JP4457697B2 - 有機el素子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子の製造方法に関する。
一般的な有機EL素子は、基板上に、下部電極、発光層を含む有機膜、上部電極が積層されてなる複数個の画素を有する。
ここで、有機膜はダイオード特性を示し、上下の電極間に順バイアスが加わると発光する。パッシブマトリクス(単純マトリクス)のパネルでは発光画素と非発光画素とにより表示がなされるが、非発光の表示を得るには、画素間のクロストークを防止するために、ダイオードすなわち有機膜に逆バイアスを印加する必要がある。
逆バイアスを印加したときに流れる電流をリーク電流と呼ぶが、この電流値が大きいほど、素子の耐圧が小さくなり、長時間作動していると上下の電極が短絡するという問題がある。この電極の短絡はパネルにライン上の輝線もしくは暗線を発生させ、表示に不具合を生じさせる。
この現象は有機EL素子をつかさどる有機膜の厚さが、通常0.2μm以下と薄膜であるために、有機膜の下部(下地)の表面に凹凸があると、有機膜がカバーしきれないことが原因である。つまり、有機膜の下地表面に凹凸があると、この凹凸に電界集中が起こり、有機膜の絶縁破壊が生じ、上下電極の短絡が発生するのである。
特に、パッシブマトリクスの複数帯状電極パターンが交差するパネルでは下部電極のパターンエッジ先端部の表面の凹凸が大きいので、下部電極のエッジ部にて有機膜厚が局所的に薄くなり、短絡が顕著となる。
そのため、パターンエッジを覆う平坦な絶縁膜が必要となっている。つまり、画素間における下部電極の間に絶縁膜を設ける必要性が生じてくる。
また、有機膜は水分に弱くフォトエッチング等の加工技術が使用できないので、陰極とともに有機膜を画素の形状にパターニングするためには、前もって下部電極上に逆テーパ状の隔壁を形成しておき、有機膜、Al等の陰極の順に蒸着する。それにより、画素が形成されたパネルが作製する。
しかし、この隔壁によって有機膜が分断されるため、その有機膜が分断された部位にて露出した下部電極の上に上部電極が形成されると、上部電極と下部電極が短絡してしまうという問題がある。そのため、隔壁の下部に隔壁よりも幅の広い絶縁膜の形成が必要となっている(たとえば、特許文献1参照)。
つまり、このようなことから、画素間に絶縁膜が設けられる。たとえば、ストライプ状をなす下部電極と上部電極とが交差するものにおいては、絶縁膜は、各々の画素間における下部電極の間および下部電極のうち上部電極の間に位置する部位上に配置されて格子状をなすものとなる。
特許第2734464号公報
しかしながら、従来では、上記した有機EL素子における絶縁膜は、有機物質、無機物質の両方のものが提案されているものの、無機物質からなる絶縁膜ではエッジ先端部の形状が高テーパ角であり、かつ表面の凹凸が大きいため、有機膜において短絡が発生しやすいという問題がある。
また、無機物質からなる無機絶縁膜は、たとえばSiN、SiO2などの無機絶縁材料をCVD、スパッタ、蒸着などの方法を用いて真空チャンバー内で形成されるため、当該真空チャンバー内の異物が膜中に取り込まれ、その箇所を起点とする短絡が発生しやすいという問題がある。
これを回避するため、有機物質からなる有機絶縁膜の成膜方法として、ポリイミド、アクリル、フェノールノボラックなどの有機絶縁材料をスピンコート法により成膜し、フォトリソグラフ技術を用いてパターニングする方法が一般的に使用されている。
しかし、有機絶縁膜は、エッジ先端部のテーパ角や表面の凹凸は小さくできるものの、融点が無機絶縁膜よりも小さいので、有機EL素子の長時間の作動中に、一度絶縁膜近傍にて上下電極間にリーク電流が流れると、有機絶縁膜が熱で変形してしまう。
その結果、表示体としては上下電極が短絡し、その結果ライン欠陥に至るという問題がある。また、有機絶縁膜中の水分が有機EL膜に拡散してしまい、短時間で有機EL素子の輝度が劣化するという問題がある。
このような絶縁膜の耐熱性を考慮した場合、有機EL素子における絶縁膜としては、有機絶縁膜ではなく、無機絶縁膜を使用することが好ましい。
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、画素間に絶縁膜を有する有機EL素子において、絶縁膜の高耐熱性を確保しつつ、上下電極間の短絡を極力抑制できるようにすることを目的とする。
上記目的を達成するため、鋭意検討を行い、無機絶縁膜のエッジ先端部の形状と有機EL素子のリーク電流との相関を調査した結果、以下の事実を新たに発見した。
無機絶縁膜のエッジ先端部の表面の凹凸によって、有機膜の薄膜部が形成されるため、その薄膜部に電界集中が発生し、リーク電流が流れる。ここで、有機EL素子の駆動を続けた場合、このリーク電流が流れ続けることで、最終的に上下電極の短絡に至ることが明らかになった。
この場合の電界集中とは、パッシブマトリクスを例にすると、クロストーク(黒浮き)を防止するために、陰極に10V程度の電圧をかける逆バイアス電圧のことである。アクティブマトリクスでも、クロストーク(黒浮き)防止の必要は無くても、上下電極の短絡の目的で印加する逆バイアス電圧のことである。
そして、この逆バイアス電圧に対して、有機膜は、絶縁体として機能し電流を流さないが、本発明者らの検討によれば、有機膜の薄膜部の膜厚が、有機膜の全膜厚の65%以下になるとリーク電流は顕著になることがわかった。
