JP4455693B2 - 吸水性高分子重合体の乾燥方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、含水吸水性高分子重合体の乾燥方法に関し、より詳しくは振動発生装置を具備した振動乾燥機を用いた含水吸水性高分子重合体の乾燥方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
吸水性高分子重合体の1つであるアルケニルフェノール系重合体は、感光材料分野において有用な物質であり、特に超LSIの製造に必要なサブミクロンの解像能力を有するレジスト材料として、フェノール性水酸基を有する構造の制御されたアルケニルフェノール重合体や他の各種モノマーとの共重合体で金属等の不純物の少ない高純度の製品が求められている。
【0003】
構造の制御されたアルケニルフェノール重合体又は各種モノマーとの共重合体の製造方法としては、例えば、特開昭59−199705号公報、特開平4−53809号公報、特開平3−277608号公報等に、フェノール水酸基を飽和脂肪族系保護基等で保護されたp−アルケニルフェノール又はそのようなp−アルケニルフェノールと共重合可能な単量体を有機アルカリ金属等を用いたアニオン重合法を用いて重合した後、保護基を脱離させて製造する方法が記載されている。
【0004】
上記の方法では、構造の制御された重合体が得られるが、飽和脂肪族系保護基の脱離に塩酸、硫酸等の酸性水溶液を使用する必要がある。酸性成分は、高分子重合体の乾燥工程では、乾燥機の金属部分を腐食させる原因となり、金属等の不純物が製品に混入する原因となる。従って、重合体を、大量の水中で結晶化させたり、結晶を水でよく洗浄する等して酸性成分の除去を行っているが、水酸基を多量に分子内に保有するアルケニルフェノール重合体は吸水性を有しており、遠心分離器又は濾過等の操作では水分の除去が十分に行えず、従って酸性成分を完全に除去できないためその乾燥方法に問題があった。
【0005】
他方、粉体の乾燥装置としては、静置式、回転式、気流式、攪拌式、噴霧式、流動層式等、種々の形式の乾燥装置が広く知られ、また粉体の性状や乾燥目的等の関係で適宜使用されていた。そして、従来、含水の吸水性重合体を乾燥させる場合、回転式、攪拌式、噴霧式等が用いられてきた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、回転式乾燥機を用いた場合、乾燥工程当初より回転させて使用せざるを得ないため、結晶粒子の表面が強固な皮張り状態となり、粒子内部に取り込まれた水分等を完全に除去することが困難であるという問題があった。また、完全に乾燥させるには、そのような粒子を粉砕する工程が必要となり、水中等に残された酸性成分が粉砕機の金属部分を腐食することにより、金属不純物が混入することがあり、金属の微量の不純物を嫌うレジスト材料において特に重大な問題となっていた。
【0007】
攪拌式乾燥機、噴霧式乾燥機の場合においても、攪拌羽根等の金属部分又はノズル等の金属部分との接触による微量金属の混入が問題となり、そのような部分に特殊な材質を用いたり、又は特殊なコーティングをする必要があり、工業的に大量規模の生産には不向きであるという問題があった。
【0008】
本発明の課題は、上記の問題を解決し、短時間で効率良く、しかも金属等の不純物の混入する恐れがない、含水吸水性高分子重合体の乾燥方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく、種々の乾燥装置について鋭意検討した結果、振動発生装置を具備した粉体処理装置いわゆる振動乾燥機が含水吸水性高分子重合体の乾燥に適していることを見い出した。即ち、振動乾燥機においては、振動発生装置が外部に設置されていることから装置との接触による金属の混入の心配がない点、乾燥装置本体の形状が単純であることから特殊なコーティング技術を必要としない点、振動により粉体の塊状物が徐々に崩れることから水分等の除去が効率よく行える点で、他の乾燥装置より優れていることを見い出した。
【0010】
しかし、含水の吸水性高分子重合体を、加熱下、振動を最初から加えて乾燥させると、場合によっては一旦重合体がスラリー化し、その状態から水分が除去されると全体が大きな塊となり、最終的に振動により塊が崩れて粉体になるまでに相当の時間を要する場合が生じることがわかった。
【0011】
