JP4458902B2 - 自動二輪車におけるバッテリ配置構造 - Google Patents

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本発明は、自動二輪車におけるバッテリ配置構造の改良に関する。
エンジン本体の上方に燃料タンクが配置され、その燃料タンクの後方に配置されるエアクリーナに隣接してバッテリが配置されるようにした自動二輪車が、特許文献1で知られている。
特公昭62−16873号公報
上記特許文献1で開示されたものでは、自動二輪車において限られたスペースを有効に活用すべく、バッテリがエアクリーナの側壁との間にエア吸入通路を形成するようにしてエアクリーナに隣接配置されるのであるが、このようなバッテリの配置構造によれば、重量が比較的大きくなるバッテリが、車体重心から離れてしまい、重心位置が分散してしまう。しかるに自動二輪車の運動性能向上のためには重量物を集中配置することが望まれる。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、重量物の集中配置によって運動性能の向上を図り得るようにした自動二輪車におけるバッテリ配置構造を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、車体フレームが、ヘッドパイプから後方に延びる左右一対のメインフレームを備えると共に、該メインフレームの下方にエンジン本体が配置され前記エンジン本体の上方で左右一対のメインフレーム間にエアクリーナが配置されると共に、該エアクリーナの後方で且つ前記エンジン本体の上方に燃料タンクの前部が、該エンジン本体の後端よりも前側に張り出すように配置され、その燃料タンクとエアクリーナとの間で且つ前記エンジン本体の上方にバッテリが配置されてなる自動二輪車におけるバッテリ配置構造であって、
前記燃料タンクには、前記エアクリーナ側に向けて開放する凹部が設けられていて、その凹部に前記バッテリが配置されることを特徴とする。
また請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成に加えて、前記バッテリを収納するバッテリケースの前部および後部が、車体フレームの一部を構成するシートレールに取付けられることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明の構成に加えて、前記バッテリケースの前部が、左右一対の前記シートレールの前部間を連結する支持ブラケットに取付けられることを特徴とする。
さらに請求項4記載の発明は、請求項2記載の発明の構成に加えて、前記燃料タンクの前部を取り付けるようにして前記シートレールに設けられるタンク支持部に、前記バッテリケースの後部が取付けられることを特徴とする。
請求項1記載の発明の構成によれば、左右一対のメインフレームの下方にエンジン本体が配置される自動二輪車において、エンジン本体の上方で左右一対のメインフレーム間にエアクリーナが配置されると共に、エアクリーナの後方で且つエンジン本体の上方に燃料タンクの前部が、エンジン本体後端よりも前側に張り出すように配置され、その燃料タンクとエアクリーナとの間で且つエンジン本体の上方にバッテリが配置されるので、重量物をエンジン本体の近傍に集中して配置することが可能となり、自動二輪車の運動性能向上に寄与することができる。また燃料タンクには、エアクリーナ側に向けて開放する凹部が設けられていて、その凹部に前記バッテリが配置される。
また請求項2〜4記載の各発明によれば、バッテリケースをエアクリーナおよび燃料タンク間に固定配置するための専用構造を不要としてバッテリケースを支持することができる。
以下、本発明の実施形態を、添付図面に示す本発明の一実施例に基づいて説明する。
図1〜図7は本発明の一実施例を示すものであり、図1は自動二輪車の側面図、図2はカバーを省略した状態での図1の要部拡大図、図3は図2の3−3線断面図、図4は図2の4−4線断面図、図5は図2の5矢視図、図6は図5の6−6線断面図、図7は図6の7−7線断面図である。