本発明者らの検討によれば、単純に、有機膜が35%程度に薄膜化する、すなわち有機膜が全膜厚の65%程度に薄くなると、電界集中によるリーク電流の影響は、薄膜化前の10倍程度悪化することが、実験的にわかった。
本発明者らは、このような本発明者らの行った検討の結果得られた知見に基づいて、以下の各構成を有する有機EL素子を創出した
第1の構成は、基板(10)上に、下部電極(20)、発光層(33)を含む有機膜(30)、上部電極(40)が積層されてなる複数個の画素(50)を有するとともに、基板(10)上にて各々の画素(50)の間に配置された絶縁膜(60)を有する有機EL素子において、絶縁膜(60)は、少なくとも1種類以上の無機元素を含む絶縁材料より形成されたものであり、絶縁膜(60)におけるエッジ先端部(61)の表面の凹凸の大きさが、有機膜(30)の全膜厚の35%以下の大きさであり、且つ、Raが3nm以上である。ここで、Raは、平均表面粗さRaであり、これはJIS(日本工業規格)に定義されたものである。
それによれば、絶縁膜(60)を、少なくとも1種類以上の無機元素を含む絶縁材料より形成されたものとしているため、有機絶縁膜に比べて大幅に耐熱性を向上させることができる。
また、有機膜の薄膜部の膜厚が有機膜の全膜厚の65%以下になると、逆バイアス電圧印加時のリーク電流は顕著になることから、絶縁膜(60)におけるエッジ先端部(61)の表面の凹凸の大きさを、有機膜(30)の全膜厚の35%以下の大きさとし、且つ、Raが3nm以上としたところ、当該リーク電流は大幅に低減できることが実験的に確認された(図5参照)。
このことは、具体的には、次のようなことである。絶縁膜におけるエッジ先端部の表面の凹凸の大きさを、有機膜の全膜厚の35%より大きくする、たとえば40%の大きさにしたとする。
このとき、絶縁膜におけるエッジ先端部の凹部における絶縁膜上の有機膜の膜厚を100としたとき、凸部における絶縁膜上の有機膜の膜厚は、凸部の高さを差し引いた分すなわち60である。このことは、当該凸部において有機膜が全膜厚の65%以下まで薄膜化したことに相当する。
そのため、この凸部上において薄膜化した有機膜に起因してリーク電流が流れやすくなる。その点、本発明では、絶縁膜(60)におけるエッジ先端部(61)の表面の凹凸の大きさを、有機膜(30)の全膜厚の35%以下の大きさとしており、それによって、リーク電流は大幅に低減できると言える。
このように、第1の構成によれば、画素(50)間に絶縁膜(60)を有する有機EL素子において、絶縁膜(60)の高耐熱性を確保しつつ、上下電極(20、40)間の短絡を極力抑制することができる。
また、第2の構成は、第1の構成の有機EL素子において、複数個の画素(50)は、ストライプ状をなす下部電極(20)とこれに直交するストライプ状をなす上部電極(40)とにより形成された格子状に配置されたものであり、各々の画素(50)間における下部電極(20)の間および下部電極(20)のうち上部電極(40)の間に位置する部位上に、絶縁膜(60)が配置されているものである
構成は、上述したパッシブマトリクスの複数帯状電極パターンが交差するパネルの構成として採用できるものであり、その場合における絶縁膜(60)の具体的な構成を提供するものである。
また、第3の構成は、第1または第2の構成の有機EL素子において、絶縁膜(60)におけるエッジ先端部(61)の表面の凹凸の大きさは、Raが7nm以下であって、Rzが40nm以下のものである。
ここで、Ra、Rzは、平均表面粗さRa、10点平均表面粗さRzであり、これらRa、RzはJIS(日本工業規格)に定義されたものである。
このように、絶縁膜(60)におけるエッジ先端部(61)の表面の凹凸の大きさとして、Raが7nm以下、Rzが40nm以下のものとすることにより、通常の有機膜の膜厚を有する有機EL素子において、絶縁膜(60)におけるエッジ先端部(61)の表面の凹凸の大きさを、有機膜(30)の全膜厚の35%以下の大きさとすることが適切に実現できる(図5参照)。
また、一般に有機EL素子における有機膜の膜厚が厚い場合でも、有機膜の下地である絶縁膜のエッジ先端部の表面の凹凸が要因であること以外にも、局所的な有機膜の薄膜化現象が発生することを想定すれば、絶縁膜(60)のエッジ先端部(61)の表面の凹凸の大きさとしては、Raが7nm以下、Rzが40nm以下であることが好ましい。
具体的には、有機膜(30)の全膜厚が、115nm以上であるとき、少なくともRaを7nm以下、Rzを40nm以下とすれば、15V程度の逆バイアス電圧に対して、100nA程度のリーク電流を抑えることが可能である。
100nA以上のリーク部は、駆動中にリーク電流が増加し、上下電極の短絡に至る。後述する図5には、平均リーク電流値を示すが、Raを7nm以下、Rzを40nm以下では、平均リーク電流値が10nAレベルと低く、絶縁膜部起因の100nA以上の画素は無い。一方、Raを7nmより大、Rzを40nmより大では、平均リーク電流値が100nAと半数の画素の絶縁膜部では、100nAを超え、上下電極の短絡に至る場所が多い。
また、第4の構成は、第1第3の構成の有機EL素子において、絶縁膜(60)におけるエッジ先端部(61)のテーパ角度(θ)が、40°以下であるものである