そこで、乾燥条件についてさらに検討した結果、最初から振動を加えながら加熱乾燥するのではなく、振動を止めた状態、又は振動を弱い状態であらかじめ水分等を除去した後、振動を加えながら加熱乾燥することで効率よく乾燥できることを見い出し、更に乾燥機の内面をセラミックコーティングすることにより金属等の不純物混入を完全に防ぐことが出来ることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち本発明は、含水吸水性高分子重合体に振動を加えながら乾燥することを特徴とする吸水性高分子重合体の乾燥方法や、含水吸水性高分子重合体に、無振動状態又はある種の自由運動を与えない程度の弱振動状態で、減圧下40〜80℃の温度範囲であらかじめ予備乾燥をした後、ある種の自由運動を与える振動を加えながら本乾燥することを特徴とする吸水性高分子重合体の乾燥方法(1)や、含水吸水性高分子重合体の乾燥前における含水率が30〜90%であることを特徴とする(1)記載の吸水性高分子重合体の乾燥方法(2)や、吸水性高分子重合体の乾燥前における含水率が50〜70%であることを特徴とする(2)記載の吸水性高分子重合体の乾燥方法(3)や、本乾燥が、減圧下の50〜140℃の温度範囲での加熱乾燥であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか記載の吸水性高分子重合体の乾燥方法(4)に関する。
【0013】
また本発明は、乾燥が、筒形の本体と、この本体を弾性的に支持する弾性支持機構と、前記本体を振動させて粉体にある種の自由運動をさせる振動発生装置とを具備している振動乾燥機を用いる乾燥であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか記載の吸水性高分子重合体の乾燥方法(5)や、筒形の本体として、その内周面にセラミックコーティングが施された筒形本体を用いることを特徴とする(5)記載の吸水性高分子重合体の乾燥方法(6)や、筒形の本体として、その内周面に凹凸部が設けられた筒形本体を用いることを特徴とする(5)又は(6)記載の吸水性高分子重合体の乾燥方法(7)や、筒形の本体として、その上部に投入口と下部に排出口が設けられている竪型円筒形の密閉系中空容器を用いることを特徴とする(5)〜(7)のいずれか記載の吸水性高分子重合体の乾燥方法(8)に関する。
【0014】
さらに本発明は、吸水性高分子重合体が、重合反応後の反応液と水とを混合させることで再沈殿させた重合体であること特徴とする(1)〜(8)のいずれか記載の吸水性高分子重合体の乾燥方法(9)や、吸水性高分子重合体が、その繰り返し単位が以下に示される一般式(I)(式中、R1は水素原子又はメチル基を表わし、R2は、水素原子、C1〜C6の置換されてもよいアルキル基、又は、C1〜C6の置換されていてもよいアルキル基及び/若しくはC6〜C15の置換されていてもよいアリール基で置換されているシリル基を表わし、繰り返し単位毎に同一又は相異なっていてもよいが少なくとも1以上は水素原子を表わし、R3はC1〜C6の置換されていてもよいアルキル基を表わし、繰り返し単位毎に同一又は相異なっていてもよい。)で表わされるアルケニルフェノール重合体であることを特徴とする(1)〜(9)のいずれか記載の吸水性高分子重合体の乾燥方法(10)や、吸水性高分子重合体が、p−ヒドロキシスチレンポリマーであることを特徴とする(1)〜(9)のいずれか記載の吸水性高分子重合体の乾燥方法(11)に関する。
【化2】
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明に使用される吸水性高分子重合体は、水と接触すると吸水・膨潤して、保水能を有する高分子重合体であればどのようなものでもよく、例えば、アルケニルフェノール系、架橋ポリアクリル酸塩系、ポリビニルアルコール系、ポリアクリルアミド系、ポリオキシエチレン系、デンプン系、セルロース系の各高分子重合体を具体的に挙げることができるが、その繰り返し単位が一般式(I)
【化3】
(式中、R1は水素原子又はメチル基を表わし、R2は、水素原子、C1〜C6の置換されてもよいアルキル基、又は、C1〜C6の置換されていてもよいアルキル基及び/若しくはC6〜C15の置換されていてもよいアリール基で置換されているシリル基を表わし、繰り返し単位毎に同一又は相異なっていてもよいが少なくとも1以上は水素原子を表わし、R3はC1〜C6の置換されていてもよいアルキル基を表わし、繰り返し単位毎に同一又は相異なっていてもよい。)で表わされるアルケニルフェノール重合体、特にp−アルケニルフェノール重合体の乾燥方法に特に適している。
【0016】
