアルゴリズムを用いてもよい。
【0387】
また本実施の形態5において、図28に図示する同期復調回路503を用いて同期復調を行ったが、これは一例である。
【0388】
また本実施の形態6、7において、それぞれ図68に図示する差動復調回路802、図73に図示する差動復調回路902を用いて差動復調を行ったが、これは一例である。
【0389】
また本実施の形態5〜7において、FFT回路502の動作の説明で、例としてFFTのポイント数L =4 の場合を考え、簡単のためFFT回路502が時刻n =T =0 から動作を開始し、g = 0 の場合を考えたが、これは一例である。
【0390】
また本実施の形態5〜7において、FFT回路502、561、572、692の構成をそれぞれ図31、図35、図39、図58とし、動作をそれぞれ図32、図36、図40〜図43、図59〜図62で示し、処理遅延を2Lサンプルとしたが、一例であり、これに限らない。
【0391】
また本実施の形態5における非線形歪補償用係数更新回路506(図29)、573(図38)、612(図49)、631(図51)、及び本実施の形態5、6における非線形歪補償用係数更新回路541(図33)、591(図44)、621(図50)、641(図52)、及び本実施の形態7における非線形歪補償用係数更新回路905(図74)、912(図76)、932(図79)、941(図80)で、係数更新制御回路511が2OFDM シンボル毎に1OFDM シンボルのみ"H" となる係数更新制御信号を出力する構成とした。しかし、f を2 以上の整数とし、f OFDMシンボル毎に1OFDM シンボルのみ"H" となる係数更新制御信号を出力し、"L" のシンボルでは前記非線形歪補償用係数更新回路中の各回路が動作を停止する構成としてもよい。
【0392】
また本実施の形態5における非線形歪補償用係数更新回路631(図51)、及び本実施の形態5、6における非線形歪補償用係数更新回路641(図52)、及び本実施の形態7における非線形歪補償用係数更新回路941(図80)で、係数更新制御信号が"L" の全シンボルでFFT回路を動作させて遅延プロファイルh'(n) を算出する構成とした。しかし、消費電力を削減するため、f を2 以上の整数とし、係数更新制御信号が"L" の全シンボル中でf OFDMシンボル毎に1OFDM シンボルのみ遅延プロファイルh'(n) を算出する構成としてもよい。その場合、残りの(f- 1)OFDMシンボル期間ではFFT回路を停止することができる。
【0393】
また本実施の形態5における非線形歪等化回路612(図45)と非線形歪等化回路612中で非線形歪補償用係数更新回路541に置き換えた構成とした。また本実施の形態6における非線形歪等化回路821(図70)、及び本実施の形態7における非線形歪補償用係数更新回路921(図77)で、通常の2倍速でFFT回路572を動作させることにより、全シンボルにおける遅延プロファイルh'(n) を算出する構成とした。しかし、消費電力を削減するため、f を2 以上の整数とし、f OFDMシンボル毎に1OFDM シンボルのみ遅延プロファイルh'(n) を算出する構成としてもよい。その場合、残りの(f- 1)OFDMシンボル期間ではFFT回路572中の遅延プロファイルに関する回路を停止することができる。
【0394】
また本実施の形態5における非線形歪補償用係数更新回路612(図49)、及び本実施の形態5、6における非線形歪補償用係数更新回路621(図50)、及び本実施の形態7における非線形歪補償用係数更新回路932(図79)で、通常の2倍速でFFT回路572を動作させることにより、全シンボルにおける遅延プロファイルh'(n) を算出する構成とした。しかし、消費電力を削減するため、f を2 以上の整数とし、f OFDMシンボル毎に1OFDM シンボルのみ遅延プロファイルh'(n) を算出する構成としてもよい。その場合、残りの(f- 1)OFDMシンボル期間ではFFT回路572中の遅延プロファイルに関する回路を停止することができる。
【0395】
また本実施の形態5における非線形歪補償用係数更新回路741(図66)、及び本実施の形態5、6における非線形歪補償用係数更新回路751(図67)、及び本実施の形態7における非線形歪補償用係数更新回路991(図85)で、係数更新制御信号が0の全シンボルでFFT回路502を動作させて遅延プロファイルh'(n) を算出する構成とした。しかし、消費電力を削減するため、f を2 以上の整数とし、係数更新制御信号が0の全シンボル中でf OFDMシンボル毎に1OFDM シンボルのみ遅延プロファイルh'(n) を算出する構成としてもよい。その場合、残りの(f- 1)OFDMシンボル期間ではFFT回路502を停止することができる。他の次数の非線形歪を補償する場合にも、同様にして、消費電力を削減する構成にしてもよい。
【0396】
また本実施の形態5における非線形歪補償用係数更新回路671(図55)、及び本実施の形態5、6における非線形歪補償用係数更新回路681(図56)、及び本実施の形態7における非線形歪補償用係数更新回路941(図82)で、次数毎の複素のFFT回路502を有する構成とした。しかし、例えば1つのFFT回路572(図39)に置き換えて、通常の2倍速で動作させることにより時間多重を行い、2次歪とK次歪を補償する構成としてもよい。他の次数の非線形歪を補償する場合には、必要に応じてFFT回路572の多重度を上げれば良い。
【0397】
また本実施の形態5〜7において、周波数同期に関して特に触れなかったが、周波数同期が引き込み過程では、
a3(n) = 0とし、
非線形歪補償用係数更新回路が周波数同期確立後に動作を開始する構成にしてもよい。
【0398】
また本実施の形態5〜7において、非線形歪補償用係数更新回路中のFFT回路502の出力の内、2ポイント毎に1ポイントを用いて代表値とし、残りの1ポイントを前記代表値として補間し、補間式として式(5−17)を用いたが、これは一例である。FFT変換のポイント数をL 、c を2 以上の整数、q を0 以上c-1 以下の整数、及びr を-(c-1)以上0 以下の整数とするとき、
X3 g ((p-1)c+q+b) = X3 g ((p-1)c+q) (p= 2, 3, …, (L/c-1))
・・式(8−1)
X3 g ((p-1)c+q+b) = X3 g ((p-1)c+q) (p=1かつ q+b≧0 )
・・式(8−2)
X3 g ((p-1)c+q+b) = X3 g ((p-1)c+q) (p=L/cかつ q+b≦c-1)
・・式(8−3)
X3 g-1(L+q+b) = X3 g ((p-1)c+q) (p=1かつ q+b≦-1 )
・・式(8−4)
X3g+1(q+b) = X3 g ((p-1)c+q) (p=L/cかつ q+b≧ c)
・・式(8−5)
(b=r, r+1,…, r+(c-1))
としてFFT変換の出力のc ポイント毎に1ポイントを用いて代表値とし、残りの(c-1) ポイントを代表値として補間してもよい。
【0399】
式(8−1)〜式(8−5)について、以下に説明する。例として、L = 16、c = 4 、3 次歪を補償するm = 3 の場合を考える。図86〜図93に、式(8−1)〜式(8−5)を用いた補間のパターンを示す。図86〜図93はX3 g (k) に着目した図面で、横軸はキャリア番号k であり、それぞれ
図86、図87: q = 0
図88、図89: q = 1
図90、図91: q = 2
図92、図93: q = 3
(a) r=0、(b) r=-1、(c) r=-2、(d) r=-3
の場合を示している。
【0400】
図86〜図93において、各キャリア番号を示す箱の内、斜線が代表値として用いるキャリア番号を示し、その他は補間に用いるキャリア番号を数字で示している。図86〜図93に示した通り、式(8−1)〜式(8−5)における各文字は、
p :各シンボル中のp 番目の代表値(1 ≦ p≦ c/L )
q :代表値として用いる最小のキャリア番号(0 ≦ q≦ c-1)
b :代表値として用いるキャリア番号との差(r ≦ b≦ r+(c-1 ))
r : bの最小値(-(c-1)≦ r≦ 0)
を表す。
【0401】
よって、
-(c-1)≦ q+b≦ 2(c-1) ・・式(8−6)
の範囲となる。すなわち、q によって代表値として用いるキャリア番号が決定され、r によってp 番目の代表値を用いて補間を行うキャリア番号の範囲が決定される。b については0 のときは代表値として用いるキャリア番号そのものを示し、−、+のときはそれぞれ代表値として用いるキャリア番号より前、後のキャリア番号を示す。