本発明者らの検討によれば、絶縁膜(60)におけるエッジ先端部(61)のテーパ角度(θ)が40°よりも大きくなると、成膜された絶縁膜(60)の表面を研磨して平坦化しようとしても、エッジ先端部のテーパ面が急峻なため、当該テーパ面が十分に研磨されず、所望のRzを実現しにくい。
その点、絶縁膜(60)におけるエッジ先端部(61)のテーパ角度(θ)を40°以下とすれば、絶縁膜(60)を研磨することにより、そのエッジ先端部(61)の表面の凹凸の大きさを上記したようなRaが7nm以下、Rzが40nm以下といった所望の大きさまで低減することが容易になり、好ましい。
また、第5の構成は、第1第4の構成の有機EL素子において、絶縁膜(60)は、SiN、SiON、およびSiOから選択された無機材料からなるものである。
それによれば、絶縁特性に優れ、エッジ先端部(61)における低テーパ角度の加工が可能な耐熱性の高い無機絶縁膜を実現することができる。
また、第6の構成は、第1第4の構成の有機EL素子において、絶縁膜(60)は、Siを含有する有機高分子材料からなるものである。
それによれば、絶縁特性に優れ、エッジ先端部(61)における低テーパ角度の加工が可能な耐熱性の高い無機絶縁膜を実現することができる。
そして、請求項に記載の発明では、基板(10)上に、下部電極(20)、発光層(33)を含む有機膜(30)、上部電極(40)が積層されてなる複数個の画素(50)を有するとともに、基板(10)上にて各々の画素(50)の間に配置された絶縁膜(60)を有する有機EL素子を製造する製造方法において、絶縁膜(60)を、少なくとも1種類以上の無機元素を含む絶縁材料より形成するものであり、下部電極(20)の上に、断面形状が逆テーパ形状をなす開口部(101)を有するレジスト材料からなるマスク(100)を形成し、その上から絶縁膜(60)となる絶縁材料を成膜した後、開口部(101)に成膜された絶縁材料を残してマスク(100)を取り去ることにより、絶縁膜(60)を形成するものであり、基板(10)上に、絶縁膜(60)を形成した後、その表面を研磨することを特徴としている。
それによれば、絶縁膜(60)を、少なくとも1種類以上の無機元素を含む絶縁材料より形成しているため、有機絶縁膜に比べて大幅に耐熱性を向上させることができる。
また、本発明の製造方法は、絶縁膜(60)を形成した後マスク(100)を取り去るという、いわゆるリフトオフ法を用いて絶縁膜(60)を形成しており、それによれば、上記第1第6の構成における絶縁膜(60)を適切に形成できる。特に、第4の構成の絶縁膜(60)のように、無機絶縁膜において、40°以下のテーパ角を形成するのに有効な方法である。
また、本発明では、基板(10)上に、絶縁膜(60)を形成した後、その表面を研磨するようにしているから、絶縁膜(60)を形成した後、その表面を研磨するため、絶縁膜(60)の表面の凹凸低減が適切になされる。
そのため、本製造方法によれば、上記したような絶縁膜(60)におけるエッジ先端部(61)の表面の凹凸の大きさを、有機膜(30)の全膜厚の35%以下の大きさとしたり、Raを7nm以下且つRzを40nm以下としたりすることを適切に実現することができる。
また、請求項に記載の発明では、請求項に記載の有機EL素子の製造方法において、有機膜(30)を蒸着法により成膜するものであり、有機膜(30)の成膜は、基板(10)が回転する装置を用いて行うことを特徴としている。
さらに、請求項に記載の発明では、請求項に記載の有機EL素子の製造方法において、有機膜(30)の成膜は、基板(10)が回転するとともに複数点の蒸着源(200、210)が存在する装置を用いて行うことを特徴としている。
有機膜(30)を蒸着法により成膜するにあたっては、下地表面に存在する凹凸に対する成膜材料の回り込みを良くすることが、薄膜部を形成しないためには有効である。絶縁膜(60)のエッジ先端部(61)の表面に凹凸が存在しても、所定膜厚の有機膜(30)が形成できるようにするためには、あらゆる角度から有機膜(30)が形成されればよい。
そのためには、有機膜(30)の成膜は、基板(10)が回転する装置を用いて行うことが好ましい。
また、蒸着源(200、210)を複数点とすることによっても、多方向からの蒸着がなされるため、下地表面に存在する凹凸に対する成膜材料の回り込みを良くすることができ、好ましい。具体的には、蒸発源を2個以上としたり、線状に配列された蒸発源や面状に配列された蒸発源とすることが有効である。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各図相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、説明の簡略化を図るべく、図中、同一符号を付してある。
図1は、本発明の実施形態に係る有機EL素子S1の概略平面図である。この図1では、陽極20の外形および絶縁膜60のうち隔壁70の下に隠れている部分以外の外形は透過して示してあり、絶縁膜60には斜線ハッチングを施してある。
また、図2は図1中のA−A線に沿った概略断面図であり、図3は図1中のB−B線に沿った概略断面図である。