一般式(I)中、R2としては、具体的に、水素原子、n−ブチル基、t−ブチル基、t−ブチルジメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、フェニルジメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリルメチル基等を例示することができ、またR2は繰り返し単位毎に同一又は相異なっていてもよいが少なくとも1以上は水素原子を表わす。R3としては、具体的に、メチル基、ブチル基、イソプロピル基等を例示することができ、またR3は繰り返し単位毎に同一又は相異なっていてもよい。
【0017】
一般式(I)で表わされる繰り返し単位を含むアルケニルフェノール重合体は、一般式(II)
【化4】
(式中、R4は水素原子又はメチル基を表わし、R5は、C1〜C6の置換されてもよいアルキル基、又はC1〜C6の置換されていてもよいアルキル基及び/若しくはC6〜C15の置換されていてもよいアリール基で置換されているシリル基を表わし、R6は、C1〜C6の置換されていてもよいアルキル基を表わす。)で表わされるフェノール残基の水酸基が保護された化合物一種以上を単独又は共重合させた後、又は一般式(II)で表わされるフェノール残基の水酸基が保護された化合物一種以上と、共役ジエン、ビニル芳香族化合物、アクリル酸誘導体の少なくとも一種以上とを共重合させた後、保護基を脱離処理して得られる。
【0018】
一般式(II)で表わされる化合物と共重合に付される共役ジエンとしては、炭素数4〜12の共役ジエンが一般的であり、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、4,5−ジエン−1,3−オクタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエン等を挙げることができ、これらは一種又は二種以上の混合物で使用することもできる。
【0019】
一般式(II)で表わされる化合物と共重合に付されるビニル芳香族化合物としては、スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、1,3−ブチルスチレン、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルエチレン等を挙げることができ、これらは一種又は二種以上の混合物で使用することもできる。
【0020】
一般式(II)で表わされる化合物と共重合に付されるアクリル酸誘導体としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸アダマンチル等を挙げることができ、これらは一種又は二種以上の混合物で使用することもできる。
【0021】
重合反応としては、通常のラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合などの反応をいずれも使用することができるが、反応の後処理や生成する重合体の物性を制御する上でラジカル重合やアニオン重合が好ましい。これらの重合反応により、重量平均分子量1000〜100000の範囲の重合体が得られる。
【0022】
ラジカル重合は、懸濁重合法、溶液重合法、乳化重合法などの方法で行うことができるが、後工程における脱保護基反応の容易さの点で溶液重合法が好ましい。溶液重合法の際に用いられる溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等エステル類、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類等を例示することができ、これらは単独溶媒又は二種以上の混合溶媒として使用することができる。ラジカル重合の開始剤としては公知のもの、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等の過酸化物やアゾイソブチロニトリルなどが用いられる。重合反応の温度と時間は特に制限されないが、50〜160℃の範囲で1〜72時間とするのが好ましい。
【0023】
アニオン重合は、n−ブチルリチウム、ナトリウムナフタレン等の有機アルカリ金属化合物、又はナトリウム等のアルカリ金属等を重合開始剤として、通常、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下、有機溶媒中において、−100〜150℃の温度で行われる。有機溶媒としては、n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン、シクロペンタン等の脂環式炭化水素類、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類等の通常アニオン重合において使用される有機溶媒を例示することができ、これらは単独溶媒又は二種以上の混合溶媒として使用することができる。