【0402】
式(8−1)〜式(8−5)に、L = 16、c = 4 を代入すると、以下の各式が得られる。
X3 g ( 4(p-1)+q+b ) = X3 g (4(p-1)+q) (p= 2, 3)
・・式(8−7)
X3 g ( 4(p-1)+q+b ) = X3 g (4(p-1)+q) (p=1かつ q+b≧ 0)
・・式(8−8)
X3 g ( 4(p-1)+q+b ) = X3 g (4(p-1)+q) (p=4かつ q+b≦ 3)
・・式(8−9)
X3 g-1(16+q+b) = X3 g (4(p-1)+q) (p=1かつ q+b≦ -1)
・・式(8−10)
X3 g+1(q+b) = X3 g (4(p-1)+q) (p=4かつ q+b≧ 4)
・・式(8−11)
( b = r, r+1, …, r+3 )
【0403】
各文字は
p : p番目の代表値(1 ≦ p≦ 4)
q :代表値として用いる最小のキャリア番号(0 ≦ q≦ 3)
b :代表値として用いるキャリア番号との差(r ≦ b≦ r+3)
r : bの最小値(-3≦ r≦ 0)
を表し、
-3≦ q+b≦ 6・・式(8−12)
となる。
【0404】
式(8−7)〜式(8−9)はg 番目のOFDMシンボル内で閉じて、補間を行う場合を示す。L = 16より、キャリア番号k は
0 ≦ k≦ 15 ・・式(8−13)
の範囲である。式(8−12)より、
1 ≦ 4(p-1)+q+b ≦ 14 (p = 2, 3)・・式(8−14)
-3 ≦ 4(p-1)+q+b ≦ 6 (p = 1 )・・式(8−15)
9 ≦ 4(p-1)+q+b ≦ 18 (p = 4 )・・式(8−16)
の範囲となる。
【0405】
p = 2, 3のとき、式(8−14)より場合分けは不要であり、式(8−7)のみで表される。一方p = 1 のとき、q+b ≦ -1 で式(8−13)の範囲を超えるため、式(8−8)、式(8−10)の通り場合分けが必要である。q+b ≦ -1 、すなわち式(8−15)で−の値になる場合、式(8−10)に示すように1OFDM シンボル前のデータを補間することになる。同様にp = 4 のとき、q+b ≧ 4で式(8−13)の範囲を超えるため、式(8−9)、式(8−11)の通り場合分けが必要である。q+b ≧ 4、すなわち式(8−16)で16以上の場合、式(8−11)に示すように1OFDM シンボル後のデータを補間することになる。
【0406】
また本実施の形態5〜7において、非線形歪補償用係数更新回路中のFFT回路502の出力の内、例えば2ポイント毎に1ポイントを用いて代表値とし、残りの1ポイントを前記代表値として補間する構成で、補間式として式(5−17)を用いたが、例えば
X3 0(1) = h1X3 0(0), X3 0(3) = h3X3 0(2)
・・式(8−17)
としてそれぞれ係数h1、h3を乗じてもよい。係数値としては例えば
h1X3 0(0): X3 0(0) とX3 0(2)の平均値
h3X3 0(2): X3 0(2) とX3 1(0)の平均値
として直線補間とすることが考えられる。
【0407】
3 次歪を補償するm = 3 の場合で、FFT変換のポイント数をL 、c を2 以上の整数、q を0 以上c-1 以下の整数、及びr を-(c-1)以上0 以下の整数とするとき、
X3 g ( (p-1)c+q+b ) = h gpbX3 g ((p-1)c+q) (p= 2, 3, …, (L/c-1))
・・式(8−18)
X3 g ( (p-1)c+q+b ) = h gpbX3 g ((p-1)c+q) (p=1かつ q+b≧ 0 )
・・式(8−19)
X3 g ( (p-1)c+q+b ) = h gpbX3 g ((p-1)c+q) (p=L/c かつ q+b≦ c-1 )
・・式(8−20)
X3 g-1(L+q+b) = h gpb X3 g ((p-1)c+q) (p=1かつ q+b≦ -1 )
・・式(8−21)
X3 g+1(q+b) = h gpb X3 g ((p-1)c+q) (p=L/cかつ q+b≧ c )
・・式(8−22)
( b = r, r+1, …, r+(c-1) )
として、式(8−1)〜式(8−5)において係数h gpb を乗じてもよい。係数値としては、例えば隣り合う代表値を用いて直線補間とすることが考えられる。
【0408】
例として、L = 16、c = 4 の場合を考えると、
X3 g ( 4(p-1)+q+b ) = h gpb X3 g (4(p-1)+q) (p= 2, 3)
・・式(8−23)
X3 g ( 4(p-1)+q+b ) = h gpb X3 g (4(p-1)+q) (p=1かつ q+b≧ 0 )
・・式(8−24)
X3 g ( 4(p-1)+q+b ) = h gpb X3 g (4(p-1)+q) (p=4かつ q+b≦ 3 )
・・式(8−25)
X3 g-1(16+q+b) = h gpb X3 g (4(p-1)+q) (p=1かつ q+b≦ -1 )
・・式(8−26)
X3 g+1(q+b) = hgpb X3 g ( 4(p-1)+q ) (p=4かつ q+b≧ 4 )
・・式(8−27)
( b = r, r+1, …, r+3 )
として、式(8−7)〜式(8−11)において係数h gpb を乗じてもよい。係数値としては、例えば隣り合う代表値を用いて直線補間とすることが考えられる。
【0409】
また本実施の形態5〜7において、非線形歪補償用係数更新回路のFFT回路502の入力の内、例えば式(5−18)に従って2ポイント毎に1ポイントを用いて1/2のポイント数のFFT変換を行って代表値とし、残りの1ポイントを代表値として補間し、補間式として式(5−19)を用いたが、これは一例である。
【0410】
3 次歪を補償するm = 3 の場合で、FFT変換のポイント数をL 、c を2 以上の整数、q を0 以上c-1 以下の整数、及びr を-(c-1)以上0 以下の整数とするとき、
X3 g ( (p-1)c+q ) '
s=1 to L/c x3(T+gL+(s-1)c+q) W L/c (p-1)(s-1)
W L/c = e -j2pie/(L/c) ( p = 1, 2, …, L/c )
・・式(8−28)
として、前記FFT変換の入力のc ポイント毎に1ポイントを用いて1 /c のポイント数のFFT変換を行って代表値とする。
【0411】
X3 g ( (p-1)c+q+b )' = X3 g ((p-1)c+q)' (p= 2, 3,…, (L/c-1))
・・式(8−29)
X3 g ( (p-1)c+q+b )' = X3 g ((p-1)c+q)' (p= 1かつ q+b≧ 0 )
・・式(8−30)
X3 g ( (p-1)c+q+b )' = X3 g ((p-1)c+q)' (p= L/cかつ q+b≦ c-1 )
・・式(8−31)
X3 g-1(L+q+b)' = X3 g ((p-1)c+q)' (p= 1かつ q+b≦ -1 )
・・式(8−32)
X3 g+1(q+b)' = X3 g ((p-1)c+q)' (p= L/cかつ q+b≧ c )
・・式(8−33)
( b = r, r+1, …, r+(c-1) )
として、残りの(c-1) ポイントを代表値として補間してもよい。
【0412】
例として、L = 16、c = 4 の場合を考える。式(8−29)〜式(8−33)に、L = 16、c = 4 を代入すると、
X3 g ( 4(p-1)+q+b )' = X3 g (4(p-1)+q)' (p= 2, 3 )
・・式(8−34)
X3 g ( 4(p-1)+q+b )' = X3 g (4(p-1)+q)' (p= 1かつ q+b≧ 0 )
・・式(8−35)
X3 g ( 4(p-1)+q+b )' = X3 g (4(p-1)+q)' (p= 4かつ q+b≦ 3 )
・・式(8−36)
X3 g-1(16+q+b)' = X3 g (4(p-1)+q)' (p= 1かつ q+b≦ -1 )
・・式(8−37)
X3 g+1(q+b)' = X3 g (4(p-1)+q)' (p= 4かつ q+b≧ 4 )
・・式(8−38)
( b = r, r+1, …, r+3 )
となる。式(8−34)〜式(8−38)の補間式は、図86〜図93においてX3 g (k) がX3 g (k)'に置き換わったのみである。