有機EL素子S1は、可視光に対して透明な基板10を備え、この基板10の上には、下部電極としての陽極20、有機EL材料からなる発光層33を含む有機膜30、電子注入層35、上部電極としての陰極40を順次積層してなる積層体としての画素50が複数個形成されている。
基板10は、ガラスや樹脂などからなる透明な電気絶縁性を有する基板であり、本例では、ガラス基板を採用している。
基板10の上に形成された陽極20は、インジウム−錫の酸化物(ITO)膜やインジウム−亜鉛の酸化物膜等の透明導電膜からなるものであり、その膜厚は、たとえば、100nm〜1μm程度であり、好ましくは150nm程度である。
また、有機膜30は、真空蒸着法にて成膜されたもので、陽極20側から順に、正孔注入性有機材料からなる正孔注入層31、正孔輸送性有機材料からなる正孔輸送層32、正孔輸送性有機材料や電子輸送性有機材料に蛍光色素をドープした有機EL材料からなる発光層33、電子輸送性有機材料からなる電子輸送層34が積層されてなる。
具体的に、陽極の上に形成された正孔注入層31は、通常有機ELパネルに採用可能な正孔注入性材料を採用できる。本例では、正孔注入層31は、厚さが15nmである銅フタロシアニン(CuPc)膜から形成されている。
正孔注入層31の上に形成された正孔輸送層32は、通常有機ELパネルに採用可能な正孔輸送性材料を採用できる。本例では、正孔輸送層32は、厚さが40nmであるα−ナフチル・フェニル・ベンゼン(NPD)膜から形成されている。
その上の発光層33については、通常有機ELパネルに採用可能な発光層の材料、すなわちホスト材料と蛍光色素であるドーパント材料を採用できる。そして、主に、ドーパント材料を変更することにより、発光層33の発光色を規定することができる。
本例では、発光層33は、ホストであるAlq3(アルミキノリノール)中にドーパントすなわち蛍光色素としてジメチルキナクリドンが1wt%添加された膜からなり、その厚さは400nmである。
そして、発光層33の上に形成された電子輸送層34は、通常有機ELパネルに採用可能な電子輸送性材料を採用できる。本例では、電子輸送層34は、厚さが20nmであるAlq3膜から形成されている。このように、本例では、有機膜30(31〜34)の膜厚は115nmである。
電子輸送層34の上に形成された電子注入層35、陰極40は、それぞれ通常有機ELパネルに採用可能な電子注入材料、陰極材料を採用できる。
本例では、電子注入層35はフッ化リチウム(LiF)からなる厚さ0.5nmの膜であり、陰極40はアルミニウム(Al)からなる厚さ100nmの膜である。なお、電子注入層35が有機材料からなる場合は、電子注入層35は有機膜30の一部として構成されることになる。
本実施形態における画素50の配置形態は、次のようである。陽極20および陰極40はそれぞれ複数本設けられ、複数本の陽極20と複数本の陰極40とは互いに直交する方向へ延びるストライプ状に配置されている。また、両電極20、40の間に挟まれた有機膜30は、陰極40と同一のストライプ形状にパターニングされている。
そして、陽極20と陰極40とが交差して重なり合う積層体の部分が、発光部としての画素50を形成しており、本例では、図1に示されるように、複数個の画素50が格子状に配列された形となっている。
ここで、図1〜図3に示されるように、陽極20のストライプの間と有機膜30および陰極40のストライプの間には、電気絶縁性の絶縁膜60が形成されている。つまり、絶縁膜60は、基板10上にて各々の画素50の間に配置されており、画素分離層として構成されている。
言い換えれば、本例では、複数個の画素50は、ストライプ状をなす陽極20とこれに直交するストライプ状をなす陰極40とにより形成された格子状に配置されたものであり、絶縁膜60は、各々の画素50間における陽極20の間および陽極20のうち陰極40の間に位置する部位上に、配置されている。
ここで、絶縁膜60は、少なくとも1種類以上の無機元素を含む絶縁材料より形成されたものである。具体的には、絶縁膜60は、SiN、SiON、およびSiO2などから選択された無機材料や、Siを含有する有機高分子材料からなるものであり、スパッタなどにより形成されたものである。
このような絶縁膜60は、耐熱性が300℃程度である有機絶縁膜よりも耐熱性に優れたものであり、SiN、SiON、およびSiO2などから選択された無機材料からなるものである場合は、たとえば耐熱性は1000℃以上であり、Siを含有する有機高分子材料からなるものである場合には、たとえば耐熱性は500℃程度である。
そして、本実施形態では、絶縁膜60におけるエッジ先端部61(図2参照)の表面の凹凸の大きさが、有機膜30の全膜厚の35%以下の大きさである。
具体的には、絶縁膜60におけるエッジ先端部61の凹凸の大きさは、Raが7nm以下であって、Rzが40nm以下のものである。ここで、Ra、Rzは、平均表面粗さRa、10点平均表面粗さRzであり、これらRa、RzはJIS(日本工業規格)に定義されたものである。
また、本実施形態では、絶縁膜60におけるエッジ先端部61のテーパ角度θ(図2参照)が、40°以下であることが好ましい。
また、絶縁膜60のうち有機膜30および陰極40のストライプの間に位置する部分の上には、複数本の隔壁70がストライプ状に形成されている。この隔壁70はネガ型の感光性樹脂レジスト材料などからなる。