【0024】
一般式(II)で表わされるアルケニルフェノールと、共役ジエン、ビニル芳香族化合物、アクリル酸誘導体の一種あるいは二種以上とを用いた共重合体は、ランダム共重合体、又はブロック共重合体を表わし、使用される各単量体の比率は特に制限されるものではない。更にブロック共重合体の場合、各ブロックの結合形式は特に制限されず、例えば、A−B型、A−B−A型、A−B−C型等を例示することが出来る。
【0025】
特にアニオン重合反応終了後に、更に反応系に他のビニルモノマー類、例えば2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン等のビニルピリジン類、アクリロニトリル等の一種又は二種以上加えて反応させることも可能である。また、特にアニオン重合反応において、重合鎖末端に官能基を導入する場合は、重合反応終了後、反応液を二酸化炭素又は酸化エチレン等の環状エーテル化合物で処理し、更に水、塩酸、メタノール等で処理することにより、それぞれカルボキシル基、水酸基を導入することができる。
【0026】
一般式(II)で表わされるアルケニルフェノールを単独重合した後、又は一般式(II)で表わされるアルケニルフェノールと共役ジエン、ビニル芳香族化合物、アクリル酸誘導体の少なくとも一種以上を用いて共重合した後保護基を脱離処理する工程は、重合反応で例示した溶媒や四塩化炭素等の塩素系溶媒の存在下で塩酸、塩化水素ガス、硫酸、過塩素酸、リン酸、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸、臭化水素酸等の少なくとも一種を加えて室温〜150℃、好ましくは室温〜100℃の温度で行うことができる。この脱離工程は、用いる試薬、試薬の量、反応温度、反応時間を適時調整することで、重合体中に含まれる保護基のうち任意の割合を脱離させることができる。
【0027】
脱離工程終了後、反応溶媒を留去し、吸水性高分子重合体を固化させ、更に水洗し酸性成分を除去して乾燥することもできるが、水もしくは重合体不溶性溶媒に反応溶液を投入し、重合体を析出させた後濾別もしくは遠心分離により固液分離し、その後乾燥を行う方が好ましい。
【0028】
後処理工程において水を用いた場合、固液分離した状態においても、その含水率は、固液分離後の全重量の30〜90%である。本願発明の方法は、固液分離後の含水率が全重量の30〜90%、好ましくは、50〜70%である吸水性重合体を乾燥する場合に好適である。なお、本発明において含水率とは、重合反応終了後に固液分離された湿った状態の含水吸水性高分子重合体全重量に対する水分の重量%で表され、またここでの水分には、便宜上、重合反応に用いられた有機溶媒も含まれている。
【0029】
本発明の吸水性高分子重合体の乾燥方法は、上記の含水吸水性高分子重合体に振動を加えながら乾燥すること、好ましくは、含水吸水性高分子重合体に、無振動状態又はある種の自由運動を与えない程度の弱振動状態であらかじめ予備乾燥をした後、ある種の自由運動を与える振動を加えながら本乾燥することを特徴とする。
【0030】
そして、振動を加えながらの乾燥には、筒形の本体と、この本体を弾性的に支持する弾性支持機構と、前記本体を振動させて粉体にある種の自由運動をさせる振動発生装置とを具備している振動乾燥機を用いることができ、より具体的には、吸水性高分子重合体の粉体から発生する気体を排出する排気口を有しかつ該粉体を加熱又は冷却するための熱媒体を流すジャケットを備えた筒形の本体と、この本体を弾性的に支持する4個のスプリング等からなる弾性支持機構と、前記本体を振動させて粉粒体にある種の自由運動を与える振動モーター等の振動発生装置とを具備してなる振動乾燥機等を用いることができる。かかる振動乾燥機として竪型振動乾燥機(中央化工機株式会社製「VU型」)等を用いると、振動は本体の底部から加えられ、本体内部の粉体は円周方向に旋回しながら半径方向に上下動し、乾燥と同時に粉体の混合も行われる。
【0031】
筒形本体の設置形式は、横置型、竪型どちらかに特に限定されないが、筒形の本体として、その上部に投入口と下部に排出口が設けられている竪型円筒形の密閉系中空容器を用いた場合に好適である。また、筒形の本体を構成する材質としては、耐腐食性を考慮してSUS等が用いられるが、特に金属等の微量不純物の混入を嫌う場合、内周面をガラス、フッ素樹脂等でコーティングしたものを用いることができるが、中でも、耐摩耗性、耐腐食性の点でセラミックコーティングが特に好ましい。
【0032】