【0413】
また本実施の形態5〜7において、非線形歪補償用係数更新回路のFFT回路502の入力の内、例えば2ポイント毎に1ポイントを用いて1/2のポイント数のFFT変換を行って代表値とし、残りの1ポイントを前記代表値として補間する構成において、補間式として式(5−19)を用いた。例えば
X3 0(1)' = h1X3 0(0)', X3 0(3)' = h3X3 0(1)'
・・式(8−39)
としてそれぞれ係数h1、h3を乗じてもよい。
【0414】
係数値としては例えば
h1X3 0(0)' : X3 0(0)'とX3 0(2)' の平均値
h3X3 0(1)' : X3 0(2)'とX3 1(0)' の平均値
として直線補間とすることが考えられる。
【0415】
3 次歪を補償するm = 3 の場合で、FFT変換のポイント数をL 、c を2 以上の整数、q を0 以上c-1 以下の整数、及びr を-(c-1)以上0 以下の整数とするとき、
X3 g ( (p-1)c+q+b )' = h gpb X3 g ((p-1)c+q)' (p= 2, 3,…, (L/c-1) )
・・式(8−40)
X3 g ( (p-1)c+q+b )' = h gpb X3 g ((p-1)c+q)' (p= 1かつ q+b≧ 0 )
・・式(8−41)
X3 g ( (p-1)c+q+b )' = h gpb X3 g ((p-1)c+q)' (p= L/c かつ q+b≦ c-1 )
・・式(8−42)
X3 g-1(L+q+b)' = h gpb X3 g ((p-1)c+q)' (p= 1かつ q+b≦ -1 )
・・式(8−43)
X3 g+1(q+b)' = h gpb X3 g ((p-1)c+q)' (p= L/cかつ q+b≧ c )
・・式(8−44)
( b = r, r+1,…, r+(c-1) )
として、式(8−29)〜式(8−33)において係数h gpb を乗じてもよい。
【0416】
係数値としては、例えば隣り合う代表値を用いて直線補間とすることが考えられる。
例として、L = 16、c = 4 の場合を考えると、
X3 g ( 4(p-1)+q+b )' = h gpb X3 g (4(p-1)+q)' (p= 2, 3 )
・・式(8−45)
X3 g ( 4(p-1)+q+b )' = h gpb X3 g (4(p-1)+q)' (p= 1かつ q+b≧ 0 )
・・式(8−46)
X3 g ( 4(p-1)+q+b )' = h gpb X3 g (4(p-1)+q)' (p = 4 かつ q+b≦ 3 )
・・式(8−47)
X3 g-1 (16+q+b)' = h gpb X3 g (4(p-1)+q)' (p= 1かつ q+b≦ -1 )
・・式(8−48)
X3 g+1 (q+b)' = h gpb X3 g (4(p-1)+q)' (p= 4かつ q+b≧ 4 )
・・式(8−49)
( b = r, r+1, …, r+3 )
として、式(8−34)〜式(8−38)において係数h gpb を乗じてもよい。係数値としては、例えば隣り合う代表値を用いて直線補間とすることが考えられる。
【0417】
また実施の形態5〜7において、評価関数J(a3) を式(1−5)で定義することにより係数更新式が得られた。図28と図33の非線形歪等化回路501の主要構成要素を新たに整理したブロック図を図97に示す。伝送路の線形歪が小さく、同期復調回路503の伝送路特性算出回路504の出力H(k)の大きさが1に近い場合を考える。この場合は、図97の非線形歪補償用係数更新回路541の複素除算器505でのH(k)* での除算は、図98に示すように複素乗算器904でのH(k)での乗算に近似的に置換可能である。(図97、図98ともに、複素共役化処理部分は図示していない。)
【0418】
この場合の係数更新式は次式で与えられる。
a3(n+1) = a3 (n) + u ・[ FFT( x3(n) ) ] * ・H(k)・e(n)
・・式(8−50)
また、評価関数J(a3) を変更することにより、係数更新式も変更されるのは明らかであり、実施の形態5〜7と本質的な差はない。
【0419】
実施の形態5において、式(1−5)の評価関数J(a3) に対して、式(5−8)の係数更新式が得られた。例えば、評価関数(a3)を次式で定義する。
J(a3) = |e(n)・H(k)|2 ・・式(8−51)
この場合の係数更新式は次式で与えられる。この場合の非線形歪等化回路のブロック図を図99に示す。(複素共役化処理部分は図示していない。)
a3(n+1) = a3(n) + u[ e(n)・H(k) ]・[ FFT( x3(n) ) ] *
・・式(8−52)
非線形歪補償用係数更新回路541において、LMS回路130はFFT回路502の出力と複素乗算器904の出力とを用いて3次歪補償用係数を生成し、非線形歪補償用複素信号変換回路102に与える。
【0420】
また例えば、評価関数J(a3) を次式で定義する。
J(a3) = |IFFT( e(n)・H(k) )|2 ・・式(8−53)
但し、IFFT( e(n)・H(k) )はe(n)・H(k)のFFT変換を表す。この場合の係数更新式は次式で与えられる。この場合の非線形歪等化回路のブロック図をを図100に示す。(複素共役化処理部分は図示していない。)
a3(n+1) = a3(n) + u・IFFT( e(n)・H(k) )・x3(n) *
・・式(8−54)
非線形歪補償用係数更新回路541において、FFT回路に代えてIFFT回路1001を複素乗算器904の出力部に設ける。LMS回路130は複素3乗回路121の出力とIFFT回路1001の出力とを用いて3次歪補償用係数を生成し、非線形歪み補償用複素信号変換回路102に与える。
【0421】
実施の形態6において、式(1−5)の評価関数J(a3) に対して、式(6−6)の係数更新式が得られた。例えば、評価関数J(a3) を次式で定義する。
J(a3) = |e(n)・f(n-L)|2 ・・式(8−55)
この場合の係数更新式は次式で与えられる。
a3 (n+1) = a3 (n) + u[ e(n)・f(n-L) ]・[ FFT( x3(n) ) ] *
・・式(8−56)
【0422】
また例えば、評価関数J(a3) を次式で定義する。
J(a3) = |IFFT( e(n)・f(n-L) )|2 ・・式(8−57)
この場合の係数更新式は次式で与えられる。
a3(n+1) = a3(n) + u・IFFT( e(n)・f(n-L) )・x3(n) *
・・式(8−58)
【0423】
実施の形態7において、式(1−5)の評価関数J(a3) に対して、式(7−6)の係数更新式が得られた。例えば、評価関数J(a3) を次式で定義する。
J(a3) = |e(n)/f(n-L) *2 ・・式(8−59)
この場合の係数更新式は次式で与えられる。
a3(n+1) = a3(n) + u[ e(n)/f(n-L) * ] ・[ FFT( x3(n) ) ] *
・・式(8−60)
【0424】
また例えば、評価関数J(a3) を次式で定義する。
J(a3) = |IFFT( e(n)/f(n-L) * ) |2 ・・式(8−61)
この場合の係数更新式は次式で与えられる。
a3(n+1) = a3(n) + u・IFFT( e(n)/f(n-L) * ) ・x3(n) *
・・式(8−62)
【0425】
また以上の実施の形態における非線形等化方法をプログラムとしてプログラムメモリに記載し、CPUを用いて非線形等化処理をリアルタイム処理することにより、本発明の目的を実現することもできる。
【0426】
本発明の効果をコンピュータシミュレーションによって調べた。一次変調に16QAM を用いたOFDM−16QAM 信号(1024 キャリア) を非線形増幅器に通し、非線形増幅器を飽和領域で動作させた場合に対してバックオフを変化させ、ステップパラメータμを調整して平均ビット誤り率の測定を行った。
【0427】
図94にC/N= 17dB におけるシミュレーション結果を示す。このグラフより、非線形歪によるビット誤り率の劣化を防ぐには、補償なしでは約15dBのバックオフが必要であり、補償有りでは約5dB のバックオフで済むことが分かる。以上より、本発明の構成によりバックオフを10dB小さくできることが分かる。
【0428】