また、隔壁70の断面形状は、図2に示されるように、基板10側から上方に向かって広がる逆テーパ形状をなしている。隔壁70においてこのような逆テーパの断面形状とすることは、有機膜30および陰極40の成膜工程においてこれら有機膜30および陰極40を適切に画定するためである。
その結果、本有機EL素子S1では、陰極40のストライプ方向に沿って形成された隔壁70により、各画素50が区画され分離されている。具体的には、この隔壁70によって、有機膜30および陰極40がストライプ状に画定されるとともに、隣接する陰極40の間が絶縁されている。
そして、このような有機EL素子S1においては、両電極20、40間に電圧を印加することにより、画素50における発光層33が発光するようになっている。
本有機ELパネルS1の製造方法について上記例の構成に基づいて述べる。まず、基板10の上に、スパッタ法によりITO膜を形成し、これをフォトリソグラフ技術を用いてパターニングすることにより、陽極20を形成する。
次に、画素50の間となる部分において基板10の上および陽極20の上に、リフトオフ法などにより、上記絶縁膜60を形成する。このリフトオフ法による絶縁膜60の成膜方法の詳細については後述する。
さらに、絶縁膜60の上に、有機膜30および陰極40を分断するための隔壁70をホトリソグラフィ法で形成する。本例では、基板10の全面上に隔壁70となるネガ型の感光性樹脂レジストをスピンコートし、これを焼成した後、露光、現像することにより、隔壁70を形成する。
その後、陽極20の上に有機膜30を真空蒸着法等にて成膜して積層し、有機膜30の上に陰極40を真空蒸着法等にて成膜して積層する。
具体的には、陽極20の上に、蒸着法により、正孔注入層31として厚さ15nmのCuPc膜を形成し、続いて、正孔輸送層31として厚さ40nmのNPD膜を形成する。その上に、蒸着を行い、Alq3にジメチルキナクリドンを1%ドープしてなる厚さ40nmの発光層33を成膜する。
こうして、発光層33を形成した後、蒸着法により、Alq3からなる厚さ20nmの電子輸送層34を形成する。その後、蒸着法により、電子注入層35として厚さ0.5nmのLiF膜、陰極40として厚さ100nmのAl膜を順次成膜する。
これにより、基板10上において、隔壁70の間に位置する陽極20および基板10の上に、有機膜30および陰極40がストライプ状に積層される。こうして、上記した格子状の画素50を有するとともに、画素50間に配置された格子状の絶縁膜60を有する有機EL素子S1が形成される。
なお、上記図2に示されるように、実際には、このような成膜方法により、隔壁70の上端面にも、有機膜30および陰極40と同様の膜が積層される。
次に、上記したリフトオフ法による絶縁膜60の成膜方法の詳細について、図4を参照して説明する。図4(a)〜(f)は、本成膜方法を示す概略断面図である。
本成膜方法では、絶縁膜60を、少なくとも1種類以上の無機元素を含む絶縁材料より形成するものであり、パターニングされた陽極20上に絶縁膜60を形成する際にはリフトオフ法を用いたものである。
すなわち、図4(a)、(b)、(c)に示されるように、パターニングされた陽極20の上において、絶縁膜60を残す部分に開口部101を設けるようにあらかじめフォトレジストからなるマスク100を形成し、SiNからなる絶縁膜60をスパッタで形成する。
その後、図4(d)に示されるように、レジストからなるマスク100を溶剤で剥離することで、開口部101に成膜された絶縁材料を残してマスク100を取り去る。こうして、所定の位置に絶縁膜60が形成される。
この際、図4に示されるように、マスク100の開口部101の断面形状は逆テーパ形状が望ましい。こうすると、逆テーパ面で遮蔽された部分に絶縁膜60を構成する絶縁材料が回り込むことで、絶縁膜60の形状は、エッジ先端部61に行くにつれて膜厚が薄くなり、順テーパ形状が得られる。
しかしながら、このままでは、図4(d)に示されるように、絶縁膜60のエッジ先端部61は、陽極20の面に対し、垂直に近い段差61aができやすくなる。また、絶縁膜60の表面には凹凸があり、リフトオフで再付着する異物も多く、その結果、リーク電流の増加が生じ、ひいてはリークする画素数の増加につながってしまう。
この段差61aの除去と異物の除去をするために、続いて、絶縁膜60の表面を基板を研磨する。この研磨は、たとえばラッピング研磨を採用できる。このように研磨を行うと、図4(e)に示されるように、表面の凹凸が小さくかつエッジ先端部61まで低テーパな形状となった絶縁膜60が得られる。
その後は、図4(f)に示されるように、絶縁膜60の上に隔壁70を形成する。そして、上述したように、有機膜30および陰極40の成膜などを行うことで有機EL素子S1ができあがる。
なお、絶縁膜60において段差61aの除去と異物の除去をするために行う上記研磨の代わりに、ドライエッチングを採用しても同様の効果が得られる。また、このドライエッチングと上記研磨とを併用してもよい。また、絶縁膜60のパターニングは、上記したリフトオフに限らず、フォトエッチングやドライエッチングで行ってもよい。