先ず図1において、この自動二輪車の車体フレームFは、前輪WFを軸支するフロントフォーク11を操向可能に支承するヘッドパイプ12と、該ヘッドパイプ12から後ろ下がりに延びる左右一対のメインフレーム13…と、ヘッドパイプ12および両メインフレーム13…の前部に溶接されてメインフレーム13…から下方に延びる左右一対のエンジンハンガ14…と、メインフレーム13…の後部から下方に延びる左右一対のピボットプレート15…と、後ろ上がりに延びて前記両メインフレーム13…の後部に連結される左右一対のシートレール16…とを備え、シートレール16…は、カーボン繊維を用いた繊維強化樹脂によって車体カバーの一部を構成するように形成され、両シートレール16…の後端は相互に連結される。
前記両エンジンハンガ14…の下部、前記メインフレーム13…の中間部ならびにピボットプレート15…の上部および下部には、前部バンクBFおよび後部バンクBRを有したV型のエンジン本体17が支持されており、このエンジン本体17は、たとえば前部バンクBFを3気筒、後部バンクBRを2気筒とした5気筒に構成される。
前記両ピボットプレート15…の上下方向中間部には、スイングアーム18の前端部が支軸19を介して揺動可能に支承されており、このスイングアーム18の後端部に後輪WRの車軸20が回転自在に支承される。
前記エンジン本体17に内蔵された変速機の出力軸21からの動力は、チェーン伝動手段22を介して後輪WRに伝達されるものであり、該チェーン伝動手段22は、前記出力軸20に固定される駆動スプロケット23と、後輪WRに固定される被動スプロケット24と、それらのスプロケット23,24に巻掛けられる無端状のチェーン25とで構成される。
前記スイングアーム18の前部には、リヤクッションユニット26の上端部が連結されており、このリヤクッションユニット26の下端部は、リンク機構27を介して前記両ピボットプレート15…の下部に連結される。
エンジン本体17における前部および後部バンクBF,BRの上方にはエアクリーナ29が配置され、このエアクリーナ29の後方で前記エンジン本体17を上方から覆う燃料タンク30の前部および後部が前記シートレール16に支持され、エアクリーナ29および燃料タンク30間にバッテリ31が配置される。また燃料タンク30の後方でシートレール16…上にはライダーを座乗させるためのシート32が支持される。
前部バンクBFのシリンダヘッド28Fに各気筒毎に連なる第1個別排気管33F…は、エンジン本体17の下方を後輪WR側に延設され、各第1個別排気管33F…は第1集合排気管34Fに共通に接続される。またシートレール16には後輪WRの上部右側に配置される第1排気マフラー35Fが支持されており、前記第1集合排気管34Fの下流端は第1排気マフラー35Fに接続される。後部バンクBRのシリンダヘッド28Rに各気筒毎に連なる第2個別排気管33R…は、リヤクッションユニット26の上方を通って後方に延出され、各第2個別排気管33R…は第2集合排気管34Rに共通に接続される。また第2集合排気管34Rの下流端は、シートレール16に支持される第2排気マフラー35Rに接続される。
ところでヘッドパイプ12の前方は、フロントカウル36で覆われ、車体の前部両側が、前記フロントカウル36に連なる左右一対のセンターカウル37…で覆われ、エンジン本体17の一部および前部バンクBFのシリンダヘッド28Fに連なる第1個別排気管33F…を両側から覆うロアカウル38…がセンターカウル37…に連設される。しかもフロントカウル36、センターカウル37…およびロアカウル38…は、カーボン繊維を用いた繊維強化樹脂によって成形される。
また両シートレール16…の後部は第2排気マフラー35Rの大部分とともに合成樹脂から成るリヤカウル39で覆われ、前記燃料タンク30およびエアクリーナ29はカバー40で覆われ、前輪WFの上方を覆うフロントフェンダー41はフロントフォーク11に取付けられる。
前記エンジン本体17の前方には、下部ラジエータ42と、該下部ラジエータ42の上方に配置される上部ラジエータ43とが、センターカウル37で両側から覆われるようにして配置され、左側のピボットプレート15の下部には、起伏可能なスタンドバー44を有するサイドスタンド45が設けられる。
図2を併せて参照して、エアクリーナ29のクリーナケース50は、車体フレームFにおける両メインフレーム13…間に配置されるものであり、合成樹脂から成る上部、中間部および下部ケース部材51,52,53が中間部ケース部材52を上部および下部ケース部材51,53間に挟むようにして相互に結合されて成り、クリーナケース50内は、中間部ケース部材52により上下に区画される。