筒形本体の内部の形状は、特に限定はされないが、通常円形又はU形のものが好ましい。特に、筒形の内周面に凹凸を設けた場合、攪拌効率が飛躍的に改善され好ましい。内周面の凹凸の形状は特に限定されないが、横型の円筒形の本体の場合、その断面が花弁模様、又は星型の形状を例示することができる。
【0033】
筒形本体には、粉体から発生する気体を排出する排気口が設けられているが、振動処理中に排気に同伴飛散する微粉を回収ないし捕集するためのフィルターが取り付けられている。このフィルターの形状は特に限定はされないが、例えば本体と一体的にかつ取り外し可能に装着し、特に該フィルターを螺旋状に巻線された支持枠へ濾材を取り外し可能に被覆することによって構成し、よってフィルタを本体と一体的に振動させて該フィルターの濾材の目詰まりを防止できる構造等例示することができる。フィルターに使用される材質は、特に限定されないが、耐腐食性を考慮するとSUS等が好ましい。
【0034】
本発明において、振動により与えられるある種の自由運動とは、粉体等の自由な運動を意味し、例えば粉体の空中浮遊運動、又は単純な循環移動による全体的対流混合が行われる単純な回転軌跡の運動等を挙げることができる。特に、筒形本体の内周面に凹凸面を設けた場合、各凹凸面内で粉粒体が円周方向に旋回しながら半径方向に上下流動するので各粒子が、均一に伝熱部に接触することができ、しかも各粒子同士接触する機会が増えることから乾燥効率を向上させることができる。
【0035】
本発明においては、前記のように、含水吸水性高分子重合体にある種の自由運動を与える振動を加えながら本乾燥する前に、無振動状態又はある種の自由運動を与えない程度の弱振動状態であらかじめ予備乾燥をすることが好ましい。この予備乾燥と本乾燥の2段階の乾燥工程を採用する場合は、予備乾燥を行うことなく含水吸水性高分子重合体にある種の自由運動を与える振動を加えながら本乾燥を実施する場合と異なり、高分子重合体中に閉じ込められた水分等のうち比較的表面に近い部分の水分が一度に解放される結果高分子重合体がスラリー状態となることがない。スラリー状態から水分が除去されると、場合によっては、スラリー全体の表面から水分等が除去されるため再び水分を内部に閉じ込めた状態で強固な塊状態になり、このような塊が一旦生成すると、振動によって崩壊させるのに長時間を要することになるが、予備乾燥を行うことにより、短時間で効率よく乾燥することができるので、工業的には予備乾燥をすることが特に好ましい。
【0036】
例えば、含水吸水性高分子重合体を振動乾燥機等の処理装置に仕込み、まず振動させない状態で、又は振動乾燥機等の振動周波数を粉体がある種の自由運動をしない程度の低周波数に抑えて、減圧下、本体内温40〜80℃の範囲で水分を除去する。この操作により、重合体内部の取り込まれた水分のうち、比較的重合体表面に近い部分の水分が除去され、吸水性高分子重合体は水分の抜けた穴があいた蜂の巣状態の塊となる。水分を除去する温度は本体内温40〜80℃の範囲であるが、なるべく低温で除去するのが好ましい。この操作は、目視で水分の蒸発が見られなくなるまで通常行われる。また、乾燥させる固体により、この操作の終了時点は異なるが、含水率で5〜30%に、好ましくは5〜15%に相当する水分を除去した時点で、この操作を終了させるのが好ましい。
【0037】
さらに、完全に水分を除去するために、振動周波数を粉体がある種の自由運動させることができる周波数に上げ、減圧下、本体内温50〜140℃の範囲で加熱する本乾燥を行う。ある種の自由運動を与える振動により、蜂の巣状の塊は徐々に崩壊し粉体となり、それらの粉体は、全体的対流混合が行われる単純な回転軌跡の運動等をすることにより、更に細かく粉砕され重合体の内部に閉じ込められていた水分まで完全に除去することができる。
【0038】
【実施例】
以下実施例で本発明を更に詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は実施例に限定されるものではない。
実施例1
酸処理したp−ブトキシスチレンポリマーの反応液を水に投入し、ポリマー(高分子重合体)を析出させ、遠心濾過機により濾過し、含水率が56%のp−ヒドロキシスチレンポリマー560kgを得た。得られた含水ポリマーを竪型振動乾燥機(中央化工機株式会社製「VU160型」)に仕込み、振動させない状態のまま、減圧下、40℃で2時間溶媒留去を行った後、振動数を1500振動/分に設定し、減圧下80℃で15時間乾燥を行った。得られたポリマーは粉状であり、しかも水分含有率は0.2%以下であった。
【0039】
参考例1