ところで、本実施形態によれば、基板10上に、下部電極としての陽極20、発光層33を含む有機膜30、上部電極としての陰極40が積層されてなる複数個の画素50を有するとともに、基板10上にて各々の画素50の間に配置された絶縁膜60を有する有機EL素子S1において、絶縁膜60は、少なくとも1種類以上の無機元素を含む絶縁材料より形成されたものであり、絶縁膜60におけるエッジ先端部61の表面の凹凸の大きさが、有機膜30の全膜厚の35%以下の大きさであることを特徴とする有機EL素子が提供される。
それによれば、絶縁膜60を、少なくとも1種類以上の無機元素を含む絶縁材料より形成されたものとしているため、有機絶縁膜に比べて大幅に耐熱性を向上させることができる。
また、有機膜の薄膜部の膜厚が有機膜の全膜厚の65%以下になると、逆バイアス電圧印加時のリーク電流は顕著になることから、絶縁膜60におけるエッジ先端部61の表面の凹凸の大きさを、有機膜30の全膜厚の35%以下の大きさとして検討したところ、当該リーク電流は大幅に低減できることが実験的に確認された(後述の図5参照)。
このことは、具体的には、次のようなことである。絶縁膜におけるエッジ先端部の表面の凹凸の大きさを、有機膜の全膜厚の35%より大、たとえば40%の大きさにしたとする。
このとき、絶縁膜におけるエッジ先端部の凹部における絶縁膜上の有機膜の膜厚を100としたとき、凸部における絶縁膜上の有機膜の膜厚は、凸部の高さを差し引いた分すなわち60である。このことは、当該凸部において有機膜が全膜厚の65%以下まで薄膜化したことに相当する。
そのため、この凸部上において薄膜化した有機膜に起因してリーク電流が流れやすくなる。その点、本実施形態では、絶縁膜60におけるエッジ先端部61の表面の凹凸の大きさを、有機膜30の全膜厚の35%以下の大きさとしており、それによって、リーク電流は大幅に低減できると言える。
このように、本実施形態によれば、画素50間に絶縁膜60を有する有機EL素子S1において、絶縁膜60の高耐熱性を確保しつつ、上下電極20、40間の短絡を極力抑制することができる。
このように、逆バイアス電圧に対する絶縁体として振舞う有機膜30の薄膜化が、リーク電流の発生、最終的には上下電極20、40の短絡に寄与が大きいことは言うまでもない。有機膜30の絶縁体としての振舞いは、電子もしくは正孔の移動度特性によってもわかる。
特に、一般に電子輸送材料は、低いながらも正孔の移動度特性を有する場合があるが、正孔輸送材料は、電子の移動度特性が検出限界以下の場合が多い。そのため、有機膜30のうち正孔輸送性材料の膜厚が厚いと、逆バイアス電圧の印加時におけるリーク電流に対する有機膜の絶縁耐圧が向上する。
つまり、一般には、正孔輸送材料からなる有機膜の薄膜化が、リーク電流の増大に寄与する。この場合における正孔輸送材料からなる有機膜の薄膜化の度合としては、50%以下が顕著になることを確認している。
ちなみに、有機膜として良く用いられる正孔注入材料は、導電性つまり電子と正孔の両方の移動度を有する場合があるため、ここでいう正孔輸送性材料には該当しない。
また、本実施形態の有機EL素子S1では、絶縁膜60におけるエッジ先端部61の表面の凹凸の大きさは、Raが7nm以下であって、Rzが40nm以下のものであることを特徴としている。
このように、絶縁膜60におけるエッジ先端部61の表面の凹凸の大きさとして、Raが7nm以下、Rzが40nm以下のものとすることは、本発明者らの行った検討結果に基づいている。
そして、このようにRa、Rzを規定した構成は、上記した有機膜30の全膜厚が130nmである本例の有機EL素子S1において、絶縁膜60におけるエッジ先端部61の表面の凹凸の大きさが有機膜30の全膜厚の35%以下の大きさであることを、より具体化したものである。
この検討結果の一例について、具体的に説明する。上記した本例の有機EL素子S1の構成において、絶縁膜60のエッジ先端部61におけるテーパ角度θを振り、研磨を実施し、絶縁膜60のエッジ先端部の表面の平坦性Ra、Rzを変えた素子を作製し、作製された各素子についてリーク電流平均値を調査した。
その結果の一例を図5(a)、(b)に示す。図5において、(a)は表面粗さRa(単位:nm)とリーク電流平均値(単位:nA)との関係を示す図、(b)は表面粗さRz(単位:nm)とリーク電流平均値(単位:nA)との関係を示す図である。
図5(a)、(b)では、上記テーパ角度θを10°、40°、60°と変えた素子について調査を行っている。なお、テーパ角度θが60°のものは、絶縁膜60の成膜において上記図4に示されるリフトオフ法を使用せず。ドライエッチングによって、エッジ先端部61が急峻な形状になるよう加工した。
また、表面粗さRa、RzはAFM(原子間力顕微鏡)で計測した。リーク電流平均値は、上下電極20、40間に15Vの逆バイアス電圧を印加したときのリーク電流の平均値を測定したものであり、この値が低いほど優れていることになる。
図5(a)、(b)に示されるように、上記テーパ角度θが急峻であると、絶縁膜60のエッジ先端部61の表面が研磨されにくいので、表面粗さRa、Rzともに大きくなる。そして、Raが7nm、Rzが40nmより小さいとリーク電流が劇的に低下する傾向が得られている。
ここで、合計の有機膜厚115nmに対して、40nmの凹凸は、有機膜30の全膜厚の35%以下に相当し、この場合、問題になるようなリーク電流が発生する有機膜30の薄膜部が、形成されるに至らなかったと考えられる。そして、この場合の素子では、リークが小さいので作動耐久でのライン欠陥は発生しなかった。