以上のように本願の請求項 1記載の発明によれば、m次歪(mは2以上の整数)成分量を推定する情報を示す非線形歪補償用係数am(n)に基づいて、複素ベースバンド信号x(n)のm次歪成分を除去する非線形歪補償用複素信号変換回路を設け、前記非線形歪補償用係数更新回路が、前記位相補正の制御信号に対して逆回転を施す回路と、前記誤差信号と前記m次信号成分の複素共役と前記逆回転を施す回路の出力とステップパラメータとを乗算する乗算回路と、前記乗算回路の出力と前記非線形歪補償用係数am(n)とを加算することにより現在の非線形歪補償用係数として係数更新処理を施し、前記非線形歪補償用複素信号変換回路へ出力する加算回路とを具備することにより、複素ベースバンド信号中の非線形歪 を補償することができる。
【0429】
また請求項2記載の発明によれば、m次歪(mは2以上の整数)成分量を推定する情報を示す非線形歪補償用係数am(n)に基づいて、複素ベースバンド信号x(n)のm次歪成分を除去する非線形歪補償用複素信号変換回路と理想受信点との誤差を算出す る誤差算出回路との間に、線形歪成分量を推定する情報を示す線形歪補償用係数に基づいて、線形歪成分を除去する線形歪補償用複素信号変換回路が存在する場合において、線形歪を補償するとともに複素ベースバンド信号中 の非線形歪を補償することができる。また前記非線形歪補償用係数更新回路が、前記位相補正の制御信号に対して逆回転を施す回路と、前記誤差信号と前記m次信号成分の複素共役と前記逆回転を施す回路の出力とステップパラメータとを乗算する乗算回路と、前記乗算回路の出力と前記非線形歪補償用係数am(n)とを加算することにより現在の非線形歪補償用係数として係数更新処理を施し、前記非線形歪補償用複素信号変換回路へ出力する加算回路とを具備することにより、複素ベースバンド信号中の非線形歪を補償することができる。
【0430】
また請求項3記載の発明によれば、請求項1〜2において、前記複素ベースバンド信号x(n)に対してm次の信号成分を生成する回路と、前記m次歪成分を生成する乗算回路と、前記複素ベースバンド信号x(n)から前記m次歪成分を除去する加算回路とを具備することにより、複素ベースバンド信号中の非線形歪 を補償することができる。
【0431】
また請求項4記載の発明によれば、請求項2において、前記非線形歪補償用係数更新回路が、前記m次信号成分に対して前記低域通過フィルタと同じフィルタリングを行うことにより、前記非線形歪補償用複素信号変換回路の出力が前記低域通過フィルタを通過することを考慮して、より精度高く複素ベースバンド信号中の非線形歪 を補償することができる。
【0432】
また請求項5記載の発明によれば、請求項2において、前記線形歪補償用複素信号変換回路が、前記低域通過フィルタの出力と前記線形歪補償用係数とを畳み込み演算することにより前記線形歪成分を除去し、前記非線形歪補償用係数更新回路は、前記m次信号成分に対して前記線形歪補償用複素信号変換回路と同じ畳み込み演算を行うことにより、前記非線形歪補償用複素信号変換回路の出力が前記線形歪補償用複素信号変換回路を通過することを考慮して、より精度高く複素ベースバンド信号中の非線形歪を補償することができる。
【0433】
また請求項6記載の発明によれば、請求項2において、前記線形歪補償用複素信号変換回路が、前記低域通過フィルタの出力と前記線形歪補償用係数とを畳み込み演算することにより前記線形歪成分を除去し、前記非線形歪補償用係数更新回路は、前記m次信号成分に対して前記低域通過フィルタと同じフィルタリングを行い、前記フィルタリングの出力に対して線形歪補償用複素信号変換回路と同じ畳み込み演算を行うことにより、前記非線形歪補償用複素信号変換回路の出力が前記低域通過フィルタと前記線形歪補償用複素信号変換回路を通過すること を考慮して、より精度高く複素ベースバンド信号中の非線形歪を補償することができる。
【0434】
また請求項7記載の発明によれば、m次歪(mは2以上の整数)成分量を推定する情報を示す非線形歪補償用係数am(n)に基づいて、前記OFDMベースバンド信号x(n)のm次歪成分を除去する非線形歪補償用複素信号変換回路と同期復調回路を設けることにより、同期キャリア変調されたOFDMベースバンド信号中の非線形歪 を補償することができる。
【0435】
また請求項8記載の発明によれば、m次歪(mは2以上の整数)成分量を推定する情報を示す非線形歪補償用係数am(n)に基づいて、前記OFDMベースバンド信号x(n)のm次歪成分を除去する非線形歪補償用複素信号変換回路と差動復調回路を設けることにより、差動キャリア変調されたOFDMベースバンド信号中の非線形歪 を補償することができる。
【0436】
また請求項9記載の発明によれば、請求項7〜8において、前記非線形歪補償用複素信号変換回路が、前記OFDMベースバンド信号x(n)に対してm次の信号成分を生成する回路と、前記m次歪成分を生成する乗算回路と、前記OFDMベースバンド信号x(n)から前記m次歪成分を除去する加算回路とを具備することにより、OFDMベースバンド信号中の非線形歪 を補償することができる。
【0437】
また請求項10記載の発明によれば、請求項7において、前記FFT回路の出力をH(k)で除算することによって同期復調を行うことにより、同期キャリア変調されたOFDMベースバンド信号中の非線形歪 を補償することができる。
【0438】
また請求項11記載の発明によれば、請求項10において、前記非線形歪補償用係数更新回路が、前記m次信号成分をFFT変換する回路と、前記誤差信号と前記FFT変換された前記m次信号成分の複素共役と前記伝送路特性H(k)とステップパラメータとを乗算する乗算回路と、前記乗算回路の出力と前記非線形歪補償用係数am(n)とを加算することにより現在の非線形歪補償用係数として係数更新処理を施し、前記非線形歪補償用複素信号変換回路へ出力する加算回路とを具備することにより、同期キャリア変調されたOFDMベースバンド信号中の非線形歪 を補償することができる。
【0439】
また請求項12記載の発明によれば、請求項8において、前記差動復調回路が、前記FFT回路の出力を前記1OFDM シンボル遅延した信号で、前記FFT回路の出力を除算することによって差動復調を行うことにより、差動キャリア変調されたOFDMベースバンド信号中の非線形歪 を補償することができる。
【0440】
また請求項13記載の発明によれば、請求項12において、前記非線形歪補償用係数更新回路が、前記m次信号成分をFFT変換する回路と、前記誤差信号と前記FFT変換された前記m次信号成分の複素共役と前記遅延回路の出力とステップパラメータとを乗算する乗算回路と、前記乗算回路の出力と前記非線形歪補償用係数am(n)とを加算することにより現在の非線形歪補償用係数として係数更新処理を施し、前記非線形歪補償用複素信号変換回路へ出力する加算回路とを具備することにより、差動キャリア変調されたOFDMベースバンド信号中の非線形歪 を補償することができる。
【0441】
また請求項14記載の発明によれば、請求項8において、前記差動復調回路が、前記FFT回路の出力を前記1OFDM シンボル遅延した信号の複素共役と、前記FFT回路の出力とを乗算することによって差動復調を行うことにより、差動キャリア変調されたOFDMベースバンド信号中の非線形歪 を補償することができる。
【0442】
また請求項15記載の発明によれば、請求項14において、前記非線形歪補償用係数更新回路が、前記m次信号成分をFFT変換する回路と、前記誤差信号と前記FFT変換された前記m次信号成分の複素共役とステップパラメータとを乗算する乗算回路と、前記乗算回路の出力を前記遅延回路の出力の複素共役で除算する除算回路と、前記除算回路の出力と前記非線形歪補償用係数am(n)とを加算することにより現在の非線形歪補償用係数として係数更新処理を施し、前記非線形歪補償用複素信号変換回路へ出力する加算回路とを具備することにより、差動キャリア変調されたOFDMベースバンド信号中の非線形歪 を補償することができる。
【0443】
また請求項16記載の発明によれば、請求項11、13、15において、前記非線形歪補償用係数更新回路の係数更新処理における前記FFT変換の出力に対して、c(c は2以上の整数)ポイント毎に1ポイントを用いて代表値とし、残りの(c-1) ポイントを前記代表値を用いて補間することに置き換えることにより、小さな回路規模でOFDMベースバンド信号中の非線形歪を補償することができる。
【0444】