実施例1と同様にして得られた含水率が56%のp−ヒドロキシスチレンポリマー400kgを実施例1と同様な竪型振動乾燥機を用いて、減圧下振動数を1500振動/分に設定し80℃で24時間乾燥を行った。得られたポリマーは一部粒状を含む粉状で、水分含有率は0.2%以下であった。
【0040】
実施例2
酸処理したp−ブトキシスチレンポリマーの反応液を水に投入し、ポリマーを析出させ、遠心濾過機により濾過し、含水率が70%のp−ヒドロキシスチレンポリマー6kgを得た。得られた含水ポリマーを竪型振動乾燥機(中央化工機株式会社製「VU30型」、内装セラミックコーティング)に仕込み、振動させない状態のまま、減圧下、40℃で30分溶媒留去を行った後、振動数を1500振動/分に設定し更に減圧下、80℃で3.7時間乾燥を行った。得られたポリマーは粉状であり、しかも水分含有率は0.5%以下であり、かつ金属の不純物は100ppb以下であった。
【0041】
参考例2
実施例2と同様にして得られた含水率が68%のp−ヒドロキシスチレンポリマー6kgを実施例2と同様な竪型振動乾燥機を用いて、減圧下振動数を1500振動/分に設定し80℃で5.3時間乾燥を行った。得られたポリマーは一部粒状を含む粉状で、水分含有率は0.6%であり、かつ金属の不純物は100ppb以下であった。
【0042】
比較例1
酸処理したp−ブトキシスチレンポリマーの反応液を水にあけ、ポリマーを析出させ、遠心濾過機により濾過し、含水率が70%のp−ヒドロキシスチレンポリマー60kgを得た。得られた含水ポリマーをコニカル乾燥機(八光産業社株式会社製、GL仕様)に仕込み、減圧下、60回転/分の回転速度で回転しながら、130℃に加熱しながら15時間乾燥を行った。得られたポリマーはボール状ポリマーを多く含む粉状で、十分に乾燥できないことがわかった。
【0043】
【発明の効果】
本発明の乾燥方法を用いることにより、従来の方法に比較して乾燥時間を短縮することができる上に乾燥効率を大幅に改善することができ、金属等の不純物のない優れた品質のポリマーを工業的に供給することが可能となる。
Claims (11)
- 含水吸水性高分子重合体に、無振動状態又はある種の自由運動を与えない程度の弱振動状態で、減圧下40〜80℃の温度範囲で予備乾燥をした後、ある種の自由運動を与える振動を加えながら本乾燥することを特徴とする吸水性高分子重合体の乾燥方法。
- 含水吸水性高分子重合体の乾燥前における含水率が30〜90%であることを特徴とする請求項1記載の吸水性高分子重合体の乾燥方法。
- 吸水性高分子重合体の乾燥前における含水率が50〜70%であることを特徴とする請求項2記載の吸水性高分子重合体の乾燥方法。
- 本乾燥が、減圧下の50〜140℃の温度範囲での加熱乾燥であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の吸水性高分子重合体の乾燥方法。
- 乾燥が、筒形の本体と、この本体を弾性的に支持する弾性支持機構と、前記本体を振動させて粉体にある種の自由運動をさせる振動発生装置とを具備している振動乾燥機を用いる乾燥であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の吸水性高分子重合体の乾燥方法。
- 筒形の本体として、その内周面にセラミックコーティングが施された筒形本体を用いることを特徴とする請求項5記載の吸水性高分子重合体の乾燥方法。
- 筒形の本体として、その内周面に凹凸部が設けられた筒形本体を用いることを特徴とする請求項5又は6記載の吸水性高分子重合体の乾燥方法。
- 筒形の本体として、その上部に投入口と下部に排出口が設けられている竪型円筒形の密閉系中空容器を用いることを特徴とする請求項5〜7のいずれか記載の吸水性高分子重合体の乾燥方法。
- 吸水性高分子重合体が、重合反応後の反応液と水とを混合させることで再沈殿させた重合体であること特徴とする請求項1〜8のいずれか記載の吸水性高分子重合体の乾燥方法。
- 吸水性高分子重合体が、その繰り返し単位が一般式(I)
- 吸水性高分子重合体が、p−ヒドロキシスチレンポリマーであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか記載の吸水性高分子重合体の乾燥方法。
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JP19409999A JP4455693B2 (ja) | 1999-07-08 | 1999-07-08 | 吸水性高分子重合体の乾燥方法 |
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