また、本例の有機EL素子S1では、一般的な有機膜30の膜厚を採用しているが、有機膜30の膜厚がさらに厚くなった場合でも、有機膜30の下地である絶縁膜60のエッジ先端部61の表面の凹凸が要因であること以外にも、局所的な有機膜30の薄膜化現象が発生することを想定すれば、絶縁膜60のエッジ先端部61の表面の凹凸の大きさとしては、Raが7nm以下、Rzが40nm以下であることが好ましい。
具体的には、上述した検討結果から、有機膜30の全膜厚が130nm以上であるとき、少なくともRaを7nm以下、Rzを40nm以下とすれば、15V程度の逆バイアス電圧に対して、100nA程度のリーク電流を抑えることが可能である。
また、本実施形態では、有機EL素子S1において、絶縁膜60におけるエッジ先端部61のテーパ角度θが、40°以下であることが好ましいとしている。
本発明者らの検討によれば、絶縁膜60におけるエッジ先端部61のテーパ角度θが40°よりも大きくなると、成膜された絶縁膜60の表面を研磨して平坦化しようとしても、エッジ先端部のテーパ面が急峻なため、当該テーパ面が十分に研磨されず、所望のRzを実現しにくい。このことは、上記図5(b)に具体的に示される。
その点、絶縁膜60におけるエッジ先端部61のテーパ角度θを40°以下とすれば、絶縁膜60を研磨することにより、そのエッジ先端部61の表面の凹凸の大きさを上記したようなRaが7nm以下、Rzが40nm以下といった所望の大きさまで低減することが容易になり、好ましい。
また、本実施形態では、上述したように、有機EL素子S1において、絶縁膜60としては、SiN、SiON、およびSiO2から選択された無機材料からなるものや、Siを含有する有機高分子材料からなるものなどを採用できるとしている。
これらの材料を絶縁膜60として採用することにより、絶縁特性に優れ、エッジ先端部61における低テーパ角度の加工が可能な耐熱性の高い無機絶縁膜を実現することができる。
また、本実施形態によれば、基板10上に、陽極20、発光層33を含む有機膜30、陰極40が積層されてなる複数個の画素50を有するとともに、基板10上にて各々の画素50の間に配置された絶縁膜60を有する有機EL素子を製造する製造方法において、絶縁膜60を、少なくとも1種類以上の無機元素を含む絶縁材料より形成するものであり、陽極20の上に、断面形状が逆テーパ形状をなす開口部101を有するレジスト材料からなるマスク100を形成し、その上から絶縁膜60となる絶縁材料を成膜した後、開口部101に成膜された絶縁材料を残してマスク100を取り去ることにより、絶縁膜60を形成することを特徴とする有機EL素子の製造方法が提供される。
それによれば、絶縁膜60を、少なくとも1種類以上の無機元素を含む絶縁材料より形成しているため、有機絶縁膜に比べて大幅に耐熱性を向上させることができる。
また、本実施形態の製造方法は、絶縁膜60を形成した後マスク100を取り去るという、いわゆるリフトオフ法を用いて絶縁膜60を形成しており、それによれば、本実施形態の絶縁膜60を適切に形成できる。特に、絶縁膜60において、40°以下のテーパ角度θを形成するのに有効な方法である。
また、本実施形態によれば、上記特徴点を有する有機EL素子の製造方法において、さらに、基板10上に絶縁膜6を形成した後、その表面を研磨することを特徴とする製造方法が提供される。
それによれば、絶縁膜60を形成した後、その表面を研磨するため、絶縁膜60の表面の凹凸低減が適切になされる。
そのため、本製造方法によれば、上記したような絶縁膜60におけるエッジ先端部61の表面の凹凸の大きさを、有機膜30の全膜厚の35%以下の大きさとしたり、Raを7nm以下且つRzを40nm以下としたりすることを適切に実現することができる。
[変形例]
ところで、有機EL素子S1において、有機膜30は蒸着法により成膜するものであるが、この蒸着装置の構成として、図6には、2源の蒸発源200を備えたもの、図7には、線状の蒸発源210を備えたもの、図8には、面状の蒸発源を備えたものを模式的に示す。
図6においては、有機膜30の原料である有機物Kが収納された蒸発源200が2個設けられている。なお、これら蒸発源200には、図示しないが、有機物Kを蒸発させるための温度制御可能なヒータが設けられている。
そして、各蒸発源200から蒸発した有機物Kが、基板10に蒸着されることにより有機膜30が形成される。この有機膜30の成膜においては、基板10は図示しない回転機構により回転するようになっている。
図7においては、有機膜30の原料である有機物Kが収納された坩堝230が備えられており、この坩堝230には、図示しないが、有機物Kを蒸発させるための温度制御可能なヒータが設けられている。
また、坩堝230には配管240を介して蒸発源としてのノズル210が接続されている。このノズル210はパイプ状をなし、その長手方向に沿って線状に配列された複数個の開口部250を有するものである。また、ノズル210の下部にはノズル210を加熱するための補助ヒータ260が設けられている。