円筒状に形成されるフィルタエレメント54は、上部ケース部材51に着脱可能に取付けられる蓋部材55および前記中間部ケース部材52間に挟持されており、下部ケース部材53の両側に連設されるとともに両メインフレーム13…に設けられる挿通孔56…を貫通した吸気ダクト57…が、両メインフレーム13…の外側を前方に延出される。
而して吸気ダクト56…から中間部ケース52および下部ケース53間に導入された空気は前記フィルタエレメント54を流通することで浄化され、上部ケース部材51および中間部ケース部材52間に導かれる。
一方、エンジン本体17の前記両バンクBF,BRにおけるシリンダヘッド28F,28Rには、前記クリーナケース50の中間部ケース52および下部ケース53間に収容されたスロットルボディ58…の下流端が各気筒毎に接続されており、中間部ケース52を貫通するエアファンネル59…の下流端が前記スロットルボディ58…の上流端にそれそれ接続され、各エアファンネル59…の上流端は、クリーナケース50の上部ケース51および中間部ケース52間に開口する。
エアクリーナ29における上部ケース51の上部壁には、エンジンの高速回転時に各エアファンネル59…に向けて燃料を噴射する第1の燃料噴射弁60…が取付けられ、各スロットルボディ58…には、エンジンの運転時には燃料を常時噴射する第2の燃料噴射弁61…が取付けられる。
図3を併せて参照して、燃料タンク30の前側下部には、該燃料タンク30の前方にあるエアクリーナ29側に向けて開放するとともに左側にも開放した凹部62が、左側開放端をカバー40で覆うようにして設けられており、前記凹部62に、バッテリ31を収納するバッテリケース63が収容される。
図4において、バッテリケース63は、左端部を開放するとともに右端部を閉塞した有底筒状にして合成樹脂により形成されるケース主体64と、該ケース主体64の左端開放部を閉鎖し得る合成樹脂製の蓋部材65とから成る。
ケース主体64の左端上部には単一の係合孔66が設けられ、ケース主体64の左端下部には一対の係合孔66,66が設けられており、蓋部材65の上部および下部に設けられた係合爪67…を前記各係合孔66…に弾発係合することによってケース主体64の左端開放部が開閉可能に閉じられる。
ところで車体フレームFの一部を構成する左右一対のシートレール16,16の前部は、メインフレーム13…に一対ずつのボルト86,87…によってそれぞれ締結されており、前記バッテリケース63におけるケース主体64の前部および後部は、前記両シートレール16,16に取付けられる。
前記ケース主体64の前部は両シートレール16,16に支持ブラケット68を介して取付けられる。支持ブラケット68の両端内側面にはウエルドナット72,72が固着されており、両シートレール16,16および支持ブラケット68の両端に挿通されるボルト73,73を前記ウエルドナット72,72に螺合して締めつけることにより、前記シートレール16,16の前部間に支持ブラケット68の両端部が締結される。また支持ブラケット68の中間部に固着されるウエルドナット69に、前記ケース主体64の右端閉塞部およびステー66に挿通されるボルト68を螺合して締めつけることにより、ケース主体64の前部が支持ブラケット68を介して両シートレール16,16に取付けられる。
ところで燃料タンク30の左側前部に溶接された当て板89にはウエルドナット90の基部が溶接されており、一端をウエルドナット90に当接させたカラー91に挿通されるボルト92が、カラー91が他端に備える鍔部91aに拡径頭部92aを当接させるようにして前記ウエルドナット90に螺合される。すなわちカラー91は燃料タンク30の左側前部に固定される。
一方、左側のシートレール16には、前記カラー91を囲繞する円筒状のタンク支持部16aが一体に設けられており、タンク支持部16aおよび前記カラー91間に、マウントゴム93が介装される。すなわち燃料タンク30の左側前部は、左側のシートレール16のタンク支持部16aにマウントゴム93を介して取付けられる。
前記ケース主体64の後部には、後方に延びる取付け腕部64aが一体に設けられており、この取付け腕部64aの後部が前記タンク支持部16aに前方から弾発嵌合される。それによりケース主体64の後部はシートレール16のタンク支持部16aに取付けられることになる。
また燃料タンク30の左右後部は、両シートレール16,16の後部に設けられたタンク後部取付け部16b…に取付けられる。