また請求項17記載の発明によれば、請求項11、13、15において、前記非線形歪補償用係数更新回路の係数更新処理における前記FFT変換の入力に対して、cポイント(c は2以上の整数)毎に1ポイントを用いて1/c のポイント数のFFT変換を行って代表値とし、残りの(c-1) ポイントは前記代表値を用いて補間することに置き換えることにより、小さな回路規模で、かつ精度良くOFDMベースバンド信号中の非線形歪を補償することができる。
【0445】
また請求項18記載の発明によれば、m次歪(mは2以上の整数)成分量を推定する情報を示す非線形歪補償用係数am(n)に基づいて、複素ベースバンド信号x(n)のm次歪成分を除去する非線形歪補償用複素信号変換処理を行うことにより、複素ベースバンド信号中の非線形歪を補償することができる。
【0446】
また請求項19記載の発明によれば、m次歪(mは2以上の整数)成分量を推定する情報を示す非線形歪補償用係数am(n)に基づいて、複素ベースバンド信号x(n)のm次歪成分を除去する非線形歪補償用複素信号変換処理と理想受信点との誤差を算出する誤差算出処理の間に、線形歪成分量を推定する情報を示す線形歪補償用係数に基づいて、線形歪成分を除去する線形歪補償用複素信号変換処理を行う場合において、線形歪を補償するとともに複素ベースバンド信号中の非線形歪を補償することができる。
【0447】
また請求項20記載の発明によれば、m次歪(mは2以上の整数)成分量を推定する情報を示す非線形歪補償用係数am(n)に基づいて、前記OFDMベースバンド信号x(n)のm次歪成分を除去する非線形歪補償用複素信号変換処理を行い、同期復調処理を行うことにより、同期キャリア変調されたOFDMベースバンド信号中の非線形歪を補償することができる。
【0448】
また請求項21記載の発明によれば、m次歪(mは2以上の整数)成分量を推定する情報を示す非線形歪補償用係数am(n)に基づいて、前記OFDMベースバンド信号x(n)のm次歪成分を除去する非線形歪補償用複素信号変換処理を行い、差動復調回路を行うことにより、差動キャリア変調されたOFDMベースバンド信号中の非線形歪を補償することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1における非線形歪等化回路の全体構成を示すブロック図である。
【図2】 実施の形態1における非線形歪補償用複素信号変換回路の構成を示すブロック図である。
【図3】 実施の形態1におけると非線形歪補償用係数更新回路の構成を示すブロック図である。
【図4】 実施の形態1における3次歪補償用係数a3(n) 更新の様子を示す説明図である。
【図5】 実施の形態1におけるルートロールオフコサインフィルタの構成を示すブロック図である。
【図6】 実施の形態1における非線形歪補償用係数更新回路の構成を示す他の一例のブロック図である。
【図7】 実施の形態1における非線形歪補償用複素信号変換回路の構成を示す他の一例のブロック図である。
【図8】 実施の形態1におけると非線形歪補償用係数更新回路の構成を示す他の一例のブロック図である。
【図9】 本発明の実施の形態2における非線形歪等化回路の全体構成を示すブロック図である。
【図10】 実施の形態2における非線形歪補償用係数更新回路の構成を示すブロック図である。
【図11】 実施の形態2における非線形歪補償用係数更新回路の構成を示す他の一例のブロック図である。
【図12】 実施の形態2における非線形歪補償用複素信号変換回路と非線形歪補償用係数更新回路の構成を示す他の一例のブロック図である。
【図13】 本発明の実施の形態3における非線形歪等化回路の全体構成を示すブロック図である。
【図14】 実施の形態3における線形歪補償用複素信号変換回路の構成を示すブロック図である。
【図15】 実施の形態3におけると線形歪補償用係数更新回路の構成を示すブロック図である。
【図16】 実施の形態3における非線形歪補償用係数更新回路の構成を示すブロック図である。
【図17】 実施の形態3における非線形歪補償用係数更新回路の構成を示す他の一例のブロック図である。
【図18】 実施の形態3における非線形歪補償用係数更新回路の構成を示す他の一例のブロック図である。
【図19】 実施の形態3における非線形歪補償用係数更新回路の構成を示す他の一例のブロック図である。
【図20】 実施の形態3における線形歪補償用複素信号変換回路と非線形歪補償用係数更新回路の構成を示す他の一例のブロック図である。
【図21】 本発明の実施の形態4における非線形歪等化回路の全体構成を示すブロック図である。
【図22】 実施の形態4における線形歪補償用複素信号変換回路と線形歪補償用係数更新回路の構成を示すブロック図である。
【図23】 実施の形態4における非線形歪補償用係数更新回路の構成を示すブロック図である。
【図24】 実施の形態4における非線形歪補償用係数更新回路の構成を示す他の一例のブロック図である。
【図25】 実施の形態4における非線形歪補償用係数更新回路の構成を示す他の一例のブロック図である。
【図26】 実施の形態4における非線形歪補償用係数更新回路の構成を示す他の一例のブロック図である。
【図27】 実施の形態4における非線形歪補償用複素信号変換回路と非線形歪補償用係数更新回路の構成を示す他の一例のブロック図である。
【図28】 実施の形態5における非線形歪等化回路の全体構成を示すブロック図である。
【図29】 実施の形態5における非線形歪補償用係数更新回路の構成を示すブロック図である。
【図30】 実施の形態5におけるバタフライ演算回路の構成を示すブロック図である。
【図31】 実施の形態5におけるFFT回路の構成を示すブロック図である。
【図32】 実施の形態5におけるFFT回路の動作の一例を示す説明図である。
【図33】 実施の形態5における非線形歪補償用係数更新回路の構成を示す他の一例のブロック図である。
【図34】 実施の形態5におけるバタフライ演算回路の構成を示す他の一例のブロック図である。
【図35】 実施の形態5におけるFFT回路の構成を示す他の一例のブロック図である。
【図36】 実施の形態5におけるFFT回路の動作を示す他の一例の説明図である。
【図37】 実施の形態5における非線形歪等化回路の全体構成を示す他の一例のブロック図である。
【図38】 実施の形態5における非線形歪補償用係数更新回路の構成を示す他の一例のブロック図である。
【図39】 実施の形態5におけるFFT回路の構成を示す他の一例のブロック図である。
【図40】 実施の形態5におけるFFT回路の動作を示す他の一例の説明図(その1)である。
【図41】 実施の形態5におけるFFT回路の動作を示す他の一例の説明図(その2)である。
【図42】 実施の形態5におけるFFT回路の動作を示す他の一例の説明図(その3)である。
【図43】 実施の形態5におけるFFT回路の動作を示す他の一例の説明図(その4)である。
【図44】 実施の形態5における非線形歪補償用係数更新回路の構成を示す他の一例のブロック図である。
【図45】 実施の形態5における非線形歪等化回路の全体構成を示す他の一例のブロック図である。
【図46】 実施の形態5における遅延プロファイル算出方法を示す説明図(その1)である。
【図47】 実施の形態5における遅延プロファイル算出方法を示す説明図(その2)である。
【図48】 実施の形態5における非線形歪等化回路の全体構成を示す他の一例のブロック図である。
【図49】 実施の形態5における非線形歪補償用係数更新回路の構成を示す他の一例のブロック図である。
【図50】 実施の形態5における非線形歪補償用係数更新回路の構成を示す他の一例のブロック図である。
【図51】 実施の形態5における非線形歪補償用係数更新回路の構成を示す他の一例のブロック図である。
【図52】 実施の形態5における非線形歪補償用係数更新回路の構成を示す他の一例のブロック図である。
【図53】 実施の形態5における非線形歪等化回路の全体構成を示す他の一例のブロック図である。
【図54】 実施の形態5における非線形歪等化回路の全体構成を示す他の一例のブロック図である。
【図55】 実施の形態5における非線形歪補償用係数更新回路の構成を示す他の一例のブロック図である。
【図56】 実施の形態5における非線形歪補償用係数更新回路の構成を示す他の一例のブロック図である。
【図57】 実施の形態5における非線形歪補償用係数更新回路の構成を示す他の一例のブロック図である。
【図58】 実施の形態5におけるFFT回路の構成を示す他の一例のブロック図である。
【図59】 実施の形態5におけるFFT回路の動作を示す他の一例の説明図(その1)である。