そして、ノズル210の開口部250に対向するように、基板10を配置し、坩堝230を加熱して坩堝230中の有機物Kを蒸発(気化)させ、蒸発(気化)した有機物をノズル210の開口部250から噴出させて基板10上に堆積することにより、有機層30を形成するものである。このときも、有機膜30の成膜においては、基板10は図示しない回転機構により回転するようになっている。
図8においては、上記図7に示される装置において、線状の蒸発源としてのノズル210を複数本配列させることで、複数個の蒸発源が面状に配列された蒸着装置が実現されている。そして、この場合も、有機膜30の成膜においては、基板10は図示しない回転機構により回転するようになっている。
このように、図6〜図8に示される蒸着装置を用いることにより、有機膜30の成膜は、基板10が回転する装置を用いて行う装置を用いて行うようにした有機EL素子の製造方法が提供される。また、有機膜30の成膜は、複数点の蒸着源200、210が存在する装置を用いて行うようにした有機EL素子の製造方法が提供される。
有機膜30を蒸着法により成膜するにあたっては、下地表面に存在する凹凸に対する成膜材料の回り込みを良くすることが、薄膜部を形成しないためには有効である。絶縁膜60のエッジ先端部61の表面に凹凸が存在しても、所定膜厚の有機膜30が形成できるようにするためには、あらゆる角度から有機膜30が形成されればよい。
そのためには、上記図6〜図8に示されるように、有機膜30の成膜は、基板10が回転する装置を用いて行うことが好ましい。
また、蒸着源200、210を複数点とすることによっても、多方向からの蒸着がなされるため、下地表面に存在する凹凸に対する成膜材料の回り込みを良くすることができ、好ましい。
以上述べてきたように、本実施形態によれば、絶縁膜60の耐熱性を向上させるとともに、上下電極20、40間の短絡が防止できるので、ライン欠陥の少ない表示体が可能であり、長期間安定して発光を維持することが可能な有機EL素子が実現する。
(他の実施形態)
なお、上記実施形態においては、下部電極が陽極であり、上部電極が陰極であったが、これとは逆に、下部電極が陰極で上部電極が陽極となるような有機EL素子の構成においても、本発明は適用が可能である。
また、有機膜としては、少なくとも発光層を含むものであればよく、上記実施形態に示される有機膜30の構成に限定されるものではないことはもちろんである。
さらに、上記実施形態では、画素50の配置形態は、パッシブマトリクスの複数帯状電極パターンが交差するパネルの構成と同様のものであったが、本発明に適用される有機EL素子の画素の形態は、これに限定されるものではないことはもちろんである。
要するに、本発明は、基板上に、下部電極、発光層を含む有機膜、上部電極が順次積層されてなる複数個の画素を有するとともに、基板上にて各々の画素の間に配置された絶縁膜を有する有機EL素子ならば、適用可能なものである。
本発明の実施形態に係る有機EL素子の概略平面図である。 図1中のA−A線に沿った概略断面図である。 図1中のB−B線に沿った概略断面図である。 リフトオフ法による絶縁膜の成膜方法を示す概略断面図である。 (a)は表面粗さRaとリーク電流平均値との関係を示す図、(b)は表面粗さRzとリーク電流平均値との関係を示す図である。 2源の蒸発源を備えた蒸着装置の模式的な構成を示す図である。 線状の蒸発源を備えた蒸着装置の模式的な構成を示す図である。 面状の蒸発源を備えた蒸着装置の模式的な構成を示す図である。
符号の説明
10…基板、20…下部電極としての陽極、30…有機膜、31…正孔注入層、
32…正孔輸送層、33…発光層、34…電子輸送層、35…電子注入層、
40…上部電極としての陰極、50…画素、60…絶縁膜、
61…絶縁膜におけるエッジ先端部、100…マスク、101…マスクの開口部、
200…蒸発源、210…線状の蒸発源、
θ…絶縁膜におけるエッジ先端部のテーパ角度。

Claims (3)

  1. 基板(10)上に、下部電極(20)、発光層(33)を含む有機膜(30)、上部電極(40)が積層されてなる複数個の画素(50)を有するとともに、前記基板(10)上にて各々の前記画素(50)の間に配置された絶縁膜(60)を有する有機EL素子を製造する製造方法において、
    前記絶縁膜(60)を、少なくとも1種類以上の無機元素を含む絶縁材料より形成するものであり、
    前記下部電極(20)の上に、断面形状が逆テーパ形状をなす開口部(101)を有するレジスト材料からなるマスク(100)を形成し、その上から前記絶縁膜(60)となる絶縁材料を成膜した後、前記開口部(101)に成膜された前記絶縁材料を残して前記マスク(100)を取り去ることにより、前記絶縁膜(60)を形成するものであり、
    前記基板(10)上に、前記絶縁膜(60)を形成した後、その表面を研磨することを特徴とする有機EL素子の製造方法。
  2. 前記有機膜(30)を蒸着法により成膜するものであり、
    前記有機膜(30)の成膜は、前記基板(10)が回転する装置を用いて行うことを特徴とする請求項に記載の有機EL素子の製造方法。
  3. 前記有機膜(30)の成膜は、前記基板(10)が回転するとともに複数点の蒸着源(200、210)が存在する装置を用いて行うことを特徴とする請求項に記載の有機EL素子の製造方法。
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