図5〜図7において、後部バンクBRのシリンダヘッド28Rに各気筒毎に連なる第2個別排気管33R…の下方に位置するクロスメンバー75が両メインフレーム13,13の後端間に架設されており、このクロスメンバー75の中間部下面には、前部をクロスメンバー75よりも前方に張り出すようにして一対のねじ部材76,76によって支持ステー77が取付けられる。しかもクロスメンバー75よりも前方位置で支持ステー77の上面に固着される一対のウエルドナット78,78に螺合するボルト79,79により、電圧制御を行うためのレギュレータ80が、一対の電線接続用コネクタ81,81を後方に向けて突出させるようにして前記支持ステー77に取付けられる。
このようにしてレギュレータ80を、外部から見えないようにして、クロスメンバー75の下方のスペースに有効に配置することができる。
前記レギュレータ80からずれた位置で支持ステー77には取付け孔82が設けられており、この取付け孔82には配線84を保持するクリップ83が着脱可能に取付けられる。
次にこの実施例の作用について説明すると、エンジン本体17の上方に配置されるエアクリーナ29と、該エアクリーナ29の後方に配置される燃料タンク30との間に、バッテリ31が配置されているので、重量物である燃料タンク30およびバッテリ31をエンジン本体17の近傍に集中して配置することができ、それにより自動二輪車の運動性能向上に寄与することができる。
またバッテリ31を収納するバッテリケース63の前部が、車体フレームFの一部を構成するシートレール16,16に、それらのシートレール16,16の前部間を連結して補強する機能を果たす支持ブラケット68を介して取付けられ、バッテリケース64の後部が、燃料タンク30の前部を取付けるために左側のシートレール16に設けられたタンク支持部16aに取付けられるので、バッテリケース63をエアクリーナ29および燃料タンク30間に固定配置するための専用構造を不要としてバッテリケース63を支持することができる。
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
自動二輪車の側面図 カバーを省略した状態での図1の要部拡大図 図2の3−3線断面図 図2の4−4線断面図 図2の5矢視図 図5の6−6線断面図 図6の7−7線断面図
12・・・ヘッドパイプ
13・・・メインフレーム
16・・・シートレール
16a・・タンク支持部
17・・・エンジン本体
29・・・エアクリーナ
30・・・燃料タンク
31・・・バッテリ
62・・・凹部
63・・・バッテリケース
F・・・・車体フレーム

Claims (4)

  1. 車体フレーム(F)が、ヘッドパイプ(12)から後方に延びる左右一対のメインフレーム(13)を備えると共に、該メインフレーム(13)の下方にエンジン本体(17)が配置され
    前記エンジン本体(17)の上方で左右一対のメインフレーム(13)間にエアクリーナ(29)が配置されると共に、該エアクリーナ(29)の後方で且つ前記エンジン本体(17)の上方に燃料タンク(30)の前部が、該エンジン本体(17)の後端よりも前側に張り出すように配置され、
    その燃料タンク(30)とエアクリーナ(29)との間で且つ前記エンジン本体(17)の上方にバッテリ(31)が配置されてなる自動二輪車におけるバッテリ配置構造であって、
    前記燃料タンク(30)には、前記エアクリーナ(29)側に向けて開放する凹部(62)が設けられていて、その凹部(62)に前記バッテリ(31)が配置されることを特徴とする、自動二輪車におけるバッテリ配置構造。
  2. 前記バッテリ(30)を収納するバッテリケース(63)の前部および後部が、車体フレーム(F)の一部を構成するシートレール(16)に取付けられることを特徴とする請求項1記載の自動二輪車におけるバッテリ配置構造。
  3. 前記バッテリケース(63)の前部が、左右一対の前記シートレール(16)の前部間を連結する支持ブラケット(68)に取付けられることを特徴とする請求項2記載の自動二輪車におけるバッテリ配置構造。
  4. 前記燃料タンク(30)の前部を取付けるようにして前記シートレール(16)に設けられるタンク支持部(16a)に、前記バッテリケース(63)の後部が取付けられることを特徴とする請求項2記載の自動二輪車におけるバッテリ配置構造。
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