【図60】 実施の形態5におけるFFT回路の動作を示す他の一例の説明図(その2)である。
【図61】 実施の形態5におけるFFT回路の動作を示す他の一例の説明図(その3)である。
【図62】 実施の形態5におけるFFT回路の動作を示す他の一例の説明図(その4)である。
【図63】 実施の形態5における非線形歪補償用係数更新回路の構成を示す他の一例のブロック図である。
【図64】 実施の形態5における非線形歪補償用係数更新回路の構成を示す他の一例のブロック図である。
【図65】 実施の形態5における非線形歪補償用係数更新回路の構成を示す他の一例のブロック図である。
【図66】 実施の形態5における非線形歪補償用係数更新回路の構成を示す他の一例のブロック図である。
【図67】 実施の形態5における非線形歪補償用係数更新回路の構成を示す他の一例のブロック図である。
【図68】 実施の形態6における非線形歪等化回路の全体構成を示すブロック図である。
【図69】 実施の形態6における非線形歪等化回路の全体構成を示す他の一例のブロック図である。
【図70】 実施の形態6における非線形歪等化回路の全体構成を示す他の一例のブロック図である。
【図71】 実施の形態6における非線形歪等化回路の全体構成を示す他の一例のブロック図である。
【図72】 実施の形態6における非線形歪等化回路の全体構成を示す他の一例のブロック図である。
【図73】 実施の形態7における非線形歪等化回路の全体構成を示すブロック図である。
【図74】 実施の形態7における非線形歪補償用係数更新回路の構成を示すブロック図である。
【図75】 実施の形態7における非線形歪等化回路の全体構成を示す他の一例のブロック図である。
【図76】 実施の形態7における非線形歪補償用係数更新回路の構成を示す他の一例のブロック図である。
【図77】 実施の形態7における非線形歪等化回路の全体構成を示す他の一例のブロック図である。
【図78】 実施の形態7における非線形歪等化回路の全体構成を示す他の一例のブロック図である。
【図79】 実施の形態7における非線形歪補償用係数更新回路の構成を示す他の一例のブロック図である。
【図80】 実施の形態7における非線形歪補償用係数更新回路の構成を示す他の一例のブロック図である。
【図81】 実施の形態7における非線形歪等化回路の全体構成を示す他の一例のブロック図である。
【図82】 実施の形態7における非線形歪補償用係数更新回路の構成を示す他の一例のブロック図である。
【図83】 実施の形態7における非線形歪補償用係数更新回路の構成を示す他の一例のブロック図である。
【図84】 実施の形態7における非線形歪補償用係数更新回路の構成を示す他の一例のブロック図である。
【図85】 実施の形態7における非線形歪補償用係数更新回路の構成を示す他の一例のブロック図である。
【図86】 実施の形態7におけるFFT変換の補間方法を示す説明図(その1)である。
【図87】 実施の形態7におけるFFT変換の補間方法を示す説明図(その2)である。
【図88】 実施の形態7におけるFFT変換の補間方法を示す説明図(その3)である。
【図89】 実施の形態7におけるFFT変換の補間方法を示す説明図(その4)である。
【図90】 実施の形態7におけるFFT変換の補間方法を示す説明図(その5)である。
【図91】 実施の形態7におけるFFT変換の補間方法を示す説明図(その6)である。
【図92】 実施の形態7におけるFFT変換の補間方法を示す説明図(その7)である。
【図93】 実施の形態7におけるFFT変換の補間方法を示す説明図(その8)である。
【図94】 本発明の効果を示すコンピュータシミュレーションの結果である。
【図95】 従来例による非線形補償等化器の全体構成を示すブロック図である。
【図96】 従来例による非線形補償等化器の部分構成図である。
【図97】 図28と図33の非線形歪等化回路501の主要構成要素を整理したブロック図である。
【図98】 非線形歪等化回路501の第1の変形例を示すブロック図である。
【図99】 非線形歪等化回路501の第2の変形例を示すブロック図である。
【図100】 非線形歪等化回路501の第3の変形例を示すブロック図である。
【符号の説明】
101,201,301,401,501,571,601,611,651,661,801,811,821,831,841,
901,911,921,931,941,951,961,
971,981,991 非線形歪等化回路
102,161 非線形歪補償用複素信号変換回路
103 ルートロールオフコサインフィルタ
104 誤差算出回路
105,151,162,202,221,231,302,331,341,351,361,402,411,421,431,441,506,541,573,591,612,621,631,641, 671,681,691,711,721,731,741,751,905,912,932 非線形歪補償用係数更新回路
106 スライサ
107 複素減算器
108 準同期検波回路
109 直交検波器
110 基準搬送波発生器
111 搬送波再生回路
112 位相誤差検出器
113 低域通過フィルタ
114 数値制御発振器
115,127,132,144,145,146,165,166,213,313,314,315,904 複素乗算器
116 C/N算出回路
121 複素3乗回路
122,123,125,126,134,135 乗算器
124,136,137 加算器
128,147,167,316,522 複素加算器
129,138,139,141,142,143,311,312,317,318,321,332 遅延素子
163 複素K乗回路
164 複素2乗回路
130 LMS回路
131,212 減算器
133 ステップパラメータ制御回路
211 位相回転補正回路
303 線形歪補償用複素信号変換回路
304,403 線形歪補償用係数更新回路
319 センタタップ係数監視回路
502,561,572,692 FFT回路
503 同期復調回路
504 伝送路特性算出回路
505 複素除算器
511 係数更新制御回路
521,551 バタフライ演算回路
523 回転演算子
531,562,581,582,701,702,703 S/P変換回路
532,563,583,584,704,705,706 P/S変換回路
585,632,707,742 セレクタ
802,902 差動復調回路
803 1シンボル遅延回路
903 複素共役回路

Claims (21)

  1. 複素ベースバンド信号x(n)中の波形歪を補償する非線形歪等化回路であって、
    m次歪(mは2以上の整数)成分量を推定する情報を示す非線形歪補償用係数am(n)に基づいて、前記複素ベースバンド信号x(n)のm次歪成分を除去する非線形歪補償用複素信号変換回路と、
    前記非線形歪補償用複素信号変換回路の出力の低域成分のみを通過させる低域通過フィルタと、
    前記低域通過フィルタの出力の位相誤差e -jp(n) を検出し、制御信号e jp(n) に基づいて位相補正を行い、位相同期を確立する搬送波再生回路と、
    前記搬送波再生回路の出力と理想受信点との誤差を算出する誤差算出回路と、
    前記誤差算出回路の出力する誤差信号と前記搬送波再生回路で行われる位相補正の制御信号e jp(n) とに基づいて、前記m次歪成分量を推定する情報を示す前記非線形歪補償用係数am(n)を生成し、前記非線形歪補償用複素信号変換回路へ出力する非線形歪補償用係数更新回路と、を具備し、
    前記非線形歪補償用係数更新回路は、
    前記搬送波再生回路における位相補正の制御信号e jp(n) に対して逆回転の位相補正を与える信号e -jp(n) を生成して出力する回路と、
    前記複素ベースバンド信号x(n)に対して、同一位相で振幅をm乗することによりm次信号成分を生成する複素m乗回路と、
    前記誤差算出回路が出力する誤差信号と前記m次信号成分の複素共役と前記逆回転の位相補正を与える信号e -jp(n) とステップパラメータとを乗算する乗算回路と、
    前記乗算回路の出力と前記非線形歪補償用係数am(n)とを加算することにより現在の非線形歪補償用係数として係数更新処理を施し、前記非線形歪補償用複素信号変換回路へ出力する加算回路とを具備することを特徴とする非線形歪等化回路。
  2. 複素ベースバンド信号x(n)中の波形歪を補償する非線形歪等化回路であって、
    m次歪(mは2以上の整数)成分量を推定する情報を示す非線形歪補償用係数am(n)に基づいて、前記複素ベースバンド信号x(n)のm次歪成分を除去する非線形歪補償用複素信号変換回路と、
    前記非線形歪補償用複素信号変換回路の出力の低域成分のみを通過させる低域通過フィルタと、
    線形歪成分量を推定する情報を示す線形歪補償用係数に基づいて、前記低域通過フィルタの出力から線形歪成分を除去する線形歪補償用複素信号変換回路と、
    前記線形歪補償用複素信号変換回路の出力の位相誤差e -jp(n) を検出し、制御信号e jp(n) に基づいて位相補正を行い、位相同期を確立する搬送波再生回路と、
    前記搬送波再生回路の出力と理想受信点との誤差を算出する誤差算出回路と、
    前記誤差算出回路の出力する誤差信号と前記搬送波再生回路で行われる位相補正の制御信号e jp(n) とに基づいて、前記線形歪成分量を推定する情報を示す前記線形歪補償用係数を生成して前記線形歪補償用複素信号変換回路へ出力する線形歪補償用係数更新回路と、
    前記誤差算出回路の出力する誤差信号と前記搬送波再生回路で行われる位相補正の制御信号e jp(n) とに基づいて、前記m次歪成分量を推定する情報を示す前記非線形歪補償用係数am(n)を生成し、前記非線形歪補償用複素信号変換回路へ出力する非線形歪補償用係数更新回路と、を具備し、
    前記非線形歪補償用係数更新回路は、
    前記搬送波再生回路における位相補正の制御信号e jp(n) に対して逆回転の位相補正を与える信号e -jp(n) を生成して出力する回路と、
    前記複素ベースバンド信号x(n)に対して、同一位相で振幅をm乗することによりm次信号成分を生成する複素m乗回路と、
    前記誤差算出回路が出力する誤差信号と前記m次信号成分の複素共役と前記逆回転の位相補正を与える信号e -jp(n) とステップパラメータとを乗算する乗算回路と、
    前記乗算回路の出力と前記非線形歪補償用係数am(n)とを加算することにより現在の非線形歪補償用係数として係数更新処理を施し、前記非線形歪補償用複素信号変換回路へ出力する加算回路とを具備することを特徴とする非線形歪等化回路。
  3. 前記非線形歪補償用複素信号変換回路は、
    前記複素ベースバンド信号x(n)に対して、同一位相で振幅をm乗することによりm次の信号成分を生成する回路と、
    前記m次の信号成分と前記非線形歪補償用係数am(n)とを乗算することにより前記m次歪成分を生成する乗算回路と、
    前記乗算回路の出力と前記複素ベースバンド信号x(n)とを加算することにより前記複素ベースバンド信号x(n)から前記m次歪成分を除去する加算回路とを具備する請求項1または2のいずれか1項記載の非線形歪等化回路。
  4. 前記非線形歪補償用係数更新回路は、前記m次信号成分に対して前記低域通過フィルタと同じフィルタリングを行い、
    前記非線形歪補償用係数更新回路における前記乗算回路は、前記誤差算出回路が出力する誤差信号と前記フィルタリングの出力の複素共役と前記逆回転を施す回路の出力とステップパラメータとを乗算する請求項2記載の非線形歪等化回路。
  5. 前記線形歪補償用複素信号変換回路は、前記低域通過フィルタの出力と前記線形歪補償用係数とを畳み込み演算することにより前記線形歪成分を除去し、
    前記非線形歪補償用係数更新回路は前記m次信号成分に対して前記線形歪補償用複素信号変換回路と同じ畳み込み演算を行い、
    前記非線形歪補償用係数更新回路における前記乗算回路は、前記誤差算出回路が出力する誤差信号と前記畳み込み演算の出力の複素共役と前記逆回転を施す回路の出力とステップパラメータとを乗算する請求項2記載の非線形歪等化回路。
  6. 前記線形歪補償用複素信号変換回路は、前記低域通過フィルタの出力と前記線形歪補償用係数とを畳み込み演算することにより前記線形歪成分を除去し、
    前記非線形歪補償用係数更新回路は前記m次信号成分に対して前記低域通過フィルタと同じフィルタリングを行い、前記フィルタリングの出力に対して線形歪補償用複素信号変換回路と同じ畳み込み演算を行い、
    前記非線形歪補償用係数更新回路における前記乗算回路は、前記誤差算出回路が出力する誤差信号と前記畳み込み演算の出力の複素共役と前記逆回転を施す手段の出力とステップパラメータとを乗算する請求項2記載の非線形歪等化回路。
  7. 同期キャリア変調されたOFDMベースバンド信号x(n)中の波形歪を補償する非線形歪等化回路であって、
    m次歪(mは2以上の整数)成分量を推定する情報を示す非線形歪補償用係数am(n)に基づいて、前記OFDMベースバンド信号x(n)のm次歪成分を除去する非線形歪補償用複素信号変換回路と、
    前記非線形歪補償用複素信号変換回路の出力をFFT変換するFFT回路と、
    前記FFT回路の出力を用いて伝送路特性H(k)を算出し、前記FFT回路の出力とH(k)に基づいて同期復調を行う同期復調回路と、
    前記同期復調回路の出力と理想受信点との誤差を算出する誤差算出回路と、
    前記誤差算出回路の出力する誤差信号と前記同期復調回路で算出した伝送路特性H(k)とに基づいて、前記m次歪成分量を推定する情報を示す前記非線形歪補償用係数am(n)を生成して前記非線形歪補償用複素信号変換回路へ出力する非線形歪補償用係数更新回路と、を具備することを特徴とする非線形歪等化回路。
  8. 差動キャリア変調されたOFDMベースバンド信号x(n)中の波形歪を補償する非線形歪等化回路であって、
    m次歪(mは2以上の整数)成分量を推定する情報を示す非線形歪補償用係数am(n)に基づいて、前記OFDMベースバンド信号x(n)のm次歪成分を除去する非線形歪補償用複素信号変換回路と、
    前記非線形歪補償用複素信号変換回路の出力をFFT変換するFFT回路と、
    前記FFT回路の出力と、前記FFT回路の出力を1OFDM シンボル遅延した信号を用いて差動復調を行う差動復調回路と、
    前記差動復調回路の出力と理想受信点との誤差を算出する誤差算出回路と、
    前記誤差算出回路の出力する誤差信号と前記差動復調回路における前記FFT回路の出力を1OFDM シンボル遅延した信号とに基づいて、前記m次歪成分量を推定する情報を示す前記非線形歪補償用係数am(n)を生成して前記非線形歪補償用複素信号変換回路へ出力する非線形歪補償用係数更新回路と、を具備することを特徴とする非線形歪等化回路。
  9. 前記非線形歪補償用複素信号変換回路は、
    前記OFDMベースバンド信号x(n)に対して、同一位相で振幅をm乗することによりm次の信号成分を生成する回路と、
    前記m次の信号成分と前記非線形歪補償用係数am(n)とを乗算することにより前記m次歪成分を生成する乗算回路と、
    前記乗算回路の出力と前記OFDMベースバンド信号x(n)とを加算することにより前記OFDM ベースバンド信号x(n)から前記m次歪成分を除去する加算回路とを具備する請求項7または8のいずれか1項記載の非線形歪等化回路。
  10. 前記同期復調回路は、前記FFT回路の出力をH(k)で除算することによって同期復調を行うことを特徴とする請求項7記載の非線形歪等化回路。
  11. 前記非線形歪補償用係数更新回路は、
    前記OFDMベースバンド信号x(n)に対して、同一位相で振幅をm乗することによりm次信号成分を生成する複素m乗回路と、
    前記m次信号成分をFFT変換する回路と、
    前記誤差算出回路が出力する誤差信号と前記FFT変換された前記m次信号成分の複素共役と前記伝送路特性H(k)とステップパラメータとを乗算する乗算回路と、
    前記乗算回路の出力と前記非線形歪補償用係数am(n)とを加算することにより現在の非線形歪補償用係数として係数更新処理を施し、前記非線形歪補償用複素信号変換回路へ出力する加算回路とを具備し、
    前記非線形歪補償用係数更新回路の係数更新処理は、fを1以上の整数とするとき、f OFDMシンボル毎に1OFDM シンボルのみ係数更新を行うことを特徴とする請求項10記載の非線形歪等化回路。
  12. 前記差動復調回路は、前記FFT回路の出力を前記1OFDM シンボル遅延した信号で、前記FFT回路の出力を除算することによって差動復調を行うことを特徴とする請求項8記載の非線形歪等化回路。
  13. 前記非線形歪補償用係数更新回路は、
    前記OFDMベースバンド信号x(n)に対して、同一位相で振幅をm乗することによりm次信号成分を生成する複素m乗回路と、
    前記m次信号成分をFFT変換する回路と、
    前記誤差算出回路が出力する誤差信号と前記FFT変換された前記m次信号成分の複素共役と前記FFT回路の出力を前記1OFDM シンボル遅延した信号とステップパラメータとを乗算する乗算回路と、
    前記乗算回路の出力と前記非線形歪補償用係数am(n)とを加算することにより現在の非線形歪補償用係数として係数更新処理を施し、前記非線形歪補償用複素信号変換回路へ出力する加算回路とを具備し、
    前記非線形歪補償用係数更新回路の係数更新処理は、fを1以上の整数とするとき、f O FDMシンボル毎に1OFDM シンボルのみ係数更新を行うことを特徴とする請求項12記載の非線形歪等化回路。
  14. 前記差動復調回路は、前記FFT回路の出力を前記1OFDM シンボル遅延した信号の複素共役と、前記FFT回路の出力とを乗算することによって差動復調を行うことを特徴とする請求項8記載の非線形歪等化回路。
  15. 前記前記非線形歪補償用係数更新回路は、
    前記OFDMベースバンド信号x(n)に対して、同一位相で振幅をm乗することによりm次信号成分を生成する複素m乗回路と、
    前記m次信号成分をFFT変換する回路と、
    前記誤差算出回路が出力する誤差信号と前記FFT変換された前記m次信号成分の複素共役とステップパラメータとを乗算する乗算回路と、
    前記乗算回路の出力を、前記FFT回路の出力を前記1OFDM シンボル遅延した信号の複素共役で除算する除算回路と、
    前記除算回路の出力と前記非線形歪補償用係数am(n)とを加算することにより現在の非線形歪補償用係数として係数更新処理を施し、前記非線形歪補償用複素信号変換回路へ出力する係数更新処理を施す加算回路とを具備し、
    前記非線形歪補償用係数更新回路の係数更新処理は、f を1以上の整数とするとき、f OFDMシンボル毎に1OFDM シンボルのみ係数更新を行うことを特徴とする請求項14記載の非線形歪等化回路。
  16. 前記非線形歪補償用係数更新回路の係数更新処理における前記FF T変換の出力に対して、c(c は2以上の整数)ポイント毎に1ポイントを用いて代表値とし、残りの(c-1) ポイントを前記代表値を用いて補間することに置き換えたことを特徴とする請求項11、13、15のいずれか1項記載の非線形歪等化回路。
  17. 前記非線形歪補償用係数更新回路の係数更新処理における前記FFT変換の入力に対して、c ポイント(c は2以上の整数)毎に1ポイントを用いて1/c のポイント数のFFT変換を行って代表値とし、残りの(c-1) ポイントは前記代表値を用いて補間することに置き換えたものとする請求項11、13、15のいずれか1項記載の非線形歪等化回路。
  18. 複素ベースバンド信号x(n)中の波形歪を補償する非線形歪等化方法であって、
    m次歪(mは2以上の整数)成分量を推定する情報を示す非線形歪補償用係数am(n)に基づいて、前記複素ベースバンド信号x(n)のm次歪成分を除去する非線形歪補償用複素信号変換処理を行い、
    前記非線形歪補償用複素信号変換処理の出力の低域成分のみを通過させる低域通過フィルタリング処理を行い、
    前記低域通過フィルタリング処理出力の位相誤差e -jp(n) を検出し、制御信号e jp(n) に基づいて位相補正を行い、位相同期の確立を行う搬送波再生処理を行い、
    前記搬送波再生処理出力と理想受信点との誤差信号を算出し、
    前記誤差信号と前記搬送波再生処理で行われる位相補正の制御信号e jp(n) とに基づいて、前記m次歪成分量を推定する情報を示す非線形歪補償用係数am(n)を生成して前記非線形歪補償用複素信号変換処理へ出力し、
    前記非線形歪補償用係数の生成処理は、
    前記搬送波再生回路における位相補正の制御信号e jp(n) に対して逆回転の位相補正を与える信号e -jp(n) を生成して出力し、
    前記複素ベースバンド信号x(n)に対して、同一位相で振幅をm乗することによりm次信号成分を生成し
    前記誤差信号と前記m次信号成分の複素共役と前記逆回転の位相補正を与える信号e -jp(n) とステップパラメータとを乗算し、
    前記乗算出力と前記非線形歪補償用係数am(n)とを加算することにより現在の非線形歪補償用係数として係数更新処理を施すことを特徴とする非線形歪等化方法。
  19. 複素ベースバンド信号x(n)中の波形歪を補償する非線形歪等化方法であって、
    m次歪(mは2以上の整数)成分量を推定する情報を示す非線形歪補償用係数am(n)に基づいて、前記複素ベースバンド信号x(n)のm次歪成分を除去する非線形歪補償用複素信号変換処理を行い、
    前記非線形歪補償用複素信号変換処理の出力の低域成分のみを通過させる低域通過フィルタリング処理を行い、
    線形歪成分量を推定する情報を示す線形歪補償用係数に基づいて、前記低域通過フィルタの出力から線形歪成分を除去する線形歪補償用複素信号変換処理を行い、
    前記線形歪等化信号の位相誤差e -jp(n) を検出し、制御信号e jp(n) に基づいて位相補正を行い、位相同期の確立を行う搬送波再生処理を行い、
    前記搬送波再生処理出力と理想受信点との誤差信号を算出し、
    前記誤差信号と前記搬送波再生処理で行われる位相補正の制御信号e jp(n) とに基づいて、前記線形歪成分量を推定する情報を示す前記線形歪補償用係数を生成して前記線形歪補償用複素信号変換回路へ出力する線形歪補償用係数更新処理を行い、
    前記誤差信号と前記搬送波再生処理で行われる位相補正の制御信号e jp(n) とに基づいて、前記m次歪成分量を推定する情報を示す非線形歪補償用係数am(n)を生成して前記非線形歪補償用複素信号変換処理へ出力し、
    前記非線形歪補償用係数の生成処理は、
    前記搬送波再生回路における位相補正の制御信号e jp(n) に対して逆回転の位相補正を与える信号e -jp(n) を生成して出力し、
    前記複素ベースバンド信号x(n)に対して、同一位相で振幅をm乗することによりm次信号成分を生成し、
    前記誤差信号と前記m次信号成分の複素共役と前記逆回転の位相補正を与える信号e -jp(n) とステップパラメータとを乗算し、
    前記乗算出力と前記非線形歪補償用係数am(n)とを加算することにより現在の非線形歪補償用係数として係数更新処理を施すことを特徴とする非線形歪等化方法。
  20. 同期キャリア変調されたOFDMベースバンド信号x(n)中の波形歪を補償する非線形歪等化方法であって、
    m次歪(mは2以上の整数)成分量を推定する情報を示す非線形歪補償用係数am(n)に基づいて、前記OFDMベースバンド信号x(n)のm次歪成分を除去する非線形歪補償用複素信号変換処理を行い、
    前記非線形歪補償用複素信号変換処理の出力をFFT変換するFFT処理を行い、
    前記FFT処理出力を用いて伝送路特性H(k)を算出し、前記FFT処理出力をH(k) に基づいて同期復調処理を行い、
    前記同期復調処理出力と理想受信点とから誤差信号を算出し、
    前記誤差信号と前記同期復調処理で算出した伝送路特性H(k)とに基づいて、前記m次歪成分量を推定する情報を示す前記非線形歪補償用係数am(n)を生成して前記非線形歪補償用複素信号変換処理へ出力することを特徴とする非線形歪等化方法。
  21. 差動キャリア変調されたOFDMベースバンド信号x(n)中の波形歪を補償する非線形歪等化方法であって、
    m次歪(mは2以上の整数)成分量を推定する情報を示す非線形歪補償用係数am(n)に基づいて、前記OFDMベースバンド信号x(n)のm次歪成分を除去する非線形歪補償用複素信号変換処理を行い、
    前記非線形歪補償用複素信号変換処理の出力をFFT変換するFFT処理を行い、
    前記FFT処理出力と、前記FFT処理出力を1OFDM シンボル遅延した信号を用いて差動復調を行う差動復調処理を行い、
    前記差動復調処理出力と理想受信点との誤差を算出し、
    前記誤差信号と前記差動復調処理における前記FFT処理出力を1OFDM シンボル遅延した信号とに基づいて、前記m次歪成分量を推定する情報を示す前記非線形歪補償用係数am(n)を生成して前記非線形歪補償用複素信号変換処理へ出力することを特徴とする非線形歪等化方法。
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